JP5849766B2 - 日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液、および日射遮蔽体、の製造方法 - Google Patents

日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液、および日射遮蔽体、の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、可視光領域においては透明で、近赤外線領域においては吸収を持つ日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子の製造方法、および日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子が分散されてなる日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物分散液、並びに日射遮蔽体に関する。
太陽光や電球の光に含まれ、熱として人体が感じたり、屋内の温度上昇を引き起こす赤外線を除去減少させる方法として、従来は、当該赤外線を反射する材料からなる金属膜を表面に形成したガラスである熱線反射ガラスを用いる手段が多く利用されてきた。当該赤外線反射材料には、FeO、CoO、CrO、TiOなどの金属酸化物や、Ag、Au、Cu、Ni、Al等の金属材料が選択されている。
ところが、これら金属酸化物や金属材料には、熱感や温度上昇に大きく寄与する赤外線以外に、可視光も同時に反射もしくは吸収する性質がある。この為、当該熱線反射ガラスの使用により、可視光透過率が低下してしまう問題があった。特に、建材、乗り物などに用いられる窓用基材においては可視光領域での高い透過率が必要とされる。そこで、当該熱線反射ガラスにおいて、上記金属酸化物等の材料を利用する場合には、その膜厚を非常に薄くしなければならなかった。
熱線反射ガラスにおいて、金属酸化物等の材料の膜厚を非常に薄くする為には、スプレー焼付けやCVD法、あるいはスパッタリング法や真空蒸着法などの物理成膜法を用い、膜厚10nmレベルの薄膜として成膜する方法が採られている。
しかし、これらの成膜方法は大掛かりな装置や真空装置を必要し、生産性や大面積化に難点があり、膜の製造コストが高くなる問題点がある。また、これらの材料を用いて熱線反射ガラスの日射遮蔽特性を向上させようとすると、可視光領域の反射率も同時に高くなってしまう傾向があり、鏡のようなギラギラした外観を与えて、美観を損ねてしまう欠点もあった。
一方、これらの材料で成膜された膜は、電気抵抗値が比較的低くなり、電波に対する反射が高くなる。この為、熱線反射ガラスが、携帯電話、全地球測位システム(GPS)、テレビ、ラジオ等の電波を反射し、当該ガラスが設置された室内はもちろん周辺地域へも電波障害を引き起こしたりする問題点があった。
このような熱線反射ガラスの問題点を改善するためには、ガラス表面に形成された膜の物理特性として可視光領域の光の反射率が低く、赤外線領域の反射率が高く、かつ膜の表面抵抗値が概ね10Ω/□以上に制御可能な膜が必要であると考えられる。
ここで、可視光透過率が高く、優れた熱線吸収特性を有する材料であるアンチモン錫酸化物(以下、ATOと略記する場合がある。)や、インジウム錫酸化物(以下、ITOと略記する場合がある。)の微粒子分散体を用いて、赤外線を吸収させる方法がある。これらの材料は、可視光反射率が比較的低い為、熱線反射ガラスにギラギラした外観を与えることはない。しかし、これらの材料は吸収波長領域が、中赤外線領域からより高い波長領域にあるために、太陽の放射強度が強い可視光領域により近い赤外線領域においては、熱線遮蔽効果が十分ではない。更に、これらの材料は、単位重量当たりの日射遮蔽力が低いため、高い日射遮蔽能を得るためには使用量が多くなり、原料コストが割高となる問題を有していた。
さらに、日射遮蔽能を有する赤外線遮蔽材料として、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウムをわずかに還元した成膜が挙げられる。これらの膜は所謂エレクトロクロミック材料として用いられる材料である。そして、充分に酸化された状態では透明であり、電気化学的な方法で還元すると長波長の可視光領域から近赤外線領域にかけて吸収を発現させる材料である為、用途が限定される。
特許文献1には、透明なガラス基板上に、基板側より第1層として周期律表のIIIa族、IVa族、Vb族、VIb族及びVIII族から成る群から選ばれた少なくとも1種類以上の金属イオンを含有する複合酸化タングステン膜を設け、前記第1層上に第2層として透明誘電体を設け、該第2層上に第3層として周期律表のIIIa族、IVa族、Vb族、VIb族及びVIII族から成る群から選ばれた少なくとも1種類以上の金属イオンを含有する複合酸化タングステン膜を設け、且つ前記第2層の透明誘電体膜の屈折率よりも低くする熱線遮蔽ガラスが提案されている。また、当該文献によれば、金属イオンを含有する複合酸化タングステン膜は、特に大面積化及び生産性等の観点からスパッタリング法によって成膜する旨が提案されている。
特許文献2には、特許文献1と同様の方法で、透明なガラス基板上に、基板側より第1層として第1の誘電体膜を設け、該第1層上に第2層として酸化タングステン膜を設け、該第2層上に第3層として第2の誘電体膜を設けた熱線遮蔽ガラスが提案されている。
特許文献3では、特許文献1と同様な方法で、透明な基板上に、基板側より第1層として同様の金属元素を含有する複合酸化タングステン膜を設け、前記第1層上に第2層として透明誘電体膜を設けた熱線遮蔽ガラスが提案されている。
特許文献4では、タングステンからなるターゲットを用い、二酸化炭素を含む雰囲気中でスパッタリングすることで、高遮熱性を有し、面内における光学特性が均一な酸化タングステン膜を安定して生産できる、電波透過型熱線遮蔽膜の成膜方法が提案されている。
特許文献1から特許文献4に記載されているように、従来、タングステン化合物を含む赤外線遮蔽膜の製造方法としては、スパッタリング法が用いられてきた。しかし、このような物理成膜法では、大掛かりな装置や真空設備を必要とした。この結果、生産性の観点から課題があり、大面積化を行うことは技術的には可能であっても、膜の製造コストが高くなるという課題もあった。また、日射遮蔽体としての観点からは、赤外線領域や近赤外線領域の遮蔽性能を低下させることなく、可視光領域での光透過性をより向上させたいという課題がある。また、生産性の観点より、当該赤外線遮蔽膜を単相膜とした場合、当該赤外線遮蔽膜が酸化しやすく、傷つきやすいという耐久性の弱さの問題があった。
上述の問題を解決するため特許文献5では、可視光透過率を高く保ったまま、赤外線の透過率を低くできる日射遮蔽体(微粒子分散体)に用いるタングステン酸化物微粒子とその製造方法およびMxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子が提案されている。
当該MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子は、xの値が0.001≦x≦1、z/yの値が2.2≦z/y≦2.999の範囲内であり、元素Mにアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reのうちから選択される1種類以上の元素である。
特許文献5に記載の複合タングステン酸化物微粒子を分散させた可視光透過型の日射遮蔽体(微粒子分散体)は、可視光透過率を高く保ったまま、赤外線の透過率を低くする観点から有用な材料である。しかし、当該日射遮蔽体に紫外線を含む強い光を照射されることで、当該日射遮蔽体の青色が濃くなり、可視光透過率が下がるという問題があった(以下、「光着色」と記載する。)。但し、この光着色は、当該日射遮蔽体を一定時間(数日)暗所で放置することで元に戻る性質がある。
上記問題を解決するため、特許文献6では、MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子の結晶中または/および該微粒子表面に、Cu、Fe、Mn、Ni、Co、Pt、Au、Ag、Na、In、Sn、Cs、Rbのうちから選択された1種類以上の元素、または、その化合物が含まれていることを特徴とするタングステン含有酸化物微粒子が提案されている。
さらに、特許文献7には、六方晶を有する複合タングステン酸化物微粒子にマグネリ相と呼ばれるタングステン酸化物(一般式W3n−1、W3n−2で記載される)を混在させることで、良好な赤外線遮蔽特性の付加、さらに耐候性の向上することが記載されている。
特開平8−59300号公報 特開平8−12378号公報 特開平8−283044号公報 特開平10−183334号公報 特開2005−187323号公報 特開2007−238353号公報 WO2005/037932号公報
本発明者らの検討によると、特許文献5に記載されている複合タングステン酸化物は、高い可視光透過率を有し、且つ優れた赤外線透過率の遮蔽できる日射遮蔽体料である。しかし、有機バインダーに該日射遮蔽材料を含有させて単相膜とした場合、熱による当該日射遮蔽材料の日射遮蔽特性の劣化が知見された。
また本発明者らの検討によると、特許文献6に記載される複合タングステン酸化物微粒子の結晶中または/および該微粒子表面に、Cu、Fe、Mn、Ni、Co、Pt、Au、Ag、Na、In、Sn、Cs、Rbのうちから選択された1種類以上の元素、または、その化合物が添加されているタングステン含有酸化物微粒子は、当該添加元素における過剰量の一部が、日射遮蔽能が低いまたは日射遮蔽能を有しない金属として析出し、電子伝導型の粒子となって可視光領域の光を吸収または反射させてしまう場合があることを知見した。さらに、当該文献に記載の方法を用いることにより、また、添加効果の高いCuやFeは、日射遮蔽体を形成するバインダー樹脂の劣化を加速させ、基板同士の密着性や膜の強度不足を招く要因となる場合があることも知見した。
さらに本発明者らは、特許文献7では、マグネリ相が混在することで良好な赤外線遮蔽特性の付加、さらに耐光性の向上が図られたが、耐熱性については十分ではないことも知見した。
本発明は、上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、可視光透過率が高く保たれ、赤外線の透過率が低く保たれながら、耐熱性に優れ、光着色が抑制される耐光性を有している日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子とその製造方法、当該微粒子を用いた日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液および日射遮蔽体を提供することである。尚、本発明に係る日射遮蔽体は、日射遮蔽膜を含む概念である。
本発明者等は、鋭意研究の結果、タングステンとセシウムとの混合モル比を所定範囲内に調整した、タングステン酸(HWO)粉体と炭酸セシウム(CsCO)粉体との混合粉、または、タングステン酸(HWO)粉体と炭酸セシウム水溶液との混合物を乾燥して得た混合粉を、所定温度範囲内の還元雰囲気下で焼成することにより、可視光透過率が高く保たれ、赤外線の透過率を低く保たれながら、耐熱性に優れ、光着色が抑制される耐光性を有している日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子を得ることができることを知見し、本発明を完成した。
すなわち、上述の課題を解決する為の第1の発明は、
タングステン酸(HWO)粉体と炭酸セシウム(CsCO)粉体との混合粉、または、タングステン酸(HWO)粉体と炭酸セシウム水溶液との混合物を乾燥して得た混合粉であって、タングステンとセシウムとの混合モル比が0.33≦Cs/W≦0.37である混合粉を、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガスであって当該不活性ガス中の還元性ガスの濃度が20vol%以下である雰囲気下で、500℃以上、600℃以下の温度で1時間以上、5時間以下焼成することを特徴とする日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子の製造方法である。
第2の発明は、
粒子直径が1nm以上、800nm以下である日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子を製造することを特徴とする第1の発明に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子の製造方法である。
第3の発明は、
第1または第2の発明に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子と、分散剤とを、溶媒に含ませることを特徴とする日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造方法である。
第4の発明は、
さらに樹脂バインダーを、溶媒に含ませることを特徴とする第3の発明に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造方法である。
第5の発明は、
第1または第2の発明に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子を、樹脂中に分散させることを特徴とする日射遮蔽体の製造方法である。
本発明によれば、可視光透過率が高く保たれ、赤外線の透過率が低く保たれ、耐熱性に優れ、光着色が抑制される耐光性を有している日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子とその製造方法、当該微粒子を用いた日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液および日射遮蔽体を得ることが出来た。
本発明に係るタングステン酸粉体と炭酸セシウム粉体との混合粉の示差熱熱重量同時測定(TG−DTA)結果である。 本発明に係る日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子の結晶構造を図示したものである。
以下、本発明を実施するための形態について、具体的に説明する。
本発明者らは、タングステン酸(HWO)粉体と炭酸セシウム(CsCO)粉体との混合粉、または、タングステン酸(HWO)粉体と炭酸セシウム水溶液との混合物を乾燥して得た混合粉において、タングステンとセシウムとの混合モル比が0.33≦Cs/W≦0.37である混合粉を製造した。そして、当該混合粉を、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下で500℃以上、600℃以下の温度で焼成することで、一般式Cs(但し、Csはセシウム、Wはタングステン、Oは酸素、0.30≦x/y≦0.33、2.2≦z/y≦3.0)で表され、主相が六方晶系の結晶構造を有するセシウム添加タングステン酸化物微粒子を得た。
そして本発明者らは、当該本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子が、従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子と同等の可視光透過率と赤外線の透過率とを保持しながら、さらに、耐熱性に優れ、光着色が抑制される耐光性に優れていることを知見し、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子として最適なものであることを知見した。
さらに本発明者らは、当該本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子を用いた日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液に想到した。
そして、当該本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子を用いた日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液を用いることで、高コストの物理成膜法を用いることなく、簡便な塗布法または練りこみ法を用いることで、本発明に係る日射遮蔽体を製造することが出来た。当該本発明に係る日射遮蔽体は、赤外線領域や近赤外線領域の遮蔽性能を保持したまま、可視光領域での光透過性を向上し、耐熱特性が向上し、光着色が抑制されていた。
以下、本発明に係る日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子として用いるセシウム添加タングステン酸化物微粒子について説明する。
1.本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子と、その製造方法
タングステン酸(HWO、三酸化タングステン一水和物)と、炭酸セシウム(CsCO)水溶液とを混合すると、多量の気体発生を伴って反応し混合物が生成する。一般に立方晶を有する三酸化タングステンは、その空隙内に非化学量論的にセシウムがインターカレートされることが知られている。従って、当該気体発生反応は、当該三酸化タングステン結晶内に、セシウムがインターカレートすることにより発生した炭酸ガスであると考えられる。
生成したタングステン酸と炭酸セシウム水溶液との混合物を乾燥して得られた混合乾燥粉の結晶構造をXRDにて分析すると、セシウムタングステン酸化物(CsW、立方晶)に酷似したX線回折ピークを示した。
当該混合乾燥粉を示差熱熱重量同時測定しながら還元ガス気流中で熱処理した。すると、373℃付近で示差熱(DTA)曲線にピークが確認され、構造解析から立方晶から六方晶に相転移するものであることが確認された(図1参照)。
ここで図1は、本発明に係るタングステン酸粉体と炭酸セシウム粉体との混合粉試料の示差熱熱重量同時測定(TG−DTA)結果のグラフである。
当該グラフの横軸は温度であり、縦軸はΔTG、TG、およびDTAであり、それぞれ実線、2点鎖線、破線を示している。
図1のTG(熱重量)曲線において、550℃付近より混合粉試料の重量減少が確認された。550℃以上で作製された混合粉試料を構造解析するとWO、W等が確認された。WO、W等は、セシウム添加タングステン酸化物または原料であるタングステン酸が還元分解したときに生成するものであり、混合粉試料の重量減少の原因と考えられる。特にWOは着色力が強く、少量でも含まれていると透過率を下げてしまう。そのため、WOの生成量は1重量%以下であることが好ましい。
六方晶タングステン酸化物の空隙に入るセシウムは、Cs/Wモル比で0.33が上限となる。ところが、Cs/Wモル比で0.33という化学量論的(ストイキオメトリー)組成にて、タングステン酸化物へセシウムを混合して仕込んだ場合、タングステン酸化物とセシウムとの混合ムラにより、セシウムプアとなる部分が発生する場合がある。当該セシウムプアとなるタングステン酸化物の部分においては、六方晶以外のタングステン酸化物が生成すると考えられる。六方晶以外のタングステン酸化物には日射遮蔽機能がないため、不純物として多く生成すると、日射遮蔽体の日射遮蔽機能を下げてしまう。そこで、当該六方晶以外のタングステン酸化物の生成量は10重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であればさらに好ましい。
一方、当該六方晶以外のタングステン酸化物生成を抑制する為、セシウム添加量を過剰にした場合、わずかな過剰であるとセシウムは水酸化セシウムとして、粒子表面に堆積すると考えられ、これは日射遮蔽体の膜特性にはほとんど影響しない。さらに過剰のセシウム添加を行った場合、タングステン酸化物中にCs/Wモル比で0.33以上のセシウムが過剰にドープされた部分が発生する。当該Cs/Wモル比で0.33以上のセシウムが過剰にドープされた部分においては、相転移が阻害され、正方格子構造のタングステン酸セシウムが発生して混在することになる。当該正方格子構造のタングステン酸セシウムの混在が少量であれば、日射遮蔽体の膜特性に大きく影響しない。しかし、正方格子構造のタングステン酸セシウムが増加すると日射遮蔽体の日射透過率が悪化してしまう。
以上より、タングステン酸(HWO)と、炭酸セシウム(CsCO)を混合した混合粉、または、タングステン酸(HWO)と炭酸セシウム(CsCO)水溶液を混合し、乾燥させた混合乾燥粉を作製する場合、日射遮蔽特性の低い異相の生成を抑制するため、Cs/Wモル比において、0.33≦Cs/W≦0.37であることが好ましい。さらに好ましくはCs/W=0.35である。
本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子に対し、望まれる性状および光学特性並びに耐熱特性の観点から、タングステン酸(HWO)と炭酸セシウム(CsCO)との混合乾燥粉の焼成温度は、500℃以上、600℃以下である。
これは、上述した、混合乾燥粉に対するTG−DTA測定の結果より、混合乾燥粉は373℃以上で立方晶から六方晶へ相転移することを知見したことによる。さらに、焼成温度が500℃以上であれば、相転移を完結するために焼成時間を大幅に伸ばすことも不要で好ましいからである。また、焼成温度が550℃付近より重量減少が確認され、徐々にセシウム添加タングステン酸化物の還元分解が起こるため、焼成温度は還元分解の影響が少ない600℃以下であることが好ましいからである。
焼成時の処理時間は処理温度に応じて適宜選択すればよいが、1時間以上、5時間以下でよい。不活性ガスと還元性ガスの混合ガス雰囲気下で焼成する場合、不活性ガス中の還元性ガスの濃度は処理温度に応じて適宜選択すれば良く、特に限定されないが、例えば20vol%以下、好ましくは10vol%以下、安全性の観点からもより好ましくは5vol%以下である。
ここで、本発明において用いるタングステン化合物は、原料コストや排ガス処理の観点からタングステン酸が望ましい。セシウム化合物については、原料コストや排ガス処理の観点から炭酸セシウムが望ましい。
2.セシウム添加タングステン酸化物微粒子、および当該セシウム添加タングステン酸化物微粒子の粉砕微粒子
上記工程によって得られた本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子は、一般式Cs(但し、Csはセシウム、Wはタングステン、Oは酸素、0.30≦x/y≦0.33、2.2≦z/y<3.0)で表されるセシウム添加タングステン酸化物微粒子である。
当該Csで表される本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物は、高い可視光透過率を維持したまま、赤外線を遮蔽する特徴を有し、且つ耐熱性に優れる日射遮蔽微粒子である。そして、z/yの値が2.2以上であれば、日射遮蔽機能を有しないWOの生成が回避され、3.0未満であれば、十分な伝導電子が生成されるので、十分な日射遮蔽機能を発揮することとなる。また、x/yの値が0.30以上であれば、伝導電子が生成し、0.33以下であれば不純物の生成を回避でき、耐熱性に優れる。さらに好ましくはx/yの値が0.32以上0.33以下の範囲において優れた耐熱特性を発揮する。
また、本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子の粒子径は、当該微粒子の使用目的によって適宜選択することができる。例えば、日射遮蔽体の透明性を保持した応用に使用する場合は、平均分散粒径は800nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下がよい。タングステン酸化物や複合タングステン酸化物の平均分散粒径が800nmを超えた場合、幾何学散乱またはミー散乱によって、波長380nm〜780nmの可視光線領域の光を散乱してしまうことから、作製した日射遮蔽体の外観は曇りガラスのようになり好ましくない。平均分散粒径が100nm以下になると、幾何学散乱またはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域において、散乱光は平均分散粒径の6乗に反比例して低減するため、可視光線の散乱が低減して外観が良好となる。更に、平均分散粒径が50nm以下になると散乱光は非常に少なくなることから好ましい。
粒子径の簡便な測定方法として、一般的には粒度分布計が用いられる。しかし、本発明に係る微粒子のように粉砕により生じた活性面を有し、非常に小さなナノ微粒子では、溶液中で凝集・分散を繰り返す。この為、粒度分布計では二次粒子の大きさを測定してしまい、正確な一次粒子の大きさを測定することが出来ない。
一方、一次粒子の大きさを測定する為には、TEM観察が有効ではあるが、測定に時間と手間がかかり、現実的の方法ではない。
そこで本発明においては、セシウム添加タングステン酸化物微粒子の透過散乱光強度を測定している。上述したように、微粒子の粒子径が小さくなるとレイリー散乱領域となり、散乱光は平均分散粒径の6乗に反比例して低減するため、粒径の変化に応じて透過散乱光強度は変化する。そこで、予め、透過散乱光強度とTEMの粒径との関係を調べておくことで、透過散乱光強度から一次粒子の大きさを推測することが可能となる。
透過散乱光強度の測定は、微粒子分散液の状態で所定の厚みのセルに入れたもの、または、塗布成膜した膜を試料として測定することにより行う。その際、試料の全光線透過率の値が同程度になるように、微粒子分散液の濃度や膜厚を調整する。
本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物は、原料であるタングステン酸の粒子径および焼成温度帯で決まる粒成長により粒子径が決定される。当該セシウム添加タングステン酸化物を適宜粉砕処理し上述の粒子径とすることで、可視光領域の散乱を低減させて高い透明性を得る。
この粉砕には一定以上の粉砕エネルギーが必要となるため、超音波振動や超遠心力処理を利用した二次粒子の凝集体を解きほぐす程度の力では不十分であり、メディアビーズの衝突エネルギー等を用いた方法が適している。
セシウム添加タングステン酸化物は、図2において四角形で表すWO八面体が互いに結合して六角形のトンネルを形成している。このトンネル内には、セシウムが非化学量論的に収容され、収容されたセシウムはイオン化する。さらにこの平面構造は垂直方向(c軸方向)にスタックされる。この結果、セシウムイオンは、酸化タングステンを骨格とした構造内に安定に保持される為、酸化タングステンの格子定数a、格子定数cの値が理論値に近づくほど安定化する。そして、構造内のセシウムはタングステン酸化物への電子供給体として寄与し、赤外線吸収能を高める働きをする為、セシウムの脱離は日射遮蔽能の低下につながる。
ところが、可視光領域の散乱を低減させる為に行う、上述した粉砕により、セシウム添加タングステン酸化物粒子の格子定数の値は、粉砕前後で大きく変化する。この為、粉砕後のセシウム添加タングステン酸化物微粒子は、収容されたセシウムが脱離しやすい構造へと変化してしまう。
従って、セシウム添加タングステン酸化物微粒子は、粉砕頻度が少なくて済む微粒子であることが望ましい。具体的には、粉砕前のセシウム添加タングステン酸化物微粒の粒子径が500nm以下、さらに好ましくは300nm以下であることが望ましい。
3.日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液
上述した本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子と分散剤とを、適宜な溶媒中に混合、分散したものが、本発明に係る日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液である。当該溶媒は特に限定されるものでなく、塗布条件、塗布環境、さらに樹脂バインダーを含有させたときは、当該バインダーに合わせて適宜選択すればよい。例えば、ケトン類、エステル類、炭化水素類、エーテル類、アルコール類から選ばれた1種類以上であることが好ましい。具体例として、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の炭化水素類;エチルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類が挙げられる。中でも、ケトン類、エステル類は危険性や毒性が低く、しかも取り扱いが容易な溶媒であることからより好ましい。また、さらに、界面活性剤などの添加剤を加えても良い。
セシウム添加タングステン酸化物微粒子の溶媒への分散方法は、微粒子を分散液中へ均一に分散する方法であれば特に限定されず、例えば、メディアビーズを用いたビーズミル、ボールミル、ペイントシェーカーなどが挙げられる。これらの機材を用いた分散処理工程によって、セシウム添加タングステン酸化物微粒子の溶媒中への分散と同時に媒体攪拌メディアにより粉砕を行い、より微粒子化して分散させることができる。
4.日射遮蔽体
上記日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液を、透明基材上に塗布して被膜を形成する場合の塗布法は、例えばスピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スクリーンコート法、ロールコート法、流し塗り等、分散液を平坦且つ薄く均一に塗布できる方法であればいずれの方法でもよい。
また、上記日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液が、樹脂バインダーを含む分散液である場合、当該分散液を基材に塗布後、それぞれの樹脂の硬化方法に従って硬化させればよい。例えば、該樹脂バインダーが、紫外線硬化樹脂であれば紫外線を適宜照射すればよく、また常温硬化樹脂であれば塗布後そのまま放置しておけばよい。このため、当該構成を有する日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液は、既存のガラス等への現場における塗布が可能である。
得られた日射遮蔽体は、光学特性として日射透過率(ST)と可視光透過率(VLT)を評価した。
日射透過率値は、可視光透過率(VLT)VS日射透過率(ST)のグラフを作成し、5点をプロットする。当該プロット点を結ぶ線より、可視光透過率(VLT)値が70%のときの日射透過率(ST)値を算出して求めた。
セシウム添加タングステン酸化物微粒子の耐熱性は、日射遮蔽体を大気中120℃の恒温槽に12日間保管し、その後、日射透過率を測定し、耐熱試験前後における日射透過率の差(ΔST)を算出することにより評価した。また、日射遮蔽体の光着色は、日射遮蔽体を60℃、35%RH雰囲気下、照度100mW/cmで60分の光照射を行い、光照射前後における可視光透過率の差(ΔVLT)を算出することにより評価した。
尚、上述の評価の際、同じサンプルを用いても試験ごとに結果がばらつくことがある為、基準となるサンプルを用意し、STやVLTの変化を相対比較することにより、安定した評価が可能となった。
5.まとめ
本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子は、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下で500℃以上、600℃以下で焼成することにより製造できる。そして、従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子と同様に、本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子を用いてセシウム添加タングステン酸化物微粒子分散液を製造出来た。
そして、本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子分散液を用いて、高コストな物理成膜法を用いることなく、簡便な塗布法等で日射遮蔽体を形成でき、赤外線領域や近赤外線領域の遮蔽性能を落とすことなく、可視光領域での光透過性が優れ、且つ従来のセシウム添加タングステン酸化物微粒子を用いた日射遮蔽体より遮蔽性能に係る耐熱特性や光着色を改善させた日射遮蔽体を、安価な製造コストで製造することができた。
さらに、本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子を、適宜な樹脂へ練りこみ法等により分散させることで、赤外線領域や近赤外線領域の遮蔽性能を落とすことなく、可視光領域での光透過性が優れ、且つ従来のセシウム添加タングステン酸化物微粒子を用いた日射遮蔽体より遮蔽性能に係る耐熱特性を向上させた日射遮蔽体を安価な生産コストで製造することができた。
尚、本発明に係る日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液を用いた日射遮蔽体の形成は、本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分解反応、または、化学反応を用いたものではないため、当該微粒子の特性の安定した本発明に係る日射遮蔽体を形成することができた。
また、373℃以上600℃以下の温度範囲において、還元雰囲気下で焼成して得られた本発明に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子は、従来の技術に係る複合ングステン酸化物微粒子と比較して耐熱特性、耐光性が向上しており優れた日射遮蔽効果を持続して発揮できた。
例えば、太陽光線の当たる部位に使用しても、日射遮蔽体の温度が上昇しても、従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子と比較して、色や諸機能の劣化を殆ど生じない。
また、本発明に係る日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液を用いた本発明に係る日射遮蔽体は、光着色による外観異常が抑制されており、優れた日射遮蔽効果を持続して発揮できる。この結果、車両、ビル、事務所、一般家庭などの窓材や、電話ボックス、ショーウィンドー、照明用ランプ、透明ケースなどに使用される単板ガラス、合わせガラスの日射遮蔽機能を必要とする日射遮蔽体などの広汎な分野に長期間安定した日射遮蔽が可能となった。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)1.95gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(HWO、日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分に混合して混合液とした。炭酸セシウムの添加量は、タングステン酸中のWに対して炭酸セシウム中のCsのモル比が0.33となるようにした。
そして当該混合溶液を100℃大気中で十分に乾燥させ、得られた残留混合物を、擂潰器を用いて15分間混合した。そして、当該混合物9gを石英菅状炉にセットし、Nガスをキャリアとした1%Hガスを供給しながら加熱し、600℃の温度で60分間の還元処理を行って微粒子(a)を得た。この微粒子(a)のXRD測定を行い、リートベルト解析により微粒子(a)の(Cs)におけるx/y値、格子定数、正方格子構造のタングステン酸セシウム相(本発明において「異相1」と記載する場合がある。)の量、WO相(本発明において「異相2」と記載する場合がある。)の量、W相(本発明において「異相3」と記載する場合がある。)の量、および粉砕前粒子径を求めた。その結果を表1に示す。
次に、当該微粒子(a)10重量%と、高分子分散液(EFKA4400,BASF社製)10重量%と、メチルイソブチルケトン80重量%とを、総重量20gとなるように秤量した。当該秤量物を、0.3mmφZrOビーズ(東レ製 トレセラムビーズ HIP処理品)120gを入れた70ccガラス瓶に装填し、ペイントシェーカーを用いて粉砕・分散処理をすることで日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(A液)を製造した。
ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(A液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の大きさの評価は、樹脂中に単分散させた微粒子の散乱強度(透過光)により行った。
具体的には、セシウム添加タングステン酸化物微粒子と、UV硬化樹脂成分と重量比を固定して試料フィルムを作製し、当該試料フィルムの全光線透過率(以下、Ttと略す場合がある)の値が50%となるように、膜厚を調整した。当該膜厚を調整した試料フィルムの透過散乱光強度を測定したところ、最大ピークが1.17%となっていた。
一方、当該条件で作製した膜において、透過散乱光強度の最大ピークが1.2〜1.3%となる場合に、セシウム添加タングステン酸化物微粒子をTEM観察したところ、粒径20nm前後の一次粒子が観察された。
次に得られた日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(A液)6.0g、UV硬化樹脂3.0gを秤量し、混合・攪拌して日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散樹脂液(AA液)を製造した。そして、全光線透過率が68.5%となるように適当なバーコーターを用い、厚さ3mmのガラス基板上へ日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散樹脂液(AA液)を塗布した後、70℃、1分間の溶剤除去を行い、高圧水銀ランプを照射し、実施例1に係る日射遮蔽体(A)を得た。
ここで、分光光度計(U−4000,株式会社日立ハイテクフィールディング製)を用い、日射遮蔽体(A)の光学特性として日射透過率を測定した。この値を「初期値」として耐熱性試験および耐光性試験を行った。耐熱性試験は、日射遮蔽体(A)を大気中120℃の恒温槽に12日間保管することで行った。耐光性試験は、日射遮蔽体(A)へ100mW/cmの強度でメタルハライドランプによる1時間の照射をすることで行った。
(従来の技術に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子)
上述した耐熱性および耐光性の評価は、従来の技術に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子を用いた日射遮蔽体を比較サンプルとして同時に耐熱性試験および耐光性試験を実施し、実施例1に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子を用いた日射遮蔽体(A)との日射透過率および可視光透過率の変化を比較し、その改善割合を算出することにより行った。
即ち、試験後において、日射透過率および可視光透過率の変化が全くない場合を改善率100%とし、日射透過率および可視光透過率が比較サンプルと同じだけ変化した場合を改善率0%とした。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
尚、上述した、従来の技術に係るセシウム添加タングステン酸化物微粒子の製造方法について説明する。
タングステン酸(HWO、日本無機化学工業株式会社製)34.57kgに対し、炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)7.43kgを水6.70kgに溶解させた水溶液を添加し、混合した後、100℃で攪拌しながら水分を除去して乾燥粉を得た。
次に、Nガスをキャリアーとした5%のHガスを供給しながら当該乾燥粉を加熱し、800℃の温度条件で5.5時間焼成してCs0.33WO微粒子を得た。
[実施例2]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)2.06gを純水によく溶解させた水溶液とタングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gを十分混合し、混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(b)を得た。この微粒子(b)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(b)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(B液)、日射遮蔽体(B)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(B液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.29%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(B)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例2において製造した混合物へ、500℃、120分間の還元処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行って微粒子(c)を得た。この微粒子(c)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(c)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(C液)、日射遮蔽体(C)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(C液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.22%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(C)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[実施例4]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)2.06gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例3と同様の操作を行って微粒子(d)を得た。この微粒子(d)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(d)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(D液)、日射遮蔽体(D)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(D液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.25%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(D)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[実施例5]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)2.12gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例3と同様の操作を行って微粒子(e)を得た。この微粒子(e)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(e)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(E液)、日射遮蔽体(E)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(E液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.24%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(E)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[実施例6]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)2.15gを純水によく溶解させた水溶液とタングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例3と同様の操作を行って微粒子(f)を得た。この微粒子(f)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(f)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(F液)、日射遮蔽体(F)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(F液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.31%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(F)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[実施例7]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)2.18gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(g)を得た。この微粒子(g)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(g)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(G液)、日射遮蔽体(G)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(G液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.24%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(G)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[比較例1]
タングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gと、水とを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って微粒子(h)を得た。この微粒子(h)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(h)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(H液)、日射遮蔽体(H)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(H液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.22%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(H)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[比較例2]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)0.59gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って微粒子(i)を得た。この微粒子(i)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(i)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(I液)、日射遮蔽体(I)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(I液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.34%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(I)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[比較例3]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)1.18gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って微粒子(j)を得た。この微粒子(j)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(j)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(J液)、日射遮蔽体(J)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(J液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.29%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(J)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[比較例4]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)1.65gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(k)を得た。この微粒子(k)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(k)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(K液)、日射遮蔽体(K)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(K液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.34%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(K)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[比較例5]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)1.77gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(l)を得た。この微粒子(l)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(l)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(L液)、日射遮蔽体(L)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(L液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.32%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(L)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[比較例6]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)2.36gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gとを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(m)を得た。この微粒子(m)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(m)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(M液)、日射遮蔽体(M)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(M液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.25%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(M)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[比較例7]
炭酸セシウム(CsCO,ケメタルジャパン製)2.65gを純水によく溶解させた水溶液と、タングステン酸(HWO,日本無機化学工業株式会社製)9.06gを十分混合し、100℃大気中で乾燥させ、残留混合物を得た以外は、実施例1と同様にして微粒子(n)を得た。この微粒子(n)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(n)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(N液)、日射遮蔽体(N)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(N液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.25%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(N)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
[比較例8]
実施例1において製造した混合物を、Nガスをキャリアとした1%Hガスを供給しながら加熱し、1000℃の温度で16分間の還元処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、微粒子(o)を得た。この微粒子(o)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(o)を用いたこと以外は、実施例1と同様に日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(O液)を得た。この分散液を用いて実施例1と同様に日射遮蔽体を作製したが、異相として混在していたタングステンにより透明膜を得ることが出来なかった。
[比較例9]
実施例1において製造した混合物を、Nガスをキャリアとした1%Hガスを供給しながら加熱し、900℃の温度で18分間の還元処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、微粒子(p)を得た。この微粒子(p)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(p)を用いたこと以外は、実施例1と同様に日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(P液)を得た。この分散液を用いて実施例1と同様に日射遮蔽体を作製したが、異相として混在していたタングステンにより透明膜を得ることが出来なかった。
[比較例10]
実施例1において製造した混合物を、Nガスをキャリアとした1%Hガスを供給しながら加熱し、800℃の温度で20分間の還元処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、微粒子(q)を得た。この微粒子(q)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(q)を用いたこと以外は、実施例1と同様に日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(Q液)を得た。この分散液を用いて実施例1と同様に日射遮蔽体を作製したが、異相として混在していたタングステンにより透明膜を得ることが出来なかった。
[比較例11]
実施例1において製造した混合物を、Nガスをキャリアとした1%Hガスを供給しながら加熱し、700℃の温度で23分間の還元処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、微粒子(r)を得た。この微粒子(r)のx/y値、格子定数、異相の量および粉砕前粒子径を表1に示す。
次に、微粒子(a)に代えて微粒子(r)を用いたこと以外は、実施例1と同様に日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(R液)、日射遮蔽体(R)を得た。ここで、日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液(R液)中におけるセシウム添加タングステン酸化物微粒子の分散粒径は、UV硬化樹脂中含有させた際の透過散乱光の強度により評価し、最大ピークが1.30%となっていた。
そして、この分散樹脂液を用いて実施例1と同様に作製した日射遮蔽体(R)に対して、実施例1と同様に耐熱性および耐光性試験を実施した。耐熱性および耐光性試験の結果を表2に示す。
表2に示した結果より明らかなように、実施例1〜6に係る日射遮蔽体A〜Fは、従来のセシウム添加タングステン酸化物を用いた日射遮蔽体K〜Rと比較して日射遮蔽能が高ことが判明した。特に、実施例2、3では、高い日射遮蔽能を有し耐候性の高い日射遮蔽体を得ることが出来た。本発明に係る日射遮蔽体を、車両、ビル、事務所、一般住宅などの窓材や、電話ボックス、ショーウィンドー、照明用ランプ、透明ケースなどに使用される単板ガラス、合わせガラス、プラスティック、繊維等の日射遮蔽機能を必要とする日射遮蔽体として用いた場合、日射遮蔽特性の劣化が起こり難く、信頼性の高い製品として使用出来る。

Claims (5)

  1. タングステン酸(HWO)粉体と炭酸セシウム(CsCO)粉体との混合粉、または、タングステン酸(HWO)粉体と炭酸セシウム水溶液との混合物を乾燥して得た混合粉であって、タングステンとセシウムとの混合モル比が0.33≦Cs/W≦0.37である混合粉を、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガスであって当該不活性ガス中の還元性ガスの濃度が20vol%以下である雰囲気下で、500℃以上、600℃以下の温度で1時間以上、5時間以下焼成することを特徴とする日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子の製造方法。
  2. 粒子直径が1nm以上、800nm以下である日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子を製造することを特徴とする請求項1に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子と、分散剤とを、溶媒に含ませることを特徴とする日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造方法。
  4. さらに樹脂バインダーを、溶媒に含ませることを特徴とする請求項3に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子を、樹脂中に分散させることを特徴とする日射遮蔽体の製造方法。
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