JP2010059040A - 微粒子の製造方法及びその製造方法により得られる熱線遮蔽用微粒子 - Google Patents

微粒子の製造方法及びその製造方法により得られる熱線遮蔽用微粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】高い熱遮蔽性能を有し、BET表面積から算出される平均粒径が100nm以下である微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】2種以上の互いに価数の異なる金属元素の酸化物を含む金属酸化物原料粉末を混合した後に加熱処理する工程、及び前記加熱処理後の粉末を、分解性添加剤とともに機械的に粉砕処理する工程を含む微粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、微粒子の製造方法、及び当該製造方法により得られる熱線遮蔽用微粒子に関する。
近年エネルギー節約等の観点から、住宅や自動車の窓等に熱線遮蔽材料が使用されることが増えてきている。窓等に使用される熱線遮蔽材料とは、可視光領域の光は透過し、赤外光領域の光を反射又は吸収することが可能な材料である。
上記熱線遮蔽材料としては、インジウム−スズ酸化物(ITO)やスズ−アンチモン酸化物(ATO)等の透明導電性材料、銀、銅、金等の金属材料が挙げられ、これらを物理蒸着や化学蒸着、スパッタリング等により薄膜成膜したもの、フタロシアニン化合物等の近赤外線吸収色素等を有機溶媒に溶解させ塗布又は樹脂に練りこみフィルム化したものが知られている。
しかしながら、薄膜を作製する際には高真空な装置が必要となり、コスト高の要因となる。近赤外線吸収色素は、可視光領域にも吸収を持つために可視光の透過率が悪くなるうえ、赤外領域の吸収性能も薄膜系には劣り、耐候性も不十分である。
このような問題を解決する方法として、平均一次粒径が200nm以下の透明導電性材料の微粒子を有機樹脂マトリックス中に分散させた分散液又は塗料を用いて塗布法にて熱線遮蔽材料を形成する方法が提案されている。しかしながら、分散系の場合、粒子の凝集等が起きてしまうため、可視光領域で高い透過率を得るためには平均一次粒径が40nm以下であることが望まれている。
一方、上記微粒子を作製する方法としては、2種以上の遷移金属イオンを含有する水溶液(例、ITO粒子末の場合、SnとInを塩化物又は硝酸塩として溶解した水溶液)をアルカリ水溶液と反応させて、これら金属の水酸化物を共沈させ、この共沈水酸化物を出発原料として、大気中で加熱処理して酸化物に変換させる方法がある。また、原料溶液に熱分解性のアンモニウム塩等を大量に添加して、原料溶液を霧状態の液滴にして熱分解及び一次焼成を行う噴霧熱分解法による超微粒子の製造方法も提案されている
しかし、このような水溶液から製造するビルドアップ的な方法では、プロセスが複雑であり、しかもコストがかかるという問題点がある。
従来より知られている、大気中で2種類以上の原料を混合し、それを大気中で焼成して反応させるという固相法でも200nm以下の導電性微粒子を作製可能である。(特許文献1)しかし40nm以下は達成されていない。また、得られる微粒子の熱線遮蔽性能は不明である。
固相法において、粒径の成長を抑制するために低温で反応させると、十分に反応させることができず、キヤリア数を十分に増加させることができないため、カットオフ波長を1000nm以下とすることが困難であった。
特開2007−186352号公報
本発明の目的は、高い熱遮蔽性能を有し、BET表面積から算出される平均粒径が100nm以下である微粒子の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、2種類以上の原料を混合し、焼成した後に分解性添加剤を添加し粉砕することにより高い熱線遮蔽性能を持ち、且つBET表面積から求めた平均粒径が100nm以下である微粒子が製造可能であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の微粒子の製造方法等が提供される。
1.2種以上の互いに価数の異なる金属元素の酸化物を含む金属酸化物原料粉末を混合した後に加熱処理する工程、及び
前記加熱処理後の粉末を、分解性添加剤とともに機械的に粉砕処理する工程
を含む微粒子の製造方法。
2.前記微粒子が熱線遮蔽用微粒子である1に記載の微粒子の製造方法。
3.前記分解性添加剤の添加量が、前記加熱処理後の粉末100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下である1又は2に記載の微粒子の製造方法。
4.前記分解性添加剤が、炭酸塩を含む1〜3のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
5.前記分解性添加剤が、アンモニウム塩を含む1〜4のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
6.前記分解性添加剤が、炭酸アンモニウムである1〜5のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
7.前記加熱処理の加熱温度が600〜1200℃である1〜6のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
8.前記加熱処理を、加熱温度600〜1200℃、加熱時間5〜120分で行う1〜7のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
9.前記金属酸化物原料粉末がインジウム、スズ、亜鉛、マグネシウム、ニッケル及びチタンからなる群から選択される少なくとも一種の金属元素を含む酸化物を含有する1〜8のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
10.前記金属酸化物原料粉末がインジウム、スズ、亜鉛及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属元素を含む酸化物を含有する1〜9のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
11.前記金属酸化物原料粉末が、少なくともスズ元素を含む酸化物を含有し、
前記スズ元素の酸化物の含有量が、前記金属酸化物原料粉末の全量を100重量%としたときに、50重量%以上98重量%以下である1〜10のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
12.1〜11のいずれかの方法により得られる微粒子を含む混合液。
13.1〜11のいずれかに方法により得られる微粒子を含む熱線遮蔽膜。
本発明によれば、高い熱遮蔽性能を有し、BET表面積から算出される平均粒径が100nm以下である微粒子の製造方法が提供できる。
本発明の微粒子の製造方法は、2種以上の互いに価数の異なる金属元素の酸化物を含む金属酸化物原料粉末を混合した後に加熱処理する工程(工程1)、及び加熱処理後の粉末を、分解性添加剤とともに機械的に粉砕処理する工程(工程2)を含む。
本発明では、いわゆる固相法による微粒子の製造方法において、焼成工程で原料を十分に反応させた場合であっても、機械的に粉砕処理する工程で分解性添加剤を加えることにより、粒子の粉砕を促進して効果的に微粒子を製造することができる。
以下、各工程について説明する。
工程1
2種以上の互いに価数の異なる金属元素の酸化物を含む金属酸化物原料粉末は、2種以上の金属酸化物を含む金属酸化物原料粉末であって、当該2種以上の金属酸化物のうち、少なくとも2種類の金属元素の価数が互いに異なる。
上記金属酸化物原料粉末は、具体的には、3価及び4価の金属元素の酸化物の組合せ、3価及び2価の金属元素の酸化物の組合せ、5価及び4価の金属元素の酸化物の組み合わせ等が挙げられ、好ましくは3価及び4価の金属元素の酸化物の組合せである。
2価の金属元素としては、好ましくはマグネシウム、亜鉛、ニッケル又は銅であり、さらに好ましくはマグネシウム、亜鉛又はカルシウムであり、特に好ましくはマグネシウムである。
3価の金属元素としては、好ましくはインジウム、アルミニウム、ガリウム又はイリジウムであり、さらに好ましくはインジウム又はイリジウムであり、特に好ましくはインジウムである。
4価の金属元素としては、好ましくはスズ、チタン、セリウム又はゲルマニウムであり、さらに好ましくはスズ又はゲルマニウムであり、特に好ましくはスズである。
5価の金属元素としては、好ましくはアンチモン、ニオブ、砒素又はリンであり、さらに好ましくはアンチモン又はニオブであり、特に好ましくはニオブである。
本発明で用いる金属酸化物原料粉末は、2種類以上の金属酸化物の組合せでもよいし、導電性酸化物として知られるSn含有In(ITO)、Zn含有In、Ti含有In、Inの共置換化合物(例えばIn−Sn−Zn、In−Sn−Mg、In−Sn−Ni等)、Sb含有SnO(ATO)、Al含有ZnO(AZO)又はGa含有ZnO(GZO)等の組成になるように2種以上を組み合わせてもよい。2種以上の組み合わせとしては、例えばITOとIn−Sn−Mgの組み合わせ、ITOとATOの組み合わせ、ITOとAZOの組み合わせ等が挙げられる。
本発明では、好ましくは上記金属酸化物原料粉末がインジウム、スズ、亜鉛、マグネシウム、ニッケル及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む酸化物を含有し、より好ましくは上記金属酸化物原料粉末がインジウム、スズ、亜鉛及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む酸化物を含有する。
また、本発明では、2種類以上の金属酸化物原料粉末のうち、価数の高い金属酸化物が、金属酸化物原料粉末の全量を100モル%としたときに、価数の低い金属酸化物に対し、好ましくは50モル%以上98モル%であり、より好ましくは60モル%以上90モル%以下であり、さらに好ましくは70モル%以上80モル%以下となる様に仕込むことで、本発明の微粒子のキヤリアを多くすることができる。
また、例えば、原料として三価のインジウムの酸化物と四価のスズの酸化物とを用いる場合、原料における酸化スズと酸化インジウムの比率、即ち、In:Sn(モル%)は、50:50〜98:2の範囲内であることが好ましく、40:60〜90:10の範囲内であることが特に好ましい。上記好ましい比率で酸化スズと酸化インジウムを配合した場合、酸化スズは金属スズ粒子及び/又はスズ合金粒子になるものと、酸化インジウムに固溶するものがあるため、生成する金属スズ粒子及び/又はスズ合金粒子の量は熱線遮蔽用微粒子材料の全量を100重量%としたときに、20重量%以下となる。
原料である金属酸化物を機械的に粉砕、混合する方法としては、例えば、遊星ボールミルやジェットミル、振動ミル、ボールミル等を用いて粉砕・混合する方法を挙げることができる。また原料の粉砕、混合を助ける助剤として公知の分散剤、水等を添加してもよい。
機械的に粉砕、混合することにより、原料から目的物を得るまでの全ての工程を乾式で行なうことができる。
混合された金属酸化物原料粉末の加熱処理は、不活性ガスを充填することができ、炉内を不活性ガス雰囲気に維持できるものであれば、電気炉等公知の炉を使用して行うことができる。また加熱処理は窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、若しくは不活性ガスと還元性ガスの混合ガス雰囲気下で行うことが望ましい。不活性ガスとしては例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等が使用できる。この中でも、安価であることから、窒素が好ましい。また還元性ガスとしては、水素や一酸化炭素等を用いることができる。
加熱処理を不活性ガス雰囲気下、又は不活性ガス及び還元性ガスの混合ガス雰囲気下で行うことにより金属又は合金を生成することができる。
加熱処理(焼成)温度は、好ましくは600℃以上1200℃以下であり、さらに好ましくは700℃以上950℃以下である。1200℃を超える温度では粒成長が激しく、その後の粉砕処理により、粒径を40nm以下にするのが困難となるおそれがある。また600℃未満では、2種類の原料の反応が不十分であるため、キャリアが多くならずカットオフ波長を1000nm以下とすることができなくなるおそれがある。
本発明の微粒子の製造方法を用いることで、好適に粒径を100nm以下とすることができるため、加熱処理する工程において、600℃以上での加熱が可能であり、価数の異なる原料同士を十分に反応させることができ、結果として十分なキャリアを発生させることができる。加熱処理(焼成)温度は、600℃以上とすることが好ましく、750℃以上とすることがさらに好ましく、800℃以上とすることが特に好ましい。加熱温度を600℃以上とすることで、得られる微粒子の最低カットオフ波長が1000nm以下とすることができる。
加熱処理時間は、原料の金属酸化物粉末の種類等に応じて適宜選択すればよいが、加熱処理時間を5〜120分とすることが好ましく、30〜120分とすることがさらに好ましい。加熱処理時間を長くすることで、金属又は合金の生成量が多くなり、カットオフ波長を1000nm以下にできる。しかし、加熱処理時間が120分超になると、金属又は合金の生成量は頭打ちとなり、また粒成長も激しくなりその後の粉砕処理により、得られる微粒子の粒径を40nm以下にすることが困難となるおそれがある。
工程2
本発明においては、粉砕を効率的に進める助剤として分解性添加剤を添加する。分解性添加剤とは、400℃以下(さらに好ましくは300℃以下、特に好ましくは150℃以下)の低温で分解し、熱線遮蔽用微粒子を構成する元素と反応しないものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、炭酸塩やアンモニウム塩、臭化物、ホウ酸塩、塩化物等から選択して使用することができ、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記分解性添加剤の具体例としては、炭酸アンモニウム、臭化アンモニウム、ホウ酸、塩化アンモニウム等を挙げることができ、これらの中でも炭酸アンモニウム、臭化アンモニウムが好ましく、炭酸アンモニウムが特に好ましい。
加熱処理後の粉末に分解性添加剤を添加することにより、機械的な粉砕処理に伴う発熱によって添加剤が分解し、その体積膨張に伴い、加熱処理後の金属酸化物粉末を好適に粉砕することができ、微粒子を製造することができる。さらに、分解性添加剤の添加量を調整することにより、微粒子の粒径を調整することができる。分解性添加剤の添加量は、加熱処理後の金属酸化物粉末100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下の範囲内とすることが望ましく、微粒子の粒径をさらに減少させるという観点から、0.3重量部以上15重量部以下の範囲内とすることがさらに望ましく、0.4重量部以上12重量部以下の範囲内とすることが特に望ましい。0.1重量部未満では所望の粉砕効果が得られず、効果的に微粒子を得られないおそれがあり、20重量部を超えると、体積膨張が激しくなり粉末の収率が極端に少なくなるおそれがある。
加熱処理(焼成)後に粒径を小さくする目的で行う機械的な粉砕処理の方法としては、例えば、遊星ボールミル、ジェットミル、振動ミル、ボールミル等を用いて粉砕・混合する方法を挙げることができる。
粉砕処理時間は1〜24時間の範囲内であることが好ましい。1時間よりも短いと、所望の粉砕効果が得られず、粒径が大きいままとなってしまうおそれがある。また、24時間よりも長いと、ミル等からの汚染の問題が生じるおそれがある。
本発明では、主たる原料が金属酸化物なので、溶液系を用いなくても、酸化物微粒子を機械的に混合し又は粉砕した原料を加熱処理することにより、微小な粒径を有する良好な熱線遮蔽用微粒子材料が得られる。よって、溶液を利用する場合のように、廃水処理や還元処理等の後処理を行う必要がなく、プロセスの簡略化やコスト低減を容易に図ることができる。
本発明の製造方法は、得られる微粒子のBET表面積から求められる平均粒径が100nm以下とし、カットオフ波長を1000nm以下とすることができる。従って、本発明の製造方法により得られる微粒子は、熱線遮蔽用微粒子として好適に用いることができる。
特に本発明の微粒子は無機材料であるので、有機材料と比べて耐候性は非常に高く、例えば、太陽光線(紫外線)の当たる部位に使用しても色や諸機能の劣化は殆ど生じない。
熱線遮蔽用微粒子とは、熱線遮蔽能を備えた微粒子である。
「熱線遮蔽」とは、800nm以上の赤外領域の光を、使用する微粒子そのものが吸収、又は反射特性によりカットすることであり、赤外領域の光のうち、より短波長の光をカットできるほうが熱線遮蔽性能が高いと言われている。
一般的には平均粒径が100nm以下の粒子は光散乱源となり難いと言われている。
本発明の熱線遮蔽用微粒子のBET表面積から求められる平均粒径は、例えば100nm以下であり、分散系の場合は粒子が一次粒子のままではなく一次粒子がいくつか集まった凝集体として存在するため、好ましくは40nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下である。
熱線遮蔽用微粒子の平均粒径が100nm超の場合、凝集等の問題により光散乱源となり、膜としたときに曇り(ヘイズ)が生じたり、可視光透過率が減少する原因となるおそれがある。
熱線遮蔽用微粒子の平均粒径を100nm以下とするには、上述した微粒子の製造方法で述べた、分解性添加剤の添加量、粉砕時間等を調整すればよい。
本発明の熱線遮蔽用微粒子のカットオフ波長は、例えば1000nm以下である。
「カットオフ波長」とは、赤外領域又はその近傍(600nm以上)において光のカットオフ率が少なくとも90%となる最低の波長を意味する。これは光透過スペクトルにおいて、長波長側方向に光透過率が10%以下となる波長領域における最低波長に相当する。即ちカットオフ波長が短波長にあるほど熱線遮蔽性能がよいと言える。
微粒子のカットオフ波長が1000nm超の場合、微粒子を用いて遮蔽膜としたときに十分な熱線遮蔽性能が得られないおそれがある。
カットオフ波長1000nm以下を達成するためには、材料そのもののキャリアを多くする必要があり、焼成温度を高温にすること、焼成時間を長くすること、及び還元性雰囲気下で焼成することにより達成可能である。
本発明の熱線遮蔽用微粒子は、金属又は合金とを含み、かつ、金属又は合金は、熱線遮蔽用微粒子を構成する材料の全量を100重量%としたときに、0.1重量%以上20重量%以下の割合で含むことが好ましく、0.1重量%以上15重量%以下の割合で含むことがより好ましい。
熱線遮蔽性能の発現にはキャリア(電子)の数が多いことが重要であり、一般的に導電性の金属酸化物よりも金属単体の方がキャリアの数が多いため、金属又は合金が存在することによりプラズマ振動数が大きくなり、カットオフ波長を短波長化させることができる。
上記金属又は合金は特に限定されるものではなく、好ましくは金属スズ及び/又はスズ合金、インジウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金、さらに好ましくは金属スズ及び/又はスズ合金、インジウム合金、特に好ましくは金属スズ及び/又はスズ合金である。
尚、上記金属スズとは金属スズ単体である。また、スズ合金としては、InSn合金等を挙げることができる。
本発明では、例えば熱線遮蔽用微粒子中の金属スズ粒子及び/又はスズ合金粒子の含有量が0.1重量%未満の場合、十分な熱線遮蔽性能が得られないおそれがある。
本発明の混合液(塗布液)は、本発明製造方法により得られる微粒子を含む。
本発明の混合液は、本発明の製造方法により得られる熱線遮蔽用微粒子を溶媒に分散させることにより調製できる。混合液中の微粒子の分散媒は特に限定されるものではなく、塗布条件や塗布環境、バインダー成分等に応じて適宜選択することができる。例えば、水や、アルコール類、エーテル類、エステル類、及びケトン類等の各種有機溶媒が使用可能であり、必要に応じて酸やアルカリを添加してpHを調整することもできる。さらに塗布液中の微粒子の分散安定性を向上させるために、各種界面活性剤、カップリング剤等を添加することも可能である。
本発明の微粒子を溶媒に分散させる方法は、微粒子を溶液中に均一に分散できる方法であれば特に限定されず、任意に選択できる。例えば、ビーズミル、ボールミル、ジェットミル、サンドミル、ベイントシェーカー、3本ロールミル、超音波ホモジナイザー等を用いる方法を挙げることができる。
本発明の混合液は、上記本発明の熱線遮蔽用微粒子材料及び分散媒以外に、バインダー、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カップリング剤等の各種添加剤を含有することができる。これらの成分は、通常の各種塗料に使用される公知のものを用いることができる。
バインダーとしては、樹脂バインダーが好ましく、その種類は特に限定されるものではないが、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等の樹脂バインダーを利用できる。また、メタクリル樹脂等のアクリル系樹脂、ポリアセチレン系樹脂、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アルキッド樹脂等のポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリアミンスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリチオフェン系樹脂、ポリアニリン系樹脂、ポリアセチレン系樹脂、紫外線硬化樹脂、ジアセチルセルロース及びトリアセチルセルロース等のセルロース誘導体等を使用することができる。
本発明の混合液は、熱線遮蔽用塗料、紫外線遮蔽塗料、熱線反射塗料等として使用することができる。
本発明の熱線遮蔽膜は、本発明の製造方法により得られる微粒子を含む。
本発明の熱線遮蔽膜は、本発明の熱線遮蔽用微粒子にバインダーを添加した混合液(塗料)を基材に塗布し、塗布膜(熱線遮蔽膜)とするにより成膜できる。塗料の塗布方法は特に限定されないが、例えばスピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、ロールコート法、バーコート法、流し塗り等、塗布液を平坦かつ薄く均一に塗布できる方法であればよい。この塗料は、ガラス、プラスチック等の基材に塗布することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
(1)熱線遮蔽用微粒子の作製
酸化インジウム粉末(添川理化学(株)純度99.99%)と酸化第二スズ(日本化学産業(株)純度98%)を、インジウムとスズのモル比で0.95:0.05となるように秤量し、メノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミル(フリッチェ(株))で10時間混合・粉砕を行った。その後、混合した粉体をアルミナボートに載せ、石英管に入れて管状炉に挿入した。その後、水素を2%含有する窒素ガスを0.5リットル/分で流しながら焼成を行った。焼成条件は950℃まで約40分間で昇温させた後に30分間保持し、1時間かけて冷却し、石英管から取り出した。
その後、焼成した試料に、試料100重量部に対し2重量部の炭酸アンモニウムを加え、遊星ボールミル(フリッチェ(株)製)で6時間粉砕を行って試料を得た。
(2)熱線遮蔽粒子の特性評価
上記(1)で得られた熱線遮蔽用微粒子の下記特性を評価した。結果を下記表1に示す。
粒径(nm):BET法(一点法)による比表面積(g/m)から求めた。
カットオフ波長(nm):積分球つき自記分光光度計UV−3100PC(島津製作所製)で測定した。
金属スズ又はスズ合金の定量(重量%):X線回折装置MiniFlex II(リガク社製)にて測定し、RIR法(参照強度比(Reference Intensity Ratios)を利用したX線回折法による簡易定量分析方法)を用いて金属スズ又はスズ合金量の定量を行った。
(3)熱線遮蔽膜の作製
得られた試料4gと分散剤BKY−2095(ビックケミー(株)製)0.2gをシクロヘキサノン15.8gに加え、ビーズミル(アイメックッス(株)製)を用いて1500rpmで2.5時間攪拌し、混合液を作製した。さらに、混合液10重量部に対し、バインダーとしてポリエステルワニスを1重量部加え、5分間超音波処理して混合した。その後、得られた塗布液を白板ガラス基板上に8番手のバーコーターを用いて塗布し、塗布膜を製膜した。この塗布膜を、60℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、150℃のオーブン中で30分間乾燥させ、熱線遮蔽膜を得た。
(4)熱線遮蔽膜の特性評価
上記(3)で得られた熱線遮蔽膜の下記特性を評価した。結果を下記表1に示す。
膜の透過率:自記分光光度計UV−3600(島津製作所)にて測定を行い500nmの透過率を読み取った。
実施例2〜11及び比較例1、2
下記表1に示す原料を、表1に記載の金属の配合比となるように混合し、粉砕時に表1に示す量の炭酸アンモニアを添加し、表1に記載の粉砕時間とした以外は実施例1と同様にして熱線遮蔽用微粒子及び熱線遮蔽膜を作製した。
得られた熱線遮蔽用微粒子及び熱線遮蔽膜の特性を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2010059040
上記実施例及び比較例で原料として用いた金属酸化物粉末は、下記のものを用いた。
酸化インジウム粉末:添川理化学(株)製、純度99.99%
酸化第二スズ:日本化学産業(株)製、純度98%
酸化亜鉛:ハクスイテック(株)製、第一種
酸化マグネシウム:岩谷化学(株)製、純度99.9%
表1の結果から、分解性添加剤を添加していない比較例1及び2では平均粒径が100nmを超えており、膜の透明性も悪い。これに対し、分解性添加剤を添加している実施例では平均粒径が100nm以下となり膜の透明性も高くなることが分かる。
本発明の熱線遮蔽用微粒子は、例えば、自動車や建築用の合わせガラス中間膜、又は合わせガラス、プラスチックの添加剤、熱線遮蔽・吸収用シートやフィルム、フィルム、シート、ガラス等の基材にコーティングするための塗料やインク組成物(熱線反射塗料)等にも使用することができる。
本発明の熱線遮蔽用微粒子は、紫外線遮蔽材料、熱線反射塗料等にも使用することができる。
また、本発明の熱線遮蔽用微粒子は、例えば、自動車、列車、建築用の材料(近赤外線カット材、熱線遮蔽材)に好適に用いることができる。

Claims (13)

  1. 2種以上の互いに価数の異なる金属元素の酸化物を含む金属酸化物原料粉末を混合した後に加熱処理する工程、及び
    前記加熱処理後の粉末を、分解性添加剤とともに機械的に粉砕処理する工程
    を含む微粒子の製造方法。
  2. 前記微粒子が熱線遮蔽用微粒子である請求項1に記載の微粒子の製造方法。
  3. 前記分解性添加剤の添加量が、前記加熱処理後の粉末100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下である請求項1又は2に記載の微粒子の製造方法。
  4. 前記分解性添加剤が、炭酸塩を含む請求項1〜3のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  5. 前記分解性添加剤が、アンモニウム塩を含む請求項1〜4のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  6. 前記分解性添加剤が、炭酸アンモニウムである請求項1〜5のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  7. 前記加熱処理の加熱温度が600〜1200℃である請求項1〜6のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  8. 前記加熱処理を、加熱温度600〜1200℃、加熱時間5〜120分で行う請求項1〜7のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  9. 前記金属酸化物原料粉末がインジウム、スズ、亜鉛、マグネシウム、ニッケル及びチタンからなる群から選択される少なくとも一種の金属元素を含む酸化物を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  10. 前記金属酸化物原料粉末がインジウム、スズ、亜鉛及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属元素を含む酸化物を含有する請求項1〜9のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  11. 前記金属酸化物原料粉末が、少なくともスズ元素を含む酸化物を含有し、
    前記スズ元素の酸化物の含有量が、前記金属酸化物原料粉末の全量を100重量%としたときに、50重量%以上98重量%以下である請求項1〜10のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかの方法により得られる微粒子を含む混合液。
  13. 請求項1〜11のいずれかに方法により得られる微粒子を含む熱線遮蔽膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103693678A (zh) * 2012-09-27 2014-04-02 三菱综合材料株式会社 Ito粉末及其制造方法、以及分散液及ito膜的制造方法
CN112501560A (zh) * 2020-11-13 2021-03-16 江西善纳新材料科技有限公司 一种高热反射率黑色镀层的制备方法

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