JP2016102218A - コーティング材 - Google Patents

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洋史 黒田
めぐみ 山口
Megumi Yamaguchi
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Abstract

【課題】本発明は、優れた遮熱性を示すとともに、透明性を有するコーティング材を提供する。【解決手段】本発明のコーティング材は、バインダーと有彩色の干渉色を示す2種以上の金属酸化物被覆粒子を含み、該コーティング材から得られるコーティング膜が、該金属酸化物被覆粒子の組み合わせによる加法混色により、高明度の干渉色を呈することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、新規なコーティング材に関するものである。
従来より、遮熱性を有する顔料として、酸化チタン、アルミナ等の白色顔料が用いられている。このような白色顔料は、赤外光領域で一定の反射性能を示すものである。
しかし、白色顔料は、一般に隠蔽力が高い。そのため、白色顔料を用いて形成された塗膜は、下地の色彩等に関係なく、ほぼ白のみの単調な塗膜となってしまう場合が多い。
これに対し、例えば特許文献1には、反射率の高い着色顔料で構成することにより、熱反射性を有する塗料を得ている。このような塗料では、白のみの単調な色調だけでなく、様々な色彩の付与が可能であることが記載されている。
しかし、特許文献1の技術で得られる塗膜は、白色顔料系の遮熱材料に比べ、遮熱効果に優れた材料を得ることが困難である。
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、赤外光領域での反射性能に優れ、温度上昇抑制効果を発揮するとともに、透明性を有し、下地の模様や色調等を活かすことで、様々な色彩の付与が可能なコーティング材を得ることを目的とするものである。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、有彩色の干渉色を示す金属酸化物被覆粒子を2種以上組み合わせることにより、遮熱性と透明性を兼ね備えたコーティング材が得られることに想到した。すなわち、このような材料をコーティング材料として用いることにより、優れた遮熱性を示すとともに、下地の模様や色調等を活かした意匠設計が可能であることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下のコーティング材に関するものである。
1.バインダーと金属酸化物被覆粒子を含むコーティング材であり、
該バインダーが、アクリル成分及びシリコン成分を含み、アクリル成分とシリコン成分の重量比率は100:10〜100:90であり、
該金属酸化物被覆粒子が、有彩色の干渉色を示す2種以上の金属酸化物被覆粒子を含み、
該コーティング材から得られるコーティング膜が、該金属酸化物被覆粒子の組み合わせによる加法混色により、高明度の干渉色を呈することを特徴とするコーティング材。
2.該シリコン成分が、シリカであることを特徴とする1.に記載のコーティング材。
3.該バインダーが、アクリル樹脂エマルション及びシリカを含むことを特徴とする1.または2.に記載のコーティング材。
4.上記シリカが、粒子径1〜200nmであることを特徴とする2.または3.のいずれかに記載のコーティング材。
5.該アクリル樹脂エマルションが、水酸基または加水分解性シリル基を有することを特徴とする3.または4.に記載のコーティング材。
6.該金属酸化物被覆粒子の有彩色の組み合わせが、赤、緑及び青、若しくは、シアン、マゼンタ及び黄の3種の組み合わせから選ばれることを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載のコーティング材。
本発明によれば、優れた遮熱性を示すとともに、透明性を有するコーティング材料を得ることができる。本発明のコーティング材料を用いることにより、下地の模様や色調等を活かした意匠設計が可能となる。
特開2005−90042号公報
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明のコーティング材は、バインダーと金属酸化物被覆粒子を含み、金属酸化物被覆粒子としては、有彩色の干渉色を示す2種以上の金属酸化物被覆粒子を含むものである。
本発明で用いる金属酸化物被覆粒子は、基体粒子の表層を金属酸化物で被覆したものであり、金属酸化物被覆層表面及び基体粒子表面で反射した光の干渉作用により有彩色を発現できるものであり、赤外線反射効果にも優れたものである。このような金属酸化物被覆粒子は、公知の方法に従って製造することができる。
基体粒子としては、透明性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、雲母、ガラス、セリサイト、タルク、カオリン、スメクタイト、合成マイカ、合成セリサイト、シリカ、酸化アルミニウム、窒化硼素等が挙げられ、これらのうち1種以上を用いることができる。本発明では、特に、雲母、ガラス、合成マイカが好適に用いられる。
基体粒子の形状としては、針状、球状、鱗片状等が挙げられるが、鱗片状の形状が好ましく用いられる。基体粒子の大きさ(短径及び長径)は、0.1μm以上1mm以下(好ましくは1μm以上500μm以下)の範囲内で適宜設定すればよい。
このような基体粒子の表層に被覆する金属酸化物としては、高屈折率のものであれば特に限定されないが、例えば、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化クロム、酸化ニッケル等が挙げられる。この中でも、二酸化チタンが好適である。
金属酸化物被覆層の厚みは、発現する有彩色によって、適宜設定すればよく、概ね50nm以上200nm以下程度である。
金属酸化物被覆粒子の形状としては、針状、球状、鱗片状等が挙げられるが、この中でも鱗片状の形状が好ましい。
金属酸化物被覆粒子が鱗片状の場合、その大きさ(短径及び長径)は、通常0.1μm以上1mm以下(好ましくは1μm以上500μm以下、より好ましくは2μm以上200μm以下、さらに好ましくは5μm以上100μm以下)程度であり、その厚みは、通常0.01μm以上5μm以下(好ましくは0.05μm以上1μm以下)程度であるものが好ましい。
なお、上記金属酸化物被覆粒子の大きさ、厚みは、走査型電子顕微鏡の観察によって測定することができる。
このような金属酸化物被覆粒子は、基本的に透明性を有するものであるが、金属酸化物被覆層表面での反射光と基体粒子表面での反射光との光路差に基づく干渉作用により、有彩色を発現できるものである。
有彩色の色相は、例えば、金属酸化物被覆層の厚さ等によってコントロールすることができる。例えば、金属酸化物被覆層の厚さが90nm〜110nm程度であれば赤色系、110nm〜120nm程度であればマゼンダ(紫)系、120nm〜135nm程度であれば青色系、135nm〜155nm程度であれば緑色系等の反射光を得ることができる。
本発明では、有彩色の干渉色を示す金属酸化物被覆粒子を、2種以上混合して用いることを特徴とする。2種以上を混合することによって、それぞれの金属酸化物被覆粒子からの反射光が重なりあい、加法混色により、高明度の干渉色を得ることができる。
なお、「高明度」とは、明度が相対的に低い金属酸化物被覆粒子に対し、他の金属酸化物被覆粒子を混合した場合、混合前の明度に比べ、混合後の明度が高くなる状態を意味する。
本発明では、このような高明度化によって、遮熱性と透明性を兼ね備えたコーティング材を得ることができる。特に、無彩色の色相になるように、有彩色の金属酸化物被覆粒子を組み合わせることにより、本発明の効果をいっそう高めることができる。
有彩色の組み合わせとしては、マゼンダ(紫)、青、シアン(水色)、緑、黄、橙、及び赤等から選ばれる2種以上が挙げられる。本発明では、特に、マゼンダ(紫)と緑、青と黄、シアン(水色)と赤等の補色関係にある2種の組み合わせ、または、赤、緑及び青、若しくは、シアン、マゼンタ及び黄といった3種の組み合わせ等が、より無彩色の色相になるため好ましい。
また、金属酸化物被覆粒子は、透明性にも優れ、酸化チタン等の白色顔料よりも隠蔽力が高くなく、塗膜劣化の原因にもなりにくい。さらに、本発明の金属酸化物被覆粒子は、可視光領域において、ほとんど光を吸収せず、反射しなかった光は、ほぼ透過する性質を有する。
そのため、2種以上の金属酸化物被覆粒子が存在すると、たとえ金属酸化物被覆粒子どうしが重なっていたとしても、それぞれの金属酸化物被覆粒子の作用によって、反射強度を高めることができる。
有彩色の干渉色を示す金属酸化物被覆粒子が、1種のみの場合は、干渉色による有彩色の色相が現れてしまい、下地の模様や色調等が阻害されやすくなる。また、遮熱性能にも劣る場合がある。
白色(シルバー)の金属酸化物被覆粒子は、隠蔽力が高く、下地の模様や色調をうまく活かすことができない。また、十分な遮熱性能が得られ難い。
一方、通常の着色顔料を2種以上用いた場合は、減法混色により、黒っぽく、暗い色相になってしまい、下地の模様や色調が隠蔽されてしまう。
通常の着色顔料は、可視光領域において、吸収される波長と吸収されない波長が存在し、吸収されなかった波長が反射されて、それに応じた色相が見えるというものである。例えば青色顔料では、可視光領域において、青色を示す波長以外は顔料により吸収され、吸収されなかった青色を示す波長が反射され、青色に見えるというものである。
このような着色顔料を2種以上用いた場合は、減法混色により、黒っぽく、暗い色相になってしまう。これは、それぞれの着色顔料に存在する吸収波長領域と反射波長領域のうち、いずれか一つの着色顔料に吸収波長領域が存在すると、その領域では波長が吸収されてしまうため、反射波長領域・反射強度が小さくなってしまうからである。例えば、赤色顔料と緑色顔料を混合した場合、いわゆる補色関係にある色のため、赤色顔料は赤色を示す波長以外は吸収され、緑色顔料は緑色を示す波長以外は吸収されるため、可視光領域のほぼ全域に亘って光が吸収されてしまい、黒っぽく、暗い色相になってしまう。
本発明のコーティング材におけるバインダーとしては、結合材として作用し、透明性を有する被膜が形成可能なものであれば、特に限定されず使用することができる。このようなバインダーとしては、例えば合成樹脂エマルション、水溶性樹脂、溶剤型樹脂、無溶剤型樹脂、粉末樹脂等が挙げられる。このうち、本発明では、合成樹脂エマルション及び/または水溶性樹脂が好適であり、特に合成樹脂エマルションを含む態様が好適である。合成樹脂エマルションとしては、平均粒子径が30〜500nm(さらには50〜300nm)であるものが好適である。
使用可能な樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。
本発明におけるバインダーとしては、特に、アクリル成分とシリコン成分を含むバインダーが好適である。アクリル成分とシリコン成分の重量比率は、固形分換算で100:10〜100:90であることが好ましく、より好ましくは100:20〜100:70である。このようなバインダーを使用すれば、2種以上の樹脂の屈折率の違い等により、本発明の効果を高めることが可能となる。
アクリル成分としては、各種アクリルモノマーを重合、あるいは、各種アクリルモノマーとその他のモノマーを共重合することにより得ることができる。
アクリルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸
N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルニトリル等が挙げられる。
シリコン成分としては、シリカ、シリコーン等が挙げられ、中でもシリカが好適である。
このようなシリカは、例えば、珪酸ソーダ、珪酸リチウム、珪酸カリウム、シリケート化合物を原料として製造することができる。このうち、シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等、あるいはこれらの縮合物等が挙げられる。製造時には触媒等を使用することもできる。また、製造過程ないし製造後に、触媒等に含まれる金属をイオン交換処理等によって除去することもできる。シリカの粒子径は、通常1〜200nm、好ましくは5〜100nm程度である。
本発明では、アクリル成分とシリコン成分を含むバインダーを用いることにより、遮熱性を高めることができる。その理由は明確ではないが、第一には、アクリル成分とシリコン成分の屈折率の相違により、その界面において光を反射する作用が発揮されること、第二には、被膜中にシリコン成分が規則的に配列することにより、反射波長領域が広域化されること、第三には、シリコン成分の存在下で被膜が形成されることにより、微細な空隙が形成され、熱伝導性が低下すること等が考えられる。さらに、金属酸化物被覆粒子を効率良く分散させる作用等も寄与しているものと考えられる。
また、本発明では、アクリル成分とシリコン成分を含むバインダーを用いることにより、コーティング膜の経時的な汚染を防ぎ、耐候性に優れ、汚染物質に起因する熱線吸収を抑制することもできる。
本発明におけるバインダーとしては、特に、アクリル樹脂エマルション及びシリカを含むものが好適である。このうち、アクリル樹脂エマルションとしては、シリカと反応可能なものが好適である。具体的には、シリカに存在するシラノール基と反応可能な、水酸基、加水分解性シリル基等(好ましくは、加水分解性シリル基)の官能基を有するエマルションであることが好ましい。このようなバインダーを用いることにより、本発明の効果をいっそう高めることができる。
バインダーと金属酸化物被覆粒子の混合比率は、特に限定されないが、バインダーの固形分100重量部に対し、金属酸化物被覆粒子の合計量で0.1重量部以上300重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5重量部以上200重量部以下、さらに好ましくは1.0重量部以上100重量部以下、最も好ましくは2.0重量部以上30重量部以下である。このよう混合比率であれば、遮熱性と透明性を兼ね備えたコーティング材が得られやすい。
本発明のコーティング材では、必要に応じ、上記成分の他に、各種添加剤を混合して用いてもよい。添加剤としては、例えば、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、繊維、撥水剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。また本発明の効果が著しく損われない範囲内において、着色顔料、体質顔料、骨材等を混合してもよい。本発明のコーティング材は、以上のような成分を常法により混合し、製造することができる。
本発明のコーティング材から得られるコーティング膜は、前述の通り、金属酸化物被覆粒子の組み合わせによる加法混色により、高明度の干渉色を呈するものである。コーティング膜の明度は、色彩色差計にて測定することができ、CIE1976L色空間におけるL値より評価することができる。すなわち、L値が高ければ明度が高く、低ければ明度が低いことになり、2種以上混合した時のL値と、1種のみ混合したときのL値を比較することにより、評価できる。
本発明では、L値が35以上90以下、さらには45以上80以下であることが好ましい。このような範囲であれば、遮熱性に優れ、下地の模様や色調等を活かすことができる。
コーティング膜の色相は、色彩色差計にて測定することができ、CIE1976L色空間におけるa値、b値より評価することができる。すなわち、a値とb値が0に近いほど、より無彩色の色相と評価できる。具体的には、2種以上混合したときのa値、b値と、1種のみ混合したときのa値、b値を比較することにより、評価できる。
本発明では特に、a値とb値が、{(a+(b1/2が、30以下、さらには20以下、さらには15以下であることが好ましい。
コーティング膜の透明性は、下地の模様や色調が見える程度であればよい。具体的に、コーティング膜の透明性は、色彩色差計にて隠蔽率を測定することにより評価することができる。測定は、JIS K 5600−4−1「塗料一般試験方法(隠ぺい力)」方法B(隠ぺい率試験紙)に準じて測定すればよい。本発明では、特に、隠蔽率が、60%以下、さらには50%以下であることが好ましい。
なお、コーティング膜の明度、色相、透明性は、いずれも、コーティング材を隠蔽率試験紙上に、乾燥膜厚が40μmとなるように塗付し、乾燥させたものを試験片として測定すればよい。このうち、明度、色相については、黒色の下地部分を対象に測定を行う。
本発明のコーティング材は、建築物や土木構造物、家電、車両等のコーティングに使用することができるものである。適用可能な基材としては、例えば、石膏ボード、合板、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板、ガラス板、ビニルシート、フィルム等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー、パテ等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたもの等であってもよい。
塗膜としては、特に限定されないが、つや有り塗料、つや消し塗料、また、JIS A 6909に規定される建築用仕上塗材及びこれらの類似材料、内外装用仕上塗材、左官用の各種石材調塗材、多彩模様塗材等から得られる塗膜が挙げられる。
本発明のコーティング材は、透明性を有するため、下地の模様や色調を活かせる意匠設計も可能である。また、透明な基材の上にコーティングすることによって透明性を有する遮熱性材料の設計も可能である。
本発明のコーティング材の塗装方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等が可能である。乾式建材を工場内で塗装する場合は、ロールコーター、フローコーター等によって塗装することも可能である。
本発明のコーティング材を塗装する際の塗付け量は、用途により適宜選択すればよいが、通常は0.02〜0.5kg/m程度である。本発明のコーティング材は、複数回重ね塗りすることもできる。また、塗付時には、水等で希釈することによって、粘性を適宜調整することもできる。本発明のコーティング材を塗装した後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、加熱することも可能である。
また、コーティング材の乾燥膜厚は、0.01mm〜0.3mm程度であればよい。
さらに、コーティング材を塗装した後、本発明の効果を損なわない程度に、塗料を塗装することもできる。
以下に実験例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(実施例1)
表1、2に示す配合に従い、常法により各原料を均一に混合してコーティング材を製造した。得られたコーティング材について、次の試験を行った。
(1)隠蔽性試験
隠蔽率試験紙の上に、作製したコーティング材を、フィルムアプリケータにて、乾燥膜厚が40μmとなるように塗付し、温度23℃、湿度50%RH下(以下「標準状態」ともいう。)で、48時間養生し、試験体を得た。
隠蔽率は、色彩色差計「CR−300」(ミノルタ株式会社製)を用いて、試験体における黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を測定することで算出した。評価は、次に示すとおりである。結果を表2に示す。
○:隠蔽率が50%未満
×:隠蔽率が50%以上
(2)遮熱性試験
スレート板(400mm×200mm×6mm)に対し、アクリル系塗料(グレー)をスプレーにて、塗付け量100g/mで塗装し、標準状態で8時間乾燥させた。その後、上記の方法によって得たコーティング材を刷毛にて、塗付け量100g/mで塗装し、標準状態で7日間乾燥させることにより試験体を作製した。
この試験体の塗膜に対し、赤外線ランプ(250W)を40cmの距離から照射し、照射1時間後の試験体裏面温度を接触式温度計を用いて測定した。評価は、ブランク(比較例10)を基準とし、温度が最も低いものをAとし、以下順に、A´、B、B´、C、C´、そして、ブランクとかわらないもの、あるいはブランクより温度が高くなったものをD、として行った。結果を表2に示す。
なお、隠蔽性試験で作製した試験体について、色彩色差計「CR−300」(ミノルタ株式会社製)を用いて試験体における黒地上塗膜の視感反射率を測定し、L値、a値、b値を算出したところ、L値:49.9、a値:1.1、b値:−11.3、{(a+(b1/2:11.4、であった。
Figure 2016102218
Figure 2016102218
(実施例2)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:50.3、a値:1.5、b値:−12.3、{(a+(b1/2:12.3、であった。
(実施例3)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:63.3、a値:1.0、b値:−10.7、{(a+(b1/2:10.7、であった。
(実施例4)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:51.9、a値:1.7、b値:−3.5、{(a+(b1/2:3.9、であった。
(実施例5)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:50.2、a値:−0.3、b値:−8.4、{(a+(b1/2:8.4、であった。
(実施例6)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:49.7、a値:1.4、b値:0.8、{(a+(b1/2:1.6、であった。
(実施例7)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:67.7、a値:0.5、b値:−10.0、{(a+(b1/2:10.0、であった。
(実施例8)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:67.9、a値:0.2、b値:−10.3、{(a+(b1/2:10.3、であった。
(実施例9)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:68.0、a値:0.1、b値:−10.4、{(a+(b1/2:10.4、であった。
(実施例10)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:68.1、a値:−0.2、b値:−9.5、{(a+(b1/2:9.5、であった。
(比較例1)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:44.8、a値:1.4、b値:−5.0、{(a+(b1/2:5.2、であった。
(比較例2)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:38.7、a値:−0.4、b値:−1.4、{(a+(b1/2:1.5、であった。
(比較例3)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:81.7、a値:−1.7、b値:−3.5、{(a+(b1/2:3.9、であった。
(比較例4)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:50.1、a値:−2.2、b値:−5.6、{(a+(b1/2:6.0、であった。
(比較例5)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:31.3、a値:21.3、b値:−17.4、{(a+(b1/2:27.5、であった。
(比較例6)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:31.3、a値:4.4、b値:−27.5、{(a+(b1/2:27.8、であった。
(比較例7)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:45.4、a値:−13.6、b値:0.3、{(a+(b1/2:13.6、であった。
(比較例8)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:48.7、a値:−2.5、b値:21.5、{(a+(b1/2:21.6、であった。
(比較例9)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:36.5、a値:15.6、b値:1.8、{(a+(b1/2:15.7、であった。
(比較例10)
表1、2に示す配合以外は、実施例1と同様の方法でコーティング材を製造し、また、実施例1と同様の試験を行った。結果は、表2に示す。
なお、L値、a値、b値は、L値:21.5、a値:0.2、b値:0.8、{(a+(b1/2:0.8、であった。

Claims (6)

  1. バインダーと金属酸化物被覆粒子を含むコーティング材であり、
    該バインダーが、アクリル成分及びシリコン成分を含み、アクリル成分とシリコン成分の重量比率は100:10〜100:90であり、
    該金属酸化物被覆粒子が、有彩色の干渉色を示す2種以上の金属酸化物被覆粒子を含み、
    該コーティング材から得られるコーティング膜が、該金属酸化物被覆粒子の組み合わせによる加法混色により、高明度の干渉色を呈することを特徴とするコーティング材。
  2. 該シリコン成分が、シリカであることを特徴とする請求項1に記載のコーティング材。
  3. 該バインダーが、アクリル樹脂エマルション及びシリカを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコーティング材。
  4. 上記シリカが、粒子径1〜200nmであることを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載のコーティング材。
  5. 該アクリル樹脂エマルションが、水酸基または加水分解性シリル基を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のコーティング材。
  6. 該金属酸化物被覆粒子の有彩色の組み合わせが、赤、緑及び青、若しくは、シアン、マゼンタ及び黄の3種の組み合わせから選ばれることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のコーティング材。

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