JP2006126737A - 拡散反射板用コーティング剤及び拡散反射板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 拡散用樹脂微粒子が透明バインダー成分中に分散された拡散反射板用コーティング剤であって、前記拡散用樹脂微粒子の屈折率と、前記透明バインダー成分の屈折率との差が0.1以上である拡散反射板用コーティング剤。
【選択図】 なし
Description
例えば、特許文献1には、ガラス基板を化学的にエッチングすることにより粗面化したうえで金属膜を形成し、反射板表面に凹凸形状を付する技術が開示されている。
しかし、特許文献1に開示された技術では、ガラス基板の裏面をエッチング液から保護する必要がある等工程が煩雑になるばかりでなく、腐食性のエッチング液を用いる等装置上・プロセス上のコスト面で問題があった。
しかし、特許文献2に開示された技術では、屈折率の異なる領域がほぼ垂直に配列されているため、個々の領域を極端に微細化しないと実用的な拡散効果が得られず、入射光に対する拡散性が不充分になるという問題があった。
しかしながら、こうした無機微粒子は、粒子径分布が幅広いものや、形状が破砕面を有する又はアスペクト比が大きいものが多く、散乱特性が均一でないという問題があった。また、このような破砕面を有する粒子やアスペクト比の大きい粒子は、表面積が大きいためバインダー中への分散性が悪いといった問題もあった。
以下に本発明を詳述する。
本発明のコーティング剤において、上記拡散用樹脂微粒子の屈折率と上記透明バインダー成分の屈折率との差が0.1以上である。0.1未満であると、拡散用樹脂微粒子の表面における光の散乱が起こりにくく、充分な散乱性を有する拡散反射板を得ることができなくなる。好ましくは、0.15以上である。
このような中空粒子は、内部に屈折率が1の空気相を有することとなるため、容易に屈折率を低くする、又は、空気相自体を散乱相として利用することができる。
例えば、上記中空粒子の内部の空隙の大きさを100nm以下と小さいサイズに調整すると、空気相(空隙)による散乱は起こさずに拡散用樹脂微粒子全体の屈折率を低くする効果を与えることができる。一方、空隙の大きさを100nmを超える大きいサイズに調整すると、屈折率が1の空気相(空隙)を散乱相として用いることができる。
更に、空隙の大きさを100nm以下と小さいサイズに調整した場合、その空隙率により拡散用樹脂微粒子全体の屈折率を、空気の屈折率である1を超え、拡散用樹脂微粒子自体が有する屈折率未満の範囲内で任意に調整することが可能となる。このように屈折率を制御した拡散用樹脂微粒子を用いることで、本発明のコーティング剤を用いてなる拡散反射板自体の散乱性や出射光の角度範囲等も好適に制御可能となる。
上記被膜層を構成する材料としては特に限定されず、例えば、上述した拡散用樹脂微粒子を構成する成分と同様の樹脂や、SiO2、Al2O3、B2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、Ce2O3、P2O5、Sb2O3、MoO3、ZnO2、WO3等の無機酸化物等が挙げられる。これらの樹脂成分、無機酸化物は、それぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
で構造固定し内部に空隙を残す方法(特開平1−185311号公報参照)、種粒子を架橋剤を含む重合性モノマーと非重合性有機溶剤で膨潤した後、重合し内部に溶剤相当の空隙を残す方法(特開平6−248012号公報参照)、界面重合法により中空マイクロカプセルを作る方法等が挙げられる。
また、拡散用樹脂微粒子が後述するような中空粒子である場合、成膜条件がTg以上になると中空部分が収縮してしまう、あるいは、拡散用樹脂微粒子が異形化してしまうといった問題がある。
なお、本発明のコーティング剤において、上記透明バインダー成分のTgは、上記拡散用樹脂微粒子のTgよりも低いことが好ましい。透明バインダー成分のTgが拡散用樹脂微粒子のTgより低い方が、拡散反射膜を製膜する際に、透明バインダー成分が拡散用樹脂微粒子間の結着剤の役割を果たすことで充分な膜強度が期待できる。
本発明のコーティング剤では、上記拡散用樹脂微粒子は、上記範囲の平均粒子径を有するとともに、上述したような中空状であることが好ましい。このような微小な平均粒子径を有する中空状粒子を透明バインダー成分中に分散させることで、本発明のコーティング剤を用いてなる拡散反射板は、極めて前方散乱特性及び光反射特性に優れたものとなり、上記拡散反射板を用いて製造した反射型又は透過型液晶ディスプレイは、極めて表示品質に優れたものとなる。
拡散反射板の光の拡散効果自体は増加するものの、光透過率が低下し外光の利用効率が悪くなる場合がある。より好ましい下限は5体積%であり、より好ましい上限は30体積%である。
光散乱層を形成する方法等が挙げられる。
上記分散溶液を反射板上に塗布する方法としては、従来公知のコーティング法が挙げられる。
上記コーティング法としては、例えば、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等のウェットコーティング法等が挙げられる。これらのウェットコーティング法は、使用する透明バインダー成分及び拡散用樹脂微粒子の種類、及び、その組成等を考慮して適宜の方法が用いられる。
このような本発明のコーティング剤を用いてなる反射防止板もまた、本発明の1つである。
撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器に、極性溶媒としてイオン交換水388重量部、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム2重量部を添加して、攪拌を開始した。
極性溶媒中に重合用モノマー成分としてパーフルオロオクチルエチルメタクリレート80重量部、トリメチロールプロパンメタクリレート19重量部、及び、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1重量部を均一に溶解させた混合溶液を添加し、ローターステーター型ホモジナイザーで乳化し、平均粒径580nmの重合性液滴が分散した分散液を調製した。
撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、調製した分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始させた。4時間重合し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。スラリーを遠心分離にて洗浄・脱水し、その後真空乾燥により屈折率1.35の拡散用樹脂微粒子(A)を作製した。
エポキシプレポリマー成分としてエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)50重量部、非重合性有機溶剤として酢酸エチル40重量部、及び、ヘキサデカン10重量部からなる油相成分をエポキシ樹脂硬化成分としてジエチレントリアミン10重量部、水溶性乳化剤としてポリビニルアルコール2重量部を含有するイオン交換水378重量部に添加し、ローターステーター型ホモジナイザーにて乳化して、平均粒径620nmの重合性液滴が分散した分散液を調製した。
撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、調製した分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。スラリーを遠心分離にて洗浄・脱水し、その後真空乾燥により有機残分を除去し屈折率1.60のポリマーシェル層と屈折率1.00の空気層(空隙)とからなる中空状の拡散用樹脂微粒子(B)を作製した。なお、拡散用樹脂微粒子(B)は、内部に単一の空隙が形成されており、その大きさは530nmであった。
エポキシプレポリマー成分としてエピコート630(ジャパンエポキシレジン社製)70重量部、アミン成分として1,12−ドデカンメチレンジアミン30重量部からなる油相成分を、水溶性乳化剤としてポリビニルアルコール2重量部を含有するイオン交換水378重量部に添加し、ローターステーター型ホモジナイザーにて乳化して、平均粒径860nmの重合性液滴が分散した分散液を調製した。
撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内
を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、調製した分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。スラリーを遠心分離にて洗浄・脱水し、その後真空乾燥により有機残分を除去し屈折率1.61の拡散用樹脂微粒子(C)を得た。
拡散用微粒子(D)として平均粒子径850nmのアルミナ微粒子を用いた。
走査型電子顕微鏡にて粒子の形状を観察した。
透過型電子顕微鏡にて粒子の断面観察して内部構造を調べた。
レーザードップラー式粒度分布計(日機装社製、「MICROTRAC UPA150」)にて体積平均粒子径を測定した。
濾過後スラリーから任意に3カ所サンプリングし、3回測定して得られた平均値を用いた。
粒子合成において用いたモノマー組成から得られる透明ポリマーフィルムの屈折率を測定した。
ガス置換式密度計(島津製作所社製、アキュピック1330)にて内部空隙を含んだ粒子の見掛け比重を求め、真比重との差から空隙率を求めた。
透明バインダー成分としてポリメチルメタクリレート(屈折率1.49)20重量部、拡散用樹脂微粒子(A)10重量部を、トルエン70重量部に分散させてコーティング剤を調製し、このコーティング剤をガラス基板上アルミスパッタ鏡面反射板にスピンコーターを用いて塗布し、90℃で120分乾燥し、膜厚2μmの光散乱層が形成された拡散反射板を製造した。
拡散用樹脂微粒子(A)の代わりに拡散用樹脂微粒子(B)を用いた以外は、実施例1と同様にして拡散反射板を製造した。
拡散用樹脂微粒子(A)の代わりに拡散用樹脂微粒子(C)を用いた以外は、実施例1と同様にして拡散反射板を製造した。
拡散用樹脂微粒子(A)の代わりに拡散用微粒子(D)を用いた以外は、実施例1と同様
にして拡散反射板を製造した。
光散乱層を形成せず、ガラス基板上アルミスパッタ鏡面反射板そのものを用いた。
実施例1〜3及び比較例1、2で製造した拡散反射板について、以下の評価を行った。それぞれの結果を表2に示した。
ファイバー型光源(中央精機社製:SPH−100N)から出た光を、レンズにより平行光化し、測定すべき試料に照射する。試料は、光軸に対して照射面を入射角10〜30°となる方向に挿入する。試料により反射した光、及び、試料により散乱された光の強度を光センサー及び光パワーメーターで測定した。
散乱光の角度分布は光センサー部を、試料法線方向を中心として0〜90°まで光軸に対して水平に回転し測定した。
散乱強度の比較は、試料を入れないときの直進透過光強度をI0、試料によってある角度方向に散乱された光の強度をIとしたときに、下記式(1)で求められる散乱強度比IRを用いて行った。
IR=I/I0 (1)
製造した拡散反射板を顕微鏡にて観察し、拡散用樹脂微粒子等の凝集の有無を確認した。
製造した拡散反射板を、正反射位置近傍から目視にて観察し、下記の基準で判定した。
○:良好
△:おおむね良好
×:不良
Claims (4)
- 拡散用樹脂微粒子が透明バインダー成分中に分散された拡散反射板用コーティング剤であって、前記拡散用樹脂微粒子の屈折率と、前記透明バインダー成分の屈折率との差が0.1以上であることを特徴とする拡散反射板用コーティング剤。
- 拡散用樹脂微粒子のガラス転移温度が90℃以上あることを特徴とする請求項1記載の拡散反射板用コーティング剤。
- 拡散用樹脂微粒子は、中空粒子であることを特徴とする請求項1又は2記載の拡散反射板用コーティング剤。
- 請求項1、2又は3記載の拡散反射板用コーティング剤を用いてなることを特徴とする拡散反射板。
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