JP5797482B2 - 積層体 - Google Patents
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また、近年、安全で快適な居住空間への関心が高まり、意匠性に加え、内装用の建材の場合は、防火性能、汚染防止性能、室内の結露防止やカビ発生防止、あるいは抗菌性等、一方、外装用建材の場合は、遮熱性、断熱性、耐候性等、様々な機能性を有すること、さらには、可とう性、軽量化等により施工性に優れることが要求されている。これに伴い、多くの製品(建材シート等)の開発が行われている。
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、合成樹脂繊維製織物より成る補強層にアクリル樹脂エマルション等の結合材と天然骨材や人工骨材等が配合された吹き付け材(装飾性組成物)を積層し、さらに接着材を介して表面に透明シートが成形された装飾材が記載されている。また、特許文献2には、装飾性組成物の中間に芯材として合成樹脂繊維製織物を設ける建築物表面仕上用シートが記載されている。
1.装飾層及び無機質補強材を有する積層体であり、
(1)該装飾層は、有機質結合材及び有色粉粒体を含む装飾性組成物によって形成された層であり、
(2)該無機質補強材は、無機質繊維シートが珪素化合物及びアクリルシリコン樹脂を含む処理液によって、被覆処理され、該処理液の被膜のゲル分率が60%以上95%以下となる条件下で養生されたものである
ことを特徴とする積層体。
2.上記無機質補強材の片面または両面に装飾層を有する1.に記載の積層体。
3.基材に対し、接着材を介して1.または2.のいずれかに記載の積層体を貼着することを特徴とする施工方法。
4.上記基材が曲面部位を有しており、
該曲面部位に沿って、積層体を湾曲させて貼着することを特徴とする3.記載の施工方法。
本発明の積層体は、装飾層及び無機質補強材を有するものである。
このうち、装飾層は、有機質結合材(A)及び有色粉粒体(B)含む装飾性組成物によって形成された層である。
装飾性組成物における(A)有機質結合材(以下、「(A)成分」ともいう)としては、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース及びその誘導体等の水分散型、水可溶型、NAD型、溶剤可溶型、無溶剤型等が挙げられ、1液タイプ、2液タイプ等特に限定されず、用いることができる。
本発明では特に、水分散型及び/または水可溶型のアクリルシリコン樹脂を用いることが好ましい。
(B)有色粉粒体としては、少なくとも(b1)有色骨材を含むことが好ましい。
本発明では、無機質補強材として、特定の処理液によって被覆処理された無機質繊維シート(以下「無機質補強材」ともいう)を用いる。本発明では、当該無機質補強材の使用によって、積層体の強度、可とう性を高めることができる。
上記処理液における珪素化合物としては、アルコキシシラン化合物、シランカップリング剤、コロイダルシリカ等が好適である。
上記処理液における有機質結合材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。結合材として、塩化ビニル樹脂、アクリルシリコン樹脂、シリコーン樹脂、等から選ばれる1種以上を含む場合は、接着性向上等の点で好適である。また、有機質結合材は、上記珪素化合物と化学結合した状態であってもよい。
無機質繊維シートを上記処理液によって被覆処理する方法としては、例えば、剥離性下地上に載置した無機質繊維シートに対し、処理液を塗付する方法、処理液中に浸漬させる等を採用することができる。処理液の使用量は、装飾層との接着性、可とう性等を考慮して適宜設定すればよい。
ゲル分率(%)=(浸漬後の被膜重量/浸漬前の被膜重量)×100
本発明積層体は、装飾層及び無機質補強材を有するものであり、無機質補強材において無機質繊維シートの被覆処理面側に、装飾層が接している。本発明では、このような積層形態によって、無機質補強材と装飾層との接着性を高めることができる。さらに、強度、可とう性等に優れた積層体を得ることができる。
(I)装飾層と無機質補強材が積層された形態。
(II)装飾層と無機質補強材と装飾層が積層された形態。
上記(I)の形態は、装飾層の片面に、無機質補強材が設けられたものである。一方、上記(II)の形態は、無機質補強材の両面に、装飾層が設けられたものである。いずれの形態においても、装飾層には、無機質繊維シートの被覆処理面側が接する。
型枠内に装飾性組成物を積層し、この上に無機質補強材を載置し、硬化させた後、脱型する方法、
無機質補強材の上に装飾性組成物を積層し、硬化させる方法、
等によって製造できる。
型枠内に装飾性組成物を積層し、この上に無機質補強材を載置し、次いで装飾性組成物を積層し、硬化させた後、脱型する方法、
等によって製造できる。
型枠としては、例えばシリコーン樹脂製、ウレタン樹脂製、金属製等の型枠、あるいは離型紙を設けた型枠等が使用できる。
これらの塗装は、公知の塗装方法によれば良く、スプレー、コーター、ローラー、刷毛等の塗装器具を使用することができる。
・基材に対し、接着材、粘着材、粘着テープ等を介して貼着する方法
・基材に対し、釘、鋲等を用いて固定化する方法
本発明では、特に、接着材を介して貼着することが好ましい。この場合、下地との接着性において優れた性能を発揮することができる。
また、施工性、仕上り性、接着強度、防火性等の各種性能を付与するために、粉体成分、中空粒子、多孔質粒子、繊維等を添加したり、必要に応じ、着色材料、体質顔料、分散剤、粘性調整剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤等の通常使用される添加剤を適宜加えることができる。
合成樹脂(アクリル樹脂エマルション、固形分50重量%、ガラス転移温度0℃)100重量部、有色粉粒体1(着色珪砂、淡黄色、平均粒子径80〜120μm)700重量部、有色粉粒体2(重質炭酸カルシウム、平均粒子径50〜150μm)400重量部、及び添加剤(増粘剤、水)5重量部を常法により混合・攪拌することによって装飾層組成物1を製造した。
無機質繊維シート、及び処理液としては、以下のものを用意した。
・無機質繊維シート:ガラスメッシュ、ガラス繊維の間隔2mm、厚み0.2mm
・処理液1:テトラメトキシシラン溶液
・処理液2:カルボキシル基含有アクリル樹脂シリコン変性物(シリコン化合物:テトラメトキシシラン)と、エポキシ樹脂の混合液
・処理液3:カルボキシル基含有アクリル樹脂と、エポキシ樹脂の混合液
無機質繊維シートに対し、刷毛を用いて処理液1を塗付け量25g/m2ずつ両面に塗付し、無機質繊維シートの両面を処理液1で被覆処理した。処理された無機質繊維シートを23℃下で、処理液の被膜のゲル分率が5%となるように養生し、無機質補強材1を得た。
(無機質補強材2)
無機質繊維シートに対し、刷毛を用いて処理液2を塗付け量25g/m2ずつ両面に塗付し、無機質繊維シートの両面を処理液2で被覆処理した。処理された無機質繊維シートを23℃下で、処理液の被膜のゲル分率が5%となるように養生し、無機質補強材2を得た。
(無機質補強材3)
無機質補強材2を23℃下で、処理液の被膜のゲル分率50%となるように養生し、無機質補強材3を製造した。
(無機質補強材4)
無機質補強材2を23℃下で、処理液の被膜のゲル分率65%となるように養生し、無機質補強材4を製造した。
(無機質補強材5)
無機質補強材2を23℃下で、処理液の被膜のゲル分率80%となるように養生し、無機質補強材5を製造した。
(無機質補強材6)
無機質補強材2を150℃下で、処理液の被膜のゲル分率100%となるように養生し、無機質補強材6を製造した。
(無機質補強材7)
剥離下地上に載置した無機質繊維シートに対し、刷毛を用いて処理液3を塗付け量25g/m2ずつ両面に塗付し、無機質繊維シートの両面を処理液3で被覆処理した。処理された無機質繊維シートを23℃下で、処理液の被膜のゲル分率が5%となるように養生し、無機質補強材7を得た。
(無機質補強材8)
無機質補強材7を23℃下で、処理液の被膜のゲル分率80%となるように養生し、無機質補強材8を製造した。
シリコン樹脂製型枠(縦300mm×横300mm×深さ5mm)の内面に、装飾層組成物を塗工(塗付け量2kg/m2)し、無機質補強材1を積層後、さらに装飾層組成物を塗工(塗付け量2kg/m2)し、50℃下で24時間乾燥後、脱型して積層体1を得た。
得られた積層体1を90°折り曲げた後、表面のひび割れ、及び無機質補強材と装飾層の間の密着性を目視で評価した。その結果を表1に示す。
なお、評価基準は、以下の通りである。
・表面のひび割れ
A:無し
B:僅かに有り
C:有り
・密着性
A:無し
B:僅かに剥離が認められた。
C:剥離が認められた。
試験例1の無機質補強材1に代えて、無機質補強材2〜8を使用した以外は同様にして積層体2〜8を製造し、評価を実施した。結果を表1に示す。
試験例1の無機質補強材1に代えて、未処理の無機質繊維シートを使用した以外は同様にして積層体9を製造し、評価を実施した。結果を表1に示す。
基材として、70mm×150mm×6mmのスレート板を用い、基材に接着材を塗付し積層体を貼り付け、50℃、24時間養生したものを試験体とした。上記の試験体に40mm×40mmの鋼製ジグを二液型エポキシ樹脂接着材にて接着した。24時間後に鋼製ジグに沿って周囲を40mm×40mmの大きさにスレート板に達するまで切り傷を付け、下部引張用の鋼製ジグ及び鋼製当て板を用いて、試料面に鉛直方向にオートグラフにて引張力を加えて最大引張荷重を求めた。その結果、積層体5において最も良い結果となった。
Claims (4)
- 装飾層及び無機質補強材を有する積層体であり、
(1)該装飾層は、有機質結合材及び有色粉粒体を含む装飾性組成物によって形成された層であり、
(2)該無機質補強材は、無機質繊維シートが珪素化合物及びアクリルシリコン樹脂を含む処理液によって、被覆処理され、該処理液の被膜のゲル分率が60%以上95%以下となる条件下で養生されたものである
ことを特徴とする積層体。 - 上記無機質補強材の片面または両面に装飾層を有する請求項1に記載の積層体。
- 基材に対し、接着材を介して請求項1または請求項2のいずれかに記載の積層体を貼着することを特徴とする施工方法。
- 上記基材が曲面部位を有しており、
該曲面部位に沿って、積層体を湾曲させて貼着することを特徴とする請求項3記載の施工方法。
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