JP6423707B2 - 被覆材及び被膜形成方法 - Google Patents
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Description
これに対し、特許文献1や2では、被膜の拡散反射性を高めることで視認性を高め、被膜本来の美観性を発揮することが試みられている。
1.透明性被膜を形成する被覆材であって、
(A)結合材、
(B)平均粒子径が1μm以上1000μm以下の光輝性粉粒体、及び
(C)平均粒子径が上記(B)成分よりも小さい光拡散性微粒子
を含み、
該(B)成分が、
(b−1)粒子径が100μm以上1000μm以下の光輝性粉粒体と、
(b−2)粒子径が1μm以上100μm未満の光輝性粉粒体
を含み、
(A)成分の固形分100重量部に対し、(B)成分が5重量部以上100重量部以下
であることを特徴とする被覆材。
2.前記(C)成分として、中空樹脂粒子を含むことを特徴とする、1.に記載の被覆材。
3.前記(C)成分の平均粒子径が0.01μm以上1.0μm未満であることを特徴とする1.または2.に記載の被覆材。
4.装飾面に、前記1.〜3.のいずれかに記載の被覆材による被膜を形成することを特徴とする被膜形成方法。
(A)成分は、透明性を有するものであれば特に限定されず、例えば、合成樹脂エマルション、水溶性樹脂、溶剤型樹脂等を使用することができる。このうち、本発明では合成樹脂エマルションが好適である。
樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリルスチレン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、プロピオン酸ビニル樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、セルロールアセトブチレート樹脂、セルロースプロピオネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。このうち、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリルスチレン樹脂が、耐候性等の面から好適である。
尚、(B)成分の平均粒子径は、粒子を水平面に安定に静置させ、上から観察したときの長径の平均値である。
(B)成分の具体的としては、例えば天然マイカ、合成マイカ、アルミナフレーク、ガラスフレーク、シリカフレーク、ステンレスフレーク、ホログラム、金属蒸着フィルムの破砕品等が挙げられる。また、例えば金属酸化物被覆マイカ、金属酸化物被覆アルミナフレーク、金属酸化物被覆ガラスフレーク、金属酸化物被覆シリカフレーク等の金属酸化物被覆鱗片状粉粒体を使用することもできる。本発明では、(B)成分として、このような金属酸化物被覆鱗片状粉粒体を含むことが望ましい。これらの(B)成分は1種または2種以上で使用することができる。
本発明では、(B)成分として、
(b−1)粒子径が100μm以上1000μm以下(さらに好ましくは150μm以上800μm以下、最も好ましくは200μm以上600μm以下)の光輝性粉粒体(以下、「(b−1)成分」ともいう。)と、
(b−2)粒子径が1μm以上100μm未満(さらに好ましくは5μm以上80μm以下、最も好ましくは10μm以上60μm以下)の光輝性粉粒体(以下、「(b−2)成分」ともいう。)を含むことが好ましい。
このような(b−1)成分と(b−2)成分を併用すれば、本発明の効果をいっそう高めることができる。
被覆材中の(b−1)成分の含有比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、5重量部以上80重量部以下(より好ましくは10重量部以上50重量部以下、さらに好ましくは12重量部以上40重量部以下)が好ましい。
被覆材中の(b−2)成分の含有比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、5重量部以上80重量部以下(より好ましくは10重量部以上50重量部以下、さらに好ましくは12重量部以上40重量部以下)が好ましい。
合成樹脂微粒子を構成する樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリルスチレン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、プロピオン酸ビニル樹脂、ベオバ樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、セルロールアセトブチレート樹脂、セルロースプロピオネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
無機質微粒子としては、例えばガラスビーズ、セラミックビーズ、酸化チタン、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土、寒水石、陶土、チャイナクレー、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
また、本発明では、(C)成分が中空粒子または多孔質粒子を含むことが好ましい。これらは粒子中に空気層を有するため、空気と粒子界面の屈折率の違いによる拡散反射を生じる。従って、本発明の拡散反射性をよりいっそう高めることができ、形成被膜の透明性確保の点でも有利である。本発明では、特に(C)成分が中空樹脂粒子または多孔質樹脂粒子を含むことが好ましい。
尚、(C)成分における合成樹脂微粒子は、連続被膜を形成するほどの造膜性を有するものではなく、前記(A)成分とは別異の成分である。
尚、(C)成分の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される。
その詳細は定かではないが、本発明の(C)光拡散性微粒子は、(B)光輝性粉粒体よりも小さな粒子であるため、被膜中で光輝性粉粒体の間に入り込み、これらの相乗作用によって拡散反射効果をいっそう高めているものと考えられる。
被覆材中の着色顔料の混合比率は、被覆材全量に対し、5重量%以下(好ましくは3重量%以下)であればよい。
尚、隠蔽率は、隠蔽率試験紙の上に被覆材をフィルムアプリケータにて塗付厚が0.15mmとなるように被覆し、黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を色彩色差計を用いて測定することによって算出される値である。
尚、拡散反射率は、被覆材で被膜形成したスレート板について、分光測色計を用い、硫酸バリウムを標準とした550nmにおいて測定される値である。
装飾性被覆面としては、例えばエマルションペイント面、艶有りエマルションペイント面、合成樹脂エナメルペイント面、多彩模様被覆面、メタリック被覆面等の他、リシン仕上げ面、スタッコ仕上げ面、吹付けタイル仕上げ面、石材調仕上げ面等が挙げられる。装飾性基材としては、例えばコンクリート打ち放し面、陶磁器タイル面、意匠性サイディングボード、石材、木材、装飾性ガラス、金属性建材、れんが等が挙げられる。基材は、既に被膜が形成されているものであってもよい。
上記のとおり、本発明の被覆材は、透明性を有するとともに、優れた拡散反射性を有するため、これらの装飾面の美観性を高めることができる。
以下に示す材料を、表1〜3に示すように配合し、被覆材1〜27を製造した。
結合材1:アクリルシリコン樹脂エマルション(固形分50重量%)
結合材2:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)
光輝性粒子1:酸化チタン被覆マイカ(平均粒子径:3μm)
光輝性粒子2:酸化チタン被覆マイカ(平均粒子径:15μm)
光輝性粒子3:マイカ(平均粒子径:30μm)
光輝性粒子4:酸化チタン被覆マイカ(平均粒子径:80μm)
光輝性粒子5:マイカ(平均粒子径:150μm)
光輝性粒子6:マイカ(平均粒子径:300μm)
光輝性粒子7:アルミナフレーク(平均粒子径:400μm)
光輝性粒子8:マイカ(平均粒子径:650μm)
光輝性粒子9:マイカ(平均粒子径:1200μm)
光拡散性微粒子1:アクリルスチレン中空樹脂粒子(平均粒子径:0.05μm)
光拡散性微粒子2:アクリル中空樹脂粒子(平均粒子径:0.2μm)
光拡散性微粒子3:アクリルスチレン中空樹脂粒子(平均粒子径:0.5μm)
光拡散性微粒子4:アクリルスチレン中空樹脂粒子(平均粒子径:30μm)
光拡散性微粒子5:酸化チタン(平均粒子径0.5μm)
光拡散性微粒子6:ガラスビーズ(平均粒子径0.4μm)
添加剤:増粘剤、消泡剤、造膜助剤
まず、被覆材1〜27を、スレート板にスプレーにて塗付け量0.2kg/m2で被覆し、気温23℃、湿度50%RHにて乾燥させ、試験体の波長550nmでの拡散反射率を分光測色計(KONICA MINOLTA社製 CM-3700d)を用いて測定した。測定値が80%以上のものをA、70%以上80%未満のものをB、60%以上70%未満のものをC、50%以上60%未満のものをD、50%未満のものをEとして表1〜3に示す。
<透明性>
各試験体を目視し、透明性を評価した。
試験体を目視し、石材調仕上げ面がはっきりと視認できるものをA、視認できないものをEとして、A>B>C>D>Eの5段階で評価した。
<美観性>
各試験体を目視し、石材調仕上げ面の風合いを活かし、美観性が十分に高められているものをA、石材調仕上げ面の風合いが失われているものをEとして、A>B>C>D>Eの5段階で評価した。
Claims (4)
- 透明性被膜を形成する被覆材であって、
(A)結合材、
(B)平均粒子径が1μm以上1000μm以下の光輝性粉粒体、及び
(C)平均粒子径が上記(B)成分よりも小さい光拡散性微粒子
を含み、
該(B)成分が、
(b−1)粒子径が100μm以上1000μm以下の光輝性粉粒体と、
(b−2)粒子径が1μm以上100μm未満の光輝性粉粒体
を含み、
(A)成分の固形分100重量部に対し、(B)成分が5重量部以上100重量部以下
であることを特徴とする被覆材。 - 前記(C)成分として、中空樹脂粒子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の被覆材。
- 前記(C)成分の平均粒子径が0.01μm以上1.0μm未満であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の被覆材。
- 装飾面に、前記請求項1〜3のいずれかに記載の被覆材による被膜を形成することを特徴とする被膜形成方法。
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