JP6108424B2 - 積層構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な積層構造体に関するものである。
近年、商業施設、集合住宅、戸建住宅等の建築物においては、高断熱化・高気密化によって、冷暖房費の節約を図り、省資源化を実現しようとする動きが盛んである。一般に、断熱設計を施していない建築物では、冬期の暖房時には屋根、床、窓、壁等の部位から屋内の熱が逃げ、夏期の冷房時にはこれら部位から屋外の熱が侵入してしまう。
このような熱損失を抑制し、建築物の省資源化を実現するには、屋内と屋外を隔てる上記各種部位の高断熱化が不可欠である。このような要望に対し、断熱性材料を設けた構造が種々提案されている。一例として、建築物の屋外側表面に、ポリスチレンフォームやフェノールフォーム等による断熱材を設置し、さらにその上に被覆材層を設けた構造が知られている(例えば特許文献1等)。
特開2005−155216号公報
しかしながら、このような積層構造で用いられる断熱材は、高温に晒されると変形、燃焼等が生じやすく、耐熱性は不十分である。自己消火性等が付与された断熱材を採用すれば、耐熱性の向上が期待されるが、条件によっては十分な耐熱性向上効果が得られ難い場合がある。
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたもので、断熱性を高めた建築物において、その耐熱性を高めることを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、建築物の屋内外を隔てる基材に対し、有機質発泡体からなる断熱材層と、特定の被覆材によって形成される被覆材層とを積層することに想到し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.建築物における積層構造体であって、
基材に対し、有機質発泡体からなる断熱材層が設けられ、当該断熱材層の表面側には被覆材層が設けられ、
前記被覆材層は、第1被覆材層と第2被覆材層を積層することによって形成されたものであり、
前記第1被覆材層が、樹脂成分、及び吸熱物質を含み、
前記第2被覆材層が、樹脂成分として、有機樹脂及び粒子径1〜200nmのシリカを含み、
前記第2被覆材層が最表面層であることを特徴とする積層構造体。
2.前記第2被覆材層が、吸熱物質を含むことを特徴とする1.に記載の積層構造体。
3.前記被覆材層は、複数色による模様、及び/または凹凸による模様を有するものである1.または2.に記載の積層構造体。
4.前記有機樹脂が、水酸基、加水分解性シリル基から選ばれる官能基を有するアクリル樹脂エマルションを含むものであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の積層構造体。
本発明の積層構造体では耐熱性を高めることができ、さらに美観性に優れた仕上外観が得られる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の積層構造体は、建築物の屋内外を隔てる部位に適用できる。特に、本発明の積層構造体は、建築物外壁面において好ましく適用できるものである。建築物外壁面に適用する場合は、外壁面を構成する基材に対し、屋外側へ向かって、断熱材層、被覆材層を順に積層する。
このうち基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、セメントボード、押出成形板、スレート板、PC板、ALC板、繊維強化セメント板、金属系サイディングボード、窯業系サイディングボード、セラミック板、珪酸カルシウム板、プラスチックボード、硬質木片セメント板、レンガ、タイル、等が用いられる。このような基材は、既存塗膜層等を有するものであってもよい。
断熱材層は、建築物に断熱性を付与するものである。断熱材層としては、ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリフェノールフォーム等の有機質発泡体からなるものが使用できる。このような有機質発泡体からなる断熱材層は、熱伝導率が低く、優れた断熱性能を有する。板状の有機質発泡体は、接着剤や金具等を用いて基材に固定化すればよい。断熱材層の厚みは特に限定されないが、通常5〜150mm程度である。
本発明では、断熱材層の表面(好ましくは屋外側表面)に被覆材層が設けられる。本発明における被覆材層は、1種または2種以上の被覆材を積層することによって形成されたものである。被覆材層を形成する各被覆材は、結合材として樹脂成分を含有する。
本発明において、被覆材層を形成する被覆材の少なくとも1種以上は、樹脂成分、及び吸熱物質を含有するものである。本発明では、このような被覆材を使用することによって、耐熱性を高めることができる。
吸熱物質は、加熱により水を放出する金属化合物である。このような吸熱物質は、加熱の際、水蒸気を発生し、その吸熱作用によって耐熱性向上に寄与するものである。
このような吸熱物質としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化スカンジウム等の金属水酸化物;ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム)、八ホウ酸二ナトリウム、ホウ酸亜鉛等の金属ホウ酸塩;ゼオライト、ハロイサイト、アロフェン、エトリンジャイト等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。吸熱物質としては、特に金属水酸化物が好適である。
吸熱物質の比率は、樹脂成分の固形分100重量部に対し、好ましくは10〜800重量部、より好ましくは20〜600重量部、さらに好ましくは40〜500重量部、最も好ましくは60〜400重量部である。吸熱物質がこのような比率であれば、十分な耐熱性向上効果が得られる。
被覆材中の樹脂成分としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等が使用可能である。これらは1種または2種以上で使用することができる。また、これら樹脂成分は架橋反応性を有するものであってもよい。
本発明では、被覆材層を形成する被覆材の少なくとも1種以上が、樹脂成分として、有機樹脂及びシリコン物質を含むことが望ましい。有機樹脂及びシリコン物質を含む樹脂成分(以下、単に「複合樹脂」とも言う。)を含有する被覆材を使用すれば、本発明の効果を一層高めることが可能となる。このような複合樹脂の形態としては、有機樹脂とシリコン物質を混合した形態、有機樹脂とシリコン物質を反応させた形態等が挙げられる。有機樹脂とシリコン物質の重量比率は、固形分換算で100:10〜100:90であることが好ましく、より好ましくは100:15〜100:70である。この範囲を満たす場合、耐熱性に優れた被覆材層を形成することができる。この作用機構は明らかではないが、上記複合樹脂を用いた被覆材層は耐熱性に加え通気性を有するため、本発明の積層構造体が高温に晒された場合には、断熱層より発生した可燃性ガスが、積層構造体の内部または表層に滞留し難くなり、燃焼を効果的に抑制することができると推測される。
上記複合樹脂のうち、有機樹脂としては上述の各種樹脂が挙げられ、この中でもアクリル樹脂が好適である。アクリル樹脂は、各種アクリルモノマーを重合、あるいは、各種アクリルモノマーとその他のモノマーを共重合することにより得ることができる。このうちアクリルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有アクリルモノマー;N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有アクリルモノマー;(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有アクリルモノマー;ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のカルボニル基含有アクリルモノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アクリルモノマー;(メタ)アクリルニトリル等のニトリル基含有アクリルモノマー;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有アクリルモノマー等が挙げられる。
上記複合樹脂のうち、シリコン物質としては、シリカ、シリコーン等が挙げられ、中でもシリカが好適である。
このようなシリカは、例えば、珪酸ソーダ、珪酸リチウム、珪酸カリウム、シリケート化合物を原料として製造することができる。このうち、シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等、あるいはこれらの縮合物等が挙げられる。製造時には触媒等を使用することもできる。また、製造過程ないし製造後に、触媒等に含まれる金属をイオン交換処理等によって除去することもできる。シリカの粒子径は、好ましくは1〜200nm、より好ましくは3〜100nmである。
このような複合樹脂としては、特に、アクリル樹脂エマルション及びシリカを含むものが好適である。このうち、アクリル樹脂エマルションとしては、シリカと反応可能なものが好適である。具体的には、シリカに存在するシラノール基と反応可能な、水酸基、加水分解性シリル基等(好ましくは、加水分解性シリル基)の官能基を有するエマルションであることが好ましい。このような樹脂成分を用いることにより、本発明の効果をいっそう高めることができる。
本発明の被覆材層を形成する際、使用可能な被覆材としては、例えば、
(A1)樹脂成分、及び吸熱物質を含有する被覆材。
(A2)樹脂成分を含有する被覆材(吸熱物質は含有しない)。
等が挙げられる(以下、(A1)と(A2)を併せて「Aタイプ」ともいう)。
さらに、好ましい樹脂成分を含有する被覆材として、
(B1)有機樹脂及びシリコン物質を含む複合樹脂、及び吸熱物質を含有する被覆材。
(B2)有機樹脂及びシリコン物質を含む複合樹脂を含有する被覆材(吸熱物質は含有しない)。
等が挙げられる(以下、(B1)と(B2)を併せて「Bタイプ」ともいう)。
本発明では、上記被覆材の1種または2種以上を用いて、1層または2層以上からなる被覆材層を形成し、被覆材の少なくとも1種以上は、樹脂成分、及び吸熱物質を含有するもの(上記(A1)または上記(B1))とする。すなわち、被覆材層を構成する各層のうち、少なくとも1層以上は、樹脂成分、及び吸熱物質を含有する層(上記(A1)または上記(B1)によって形成される層)とする。
本発明の被覆材層の態様としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
(1)被覆材層が1層からなる場合
この場合は、(A1)または(B1)の被覆材を用いて、1層の被覆材層を形成する。
(2)被覆材層が2層からなる場合
この場合は、第1被覆材層、第2被覆材層のうち、少なくとも1層を(A1)または(B1)によって形成する。例えば、以下の被覆材の積層によって、断熱材層の表面側に、順に、第1被覆材層/第2被覆材層を形成すればよい。
・(A1)/{(A1)、(A2)、(B1)、または(B2)}
・(A2)/{(A1)、または(B1)}
・(B1)/{(A1)、(A2)、(B1)、または(B2)}
・(B2)/{(A1)、または(B1)}
このような態様では、特に、第1被覆材層、第2被覆材層のいずれか一方、または両方がBタイプであることが好ましく、さらには、少なくとも第2被覆材層(被覆材層の最表面層)がBタイプであることが好ましい。
(3)被覆材層が3層以上からなる場合
この場合は、被覆材層を構成する各層のうち、少なくとも1層を(A1)または(B1)によって形成する。さらに、本発明では、少なくとも被覆材層の最表面層が、Bタイプであることが好ましい。
上記(2)(3)のように、被覆材が2層以上からなる場合、少なくとも2層以上を(A1)または(B1)によって形成することが好ましい。このように、複数層に吸熱性物質を含むことにより、本発明の効果をよりいっそう発揮することができる。
このような被覆材層を形成する被覆材としては、上記条件を満たす限り、種々の形態のものを使用することができる。具体的に使用可能な被覆材の形態としては、例えば、合成樹脂エマルションペイント、つや有り合成樹脂エマルションペイント、非水分散形樹脂エナメル等のフラット系塗料;JIS
A 6909に規定される建築用仕上塗材(例えば、リシン塗料、単層弾性塗材等の薄付け仕上塗材;スタッコ塗料等の厚付け仕上塗材;複層仕上塗材等);その他多彩模様塗料、石材調仕上塗材、砂岩調仕上塗材等が挙げられる。この他、樹脂成分を含有する各種下塗材、下地調整塗材等(ポリマーセメント等)も、本発明の被覆材として使用できる。また、樹脂成分を含有する各種クリヤー塗料も、本発明の被覆材として使用できる。これら被覆材としては、媒体として水を含む水性被覆材が好適である。これら湿式の被覆材を、予め板状に成形したシート材も、本発明の被覆材として使用できる。
本発明における被覆材層は、その最終的な仕上外観において、複数色による模様、及び/または凹凸による模様を有するものが好ましい。このような被覆材層では、これら模様によって美観性を高めることができる。なお、ここに言う複数色による模様とは、少なくとも2色以上の色彩が視認可能な状態で混在する模様のことである。また、凹凸による模様とは、概ね0.2〜5mm程度の高低差を有する表面模様のことである。
複数色による模様は、例えば、多彩模様塗料、石材調仕上塗材等を用いることにより形成できる。また、色彩の異なる複数の被覆材を用い、部分塗装等を行うことで、複数色による模様を形成することも可能である。
凹凸による模様は、例えば、上述の建築用仕上塗材、石材調仕上塗材、砂岩調仕上塗材等を用いることにより形成できる。
被覆材の塗装においては、公知の塗装器具を用いることができる。塗装器具としては、例えば、スプレー、ローラー、刷毛、コテ等を使用することができる。
被覆材の塗付け量は、使用する材料や塗装器具の種類、被覆材層の表面形状等に応じて適宜設定すればよい。塗装時には、必要に応じ被覆材を希釈することもできる。
被覆材層に凹凸による模様を形成する場合は、塗装器具の種類とその使用方法を適宜選定すればよい。これにより、種々の凹凸模様(例えば砂壁状、ゆず肌状、繊維壁状、さざ波状、スタッコ状、凹凸状、月面状、櫛引状、虫喰状等)が形成できる。被覆材の塗装後、その被膜(被覆材層)が乾燥する前に、塗面をデザインローラー、コテ、刷毛、櫛、へら等で処理することで、種々の凹凸模様を形成させることもできる。
また、本発明では、被覆材層に目地模様を形成させてもよい。目地模様形成の際には、例えば目地材を被塗面に貼着し、被覆材を塗装した後、当該目地材を除去する方法等が採用できる。
本発明において、断熱材層と被覆材層の間、または被覆材層の内部には、網状体等からなる補強層を設けることもできる。このような補強層を設けることにより、積層体の強度、耐久性、割れ防止性、耐熱性等を高めることができる。このような補強層は、被覆材層の内部に埋め込まれた形態が好適である。特に、被覆材層が2層以上からなる場合は、断熱材層に隣接する層(第1被覆材層)の内部に、補強層が埋め込まれた形態が好適である。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(被覆材)
被覆材として、以下の各被覆材を用意した。
・被覆材1
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、吸熱物質(水酸化アルミニウム)25重量部、炭酸カルシウム255重量部、酸化チタン80重量部、造膜助剤8重量部、粘性調整剤3重量部、分散剤2重量部、消泡剤3重量部、水60重量部を常法により均一に混合して、被覆材1を製造した。この被覆材1は、合成樹脂エマルションペイントに該当する。
・被覆材2
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、吸熱物質(水酸化アルミニウム)55重量部、炭酸カルシウム225重量部、酸化チタン80重量部、造膜助剤8重量部、粘性調整剤3重量部、分散剤2重量部、消泡剤3重量部、水60重量部を常法により均一に混合して、被覆材2を製造した。この被覆材2は、合成樹脂エマルションペイントに該当する。
・被覆材3
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、吸熱物質(水酸化アルミニウム)90重量部、炭酸カルシウム190重量部、酸化チタン80重量部、造膜助剤8重量部、粘性調整剤3重量部、分散剤2重量部、消泡剤3重量部、水60重量部を常法により均一に混合して、被覆材3を製造した。この被覆材3は、合成樹脂エマルションペイントに該当する。
・被覆材4
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、吸熱物質(水酸化アルミニウム)140重量部、炭酸カルシウム140重量部、酸化チタン80重量部、造膜助剤8重量部、粘性調整剤3重量部、分散剤2重量部、消泡剤3重量部、水60重量部を常法により均一に混合して、被覆材4を製造した。この被覆材4は、合成樹脂エマルションペイントに該当する。
・被覆材5
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、吸熱物質(水酸化アルミニウム)350重量部、酸化チタン80重量部、造膜助剤8重量部、粘性調整剤3重量部、分散剤2重量部、消泡剤3重量部、水80重量部を常法により均一に混合して、被覆材5を製造した。この被覆材5は、合成樹脂エマルションペイントに該当する。
・被覆材6
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、炭酸カルシウム280重量部、酸化チタン80重量部、造膜助剤8重量部、粘性調整剤3重量部、分散剤2重量部、消泡剤3重量部、水60重量部を常法により均一に混合して、被覆材6を製造した。この被覆材6は、合成樹脂エマルションペイントに該当する。
・被覆材7
酢酸ビニル樹脂100重量部、ポルトランドセメント1250重量部、吸熱物質(水酸化アルミニウム)380重量部、珪砂2000重量部、水750重量部、添加剤5重量部を常法により均一に混合して、被覆材7を製造した。この被覆材7は、下地調整塗材に該当する。
・被覆材8
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、吸熱物質(水酸化アルミニウム)210重量部、骨材(黄色骨材、黒色骨材、褐色骨材、寒水石の混合物)550重量部、造膜助剤10重量部、粘性調整剤4重量部、消泡剤2重量部、水110重量部を常法により均一に混合して、被覆材8を製造した。この被覆材8は、石材調仕上塗材に該当する。
・被覆材9
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、炭酸カルシウム210重量部、骨材(黄色骨材、黒色骨材、褐色骨材、寒水石の混合物)550重量部、造膜助剤10重量部、粘性調整剤4重量部、消泡剤2重量部、水110重量部を常法により均一に混合して、被覆材9を製造した。この被覆材9は、石材調仕上塗材に該当する。
・被覆材10
シリカ複合アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂:シリカ=100:25(固形分比)、シリカの平均粒子径15nm)250重量部に対し、吸熱物質(水酸化アルミニウム)210重量部、骨材(黄色骨材、黒色骨材、褐色骨材、寒水石の混合物)550重量部、造膜助剤10重量部、粘性調整剤4重量部、消泡剤2重量部、水110重量部を常法により均一に混合して、被覆材10を製造した。この被覆材10は、石材調仕上塗材に該当する。
・被覆材11
シリカ複合アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂:シリカ=100:25(固形分比)、シリカの平均粒子径15nm)250重量部に対し、炭酸カルシウム210重量部、骨材(黄色骨材、黒色骨材、褐色骨材、寒水石の混合物)550重量部、造膜助剤10重量部、粘性調整剤4重量部、消泡剤2重量部、水110重量部を常法により均一に混合して、被覆材11を製造した。この被覆材11は、石材調仕上塗材に該当する。
・被覆材12
シリカ複合アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂:シリカ=100:25(固形分比)、シリカの平均粒子径5nm)250重量部に対し、炭酸カルシウム210重量部、骨材(黄色骨材、黒色骨材、褐色骨材、寒水石の混合物)550重量部、造膜助剤10重量部、粘性調整剤4重量部、消泡剤2重量部、水110重量部を常法により均一に混合して、被覆材12を製造した。この被覆材12は、石材調仕上塗材に該当する。
・被覆材13
シリカ複合アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂:シリカ=100:17(固形分比)、シリカの平均粒子径5nm)234重量部に対し、炭酸カルシウム210重量部、骨材(黄色骨材、黒色骨材、褐色骨材、寒水石の混合物)550重量部、造膜助剤10重量部、粘性調整剤4重量部、消泡剤2重量部、水110重量部を常法により均一に混合して、被覆材13を製造した。この被覆材13は、石材調仕上塗材に該当する。
・被覆材14
シリカ複合アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂:シリカ=100:33(固形分比)、シリカの平均粒子径5nm)267重量部に対し、炭酸カルシウム210重量部、骨材(黄色骨材、黒色骨材、褐色骨材、寒水石の混合物)550重量部、造膜助剤10重量部、粘性調整剤4重量部、消泡剤2重量部、水110重量部を常法により均一に混合して、被覆材14を製造した。この被覆材14は、石材調仕上塗材に該当する。
・被覆材15
灰色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、酸化チタン、水を主成分とする着色材の粒状化物、粒子径約3mm)と、濃灰色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、酸化チタン、水を主成分とする着色材の粒状化物、粒子径約4mm)と、黒色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、水を主成分とする着色材の粒状化物、粒子径約2mm)とが水性媒体(アクリル樹脂エマルションを含む)に分散した被覆材15を製造した。なお、灰色樹脂粒子と濃灰色樹脂粒子と黒色樹脂粒子の重量比率は、35:35:30である。この被覆材15は、多彩模様塗料に該当する。
・被覆材16
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、炭酸カルシウム140重量部、酸化チタン20重量部、骨材(寒水石)200重量部、造膜助剤10重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤2重量部、水80重量部を常法により均一に混合して、被覆材16を製造した。この被覆材16は、砂岩調仕上塗材に該当する。
・被覆材17
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、炭酸カルシウム1200重量部、酸化チタン30重量部、造膜助剤15重量部、粘性調整剤1重量部、消泡剤3重量部、水250重量部を常法により均一に混合して、被覆材17を製造した。この被覆材17は、複層仕上塗材に該当する。
・被覆材18
基層(ガラス不織布:厚み0.4mm、坪量50g/m)の上に、被覆材9を塗付け量4.0kg/mでスプレー塗装し、80℃下で1時間乾燥させ、被覆材18を得た。この被覆材18は、石材調シート建材に該当する。
<試験例I>
参考例1)
スレート板上に板状のポリスチレンフォーム(厚み50mm)を貼りつけたものを塗装対象の基材とした。
この基材の全面に対し、第1被覆材として、被覆材1を塗付け量0.15kg/m2でスプレー塗装し、2時間養生後、第2被覆材として被覆材9を塗付け量4.0kg/m2でスプレー塗装した。その後、7日間養生したものを試験体とした。なお、以上の工程はすべて標準状態(気温23℃、相対湿度50%)下で行った。
(評価1:耐熱性試験)
この試験は、試験体表面(被覆材側)を、ガスバーナーで30秒間加熱し、加熱を停止した後、消火時間、及びその状態を観察することにより行った。その結果を表1に示した。なお、加熱を停止した後の状態は、変形が極く僅かであったものをA、著しく変形したものをDとして、A>B>C>Dの4段階評価とした。
参考例1では、加熱停止後20秒以内に燃焼が止まり、変形は僅か(評価B)であった。
(参考例2)〜(参考例8)、(実施例9)〜(実施例13)、(参考例14)〜(参考 例16)、(比較例1)〜(比較例2)
表1に示す、第1被覆材、第2被覆材を使用した以外は、参考例1と同様の方法で試験を行った。その結果を表1に示した。
参考例17)
参考例1と同様の基材の全面に対し、第1被覆材として、被覆材4を塗付け量0.15kg/m2でスプレー塗装し、その乾燥前に、被覆材18を貼り付け、7日間養生した。以上の方法により、試験体を作製した。なお、以上の工程はすべて標準状態(気温23℃、相対湿度50%)下で行った。得られた試験体について参考例1と同様の方法で試験を行った。その結果を表1に示した。
参考例18)
参考例1と同様の基材の全面に対し、第1被覆材として、被覆材7を塗付け量2kg/m2でコテ塗りし、24時間養生後、第2被覆材として、被覆材4を塗付け量0.15kg/m2でスプレー塗装し、2時間養生後、第3被覆材として被覆材9を塗付け量4.0kg/m2でスプレー塗装し、7日間養生した。以上の方法により、試験体を作製した。なお、以上の工程はすべて標準状態(気温23℃、相対湿度50%)下で行った。得られた試験体について参考例1と同様の方法で試験を行った。その結果を表1に示した。
参考例19)〜(参考例20)
表1に示す、第1被覆材、第2被覆材、第3被覆材を使用した以外は、参考例18と同様の方法で試験を行った。その結果を表1に示した。
<試験II>
上記の参考例4、8、実施例9、10を対象に、以下の評価2を実施した。
(評価2:耐熱性試験)
この試験は、試験体表面(被覆材側)を、ガスバーナーで45秒間加熱し、加熱を停止した後、消火時間、及びその状態を観察することにより行った。その結果を表1に示した。なお、評価基準は、評価1と同様とした。
Figure 0006108424

Claims (4)

  1. 建築物における積層構造体であって、
    基材に対し、有機質発泡体からなる断熱材層が設けられ、当該断熱材層の表面側には被覆材層が設けられ、
    前記被覆材層は、第1被覆材層と第2被覆材層を積層することによって形成されたものであり、
    前記第1被覆材層が、樹脂成分、及び吸熱物質を含み、
    前記第2被覆材層が、樹脂成分として、有機樹脂及び粒子径1〜200nmのシリカを含み、
    前記第2被覆材層が最表面層であることを特徴とする積層構造体。
  2. 前記第2被覆材層が、吸熱物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層構造体。
  3. 前記被覆材層は、複数色による模様、及び/または凹凸による模様を有するものである請求項1または請求項2に記載の積層構造体。
  4. 前記有機樹脂が、水酸基、加水分解性シリル基から選ばれる官能基を有するアクリル樹脂エマルションを含むものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の積層構造体。
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