JP2006010759A - 近赤外線遮蔽材料微粒子分散体および近赤外線遮蔽体並びに近赤外線遮蔽材料を通過する可視光の色調調整方法 - Google Patents

近赤外線遮蔽材料微粒子分散体および近赤外線遮蔽体並びに近赤外線遮蔽材料を通過する可視光の色調調整方法 Download PDF

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広充 武田
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Abstract

【課題】
優れた近赤外線遮蔽特性を有しながら、L表色系におけるaの小さいニュートラルな色調を発色させることができ、耐熱性、耐光性にも優れた赤外線遮蔽材料微粒子、及び近赤外線遮蔽体、並びに赤外線遮蔽材料を通過する可視光の色調調整方法を提供する
【解決手段】
1849とトルエンと高分子系分散剤とを混合して分散処理を行い平均分散粒子径が80nmの分散液を調製し、一方、LaB微粒子とトルエンと高分子系分散剤とを混合して分散処理を行い平均分散粒子径が80nmの分散液を調製し、両分散液を、W1849/LaB=2.2(重量比)となるように混合し赤外線遮蔽材料微粒子を得、さらに該赤外線遮蔽材料微粒子とハードコート用紫外線硬化樹脂とを混合して成膜後、紫外線照射により硬化させて近赤外線遮蔽体を得た。
【選択図】 なし

Description

本発明は、可視光領域において透明で、近赤外線線領域に吸収を持つ近赤外線遮蔽材料微粒子分散体に関し、また該近赤外線遮蔽材料微粒子分散体を板状、フィルム状、または薄膜状にした近赤外線遮蔽体に関し、さらに近赤外線遮蔽材料を通過する可視光の色調調整方法に関する。
建築物や輸送機器等の窓等に使用される遮光部材として、可視光領域から近赤外線領域に吸収があるカーボンブラックや、チタンブラック等の無機顔料や、アニリンブラック等の有機顔料等の黒色系顔料を含有する遮光フィルム(例えば、特許文献1参照)や、アルミ等の金属を蒸着したハーフミラータイプの遮光部材(例えば、特許文献2参照)が知られている。これらの材料は、彩度が低く色調は黒色系であるものの、意匠性や実用性の面から黒色系の色調が好まれることが多いため用いられている。
さらに、建築物や輸送機器等の窓等に使用される遮光部材として、上述した黒色系顔料や金属蒸着膜の他にも、1000nm程度の近赤外線を選択的に吸収する特性を有する6ホウ化物の微粒子分散膜(例えば、特許文献3、4参照)や、1000nm程度の近赤外線を選択的に吸収する特性をもち、380nm〜780nmの可視光領域を透過する特性をもつタングステン酸化物の微粒子分散膜も提案されている。
また、上述した建築物や輸送機器等の窓等とは異なる用途であるが、プラズマディスプレイパネル(以下PDPと記す)の前面に設ける近赤外線吸収材として、フタロシアニン系の顔料が提案されている。(例えば、特許文献5参照)この近赤外線吸収材設置の目的は、PDPの前面から1000nm付近の近赤外線が放出され、この近赤外線が、周囲のリモコン等の電子機器に誤動作を生じさせることを回避するためである。
特開2003−029314号公報 特開平09−107815号公報 特開2000−96034号公報 特開2000−72484号公報 特開2000−281919号公報
建築物や輸送機器等の窓等での断熱用途を考慮した場合、地表に到達する太陽光線は200nmから2600nm程度の波長分布を持っており、このうち、380nm〜780nmの可視光線を除く波長領域の光を効率良く遮蔽することで、太陽光線の熱エネルギーを制御し、窓等に断熱効果をもたらすことが可能となる。そこで本発明者らは、窓等の断熱用途を想定した材料に要求される特性は、380nm〜780nmの可視光線を透過することで人の目には透明であり、その一方で、780nm以上の目に見えない近赤外線を効率よく遮蔽し、太陽光線等の熱をカットする機能を持つ材料であることに想到した。
しかし、上述した黒色系顔料は、可視光領域に大きな吸収があり透明性が低いため、建物内や輸送機器内等が、暗くなるという問題点があり使用方法が限られてしまう。また、金属蒸着膜の外観はハーフミラー状態であることから、屋外での使用では反射がまぶしく景観上問題がある。また、金属蒸着膜の透明基体上への設置には、蒸着装置等の大掛かりな装置が必要であり多額の設備コストが必要である。一方、6ホウ化物の微粒子分散膜は、近赤外線を選択的吸収特性と可視光透過に優れるが透過色は緑色系となる。また、タングステン酸化物の微粒子分散膜も同様に近赤外線を選択的吸収特性と可視光透過に優れるが透過色は青色系となる。このため、6ホウ化物の微粒子分散膜やタングステン酸化物の微粒子分散膜を、それぞれ単独で使用すると、緑色、もしくは青色の近赤外線吸収膜となり意匠性上の問題があった。
このように、優れた近赤外線遮蔽特性を有したまま、色調調整が可能であり、L表色系においてaの小さいニュートラルな色調を発色させることができ、意匠性の向上も図れる近赤外線遮蔽材料微粒子分散体は、見出されていない。
特に、PDPの前面に設けられる近赤外線吸収材は、PDPが可視光領域の3色光によってカラー映像が映し出していることより、可視光領域を選択的に透過する特性を有し、さらにPDPのカラーバランスを考慮すると、彩度の低い材料であることが好ましい。
しかし、フタロシアニン系の顔料は、高価な上に、耐熱性が悪く、使用用途、製造工程が限定されてしまう。
本発明は、上述の背景の基になされたものであり、優れた近赤外線遮蔽特性を有したまま、色調調整、または、L表色系におけるaの小さいニュートラルな色調を発色させることができ、耐熱性、耐光性にも優れ、透明基材に設置する際にも大掛かりな装置を必要としない近赤外線遮蔽材料微粒子分散体、及び、該近赤外線遮蔽材料微粒子分散体を板状、フィルム状、薄膜状にした近赤外線遮蔽体、並びに、該近赤外線遮蔽材料微粒子を用いて優れた近赤外線遮蔽特性を有したまま、色調調整、または、L表色系におけるaの小さいニュートラルな色調を発色させるという赤外線遮蔽材料を通過する可視光の色調調整方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の課点を解決するために、耐熱性に優れた各種無機酸化物材料、近赤外線遮蔽特性を有する材料を検討した結果、青色系のタングステン酸化物微粒子と、緑色系の6ホウ化物微粒子やITO微粒子、ATO微粒子、AZO微粒子から選択される1種類以上の微粒子とを含有する近赤外線遮蔽材料微粒子分散体が、近赤外線の吸収特性を保持したまま、色調調整が可能、または、L表色系においてaの小さいニュートラルな色調を発色させることができることに想到し本発明に至った。
すなわち、上述の課題を解決するための第1の手段は、
近赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散している近赤外線遮蔽材料微粒子分散体であって、
前記近赤外線遮蔽材料は、タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子と、6ホウ化物微粒子とを含有し、
前記タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子と、前記6ホウ化物微粒子との混合比率が、重量比において0.5:99.5〜99.9:0.1の範囲であり、
前記近赤外線遮蔽材料微粒子の平均分散粒子径が、1nm以上800nm以下であることを特徴とする近赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
第2の手段は、
前記タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子と、6ホウ化物微粒子と、
ITO(但し、Sn添加In)、ATO(但し、Sb添加SnO)、AZO(但し、Al添加ZnO)から選択される1種類以上であって、その平均分散粒子径が1nm以上800nm以下である微粒子とを含有し、
前記タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子と6ホウ化物微粒子との混合物と、前記ITO、ATO、AZOから選択される1種類以上の微粒子との混合比率が、重量比において1:0.5〜1:50の範囲であることを特徴とする第1の手段に記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
第3の手段は、
前記タングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(W:タングステン、O:酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表されるタングステン酸化物の微粒子であることを特徴とする第1または第2の手段に記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
第4の手段は、
前記タングステン酸化物微粒子が、一般式WyO(2.40≦z/y≦2.99)で表される組成比のマグネリ相を含むことを特徴とする第1〜第3の手段のいずれかに記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
第5の手段は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MxWyOz(M:陽性元素;Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択されるの1種類以上の元素、W:タングステン、O:酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子であることを特徴とする第1〜第4の手段のいずれかに記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
第6の手段は、
前記一般式MxWyOzで表される前記複合タングステン酸化物微粒子が、立方晶のタングステンブロンズ構造、正方晶のタングステンブロンズ構造、六方晶のタングステンブロンズ構造のいずれか一種以上を含むことを特徴とする第5の手段に記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
第7の手段は、
前記M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素であることを特徴とする第5または第6の手段に記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
第8の手段は、
前記6ホウ化物微粒子が、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Ca、Yのうちから選択される1種類以上の元素の6ホウ化物微粒子であることを特徴とする第1〜第7の手段のいずれかに記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
第9の手段は、
第1〜第8の手段のいずれか記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体を含む近赤外線遮蔽膜の日射透過率が70%以下のとき、L表色系における該近赤外線遮蔽膜の色調が、a値は−8以上+8以下、b値は−8以上+3以下であることを特徴とする近赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
第10の手段は、
前記媒体が、樹脂またはガラスであることを特徴とする第1〜第9の手段のいずれかに記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体である。
第11の手段は、
第10の手段に記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体を含むことを特徴とする、板状、フィルム状、または薄膜状の近赤外線遮蔽体である。
第12の手段は、
異なった色の可視光を通過させる2種以上の近赤外線遮蔽材料を混合して使用することを特徴とする近赤外線遮蔽材料を通過する可視光の色調調整方法である。
第13の手段は、
青色の可視光を通過させる近赤外線遮蔽材料と、緑色の可視光を通過させる近赤外線遮蔽材料とを混合して使用することを特徴とする近赤外線遮蔽材料を通過する可視光の色調調整方法である。
本発明に係る近赤外線遮蔽材料微粒子分散体は、近赤外線の吸収特性を保持したまま、色調調整が可能、または、L表色系においてaの小さいニュートラルな色調を発色させることができるという優れた近赤外線遮蔽特性と、意匠性向上の観点からの応用性が高く工業的に有用である。
また、本発明に係る近赤外線遮蔽体は、近赤外線の吸収特性を保持したまま、色調調整が可能、さらに、L表色系においてaの小さいニュートラルな色調を発色させることができるという優れた近赤外線遮蔽特性と、意匠性向上の観点からの応用性が高く、各種の窓材や、PDP等に好ましく用いることができる。
さらに本発明に係る近赤外線遮蔽材料を通過する可視光の色調調整方法によれば、当該可視光をL表色系においてaの小さいニュートラルな色調とすることができるので、優れた近赤外線遮蔽特性と意匠性向上とを同時に実現することができる。
一般に、自由電子を含む材料はプラズマ振動によって波長200nmから2600nmの太陽光線の領域周辺の電磁波に反射吸収応答を示すことが知られている。そして、このような材料の粉末粒子の径を光の波長より小さくした微粒子とすると、該材料微粒子に起因する可視光領域(波長380nmから780nm)における幾何学散乱が低減され、可視光領域の透明性が得られる。
そして、本発明に係る近赤外線遮蔽材料微粒子分散体は、可視光領域において透明であり、近赤外線領域に吸収のある青色系の透過色を呈するタングステン酸化物または/及び、複合タングステン酸化物微粒子と、可視光領域で透過性があり近赤外線領域に吸収のある緑色系の透過色を呈する6ホウ化物、長波長の太陽光線を効率良く吸収するITO(但し、Sn添加In)、ATO(但し、Sb添加SnO)、AZO(但し、Al添加ZnO)から選択される1種類以上の微粒子とを含有する近赤外線遮蔽材料微粒子を製造し、該近赤外線遮蔽材料微粒子を、媒体中に平均分散粒子径1nm以上800nm以下の微粒子として分散させたものである。
以下、1.近赤外線遮蔽材料、2.タングステン酸化物微粒子及び複合タングステン酸化物微粒子、3.6ホウ化物微粒子、4.近赤外線遮蔽材料微粒子分散体、5.微粒子の平均分散粒子径、6.分散方法と添加剤、7.本発明の適用例の順に、本発明を詳細に説明する。
1.近赤外線遮蔽材料
図1を参照しながら本発明に係る近赤外線遮蔽材料について説明する。図1は、縦軸に光の透過率、横軸に透過光の波長をとったグラフであり、W1849の組成を有するタングステン酸化物微粒子が示す光の透過プロファイルを実線で、LaBの組成を有する6ホウ化物微粒子が示す光の透過プロファイルを破線で、該タングステン酸化物微粒子と6ホウ化物微粒子との混合物が示す光の透過プロファイルを一点鎖線で記載したものである。
図1に示すように、タングステン酸化物微粒子は400nm〜500nm付近に透過率のピークをもち青色系の色調を呈する。また、近赤外線領域では、近赤外線領域の光を大きく吸収する特性を有している。
一方、6ホウ化物は、500nm〜600nm付近に透過率のピークをもち緑色系の色調を呈し、近赤外線領の光を吸収する特性を有している。
すなわち、この両材料は、可視光領域の380nm〜780nmにおいて、それぞれ一部を選択的に透過するために、青色または緑色の着色が生じるのである。ここで本発明者らは、この両材料を混合して使用すると、図1中にて一点鎖線で示すように、可視光領域の透過率の波長分散が平均化され、もともとの両材料と比較して色彩を抑えた色調の材料とすることが可能となることに想到した。即ち、その色調は、両材料の混合比によって、青色系から青色系の黒色、黒色系、さらには、緑色系の黒色へと可変である。
ここで、該タングステン酸化物微粒子と6ホウ化物微粒子との混合により、色彩を抑えた色調の材料がえられることについて、具体例を用いて説明する。
例えば、D65光源を用いた場合におけるW1849微粒子分散膜の10度視野の色調は、L=76.2115、a=−5.6139、b=−13.4041であり、色調は美しい青色だが、この微粒子単独では色調を変化させることは困難である。
一方、例えば、D65光源を用いた場合におけるLaB微粒子分散膜の10度視野の色調は、L=77.7900、a=−9.4500、b=10.8900であり、色調は美しい緑色だが、この微粒子単独では色調変化させることは困難である。
結局のところ、上記色調は材料固有の色調であるため、各々単独では色調を変化させることは難しい。しかし、両材料を混合して使用すると、近赤外線領域の吸収を保持したまま、色調を変化させることが可能となる。
例えば、W1849微粒子とLaB微粒子とを、重量比でW1849/LaB=4.3となるように混合して分散膜とした場合、D65光源を用いた場合における10度視野の色調は、L=80.8985、a=−6.3854、b=−2.7041となった。つまり、該分散体は、W1849微粒子を単独で使用した場合に比較して、負の領域でb値の絶対値を減少させ、強い青色味を減少させていることが分かる。また、LaB微粒子を単独で使用した場合に比較して、正のb値を減少させ、膜の黄色味を大きく減少させていることが分かる。一般的に、窓等に使用される遮光部材として、黄色味を増徴させる正のb値の増加は好まれないので、この観点からも上記混合による色調の変更は有効である。また両材料の混合によっても近赤外線吸収機能は保持されるため、良好な近赤外線遮蔽特性が得られる。
また、両材料の混合比率が、両材料の重量比で0.5:99.5〜99.9:0.1の範囲、さらに好ましくは10:90〜80:20の範囲にあるときに、顕著な色調の変更の効果を得ることができる。
さらに、両材料の混合物へ、ITO微粒子、ATO微粒子、AZO微粒子から選択される1種類以上の微粒子を添加することで、長波長側の赤外線の遮蔽効果を、より向上させることができる。ITO微粒子やATO微粒子やAZO微粒子は、可視光領域の吸収が弱く近赤外のみに強い吸収があるので、近赤外線遮蔽材料の色調を大きく変えることなく近赤外線を遮蔽するのに効率が良いからである。
上記のように、近赤外線遮蔽材料微粒子分散体として、タングステン酸化物微粒子と、6ホウ化物と、ITO、ATO、AZOから選択された微粒子1種類以上の添加微粒子とを媒体中に分散させて近赤外線遮蔽材料微粒子分散体とする場合は、タングステン酸化物微粒子と6ホウ化物微粒子との混合物と、前記ITO、ATO、AZOから選択される1種類以上の微粒子との混合比率が、重量比において1:0.5〜1:50の範囲であるときに、顕著な色調の変更の効果と、近赤外線遮蔽効果とを得ることができる。
2.タングステン酸化物微粒子及び複合タングステン酸化物微粒子
上述した、「1.近赤外線遮蔽材料」において、タングステン酸化物微粒子を近赤外線遮蔽材料の例として挙げて説明をおこなったが、近赤外線遮蔽材料はタングステン酸化物微粒子に限られることなく、複合タングステン酸化物微粒子、及び、タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子との混合物も同様に使用することができる。
以下、タングステン酸化物微粒子及び複合タングステン酸化物微粒子について説明する。
一般に、三酸化タングステンWOには、有効な自由電子が存在しないため、近赤外線領域に吸収反射特性が無く、近赤外線遮蔽材料としては有効ではない。しかし、該WOにおいて、タングステンに対する酸素の比率を3より低下させることで、該WO中に自由電子が生成され近赤外線遮蔽材として有効となる。
本発明に用いられるタングステン酸化物微粒子において、酸素とタングステンの組成比は、特に限定されないが、一般式WyOzで表記したとき(但し、W:タングステン、O:酸素)2.2≦z/y≦2.999であることが望ましい。z/yが2.2以上であれば、WOの結晶相が現れることを回避でき、2.999以下であれば、十分な量の自由電子が生成し好ましい。また、本発明における近赤外線遮蔽材料の結晶構造は、規則性があっても良く、不規則でも良く、さらには非晶質であっても効果は得られる。しかし、その中でも、本発明に係るタングステン酸化物微粒子は、前記一般式WyOzで表記したとき、2.40≦z/y≦2.99で表される組成比の範囲でマグネリ相を含んでいることが好ましい。これは、タングステン酸化物微粒子において、酸素量が少ないほど隠ぺい力が強く、透過プロファイルが高エネルギー側にシフトする傾向があること、及びマグネリ相は、耐候性が良いためである。従って、耐候性を要求されるような使用用途においては、マグネリ相を使用することが好ましい。
また、WOに陽性元素を添加し、複合タングステン酸化物微粒子とすることで自由電子が生成され、1000nm付近の近赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現し、近赤外線吸収材料として有効となる。陽性元素を添加し、さらに上述の一般式WyOzの場合と同様に酸素量を低減させることで、より効率よく近赤外線遮蔽特性を発揮することが可能となる。
すなわち、複合タングステン酸化物微粒子を、一般式MxWyOz(但し、M:陽性元素、W:タングステン、O:酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記したとき、陽性元素Mの添加量は、0.001≦x/y≦1であることが望ましい。陽性元素Mの添加量が0.001より多ければ自由電子が十分に生成し、目的とする熱線遮蔽効果を得ることができる。そして、陽性元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、熱線遮蔽効率が上昇するが、添加量を1以下とすることで不純物相が生成を回避することができる。
ここで、陽性元素Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちの1種類以上から選ばれる元素であることが好ましい。さらに、該元素Mを添加されたMxWyOzの安定性の観点から、元素Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素であることがより好ましく、さらに加えて、該元素Mを添加されたMxWyOzの赤外線遮蔽材料としての光学特性、耐候性を向上させる観点からは、前記元素Mは、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、4B族元素、5B族元素に属するものであることが好ましい。
また、本発明に係る近赤外線遮蔽材料微粒子分散体において、一般式MxWyOzで表記される前記複合タングステン酸化物微粒子が、立方晶、正方晶、六方晶の結晶構造を含むことが好ましい。特に、六方晶の結晶構造を含む場合は、可視光透過率に対する日射透過率が低下しるので日射遮蔽用途には好ましいからである。さらに、該六方晶を形成するM元素としては、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちの1種類以上の元素であることが好ましい。
ここで、上述した、一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物、及び、一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物の製造方法の一例について説明する。
(a).一般式WyOzで表されるタングステン酸化物微粒子の製造方法例
上述した、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦<z/y≦2.999)で表されるタングステン酸化物微粒子は、タングステン酸(HWO)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステン、アルコ−ルに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上のタングステン化合物を、不活性ガス単独または不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下で焼成することにより得られる。ここで、原料として用いるタングステン酸(HWO)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステンには、特に制限は無い。
但し、タングステン酸(HWO)、タングステン酸アンモニウム、または六塩化タングステン、アルコ−ルに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上のタングステン化合物を焼成してタングステン酸化物微粒子を製造する場合、該焼成温度は、所望とする微粒子と光学特性の観点から200℃以上1000℃以下とすることが好ましい。該焼成温度が200℃以上1000℃以下の範囲にあると、所望の光学特性を有するタングステン酸化物微粒子を製造することが出来る。焼成時間は、焼成温度に応じて適宜選択すればよいが、10分間以上5時間以下で十分である。
次に、前記タングステン酸(HWO)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステン、アルコ−ルに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上のタングステン化合物を焼成して調製したタングステン酸化物微粒子へ酸素空孔を生成させるために、当該タングステン酸化物微粒子を、不活性ガス単独または不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下で焼成する。ここで、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどのガスを用いることができ、還元性ガスとしては、水素やアルコールなどのガスを用いることができる。そして、当該タングステン酸化物微粒子を、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下で焼成する場合、不活性ガス中の還元性ガスの濃度は焼成温度に応じて適宜選択すれば特に限定されないが、好ましくは20vol%以下、より好ましくは10vol%以下、さらに好ましくは7〜0.01vol%である。不活性ガス中の還元性ガスの濃度が20vol%以下であると、当該タングステン酸化物微粒子の急速な還元を回避することができ、日射遮蔽機能を有しないWOの生成を回避できる。
当該タングステン酸化物微粒子へ酸素空孔を生成させる際の処理温度は、雰囲気に応じて適宜選択すればよいが、不活性ガス単独の場合は日射遮蔽用微粒子としての結晶性や隠ぺい力の観点から650℃を超え、1200℃以下、好ましくは1100℃以下、より好ましくは1000℃以下である。一方、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガスの場合は、還元性ガス濃度に応じてWOが生成しない温度を適宜選択すればよい。さらに、不活性ガス単独と、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガスという、両雰囲気下で行う2ステップ反応の場合は、例えば1ステップ目に不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下、100℃以上650℃以下で焼成し、2ステップ目に不活性ガス雰囲気下、650℃を超え1200℃以下で焼成することも日射遮蔽特性の観点から好ましい。このときの焼成処理時間は温度に応じて適宜選択すればよいが、5分間以上5時間以下で十分である。
製造されたタングステン酸化物の微粒子は、L*a*b*表色系における粉体色において、L*が25〜80、a*が−10〜10、b*が−15〜15の範囲内にあった。さらに当該タングステン酸化物の微粒子について、X線回折測定を行うと、WO3−x相の回折ピークが見られ、W2058、W1849などのいわゆるマグネリ相の存在が確認された。化学分析の結果に依れば、WO相は酸素欠損のあるWyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦<z/y≦2.999)相となっていると判断される。
(b).一般式MxWyOz(但し、Mは前記M元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子の製造方法例
上述した一般式MxWyOz(但し、Mは前記M元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン酸(HWO)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステン、アルコ−ルに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上のタングステン化合物と、M元素の酸化物または/及び水酸化物の粉体と、を乾式混合した混合粉体を不活性ガス単独または不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下1ステップで焼成するか、1ステップ目で不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下で焼成しさらに2ステップ目で不活性ガス雰囲気下において焼成するという2段の焼成を行なうことにより得られる。また、前記タングステン化合物に替えて、(a)にて製造したタングステン酸化物微粒子を用いても良い。
当該複合タングステン酸化物微粒子の異なる製造方法として、タングステン酸(HWO)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステン、アルコ−ルに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上のタングステン化合物と、前記M元素の塩を含む水溶液と、を所定のx/y、z/yの値を満たすように湿式混合した混合液を乾燥して得た乾燥粉を、不活性ガス単独または不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下1ステップで焼成するか、1ステップ目で不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下で焼成し、さらに2ステップ目で不活性ガス雰囲気下で焼成するという2段の焼成を行なうことによっても得られる。また、前記タングステン化合物に替えて、(a)にて製造したタングステン酸化物微粒子を用いても良い。
M元素の化合物としては酸化物、水酸化物が好ましい。そして、このM元素の酸化物、水酸化物と、タングステン酸(HWO)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステン、アルコ−ルに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、タングステン酸化物微粒子、から選ばれる1種以上とを混合する。当該乾式混合は、市販の擂潰機、ニーダー、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー等で行えばよい。
また、当該乾式混合法とは異なる混合方法として、タングステン酸(HWO)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステンをアルコ−ルに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、タングステン酸化物微粒子、から選ばれる1種以上へ、M元素の塩を水溶液化したものを湿式混合法により混合した後、乾燥して乾燥粉を得ることとしても良い。この場合、前記M元素の塩は特に限定されるものでなく、例えば硝酸塩、硫酸塩、塩化物、炭酸塩などが挙げられる。前記湿式混合後の乾燥温度や時間は特に限定されるものでない。
次に、前記複合タングステン酸化物微粒子へ酸素空孔を生成させるために、不活性ガス単独または不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下1ステップで焼成するか、1ステップ目で不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下で焼成し、さらに2ステップ目で不活性ガス雰囲気下で焼成するという2段の焼成を行なう。当該焼成処理に用いる不活性ガス単独または不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス、不活性ガス中の還元性ガスの濃度、焼成処理温度は、前記(a)にて説明した不活性ガスまたは還元性ガス、不活性ガス中の還元性ガスの濃度、焼成処理温度と同様である。
製造された複合タングステン酸化物の微粒子は、L*a*b*表色系における粉体色において、L*が25〜80、a*が−10〜10、b*が−15〜15の範囲内にあった。さらに当該複合タングステン酸化物の微粒子について、X線回折測定を行うとマグネリ相の存在が確認された。化学分析の結果に依れば、MWO相は酸素欠損のあるMxWyOz(但し、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)相になっていると判断される。
3.6ホウ化物微粒子
本発明に係る近赤外線遮蔽材料微粒子として用いられる6ホウ化物微粒子は、材料自体の特性として、伝導電子を豊富に保有し、近赤外領域の光を吸収する特性がある。6ホウ化物とは、一般式XBで表される化合物の総称である。Xは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Ca、Yの1種類以上の元素であることが好ましい。該6ホウ化物微粒子は、例えば、固相反応法や蒸発急冷法、さらにはプラズマCVD法などの気相法で製造することができる。
4.近赤外線遮蔽材料微粒子分散体
本発明に係る近赤外線遮蔽材料の適用方法として、該近赤外線遮蔽材料微粒子を透明樹脂またはガラス等の透明媒体中に分散させ、近赤外線遮蔽材料微粒子分散体として使用する方法がある。この方法では、あらかじめ製造しておいた近赤外線遮蔽材料微粒子を、溶融した透明樹脂またはガラスからなる媒体中に分散させても良いが、該近赤外線遮蔽材料微粒子をバインダーとなる透明樹脂中に分散させた分散体を製造しておき、該分散体を透明媒体表面に結着させることとしても良い。このバインダー樹脂を結着させる方法によれば、透明樹脂基材として耐熱温度の低い材料を用いる場合に適しており、さらに、近赤外線遮蔽材料微粒子分散体を形成するときに大型の装置を必要とせず、安価、容易に行うことができる。
本発明に係る近赤外線遮蔽材料微粒子分散体に用いる媒体は、透明樹脂またはガラスが好ましい)。例えば、該近赤外線遮蔽材料微粒子を適宜な溶媒中に分散させ、これにバインダー樹脂を添加した後、透明基材表面に塗布して溶媒を蒸発させ、所定の方法で該バインダー樹脂を硬化させれば、近赤外線遮蔽材料微粒子がバインダー中に分散した薄膜の形成が可能となる。また、該近赤外線遮蔽材料微粒子をバインダー樹脂中に分散しフィルム化したものは、該フィルムを透明基材上に設ける際、溶媒を蒸発させる必要が無く、環境的、工業的に好ましい。
上記樹脂としては、例えば、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂、常温硬化樹脂、熱可塑樹脂等が目的に応じて適用可能である。好ましくは、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂が用いられる。樹脂以外ではガラスでも良い。
また、金属アルコキシドをバインダーとして用いる方法も好ましい。該金属アルコキシドとしては、Si、Ti、Al、Zr等のアルコキシドが代表的である。これらは加水分解して、加熱することで、容易に酸化物膜を形成することが可能であることから、該バインダー中に分散されている近赤外線遮蔽材料微粒子を、板状、フィルム状の透明基体上へ塗布することで、これらの基体上で薄膜状に成形された近赤外線遮蔽体を製造することができる。また、異なる実施の形態として、該金属アルコキシドを、該媒体表面から内部へ向けて浸透させても良いし、該媒体が熱可塑性を有する場合は、該媒体を溶融温度以上に温度を上げて溶融した後に添加混合しても良い。また、該媒体が樹脂の場合は該樹脂合成過程で、添加することも可能である。
このようにして得られた近赤外線遮蔽材料微粒子分散体を、所定の方法でフィルムやボード状に成形することで、該フィルムやボードを近赤外線遮蔽体として応用可能である。
例えば、近赤外線遮蔽材料微粒子をPET樹脂に添加する方法として、近赤外線遮蔽材料微粒子分散液とPET樹脂とを混合した後、溶媒を蒸発させ、さらにPETの溶融温度である300℃程度にPET樹脂を加熱し溶融させ、近赤外線遮蔽材料微粒子分散液と溶融したPET樹脂とを混合し冷却することで、微粒子を分散したPET樹脂の作製が可能となる。
5.微粒子の平均分散粒子径
近赤外線遮蔽材料微粒子の粒子径は、近赤外線遮蔽体の使用目的によって、適宜、決定することができるが、透明性が求められる用途に使用する場合は、1〜800nmの平均分散粒子径であることが好ましい。平均分散粒子径が800nm以下であれば、該近赤外線遮蔽材料微粒子が光を完全に遮蔽してしまうことがないため、可視光線領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができる。さらに、特に可視光領域の透明性を重視する用途に使用する場合は、近赤外線遮蔽材料微粒子による散乱を考慮する必要がある。従って、透明性を重視したとき、平均分散粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下が良い。理由は、近赤外線遮蔽材料微粒子の平均分散粒子径が小さければ、幾何学散乱もしくはミー散乱によって400nm〜780nmの可視光線領域の光を散乱して外観が曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られない事態を回避できるからである。さらに、近赤外線遮蔽材料の平均分散粒子径が200nm以下になると、上記散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に反比例して低減するため、平均分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上する。さらに近赤外線遮蔽材料の平均分散粒子径が100nm以下になると散乱光は非常に少なくなり好ましい。
また、本発明に係る近赤外線遮蔽材料は導電性材料であるため、膜状の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体において、該近赤外線遮蔽材料微粒子同士が連続的に接触した状態となって形成された場合は、携帯電話等の電波を吸収反射して各種の妨害を発生することが懸念される。ところが、媒体中の該近赤外線遮蔽材料微粒子の平均分散粒子径を1nm以上800nm以下とすることで、近赤外線遮蔽材料微粒子が単独の微粒子として媒体中に独立して分散し、粒子一つ一つが孤立した状態で分散することとなるため、該近赤外線遮蔽材料は電波透過性を示し、汎用性が広い。
6.分散方法と添加剤
本発明に係る近赤外線遮蔽材料粒子の、媒体への分散方法は特に限定されない。例えば、超音波照射、ビーズミル、サンドミル等を使用することができる。また、均一な分散体を得るために、各種添加剤を添加したり、pH調整したりしても良い。添加剤としては、シラン系カップリング剤、高分子分散剤等を用いることができる。
7.本発明の適用例
本発明に係る近赤外線遮蔽材料粒子を媒体に分散させて製造される板状、フィルム状、または薄膜状の近赤外線遮蔽体は、そのまま、あるいは、ガラス等の透明基材に貼附することで、日射遮蔽特性に優れ、意匠性にも優れた窓材とすることができる。さらに、板状、フィルム状、または薄膜状の近赤外線遮蔽体をPDPの前面に設ければ、近赤外線遮蔽効果と彩度が低いという特徴により、PDPのカラーバランスをくずすことのない優れた近赤外線吸収材となる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、以下に記載する実施例及び比較例において、光学測定は、建築窓ガラス用フィルム JIS A 5759(1998)(光源:A光)に準拠して測定を行い、可視光透過率、日射透過率を算出した。このとき、近赤外線遮蔽材料の測定用試料はガラスに貼付せず、試料そのものを使用した。ヘイズ値は、JIS K 7105に準拠して測定を行った。平均分散粒子径は、動的光散乱法を用いた測定装置(ELS−800(大塚電子株式会社製))により測定した値の平均値とした。
(実施例1)
1849(X線回折による結晶相の同定ではW1849の結晶相が観察された)(比表面積30m/g)を20重量部と、トルエン75重量部と、高分子系分散剤5重量部とを混合し、分散処理を行い、W1849の平均分散粒子径が80nmの分散液とした(A液)。
一方、LaB微粒子(比表面積30m/g)を20重量部と、トルエン75重量部と、高分子系分散剤5重量部とを混合し、分散処理を行い、LaB微粒子平均分散粒子径が80nmの分散液とした(B液)。
A液とB液とを、W1849とLaBとの重量比がW1849/LaB=2.2となるように混合した(C液)。
C液10重量部と、ハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)100重量部とを混合した混合液を調製し、該混合液を、コロナ処理したPET樹脂フィルム(膜厚50μm)上にバーコーターを用いて成膜した。成膜後、60℃で30秒乾燥し溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプ照射し該ハードコート用紫外線硬化樹脂を硬化させて、近赤外線遮蔽材料の測定用試料を得た。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
可視光透過率は、55%で可視光領域の光を十分透過している事が分かり、さらに日射透過率は35%であり、太陽光線の直接入射光を約65%遮蔽しており断熱効果が高いことが分かる。尤も、光の透過率の絶対値は、単位面積における近赤外線遮蔽材料の量によって変化するものであるため、上記可視光透過率、日射透過率は、該量によって連動して上下するものであるが、可視光透過率と日射透過率との両率を比較することで、該測定用試料の優れた可視光領域光の透過性と断熱効果とが裏付けられた。このことは、以下の実施例においても同様である。
さらに、ヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高く内部の状況が外部からもはっきり確認できた。また、D65光源の10度視野の色調は、L=79.4282、a=−7.8205、b=1.0203であった。色調は、緑色味のある黒色系であり、ニュートラルな色調であった。
(実施例2)
実施例1で作製したA液、B液を用い、W1849とLaBの重量比がW1849/LaB=2.9となるように混合した(D液)以外は、実施例1と同様の操作をおこない、測定用試料を得た。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
可視光透過率は、57%で可視光領域の光を十分透過している事が分かり、さらに日射透過率は37%であり、太陽光線の直接入射光を約63%遮蔽しており断熱効果が高いことが分かる。
さらに、ヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高く内部の状況が外部からもはっきり確認できた。また、D65光源の10度視野の色調は、L=80.3511、a=−7.0838、b=−0.9311であった。色調は、微弱に緑色味のある黒色系のニュートラルな色調であった。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で作製したA液、B液を用い、W1849とLaBの重量比がW1849/LaB=4.3となるように混合した(E液)以外は、実施例1と同様の操作をおこない、測定用試料を得た。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
可視光透過率は、57%で可視光領域の光を十分透過している事が分かり、さらに日射透過率は39%であり、太陽光線の直接入射光を約61%遮蔽しており断熱効果が高いことが分かる。
さらに、ヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高く内部の状況が外部からもはっきり確認できる。また、D65光源の10度視野の色調は、L=80.8985、a=−6.3854、b=−2.7041であった。色調は、青色味のある黒色系であり、ニュートラルな色調であった。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で作製したA液、B液と、ATO微粒子(Sb/Sn=0.1(モル比))(比表面積38m/g)を30重量部、トルエン60重量部、分散剤5重量部を混合し、分散処理を行いATO微粒子の平均分散粒子径80nmの分散液を準備した(F液)。そして、W1849とLaBとATOの重量比がW1849:LaB:ATO=0.2:0.07:7(W1849/(LaB+ATO)=3/97)となるようにA液とB液とF液とを混合した(G液)。これ以降は、実施例1と同様の操作をおこない、測定用試料を得た。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
可視光透過率は、63%で可視光領域の光を十分透過している事が分かり、さらに日射透過率は42%であり、太陽光線の直接入射光を約58%遮蔽しており断熱効果が高いことが分かる。
さらに、ヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高く内部の状況が外部からもはっきり確認できる。また、D65光源の10度視野の色調は、L=83.4818、a=−4.3867、b=−0.5998であった。色調は、黒色系であり、ニュートラルな色調であった。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例2のD液を準備し、真空乾燥機中50℃にて溶剤成分を除去し粉末とした(H粉)。該H粉0.01kgとPET樹脂8.7kgとを、Vブレンダーにて乾式混合後、樹脂の溶融温度付近まで加熱して十分に密閉混合を行い混合物とした。そして該混合物を溶融押出しして、膜厚約50μmのフィルムに成形し測定用試料を得た。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
可視光透過率は、50%で可視光領域の光を十分透過している事が分かり、さらに日射透過率は30%であり、太陽光線の直接入射光を約70%遮蔽しており断熱効果が高いことが分かる。
さらに、ヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高く内部の状況が外部からも十分確認できる。また、D65光源の10度視野の色調は、L=76.2582、a=−8.6452、b=−1.3110であった。色調は、微弱に緑色味のある黒色系の、ニュートラルな色調であであった。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
(実施例6)
Cs0.33WO(比表面積30m/g、六方晶タングステンブロンズ)を20重量部と、トルエン75重量部と、高分子系分散剤5重量部とを混合し、分散処理を行い、Ba0.15WO微粒子平均分散粒子径が80nmの分散液とした(P液)。
一方、実施例1のB液を準備した。
P液とB液とを、Cs0.33WOとLaBとの重量比がCs0.33WO:LaB=0.8:0.1となるように混合した(Q液)。これ以降は、実施例1と同様の操作をおこない、測定用試料を得た。
可視光透過率は、74%で可視光領域の光を十分透過している事が分かり、さらに日射透過率は43%であり、太陽光線の直接入射光を約57%遮蔽しており断熱効果が高いことが分かった。
さらに、ヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高く内部の状況が外部からもはっきり確認できた。また、D65光源の10度視野の色調は、L=89.0312、a=−4.2612、b=−0.1469であった。色調は、青味のある黒色であり、意匠性に優れていた。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例6のP液と、実施例1のB液とを準備した。
P液とB液とを、Cs0.33WOとLaBとの重量比がCs0.33WO:LaB=1.2:0.1となるように混合した(R液)。これ以降は、実施例1と同様の操作をおこない、測定用試料を得た。
可視光透過率は、73%で可視光領域の光を十分透過している事が分かり、さらに日射透過率は40%であり、太陽光線の直接入射光を約60%遮蔽しており断熱効果が高いことが分かった。
さらにヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高く内部の状況が外部からもはっきり確認できた。また、D65光源の10度視野の色調は、L=88.2973、a=−4.6941、b=−0.9990であった。色調は、青味のある黒色であり、意匠性に優れていた。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
(実施例8)
Rb0.33WO(比表面積30m/g、六方晶タングステンブロンズ)を20重量部と、トルエン75重量部と、高分子系分散剤5重量部とを混合し、分散処理を行い、Rb0.33WO平均分散粒子径80nmの分散液とした(S液)。
実施例1のB液を準備した。
S液とB液とを、Rb0.33WOとLaBとの重量比がRb0.33WO:LaB=1.0:0.1となるように混合した(T液)。これ以降は、実施例1と同様の操作をおこない、測定用試料を得た。
可視光透過率は、69%で可視光領域の光を十分透過している事が分かり、さらに日射透過率は38%であり、太陽光線の直接入射光を約62%遮蔽しており断熱効果が高いことが分かった。
さらにヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高く内部の状況が外部からもはっきり確認できた。また、D65光源の10度視野の色調は、L=86.4956、a=−4.651、b=−2.0353であった。色調は、青味のある黒色であり、意匠性に優れていた。
さらに、該測定用試料の各波長の光に対する透過プロファイルを図2に示す。図2は、縦軸に光の透過率、横軸に透過光の波長をとったグラフであり、該測定用試料が示す光の透過プロファイルを実線で記載したものである。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
(比較例1)
カーボン粉末を15重量部と、トルエン75重量部と、分散剤10重量部とを混合し、分散処理を行い、カーボン平均分散粒子径80nmの分散液とした(U液)。これ以降は、実施例1と同様の操作をおこない、測定用試料を得た。
可視光透過率は、58%で可視光領域の光を十分透過している事が分かる、しかし日射透過率は65%であり、可視光線よりも日射透過率のほうが高く、透明な日射遮蔽体としては断熱効果が悪いことが判明した。また、ヘイズは1.2%であるがD65光源の10度視野の色調は、L=80.94、a=0.91、b=6.78であった。これでは、a値が0付近でb値が大きいと色調に黄色味のある黒色になってしまい、意匠性において好ましくないものであった。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1のA液を準備した。これ以降は、A液のみを用いて実施例1と同様の操作をおこない、測定用試料を得た。
可視光透過率は49%で可視光領域の光を十分透過している事が分かり、さらに日射透過率は35%であり、太陽光線の直接入射光を約65%遮蔽しており断熱効果が高いことが分かる。
さらにヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高く内部の状況が外部からもはっきり確認できた。しかし、D65光源の10度視野の色調は、L=76.2115、a=−5.6139、b=−13.4041であった。色調は鮮やかな青色であった。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1のB液を準備した。これ以降は、B液のみを用いて実施例1と同様の操作をおこない、測定用試料を得た。
可視光透過率は53%で可視光領域の光を十分透過している事が分かり、さらに日射透過率は30%であり、太陽光線の直接入射光を約70%遮蔽しており断熱効果が高いことが分かる。さらにヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高く内部の状況が外部からもはっきり確認できた。しかし、D65光源の10度視野の色調は、L=77.7900、a=−9.4500、b=10.8900であった。色調は鮮やかな緑色であった。
該測定用試料の測定結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1のA液とB液とを準備した。
A液とB液とを、W1849とLaBの重量比がW1849:LaB=0.2:99.8となるように混合した(V液)。これ以降は、実施例1と同様の操作をおこない、測定用試料を得た。
可視光透過率は54%で可視光領域の光を十分透過している事が分かり、さらに日射透過率は31%であり、太陽光線の直接入射光を約69%遮蔽しており断熱効果が高いことが分かる。
さらにヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高く内部の状況が外部からもはっきり確認できた。しかし、D65光源の10度視野の色調は、L=78.231、a=−9.9816、b=10.2136であった。色調は、比較例3と同様に鮮やかな緑色であった。
(実施例1〜8及び比較例1〜4の評価)
実施例1〜8の結果から明らかなように、タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子と、6ホウ化物微粒子とを混合して近赤外線遮蔽材料微粒子分散体を製造し、当該近赤外線遮蔽材料微粒子分散体を含むフィルム状の近赤外線遮蔽体試料は高い日射遮蔽特性を有しながら彩度が低く、黄色味が無いことから意匠性に優れ工業的に有用であることが判明した。
特に実施例6〜8に示した、複合タングステン酸化物微粒子として六方晶タングステンブロンズを用いた場合は、可視光透過率が高く、日射透過率が低くなり、高い可視光透過率を維持した日射遮蔽膜として有効であった。
一方、比較例1に示すカーボンを用いた場合、カーボン自体は黒色系であるが、当該カーボンを含むフィルム状試料は、b*値が高く黄色味があり意匠性の観点より好ましくない。また、日射遮蔽特性も実施例1〜8に比べて劣っていた。
また、比較例2〜3に示すように、タングステン酸化物微粒子と6ホウ化物微粒子とを、各々単独で用いた場合、当該粒子を含むフィルム状試料は日射遮蔽膜としては有効なものの、各々の粒子の色調がそのまま発揮され意匠性の観点より好ましくなかった。
さらに、比較例4に示したように、タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子と、6ホウ化物微粒子との混合比(重量比A/B)が0.5:99.5〜99.9:0.1の範囲を逸脱し、例えば0.2:99.8となると色調の変化が殆ど無く、6ホウ化物微粒子の色調がそのまま発揮され、彩度を低下させる効果が無いことが分かった。
Figure 2006010759
本発明に係るタングステン酸化物微粒子、複合タングステン酸化物微粒子、6ホウ化物微粒子、その混合物の透過プロファイルの測定結果例である。 本発明の実施例8に係るRb0.33WOとLaBとの混合物の透過プロファイルの測定結果例である。

Claims (13)

  1. 近赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散している近赤外線遮蔽材料微粒子分散体であって、
    前記近赤外線遮蔽材料は、タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子と、6ホウ化物微粒子とを含有し、
    前記タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子と、前記6ホウ化物微粒子との混合比率が、重量比において0.5:99.5〜99.9:0.1の範囲であり、
    前記近赤外線遮蔽材料微粒子の平均分散粒子径が、1nm以上800nm以下であることを特徴とする近赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
  2. 前記タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子と、6ホウ化物微粒子と、
    ITO(但し、Sn添加In)、ATO(但し、Sb添加SnO)、AZO(但し、Al添加ZnO)から選択される1種類以上であって、その平均分散粒子径が1nm以上800nm以下である微粒子とを含有し、
    前記タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子と6ホウ化物微粒子との混合物と、前記ITO、ATO、AZOから選択される1種類以上の微粒子との混合比率が、重量比において1:0.5〜1:50の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
  3. 前記タングステン酸化物微粒子が、一般式WyOz(W:タングステン、O:酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表されるタングステン酸化物の微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
  4. 前記タングステン酸化物微粒子が、一般式WyO(2.40≦z/y≦2.99)で表される組成比のマグネリ相を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
  5. 前記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MxWyOz(M:陽性元素;Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択されるの1種類以上の元素、W:タングステン、O:酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
  6. 前記一般式MxWyOzで表される前記複合タングステン酸化物微粒子が、立方晶のタングステンブロンズ構造、正方晶のタングステンブロンズ構造、六方晶のタングステンブロンズ構造のいずれか一種以上を含むことを特徴とする請求項5記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
  7. 前記M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素であることを特徴とする請求項5または6記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
  8. 前記6ホウ化物微粒子が、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Ca、Yのうちから選択される1種類以上の元素の6ホウ化物微粒子であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
  9. 請求項1〜8のいずれか記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体を含む近赤外線遮蔽膜の日射透過率が70%以下のとき、L表色系における該膜の色調がa値は−8以上+8以下、b値は−8以上+3以下であることを特徴とする近赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
  10. 前記媒体が、樹脂またはガラスであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体。
  11. 請求項10に記載の近赤外線遮蔽材料微粒子分散体を含むことを特徴とする、板状、フィルム状、または薄膜状の近赤外線遮蔽体。
  12. 異なった色の可視光を通過させる2種以上の近赤外線遮蔽材料を混合して使用することを特徴とする近赤外線遮蔽材料を通過する可視光の色調調整方法。
  13. 青色の可視光を通過させる近赤外線遮蔽材料と、緑色の可視光を通過させる近赤外線遮蔽材料とを混合して使用することを特徴とする近赤外線遮蔽材料を通過する可視光の色調調整方法。
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