JP5849766B2 - 日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液、および日射遮蔽体、の製造方法 - Google Patents
日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液、および日射遮蔽体、の製造方法 Download PDFInfo
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Description
しかし、これらの成膜方法は大掛かりな装置や真空装置を必要し、生産性や大面積化に難点があり、膜の製造コストが高くなる問題点がある。また、これらの材料を用いて熱線反射ガラスの日射遮蔽特性を向上させようとすると、可視光領域の反射率も同時に高くなってしまう傾向があり、鏡のようなギラギラした外観を与えて、美観を損ねてしまう欠点もあった。
当該MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子は、xの値が0.001≦x≦1、z/yの値が2.2≦z/y≦2.999の範囲内であり、元素Mにアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reのうちから選択される1種類以上の元素である。
タングステン酸(H2WO4)粉体と炭酸セシウム(Cs2CO3)粉体との混合粉、または、タングステン酸(H2WO4)粉体と炭酸セシウム水溶液との混合物を乾燥して得た混合粉であって、タングステンとセシウムとの混合モル比が0.33≦Cs/W≦0.37である混合粉を、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガスであって当該不活性ガス中の還元性ガスの濃度が20vol%以下である雰囲気下で、500℃以上、600℃以下の温度で1時間以上、5時間以下焼成することを特徴とする日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子の製造方法である。
粒子直径が1nm以上、800nm以下である日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子を製造することを特徴とする第1の発明に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子の製造方法である。
第1または第2の発明に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子と、分散剤とを、溶媒に含ませることを特徴とする日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造方法である。
さらに樹脂バインダーを、溶媒に含ませることを特徴とする第3の発明に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造方法である。
第1または第2の発明に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子を、樹脂中に分散させることを特徴とする日射遮蔽体の製造方法である。
本発明者らは、タングステン酸(H2WO4)粉体と炭酸セシウム(Cs2CO3)粉体との混合粉、または、タングステン酸(H2WO4)粉体と炭酸セシウム水溶液との混合物を乾燥して得た混合粉において、タングステンとセシウムとの混合モル比が0.33≦Cs/W≦0.37である混合粉を製造した。そして、当該混合粉を、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下で500℃以上、600℃以下の温度で焼成することで、一般式CsxWyOz(但し、Csはセシウム、Wはタングステン、Oは酸素、0.30≦x/y≦0.33、2.2≦z/y≦3.0)で表され、主相が六方晶系の結晶構造を有するセシウム添加タングステン酸化物微粒子を得た。
さらに本発明者らは、当該本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子を用いた日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液に想到した。
以下、本発明に係る日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子として用いるセシウム添加タングステン酸化物微粒子について説明する。
タングステン酸(H2WO4、三酸化タングステン一水和物)と、炭酸セシウム(Cs2CO3)水溶液とを混合すると、多量の気体発生を伴って反応し混合物が生成する。一般に立方晶を有する三酸化タングステンは、その空隙内に非化学量論的にセシウムがインターカレートされることが知られている。従って、当該気体発生反応は、当該三酸化タングステン結晶内に、セシウムがインターカレートすることにより発生した炭酸ガスであると考えられる。
当該グラフの横軸は温度であり、縦軸はΔTG、TG、およびDTAであり、それぞれ実線、2点鎖線、破線を示している。
これは、上述した、混合乾燥粉に対するTG−DTA測定の結果より、混合乾燥粉は373℃以上で立方晶から六方晶へ相転移することを知見したことによる。さらに、焼成温度が500℃以上であれば、相転移を完結するために焼成時間を大幅に伸ばすことも不要で好ましいからである。また、焼成温度が550℃付近より重量減少が確認され、徐々にセシウム添加タングステン酸化物の還元分解が起こるため、焼成温度は還元分解の影響が少ない600℃以下であることが好ましいからである。
上記工程によって得られた本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子は、一般式CsxWyOz(但し、Csはセシウム、Wはタングステン、Oは酸素、0.30≦x/y≦0.33、2.2≦z/y<3.0)で表されるセシウム添加タングステン酸化物微粒子である。
一方、一次粒子の大きさを測定する為には、TEM観察が有効ではあるが、測定に時間と手間がかかり、現実的の方法ではない。
そこで本発明においては、セシウム添加タングステン酸化物微粒子の透過散乱光強度を測定している。上述したように、微粒子の粒子径が小さくなるとレイリー散乱領域となり、散乱光は平均分散粒径の6乗に反比例して低減するため、粒径の変化に応じて透過散乱光強度は変化する。そこで、予め、透過散乱光強度とTEMの粒径との関係を調べておくことで、透過散乱光強度から一次粒子の大きさを推測することが可能となる。
透過散乱光強度の測定は、微粒子分散液の状態で所定の厚みのセルに入れたもの、または、塗布成膜した膜を試料として測定することにより行う。その際、試料の全光線透過率の値が同程度になるように、微粒子分散液の濃度や膜厚を調整する。
この粉砕には一定以上の粉砕エネルギーが必要となるため、超音波振動や超遠心力処理を利用した二次粒子の凝集体を解きほぐす程度の力では不十分であり、メディアビーズの衝突エネルギー等を用いた方法が適している。
ところが、可視光領域の散乱を低減させる為に行う、上述した粉砕により、セシウム添加タングステン酸化物粒子の格子定数の値は、粉砕前後で大きく変化する。この為、粉砕後のセシウム添加タングステン酸化物微粒子は、収容されたセシウムが脱離しやすい構造へと変化してしまう。
従って、セシウム添加タングステン酸化物微粒子は、粉砕頻度が少なくて済む微粒子であることが望ましい。具体的には、粉砕前のセシウム添加タングステン酸化物微粒の粒子径が500nm以下、さらに好ましくは300nm以下であることが望ましい。
上述した本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子と分散剤とを、適宜な溶媒中に混合、分散したものが、本発明に係る日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液である。当該溶媒は特に限定されるものでなく、塗布条件、塗布環境、さらに樹脂バインダーを含有させたときは、当該バインダーに合わせて適宜選択すればよい。例えば、ケトン類、エステル類、炭化水素類、エーテル類、アルコール類から選ばれた1種類以上であることが好ましい。具体例として、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の炭化水素類;エチルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類が挙げられる。中でも、ケトン類、エステル類は危険性や毒性が低く、しかも取り扱いが容易な溶媒であることからより好ましい。また、さらに、界面活性剤などの添加剤を加えても良い。
上記日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液を、透明基材上に塗布して被膜を形成する場合の塗布法は、例えばスピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スクリーンコート法、ロールコート法、流し塗り等、分散液を平坦且つ薄く均一に塗布できる方法であればいずれの方法でもよい。
日射透過率値は、可視光透過率(VLT)VS日射透過率(ST)のグラフを作成し、5点をプロットする。当該プロット点を結ぶ線より、可視光透過率(VLT)値が70%のときの日射透過率(ST)値を算出して求めた。
セシウム添加タングステン酸化物微粒子の耐熱性は、日射遮蔽体を大気中120℃の恒温槽に12日間保管し、その後、日射透過率を測定し、耐熱試験前後における日射透過率の差(ΔST)を算出することにより評価した。また、日射遮蔽体の光着色は、日射遮蔽体を60℃、35%RH雰囲気下、照度100mW/cm2で60分の光照射を行い、光照射前後における可視光透過率の差(ΔVLT)を算出することにより評価した。
尚、上述の評価の際、同じサンプルを用いても試験ごとに結果がばらつくことがある為、基準となるサンプルを用意し、STやVLTの変化を相対比較することにより、安定した評価が可能となった。
本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子は、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下で500℃以上、600℃以下で焼成することにより製造できる。そして、従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子と同様に、本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子を用いてセシウム添加タングステン酸化物微粒子分散液を製造出来た。
例えば、太陽光線の当たる部位に使用しても、日射遮蔽体の温度が上昇しても、従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子と比較して、色や諸機能の劣化を殆ど生じない。
また、本発明に係る日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液を用いた本発明に係る日射遮蔽体は、光着色による外観異常が抑制されており、優れた日射遮蔽効果を持続して発揮できる。この結果、車両、ビル、事務所、一般家庭などの窓材や、電話ボックス、ショーウィンドー、照明用ランプ、透明ケースなどに使用される単板ガラス、合わせガラスの日射遮蔽機能を必要とする日射遮蔽体などの広汎な分野に長期間安定した日射遮蔽が可能となった。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)1.95gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(H2WO4、日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分に混合して混合液とした。炭酸セシウムの添加量は、タングステン酸中のWに対して炭酸セシウム中のCsのモル比が0.33となるようにした。
そして当該混合溶液を100℃大気中で十分に乾燥させ、得られた残留混合物を、擂潰器を用いて15分間混合した。そして、当該混合物9gを石英菅状炉にセットし、N2ガスをキャリアとした1%H2ガスを供給しながら加熱し、600℃の温度で60分間の還元処理を行って微粒子(a)を得た。この微粒子(a)のXRD測定を行い、リートベルト解析により微粒子(a)の(CsxWyOz)におけるx/y値、格子定数、正方格子構造のタングステン酸セシウム相(本発明において「異相1」と記載する場合がある。)の量、WO2相(本発明において「異相2」と記載する場合がある。)の量、W相(本発明において「異相3」と記載する場合がある。)の量、および粉砕前粒子径を求めた。その結果を表1に示す。
具体的には、セシウム添加タングステン酸化物微粒子と、UV硬化樹脂成分と重量比を固定して試料フィルムを作製し、当該試料フィルムの全光線透過率(以下、Ttと略す場合がある)の値が50%となるように、膜厚を調整した。当該膜厚を調整した試料フィルムの透過散乱光強度を測定したところ、最大ピークが1.17%となっていた。
一方、当該条件で作製した膜において、透過散乱光強度の最大ピークが1.2〜1.3%となる場合に、セシウム添加タングステン酸化物微粒子をTEM観察したところ、粒径20nm前後の一次粒子が観察された。
上述した耐熱性および耐光性の評価は、従来の技術に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子を用いた日射遮蔽体を比較サンプルとして同時に耐熱性試験および耐光性試験を実施し、実施例1に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子を用いた日射遮蔽体(A)との日射透過率および可視光透過率の変化を比較し、その改善割合を算出することにより行った。
即ち、試験後において、日射透過率および可視光透過率の変化が全くない場合を改善率100%とし、日射透過率および可視光透過率が比較サンプルと同じだけ変化した場合を改善率0%とした。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
タングステン酸(H2WO4、日本無機化学工業株式会社製)34.57kgに対し、炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)7.43kgを水6.70kgに溶解させた水溶液を添加し、混合した後、100℃で攪拌しながら水分を除去して乾燥粉を得た。
次に、N2ガスをキャリアーとした5%のH2ガスを供給しながら当該乾燥粉を加熱し、800℃の温度条件で5.5時間焼成してCs0.33WO3微粒子を得た。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)2.06gを純水によく溶解させた水溶液とタングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gを十分混合し、混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(b)を得た。この微粒子(b)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(B)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
実施例2において製造した混合物へ、500℃、120分間の還元処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行って微粒子(c)を得た。この微粒子(c)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(c)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(C液)、日射遮蔽体(C)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(C液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.22%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(C)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)2.06gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例3と同様の操作を行って微粒子(d)を得た。この微粒子(d)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(d)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(D液)、日射遮蔽体(D)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(D液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.25%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(D)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)2.12gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例3と同様の操作を行って微粒子(e)を得た。この微粒子(e)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(e)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(E液)、日射遮蔽体(E)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(E液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.24%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(E)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)2.15gを純水によく溶解させた水溶液とタングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例3と同様の操作を行って微粒子(f)を得た。この微粒子(f)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(f)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(F液)、日射遮蔽体(F)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(F液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.31%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(F)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)2.18gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(g)を得た。この微粒子(g)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(g)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(G液)、日射遮蔽体(G)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(G液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.24%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(G)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
タングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gと、水とを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って微粒子(h)を得た。この微粒子(h)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(h)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(H液)、日射遮蔽体(H)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(H液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.22%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(H)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)0.59gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って微粒子(i)を得た。この微粒子(i)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(i)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(I液)、日射遮蔽体(I)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(I液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.34%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(I)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)1.18gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って微粒子(j)を得た。この微粒子(j)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(j)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(J液)、日射遮蔽体(J)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(J液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.29%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(J)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)1.65gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(k)を得た。この微粒子(k)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(k)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(K液)、日射遮蔽体(K)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(K液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.34%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(K)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)1.77gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(l)を得た。この微粒子(l)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(l)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(L液)、日射遮蔽体(L)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(L液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.32%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(L)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)2.36gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(m)を得た。この微粒子(m)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(m)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(M液)、日射遮蔽体(M)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(M液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.25%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(M)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
炭酸セシウム(Cs2CO3,ケメタルジャパン製)2.65gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(H2WO4,日本無機化学工業株式会社製)9.06gを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(n)を得た。この微粒子(n)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(n)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(N液)、日射遮蔽体(N)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(N液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.25%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(N)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
実施例1において製造した混合物を、N2ガスをキャリアとした1%H2ガスを供給しながら加熱し、1000℃の温度で16分間の還元処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、微粒子(o)を得た。この微粒子(o)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(o)を用いたこと以外は、実施例1と同様に日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(O液)を得た。この分散液を用いて実施例1と同様に日射遮蔽体を作製したが、異相として混在していたタングステンにより透明膜を得ることが出来なかった。
実施例1において製造した混合物を、N2ガスをキャリアとした1%H2ガスを供給しながら加熱し、900℃の温度で18分間の還元処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、微粒子(p)を得た。この微粒子(p)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(p)を用いたこと以外は、実施例1と同様に日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(P液)を得た。この分散液を用いて実施例1と同様に日射遮蔽体を作製したが、異相として混在していたタングステンにより透明膜を得ることが出来なかった。
実施例1において製造した混合物を、N2ガスをキャリアとした1%H2ガスを供給しながら加熱し、800℃の温度で20分間の還元処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、微粒子(q)を得た。この微粒子(q)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(q)を用いたこと以外は、実施例1と同様に日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(Q液)を得た。この分散液を用いて実施例1と同様に日射遮蔽体を作製したが、異相として混在していたタングステンにより透明膜を得ることが出来なかった。
実施例1において製造した混合物を、N2ガスをキャリアとした1%H2ガスを供給しながら加熱し、700℃の温度で23分間の還元処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、微粒子(r)を得た。この微粒子(r)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(r)を用いたこと以外は、実施例1と同様に日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(R液)、日射遮蔽体(R)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(R液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.30%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(R)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
Claims (5)
- タングステン酸(H2WO4)粉体と炭酸セシウム(Cs2CO3)粉体との混合粉、または、タングステン酸(H2WO4)粉体と炭酸セシウム水溶液との混合物を乾燥して得た混合粉であって、タングステンとセシウムとの混合モル比が0.33≦Cs/W≦0.37である混合粉を、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガスであって当該不活性ガス中の還元性ガスの濃度が20vol%以下である雰囲気下で、500℃以上、600℃以下の温度で1時間以上、5時間以下焼成することを特徴とする日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子の製造方法。
- 粒子直径が1nm以上、800nm以下である日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子を製造することを特徴とする請求項1に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子の製造方法。
- 請求項1または2に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子と、分散剤とを、溶媒に含ませることを特徴とする日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造方法。
- さらに樹脂バインダーを、溶媒に含ませることを特徴とする請求項3に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造方法。
- 請求項1または2に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子を、樹脂中に分散させることを特徴とする日射遮蔽体の製造方法。
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