JP4590500B2 - 角度検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、角度検出装置に関し、特に、励磁巻線と出力巻線を固定子に設けたボビンに設け、ヨーク及び回転子を金属板等で形成すると共に、巻線を各ボビンを飛び越して巻く大巻きと各ボビン毎に順次巻く小巻きとすることにより、従来のレゾルバよりも大幅なコストダウンを達成すると共に、構造の簡略化及び製造の容易化を達成するための新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、用いられていたこの種のバリアブルリラクタンス型レゾルバとしては、例えば、図34及び図35で示される特開平8−178611号公報に開示された構成を挙げることができる。
すなわち、図34において符号1で示されるものは、1例として12個の突極3間に各々形成された12個のスロット2を有する輪状の固定子であり、各突極3には、各スロット2内に位置するように1相の励磁巻線4が巻回されている。なお、この励磁巻線4の極数はスロット2の数と同一である。この固定子1の中心位置には、巻線を有しない鉄心のみよりなる回転子が回転自在に設けられ、この回転子5の中心が固定子1の中心とずれて偏心しているため、この回転子5と固定子1の突極3との間のギャップパーミアンスは角度θに対して正弦波状に変化するように前記回転子5は構成されている。なお、この回転子5は、偏心構成に限らず、同心で形状が円でなく変形して凹凸形等とした場合も同じ作用を有するものである。
【0003】
また、2相で互いに電気角が90゜異なって各スロット2に1スロットピッチ(スロット飛びを伴うことなく、各スロットに順次巻線を入れる状態)で巻かれたSIN出力巻線6及びCOS出力巻線7は、図34には示していないが図35で示される状態のように、その誘起電圧分布が各々正弦波分布となるように分布巻き(その巻線の巻き数(量)も正弦波分布状となる)で構成されている。
前記各出力巻線6,7の巻数は、SINθ(COSθ)に比例したターン数でかつその極性(正極又は逆巻)は、SIN出力電圧8とCOS出力電圧9の各スロット2位置での極性に合うように、励磁巻線4の極性を考慮しつつ決定する。
【0004】
すなわち、図35に示すように、励磁巻線4が正巻で出力巻線6,7が正巻の場合は同相出力、励磁巻線4が正巻で出力巻線6,7が逆巻の場合は逆相出力、励磁巻線4が逆巻で出力巻線6,7が正巻の場合は逆相出力、励磁巻線4が逆巻で出力巻線6,7が逆巻の場合は同相出力となる巻線構造を前提として、SIN出力電圧8及びCOS出力電圧9がSIN状及びCOS状となるように各出力巻線6,7の極性(正巻か逆巻)を決める。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のバリアブルリラクタンス型レゾルバは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。すなわち、固定子のヨークである突極が内側に一体に突出して形成されているため、励磁巻線と出力巻線を自動巻線機により各突極に巻回するための作業が難しく、自動巻線機の構造が複雑となっていた。また、回転子は積層板により形成されていたため、非真円形状に構成することが難しく、歩留まりの向上が困難であった。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、励磁巻線と出力巻線を固定子に設けた平面的に配置したボビンに設け、ヨーク及び回転子を金属板等で形成すると共に、巻線を各ボビンを飛び越して巻く大巻と各ボビン毎に順次巻く小巻きとすることにより、従来のレゾルバよりも大幅なコストダウンを達成すると共に、構造の簡略化及び巻線作業及び組立作業等の製造の容易化を達成するようにした角度検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による角度検出装置は、輪状の固定子に励磁巻線とn相の出力巻線を設け、前記固定子に対して回転自在に設けられ前記固定子との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して正弦波状に変化する非真円形を有すると共に鉄心のみで巻線を有しない構成の回転子を用いたバリアブルリラクタンス型レゾルバ方式の角度検出装置において、前記固定子の面に対して垂直でかつ所定角度間隔で平面的に配置して設けられ前記励磁巻線及び出力巻線を有する複数のボビンと、前記各ボビンに設けられ前記回転子の軸倍角(X)に対し、前記X×4個の板状をなすヨークとを有し、前記励磁巻線は複数の前記各ボビンに対して内側と外側を交互に経て巻回され、前記出力巻線は前記各ボビンに対して外側から複数の内側を経て外側に巻回されている構成であり、また、前記出力巻線は互いに位相が異なる第1出力巻線及び第2出力巻線からなり、前記励磁巻線を有する励磁巻線用基板と、前記第1出力巻線を有する第1出力巻線用基板と、前記第2出力巻線を有する第2出力巻線用基板とは互いに軸方向に積層され、複数のコアを有するヨーク板が前記第2出力巻線用基板側に接合されている構成である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による角度検出装置の好適な実施の形態について説明する。なお、従来例と同一又は同等部分については同一符号を用いて説明する。
図1において符号1で示されるものは全体が輪状をなすと共にプレス加工又は周知の成形金属加工等により加工された全体形状としてはほぼ板状の固定子であり、この固定子1の面1a上には、この面1aと直交する垂直方向に軸方向を有するようにボビン10が設けられている。
【0009】
前記各ボビン10の上部すなわち端部11には、L字型又は平板状をなすと共にプレス加工又は成形金属加工した金属板等からなるヨーク3がカシメ又は接着等によって固定され、各ヨーク3の曲折部3aが固定子1の内側に向いて配設されている。
【0010】
前記固定子1は、より具体的には図5に特に示されているように、互いに重合される第1、第2固定板12、13から構成され、第1固定板12には軸方向に沿って複数の筒状コア14が成形金属加工又はプレス加工により第1固定板12と一体又は別体の組立てにより形成されている。
【0011】
前記各ボビン10には、図6及び図7で示されるように、励磁巻線4が各ボビン10毎に正巻きとこの正巻きと逆の逆巻きで順次多数回巻回されていると共に、互いに位相の異なる第1、第2出力巻線6,7は各ボビン10に対して1個飛びで正巻きと逆巻きで順次多数回巻回された小巻きで形成されている。なお、実際の結線図としては図8、図9のように結線が行われている。さらに、前述の励磁巻線4は各ボビン10に設けられた各ヨーク3間をスロットとすると図35のように正巻と逆巻に構成され、前記第1、第2出力巻線6,7は図35に示される正弦波出力電圧8,9が得られるように各ボビン10毎に巻数を変える周知の分布巻きを施すこともできる。また、このヨーク3の数は、ロータの軸倍角Xに対してX×4の数となる。また、この分布巻きの結線図としては図12で示されており、その分布巻き構造は図13及び図14の通りである。
また、他の形態として、各巻線4,6,7を前述の各ボビン10に各々巻くいわゆる小巻き構成とは別に、図15で示されるような各ボビン10にまたがり小巻きよりも大径の大巻き構成とすることもできる。すなわち、励磁巻線4は、ロータが2Xであるためヨーク3が8個となり、各ボビン10に対して内側と外側を順次部分巻回して大巻きとして複数巻回されている。また、互いに位相が異なる第1、第2出力巻線6,7は、各ボビン10に対して外側から複数の内側を経て再び外側に巻回される巻き方を繰り返して大巻きとなるように巻回され、その結線図は図10の通りであり、他の方法として図11のように結線することもできる。
すなわち、前述の図15における大巻きの軸倍角が2Xの場合について詳述すると、前記励磁巻線4は、複数の前記各ボビン10に対して、外側→内側→外側→内側・・・と交互に外内を通るように何ターンも巻回されてボビン10に巻回したのと同じ構成となり、さらに、この励磁巻線4の中の他方の励磁巻線4’は複数の前記各ボビン10に対して前述とは外と内が逆になるように巻回されて前述励磁巻線4に接続されることにより、励磁巻線4、4’の巻線分布が図7の小巻き方法の励磁巻線と同じになるようにして大巻き方法による励磁巻線4、4’が達成される。
また、第1相出力としての前記出力巻線6は前記各ボビン10に対して、外側→内側→内側→内側→外側→内側→内側→内側・・・のように外側から3回内側を経て外側になる状態で何ターンも巻回されてボビン10に巻回したのと同じ構成となり、さらに、この励磁巻線6の中の他方の出力巻線6’が2スロット分ずれて前述の出力巻線6と同様に巻回されて出力巻線6に接続されることにより、出力巻線6、6’の巻線分布が図7の小巻き方法の出力巻線6と同じになるようにして大巻き方法による出力巻線6、6’が達成される。
さらに、第2相出力としての前記出力巻線7、7’は、前記出力巻線6、6’よりも1スロット分ずれた状態の配置で巻回され、図7の小巻き方法の出力巻線7と同じ巻線分布となるように前述の出力巻線6、6’と位相が異なるのみで同様に巻回されているため、説明は省略する。なお、軸倍角は2Xに限らず、nXとすることができる。
さらに、図16及び図17に示す構成は、本発明の固定子1の他の形態を示すものであり、輪状保持板100に対して前述の小巻き又は大巻きとした励磁巻線4を有する励磁巻線用基板101と、第1、第2出力巻線6,7を有する第1、第2出力巻線用基板102,103を別々に設けて軸方向に積層させ、前記第2出力巻線用基板103に対して複数の突出したコア104を有するヨーク板105をコア104を各々ボビン10内に挿入して接合させ、図17で示される固定子1の構成を得ることもできる。
【0012】
また、回転子5は、図3及び図4に示されるように、回転軸(図示せず)を接続するための穴20を有すると共にプレス加工等によって得られた断面コ字型又は平板状をなすと共に非真円形に形成され、この回転子5を回転させた場合に、前記固定子1の内側との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して周知のように正弦波状に変化するように構成されている。
【0013】
次に、前述の図1から図6で示される角度検出装置の形態とは別に、他の複数の形態として、図18から図33にて示される構成について述べる。なお、図1から図6と同じ部分には同一符号を付して説明する。
まず、図18から図20で示される他の形態においては、各ヨーク3が平板状をなして各ボビン10に取付けられ、図17の断面で示されるように構成され、回転子5は一例として4X(Xは軸倍角を示す)型の平板状にて形成されている。なお、他の構成は、図1及び図2の構成と同じであるため、符号のみを付し、その説明は省略する。また、4Xのためヨーク3は実際には16個であるが、ここでは数を省略している。
【0014】
次に、図21かに図24で示す他の形態の場合、固定子1の第1固定板12の内側の各一部が切り起こされて垂直形状のみからなるヨーク3が所定の角度間隔で形成され、このヨーク3に巻線4,6,7を有するボビン10を備えた第2固定板13を重合させ、平板状の回転子5が固定子1の内側に配設されている。なお、このヨーク3は垂直状のみの形状で用いられる。
【0015】
次に、図25からず28で示す他の形態の場合、固定子1の第1固定板12の内側の各一部が切り起こされて垂直状のヨーク3が所定の角度間隔で形成され、このヨーク3に巻線4,6,7を有するボビン10を備えた第2固定板13を重合させ、図28で示されるように各ヨーク3がL字型に形成されてその先端に軸方向に沿う垂直片3Aを曲折して有し、回転子5は断面コ字型をなす平板状(図27で示す)で形成されている。
【0016】
次に、図29及び図30で示される他の形態の構成は、固定子1の構成は前述の図25から図28における垂直片3Aを有しない構造と同一にL字型に形成されて平板状であり、回転子5はコ字型でなく、平板状のみで形成されている。
【0017】
次に、図31から図33で示される他の形態の構成は、固定子1の筒状コア14を有する第1固定板12の上に、巻線4,6,7を有するボビン10を備えた第2固定板13を重合させ、この筒状コア14の上に、各ヨーク3が輪状平板に一体に形成された輪状ヨーク体3Bが取り付けられてカシメ等で固定されている。前記第1固定板12には各ヨーク3に対応した舌片12aが形成されていることにより、図31、図33で示されるように、ボビン10が輪状ヨーク体3Bと第1固定板12とによって挟持されている。なお、この場合は、回転子5は積層型又はプレス加工、成形金属のものを用いることができる。
なお、前述の各形態における構成は図示したものに限らず、コアと巻線を有するボビンを単体で構成して固定子に各々取付けるようにすることもできる。
さらに、コアと固定板及びボビンと固定板も一体に限らず別体として構成することもできると共に、プレス加工及び成形金属加工の何れもできる。
【0018】
従って、SIN用及びCOS用からなる前記出力巻線6,7は、その誘起電圧分布が各々正弦波分布となるように前述の周知の分布巻き(その巻数及び量も正弦波分布状となる)で構成されているため、励磁巻線4が正巻で出力巻線6,7が正巻の場合は同相出力、励磁巻線4が正巻で出力巻線6,7が逆巻の場合は逆相出力、励磁巻線4が逆巻で出力巻線6,7が正巻の場合は逆相出力、励磁巻線4が逆巻で出力巻線6,7が逆巻の場合は同相出力となるように設定されていることによって、SIN出力電圧及びCOS出力電圧がSIN状及びCOS状となる。尚、前述の2相出力1X(Xは軸倍角)の場合に限らず、n相出力のnXとすることができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明による角度検出装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。すなわち、固定子の面に設けたボビンに対して励磁巻線及び出力巻線を各ボビンを飛び越して巻く大巻きと各ボビン毎に順次巻く小巻きとして巻回させているため、従来のスロットを有する固定子の各ヨークに巻線を巻回させるよりも、組立作業が大幅に容易化され、巻回速度も大幅に向上し、巻線機の構造も簡略化できる。
また、各ボビンにプレス加工又は成形金属加工等の金属板よりなるヨークを取り付けるため、固定子の製造が従来よりも大幅に容易となる。
さらに、回転子がプレス加工又は成形金属加工等による金属板で形成することができるため、従来のコアの積層による製造に比べて製造が大幅に容易化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による角度検出装置の固定子を示す分解斜視図である。
【図2】本発明による角度検出装置の分解斜視図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】図4の断面図である。
【図6】図1の固定子の製造工程を示す工程図である。
【図7】図1の固定子のボビンに対する励磁巻線と出力巻線の小巻き方法の巻回状態を示す構成図である。
【図8】本発明の小巻き方法を示す構成図である。
【図9】本発明の小巻き方法を示す構成図である。
【図10】本発明の大巻き方法を示す構成図である。
【図11】図10の他の形態の構成図である。
【図12】本発明の分布巻き方法の構成図である。
【図13】図12の状態を示す説明図である。
【図14】図13の他の状態を示す説明図である。
【図15】本発明の大巻きを示す構成図である。
【図16】本発明の固定子の他の形態を示す分解図である。
【図17】図16の完成状態を示す側面図である。
【図18】図1の他の形態を示す分解斜視図である。
【図19】図18の組立後を示す斜視図である。
【図20】図19の要部を示す断面図である。
【図21】図1の他の形態を示す斜視図である。
【図22】図21の固定板を用いた固定子を示す斜視図である。
【図23】図22の要部の断面図である。
【図24】図22の固定子に回転子を組合わせた状態の斜視図である。
【図25】図1の他の形態を示す斜視図である。
【図26】図25の固定板を用いた固定子を示す斜視図である。
【図27】図26の要部を示す斜視図である。
【図28】図26の構成を用いた固定子を示す斜視図である。
【図29】図27の他の形態を示す断面図である。
【図30】図29の状態を示す斜視図である。
【図31】図1の他の形態を示す分解斜視図である。
【図32】図31の断面図である。
【図33】図32の状態を示す分解斜視図である。
【図34】従来のバリアブルリラクタンス型レゾルバを示す構成図である。
【図35】図33及び本発明における各巻線と出力電圧との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 固定子
1a 面
3 ヨーク
4 励磁巻線
5 回転子
6,7 出力巻線
10 ボビン
11 端部
12,13 第1、第2固定板
14 筒状コア
Claims (2)
- 輪状の固定子(1)に励磁巻線(4)とn相の出力巻線(6,7)を設け、前記固定子(1)に対して回転自在に設けられ前記固定子(1)との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して正弦波状に変化する非真円形を有すると共に鉄心のみで巻線を有しない構成の回転子(5)を用いたバリアブルリラクタンス型レゾルバ方式の角度検出装置において、前記固定子(1)の面(1a)に対して垂直でかつ所定角度間隔で平面的に配置して設けられ前記励磁巻線(4)及び出力巻線(6,7)を有する複数のボビン(10)と、前記各ボビン(10)に設けられ前記回転子(5)の軸倍角(X)に対し、前記X×4個の板状をなすヨーク(3)とを有し、前記励磁巻線(4)は複数の前記各ボビン(10)に対して内側と外側を交互に経て巻回され、前記出力巻線(6,7)は前記各ボビン (10)に対して外側から複数の内側を経て外側に巻回されていることを特徴とする角度検出装置。
- 前記出力巻線は互いに位相が異なる第1出力巻線(6)及び第2出力巻線(7)からなり、前記励磁巻線(4)を有する励磁巻線用基板(101)と、前記第1出力巻線(6)を有する第1出力巻線用基板(102)と、前記第2出力巻線(7)を有する第2出力巻線用基板(103)とは互いに軸方向に積層され、複数のコア(104)を有するヨーク板(105)が前記第2出力巻線用基板(103)側に接合されていることを特徴とする請求項1記載の角度検出装置。
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