JP3809793B2 - 断熱構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ビル、集合住宅、戸建住宅等の建築物外壁面を構成する断熱構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビル、集合住宅、戸建住宅等の建築物においては、屋外の温度変化が屋内に直接影響することを抑制すること、あるいは屋内の気密性を高めることなどを目的として、外壁面構造に断熱性を付与することが行われている。このような断熱性外壁面としては、外壁面の室内側にフェノールフォーム、グラスウール等の各種断熱材を設けたものや、外壁面を構成する基材自体が断熱性を有するもの等が用いられている。
【0003】
一方、建築物外壁面においては、意匠性を付与するために、様々な塗材が塗付形成されている。このうち、その被膜が可とう性を有する厚塗り塗料、例えば可とう性厚付け仕上塗材等は、立体感のある意匠性が表出されるとともに、下地のコンクリートやモルタル等の微細なひび割れに追従できる性能を有することから、好んで使用されている。ここで、一般に厚塗り塗料は、骨材を含有し、その被膜表面は粗面となり、且つ、艶消し乃至3分艶の状態であるが、近年、ニーズの多様化により、半艶乃至艶有り仕上げや、被膜表面をより滑らかな仕上りにすることを要望される場合があり、この場合、各種の上塗材が塗装されている。
また、厚塗り塗料から形成される被膜は、屋外において長期にわたり曝露されると、太陽光、降雨、粉塵等の影響により劣化や汚染が進行してしまう。このため、塗り替えの必要が生じる。また、劣化が進行してなくても、前述の如く、色や形状等の意匠性を変更する要望がある場合には、塗り替えが行われる。
【0004】
しかしながら、上述のような厚塗り塗料から形成される被膜は、その膜厚が概ね1〜10mmとかなり厚く、水分や造膜助剤等の塗材中の成分が被膜内に残存しやすい傾向がある。さらに、被膜表面が外気に直接曝されていると、劣化の進行とともに降雨等による水分が被膜表面から吸収されやすくなり、その水分が被膜内に滞留しやすくなる。
【0005】
このように、可とう性を有する厚塗り塗料から形成される被膜内部には、水分や高沸点溶剤等の気化性成分が含まれるおそれがあり、そのような被膜層を断熱性外壁面に適用すると、太陽光の照射等によって被膜の温度が上昇し、さらにその高温状態が長時間にわたって続くため、被膜層内部に存在する気化性成分が蒸発しやすくなり、経時的に被膜が膨れ、剥離等を発生して美観性を損う場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、断熱性を有するとともに、その表面に美観性が付与され、かつその美観性を長期にわたって維持することができる建築物外壁面を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため本発明者らは鋭意検討を行い、複数の特定の層からなる構造体に想到し本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.建築物外壁面を構成する断熱構造体であって、壁面の屋内側から屋外側へ向かって、断熱層(A)、基材層(B)、
可とう性を有する厚塗り塗料から形成される被膜層(C)、
水蒸気透過性を有し、20℃での伸び率が2〜50%、下記式による抗張積の比が0.3以上である被膜層(D)、
を有することを特徴とする断熱構造体。
<式> 「抗張積の比」=「60℃での抗張積」/「20℃での抗張積」
2.建築物外壁面を構成する断熱構造体であって、壁面の屋内側から屋外側へ向かって、断熱性基材層(B’)、
可とう性を有する厚塗り塗料から形成される被膜層(C)、
水蒸気透過性を有し、20℃での伸び率が2〜50%以上、下記式による抗張積の比が0.3以上である被膜層(D)、
を有することを特徴とする断熱構造体。
<式> 「抗張積の比」=「60℃での抗張積」/「20℃での抗張積」
3.被膜層(D)が積層被膜であり、屋内側から屋外側へ向かって、
結合剤として無機結合剤及び有機合成樹脂結合剤を含む被膜層(D−1)、
有機合成樹脂結合剤及び顔料を含み、顔料容積濃度が10%以上である被膜層(D−2)、
を有することを特徴とする1.または2.に記載の断熱構造体。
【0008】
【発明の実施の形態】
[断熱層]
断熱層(以下「(A)層」ともいう)は、本発明の断熱構造体において最も屋内側に位置するものであり、屋外の温度変化が屋内に直接影響することを抑制すること、あるいは屋内の気密性を高めることなどの効果を得るために設けられる層である。このような(A)層を構成するものとしては、例えば、ポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、アクリル樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、グラスウール、ロックウール、発泡セラミック等、あるいはこれらの複合体等があげられる。各種基材にサンドイッチされた空気層も(A)層に含まれる。このような(A)層は、具体的には熱伝導率が0.5kcal/m・hr・℃以下の断熱性を有するものであることが望ましい。
【0009】
[基材層]
本発明における基材層(以下「(B)層」ともいう)としては、建築物外壁面を構成するものである限り特に限定されないが、例えば、コンクリート、モルタル、セメントボード、押出成形板、スレート板、PC板、ALC板、繊維強化セメント板、金属ボード、磁器タイル、金属系サイディングボード、窯業系サイディングボード、セラミック板、石膏ボード、プラスチックボード、硬質木片セメント板、塩ビ押出サイディングボード、合板等、あるいはこれらの複合体等があげられる。このような基材層は、何らかの表面処理層(例えば、シーラー層、サーフェーサー層等)を有するものであってもよい。
【0010】
[断熱性基材層]
本発明における断熱性基材層(以下「(B’)層」ともいう)とは、上述の基材層のうち、具体的には熱伝導率が0.5kcal/m・hr・℃以下の断熱性を有するものを言う。このような(B’)層はそれ自体が断熱性を有するので、断熱層を省略することができる。(B’)層を構成する基材としては、例えば、軽量モルタル、軽量コンクリート、発泡コンクリート板、けい酸カルシウム板、パーライトセメント板、石膏ボード、ロックウール板、グラスウール保温板等、あるいはこれらの複合体等があげられる。このような(B’)層は、上述の基材層と同様に何らかの表面処理層を有するものであってもよい。
【0011】
[被膜層(C)]
本発明における被膜層(C)(以下「(C)層」ともいう)は、その被膜が可とう性を有する厚塗り塗料から形成されるものであり、本発明の断熱構造体に凹凸形状の立体模様を付与するとともに、基材層の微細なひび割れに追従できる性能を有するものである。
この被膜を形成する厚塗り塗料は、例えば、JIS A 6909に規定されている厚付け仕上塗材に可とう性が付与されたものの他、以下に示すような配合成分から構成される塗料を、概ね1.5〜15kg/mで塗付し、形成された被膜の膜厚(但し、頂部の膜厚を指す。)が概ね1〜10mmとなるものである。この厚塗り塗料は、一般に塗料として広く認識されているフラットペイントの塗付量:0.2〜0.3kg/m、膜厚:50〜100μmと比べ、かなり厚塗りになるものである。
この厚塗り塗料は、主に、合成樹脂エマルション等の結合剤、寒水石、珪砂、砂、軽量細骨材、有機質骨材等の骨材、炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、珪藻土、珪石粉等の無機質粉体及び各種顔料等を構成成分とするものである。被膜の可とう性は、例えば、合成樹脂エマルションのガラス転移温度や、各成分の配合比率を調整することによって付与される。
【0012】
(C)層の膜厚は、通常1〜10mmであり、その断面が玉状、台形状等の凹凸形状を有するものである。一般に、断面が玉状となる被膜は吹放し仕上げによって形成することができ、断面が台形状となる被膜は、吹放し仕上げを行った後にローラー等を用いて凸部を押える処理を施すことにより形成することができる。
【0013】
[被膜層(D)]
本発明における被膜層(D)(以下「(D)層」ともいう)は、水蒸気透過性を有することが必要である。具体的には、JIS K5400「塗料一般試験方法」8.17の水蒸気透過度が、20g/m・24h以上(好ましくは30g/m・24h以上、さらに好ましくは40g/m・24h以上)であることが望ましい。(D)層がこのような水蒸気透過性を有することより、(C)層から発生する気化性成分が拡散され、局所的な圧力上昇が抑制される。(D)層が水蒸気透過度を有さない場合は、被膜に膨れや剥離が発生しやすくなる。
さらに、(D)層は、20℃での伸び率(以下、単に「伸び率」ともいう)が2〜50%であり、且つ下記式1による抗張積の比が0.3以上(好ましくは0.4以上)であることが必要である。
<式1>「抗張積の比」=「60℃での抗張積」/「20℃での抗張積」
【0014】
本発明では、(D)層が適度な伸び性を有していること、及び抗張積の温度依存性が小さいことにより、割れの発生が抑制されるとともに、膨れや剥離の発生も抑制される。特に、太陽光等によって被膜層が高温状態となった場合であっても、膨れや剥離の発生を抑制することができる。
伸び率が50%より大きい場合は、膨れや剥離が発生するおそれがある。伸び率が2%未満の場合は、割れ発生のおそれがある。
抗張積の比の上限は、特に限定されないが、通常1未満である。抗張積の比が0.3より小さい場合は、膨れや剥離が発生しやすくなる。
【0015】
なお、本発明における伸び率及び抗張積の比は、JIS K6251 4.1に規定するダンベル状2号形に打ち抜いた試験片(被膜形成後、温度20℃湿度65%下で14日間養生したもの)を、JIS A6021 6.3.1a)に規定する引張試験機につかみ間が60mmになるように取り付け、10mm/minの引張速度で試験片が破断するまで引張ることにより求められる値である。
伸び率は下記式2によって算出され、抗張積は下記式3によって算出される。
<式2>「伸び率(%)」=(「破断時の伸び量(mm)」/60)×100
<式3>「抗張積(N/mm)」=「引張強さ(N/mm)」×「破断時の伸び量(mm)」
但し、
「引張強さ(N/mm)」=「最大引張力(N)」/「試験片の断面積(mm)」
「破断時の伸び量(mm)」=「破断時のつかみ間距離(mm)」−60
【0016】
(D)層は、(C)層が形成された後、任意の時期に積層することが可能である。具体的には、(C)層の形成直後でもよいし、長期曝露により(C)層が劣化した後であってもよい。このうち特に、本発明は、長期曝露により劣化した(C)層に対して好ましく適用することができる。
【0017】
(D)層は、1種の被膜からなるものでもよいし、2種以上の被膜からなる積層被膜であってもよいが、本発明では、
結合剤として無機結合剤及び有機合成樹脂結合剤を含む被膜層(D−1)、及び有機合成樹脂結合剤及び顔料を含み、顔料容積濃度が10%以上である被膜層(D−2)、
が順に積層されたものが好適である。
【0018】
被膜層(D−1)(以下「(D−1)層」ともいう)は、結合剤として無機結合剤及び有機合成樹脂結合剤を含むものである。
(D−1)層に含まれる無機結合剤としては、例えば、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等のコロイダル金属酸化物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等の水溶性ケイ酸アルカリ金属塩、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント、膨張セメント、酸性リン酸塩セメント、シリカセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、キーンスセメント等の各種セメント等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。このような無機結合剤は、金属塩、有機酸、無機酸等と併用することもできる。
【0019】
有機合成樹脂結合剤としては、例えば、合成樹脂エマルション、水溶性樹脂、溶剤型樹脂、無溶剤型樹脂、粉末樹脂等を使用することができる。樹脂成分としては、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アスファルト、ゴムアスファルト等があげられる。このうち、アクリル樹脂エマルションが好適に用いられる。
【0020】
上記有機合成樹脂結合剤のガラス転移温度は、好ましくは−80〜20℃、さらに好ましくは−60〜−20℃である。有機合成樹脂結合剤のガラス転移温度がこのような範囲であることにより、(C)層に対する追従性が十分に確保される。
【0021】
無機結合剤と有機合成樹脂結合剤との固形分重量比率は、好ましくは95/5〜50/50、さらに好ましくは90/10〜70/30である。(D−1)層において併用する2種の結合剤がこのような比率であることにより、(C)層への追従性と蒸気拡散機能と強度とのバランスが最適となる。この比率より有機合成樹脂結合剤が少ない場合は、(C)層への追従性が不十分となり被膜に割れが生じやすく、有機合成樹脂結合剤が多い場合は蒸気拡散機能や強度が低下する傾向となる。
【0022】
(D−1)層においては、上述の成分の他、必要に応じ骨材、繊維等を含むこともできる。骨材としては、例えば、珪砂、寒水石、パーライト、バーミキュライト、スチレン樹脂発泡体、エチレン酢酸ビニル樹脂発泡体、塩化ビニル樹脂発泡体、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土等を使用することが可能である。繊維としては、例えば、ロックウール、ガラス繊維、シリカーアルミナ繊維、カーボン繊維等の無機繊維、あるいはパルプ繊維、ポリプロピレン繊維、ビニル繊維、アラミド繊維等の有機繊維等があげられる。
【0023】
(D−1)層は、上述のような成分を各種混合機によって均一に混合した組成物を、塗付、乾燥することによって形成することができる。このとき、必要に応じて水を配合することができる。
【0024】
(D−1)層の、(C)層に対する付着強さは1N/mm以上であることが望ましい。このような付着強さを有することにより、密着性を長期にわたり維持することができる。
【0025】
(D−1)層は、(C)層が形成された後、任意の時期に積層することが可能である。この際、その被膜厚みは0.1〜1mmとすることが望ましい。被膜厚みが1mmより大きい場合は、(C)層の形状を生かすことが困難となり、0.1mmより小さい場合は、膨れや剥離を防止する効果が低下してしまう。
被膜形成時には、コテ、リシンガン、ローラー、刷毛等の塗装器具を用いることができる。(D−1)層を、通常8〜48時間程度乾燥させた後、次の層を積層することができる。
【0026】
被膜層(D−2)(以下「(D−2)層」ともいう)は、有機合成樹脂結合剤及び顔料を含むもので、顔料容積濃度は10%以上である。(D−2)層がこのような顔料容積濃度であることにより、(C)層の気化性成分を適度に外部に放出することができるとともに、被膜の膨れや剥れ発生を防止することができる。顔料容積濃度が10%より小さい場合は、気化性成分を放出する機能が低下し、被膜に膨れや剥れが生じやすくなる。
【0027】
有機合成樹脂結合剤としては、合成樹脂エマルションが好適に用いられ、例えば、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、シリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、アクリル・酢酸ビニル樹脂エマルション、アクリル・ウレタン樹脂エマルション、アクリル・シリコン樹脂エマルション、等を使用することができる。
このような合成樹脂エマルションは、架橋反応性を有することもできる。架橋反応性を有することにより、耐候性、耐水性等の被膜物性を向上でき、さらに蒸気透過性を高めることができる。この他、溶剤可溶形樹脂、非水分散形樹脂等を用いることもできる。
【0028】
顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土等の体質顔料、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、キナクリドン、ペリレン、フタロシアニン化合物、アゾ化合物等の着色顔料等を使用することができる。
【0029】
(D−2)層の被膜厚みは0.3mm以下であることが望ましい。被膜厚みが0.3mmより大きい場合は、(C)層の形状を生かすことが困難となる。被膜形成時においては、スプレーガン、ローラー、刷毛等の塗装器具を使用することができる。
【0030】
(D−2)層は、建築物壁面の最表面に積層されるものであり、様々な色彩を付与することができるが、その色彩が白色系であれば被膜の温度上昇を抑制することができ、膨れや剥れの防止に有効となる。
【0031】
(D−2)層は、水蒸気透過度が20g/m・24h以上(好ましくは30g/m ・24h以上、さらに好ましくは40g/m・24h以上)の被膜からなる中間層を介して、(D−1)層に積層してもよい。この中間層は、(D−1)層及び(D−2)との密着性に優れるものを使用することが望ましく、このような中間層としては、例えば、結合剤としてアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ゴム樹脂等の有機合成樹脂結合剤を含むものがあげられる。中間層の被膜形成時には、スプレーガン、ローラー、刷毛等の塗装器具を用いることができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
なお、各被膜層を形成する材料としては、以下のものを使用した。
・無機結合剤1:普通ポルトランドセメント
・樹脂1:アクリル樹脂エマルション(固形分50%、Tg−40℃)
・樹脂2:アクリル樹脂エマルション(固形分50%、Tg0℃)
・樹脂3:アクリルシリコン樹脂エマルション(固形分50%、Tg15℃)
・顔料1:酸化チタン
・顔料2:重質炭酸カルシウム
・骨材1:珪砂
・骨材2:寒水石・ゴム粉
【0033】
(実施例1)
(A)層としてフェノール樹脂発泡体を使用し、この発泡体に対し、(B)層として、その表面にシーラー処理を施したスレート板を貼着した。さらに以下の方法により被膜を積層した。なお、被膜の塗付及び乾燥は、すべて温度20℃湿度65%下で行った。
まず、(C)層として、樹脂2、顔料1、顔料2、骨材2を主成分とする厚塗り塗料を玉状に吹付けた後、ミネラルスピリットを付けたプラスチックローラーで玉の凸部を押え、断面が台形状の凹凸を有する4〜8mmの被膜を形成させた。なお、(C)層について、JIS A6909 7.29によって可とう性試験を行ったところ、異常は認められなかった。
【0034】
(C)層を形成させた24時間後、(D−1)層として、無機結合剤1及び樹脂1を結合剤(固形分重量比率:無機結合剤1/樹脂1=87/13)とし、骨材1を含む組成物を塗付し、(C)層上に0.3mmの被膜を形成させた。
(D−1)層を形成させた24時間後、さらに、(D−2)層として、樹脂3を結合剤とし、顔料1及び顔料2を顔料容積濃度46%で含む組成物を塗付し、(D−1)層上に0.1mmの層を形成させた。
なお、(D−1)層及び(D−2)層からなる積層被膜((D)層)について水蒸気透過度を測定したところ、その値は45g/m・24hであった。また、(D)層の伸び率は4%、抗張積の比は0.65であった。
【0035】
このようにして得た試験体について、試験Aとして、水浸漬(20℃)18時間→−20℃3時間→50℃3時間の温冷繰返し試験を10サイクル行ない、被膜の表面状態の変化を目視にて観察したところ、特に異常は認められなかった。また、試験Bとして、水浸漬(20℃)18時間→−20℃3時間→80℃3時間の温冷繰返し試験を10サイクル行ない、被膜の表面状態の変化を目視にて観察したところ、特に異常は認められなかった。
【0036】
(実施例2)
(B’)層として、その表面にシーラー処理を施した軽量モルタル板を使用し、これに対し以下の方法により被膜を積層した。なお、被膜の塗付及び乾燥は、すべて温度20℃湿度65%下で行った。
まず、(C)層として、実施例1と同様の厚塗り塗料を玉状に吹付けた後、ミネラルスピリットを付けたプラスチックローラーで玉の凸部を押え、断面が台形状の凹凸を有する4〜8mmの層を形成させた。
【0037】
(C)層を形成させた24時間後、(D−1)層として、無機結合剤1及び樹脂1を結合剤(固形分重量比率:無機結合剤1/樹脂1=83/17)とし、骨材1を含む組成物を塗付し、(C)層上に0.3mmの層を形成させた。
(D−1)層を形成させた24時間後、さらに、(D−2)層として、樹脂3を結合剤とし、顔料1及び顔料2を顔料容積濃度46%で含む組成物を塗付し、(D−1)層上に0.1mmの層を形成させた。
なお、(D−1)層及び(D−2)層からなる(D)層について水蒸気透過度を測定したところ、その値は43g/m・24hであった。また、(D)層の伸び率は10%、抗張積の比は0.62であった。
【0038】
このようにして得た試験体について、実施例1と同様にして試験A、試験Bを行ったところ、特に異常は認められなかった。
【0039】
(実施例3)
(D−1)層及び(D−2)層として、表1に示す構成のものを使用した以外は、実施例2と同様にして試験体を作製し、試験を行ったところ、試験Aにおいて特に異常は認められなかった。
【0040】
(比較例1)
(D−1)層及び(D−2)層として、表1に示す構成のものを使用した以外は、実施例2と同様にして試験体を作製し、試験を行ったところ、膨れ・剥離が発生した。
【0041】
(比較例2)
(D−1)層及び(D−2)層として、表1に示す構成のものを使用した以外は、実施例2と同様にして試験体を作製し、試験を行ったところ、割れが発生した。
【0042】
(比較例3)
(D−1)層及び(D−2)層として、表1に示す構成のものを使用した以外は、実施例2と同様にして試験体を作製し、試験を行ったところ、膨れ・剥離が発生した。
【0043】
(比較例4)
(D−1)層は設けず、(D−2)層として表1に示す構成のものを使用した以外は、実施例2と同様にして試験体を作製し、試験を行ったところ、膨れ・剥離が発生した。
【0044】
【表1】
Figure 0003809793
【0045】
【発明の効果】
本発明の断熱構造体は、優れた断熱性を有するとともに、その表面化粧層において経時的に膨れ、剥離等が生じることなく、長期にわたりその美観性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1の断熱構造体の断面図
【図2】本発明実施例2の断熱構造体の断面図
【符号の説明】
1:断熱層(A)
2:基材層(B)
3:断熱性基材層(B’)
4:被膜層(C)
5:被膜層(D−1)
6:被膜層(D−2)

Claims (3)

  1. 建築物外壁面を構成する断熱構造体であって、壁面の屋内側から屋外側へ向かって、断熱層(A)、基材層(B)、
    可とう性を有する厚塗り塗料から形成される被膜層(C)、
    水蒸気透過性を有し、20℃での伸び率が2〜50%、下記式による抗張積の比が0.3以上である被膜層(D)、
    を有することを特徴とする断熱構造体。
    <式> 「抗張積の比」=「60℃での抗張積」/「20℃での抗張積」
  2. 建築物外壁面を構成する断熱構造体であって、壁面の屋内側から屋外側へ向かって、断熱性基材層(B’)、
    可とう性を有する厚塗り塗料から形成される被膜層(C)、
    水蒸気透過性を有し、20℃での伸び率が2〜50%、下記式による抗張積の比が0.3以上である被膜層(D)、
    を有することを特徴とする断熱構造体。
    <式> 「抗張積の比」=「60℃での抗張積」/「20℃での抗張積」
  3. 被膜層(D)が積層被膜であり、屋内側から屋外側へ向かって、
    結合剤として無機結合剤及び有機合成樹脂結合剤を含む被膜層(D−1)、
    有機合成樹脂結合剤及び顔料を含み、顔料容積濃度が10%以上である被膜層(D−2)、
    を有することを特徴とする請求項1または2に記載の断熱構造体。
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