JP6201841B2 - 熱線遮蔽材の製造方法 - Google Patents

熱線遮蔽材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、外壁用塗料やガラス等に含有され、赤外線を反射して熱線を遮蔽する材料の製造方法に関するものである。
従来、可視光線の透過率を維持した赤外線反射塗料として、シリル基及びシラノール基の少なくとも一方を含有するアクリル樹脂と、マイカの表面に酸化スズ、酸化チタン及び酸化ケイ素から選ばれる1種又は2種以上の金属酸化物を被覆した金属酸化物被覆マイカとを含有し、この金属酸化物被覆マイカをPVC(顔料容積濃度)において0.4%〜1.5%含有した赤外線反射塗料が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この赤外線反射塗料の塗布により得られる赤外線反射膜は、乾燥膜厚15μm〜60μmのクリア塗膜であり、780nm〜2500nmの波長領域における平均赤外線反射率が7.5%以上であり、かつ380nm〜780nmの波長領域における平均可視光線透過率が60%以上であり、塗膜表面の水接触角が60度以下である。このように構成された赤外線反射塗料及び赤外線反射膜では、可視光線の透過率が高くなり、かつ平均赤外線反射率7.6〜12.3%の割合で赤外線を反射できるとともに、自己洗浄力が高くなる。また、赤外線反射塗料を種々の被塗物、例えば太陽電池モジュール、ガラス、サイディングボード、打ち放しコンクリート等にプライマーレスで塗布できる。
しかし、上記特許文献1に示された従来の赤外線反射塗料及び赤外線反射膜は、マイカと金属酸化物の屈折率差による反射を利用したものであり、平均赤外線反射率が7.6〜12.3%と低いため、自動車や住宅の室内温度の上昇を十分に抑制できないという問題点があった。
この点を解消するために、住居や自動車向け窓ガラス用赤外線遮蔽材として、基体上に導電性酸化物を含む被膜が形成された熱線遮蔽膜付き基体の製造方法(例えば、特許文献2参照。)や、インジウム錫酸化物粉末(ITO粉末)を含有する熱線遮蔽組成物(例えば、特許文献3参照。)や、タングステン酸化物微粒子を含有する赤外線遮蔽材料微粒子分散体(例えば、特許文献4参照。)などが開示されている。
上記特許文献2に示された熱線遮蔽膜付き基体の製造方法では、導電性酸化物が珪素酸化物及びアルカリ金属酸化物を含む酸化防止材料で被覆された状態で被膜を加熱することにより、加熱前と比較して、日射透過率又は波長1500nmにおける光線透過率の少なくとも一方を低下させる。上記被膜はスパッタリング法により形成される。このように構成された熱線遮蔽膜付き基体の製造方法では、雰囲気を調整するための特別の装置を必要とせずに、導電性酸化物を含む熱線遮蔽膜付き基板の特性を向上できる。
また、上記特許文献3に示された熱線遮蔽組成物では、インジウム錫酸化物粉末(ITO粉末)は、そのBET比表面積が40m2/g以上であって、濃青色(Lab表色系において、L=30以下、a<0、b<0)の色調を有する。また熱線遮蔽組成物に含まれるITO粉末は、山吹色から柿色の色調を有するインジウム錫水酸化物を焼成して表面改質したものか、或いは山吹色から柿色の色調を有するITOを表面改質したものである。このように構成された熱線遮蔽組成物では、表面改質されたITO粉末が熱線遮蔽効果に優れているため、高い透明性を維持しながら日射透過率の低い被膜を形成することができる。
また、上記特許文献4に示された赤外線遮蔽材料微粒子分散体は、赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散してなり、この赤外線遮蔽材料微粒子は、タングステン酸化物微粒子又は複合タングステン酸化物微粒子のいずれか一方又は双方を含有する。また赤外線遮蔽材料微粒子の直径は1nm以上800nm以下である。このように構成された赤外線遮蔽材料微粒子分散体を用いて作製した膜は、太陽光線、特に近赤外線領域の光をより効率良く遮蔽し、同時に可視光領域の透過率を保持する等、優れた光学特性を有する。また赤外線遮蔽材料微粒子分散体を用いて赤外線遮蔽体を製造する際に、真空装置等の大掛かりな装置を使用することなく安価に赤外線遮蔽体を製造できる。
国際公開 WO2013/065733号公報(請求項1〜3、段落[0009]、[0047]) 特開2004−338986号公報(請求項1及び5、段落[0049]) 特開2011−116623号公報(請求項1及び3、段落[0013]) 国際公開 WO2005/037932号公報(請求項1、段落[0039])
しかし、上記従来の特許文献2に示された熱線遮蔽膜付き基体の製造方法では、スパッタリング法で被膜(スパッタ膜)を形成しているため、赤外光のみならず生活に必要な電波まで反射し遮蔽してしまう不具合があった。また、上記従来の特許文献3に示された熱線遮蔽組成物や、従来の特許文献4に示された赤外線遮蔽材料微粒子分散体では、ITO粉末や赤外線遮蔽材料微粒子をナノ粒子の状態で用いており、膜中にナノ粒子の状態の粉末や微粒子が均一に分散しているため、これらの粉末や微粒子の粒界散乱による影響やこれらの粉末や微粒子が微小粒であるという形状の影響で、赤外光の反射よりも赤外光の吸収が優位になり、スパッタ膜に比べて赤外光の反射率が低くなる問題点があった。このため、赤外光の吸収により、膜の温度が上昇し、室内温度も上昇し易くなるという欠点があった。
本発明の目的は、反射特性を向上でき、これにより効率的に赤外光を反射して遮蔽できる、熱線遮蔽材の製造方法を提供することにある。
ITO(Indium Tin Oxide)やATO(Antimony Tin Oxide)等の透明導電性のある金属酸化物はキャリア密度が高いほど、近赤外域に生じるプラズマ反射を利用して、より短波長側の赤外光を遮蔽することができ、また反射率も高くなることが知られている。上記キャリアの生成はドーパントによるものと、酸素欠損によるものとがある。しかし、ドーパントによりキャリアを生成する場合、その生成効率に限界があり、ドーパントのみではキャリア密度を十分に高くすることができず、特に波長が800〜1500nmの範囲内にある近赤外の光を遮蔽できない。このため、本発明者は、酸素欠損によりキャリア密度を高くして、波長が800〜1500nmの範囲内にある近赤外の光を遮蔽すべく、本発明をなすに至った。なお、上記プラズマ反射とは、金属や導電性のある金属酸化物における自由電子のプラズマ振動による光の反射であり、ITO等の導電性のある金属酸化物は金属より自由電子の密度が低いので、エネルギの低い近赤外域で光の反射や吸収が起こり始める。
本発明の第1の観点は、板状無機粒子の表面を透明導電性のある金属酸化物膜で被覆した金属酸化物被覆粒子を還元処理する工程を含み、金属酸化物膜による板状無機粒子表面の被覆割合が60〜100%であり、金属酸化物膜の平均厚さが少なくとも50nmである熱線遮蔽材の製造方法である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に還元処理を行う雰囲気が、アンモニアガス、一酸化炭素ガス及び水素ガスからなる群より選ばれた1種又は2種以上のガスを含む雰囲気であることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に板状無機粒子の平均長径が0.05〜10μmであり、板状無機粒子の平均短径が0.01〜5μmであり、板状無機粒子の平均厚さが5〜20nmであることを特徴とする。
本発明の第1の観点の熱線遮蔽材の製造方法では、板状無機粒子の表面を透明導電性のある金属酸化物膜で被覆した金属酸化物被覆粒子を還元処理して熱線遮蔽材を製造することにより、この熱線遮蔽材が透明導電性のある金属酸化物膜を板状無機粒子の表面に所定の被覆割合でかつ所定の厚さで被覆した状態になる。この結果、金属酸化物膜が島状ではなく膜状になるので、熱線遮蔽材の反射率が良くなる。従って、膜中にナノ粒子の状態の粉末や微粒子が均一に分散しているため、これらの粉末や微粒子の粒界散乱による影響やこれらの粉末や微粒子が微小粒であるという形状の影響で、赤外光を吸収できるけれども反射できず、赤外光の吸収により塗布膜が温度上昇してしまう、従来のITO粉末や赤外線遮蔽材料微粒子をナノ粒子の状態で用いた場合と比較して、本発明の熱線遮蔽材では、赤外光の吸収による温度上昇を抑制できる。
本発明実施形態の方法で製造された熱線遮蔽材である金属酸化物被覆粒子の縦断面模式図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本発明の方法により製造された熱線遮蔽材10は、板状無機粒子11の表面を透明導電性のある金属酸化物膜12で被覆した金属酸化物被覆粒子からなる。上記板状無機粒子11としては、天然マイカ粒子、合成マイカ粒子、タルク粒子等が挙げられる。また上記金属酸化物膜12としては、ITO(Indium Tin Oxide)膜、ATO(Antimony Tin Oxide)膜、WO3膜、SnO2膜等が挙げられる。更に金属酸化物膜12による板状無機粒子11表面の被覆割合は60〜100%で、好ましくは80〜100%であり、金属酸化物膜12の平均厚さは少なくとも50nm、好ましくは70〜100nmである。ここで、金属酸化物膜12による板状無機粒子11表面の被覆割合を60〜100%の範囲内に限定したのは、60%未満とすると次のような不具合があるからである。金属酸化物膜がスパッタ膜のように平板状である場合、赤外光の反射率が吸収率より優位になる。しかし、金属酸化物膜がナノ粒子である場合、この粒子の粒界散乱による影響やこの粒子が微小粒であるという形状の影響で、赤外光の吸収率が反射率より優位になる。赤外光の反射率を高めるためには、金属酸化物膜を、微小粒ではなく、ある程度の面積を持った平板状に近付ける必要がある。しかし、金属酸化物膜による板状無機粒子表面の被覆割合が60%未満では、板状無機粒子上における金属酸化物膜の面積が小さすぎるため、金属酸化物膜が島状となり、板状無機粒子上に微小粒が均一に分散した状態で付着している場合と効果が変わらず、赤外光の反射率より吸収率が勝ってしまう。このため、金属酸化物膜による板状無機粒子表面の被覆割合は60%以上にする必要がある。また、金属酸化物膜12の平均厚さを少なくとも50nmに限定したのは、50nm未満では十分な反射率が得られないからである。
一方、板状無機粒子11の平均長径は0.05〜10μmであることが好ましく、10〜100nmであることが更に好ましい。また、板状無機粒子11の平均短径は0.01〜5μmであることが好ましく、10〜50nmであることが更に好ましい。更に、板状無機粒子1の平均厚さは5〜20nmであることが好ましく、5〜10nmであることが更に好ましい。ここで、板状無機粒子11の平均長径を0.05〜10μmの範囲内に限定したのは、0.05μm未満では十分な反射率が得られず、10μmを超えると膜にした場合にヘーズ(haze)が著しく高くなってしまうからである。また、板状無機粒子11の平均短径を0.01〜5μmの範囲内に限定したのは、0.01μm未満では金属酸化物の被覆が困難になり、5μmを超えると膜にした場合にヘーズ(haze)が著しく高くなってしまうからである。更に、板状無機粒子1の平均厚さを5〜20nmの範囲内に限定したのは、5nm未満では基材の強度が得られず板形状を維持できず、20nmを超えると金属酸化物を被覆した際に厚さが大きくなり膜のヘーズが高くなってしまうからである。なお、金属酸化物膜12の厚さは、金属酸化物膜12により被覆した板状無機粒子11を樹脂で包んだ後に、切断し研磨することにより、薄膜試料を作製し、この薄膜試料をTEM−EDS法(透過型電子顕微鏡を用いたエネルギ分散型X線分光法)により少なくとも20箇所において元素分析及び形状観察を合せて行うことにより得られた厚さを相加平均して求めた。また、金属酸化膜12による板状無機粒子11の被覆割合は、SEM−EDS法(走査型電子顕微鏡を用いたエネルギ分散型X線分光法)によるマッピングを行い、金属酸化膜12により被覆された板状無機粒子11を任意に20個選び、これらの粒子の被覆面積を割り出すことにより得られた被覆割合を相加平均して求めた。更に板状無機粒子11の平均長径、平均短径及び平均厚さは、SEM(走査型電子顕微鏡)装置(日立ハイテクノロジーズ社製のSU8000)を用いて測定した値であり、相加平均値である。
次に上記熱線遮蔽材10の具体的な作製方法を説明する。予めコアとなる板状無機粒子11を分散媒に分散させたスラリーを調製する。ここで、分散媒としては、水を用いることが好ましい。また板状無機粒子11の表面を金属酸化物膜で被覆するための被覆原料を調製する。ここで、金属酸化物膜12がITO膜である場合、被覆原料として、塩化インジウム(InCl3)水溶液と、二塩化錫(SnCl2・2H2O)とを所定の割合で混合して得られた混合水溶液を用いることが好ましい。また、金属酸化物膜12がATO膜である場合、塩化錫(SnCl2)水溶液と、塩化アンチモン(SbCl3)水溶液とを所定の割合で混合した混合水溶液を用いることが好ましい。また金属酸化物膜12がWO3膜である場合、被覆原料としてタングステン錯体溶液を用いることが好ましい。このタングステン錯体溶液は、所定のpHに調整したクエン酸水溶液にパラタングステン酸アンモニウムを添加して溶解させた後、この溶解液に所定濃度のアンモニア水溶液を添加することにより調製されることができる。更に金属酸化物膜12がSnO2膜である場合、被覆原料として塩化錫(SnCl2)水溶液を用いることが好ましい。
先ず上記スラリー及び被覆原料とを混合して得られた混合水溶液とアルカリ源とをpHを調整しながら同時に滴下するか、上記スラリー中に上記被覆原料とアルカリ源とをpHを調整しながら同時に滴下するか、或いは上記スラリーと上記被覆原料とを混合することにより、In/Sn共沈水酸化物、Sb/Sn共沈水酸化物、タングステン錯体、錫水酸化物等の沈殿物を生成する。上記アルカリ源としては、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられる。次いで上記沈殿物に対しイオン交換水等を用いてデカンテーションを複数回繰返して不純物を除去する。
次に上記沈殿物を乾燥した後に、大気中又はN2ガス雰囲気中で焼成する。ここで、金属酸化物膜12がITO膜である場合、焼成は300〜400℃の温度に90〜150分間保持することにより行うことが好ましい。また金属酸化物膜12がATO膜である場合、焼成は600〜700℃の温度に90〜150分間保持することにより行うことが好ましい。また金属酸化物膜12がWO3膜である場合、焼成は450〜550℃の温度に30〜120分間保持することにより行うことが好ましい。更に金属酸化物膜12がSnO2膜である場合、焼成は600〜700℃の温度に90〜150分間保持することにより行うことが好ましい。上記条件で焼成することにより、沈殿物(水酸化物)を金属酸化物に転換させることができ、板状無機粒子11の表面が金属酸化物膜12で被覆された金属酸化物被覆粒子10が得られる。
更に上記板状無機粒子11の表面が金属酸化物膜12で被覆された金属酸化物被覆粒子10を還元処理する。この還元処理を行う雰囲気は、アンモニアガス、一酸化炭素ガス及び水素ガスからなる群より選ばれた1種又は2種以上のガスを含む雰囲気であることが好ましい。ここで、金属酸化物膜12がITO膜である場合、還元処理は300〜350℃の温度に90〜150分間保持することにより行うことが好ましい。また金属酸化物膜12がATO膜である場合、還元処理は300〜350℃の温度に90〜150分間保持することにより行うことが好ましい。また金属酸化物膜12がWO3膜である場合、還元処理は400〜600℃の温度に90〜150分間保持することにより行うことが好ましい。更に金属酸化物膜12がSnO2膜である場合、還元処理は400〜600℃の温度に90〜150分間保持することにより行うことが好ましい。上記条件で還元処理することにより、導電性のある金属酸化物膜12のキャリア濃度を向上できるとともに、還元処理しない場合よりも反射特性を向上でき、より短波長側の赤外線をも遮蔽できる。
このように製造された熱線遮蔽材10は、透明導電性のある金属酸化物膜12を板状無機粒子11の表面に所定の被覆割合でかつ所定の厚さで被覆した状態になるので、金属酸化物膜12が島状ではなく膜状になる。この結果、熱線遮蔽材10の反射率が良くなる。従って、膜中にナノ粒子の状態の粉末や微粒子が均一に分散しているため、これらの粉末や微粒子の粒界散乱による影響やこれらの粉末や微粒子が微小粒であるという形状の影響で、赤外光を吸収できるけれども反射できず、赤外光の吸収により塗布膜が温度上昇してしまう、従来のITO粉末や赤外線遮蔽材料微粒子をナノ粒子の状態で用いた場合と比較して、本発明の熱線遮蔽材10は、赤外光の吸収による温度上昇を抑制できる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
予めコアとなるマイカ粒子(板状無機粒子)100gを、容器に貯留した500ミリリットルの水に添加してビーズミルで60分間撹拌してスラリーを調製し、このスラリーに、塩化インジウム(InCl3)水溶液(In金属濃度24%)と、二塩化錫(SnCl2・2H2O)とを質量比でIn:Sn=9:1となるように混合して得られた混合水溶液を200g用意した。ここで、マイカ粒子(板状無機粒子)の平均長径、平均短径及び平均厚さはそれぞれ0.05μm、0.02μm及び8nmであった。先ず上記混合水溶液とアンモニア水溶液(濃度28%)とを同時に滴下し、pHが6〜8の間になるように調整しながら、30℃の液温で30分間反応させることにより、沈殿物(In/Sn共沈水酸化物)を生成した。次いで上記沈殿物に対しイオン交換水を用いたデカンテーションを8回繰返して不純物を除去した。この不純物が除去された沈殿物を濾別し、大気中で120℃の温度に24時間保持して乾燥することにより、マイカ粒子(板状無機粒子)の表面をインジウム錫水酸化物膜で被覆した水酸化物被覆粒子を得た。次にこの水酸化物被覆粒子25gをガラスシャーレに入れ、大気中で330℃の温度に2時間保持する焼成を行って、水酸化物をITOに転換させ、マイカ粒子表面がITO膜で被覆された金属酸化物被覆粒子を得た。そしてN2ガスとH2ガスを質量比で97:3に混合した混合ガスを上記ガラスシャーレ内に0.5リットル/分の流量で流通させた還元雰囲気中で、330℃の温度に2時間保持する熱処理を行うことにより、上記金属酸化物被覆粒子を均一に還元した(還元処理)。更にこの還元した金属酸化物被覆粒子(熱線遮蔽材)20gを、MEK(メチルエチルケトン)とソルスパース20000(リューブリゾル社製の分散媒)とアクリル樹脂の混合液20gに入れて分散させ、この分散液をMEK(メチルエチルケトン)で固形分10%に希釈した後に、この希釈した分散液を回転速度1000rpmのスピンコートによりガラス基板(縦及び横がそれぞれ5cmである正方形状であって厚さが0.7mmである無アルカリガラス(全光線透過率=92%))上にコーティングして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例1とした。なお、上記金属酸化物被覆粒子(熱線遮蔽材)において、ITO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合は85%であり、ITO膜(金属酸化物膜)の平均厚さは50nmであった。ここで、ITO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合はSEM−EDS法により測定し、ITO膜(金属酸化物膜)の平均厚さはSEM法により測定した。
<実施例2>
予めマイカ粒子(板状無機粒子)100gを、容器に貯留した500ミリリットルの水に添加してビーズミルで60分間撹拌し、スラリーを調製した。また塩化錫(SnCl2)水溶液(Sn金属濃度55%)と、塩化アンチモン(SbCl3)水溶液(金属濃度60%)とを質量比でSn:Sb=9:1となるように混合して200gの混合水溶液を調製した。先ず上記スラリー中に、上記混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液(濃度35%)とを同時に滴下し、pHが3〜4の間になるように調整しながら、25℃の液温で60分間反応させることにより、沈殿物(Sb/Sn共沈水酸化物)を生成した。次いで上記沈殿物に対しイオン交換水を用いたデカンテーションを、沈殿物の電気伝導度が0.4mS/cm未満になるまで繰返して、不純物を除去した。この不純物が除去された沈殿物を濾別し、大気中で110℃の温度に12時間保持して乾燥することにより、マイカ粒子(板状無機粒子)の表面をアンチモン錫水酸化物膜で被覆した水酸化物被覆粒子を得た。次にこの水酸化物被覆粒子25gを石英管状炉に入れ、大気中で650℃の温度に2時間保持する焼成を行った後、アトマイザー粉砕を行って、水酸化物をATOに転換させ、マイカ粒子表面がATO膜で被覆された金属酸化物被覆粒子を得た。そして水蒸気とアンモニアガスを質量比で9:1に混合した混合気を上記石英管状炉内に0.5リットル/分の流量で流通させた還元雰囲気中で、330℃の温度に2時間保持する熱処理を行うことにより、上記金属酸化物被覆粒子を均一に還元した(還元処理)。更にこの還元した金属酸化物被覆粒子(熱線遮蔽材)20gを、実施例1と同様に、MEK(メチルエチルケトン)とソルスパース20000(リューブリゾル社製の分散媒)とアクリル樹脂の混合液20gに入れて分散させ、この分散液をMEK(メチルエチルケトン)で固形分10%に希釈した後に、この希釈した分散液を回転速度1000rpmのスピンコートによりガラス基板(縦及び横がそれぞれ5cmである正方形状であって厚さが0.7mmである無アルカリガラス(全光線透過率=92%))上にコーティングして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例2とした。なお、上記金属酸化物被覆粒子(熱線遮蔽材)において、ATO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合は80%であり、ATO膜(金属酸化物膜)の平均厚さは70nmであった。
<実施例3>
予めマイカ粒子(板状無機粒子)100gを、容器に貯留した500ミリリットルの水に添加してビーズミルで60分間撹拌し、スラリーを調製した。また上記の容器とは別の容器にpH2に調整したクエン酸水溶液を貯留し、このクエン酸水溶液にパラタングステン酸アンモニウムを添加し撹拌して完全に溶解させた後、この溶解液に濃度28%のアンモニア水溶液を添加することにより、タングステン錯体溶液を調製した。先ずこのタングステン錯体溶液をエバポレータで濃縮した後に、この濃縮したタングステン錯体溶液と上記スラリーとを混合して、1時間静置して沈殿物(タングステン錯体)を得た。この沈殿物を、大気中で140℃の温度に5時間保持して乾燥することにより、マイカ粒子(板状無機粒子)の表面をタングステン錯体膜で被覆した錯体被覆粒子を得た。次にこの錯体被覆粒子を乳鉢で粉砕した後に、この錯体被覆粒子50gを磁性るつぼに入れ、大気中で520℃の温度に1時間保持する焼成を行って、タングステン錯体を酸化タングステンに転換させ、マイカ粒子表面がWO3膜で被覆された金属酸化物被覆粒子を得た。そしてWO3膜で被覆された金属酸化物被覆粒子を石英管状炉に入れ、N2ガスをこの石英管状炉内に0.5リットル/分の流量で流通させた還元雰囲気中で、500℃の温度に2時間保持する熱処理を行うことにより、上記金属酸化物被覆粒子を均一に還元した(還元処理)。更にこの還元した金属酸化物被覆粒子(熱線遮蔽材)を市販のアクリル塗料に添加し、このアクリル塗料をビーズ入りのペイントシェーカで60分間撹拌し、このアクリル塗料をエタノールで固形分10%に希釈した後、この希釈したアクリル塗料を回転速度1000rpmのスピンコートによりガラス基板(縦及び横がそれぞれ5cmである正方形状であって厚さが0.7mmである無アルカリガラス(全光線透過率=92%))上にコーティングすることにより、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例3とした。なお、上記金属酸化物被覆粒子(熱線遮蔽材)において、WO3膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合は85%であり、WO3膜(金属酸化物膜)の平均厚さは70nmであった。
<実施例4>
予めマイカ粒子(板状無機粒子)100gを、容器に貯留した500ミリリットルの水に添加してビーズミルで60分間撹拌し、スラリーを調製した。先ずこのスラリーを90℃に加熱した後に、このスラリーに、塩化錫(SnCl2)水溶液(Sn金属濃度55%)と、1Nに希釈した水酸化ナトリウム水溶液とを同時に滴下し、pHが3〜4の間になるように調整しながら、反応させることにより、沈殿物(錫水酸化物)を生成した。なお、上記滴下時間は25分間であった。次いで上記沈殿物に対しイオン交換水を用いたデカンテーションを8回繰返して不純物を除去した。この不純物が除去された沈殿物を濾別し、大気中で120℃の温度に12時間保持して乾燥することにより、マイカ粒子(板状無機粒子)の表面を錫水酸化物膜で被覆した水酸化物被覆粒子を得た。次にこの水酸化物被覆粒子25gを石英管状炉に入れ、大気中で650℃の温度に2時間保持する焼成を行って、錫水酸化物を酸化錫に転換させ、マイカ粒子表面がSnO2膜で被覆された金属酸化物被覆粒子を得た。そしてN2ガスとアンモニアガスを質量比で9:1に混合した混合ガスを上記石英管状炉内に0.5リットル/分の流量で流通させた還元雰囲気中で、500℃の温度に2時間保持する熱処理を行うことにより、上記金属酸化物被覆粒子を均一に還元した(還元処理)。更にこの還元した金属酸化物被覆粒子(熱線遮蔽材)を、実施例3と同様に、市販のアクリル塗料に添加し、このアクリル塗料をビーズ入りのペイントシェーカで60分間撹拌し、このアクリル塗料をエタノールで固形分10%に希釈した後、この希釈したアクリル塗料を回転速度1000rpmのスピンコートによりガラス基板(縦及び横がそれぞれ5cmである正方形状であって厚さが0.7mmである無アルカリガラス(全光線透過率=92%))上にコーティングすることにより、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例4とした。なお、上記金属酸化物被覆粒子(熱線遮蔽材)において、SnO2膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合は90%であり、SnO2膜(金属酸化物膜)の平均厚さは75nmであった。
<比較例1>
ITO膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を、N2ガスのみを0.5リットル/分の流量で流通させた不活性ガス雰囲気中で行ったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例1とした。
<比較例2>
ITO膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を、水蒸気のみを0.5リットル/分の流量で流通させた水蒸気雰囲気中で行ったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例2とした。
<比較例3>
ITO膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例3とした。
<比較例4>
ATO膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を、N2ガスのみを0.5リットル/分の流量で流通させた不活性ガス雰囲気中で行ったこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例4とした。
<比較例5>
ATO膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を、水蒸気のみを0.5リットル/分の流量で流通させた水蒸気雰囲気中で行ったこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例5とした。
<比較例6>
ATO膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例6とした。
<比較例7>
WO3膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を、N2ガスのみを0.5リットル/分の流量で流通させた不活性ガス雰囲気中で行ったこと以外は、実施例3と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例7とした。
<比較例8>
WO3膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を、水蒸気のみを0.5リットル/分の流量で流通させた水蒸気雰囲気中で行ったこと以外は、実施例3と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例8とした。
<比較例9>
WO3膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例9とした。
<比較例10>
SnO2膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を、N2ガスのみを0.5リットル/分の流量で流通させた不活性ガス雰囲気中で行ったこと以外は、実施例4と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例10とした。
<比較例11>
SnO2膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を、水蒸気のみを0.5リットル/分の流量で流通させた水蒸気雰囲気中で行ったこと以外は、実施例4と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例11とした。
<比較例12>
SnO2膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を行わなかったこと以外は、実施例4と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例12とした。
<比較試験1及び評価>
実施例1〜4及び比較例1〜12のガラス基板上に形成された膜の光学特性をそれぞれ測定した。具体的には、上記膜の可視光線透過率、日射透過率及び反射率をそれぞれ測定した。具体的には、先ず積分球式分光光度計(日立ハイテクノロジー社製:U−4100型)を用いて、上記膜の透過率及び反射率(波長200nm〜2600nm)をそれぞれ測定した。次に可視光線透過率(TV)をJIS規格(JIS R 3216−1998)に従い、380nm〜780nmの透過率から算出し、日射透過率(TS)をJIS規格(JIS R 3216−1998)に従い、300nm〜2500nmの透過率から算出した。これらの結果を、金属酸化物膜の種類、還元処理の有無及び還元処理時の雰囲気とともに、表1に示す。なお、表1において、反射率は波長1000nm及び1600nmにおける反射率をそれぞれ記載した。また、波長1000nm及び1600nmの電磁波は赤外光(波長780nm以上の電磁波)に含まれる。
Figure 0006201841
表1から明らかなように、ITO膜(金属酸化物膜)で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を還元雰囲気中で行わなかった比較例1〜3では、ガラス基板上の膜の可視光線透過率TVと日射透過率TSとの比TV/TSが1.0〜1.2と大きかったけれども、波長1000nm及び1600nmにおけるガラス基板上の膜の反射率がそれぞれ12〜15%及び25〜38%と低かったのに対し、ITO膜(金属酸化物膜)で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を還元雰囲気中で行った実施例1では、ガラス基板上の膜の可視光線透過率TVと日射透過率TSとの比TV/TSが1.4と大きく、かつ波長1000nm及び1600nmにおけるガラス基板上の膜の反射率がそれぞれ20%及び55%と高くなった。
また、ATO膜(金属酸化物膜)で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を還元雰囲気中で行わなかった比較例4〜6では、ガラス基板上の膜の可視光線透過率TVと日射透過率TSとの比TV/TSが1.0〜1.1と大きかったけれども、波長1000nm及び1600nmにおけるガラス基板上の膜の反射率がそれぞれ10〜11%及び25〜30%と低かったのに対し、ATO膜(金属酸化物膜)で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を還元雰囲気中で行った実施例2では、ガラス基板上の膜の可視光線透過率TVと日射透過率TSとの比TV/TSが1.3と大きく、かつ波長1000nm及び1600nmにおけるガラス基板上の膜の反射率がそれぞれ19%及び42%と高くなった。
また、WO3膜(金属酸化物膜)で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を還元雰囲気中で行わなかった比較例7〜9では、ガラス基板上の膜の可視光線透過率TVと日射透過率TSとの比TV/TSが1.0〜1.2と大きかったけれども、波長1000nm及び1600nmにおけるガラス基板上の膜の反射率がそれぞれ8〜13%及び28〜33%と低かったのに対し、WO3膜(金属酸化物膜)で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を還元雰囲気中で行った実施例3では、ガラス基板上の膜の可視光線透過率TVと日射透過率TSとの比TV/TSが1.2と大きく、かつ波長1000nm及び1600nmにおけるガラス基板上の膜の反射率がそれぞれ20%及び50%と高くなった。
更に、SnO2膜(金属酸化物膜)で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を還元雰囲気中で行わなかった比較例10〜12では、ガラス基板上の膜の可視光線透過率TVと日射透過率TSとの比TV/TSが1.0〜1.1と大きかったけれども、波長1000nm及び1600nmにおけるガラス基板上の膜の反射率がそれぞれ2〜4%及び10〜13%と低かったのに対し、SnO2膜(金属酸化物膜)で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を還元雰囲気中で行った実施例4では、ガラス基板上の膜の可視光線透過率TVと日射透過率TSとの比TV/TSが1.2と大きく、かつ波長1000nm及び1600nmにおけるガラス基板上の膜の反射率がそれぞれ10%及び25%と高くなった。
上述のことから、金属酸化物膜で被覆された金属酸化物被覆粒子の焼成後の熱処理を還元雰囲気中で行うと、ガラス基板上の膜の可視光線透過率TVと日射透過率TSとの比TV/TSを大きく維持したまま、ガラス基板上の膜の反射率が高くなることが分かった。この結果、実施例1〜12の金属酸化物被覆粒子を含有する塗料等は、反射特性に優れているので、赤外光の吸収による温度上昇を抑制できることが分かった。
<実施例5>
ITO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が60%であり、ITO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが70nmであったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例5とした。
<実施例6>
ITO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が80%であり、ITO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが70nmであったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例6とした。
<実施例7>
ITO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が100%であり、ITO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが70nmであったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例7とした。
<実施例8>
ITO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が80%であり、ITO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが50nmであったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例8とした。
<実施例9>
ITO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が80%であり、ITO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが100nmであったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例9とした。
<実施例10>
ATO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が60%であり、ATO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが70nmであったこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例10とした。
<実施例11>
ATO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が100%であり、ATO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが70nmであったこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例11とした。
<実施例12>
ATO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が80%であり、ATO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが50nmであったこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例12とした。
<実施例13>
ATO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が80%であり、ATO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが70nmであったこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例13とした。
<実施例14>
ATO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が80%であり、ATO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが100nmであったこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を実施例14とした。
<比較例13>
ITO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が57%であり、ITO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが70nmであったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例13とした。
<比較例14>
ITO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が80%であり、ITO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが47nmであったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例14とした。
<比較例15>
ATO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が57%であり、ATO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが70nmであったこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例15とした。
<比較例16>
ATO膜(金属酸化物膜)による板状無機粒子表面の被覆割合が80%であり、ATO膜(金属酸化物膜)の平均厚さが47nmであったこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に厚さ約200nmの膜を形成した。この膜を比較例16とした。
<比較試験2及び評価>
実施例5〜14及び比較例13〜16のガラス基板上に形成された膜の光学特性をそれぞれ比較試験1と同様に測定した。これらの結果を、金属酸化物膜の種類、被覆割合及び平均厚さとともに、表2に示す。
Figure 0006201841
(1)金属酸化物膜がITO膜である場合
表2から明らかなように、膜の平均厚さが70nmと十分であっても、膜による被覆割合が57%と少ない比較例13では、波長1600nmにおける膜の反射率が34%と低かった。これに対し、膜の平均厚さが70nmと十分であり、膜による被覆割合が60〜100%と大きい実施例5〜7では、TV/TSは比較例13と同程度の1.3〜1.4であったけれども、波長1600nmにおける膜の反射率が49〜63%と高くなった。これらのことから、被覆割合が高くなるほど波長1600nmにおける膜の反射率が高くなり、特に、膜による被覆割合を好ましい80%以上にすると、波長1600nmにおける膜の反射率が54%以上と極めて高くなることが分かった。また、膜による被覆割合が80%と十分であっても、膜の平均厚さが47nmと薄い比較例14では、波長1600nmにおける反射率が32%と低かった。これに対し、膜による被覆割合が80%と十分であり、膜の平均厚さが50nm〜100nmと厚い実施例6、9及び10では、TV/TSは比較例14と同程度の1.3〜1.4であったけれども、波長1600nmにおける反射率が49〜58と高くなった。これらのことから、膜の平均厚さを厚くするほど波長1600nmにおける膜の反射率が高くなり、特に、膜の平均厚さを好ましい70nm以上にすると、波長1600nmにおける膜の反射率が54%以上と極めて高くなることが分かった。
(2)金属酸化物膜がATO膜である場合
表2から明らかなように、膜の平均厚さが70nmと十分であっても、膜による被覆割合が57%と少ない比較例15では、波長1600nmにおける膜の反射率が28%と低かった。これに対し、膜の平均厚さが70nmと十分であり、膜による被覆割合が60〜100%と大きい実施例10、11及び13では、TV/TSは比較例15と同程度の1.1〜1.3であったけれども、波長1600nmにおける膜の反射率が38〜47%と高くなった。これらのことから、被覆割合が高くなるほど波長1600nmにおける膜の反射率が高くなり、特に、膜による被覆割合を好ましい80%以上にすると、波長1600nmにおける膜の反射率が41%以上になることが分かった。また、膜による被覆割合が80%と十分であっても、膜の平均厚さが47nmと薄い比較例16では、波長1600nmにおける反射率が25%と低かった。これに対し、膜による被覆割合が80%と十分であり、膜の平均厚さが50nm〜100nmと厚い実施例12〜14では、TV/TSは比較例15と同程度の1.3〜1.4であったけれども、波長1600nmにおける反射率が35〜52と高くなった。これらのことから、膜の平均厚さを厚くするほど波長1600nmにおける膜の反射率が高くなり、特に、膜の平均厚さを好ましい70nm以上にすると、波長1600nmにおける膜の反射率が41%以上になることが分かった。
10 金属酸化物被覆粒子(熱線遮蔽材)
11 板状無機粒子
12 金属酸化物膜

Claims (3)

  1. 板状無機粒子の表面を透明導電性のある金属酸化物膜で被覆した金属酸化物被覆粒子を還元処理する工程を含み、
    前記金属酸化物膜による前記板状無機粒子表面の被覆割合が60〜100%であり、
    前記金属酸化物膜の平均厚さが少なくとも50nmである熱線遮蔽材の製造方法。
  2. 前記還元処理を行う雰囲気が、アンモニアガス、一酸化炭素ガス及び水素ガスからなる群より選ばれた1種又は2種以上のガスを含む雰囲気である請求項1記載の熱線遮蔽材の製造方法。
  3. 前記板状無機粒子の平均長径が0.05〜10μmであり、前記板状無機粒子の平均短径が0.01〜5μmであり、前記板状無機粒子の平均厚さが5〜20nmである請求項1又は2記載の熱線遮蔽材の製造方法。
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