JP4574125B2 - コーティング剤及び同コーティング剤を塗付してなる建材 - Google Patents

コーティング剤及び同コーティング剤を塗付してなる建材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーティング剤及び同コーティング剤を塗付してなる建材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
優れた光触媒機能を発揮させるためには、基材上の全面に緻密な酸化チタンのコーティング膜を成膜化する必要がある。
【0003】
光触媒としての酸化チタンを含有し、常温下での表面コートを可能とするコーティング剤としては、従来より様々なものが提供されている。
【0004】
その形態としては、粉体の酸化チタンを水溶性化させたものに有機のエマルジョン樹脂等を定着剤として配合して、酸化チタンの定着性や密着度を高めて施工しやすくしたもの、また、無機バインダーに粉体の酸化チタンを混合したもの、さらに、酸化チタンの化学結合のみで定着する中性無機で低濃度の酸化チタンゾルタイプのもの等がある。
【0005】
酸化チタンの化学結合のみで定着する中性無機の酸化チタンゾルタイプのコーティング剤は基材を選ばず、触媒の反応効率や塗布性や仕上がり時の透明感と質感に優れていることから現在主流となりつつある。
【0006】
その例として、常温では光触媒活性を起こさないアモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液と常温で光触媒活性を起こすアナターゼ型酸化チタンの分散液のペルオキソ改質アナターゼゾルの混合タイプがある。
【0007】
それは、ペルオキソ改質アナターゼゾルのみでは、結晶化されているため結合力がなく、定着にはアモルファス型過酸化チタンの化学結合力が必要なためである。
【0008】
しかし、アモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液の結合には時間を要し、また、結合力を持たないアナターゼ型酸化チタンのペルオキソ改質アナターゼゾルにペルオキソチタン酸水溶液を混合した酸化チタンゾルでは、結合にさらに時間を要し結合力自体も弱くなる。
【0009】
そのため、ペルオキソチタン酸水溶液とペルオキソ改質アナターゼゾルを混合したコーティング剤では、実際に常温施工した場合に、コーティング剤の定着に時間がかかり、また、密着度も弱く膜硬度も上がらないため、屋外環境下では十分な施工品質を確保するのに困難な面が多々あった。
【0010】
特に、低温下ではさらに定着しづらくなり、現実的には施工に困難を要した。
【0011】
通常、光触媒酸化チタンを有機物の基材上にコーティングする施工方法としては、酸化チタンが活性時に基材の有機物を侵したり、また、基材から剥離してしまうため、基材と光触媒酸化チタンの間にスペーサーとして無機層を形成し、酸化チタン層とで二層にすることが必要となってくる。
【0012】
かかるスペーサー用アンダーコート剤としては、無機質でかつ酸化チタンとの相性がよく、しかも、常温下では不活性のアモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液が使用できる。
【0013】
酸化チタンを用いたコーティング剤を改良したものとして、無機の珪酸リチウムを混合したコーティング剤がある。このコーティング剤は、モル比(SiO2/Li2O)が3.5となる珪酸リチウム(リチウムシリケート35)をバインダーとして使用し、それに酸化チタンの粉体と水とを直接混合してスラリー化させたものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0014】
また、珪酸リチウムを用いて製造された酸化チタンコーティング剤がある。このコーティング剤は、アモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液及びペルオキソチタン酸水溶液とアナターゼ型酸化チタンのペルオキソ改質アナターゼゾルとを混合したコーティング剤に、モル比(SiO2/Li2O)が3.5となる珪酸リチウムのみが組合わされたものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0015】
さらに、珪酸リチウムを用いて製造された他の酸化チタンコーティング剤として、ペルオキソ改質アナターゼゾル及びペルオキソチタン酸水溶液とペルオキソ改質アナターゼゾルとを混合したコーティング剤に、モル比(SiO2/Li2O)が3.5となる珪酸リチウム(リチウムシリケート35)と有機のアクリル共重合樹脂とが組合わされたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0016】
【特許文献1】
特開平10−237354号公報
【0017】
【特許文献2】
特願平9−259495号公報
【0018】
【特許文献3】
特願2000−182912号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、有機定着剤を配合したコーティング剤の場合には、紫外線や酸性雨の影響で有機分が劣化し、また、光触媒活性時に酸化チタンが塗膜内の有機分を分解し、これにより酸化チタンの密着度が経時的に低下して塗膜の劣化や剥離となってしまい、施工品質を長期間に渡って維持することができなかった。
【0020】
さらに、低温化では、コーティング剤に有機定着剤を配合した場合でも定着性が大幅に低下してしまい、やはり施工に困難を要した。
【0021】
また、無機バインダーに粉体の酸化チタンを混合したコーティング剤においては、塗膜形成の過程でバインダー内に酸化チタンが埋没してしまう分が多く、その分、光触媒活性効率の低下につながり、屋外においては汚れ付着の原因となる油分の分解能力に欠けてしまい、防汚機能を十分発揮できず市場の評価も低かった。
【0022】
また、アモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液でスペーサー用アンダーコート層を形成し、ぺオキソ改質アナターゼゾルとペルオキソチタン酸水溶液を混合した酸化チタンゾルとの二層コートを行った場合、焼付けが不可能な現実の屋外環境下では、膜硬度が上がらず密着度も弱いままのため、表面を指で触れた程度でも酸化チタンが基材から剥離してしまい、塗膜の劣化が経時的に進行して、またさらに、清掃メンテナンス時には膜剥離の症状も起こし、施工品質を長期間に渡って維持することができなかった。
【0023】
また、特許文献1に開示されたコーティング剤は、モル比(SiO2/Li2O)が3.5となる珪酸リチウム(リチウムシリケート35)をバインダーとして使用し、それに酸化チタンの粉体と水とを直接混合してスラリー化させているため、酸化チタンが分散した状態で安定することがなく、酸化チタンが沈殿してしまう傾向があり、均一な塗膜を形成することが困難であって、使い勝手が悪いものであった。
【0024】
しかも、上記コーティング剤は、紛体の酸化チタンの含有量が20重量%以上にもなることから、塗膜の透明性に欠けており、コーティング面が白濁してしまい、外観や意匠性を損なうものであった。
【0025】
さらに、上記コーティング剤は、基材の内部にまで浸透させないとコーティング面がザラつき、また、定着性も低いため、基材としてコーティング剤が内部にまで浸透するものでなければならず、汎用性も低いものであった。
【0026】
また、上記コーティング剤は、定着に常温下で12時間以上も要しており、施工性が悪いものであった。
【0027】
さらに、特許文献2に開示されたコーティング剤は、アモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液とアナターゼ型酸化チタンのペルオキソ改質アナターゼゾル混合液に、珪酸リチウムのみが添加されたものである。
【0028】
このコーティング剤は、アナターゼ型酸化チタンの含有比率を大幅に少なくし基材を侵しにくいように光触媒活性を抑えて、有機物上に一層コートを目的としたものである。
【0029】
確かに定着性、密着度、膜硬度には優れるが、光触媒活性化がほとんど発現しないため、酸化分解作用による有機物分解、抗菌、消臭等の十分な機能は望めず、現実には汎用性は低いものであった。
【0030】
さらに、特許文献3に開示されたコーティング剤は、モル比が3.5となる珪酸リチウム(リチウムシリケート35)と有機のアクリル共重合樹脂が混合されている。
【0031】
そのため、形成された塗膜は完全な無機塗膜とはならず、塗膜内の有機樹脂分がいずれ光触媒活性により分解され、さらに紫外線による劣化も生じることから、徐々に塗膜の変色や膜劣化の症状を起こし、実際の施工ではやはり耐久性に問題が残るものであった。
【0032】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決すべく、請求項1に係る本発明では、アナターゼ型酸化チタンの分散液であるペルオキソ改質アナターゼゾルを主成分とし、結合硬化剤としてモル比(Si0 2 /Li 2 O)7.5の珪酸リチウムを0.56重量%〜1.04重量%添加し、分散媒としてエタノールをコーティング剤全容量に対してアルコール濃度が15vol%〜25vol%となるように添加することとした。
【0036】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載のコーティング剤を基材の表面に塗布することとした。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明に係るコーティング剤は、アナターゼ型酸化チタンのペルオキソ改質アナターゼゾルを主成分としたものである。
【0038】
アナターゼ型酸化チタンのペルオキソ改質アナターゼゾル(PAゾル)は、具体的には四塩化チタンにアンモニア水を滴下し水酸化チタンを沈殿させた後、過酸化水素水を添加して得られるアモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液(PTA水溶液)を加熱することによって得られる。
【0039】
かかるペルオキソ改質アナターゼゾルのみを主成分としたコーティング剤は、塗膜における光触媒活性を起こすアナターゼ型酸化チタンの割合を高く保てるため、基材に塗布した時に光触媒を良好に活性させることができ、しかも、仕上がり感の良好なコーティング剤とすることができるものである。
【0040】
また、上記コーティング剤は、チタン含有量が1.75重量%以下の低濃度になるようにしている。
【0041】
これは、コーティング剤のチタン含有量が1.75重量%以上になると、コーティング剤の分散性が経時的に低下して沈殿化傾向を見せるため、その場合基材への塗布ムラが考えられ、基材に塗布した場合の仕上がり感も低下する虞があるからである。
【0042】
また、チタン含有量を1.75重量%以下にすることによって、分散媒による分散も良好に維持され、基材への塗布が容易なものとなり、しかも、基材に塗布した場合の仕上がり感を良好なものとすることができる。
【0043】
上記コーティング剤は、酸化チタン結晶の結合硬化剤として珪酸化合物を添加してもよく、その場合には、基材への定着性を早め密着度や膜硬度を向上させることができる。
【0044】
その珪酸化合物としては、無機の珪酸ソーダ、珪酸カリ、珪酸リチウムが有効であり、特に、モル比7.5の珪酸リチウムが望ましい。
【0045】
また、上記コーティング剤は、分散媒としてアルコールを添加してもよく、その場合には、基材に塗布したときの膜密度を向上させて成膜性を高め、仕上がり感も向上させることができる。
【0046】
分散媒としてのアルコールは、エタノール、イソプロパノールが有効である。
【0047】
そして、上記コーティング剤は、基材に塗布することによって、耐候性に優れた高活性、高硬度、高品位の完全無機塗膜を形成することができ、屋外で使用される種々の建材や既存の建造物に光触媒機能を付与することができる汎用性を有している。
【0048】
また、塗膜は一般の速乾性塗料と同等の定着性を有することから、気象条件によらず年間を通じていつでも施工を容易に行うことができ、しかも、厳しい屋外環境下でも長期間にわたって高い光触媒活性を維持することができるので、光触媒施工の高品質化及び高効率化を図ることができる。
【0049】
特に、コーティング剤としては、ペルオキソ改質アナターゼゾルのみを主成分とし、酸化チタン結晶の結合硬化剤としてモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加し、分散媒としてコーティング剤の全容量中のアルコール濃度が15〜25vol%になるようにエタノールを混合したものが最も優れた性能を発揮する。
【0050】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0051】
(実施例1)
アナターゼ型酸化チタン分散液のペルオキソ改質アナターゼゾル(PAゾル)は、具体的には、四塩化チタンにアンモニア水を滴下し水酸化チタンを沈殿させた後、過酸化水素水を添加して得られるアモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液(PTA水溶液)を加熱することによって得られる。
【0052】
かかるペルオキソ改質アナターゼゾルのみを成分とし、チタン含有量を0.85重量%に調製したコーティング剤を基材に塗布し、活性度と仕上がり感を確認した。
【0053】
尚、基材として10cm角のタイルを用い、塗布方法として二層コート方式を採用し、スペーサー用アンダーコート剤としてペルオキソチタン酸水溶液を塗布した上に、50cc/m2の塗布量で塗布し常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。
【0054】
活性度は紫外線照射装置を用いて予めコーティング面に紫外線を照射(1mw/cm2)しておき、その上に蒸留水で10mg/リットル(無水重量基準)に希釈した試験液メチレンブルーを塗布し、乾燥後に紫外線を再び照射(1mw/cm2)し、その際の褐色反応で、光触媒製品技術協議会の基準に従い、1時間後に目視でメチレンブルーの着色の有無で確認した。
【0055】
また、仕上がり感は基材との差異を目視とルーペで確認した。
【0056】
ペルオキソ改質アナターゼゾルのみで形成された塗膜の場合、塗膜のすべてが光触媒活性を起こすことから、わずか30分程度でメチレンブルーは褐色し、優れた光触媒活性が確認された。
【0057】
また、仕上がり感も光彩現象が抑えられているため光沢感はやや落ちるが、基材と同等の質感で良好であることが確認された。
【0058】
特に、チタン含有量が1.75重量%以下の低濃度のペルオキソ改質アナターゼゾルから製造した場合には、分散媒による分散が良好に行われ、基材への塗布も容易であることが確認された。
【0059】
ただし、ペルオキソ改質アナターゼゾルはアナターゼ型酸化チタンに結晶化されていることから結合力を持たず、形成された塗膜は定着性や基材への密着度が低いままで、また膜硬度も上がらないため、現実にコーティング剤としては実用に値しないことがわかった。
【0060】
(実施例2)
前記実施例1のコーティング剤に、酸化チタン結晶の結合硬化を目的として珪酸化合物を添加した。
【0061】
珪酸化合物は、無機の珪酸ソーダ、珪酸カリ、珪酸リチウムを用いた。
【0062】
そして、珪酸ソーダは、無水珪酸(SiO2)の含有量が24%で、無水珪酸と酸化ナトリウム(Na2O)とのモル比(SiO2/Na2O)が3.8の日本化学工業製珪酸ソーダ4号を使用した。
【0063】
また、珪酸カリは、無水珪酸(SiO2)含有量が20%で、無水珪酸と酸化カリとのモル比(SiO2/K20)が3.5の日本化学工業製2K珪酸カリを使用した。
【0064】
また、珪酸リチウムは、無水珪酸(SiO2)の含有量が20%で、無水珪酸と酸化リチウムとのモル比(SiO2/Li20)が3.5の日産化学製リチウムシリケート35及び無水珪酸(SiO2)含有量が20%で、無水珪酸とリチウムのモル比(SiO2/Li20)が7.5の日産化学製リチウムシリケート75を使用した。
【0065】
そして、コーティング剤の酸化チタン含有量と同量の珪酸化合物をコーティング剤に混入したものを製造し、それぞれの基材に塗布して、それぞれの定着性、密着度、膜硬度、活性度、仕上がり感を比較した。
【0066】
尚、前記実施例1と同様に、基材として10cm角のタイルを用い、塗布方法として二層コート方式を採用し、スペーサー用アンダーコート剤としてペルオキソチタン酸水溶液を塗布した上に、50cc/m2の塗布量で塗布し常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。
【0067】
すなわち、以下の5種類について比較した。
(対象例1)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルとを3:7の割合で混合した。
(比較例1)
チタン含有量0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルに、チタン含有量0.85重量%と同量の珪酸ソーダを添加した。
(比較例2)
チタン含有量0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルに、チタン含有量0.85重量%と同量の珪酸カリを添加した。
(比較例3)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルに、チタン含有量0.85重量%と同量のモル比3.5の珪酸リチウムを添加した。
(比較例4)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルに、チタン含有量0.85重量%と同量のモル比7.5の珪酸リチウムを添加した。
【0068】
上記5種類のコーティング剤について比較した結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
Figure 0004574125
ここで、定着性は、20℃の屋内で塗膜を指触しても、基材の表面から酸化チタンが取れなくなるまでに要する時間で評価しており、速硬性を有するものを〇、24時間以内に取れなくなったものを△、24時間以上要しても定着しなかったものを×で表している。
【0070】
また、密着度は、塗布して24時間経過した後に、粘着テープによる引き剥がし試験(JISXカットテープ法)で評価しており、ルーペによる目視で塗膜を観察し、塗膜に変化が見られないものを〇、少しでも膜破断が生じているものを×で表している。
【0071】
また、膜硬度は、塗布後24時間経過した後に、鉛筆引っかき試験(JIS手かき法)で評価しており、鉛筆硬度で5H以上のものを〇、2〜4Hのものを△、2H以下のものを×で表している。
【0072】
また、活性度は、紫外線照射装置を用いて予めコーティング面に紫外線を照射(1mw/cm2)しておき、その上に蒸留水で10mg/リットル(無水重量基準)に希釈した試験液メチレンブルーを塗布し、乾燥後に紫外線を再び照射(1mw/cm2)し、その際の退色反応で評価しており、光触媒製品技術協議会の基準に従い、1時間後に目視でメチレンブルーの着色が認められないものを〇、1時間以上経過しても着色が認められるものを×で表している。
【0073】
また、仕上がり感は、対象例1を基準として、目視と指触とにより評価しており、対象例1と同等のものを〇、対象例1よりも劣るが仕上がり上問題とはならないものを△、対象例1よりも劣り仕上がり上問題となるものを×で表した。
【0074】
上記5種類のコーティング剤について比較したところ、定着性については、対象例1では24時間経過しても指触程度で傷が付くことが認められたが、比較例1〜比較例4の定着性は、一般の速乾性塗料と同等の定着性を有していることが認められた。
【0075】
また、密着度については、対象例1では塗膜が剥離することが認められ、比較例3でも塗膜の一部が剥離することが認められた。
【0076】
比較例3については、結合硬化剤が酸化チタン結晶を共有結合させて定着性を高めるが、その反面膜自体を脆くしてしまうことがわかった。
【0077】
比較例1、2、4では、全く塗膜は剥離しないことが認められた。
【0078】
また、膜硬度については、対象例1では鉛筆硬度が1H以下であることが認められたが、比較例1〜比較例4では鉛筆硬度が5H以上の硬い塗膜が形成されていることが認められた。
【0079】
また、活性度については、対象例1では1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められ、また、比較例4でも1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、対象例1と同等に光触媒の活性化が行われていることが認められたが、比較例1〜比較例3では1時間経過した後でもメチレンブルーの退色変化がほとんど見られず、光触媒活性化が結合硬化剤によって大きく損なわれていることが認められた。
【0080】
また、仕上がり感については、比較例1〜比較例3では塗膜に斑が生じてざらつくことが認められた。
【0081】
これは、比較例1〜3の結合硬化剤では、酸化チタンとの共有結合の状態が、コーティング膜の仕上がりの質感に影響を及ぼしてしまうと認められた。
【0082】
比較例4では、ムラはやや生じるもののざらつきは見られず、総じて対象例1の仕上がり感よりは劣るものの、実用上は問題ないものであると認められた。
【0083】
以上のことから、上記5種類のコーティング剤を比較すると、比較例4が速硬性を有し、活性度も維持され、高密着度で高硬度の塗膜を形成することができるものであると認められた。
【0084】
すなわち、コーティング剤における酸化チタン結晶の結合硬化剤としては、モル比7.5の珪酸リチウムが適していることがわかった。
【0085】
(実施例3)
次に、コーティング剤に添加するモル比7.5の珪酸リチウムの添加量を変えたものを製造し、それぞれを基材に塗布して、それぞれの定着性、密着度、膜硬度、活性度、仕上がり感を比較した。
【0086】
尚、前記実施例1と同様に、基材として10cm角のタイルを用い、塗布方法として二層コート方式を採用し、スペーサー用アンダーコート剤として、ペルオキソチタン酸水溶液を塗布した上に、50cc/m2の塗布量で塗布し常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。
【0087】
また、珪酸リチウムは、無水珪酸(SiO2)含有量が20%で、無水珪酸とリチウム(Li20)とのモル比(SiO2/Li20)が7.5のものを使用した。
【0088】
すなわち、以下の5種類について比較した。
(対象例1)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルとを3:7の割合で混合した。
(比較例5)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルに、モル比7.5の珪酸リチウムを1%(0.26重量%)添加した。
(比較例6)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルに、モル比7.5の珪酸リチウムを2%(0.52重量%)添加した。
(比較例7)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルに、モル比7.5の珪酸リチウムを3%(0.78重量%)添加した。
(比較例8)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルに、モル比7.5の珪酸リチウムを4%(1.04重量%)添加した。
【0089】
上記5種類のコーティング剤について比較した結果を表2に示す。
【0090】
【表2】
Figure 0004574125
上記5種類のコーティング剤について比較したところ、定着性については、対象例1では24時間経過しても指触程度で表面に傷が付くことが認められ、比較例5においても24時間経過しても指触程度で表面に傷が付くことが認められた。比較例5は、酸化チタン含有量に対し珪酸リチウムの含有比率が少ないため、酸化チタン結晶を結合硬化させられないことによると考える。
【0091】
比較例6では指触で傷が付かなくなるまでに約2時間要することが認められたが、比較例7と比較例8の定着性は、一般の速乾性塗料と同等の定着性を有していることが認められた。
【0092】
また、密着度については、対象例1と対象例5では塗膜が剥離することが認められたが、比較例6〜比較例8では全く塗膜が剥離しないことが認められた。
【0093】
また、膜硬度については、対象例1と対象例5では鉛筆硬度が1H以下であることが認められ、比較例6では鉛筆硬度が3H程度であると認められたが、比較例7と比較例8では鉛筆硬度が5H以上の硬い塗膜が形成されていることが認められた。
【0094】
また、活性度については、対象例1では1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められ、また、比較例5〜比較例8でも1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、対象例1と同等に光触媒の活性化が良好に行われていることが認められた。
【0095】
但し、珪酸リチウムの添加量に比例して活性度がやや低下していくことが認められた。
【0096】
これは、塗膜内における不活性分の割合が多くなっていることに起因するものと考えられる。
【0097】
また、仕上がり感については、比較例5〜比較例8ではややムラが見られるが、対象例1の仕上がり感よりは劣るものの実用上は問題がないものであると認められた。
【0098】
また、珪酸リチウムの添加量に比例して塗膜の斑が大きくなる傾向が認められた。
【0099】
以上のことから、上記5種類のコーティング剤を比較すると、比較例6〜比較例8はコーティング剤としての機能は十分に発揮でき、その中でも最も比較例7が定着性や活性度や仕上がり感のバランス上良好であることが認められた。
【0100】
すなわち、コーティング剤における酸化チタン結晶の結合硬化剤として添加するモル比7.5の珪酸リチウムの添加量は、2%(0.56重量%)〜4%(1.04重量%)の範囲が好ましいことがわかり、これ以上の添加は実用上必要ないと云える。
【0101】
尚、これをコーティング剤のチタン含有量に対する珪酸リチウムの含有比率で表すと、0.61〜1.22の範囲となる。
【0102】
(実施例4)
次に、コーティング剤に、ムラの解消と膜密度を高めて成膜性を向上させるため、分散媒としてアルコール添加における珪酸リチウムとの相性を探った。
【0103】
コーティング剤に混合するためのアルコールの濃度を変えたアルコール水溶液を製造し、それぞれの状態を観察した。
【0104】
尚、アルコールとしては、エタノール、イソプロパノールを用いた。
【0105】
すなわち、以下の2種類について種々の濃度で状態を観察した。
(対象例9)
イオン交換樹脂精製水で種々の濃度に希釈したエタノール水溶液にモル比7.5の珪酸リチウムを4%添加した。
【0106】
尚、この場合のアルコール水溶液の全容量中のアルコール濃度は20vol%〜80vol%となるようにした。
(比較例10)
イオン交換樹脂精製水で種々の濃度に希釈したイソプロパノール水溶液にモル比7.5の珪酸リチウムを4%添加した。
【0107】
尚、この場合のアルコール水溶液の全容量中のアルコール濃度は20vol%〜80vol%となるようにした。
【0108】
上記のアルコール水溶液について、珪酸リチウムの状態を観察した結果を表3に示す。
【0109】
【表3】
Figure 0004574125
上記アルコール水溶液について観察したところ、比較例9、比較例10ともにアルコール水溶液濃度を30vol%以下にすると、珪酸リチウムが凝集せずに、分散して安定した状態を保持し、これにより、珪酸リチウムの本来の機能が損なわれず酸化チタン結晶の結合硬化剤としての機能も損なわれないことが認められた。
【0110】
すなわち、コーティング剤の分散媒として混合するエタノールやイソプロパノールは、珪酸リチウムを凝集させないためには、コーティング剤全容量に対してアルコール濃度が30vol%以下となる様配合することが好ましいことがわかる。
【0111】
(実施例5)
次に、コーティング剤全容量に対してアルコール濃度が30vol%以下になるものを種々製造し、それぞれの基材に塗布して、それぞれの分散性を比較した。
【0112】
尚、基材として10cm角のタイルを用い、塗布方法として二層コート方式を採用し、スペーサー用アンダーコート剤としてペルオキソチタン酸水溶液を塗布した上に、50cc/m2の塗布量で塗布し常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。また、アルコールとしては、エタノールを用いた。
【0113】
すなわち、以下の5種類についてそれぞれの状態を観察した。
(比較例11)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分60vol%水溶液を混合して、チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルを製造し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。
【0114】
尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は30vol%となる。
(比較例12)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分50vol%水溶液を混合して、チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルを製造し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。
【0115】
尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は25vol%となる。
(比較例13)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分40vol%水溶液を混合して、チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルを製造し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。
【0116】
尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は20vol%となる。
(比較例14)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分30vol%水溶液を混合して、チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルを製造し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。
【0117】
尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は15vol%となる。
(比較例15)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分20vol%水溶液を混合して、チタン含有量が0.85重量%のペルオキソチ改質アナターゼゾルを製造し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。
【0118】
尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は10vol%となる。
【0119】
上記5種類のコーティング剤について比較した結果を表4に示す。
【0120】
【表4】
Figure 0004574125
ここでは、分散性は、塗膜をルーペによる目視で観察することによって評価しており、斑が見られないものを〇、若干斑が見られるものを△、斑が見られるものを×で表している。
【0121】
上記5種類のコーティング剤で比較したところ、比較例11〜比較例14では全く斑が見られず緻密な膜濃度で成膜していることが認められたが、比較例15では僅かに斑が見られることが認められた。
【0122】
すなわち、コーティング剤の分散媒として混合するアルコール量は、コーティング剤全容量に対してアルコール濃度が15vol%〜30vol%となるように混合することが好ましいとわかる。
【0123】
尚、酸化チタンの結合硬化剤としての珪酸リチウムの分散安定性を考慮すると、コーティング剤の分散媒として混合するアルコール量は、コーティング剤全容量に対してアルコール濃度が15vol%〜25vol%となるように混合することが好ましい。
【0124】
(実施例6)
次に、エタノール分50vol%水溶液を混合して、チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルとペルオキソチタン酸水溶液を製造し、それぞれ混合比を違えたコーティング剤に、結合硬化剤としてモル比7.5の珪酸リチウムを3%(0.78重量%)添加したものを基材に塗布して、それぞれの定着性、膜密度、活性度、仕上がり感、及び耐久性の違いを促進耐候性試験で確認した。
【0125】
尚、基材として10cm角のタイルを用い、塗布方法として二層コート方式を採用し、スペーサー用アンダーコート剤としてペルオキソチタン酸水溶液を塗布した上に、50cc/m2の塗布量で塗布し、常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。
【0126】
すなわち、以下の5種類について確認した。
(対象例1)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルとを3:7の割合で混合した。
(比較例16)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分50vol%水溶液を混合して製造した、チタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とペルオキソ改質アナターゼゾルとを3:7の割合で混合し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。
【0127】
尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は25vol%となる。
(比較例17)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分50vol%水溶液を混合して製造した、チタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とペルオキソ改質アナターゼゾルとを2:8の割合で混合し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。
【0128】
尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は25vol%となる。
(比較例18)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分50vol%水溶液を混合して製造した、チタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とペルオキソ改質アナターゼゾルとを1:9の割合で混合し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。
【0129】
尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は25vol%となる。
(比較例19)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分50vol%水溶液を混合して製造したチタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルのみに、モル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。
【0130】
尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は25vol%となる。
【0131】
上記5種類について確認した結果を表5及び表6に示す。
【0132】
【表5】
Figure 0004574125
【0133】
【表6】
Figure 0004574125
ここで、耐久性は、サンシャインウェザーメーターによる促進耐候性試験を延べ2000時間行うことで評価しており、ルーペによる目視と指触とで塗膜の表面に変化が見られないものを〇、塗膜が剥離したりチョーキング現象が見られるものを×で表している。
【0134】
上記5種類のコーティング剤で比較したところ、定着性については、対象例1では24時間経過しても指触程度で表面に傷が付くことが認められたが、比較例16〜比較例19の定着性は、一般の速乾性塗料と同等の定着性を有していることが認められた。
【0135】
また、密着度については、対象例1では塗膜が剥離することが認められたが、比較例16〜比較例19では全く塗膜が剥離しないことが認められた。
【0136】
また、膜硬度については、対象例1では鉛筆硬度が1H以下であることが認められたが、比較例16〜比較例19では鉛筆硬度が5H以上の硬い塗膜が形成されていることが認められた。
【0137】
また、活性度については、対象例1では30分弱でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められ、また、比較例16〜比較例19でも1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められた。
【0138】
但し、同じ1時間内でもコーティング剤中におけるペルオキソ改質アナターゼゾルの比率が高くなる程、活性度は明らかに向上し対象例1の活性度に近づくことが認められた。
【0139】
また、仕上がり感については、比較例16〜比較例19では対象例1と同等の仕上がり感となることが認められた。
【0140】
但し、ペルオキソ改質アナターゼゾルの混合割合が増えるにつれ、塗膜の光沢が若干ではあるが減ることが認められた。
【0141】
また、耐久性については、比較例16〜比較例19では塗膜の表面に変化が生じないことが認められた。
【0142】
以上のことから、比較例19が本来の対象例1の光触媒活性に最も近く、最も優れた性能を発揮することが確認され、仕上がり感においても問題ないことがわかった。
【0143】
すなわち、コーティング剤のトータルの性能としては、ペルオキソ改質アナターゼゾルのみに、結合硬化剤としてモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加し、分散媒としてコーティング剤の全容量中のアルコール濃度が15〜25vol%になるようにエタノールを混合したものが優れた性能を発揮することがわかった。
【0144】
尚、これをコーティング剤のチタン含有量に対する珪酸リチウムの含有比率で表すと、0.91となる。
【0145】
(実施例7)
次に、エタノール分50vol%水溶液を混合して製造した、チタン含有量が0.85重量%のペルオキソ改質アナターゼゾルのコーティング剤に、結合硬化剤としてモル比7.5の珪酸リチウムを3%(0.78重量%)添加したものを製造し、それを種々の基材に塗布して、それぞれについて暴露試験による耐久性(密着性維持、膜硬度維持、活性維持、仕上がり面維持)について確認した。
【0146】
尚、基材としては、屋外用建材であるタイル、ガラス、水性塗料(アクリル樹脂)塗装鋼板、ラッカー塗装鋼板、ポリウレタン塗装鋼板,ALCコンクリート塗装板・耐火外壁サイディングを用い、必要に応じてプライマー処理し、スペーサー用アンダーコート剤としてペルオキソチタン酸水溶液を塗布した上に、50cc/m2の塗布量で塗布し、常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。
【0147】
上記コーティング剤について確認した結果を表7に示す。
【0148】
【表7】
Figure 0004574125
暴露試験における塗膜の耐久性として、基材への密着性維持、膜硬度維持、活性維持、仕上がり面維持の各項目について確認を行った。
【0149】
ここでは、密着度維持は、屋外で放置した試料を1年間で3ヶ月ごとに、その密着性を評価しており、変化が見られないものを〇、変化が見られるものを×で表している。
【0150】
また、膜硬度維持は、屋外で放置した試料を1年間で3ヶ月ごとに、その膜硬度を評価しており、変化が見られないものを〇、変化が見られるものを×で表している。
【0151】
また、活性維持は、屋外で放置した試料を1年間で3ヶ月ごとに、その活性を評価しており、変化が見られないものを〇、変化が見られるものを×で表している。
【0152】
また、仕上がり面維持は、屋外で放置した試料を1年間で3ヶ月ごとに、その仕上がり感を評価しており、変化が見られないものを〇、変化が見られるものを×で表している。
【0153】
上記のコーティング剤について確認したところ、暴露試験による塗膜の耐久性(密着性維持、膜硬度維持、活性維持、仕上がり面維持)について、全ての試料において良好な結果が得られることが確認された。
【0154】
また、親水性機能による防汚効果も十分認められた。
【0155】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0156】
すなわち、本発明では、アナターゼ型酸化チタンの分散液であるペルオキソ改質アナターゼゾルを主成分とすることにしたので、塗膜内のアナターゼ型酸化チタンのシェアを高く保って基材に塗布した時光触媒を良好に活性化させることができ、しかも、仕上り感の良好なコーティング剤とすることができる。
【0157】
また、本発明では、結合硬化剤としてモル比(Si0 2 /Li 2 O)7.5の珪酸リチウムを0.56重量%〜1.04重量%添加しているために、定着性や活性度や仕上り感が良好である。
【0158】
また、本発明では、分散媒としてエタノールをコーティング剤全容量に対してアルコール濃度が15vol%〜25vol%となるように添加しているために、珪酸リチウムが凝集せずに分散して安定した状態を保持し、珪酸リチウムの結合硬化剤としての機能が損なわれず、また、全く斑が見られない。
【0160】
また、本発明では、上記コーティング剤を基材の表面に塗布するようにしたので、基材の表面において光触媒を良好に活性化させることができる。しかも、コーティング剤の塗膜の仕上がり感が良好であり、基材を美しく仕上げることができる。

Claims (2)

  1. アナターゼ型酸化チタンの分散液であるペルオキソ改質アナターゼゾルを主成分とし、結合硬化剤としてモル比(Si0 2 /Li 2 O)7.5の珪酸リチウムを0.56重量%〜1.04重量%添加し、分散媒としてエタノールをコーティング剤全容量に対してアルコール濃度が15vol%〜25vol%となるように添加したことを特徴とするコーティング剤。
  2. 請求項1に記載のコーティング剤を基材の表面に塗布してなることを特徴とする建材。
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