JP5751702B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
また、このような建材表面には、建材表面の美観性を損なわず、かつ、美観性を長期にわたり保持することを目的とし透明層が積層されている。
一方、近年、都市部においては、コンクリート建造物や冷房等から排出される人工放射熱等によって、都市部独特の気候が作り出されている。特に、夏期の都市部における屋外の温度上昇は著しく、ヒートアイランド現象と呼ばれる問題を引き起こしている。このような問題に対して、建築物外装面の温度上昇を抑制するために種々の材料が提案されている。
1.着色層の上に、透明層が積層された積層体であって、
透明層が、合成樹脂と、平均粒子径160nm以上900nm以下の透明性ガラス粉末(中空粒子を除く)を含み、合成樹脂の固形分100重量部に対し、透明性ガラス粉末を30重量部以上200重量部以下含むことを特徴とする積層体。
2.透明性ガラス粉末の表面が、シランカップリング剤で被覆されていることを特徴とする1.に記載の積層体。
本発明の着色層は、積層体の意匠性を付与する層である。
着色層としては、特に限定されず、公知のものを使用すればよいが、合成樹脂および着色材を含むものが好ましい。
顔料としては、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、モノアゾレッド、ファーストエロー、パーマネントイエロー、ジスアゾイエロー等のアゾ系顔料、ペリレンレッド等のペリレン系顔料、キナクリドンレッド等のキナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ジオキサジン系顔料等の有機質顔料;酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化珪素、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化インジウム等の金属酸化物、その他モリブデンレッド、コバルトブルー、マンガンバイオレット、紺青、群青等の無機質顔料;アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属粉顔料;パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等の特殊顔料等が挙げられる。
骨材としては、天然品、人工品のいずれも使用することができ、例えば、マイカ、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、貝殻、バライト粉、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂等の粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラスビーズ、ガラス粉砕物、金属類等が挙げられ、これら骨材表面は、上記顔料等によって被覆されたものでもよい。
着色材の大きさは、特に限定されないが、顔料が100nm以上1μm未満程度、骨材が1μm〜3mm程度である。
遮熱性を有する着色材としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等の金属酸化物、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属粉顔料等の遮熱性顔料、あるいは、骨材表面に遮熱性顔料が被覆されたもの等が挙げられる。
中空粒子及び/または多孔質粒子の混合比率は、固形分換算で、着色材100容量部に対し、中空粒子及び/または多孔質粒子の合計で好ましくは10〜300容量部、より好ましくは30〜200容量部である。
このような光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。具体的には、例えば、ビス(2,2,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
光安定剤の混合比率は、固形分換算で、着色材100重量部に対し、光安定剤が好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。
本発明の透明層が、着色層を保護し、着色層の意匠性を長期にわたり保持し、かつ、遮熱性を付与する層である。
このような透明層としては、合成樹脂と、平均粒子径1μm未満の透明性ガラス粉末を含むことを特徴とする。
透明性ガラス粉末には、透明性を有しつつ、太陽熱を反射する作用があるが、通常の1μm以上の透明性ガラス粉末を用いて合成樹脂と混合して透明層を形成した場合、透明性ガラス粉末の形状が視認されたり、一部ゆらぎやノイズが発生し、透明ではあるものの、着色層の意匠性を損なう場合があった。
本発明では、透明性ガラス粉末を1μm未満とナノレベルの小さな粒子とすることで、透明性ガラス粉末の形状が視認されず、また、ゆらぎやノイズの発生が抑えられ、優れた透明性を有し、着色層の意匠性を損なうことなく、長期にわたり保持することが可能である。また、粒子径をナノレベルとすることにより、遮熱性の向上もみられる。
透明性ガラス粉末の平均粒子径は、1μm未満であれば特に限定されないが、好ましくは180nm以上900nm以下、より好ましくは190nm以上500nm以下、さらに好ましくは200nm以上400nm以下、最も好ましくは205nm以上350nm以下である。
なお透明性ガラス粉末の平均粒子径は、動的光散乱法により測定される値である。
また、ガラスの屈折率は、1.4以上2.0以下であれば特に限定されない。
平均粒子径1μm未満の透明性ガラス粉末を得る手法としては、特に限定されないが、上記材料を含む平均粒子径1μm以上の透明性ガラス粉末や、その他ガラス品を粉砕することにより得ることができる。本発明の平均粒子径1μm未満の透明性ガラス粉末は、このようなガラス粉砕品を用いることが好ましい。また、透明性ガラス粉末としては、金属等で着色されたものも使用できる。
シランカップリング剤が被覆されていることにより、合成樹脂と透明性ガラス粉末との親和性を向上させ、より優れた透明性を付与することができるともに、着色層との密着性、透明層の強度等の物性を向上させる効果もある。
透明性ガラス粉末とシランカップリング剤の比率は、固形分換算で、透明性ガラス粉末100重量部に対し、シランカップリング剤0.1重量部以上3.0重量部以下であることが好ましい。
合成樹脂が多すぎると、遮熱性に劣る場合がある。透明性ガラス粉末が多すぎると、着色層の意匠性を損なう恐れがある。
例えば、建築物外装面に上記着色層を形成する成分(以下、「着色層用組成物」ともいう。)を塗布・積層し、さらに上記透明層を形成する成分(以下、「透明層用組成物」ともいう。)を塗布・積層する方法、また、予め作製しておいた着色層/透明層からなる積層体を建築物外装面に貼着する方法等が挙げられる。なお建築物外装面は、既存の建築物外装壁でもよいし、建築物外装用として用いる基材でもよい。
このような建築物外装用の基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石膏ボード、タイル、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板、木質板等が挙げられ、これらの基材には、なんらかの表面処理が施されていてもよい。
このような方法においては、例えば、スプレー、ローラー、鏝、刷毛、へら、レシプロ、コーター、流し込み等の公知の塗付器具が使用できる。着色層の立体的模様は、デザインローラー、鏝、刷毛、櫛、へら、スタンプ、エンボス等の器具を用いて付与することもできるし、予め立体的模様が付与された型枠などを用いることもできるし、着色層形成後、着色層の一部を削り取って付与することもできる。
補強層としては、織布、不織布、メッシュ、クロス等の繊維質材料からなるものが好ましく、積層体の割れ防止性、積層体を建築物外装面へ施工した際積層体を安定的に支える効果を有する。繊維質材料としては、厚さ0.05〜1.5mm(より好ましくは0.1〜1.2mm、さらに好ましくは0.2〜1.0mm)、坪量5〜300g/m2(より好ましくは10〜250g/m2、さらに好ましくは20〜200g/m2)の無機繊維を含むもの等が挙げられる。
また、積層体を接着剤で貼着する際には、隣接する積層体同士を突き合わせて貼着したり、積層体を所定の間隔で貼着して目地を設けたりすることができる。本発明では、接着剤が積層体の間で露出するように、積層体を貼着することによって、容易に目地部を形成することができる。この場合、積層体を貼着する間隔(目地幅)は、好ましくは1〜30mm程度であればよい。このような範囲であれば、目地模様を活かした装飾仕上げが得られる。目地部の接着剤は、必要に応じ、へら等で平滑処理しても良い。なお、接着剤を硬化させる際の雰囲気温度は、適宜設定することができるが、通常は常温でよい。
表1に示す配合にて、透明層用組成物を作製し、次の試験を行った。
300×150×3mmのアルミニウム板の上に、着色層用組成物A(合成樹脂A200重量部、酸化チタン分散液(酸化チタン含有量70重量%)30重量部、添加剤(造膜助剤、消泡剤、粘性調整剤)5重量部)を、所要量300g/m2にて、スプレー塗装し、標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で12時間乾燥させた。
その後、表1に示す透明層用組成物を、所要量150g/m2にて、スプレー塗装し、標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で24時間乾燥させたものを試験体とした。
遮熱性試験では、上記方法で得られた試験体に対し、250W赤外線ランプを30cmの距離から照射し、温度上昇が平衡に達したときの試験体の裏面温度を測定し、温度上昇抑制性を評価した。評価は、温度が55.0℃未満であったものを「A」、55.0℃以上55.5℃未満であったものを「A’」、55.5℃以上56.0℃未満であったものを「B」、56.0℃以上56.5℃未満であったものを「B’」、56.5℃以上57.0℃未満であったものを「C」、57.0℃以上57.5℃未満であったものを「C’」、57.5℃以上58.0℃未満であったものを「D」、58.0℃以上であったものを「D’」とした。評価は表1に示す。
上述の方法で得られた試験体を、大阪府茨木市で3ヶ月間屋外曝露した後、その表面状態を観察した。評価は、汚れの程度が軽微であったものを「A」、汚れの程度が著しかったものを「D」とする4段階(優A>B>C>D劣)にて行った。評価は表1に示す。
表1に示す透明層用組成物を、WET膜厚が0.15mmとなるように隠蔽率試験紙上に造膜させ、隠蔽率試験紙白地上、黒地上の視感反射率(YW、YB)を、色彩色差計「CR−300」(コニカミノルタ株式会社製)で測定した。評価は、YB/YWを算出し、同計算値が5%未満であったもの「A」、5%以上7%未満であったものを「B」、7%以上10%未満であったものを「C」、10%以上であったものを「D」とした。結果は表1に示した。
・合成樹脂A:アクリル樹脂エマルション、固形分50重量%、ガラス転移温度0℃
・合成樹脂B:アクリルシリコン樹脂エマルション、固形分50重量%、ガラス転移温度25℃
・透明性ガラス粉末A:粉砕ガラス粉末(ソーダ石灰ガラス、平均粒子径250nm)
・透明性ガラス粉末B:粉砕ガラス粉末(ソーダ石灰ガラス、平均粒子径250nm)をγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理したもの(粉砕ガラス粉末:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=100:1(重量比))
・透明性ガラス粉末C:粉砕ガラス粉末(ソーダ石灰ガラス、平均粒子径210nm)をγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理したもの(粉砕ガラス粉末:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=100:1(重量比))
・透明性ガラス粉末D:粉砕ガラス粉末(ソーダ石灰ガラス、平均粒子径400nm)をγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランで表面処理したもの(粉砕ガラス粉末:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=100:1(重量比))
・透明性ガラス粉末E:粉砕ガラス粉末(ソーダ石灰ガラス、平均粒子径1μm)
・透明性ガラス粉末F:ガラス粒子(ソーダ石灰ガラス、平均粒子径60μm)
・体質顔料 :カオリン粉末(平均粒子径250nm)
・艶消し剤 :アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径4μm)
・添加剤 :分散剤、造膜助剤、粘性調整剤、消泡剤
(粉砕ガラス粉末の調整方法)
なお、粉砕ガラス粉末は、平均粒子径60μmのソーダ石灰ガラス粒(透明性ガラス粉末F)を、遊星型ボールミルを用いて湿式粉砕して調整した。
また、粉砕ガラス粉末表面を、シランカップリング剤で表面処理した原料は、粉砕ガラス粉末100重量部に対し、イソプロピルアルコール100重量部、シランカップリング剤1重量部を混合し、50℃で2時間攪拌させ、70℃で24時間乾燥させて得た。
表1に示す透明層用組成物に代えた以外は、試験例1と同様の方法で、試験体を作製し、試験例1と同様の試験を行った。結果は表1に示す。
Claims (2)
- 着色層の上に、透明層が積層された積層体であって、
透明層が、合成樹脂と、平均粒子径160nm以上900nm以下の透明性ガラス粉末(中空粒子を除く)を含み、合成樹脂の固形分100重量部に対し、透明性ガラス粉末を30重量部以上200重量部以下含むことを特徴とする積層体。 - 透明性ガラス粉末の表面が、シランカップリング剤で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
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