JP4580589B2 - 分離膜の洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分離膜の洗浄方法に関するものである。更に詳しくは、本発明の洗浄方法の対象となる分離膜は、例えば、半導体および精密機器の部品洗浄水の製造用膜、病院および製薬工業での無菌水並びにパイロジェンフリー水の製造用膜、海水淡水化処理用膜(汚濁除去用、脱塩処理用)、飲料用水の除菌および微粒子除去用膜、食品および薬品の分離精製用膜、気体精製用フィルターとして使用されるものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
分離膜は、半導体および精密機器の部品洗浄水の製造、医療および製薬工業での無菌水並びにパイロジェンフリー水の製造、海水淡水化用の水中の汚濁物質ならびに含有塩類の除去、飲料用水の除菌および除粒子、業務用水および家庭用水の浄化等の目的に広く応用されている。更に、これらの分離膜は種々の処理物質(液体または気体)から不純物または有用物(固体、液体または気体)を分離する目的でも使用されており、今後もその用途は拡大する一方である。
【0003】
これら分離膜使用時の最大の問題は、分離操作過程において分離機能の根幹をなす膜の保有する細孔が、分離物、微生物、その他の夾雑物等により閉塞され、分離効率が徐々に低下し、最終的には本来の分離機能を果たし得なくなることである。この閉塞を回避する手段としては、分離膜に付着する閉塞物を洗浄除去する方法(洗浄法)、閉塞した分離膜を新しい分離膜に取り替える方法、閉塞物を部分的に洗い出しながら濾過処理を実施する部分濾過方法等がある。
【0004】
上記方法の内、新しい分離膜に取り替える方法は、分離膜の基材費用が増加し、不経済的であるという問題を有している。また、部分濾過方法は閉塞までの処理時間(量)の延長は可能となるものの、完全に閉塞を回避することはできないという問題を有している。そのため最終的手段として、洗浄法を加味した方法が最も汎用的に実施されている。
【0005】
上記洗浄法に関しては、従来から多くの方法が提案され実施されている。例えば、アルコールで洗浄する方法(例えば、特開平9−313901号公報、特開平4―193333号公報)、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液で洗浄する方法(例えば、特開平5−168873号公報、特開平7―275671号公報、特開平7−136474号公報、特開平8−141375号公報、特開平2000−070685号公報、特開平9−262444号公報)等が公知である。
【0006】
上記のように次亜塩素酸ナトリウムの水溶液あるいはアルコールを使用した洗浄法は公知であるが、これらの洗浄法の適用による洗浄効果は一応得られるものの、各々の洗浄剤による除去物の除去性に差異が認められること、十分な洗浄効果を得ようとするには、個々の薬剤による重ね洗浄処理が必要となること等の処理効率が悪いという課題があった。
また、特公平4‐70928号公報に見られるような空気または気泡にふれたために濾過能力の低下したポリスルホンからなる限外濾過膜にアルコールまたはその水溶液を充填し、続いてそのアルコールまたはその水溶液を排出し、従来公知の洗浄方法にて洗浄し、続いて水で濯ぐ方法が記載されており、その実施例ではアルコール(30%濃度)での洗浄後水で濯ぐ前に、次亜塩素酸ナトリウム(200ppmの有効塩素濃度)で洗浄する方法が記載されている。
しかしながら、上記方法でも、充分満足しうる洗浄効果が得られなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、かかる課題の改良策について鋭意検討した結果、次亜塩素酸塩と炭素数1〜3のアルコールを特定の割合、具体的には次亜塩素酸塩を、それが溶解しうる範囲内でアルコールと併用することで、次亜塩素酸塩またはアルコールを単独、または両者を連続して使用した場合より、洗浄処理効率を大幅に向上し得ることを意外にも見出すことで本発明をなすにいたった。
かくして本発明によれば、分離膜を洗浄する際に、少なくとも炭素数1〜3のアルコールを含有する次亜塩素酸塩の水溶液、または前記アルコールもしくはその水溶液と次亜塩素酸塩の水溶液を同時に、有効塩素を1〜2000ppm、前記アルコールを1容量%以上で次亜塩素酸塩を水中で透明状態で存在させうる量以下の範囲で存在するように使用することを特徴とする分離膜の洗浄方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明により再生しうる分離膜は、分離膜単独、分離膜を組み込んだモジュールでもよく、更に、モジュールが装着された装置でもよい。
本発明により再生しうる分離膜は、具体的には、用途でいえば、半導体および精密機器の部品洗浄水の製造用膜、病院および製薬工業での無菌水並びにパイロジェンフリー水の製造用膜、海水淡水化処理用膜(汚濁除去用、脱塩処理用)、飲料用水の除菌および微粒子除去用膜、食品の細菌除去等精製用膜、薬品の分離精製用膜、気体精製用フィルター等が挙げられる。また、分離方法でいえば、精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜、逆浸透濾過膜および透析膜等が挙げられる。分離膜の形態は、特に限定されず、平板型、管型、スパイラル型、中空糸型等が挙げられる。
また、分離膜の材質は、上記用途によって異なるが、例えばセルロースエステル、ポリエチレン、ポリ弗化エチレン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、ポリアクリルニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、紙等の有機物、セラミック、金属等の無機物が挙げられる。
【0009】
本発明の適用対象となる分離膜は、使用により膜の保有する細孔が分離物、微生物に由来する汚れ、その他異物の付着により閉塞されたもの、あるいは膜面上に上記付着物の層が形成されたことによって透過流速低下等の分離特性の低下を生起したものである。本発明の方法は、付着物が有機物を主体としたものである場合特に有用である。
【0010】
本発明の方法は、上記分離膜の内、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン系材料よりなる分離膜、例えば人工透析装置のエンドトキシンカットフィルター(ETCF)として多用されている中空糸型限外濾過膜、あるいは最近、逆浸透膜法での海水淡水化に供される海水の前処理用に使用され始めたスパイラル型限外濾過膜等に対して、特に良好な洗浄効果を発揮する。この理由は明確でないが該分離膜の洗浄過程において、成分として含有するアルコールを適宜調整することにより、該分離膜に軽度の膨潤を生起せしめ、次の水洗工程にてその膨潤状態を洗浄前状態に回復させることが可能であり、この膨潤/膨潤回復過程が洗浄効果をより高いものにする作用として寄与していると考えられる。
また、本発明の方法は、精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜等の洗浄薬剤成分の膜透過を可能とする細孔径を有する分離膜に対しても特に有効である。この理由としては、細孔周りの付着物がより効率的に除去されるためと考えられる。
【0011】
本発明にて使用する次亜塩素酸塩には、100gの水に1g以上溶解しうる程度の水溶性の次亜塩素酸塩が使用でき、具体的には次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、さらし粉あるいはさらし液の有効成分をなす次亜塩素酸カルシウム等が挙げられる。この内、次亜塩素酸ナトリウムが最も一般的に使用できる。この次亜塩素酸塩としては、高濃度の水溶液(例えば、次亜塩素酸ナトリウムの場合、有効塩素として、16質量%、12質量%、6質量%、3質量%等の市販品を使用できる)を使用することができる。この水溶液には、安定剤として水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属の水酸化物を含んでいてもよい。
【0012】
なお、次亜塩素酸塩は、酸化剤として知られており、本発明の方法においては、次亜塩素酸イオンに由来する酸化作用が付着物の除去に寄与していると考えられる。この観点から、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩等の塩素酸系酸化剤、二酸化塩素を水で処理したもの(すなわち、次亜塩素酸水溶液)等の塩素系酸化剤でも付着物の除去が可能と考えられる。
【0013】
炭素数1〜3のアルコールとは、メタノール、エタノール、プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、エチレングリコール、プロピレングリコール等の水溶性アルコールおよびそれらの混合物が使用できる。なお、炭素数4以上のアルコールは水溶性が十分でなく、本発明の使用目的には不適当である。これらの中では、エタノールとイソプロパノ−ルが最も好都合に使用できる。アルコールとしては、市販のアルコールや、それを水で薄めた水溶液を使用することができる。
【0014】
本発明の洗浄方法では、洗浄時に、次亜塩素酸塩を1〜2000ppm(有効塩素として、以下同じ)、アルコールを1容量%以上、次亜塩素酸塩を水中で透明状態で存在させうる量以下の範囲で含む処理液を使用する。この処理液は、次亜塩素酸塩及びアルコールを、予め上記範囲の濃度になるように、混合しておいてもよく、洗浄時に高濃度の次亜塩素酸塩の水溶液と、アルコール又はアルコール水溶液とを、上記範囲の濃度になるように混合してもよい。
【0015】
次亜塩素酸塩が1ppmより少ない、アルコールが1容量%より少ない場合、洗浄効果自身が不充分な場合が多いこと、また次亜塩素酸塩が2000ppmより多い場合、その含有量の増加に見合う洗浄効果の向上は少なく、不経済である場合が多いので好ましくない。
上記範囲の内、次亜塩素酸塩は、5〜600ppmの範囲で含まれることがより好ましく、アルコールは、5容量%以上含まれることがより好ましい。
また、本発明の洗浄方法では、その洗浄効果を最良に発揮させるために、次亜塩素酸塩をアルコールの存在下において透明溶解状態で存在させることが必要である。従って、そのような状態となるように次亜塩素酸塩、アルコールおよび水の比率を適宜調整することが必要である。例えば、常温(25℃)での次亜塩素酸ナトリウム、イソプロパノールおよび水の混合系を例に配合条件を例示する。
【0016】
まず、次亜塩素酸ナトリウム600ppm(有効塩素として)を透明溶解状態に保持し得る処理液中のイソプロパノール含有限界比率は約50容量%以下である。同様に次亜塩素酸ナトリウム300ppmを含有させた場合は約60容量%以下、150ppmを含有させた場合は約70容量%以下、50ppm含有させた場合は約85容量%以下、1ppm含有させた場合は約95容量%以下である。逆に1000ppm含有させた場合は約47容量%以下、1500ppm含有させた場合は約45容量%以下、2000ppm含有させた場合は約40容量%以下である。
【0017】
それぞれの系におけるイソプロパノール含有限界比率を超えてイソプロパノールを含有させると処理液は白濁し、次亜塩素酸ナトリウムの析出、層分離を生起し、両者混合による相乗的に向上した洗浄効果が発揮されず不都合である。
また、本発明の洗浄方法において、更に洗浄効果を高めるために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ、トリポリ燐酸ナトリウム等の水溶性縮合燐酸塩系の解膠剤、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のアミノカルボン酸塩、クエン酸ナトリウム等ヒドロキシカルボン酸塩等の水溶性の金属キレート剤、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩のようなアニオン界面活性剤を次亜塩素酸塩の水溶液に含有させることができる。
【0018】
また、本発明の洗浄方法は、分離膜の材質に対応して、次亜塩素酸塩、アルコールおよびその他の成分の配合組成を適宜調整することが好ましい。例えば、芳香族ポリアミド系分離膜のように次亜塩素酸塩への耐性(耐塩素性)が十分でない分離膜の場合、次亜塩素酸塩の量を減らすことが好ましく、またセルロースエステルのように高pH耐性が十分でない分離膜の場合、洗浄時のpHを適宜低下させることが好ましい。このような調整により、分離膜物性への悪影響を抑制することができる。
【0019】
本発明の分離膜の洗浄方法は、上記次亜塩素酸塩とアルコールとの処理液に接触または処理液を透過させることができさえすれば得に限定されない。
具体的方法としては、一般的には付着物が多く付着する分離膜外面のみ上記処理液を流動させる方法、循環流動させる方法(汚れ面洗浄)、分離膜内面より外面に向け上記処理液を透過させる方法(一般的には逆洗浄)等が挙げられる。なお、分離膜内面から外面への上記処理液の透過、逆洗浄時における洗浄排液の循環透過は、洗浄により剥離した汚れを再度分離膜の細孔に付着させることになるため好ましくない。また、逆洗浄方式にて上記処理液を膜透過させる場合、その分離膜の実使用圧より高い透過圧で上記処理液を一時的に透過させる工程を入れることも洗浄効果を高めるために有効である。
【0020】
一般的な洗浄に必要な時間は、分離膜の汚れ状態によっても異なるが、数分〜数時間である。
上記処理液による洗浄に次いで、通常においては水による洗浄(水洗)が実施される。この水洗では、残存する汚れと、付着する次亜塩素酸塩およびアルコールとが除去できる。基本的な水洗操作は、上記処理液による洗浄と同様な方法で実施することができる。また、水洗時に、適当な薬剤残留試験を実施し、薬剤残留が基準値以下となったことを確認することが好ましい。水洗に使用される水は、特に限定されないが、分離膜の用途に応じて、水道水、精製水(純水、イオン交換水、逆浸透膜濾過水等)を使用することができる。
【0021】
なお、水洗に際し、分離膜内部に存在する次亜塩素酸塩およびアルコールとの除去を効率的に行うために、膜内でのそれらの拡散速度を考慮した水洗水の流速の調整、分離膜物性への悪影響ない範囲での水洗水温の上昇、残留薬剤の化学的分解処理(例えば還元剤処理)を実施することも有効である。
なお、本発明では、上記洗浄方法に好適に使用できる洗浄剤組成物も提供することができる。洗浄剤組成物は、次亜塩素酸塩を有効塩素の濃度として5〜600ppm、アルコールを5容量%以上で次亜塩素酸塩を水中で透明状態で存在させうる量以下の範囲で含むことが好ましい。
【0022】
【実施例】
以下に、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
実験1:中空糸型限外濾過膜の洗浄効果検討−1
1)実験条件
▲1▼処理液:下記薬剤を、表1に示した割合で処理液として使用した。
次亜塩素酸塩…次亜塩素酸塩ナトリウム(NaClO)、有効塩素6%水溶液
アルコール…イソプロピルアルコール(IPA)、99.9%品
トリポリ燐酸ナトリウム(STPP)…有効成分1%水溶液
エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA・4Na)…有効成分1%水溶液
水…逆浸透膜濾過水(RO水)
なお、表1の次亜塩素酸ナトリウムの組成において、左側の数値は6%水溶液の見かけ容量比を意味し、右側の()内の数値は、6%(有効塩素)と見かけ容量比を積算した有効塩素含有量(ppm)を意味する。
【0023】
▲2▼分離膜:人工透析装置のエンドトキシンカットフィルター(透析用水処理用)として同じ装置で使用されたMOLSEP FF03−FL−FUS1041(ダイセン・メンブレン・システムズ社製ポリエーテルスルホン中空糸限外濾過膜カートリッジモジュール、中空糸内径=0.5mm、分画分子量=10万、有効膜面積=2.3mm2、透過法=外圧透過方式のもの)で、中空糸外面に同程度の汚れ付着(灰褐色)が認められるカートリッジを選定し使用した。
【0024】
▲3▼洗浄法:汚れ付着の多い中空糸外面に接液できるように、上記分離膜カートリッジの供給水側室に別途調製した25℃の処理液(表1に記載)をカートリッジ当り400ml充填し、カートリッジ本体を上下回転転倒する方式の処理液の攪拌(1回転/分)を60分間実施して中空糸膜外面の洗浄を行った。
【0025】
▲4▼洗浄効果評価法:洗浄処理後に処理液を抜き取り、その濁り(着色)状態、および分離膜の汚れ付着状態を下記のような其準で肉眼判定する方法にて洗浄効果を評価した。
a)処理液の状態からの評価基準
(濁り少、洗浄効果少)X<△<○<◎(濁り極めて多い、洗浄効果大)
b)分離膜外観からの評価基準
(汚れ付着多い、洗浄前)X<△<○<◎(汚れ付着極めて少ない、白色)
2)実施結果:表1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】
<結果要点>
NaClOとIPAを併用した実施例1の洗浄効果は、各々単独の薬剤を使用した比較例2および3と比較し、明らかに優れた洗浄効果を発揮した。また、IPA比率を本発明の範囲外に増加した比較例1においては、処理液の白濁と経時による白濁物の層分離(沈殿)の発生が認められた。
実施例1の処方にSTPPおよびEDTA・4Naを添加した処方(実施例2)は、実施例1に勝るとも劣らない洗浄効果を発揮した。
【0028】
(実施例3〜4、比較例4〜5)
実験2:中空糸型限外濾過膜の洗浄効果検討−2
1)実験条件
▲1▼処理液:使用薬剤として、実験1にて使用したものの他、アルコールとしてエタノール(EtOH)98%品、水酸化ナトリウム(NaOH)1%水溶液を使用し、表2に示した処理液として使用した。
▲2▼分離膜:MOLSEP FF03−FL−FUS1041(人工透析装置のエンドトキシンカットフィルターとして外圧透過方式にて使用され、有機物を主体とした付着物により透過流量の低下したもの)
【0029】
▲3▼洗浄方法:25℃の各処理液10リットルを0.02MPaの圧力で逆洗方式(中空糸内→外)にて膜透過させる薬剤洗浄を実施し、次いで25℃のRO水を逆洗方式にて50リットル、順洗方式(中空糸外→内)にて80リットルを膜透過させる水洗を実施した。
▲4▼特性評価法:透過流量比の測定…25℃のRO水を順流にて膜間差圧(ΔP)=0.1MPaで透過させた場合の透過流量(リットル/h)と未使用モジュールの同条件透過流量(1315リットル/h)との比(%)を測定した。
2)実験結果:表2に示した。
【0030】
【表2】
【0031】
<結果要点>
各種処理液での逆洗浄(フラッシング)による透過流量回復性を評価した本実験結果においても、本発明の処理液(実施例3および4)は、比較例4および5に比べ明らかに優れた透過流量回復効果を発揮した。
【0032】
(実施例5および比較例6と7)
実験3:スパイラル型限外濾過膜の洗浄効果検討
1)実験条件
▲1▼処理液:表3に示した処理液を使用した。
▲2▼分離膜:逆浸透膜法海水淡水化処理の海水の前処理濾過用に使用され、透過流量が低下した日東電工株式会社製スパイラル型限外濾過膜モジュール「RS35−S8」(有効膜面積=40m2、膜材質=ポリスルホン、分画分子量=2万)を使用した。
なお、実験に供したRS35−S8は未使用膜モジュール比63〜68%程度に透過流量が低下したものである。
【0033】
▲3▼洗浄方法:25℃の処理液100リットルを逆洗方式、流速100リットル/h、透過時膜間差圧0.05MPaにて膜透過させる洗浄を実施し、次いで25℃のRO水を逆洗方式で200リットル、順洗方式で200リットルの膜透過させる水洗を実施した。
▲4▼特性評価法:各洗浄膜モジュールの洗浄前後の透過流量(膜間差圧0.05MPaでの25℃RO水の透過流量リットル/h)を測定し、同条件での未使用膜モジュールの透過流量(1350リットル/h)との比(%)を算出した。
2)実験結果:表3に示した
【0034】
【表3】
【0035】
<結果要点>
スパイラル型限外濾過膜モジュールの再生洗浄実験においても、本発明法に基づく実施例5は、比較例6および7に比べ優れた透過流量回復効果を発揮した。
【0036】
【発明の効果】
本発明の分離膜の洗浄方法により得られる効果の特徴点は以下のように集約できるといえる。
▲1▼従来、洗浄剤として公知である次亜塩素酸塩とアルコールとを特定の割合で使用することで、それぞれを個別に使用した場合より優れた洗浄効果が得られる。
▲2▼優れた洗浄効果が得られることにより、下記のような利点が生じる。
・目標とする清浄化状態を得るための必要洗浄時間を短縮できる。
・洗浄化レベルの高度化ができる。
・使用洗浄量の低減ができることになる。
・性能低下した分離膜再生のための洗浄頻度を低減できる。
・従来、再使用が不可能であった分離膜のリサイクル使用性が高まる。
これらの特長点は、最終的には再生洗浄に要する処理コストの低減および省資源化に寄与することになり、極めた実用的利用価値の高い技術であるといえる。
Claims (8)
- 分離膜を洗浄する際に、少なくとも炭素数1〜3のアルコールを含有する次亜塩素酸塩の水溶液、または前記アルコールもしくはその水溶液と次亜塩素酸塩の水溶液を同時に、有効塩素を1〜2000ppm、前記アルコールを1容量%以上で次亜塩素酸塩を水中で透明状態で存在させうる量以下の範囲で存在するように使用することを特徴とする分離膜の洗浄方法。
- 有効塩素を5〜600ppmの範囲で存在するように使用する請求項1に記載の方法。
- 次亜塩素酸塩が、次亜塩素酸ナトリウムである請求項1または2に記載の方法。
- 次亜塩素酸塩の水溶液が、苛性アルカリ、解膠剤およびキレート剤を1つ以上更に含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
- 解膠剤が水溶性の縮合燐酸塩であり、キレート剤が水溶性のアミノカルボン酸塩である請求項4に記載の方法。
- 分離膜が、ポリスルホンまたはポリエーテルスルホンからなる膜である請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
- 分離膜が、ナノ濾過膜、限外濾過膜または精密濾過膜である請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
- アルコールおよび次亜塩素酸塩を使用した後、分離膜に水を接触または透過させる請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
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