JP4573796B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機の油圧制御装置に関し、特に発進用締結要素の油圧制御装置に関する。
エンジンにより駆動されるオイルポンプが発生する油圧によりクラッチ(ブレーキを含む。以下、同様。)締結用の油圧が供給される自動変速機においては、アイドルストップによりエンジンが停止している間は、オイルポンプが油圧を発生することができない。このため、アイドルストップ後のエンジン再始動直後に、発進クラッチ締結油圧がゼロとなり、発進クラッチは非締結となる。よって、エンジン動力を車輪に伝達できないため、再発進応答性が遅れる、という問題があった。また、エンジン再始動時に、アクセルペダルが踏み込まれる等によりエンジン回転数が上昇(オーバーシュート)している状態のまま、発進クラッチがいきなり締結されると締結ショックが生じる、という問題があった。
上記問題を解決可能な従来技術として、非特許文献1には、エンジンにより駆動されるオイルポンプとは別に電動ポンプを設け、アイドルストップ中は、この電動ポンプの供給油圧により前進クラッチを締結状態に保つ方式が記載されている。また、特許文献1には、エンジンにより駆動されるオイルポンプとは別に、オイルポンプとクラッチ用油圧ユニットとの間に逆止弁及びアキュムレータ(又は電動ポンプ)を設け、アイドルストップ中は、このアキュムレータ(又は電動ポンプ)の供給油圧により前進クラッチを締結状態に保つ方式が記載されている。さらに、非特許文献2には、前進クラッチへの供給油路上に逆止弁を設けると共に前進クラッチからの排出油路上に排出弁を設けて、アイドルストップ中は前進クラッチの油圧回路を閉回路とすることにより、前進クラッチを締結状態に保つ方式が記載されている。上記排出弁の開閉は、シフトレバーの作動と連動するカム機構により制御される構成となっている。
特開平8−14076号公報 自動車技術会講演会前刷集No.59-03 SAE TECHNICAL PAPER SERIES 2001-01-0326
しかし、非特許文献1及び特許文献1に記載の方式では、エンジン停止時に前進クラッチを完全な締結状態とし、前進クラッチのトルク容量を最大としている。このため、エンジン再始動時にエンジン回転数が上昇(オーバーシュート)すると、エンジントルクの上昇がそのまま変速機出力軸に伝達されて、唐突な車両の飛び出し感を運転者に与える、という問題がある。また、非特許文献2に記載の方式では、Dレンジでアイドルストップした場合、アイドルストップ前の前進クラッチ締結油圧が保持されるため、高い油圧が保持されていると、エンジン再始動後の再発進時に、アクセル開度がゼロにもかかわらず唐突な車両の飛び出し感を運転者に与える。よって、これらの方式においては、上記飛び出し感を回避するため、エンジン回転数のオーバーシュート期間中は、自動ブレーキにより車両飛び出し感を防止する等の対策が必要となる。
また、非特許文献1や特許文献1に記載の方式では、アキュムレータや電動ポンプ等の、エンジンの駆動力によらないクラッチ締結油圧供給手段を設けることが必要である。また、クラッチに供給されていた作動油を完全に排出するため、電磁弁等のクラッチ締結油圧排出手段を設けることが必要である。よって、車両搭載性やコストが悪化する。一方、アキュムレータや電動ポンプ等を用いない非特許文献2に記載の方式では、シフトレバーの作動と連動して必要な締結要素に締結油圧を選択供給する通常のマニュアル弁を、上記カム機構と並列に設ける必要がある。よって、レイアウトの面で不利である。以上のように、これらの方式では、車両搭載性やコスト面、レイアウト面で課題がある。
さらに、非特許文献1に記載の方式や特許文献1に記載の電動ポンプを用いる方式では、アイドルストップ中も電力を消費するため、バッテリの充電状態を常に監視しながらアイドルストップを許可するか否かを判定する必要がある。
本発明は上記課題に着目してなされたものであり、アイドルストップ後のエンジン再始動時における再発進応答性を確保しつつ、再発進時のショックを防止し、かつ車両搭載性やコスト面及びレイアウト面の改善を図ることが可能な自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置は、エンジンにより駆動されるオイルポンプからの作動油の供給により移動するピストンと、前記ピストンの移動により互いに押し付けられる入力側及び出力側の複数の摩擦板と、非締結時には弾性力により前記ピストンと前記複数の摩擦板との間に所定のクリアランスを確保するリターンスプリングと、を有し、シフト位置として発進位置が選択された場合に締結される発進用締結要素と、所定の条件が成立したときは前記エンジンを停止するアイドルストップ制御手段と、を備えた自動変速機の油圧制御装置において、シフト位置として発進位置が選択された場合に、前記発進用締結要素と前記オイルポンプ側の油路との連通を可能にする供給油路と、発進位置以外のシフト位置が選択された場合に、前記発進用締結要素から作動油を排出する排出油路と、を有し、前記供給油路は、前記オイルポンプ側の油路から前記発進用締結要素へ向かう作動油の流れを許可する一方、前記発進用締結要素から前記オイルポンプ側の油路へ向かう作動油の流れを禁止する逆止弁が設けられた第1油路と、前記オイルポンプ側の油路から前記発進用締結要素へ向かう作動油の流れを禁止する一方、前記発進用締結要素側の作動油の圧力が所定値より大きいときに前記発進用締結要素から前記オイルポンプ側の油路へ向かう作動油の流れを許可する保圧弁を前記逆止弁と並列に設けた第2油路と、を有し、シフト位置として発進位置が選択された場合であって前記オイルポンプの非作動時に、前記発進用締結要素内に保持される作動油圧により前記ピストンに加えられる荷重は、前記クリアランスが最大であるときの前記リターンスプリングの弾性力より大きいこととした。
よって、本発明の自動変速機の油圧制御装置にあっては、アイドルストップ後のエンジン再始動時における再発進応答性を確保しつつ、再発進時のショックを防止し、かつ車両搭載性やコスト面及びレイアウト面の改善を図ることが可能である。
以下、本発明を実現するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明する。
[自動変速機の概略]
図1は、本発明の油圧制御装置を適用したFF車用の自動変速機の概略断面図である。図2は、上記自動変速機の制御系を示す。自動変速機は、図外のエンジンからのトルクを増幅するトルクコンバータ1と、発進クラッチ(前進クラッチ及び後進ブレーキ)を有する前後進切替機構2と、入出力間で無段変速するCVT3と、駆動ギア4と、アイドラギア4aと、ファイナルギア4bと、差動装置4cと、を有している。また、各装置への油圧や潤滑油を供給する機構として、オイルポンプ7と、油圧コントロールバルブユニット8と、を有している。
前後進切換機構2は、リングギア2a,ピニオンキャリア2b,及びサンギア2cからなる遊星歯車機構により構成されている。リングギア2aは、トルクコンバータ出力軸13と連結している。サンギア2cは、CVT入力軸14と連結している。ピニオンキャリア2bには、変速機ケースにピニオンキャリア2bを固定する後進ブレーキ2e、及びCVT入力軸14とピニオンキャリア2bとを一体に連結する前進クラッチ2dが設けられている。
CVT3は、CVT入力軸14の端部に設けられたプライマリプーリ30(プライマリ可動プーリ30aおよびプライマリ固定プーリ30b)と、従動軸16上に設けられたセカンダリプーリ31(セカンダリ可動プーリ31aおよびセカンダリ固定プーリ31b)と、各プーリ30,31の溝間に巻き付けられプライマリプーリ30の回転力をセカンダリプーリ31に伝達するベルト15と、を有している。
プライマリ可動プーリ30aの軸方向位置(プライマリプーリ30の溝幅)は、プライマリプーリシリンダ室30c及びプライマリクランプ室30dに作用する油圧によって規定される。セカンダリ可動プーリ31aの軸方向位置(セカンダリプーリ31の溝幅)は、セカンダリプーリシリンダ室31c及びセカンダリクランプ室31dに作用する油圧によって規定される。
(CVTのプーリピストン室構造)
ここで、プライマリプーリ30及びセカンダリプーリ31のピストン室構造について図1に基づいて説明する。
プライマリプーリシリンダ室30cは、プライマリ可動プーリ30aとプライマリ可動プーリ30aの延長部30eと固定壁30fにより区画されている。延長部30eの内周部と固定壁30fの外周部はシールされている。よって、プライマリ可動プーリ30aが軸方向に移動してもプライマリプーリシリンダ室30cは液密状態を維持している。
プライマリクランプ室30dは、固定壁30f,30gとピストン30hとで区画されている。ピストン30hの外径部はプライマリ可動プーリ30aの延長部30eと当接する。また、ピストン30hはシールによってプライマリクランプ室30dを液密状態に維持している。
セカンダリプーリ31のピストン室構造は、プライマリプーリ30と同様である。
尚、セカンダリプーリシリンダ室31cとセカンダリクランプ室31dの間には、遠心キャンセル室31iが設けられている。遠心キャンセル室31iは、セカンダリプーリシリンダ室31c及びセカンダリクランプ室31dの両方の遠心油圧をキャンセルする。
尚、プライマリプーリシリンダ室30cとセカンダリプーリシリンダ室30cの受圧面積を等しくしている。また、プライマリクランプ室30dとセカンダリクランプ室31dの受圧面積を等しくしており、両室30d,31dは油路70により連通している。後述するように、両室30d,31dには、ライン圧が供給される。
よって、油圧回路内で最も高圧なライン圧を各クランプ室30d,31dに供給しているため、オイルポンプ7の動力を効率よく使用することが可能となり、ベルト滑りを確実に防止することができる。
従動軸16には駆動ギア4が固着されており、この駆動ギア4はアイドラ軸4dに設けられたアイドラギア4a、差動装置4c、ファイナルギア4bを介して図外の車輪に至るドライブシャフトを駆動する。
上記のような動力伝達の際に、プライマリ可動プーリ30a及びセカンダリ可動プーリ31aを軸方向に移動させてベルト15との接触位置半径を変えることにより、プライマリプーリ30とセカンダリプーリ31との間の回転比つまり変速比を変更する。このようなプーリ溝の幅を変化させる制御は、CVTコントロールユニット9を介してプライマリプーリシリンダ室30c,セカンダリプーリシリンダ室31c,プライマリクランプ室30d及びセカンダリクランプ室31dへの油圧制御により行われる。
なお、セカンダリプーリシリンダ室31cにはスプリング31jが設けられており、エンジン非作動時にプライマリプーリ30及びセカンダリプーリ31に油圧が供給されていないときでも、スプリング31jの弾性力によりセカンダリ可動プーリ31aを軸方向に移動させて、所定のプーリ比(ロー)を実現するとともにプーリトルク容量を確保している。
CVTコントロールユニット9には、スロットル開度センサ5aからのスロットル開度TVO、エンジン回転数センサ5bからのエンジン回転数Ne、油温センサ5cからの油温T、プライマリ回転数センサ6aからのプライマリ回転数Npri、セカンダリ回転数センサ6bからのセカンダリ回転数Nsec等が入力される。この入力信号を元に制御信号を演算し、エンジンにより駆動されるオイルポンプ7を油圧源とする油圧コントロールバルブユニット8へ制御信号を出力する。
油圧コントロールバルブユニット8へは、CVTコントロールユニット9からの制御信号が入力され、この制御信号に基づいて油圧コントロールバルブユニット8内のソレノイドを駆動する。これにより、各シリンダ室及びクランプ室へ制御圧を供給することで変速制御を行うと共に、前進クラッチ2d及び後進ブレーキ2eへ供給する締結油圧を制御する。
(前進クラッチ)
図3は、前進クラッチ2dのCVT入力軸14方向断面図である。前進クラッチ2dは、トルクコンバータ出力軸13と連結して一体回転するクラッチドラム50、サンギア2cと連結して一体回転するクラッチハブ51、クラッチドラム50にスプライン嵌合された複数の入力側摩擦板50a、クラッチハブ51にスプライン嵌合された複数の出力側摩擦板51a、クラッチピストン52、皿バネ53、クラッチリターンスプリング54、及びスプリングリテーナ55を有している。
説明のため、CVT入力軸14の軸方向にx軸を設定し、クラッチピストン52に対してスプリングリテーナ55が設けられている方向を正方向と定義する。クラッチドラム50とクラッチピストン52との間には、前進クラッチピストン室62が設けられている。スプリングリテーナ55とクラッチピストン52との間には、遠心油圧の影響を排除する遠心キャンセル室63が設けられている。
遠心キャンセル室63内には、クラッチリターンスプリング54が、x軸方向に変位可能に設置されている。クラッチリターンスプリング54のx軸正方向端は、スプリングリテーナ55に固定されており、クラッチリターンスプリング54のx軸負方向端は、クラッチピストン52に固定されている。クラッチピストン52は、x軸方向に移動可能に設けられている。スプリングリテーナ55は、スナップリング56によりx軸正方向に移動不可能に固定されている。
前進クラッチピストン室62には前進クラッチ入力ポート61を介して作動油が給排される。前進クラッチ入力ポート61から作動油が供給されると、前進クラッチピストン室62内の油圧(以下、クラッチ締結油圧Pc)とクラッチピストン52の受圧面積との積の大きさの力が、クラッチピストン52に対してx軸正方向に作用する。このため、クラッチピストン52がx軸正方向にストロークする。
一方、クラッチピストン52がx軸正方向にストロークすると、クラッチリターンスプリング54が圧縮されて、クラッチリターンスプリング54のストローク量xと弾性係数との積の大きさの弾性力が、クラッチピストン52に対してx軸負方向に作用する。
図4は、クラッチリターンスプリング54のストローク量xと、クラッチリターンスプリング54の弾性力すなわちバネ荷重Fとの関係を示す。
クラッチピストン52は、Pcによる付勢力とクラッチリターンスプリング54のバネ荷重Fとが釣り合う位置までストロークする。前進クラッチピストン室62に作動油が供給されておらず、Pcがゼロである状態では、クラッチピストン52はクラッチリターンスプリング54によりx軸負方向に付勢され、クラッチドラム50に押し付けられおり、クラッチピストン52のストローク量xはゼロである。このときのクラッチリターンスプリング54のバネ荷重Fを、初期セット荷重F0とする。
クラッチピストン52と複数の摩擦板50a,51aとの間には所定量のクリアランスが設けられており、入力側及び出力側の複数の摩擦板50a,51aが互いに全て接触するまで、クラッチピストン52はx軸正方向に所定量ストロークする必要がある。このストローク量をx1とする。
xがゼロ(上記クリアランスが最大)からx1(上記クリアランスがゼロ)までの間は、複数の摩擦板50a,51a同士の間で摩擦力は発生せず、前進クラッチ2dはトルク容量を持たない。すなわち、前進クラッチ2dは非締結状態である。
クラッチピストン52が、x1だけx軸正方向に移動した位置で、Pcによる付勢力とクラッチリターンスプリング54のバネ荷重Fとが釣り合って停止するとき、Pcの大きさをPc1とする。また、このときのクラッチリターンスプリング54のバネ荷重FをF1とする。
xがx1である状態で、PcがPc1より大きくなると、皿バネ53が圧縮され始め、複数の摩擦板50a,51a同士の間で摩擦力が発生し、前進クラッチ2dがトルク容量Tcを持つようになる。すなわち、前進クラッチ2dの締結状態が開始する。
(油圧回路の概略)
図5は、油圧コントロールバルブユニット8内の油圧回路の一部を示す。オイルポンプ7の吐出ポートには、油路101を介して、ライン圧PLを調圧するプレッシャレギュレータバルブ(P.REG.V)110が接続されている。オイルポンプ7とP.REG.V110との間で調圧された第1油圧(PL)は、油路101に接続された油路102,103に供給される。
油路102は、プライマリクランプ室30d及びセカンダリクランプ室31dを連通する油路70に接続されている。P.REG.V110で調圧されたPLは、油路70を介してプライマリクランプ室30d及びセカンダリクランプ室31dに常に供給される。
油路103には、油路104,及び油路106〜108が接続されている。油路104には、オリフィス105を介して後述する油路111が接続されている。油路106には、セカンダリプーリシリンダ室31cの油圧を供給するセカンダリバルブ(SEC.V)140が接続されている。油路107には、プライマリプーリシリンダ室30cの油圧を供給する変速制御弁170が接続されている。
変速制御弁170には、プライマリプーリシリンダ室30cにプライマリプーリ油圧を供給する油路171が接続されている。また、変速制御弁170には、プライマリプーリ30の溝幅を示す機構(変速比センサ30i)とステップモータ10とがリンク172を介して接続され、これらはステップモータ10の駆動量すなわち回転ステップ数によって変速比をフィードバック制御するメカニカルフィードバック機構を構成している。
P.REG.V110の下流には、油路111を介して、PLよりも低い第2油圧(例えば前進クラッチ2d用の締結油圧)を調圧するクラッチレギュレータバルブ(CL.REG.V)120が接続されている。CL.REG.V120で調圧された第2油圧は、油路112を介してセレクトスイッチングバルブ(SELECT.SW.V)182及びセレクトコントロールバルブ(SELECT.CONT.V)183に供給されるとともに、油路113を介して比例制御弁であるセカンダリコントロールバルブ(SEC.CONT.V)150に供給される。
油路104には、油路109を介して切換弁190が接続されている。切換弁190は、油路191を介して油路112に接続されており、プーリ油圧を供給する油路103及び前進クラッチ圧を供給する油路112の連通状態を切り換える。
油路108には、パイロットバルブ(PILOT.V)130が接続されている。PILOT.V130は、信号圧の元圧であるパイロット圧を供給する。パイロット圧は、油路131を介して、セカンダリ圧ソレノイドバルブ(SEC.SOL.V)160、ロックアップソレノイドバルブ(L/U.SOL.V)180、及びセレクトスイッチングソレノイドバルブ(SELECT.SW.SOL.V)181へ供給される。
SEC.SOL.V160により調圧された信号圧は、油路161を介してSEC.CONT.V150の背圧として供給される。SEC.CONT.V150において調圧された第3油圧(第2油圧を調圧した油圧)は、油路151を介してSEC.V140の背圧として供給される。SEC.V140においてPLを元圧として調圧された油圧は、セカンダリプーリシリンダ室31cに供給される。
SELECT.SW.SOL.V 181の出力圧は油路185を介してセレクトスイッチングバルブ(SELECT.SW.V)182に供給され、信号圧として、SELECT.SW.V 182の作動を制御する。L/U.SOL.V 180の出力圧は油路184を介してSELECT.SW.V 182に供給される。
SELECT.SW.SOL.V 181がONのとき、SELECT.SW.SOL.V 181の信号圧(出力圧)がSELECT.SW.V 182に入力される。すると、SELECT.SW.V 182は、CL.REG.V120に接続された油路112とマニュアルバルブ21に接続された油路40とを遮断する一方、SELECT.CONT.V183に接続された油路115と油路40とを連通させる。同時に、L/U.SOL.V 180に接続された油路184とSELECT.CONT.V183に接続された油路186とを連通させる。
よって、このとき、油路112からの作動油(第2油圧)は、全てSELECT.CONT.V183に供給される一方、SELECT.CONT.V183においてL/U.SOL.V 180からの信号圧に従って調圧される。第2油圧より低い油圧(棚圧)に調圧されたクラッチ締結油圧Pcは、油路115、SELECT.SW.V 182、及び油路40を介してマニュアルバルブ21に供給される。
SELECT.SW.SOL.V 181がOFFのとき、SELECT.SW.SOL.V 181の信号(出力圧)はゼロであり、SELECT.SW.V 182に信号圧が供給されない。すると、SELECT.SW.V 182は、油路112と油路40とを連通させる一方、油路115と油路40とを遮断する。同時に、L/U.SOL.V 180に接続された油路184と図外のロックアップコントロールバルブに接続された油路187とを連通させる一方、油路184と油路186とを遮断する。
よって、このとき、油路112からの作動油(第2油圧)は、全て油路40を介してマニュアルバルブ21に供給される。一方、L/U.SOL.V 180からの信号圧は、図外のロックアップコントロールバルブに供給され、このロックアップコントロールバルブの信号圧として作用する。
油路40には、油圧センサ40aが設けられている。
(油圧制御装置の構成)
本発明の油圧制御装置は、SELECT.SW.V 182、SELECT.CONT.V183、マニュアルバルブ21、保圧バルブ22、及びチェックバルブ(逆止弁)23、26,28からなる機械的油圧制御手段と、CVTコントロールユニット9、L/U.SOL.V 180、及びSELECT.SW.SOL.V 181からなる電子的油圧制御手段と、を有している。
(電子的油圧制御手段)
CVTコントロールユニット9は、燃費を向上させるため、所定条件を満たしたときにエンジンを停止させるアイドルストップ制御を行う。CVTコントロールユニット9は、極低車速であることとエンジンがアイドル回転していることを検知し、さらにブレーキスイッチや油温センサ5c等、各種センサの信号を併用してアイドルストップ制御の開始及び終了を判断する。例えば、車速がゼロ、アイドルストップスイッチがON、ブレーキスイッチがON、油温Tが所定範囲内、舵角がゼロ、等の条件を満たせば、エンジンを停止する。また、ブレーキスイッチがOFFとなれば、スタータを駆動させてエンジンを再始動させる。
また、CVTコントロールユニット9は、L/U.SOL.V 180及びSELECT.SW.SOL.V 181に指令を出力し、SELECT.SW.V 182及びSELECT.CONT.V183を用いて、エンジン再始動時に前進クラッチ2dに供給する締結油圧Pcを徐々に上昇させる棚圧制御を行う。
エンジン再始動時に、オイルポンプ7が作動を開始し、前進クラッチ2dに油圧を供給する際、同時にクランプ圧を供給する必要がある。前進クラッチ2dへの油圧供給があまりにスムーズではエンジン再始動時のクランプ圧の確保が懸念される。そこで、CVTコントロールユニット9は、SELECT.SW.V 182をONとした上で、L/U.SOL.V 180の信号圧によりSELECT.CONT.V183を制御する。これにより、油路112、114からの作動油(第2油圧)がSELECT.CONT.V183において調圧され、第2油圧よりも低く調圧された油圧(棚圧)が、油路115、SELECT.SW.V 182、及び油路40を介して、前進クラッチ2dに供給される。
このように前進クラッチ2dの最適棚圧制御を実行することで、エンジン再始動時のポンプ吐出圧の低下に伴うベルト滑りを回避でき、かつ、後述するように、エンジン再始動後の滑らかな発進が可能となる。
(前進クラッチの油圧制御回路)
図6は、本発明の油圧制御装置の機械的油圧制御手段の一部、すなわちマニュアルバルブ21から前進クラッチ2dに供給する締結油圧Pcを制御する油圧制御回路20を示す。オイルポンプ7の吐出圧は上記電子的油圧制御手段により調圧され、調圧された油圧は、油路40を介してマニュアルバルブ21に供給される。
マニュアルバルブ21は前進クラッチ2d及び後進ブレーキ2eに接続されている。マニュアルバルブ21と前進クラッチ2dとは、保圧バルブ22を介する油路42、及び保圧バルブ22を介さない油路43、44により接続されている。
SELECT.SW.V182からの油路40は、マニュアルバルブ21の吸入ポート21aに接続されている。マニュアルバルブ21はDレンジポート21b、Rレンジポート21c、及びドレンポート21d,21eを有している。Dレンジポート21bは、油路41及び油路42,43を介して前進クラッチ2dと接続している。Rレンジポート21cは、油路45〜49を介して後進ブレーキ2eと接続している。
マニュアルバルブ21は、油圧コントロールバルブ8のバルブボディに収装されているスプール210を有している。スプール210は、x軸正方向側に第1ランド部211が形成されており、x軸負方向側に第2ランド部212が形成されている。第1ランド部211及び第2ランド部212は、小径の接続部213を介して接続されており、接続部213と上記バルブボディとの間には連通室214が形成されている。
マニュアルバルブ21のDレンジポート21bは、油路41と接続し、油路41は油路42と油路43とに分岐している。油路42及び油路43は、共に前進クラッチ2dの前進クラッチ入力ポート61(図3参照)と接続している。油路42上には保圧バルブ22が設けられている。油路43上には、マニュアルバルブ21側から前進クラッチ2d側に向かって順に、オリフィス24及びチェックバルブ23が設けられている。チェックバルブ23は、マニュアルバルブ21から前進クラッチ2dに向かう油の流通のみを許容し、前進クラッチ2dからマニュアルバルブ21に向かう油の流通を禁止する。
ポート21dは、油路44と接続し、油路44は、前進クラッチ2dの前進クラッチ入力ポート61と接続している。油路44上にはオリフィス25が設けられている。
Rレンジポート21cは、油路45と接続し、油路45は油路46と油路49とに分岐している。油路46は油路46aと油路48とに分岐しており、油路49は油路46aと油路47とに分岐している。言い換えると、油路46と油路49とは、油路46aを介して互いに接続している。油路47及び油路48は、ともに後進クラッチ2eと接続している。
油路46上にはチェックバルブ26が設けられている。チェックバルブ26は、マニュアルバルブ21から後進ブレーキ2eに向かう油の流通のみを許容し、後進ブレーキ2eからマニュアルバルブ21に向かう油の流通を禁止する。油路47上にはオリフィス27が設けられている。油路48上にはチェックバルブ28が設けられている。チェックバルブ28は、後進ブレーキ2eからマニュアルバルブ21に向かう油の流通のみを許容し、マニュアルバルブ21から後進ブレーキ2eに向かう油の流通を禁止する。油路49上にはオリフィス29が設けられている。
(マニュアルバルブ)
マニュアルバルブ21は、図外のリンクを介して図外のシフトレバーと接続されており、シフトレバーの操作に応じて、前進クラッチ2dに作動油を供給するか、後進ブレーキ2eに作動油を供給するかを切り替える。説明のため、以下、マニュアルバルブ21の軸方向にx軸を設定し、Rレンジポート21cに対してDレンジポート21b側を方向と定義する。
シフトレバーがDレンジ位置に操作されると、マニュアルバルブ21のスプール210がx軸正方向に移動し、第1ランド部211がDレンジポート21bと吸入ポート21aとを連通させ、ドレンポート21dを閉じる。同時に、第2ランド部212がRレンジポート21cと吸入ポート21aとを遮断し、Rレンジポート21cとドレンポート21eとを連通させる。
シフトレバー21がNレンジ位置に操作されると、スプール210がDレンジ位置よりもx軸負方向に移動し、第1ランド部211がDレンジポート21bと吸入ポート21aとを遮断し、ドレンポート21dを開く。同時に、第2ランド部212がRレンジポート21cと吸入ポート21aとを遮断し、Rレンジポート21cとドレンポート21eとを連通させた状態を保つ(図11参照)。
シフトレバー21がRレンジ位置に操作されると、スプール210がNレンジ位置よりもx軸負方向に移動し、第1ランド部211がDレンジポート21bと吸入ポート21aとを遮断し、ドレンポート21dを開いた状態を保つ。同時に、第2ランド部212がRレンジポート21cと吸入ポート21aとを連通させ、Rレンジポート21cとドレンポート21eとを遮断する(図12参照)。
シフトレバー21がPレンジ位置に操作されると、スプール210がRレンジ位置よりもx軸負方向に移動し、第1ランド部211がDレンジポート21bと吸入ポート21aとを遮断し、ドレンポート21dを開いた状態を保つ。同時に、第1ランド部211がRレンジポート21cと吸入ポート21aとを遮断し、第2ランド部212がRレンジポート21cとドレンポート21eとを連通させる(図13参照)。
(保圧バルブ)
保圧バルブ22は、チェックボール22a及びスプリング22bを有している。以下、説明のため、スプリング22bの伸縮方向にy軸を設定し、前進クラッチ2d側を正方向と定義する。スプリング22bは、所定の弾性力によりチェックボール22aをy軸正方向に付勢している。保圧バルブ22は、前進クラッチ2dからマニュアルバルブ21に向かう油の流通のみを許容し、マニュアルバルブ21から前進クラッチ2dに向かう油の流通を禁止する。チェックボール22aに作用する前進クラッチ2dの締結油圧Pcによる荷重が、スプリング22bの弾性力以上となったときに、前進クラッチ2dから切替バルブ23に向かう油の流通を許容する。
[実施例1の作用]
(Dレンジでアイドルストップ中の油圧保持)
図6に、Dレンジで走行後、Dレンジでアイドルストップしている場合の、油圧制御回路20の作動油の流れを点線矢印で示す。
Dレンジでは、Dレンジポート21bと吸入ポート21aとが連通し、ドレンポート21dが閉じている。エンジンが作動していないため、オイルポンプ7も作動せず、油路40及び油路41を介して前進クラッチ2dへ作動油は供給されない。一方、前進クラッチ2dに供給されていた作動油は、ドレンポート21dが閉じているため、油路44を介してドレンされない。また、前進クラッチ2dに供給されていた作動油は、チェックバルブ23の作用により、油路43を介してドレンされない。
ここで、保圧バルブ22の作用により、前進クラッチ2d側からの、油路42を介した作動油の流通は限定的に許容される。このため、前進クラッチピストン室62に供給されていた作動油は、保圧バルブ22を介して部分的にドレンされる。
すなわち、油路40の油圧がゼロであるため、マニュアルバルブ21の供給ポート21aと連通するDレンジポート21b及び油路41の油圧もゼロとなる。よって、保圧バルブ22において、チェックボール22aをy軸負方向に付勢する前進クラッチ2d側の油圧Pcと、チェックボール22aをy軸正方向に付勢するスプリング22bの弾性力とが釣り合うようになるまで、保圧バルブ22は開弁する。
その後、前進クラッチピストン室62から保圧バルブ22を介してマニュアルバルブ21に向けて作動油がドレンされる。作動油がドレンされた結果、前進クラッチピストン室62のPcが、スプリング22bの弾性力と釣り合う値になると、保圧バルブ22は閉弁する。これにより、Pcが、スプリング22bの弾性力(バネ荷重f)と釣り合う値に保持される。すなわち、保圧バルブ22は、前進クラッチピストン室62の油圧PcのほうがDレンジポート21b側の油圧よりも高い状態のときに、Pcを以下のような所定の一定圧に保持する。
すなわち、スプリング22bのバネ荷重fは、f0より大きい値f*(例えばf1)となるように設定されている。f0は、クラッチリターンスプリング54のバネ荷重がF0(初期セット荷重)であるとき、すなわちPcがゼロであるときに、Pc(=0)と釣り合うスプリング22bのバネ荷重(初期セット荷重)の大きさである。f1は、クラッチリターンスプリング54のバネ荷重がF1であるとき、すなわちPcがPc1であるときに、Pc(=Pc1)と釣り合うスプリング22bのバネ荷重の大きさである(図4参照)。スプリング22bのバネ荷重fが上記範囲の値f*に設定されることにより、Pcは、ゼロより大きい値Pc*(例えばPc1)となるように設定される。
アイドルストップ時に保持されるPcがPc*に設定されることにより、クラッチピストン52のストローク量xも、0より大きく、かつx1以下の範囲の一定値x*に保たれる。したがって、保圧バルブ22の作用により、クラッチピストン52のストローク量xが一定値x*に保持される結果、クラッチクリアランスが小さくなる。
なお、Dレンジ位置では、マニュアルバルブ21のスプール210の第1ランド部211によりドレンポート21dが閉じられているため、前進クラッチ2dに供給されていた作動油は、油路44を介してドレンされない。前進クラッチ2d及び油路42〜44は、保圧バルブ22とチェックバルブ23の作用により閉回路を形成している。これにより、前進クラッチピストン室62自体が、いわばアキュムレータ機能を持つことになる。したがって、Dレンジで長時間アイドルストップしても、前進クラッチ2dに保持されるPc*の低下は極めて少ない。
一方、アイドルストップ中にRレンジやNレンジ又はPレンジが選択された場合、ドレンポート21dが開くため、前進クラッチ2dに保持されていた作動油は、油路44を介してドレンされる。すなわち、保圧バルブ22の作用は失われ、Pcはゼロとなる。
(アイドルストップ後、Dレンジ再発進時の油圧供給)
アイドルストップ後、Dレンジで再発進する場合、エンジンが再始動してエンジン回転数が所定Ne以上になると、オイルポンプ7の吐出油圧が上昇し始める。SELECT.SW.V182から油路40に供給される油圧がPc*以上になるとチェックバルブ23が開き、油路40の油圧は油路43を介して前進クラッチ2dに供給されるようになる。
このようにチェックバルブ23が開いた時点で、保圧バルブ22の作用によってPcはゼロ以上の所定値Pc*に略保たれ、前進クラッチ2dのクラッチピストン52のストローク量xは、ゼロ以上の所定値x*に保持されている。x*がx1であるとき、前進クラッチ2dのトルク容量Tcはゼロ以上であり、それ以上クラッチピストン52をストロークさせる必要がない。
また、x*がx1未満であるときも、それ以上クラッチピストン52をストロークさせて前進クラッチ2dの締結状態を開始するために必要とされるPcの増分(Pc1−Pc)が少なくてすむ。したがって、アイドルストップ後、再発進時に、ほとんど時間遅れ無しに前進クラッチ2dのトルク容量Tcが発生する。
以上のように、本発明の機械的油圧制御手段(油圧制御回路20)は、アイドルストップ中にPcをリターンスプリング54のバネ力と釣り合う所定値Pc*に保持することにより、アイドルストップ後のエンジン再始動時に、既に前進クラッチ2dのトルク容量Tcを発生させて締結状態を開始しておく。または、アイドルストップ後のエンジン再始動時に、PcをPc1まで上げるのに要する時間を短縮する。すなわち、いわば前もって前進クラッチ2dのストローク詰め(プリチャージ)を行う。
さらに、本発明の油圧制御装置の電子的油圧制御手段は、上記のように、エンジン再始動後、Pcを徐々に上げて締結ショックを緩和する棚圧制御を行う。以下、棚圧制御の具体的な内容を説明する。
エンジン再始動時には、スタータモータによりエンジンのクランキングを行うと同時に、SELECT.SW.SOL.V 181をONとする。また、所定のMAPから、スロットル開度に応じた棚圧制御終了油圧Pc1'、棚圧制御終了タイマT0、及び急速充填終了油圧Pc01を設定する。
エンジン再始動直後は、オイルポンプ7からの油圧が十分に得られていないため、切換弁190をONとする。オイルポンプ7からの出来なりの油圧は、油路101→油路103→油路104→油路109→切換弁190→油路191→油路112→油路114→SELECT.CONT.V183→油路115→SELECT.SW.V 182→油路40→マニュアルバルブ21へと供給され、前進クラッチ2dへと供給される。
油路40の油圧がPc*に到達すると、L/U.SOL.V 180に対して指令油圧を出力してL/U.SOL.V 180のランプ制御を開始する。これにより、前進クラッチ2dへ供給する締結油圧Pcが徐々に上昇する(棚圧制御が開始する)。また、棚圧制御終了タイマT0のカウントを開始する。
油路40の油圧が急速充填終了油圧Pc01(>Pc*)に到達すると、切換弁190をOFFとする。このとき、オイルポンプ7からの油圧は、油路101→油路111→油路112→油路114→SELECT.CONT.V183→油路115→SELECT.SW.V 182→油路40→マニュアルバルブ21へと供給され、前進クラッチ2dへと供給される。
棚圧制御終了タイマT0が経過すると、L/U.SOL.V 180のランプ制御を終了し、L/U.SOL.V 180をOFFとする。すなわち、L/U.SOL.V 180の出力圧をゼロとする。
L/U.SOL.V 180がOFFとされることで、SELECT.CONT.V183において、油路114と油路115とは完全に連通状態となり、マニュアルバルブ21には、CL.REG.V120により調圧された油圧(第2油圧)が直接供給される。これにより、Pcが最大値Pcmaxまで上昇する。
この状態でSELECT.SW.V 182をOFFとする。すると、油路112と油路40が連通状態となり、L/U.SOL.V 180による棚圧制御からCL.REG.V120による通常制御に移行する。なお、L/U.SOL.V 180からの油路184は図外のロックアップコントロールバルブと連通した状態となり、L/U.SOL.V 180の出力圧は、ロックアップ制御用の信号圧として機能する。
(タイムチャート)
図7は、アイドルストップ後のエンジン再始動時に、前進クラッチ2dに締結油圧Pcが供給され、前進クラッチ2dのトルク容量Tcが発生し、車両の前後Gが発生する経過を示すタイムチャートである。以下、Pc*がPc1未満である場合を示すが、Pc*がPc1以上である場合も同様である。
対比のため、本発明以外にも、従来例1及び従来例2のグラフも合わせて示す。従来例1は、アイドルストップ中に前進クラッチの締結油圧を制御する手段を設けていない方式である。従来例2は、エンジンにより駆動されるオイルポンプとは別に油圧供給手段を設け、アイドルストップ中は、この油圧供給手段の供給油圧により前進クラッチを締結状態に保つ方式である。
(エンジン回転数のタイムチャート)
t1において、エンジンが再始動され、エンジン回転数Neが上昇し始める。オーバーシュート後、Neは一定回転数に安定する。
(本発明のタイムチャート)
t1において、オイルポンプ7が作動を開始するが、保圧バルブ22の作用により、PcはPc*に保たれている。Neが所定値以上になると、オイルポンプ7がPc*以上の油圧を油路40に供給可能になるため、Neが上記所定値になるt2において、PcがPc*から上昇し始める。ここで、Pcの棚圧制御を開始する。t3において、PcがPc1にまで上昇すると、前進クラッチ2dの締結状態が開始する。すなわち、t3において前進クラッチ2dのトルク容量Tcがゼロから上昇し始める。t2から棚圧制御終了タイマT0経過後のt6において、棚圧制御を終了し、Pcを最大値Pcmaxまで上昇させる。
アイドルストップ中の保圧バルブ22の作用により、t2以前にはPcはPc1未満の所定値Pc*に保たれ、前進クラッチ2dのクラッチピストン52のストローク量xは、x1未満の所定値x*に保持されている。言い換えると、それ以上クラッチピストン52をストロークさせて前進クラッチ2dの締結状態を開始するために必要とされるPcの増分(Pc1−Pc)が少なくてすむ。したがって、本発明では、アイドルストップ後、エンジン再始動時t1から、前進クラッチ2dのトルク容量Tcが発生する時点t3までの時間が短い。
(従来例1のタイムチャート)
従来例1では、アイドルストップ中に前進クラッチの締結油圧Pcはゼロとなっている。エンジンが再始動するt1後、オイルポンプの作動により、Pcはゼロから上昇し始める。しかし、最大限に保たれていたクラッチクリアランスを縮めるため、前進クラッチのクラッチピストンがストロークする時間が必要であり、この間、Pcは低く保たれる。このため、t3より遅いt4において、PcがPc1となって前進クラッチ2dの締結状態が開始する。すなわち、t4において前進クラッチのトルク容量Tcがゼロから上昇し始める。
以上より、保圧バルブ22が設けられた本発明の油圧制御装置の方が、アイドルストップ後の再発進時において、エンジン再始動時から、前進クラッチ2dのトルク容量が発生する時点までの時間が短く、再発進応答性が良い。
(従来例2のタイムチャート)
従来例2では、アイドルストップ中に前進クラッチの締結油圧Pcは最大値Pcmaxに保たれている。よって、エンジン再始動時t1において前進クラッチのトルク容量Tcは最大値Tcmaxであり、エンジン再始動時から、前進クラッチ2dのトルク容量が発生する時点までの時間が短く、再発進応答性が良い点は、本発明と同様である。
しかし、エンジン再始動時t1の前後にわたりTcを継続して最大値Tcmaxに保つため、Neのオーバーシュートに伴うエンジントルクの急上昇がそのまま自動変速機出力軸に伝えられ、前後Gが急激に大きくなる。よって、唐突な車両の飛び出し感が発生する。
一方、本発明の前進クラッチ2dの油圧制御装置においては、上記棚圧制御により、t2後においても、Pcが急激に上昇しないように制御されている。Pcは、Pc1'(<Pcmax)まで徐々に上昇した後、前進クラッチ2dの締結が完了してから、すなわちTcがTcmaxとなった時点t5後に、最大圧Pcmaxとされる。このように、Tcの上昇カーブは滑らかになるように制御されており、前進クラッチ2dがいきなり大きなトルク容量Tcを持つことはない。よって、Neのオーバーシュートに関わらず、前後Gの変化は緩やかである。したがって、従来例2のような唐突な車両の飛び出し感は発生しない。
図8〜図10は、前進クラッチ2dの締結油圧Pcとクラッチトルク容量Tc、すなわち前進クラッチ2dが伝達可能なトルクとの関係を示す。各図に示すように、保圧バルブ22により保持される締結油圧Pc*の上限を定め、Pc*の領域を設定する。以下、Pc*の各設定領域を、その領域に設定したときの作用効果と併せて説明する。
(クリープ走行可能な保持油圧設定)
図8は、Pc*により発生する前進クラッチ2dのTc(=Tc*)が、クリープ走行時に伝達されるトルク以下であるように設定した場合のPc*の領域を示す。Pc1は、上記のようにクラッチリターンスプリング54のバネ荷重Fに抗してクラッチクリアランスを略ゼロにし、前進クラッチ2dのクラッチトルク容量Tcを発生させるPcである。Tcは、PcがゼロからPc1未満の領域ではゼロであり、Pc1以上の領域ではPcに比例する。
Pc*は、Pc1以上かつPc2以下となるように定められている。Pc2は、通常のクリープ発進を維持できるトルク容量Tc2を発生させるPcである。
Pc*の下限がPc1に設定されることで、アイドルストップ後の再発進時において、前進クラッチ2dのピストンストローク詰めを行う必要がなく、残圧Pc*により速やかに所定の制御油圧が作れるため、再発進応答性の低下は生じない。なお、Pc*の下限はPc1に限定する必要はなく、前進クラッチ2dのクラッチクリアランスを縮めることができるPcであればよい。
一方、Pc*の上限がPc2に設定されることで、アイドルストップ後の再発進時において、エンジン完爆後のエンジン回転数オーバーシュートにより、前進クラッチ2dに過大なトルクが入力されたときも、前進クラッチ2dはTc2より大きいトルクを伝達できないため、唐突な発進を防止できる。すなわち、エンジン再始動後のアクセル開度ゼロでの発進において、エンジン回転数の吹き上がり方の如何にかかわらず、滑らかなクリープ発進を行う。
(ベルト滑り防止可能な保持圧設定)
図9は、前進クラッチ2dのクラッチトルク容量Tcが、プーリトルク容量Tp、すなわちプライマリプーリ30が伝達可能なトルク以下となるように設定した場合のPc*の領域を示す。具体的には、Pc*により発生するTc(=Tc*)が、エンジン再始動後に前進クラッチ2dに供給される油圧とPc*とが等しくなったときのTp(=Tp*)以下となるように、Pc*の領域を設定する。
オイルポンプ7が作動しておらず、プライマリプーリシリンダ室30c及びセカンダリプーリシリンダ室31cに供給される油圧がゼロであるとき、Pcはゼロであり、かつTpはTp0となる。Tp0は、Pcがゼロであるときに、プライマリプーリ30が伝達可能なトルクである。
セカンダリプーリ31への供給油圧がゼロであるとき、セカンダリプーリシリンダ室31cに設けられているスプリング31jのバネ荷重によりセカンダリプーリ31の溝幅は狭くなり、セカンダリプーリ31側のピッチ半径は大径となる。同時に、ベルト15の長さは一定であるため、プライマリプーリ30の溝幅は広げられ、プライマリプーリ30側のピッチ半径は小径となる。よって、プーリ比はロー側となり、このときベルト15とプライマリプーリ30との間で摩擦力が発生して所定のトルクTp0を伝達可能となる。
オイルポンプ7の油圧供給能力が上がり、Pcがゼロから大きくなると、それに対応してプライマリプーリシリンダ室30c及びセカンダリプーリシリンダ室31cに供給される油圧も大きくなる。このため、プライマリプーリ30が伝達可能なトルクTpは、Pcがゼロ以上となったときに、Pcに比例して上昇する。一方、上記のようにTcは、PcがPc1以上となったときに上昇する。TpよりもTcのほうがPcの増分に対する増大率が大きい。このため、PcがPc3となったときにTcはTpと一致する。
よって、図9に示すように、Pcがゼロ以上かつPc3以下の領域では、TcはTp以下である。また、PcがPc3より大きい領域では、TcはTpよりも大きい。
Pc*は、Pc1以上かつPc3以下となるように定められている。Pc3は、プーリトルク容量Tpとクラッチトルク容量Tcとが一致するPcである。
Pc*の上限がPc3に設定されることで、Pc*により発生するTc*は、オイルポンプ7から前進クラッチ2dへ供給される油圧がPc*と等しくなったときのTp*以下である。すなわち、保圧バルブ22により保持される前進クラッチ2dのクラッチトルク容量Tc(=Tc*)は、プライマリプーリ30が伝達可能なトルクTpを上回らない。
このため、アイドルストップ後の再発進時において、前進クラッチ2dから、CVT入力軸14を介して、プライマリプーリ30に対して、Tp以下のトルクが入力される。よって、プライマリプーリ30において、アイドルストップ後のエンジン再始動時におけるベルト滑りが防止される。なお、発進時のセカンダリプーリ31は大径側であるため、セカンダリプーリ31においてもベルト滑りは生じない。
(プーリ油圧ゼロ時にベルト滑り防止可能な保持圧設定)
図10は、Pc*により発生する前進クラッチ2dのTc(=Tc*)が、プライマリプーリ30及びセカンダリプーリ31(含クランプ室)に供給される油圧がゼロであるときにプライマリプーリ30が伝達可能なトルク以下であるように設定した場合のPc*の領域を示す。
Pc*は、Pc1以上かつPc4以下となるように定められている。Pc4は、プライマリプーリ30及びセカンダリプーリ31に供給される油圧がゼロであるときにプライマリプーリ30が伝達可能なトルクTp0を発生させるPcである。
Pc*の上限がPc4に設定されることで、Pc*により発生するTc*は、プーリ油圧がゼロであるときに保持されるTp0以下となる。すなわち、保圧バルブ22により保持される前進クラッチ2dのクラッチトルク容量Tc(=Tc*)は、プーリ油圧がゼロであるときにプライマリプーリ30が伝達可能なトルクTp0を上回らない。なお、発進時のセカンダリプーリ31は大径側であるため、セカンダリプーリ31においてもベルト滑りは生じない。
したがって、車両が長時間停止して、プーリ油圧が抜けた状態になっても、アイドルストップ後のエンジン再始動時におけるベルト滑りが確実に防止される。
(アイドルストップ後、Nレンジにおける油圧供給)
図11は、アイドルストップ後、Nレンジ位置で、エンジンが作動している場合の油圧制御回路20の作動油の流れを点線矢印で示す。
Nレンジでは、第1ランド部211がDレンジポート21bと吸入ポート21aとを遮断し、ドレンポート21dを開く。よって、Dレンジポート21bから前進クラッチ2dへ作動油が供給されない。また、前進クラッチピストン室62の作動油は、油路44及びドレンポート21dを介してドレンされ、前進クラッチ2dに保持されていたPc*はゼロとなる。
同時に、Nレンジでは、第2ランド部212がRレンジポート21cと吸入ポート21aとを遮断し、Rレンジポート21cとドレンポート21eとを連通させる。よって、Rレンジポート21cから後進ブレーキ2eへ作動油が供給されない。また、油路48、46a、49、45、Rレンジポート21c及びドレンポート21eを介して後進ブレーキ2eから作動油がドレンされ、後進ブレーキ2eの締結油圧もゼロとなる。
したがって、アイドルストップをしていない通常時(エンジン作動時)、Nレンジ位置では、Pc*はゼロとなり、また後進ブレーキ2eは非締結とされるため、Nレンジで車両発進(クリープ等)が発生する事態は防止される。
(アイドルストップ後、Rレンジにおける油圧供給)
図12は、アイドルストップ後、Rレンジ位置で、エンジンが作動している場合の油圧制御回路20の作動油の流れを点線矢印で示す。
Rレンジでは、第1ランド部211がDレンジポート21bと吸入ポート21aとを遮断し、ドレンポート21dを開いた状態を保つ。よって、Dレンジポート21bから前進クラッチ2dへ作動油が供給されない。また、前進クラッチピストン室62の作動油は、油路44及びドレンポート21dを介してドレンされ、前進クラッチ2dに保持されていたPc*はゼロとなる。
同時に、Rレンジでは、第2ランド部212がRレンジポート21cと吸入ポート21aとを連通させ、Rレンジポート21cとドレンポート21eとを遮断する。よって、Rレンジポート21cから後進ブレーキ2eへ油路45,46,46a,47を介して締結油圧が供給される。
したがって、アイドルストップをしていない通常時(エンジン作動時)、Rレンジ位置では、後進ブレーキ2eが締結される一方、Pc*はゼロとなるため、前進クラッチ2d及び後進ブレーキ2eの両方が締結されるインターロックは防止される。
(アイドルストップ後、Pレンジにおける油圧供給)
図13は、アイドルストップ後、Pレンジ位置で、エンジンが作動している場合の油圧制御回路20の作動油の流れを点線矢印で示す。
Pレンジでは、第1ランド部211がDレンジポート21bと吸入ポート21aとを遮断し、ドレンポート21dを開いた状態を保つ。よって、Dレンジポート21bから前進クラッチ2dへ作動油が供給されない。また、前進クラッチピストン室62の作動油は、油路44及びドレンポート21dを介してドレンされ、前進クラッチ2dに保持されていたPc*はゼロとなる。
同時に、Pレンジでは、第1ランド部211がRレンジポート21cと吸入ポート21aとを遮断し、第2ランド部212がRレンジポート21cとドレンポート21eとを連通させる。よって、Rレンジポート21cから後進ブレーキ2eへ作動油が供給されない。また、油路48、46a、49、45、Rレンジポート21c及びドレンポート21eを介して後進ブレーキ2eから作動油がドレンされ、後進ブレーキ2eの締結油圧もゼロとなる。
したがって、アイドルストップをしていない通常時(エンジン作動時)、Pレンジ位置では、Pc*はゼロとなり、また後進ブレーキ2eは非締結とされるため、Pレンジで出力軸トルクが発生してパーキング機構が故障する事態は防止される。
[実施例1の効果]
実施例1の自動変速機の油圧制御装置は、以下に列挙する効果を有する。
(1)エンジンにより駆動されるオイルポンプ7からの作動油の供給により移動するクラッチピストン52と、クラッチピストン52の移動により互いに押し付けられる入力側及び出力側の複数の摩擦板50a、51aと、非締結時には弾性力によりクラッチピストン52と複数の摩擦板50a、51aとの間に所定のクリアランスを確保するクラッチリターンスプリング54と、を有し、シフト位置としてDレンジが選択された場合に締結される前進クラッチ2dと、所定の条件が成立したときはエンジンを停止してアイドルストップ制御を行うCVTコントロールユニット9と、を備えた自動変速機の油圧制御装置において、前進クラッチ2dから作動油を排出する油路42と、オイルポンプ7からの作動油を前進クラッチ2dに供給する油路43と、Dレンジ位置以外のシフト位置(R、N、Pレンジ)が選択された場合に、前進クラッチ2dから作動油を排出する油路44と、を設け、油路42上に、オイルポンプ7の非作動時に前進クラッチ2dの締結油圧PcをPc*に保持する保圧バルブ22を設け、油路43上に、オイルポンプ7から前進クラッチ2dへの作動油の流通を許可するとともに、前進クラッチ2dからオイルポンプ7への作動油の流通を禁止するチェックバルブ23を設け、保持される締結油圧Pc*によりクラッチピストン52に加えられる荷重は、上記クリアランスが最大であるときのクラッチリターンスプリング54の弾性力より大きいこととした。
エンジンが再始動してオイルポンプ7が作動を開始する直前のPcは、保圧バルブ22によりクラッチリターンスプリング54のバネ力相当(Pc*)に保たれている。よって、アイドルストップ後のエンジン再始動時に前進クラッチ2dのストローク詰めを行う必要がないので、速やかに前進クラッチ2dの締結が行える。したがって、アイドルストップ後のエンジン再始動時における再発進応答性が良い。また、エンジン再始動時のエンジン回転数Neのオーバーシュートがあっても、クラッチトルク容量Tcで決まるトルクしか伝達できないので、滑らかな再発進ができ、再発進時の車両の唐突な飛び出し感を防止できる。また、シフト位置がR、N、Pレンジでは、前進クラッチ2dに供給されていた作動油はドレン油路44を介してドレンされるので、Rレンジでのインターロックや、Nレンジでのクリープ、Pレンジでのパーキング機構の故障を確実に防止できる。さらに、Pcの保持手段として電動ポンプやアキュムレータ等が不要であり、かつPcの排出手段として電磁弁等の電子油圧デバイスが不要である。よって、車両搭載性やコスト面の改善を図ることが可能である、という効果を有する。
(2)オイルポンプ7の作動開始後、オイルポンプ7から前進クラッチ2dに供給される締結油圧Pcが徐々に高くなるように調圧する電子的油圧制御手段(CVTコントロールユニット9、L/U.SOL.V 180、及びSELECT.SW.SOL.V 181)を設けた。
エンジンが再始動してオイルポンプ7が作動を開始する前のPcは、保圧バルブ22によりクラッチリターンスプリング54のバネ力相当(Pc*)に保たれている。オイルポンプ7が作動を開始した後(具体的には、油路40の油圧がPc*に到達した後)、前進クラッチ2dの締結油圧Pcは、上記電子的油圧制御手段により段差なく徐々に高くなるように制御される。このため、エンジン再始動時のエンジン回転数Neのオーバーシュートがあっても、クラッチトルク容量Tcで決まるトルクしか伝達できないので、滑らかな再発進ができ、再発進時の車両の唐突な飛び出し感を防止できる、という効果を有する。
(3)シフト位置としてDレンジが選択された場合は、オイルポンプ7からの作動油を油路41(及び油路43)に供給し、Dレンジ以外のシフト位置が選択された場合は、油路44から作動油を排出させるマニュアルバルブ21を設け、マニュアルバルブ21は、シフトレバーの操作に連動するスプール210の移動により油路41及び油路44の開閉を切り替えることとした。
マニュアルバルブ21のスプール210の位置に応じてドレンポート21dの開閉が切り替えられ、保圧バルブ22により保持されていたPc*は、ドレンポート21dを開くことによりゼロにすることができる。言い換えれば、マニュアルバルブ21自体が、Pc*の給排を切り替える切替バルブの機能及び排出バルブの機能を有している。よって、切替バルブや排出バルブ等の特別なバルブ構成を追加する必要がないため、レイアウト面でもコスト面でも有利である。という効果を有する。
(4)Pc*により発生する前進クラッチ2dのトルク容量Tc(=Tc*)は、クリープ走行時に前進クラッチ2dにより伝達されるトルクTc2以下であることとした。
保圧バルブ22の設定圧の上限が、滑らかにクリープ走行可能な程度のトルク容量を発生させる範囲に設定されているため、アイドルストップ後の再始動時に、エンジン完爆後のNeオーバーシュートによる過大トルクが入力されても、唐突な発進を防止できる、という効果を有する。
(5)自動変速機は、油圧によりプライマリプーリ30及びセカンダリプーリ31の溝幅を変更することにより無段階に変速可能なCVTを有し、Pc*により発生する前進クラッチ2dのトルク容量Tc(=Tc*)は、オイルポンプ7から前進クラッチ2dへ供給される油圧がPc*と等しくなったときにプライマリプーリ30が伝達可能なトルクTp*以下であることとした。
保圧バルブ22の設定圧の上限が、前進クラッチ2dのクラッチトルク容量Tcがプーリトルク容量Tpを上回らない範囲に設定されているため、アイドルストップ後、エンジン再始動直後のベルト滑りを確実に防止できる、という効果を有する。
(6)Pc*により発生する前進クラッチ2dのトルク容量Tc(=Tc*)は、プライマリプーリ30及びセカンダリプーリ31に供給される油圧がゼロであるときにプライマリプーリ30が伝達可能なトルク容量Tp0以下であることとした。
前進クラッチ2dのクラッチトルク容量Tcが、プーリ油圧ゼロの状態においてセカンダリプーリシリンダ室31cに設置されたスプリング31jのバネ荷重によりプライマリプーリ30が伝達可能なトルク容量Tp0を上回らない範囲に、保圧バルブ22の設定圧の上限が定められている。よって、車両が長時間停止してプーリ油圧が抜けた状態になっても、エンジン再始動時のベルト滑りを確実に防止できる、という効果を有する。
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例1においては、本発明の油圧制御装置を、ベルト式無段変速機を有する自動変速機に適用したが、遊星歯車列を有する有段式自動変速機に本発明を適用してもよい。
また、実施例1においては、発進用締結要素として前進クラッチ2dにのみ本発明を適用する構成を示したが、後進ブレーキ2eに本発明を適用してもよい。
本発明の油圧制御装置を適用した実施例1の自動変速機の概略断面図である。 実施例1の自動変速機の制御系を示す。 実施例1の前進クラッチの変速機入力軸方向断面図である。 実施例1の前進クラッチのクラッチリターンスプリングのストローク量とバネ荷重との相関図である。 実施例1の油圧コントロールバルブユニット内の油圧回路図である。 実施例1の前進クラッチ締結油圧を制御する油圧回路図である。 アイドルストップ後のエンジン再始動時における、エンジン回転数、前進クラッチ締結油圧、トルク容量、及び前後Gのタイムチャートである。 実施例1の前進クラッチ締結油圧とクラッチトルク容量との関係を示す図である(クリープ時トルク以下となるように保持油圧を設定)。 実施例1の前進クラッチ締結油圧とクラッチトルク容量との関係を示す図である(プーリトルク以下となるように保持油圧を設定)。 実施例1の前進クラッチ締結油圧とクラッチトルク容量との関係を示す図である(プーリ油圧ゼロ時プーリトルク以下となるように保持油圧を設定)。 実施例1の前進クラッチ締結油圧を制御する油圧回路図である(アイドルストップ後、Nレンジ)。 実施例1の前進クラッチ締結油圧を制御する油圧回路図である(アイドルストップ後、Rレンジ)。 実施例1の前進クラッチ締結油圧を制御する油圧回路図である(アイドルストップ後、Pレンジ)。
符号の説明
1 トルクコンバータ
2 前後進切替機構
2d 前進クラッチ
2e 後進ブレーキ
3 CVT
4 駆動ギア
4a アイドラギア
4b ファイナルギア
4c 差動装置
4d アイドラ軸
5b エンジン回転数センサ
7 オイルポンプ
8 油圧コントロールバルブユニット
9 CVTコントロールユニット
20 油圧制御回路
21 マニュアルバルブ
21a 吸入ポート
21b Dレンジポート
21c Rレンジポート
21d,21e ドレンポート
22 保圧バルブ
22a チェックボール
22b スプリング
23,26,28 チェックバルブ
24,25,27,29 オリフィス
30 プライマリプーリ
30a プライマリ可動プーリ
30b プライマリ固定プーリ
30c プライマリプーリシリンダ室
30d プライマリクランプ室
31 セカンダリプーリ
31a セカンダリ可動プーリ
31b セカンダリ固定プーリ
31c セカンダリプーリシリンダ室
31d セカンダリクランプ室
40〜49 油路
40a 油圧センサ
50a 入力側摩擦板
51a 出力側摩擦板
52 クラッチピストン
53 皿バネ
54 クラッチリターンスプリング
55 スプリングリテーナ
61 前進クラッチ入力ポート
62 前進クラッチピストン室
110 プレッシャレギュレータバルブ
120 クラッチレギュレータバルブ
130 パイロットバルブ
170 変速制御弁
180 ロックアップソレノイドバルブ
181 セレクトスイッチングソレノイドバルブ
182 セレクトスイッチングバルブ
183 セレクトコントロールバルブ
190 切替弁
210 スプール
211 第1ランド部
212 第2ランド部

Claims (6)

  1. エンジンにより駆動されるオイルポンプからの作動油の供給により移動するピストンと、前記ピストンの移動により互いに押し付けられる入力側及び出力側の複数の摩擦板と、非締結時には弾性力により前記ピストンと前記複数の摩擦板との間に所定のクリアランスを確保するリターンスプリングと、を有し、シフト位置として発進位置が選択された場合に締結される発進用締結要素と、
    所定の条件が成立したときは前記エンジンを停止するアイドルストップ制御手段と、
    を備えた自動変速機の油圧制御装置において、
    シフト位置として発進位置が選択された場合に、前記発進用締結要素と前記オイルポンプ側の油路との連通を可能にする供給油路と、
    発進位置以外のシフト位置が選択された場合に、前記発進用締結要素から作動油を排出する排出油路と、を有し、
    前記供給油路は、
    前記オイルポンプ側の油路から前記発進用締結要素へ向かう作動油の流れを許可する一方、前記発進用締結要素から前記オイルポンプ側の油路へ向かう作動油の流れを禁止する逆止弁が設けられた第1油路と、
    前記オイルポンプ側の油路から前記発進用締結要素へ向かう作動油の流れを禁止する一方、前記発進用締結要素側の作動油の圧力が所定値より大きいときに前記発進用締結要素から前記オイルポンプ側の油路へ向かう作動油の流れを許可する保圧弁を前記逆止弁と並列に設けた第2油路と、を有し、
    シフト位置として発進位置が選択された場合であって前記オイルポンプの非作動時に、前記発進用締結要素内に保持される作動油圧により前記ピストンに加えられる荷重は、前記クリアランスが最大であるときの前記リターンスプリングの弾性力より大きいこと
    を特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  2. 前記オイルポンプの作動開始後、前記オイルポンプから前記発進用締結要素に供給される作動油の圧力が徐々に高くなるように調圧する油圧制御手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置。
  3. シフト位置として発進位置が選択された場合は、前記オイルポンプからの作動油を前記供給油路に供給し、発進位置以外のシフト位置が選択された場合は、前記排出油路から作動油を排出させるマニュアル弁を設け、
    前記マニュアル弁は、シフトレバーの操作に連動するスプールの移動により前記供給油路及び前記排出油路の開閉を切り替えること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動変速機の油圧制御装置。
  4. 前記保持される作動油圧により発生する前記発進用締結要素のトルク容量は、クリープ走行時に前記発進用締結要素により伝達されるトルク以下であること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか1項に記載の自動変速機の油圧制御装置。
  5. 前記自動変速機は、油圧により駆動側プーリ及び被駆動側プーリの溝幅を変更することにより無段階に変速可能なベルト式無段変速機を有し、
    前記保持される作動油圧により発生する前記発進用締結要素のトルク容量は、前記オイルポンプから前記発進用締結要素へ供給される油圧が前記保持される作動油圧と等しくなったときに前記駆動側プーリが伝達可能なトルク以下であること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか1項に記載の自動変速機の油圧制御装置。
  6. 前記自動変速機は、油圧により駆動側プーリ及び被駆動側プーリの溝幅を変更することにより無段階に変速可能なベルト式無段変速機を有し、
    前記保持される作動油圧により発生する前記発進用締結要素のトルク容量は、前記駆動側プーリ及び前記被駆動側プーリに供給される油圧がゼロであるときに前記駆動側プーリが伝達可能なトルク以下であること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか1項に記載の自動変速機の油圧制御装置。
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