JP4573285B2 - インフレータブルシートベルト装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも一部が袋状に形成されており、通常時は帯状に保形されるとともに、車両衝突等の緊急時にガス発生手段からのガスがバッグに導入されることで膨張するエアベルトを用いたインフレータブルシートベルト装置の技術分野に属し、特に、エアベルトのバッグの長さを長く設定することのできインフレータブルシートベルト装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば自動車等の車両の座席にはシートベルト装置が付設されていることが多いが、このシートベルト装置は、車両衝突時などの緊急時において、ウェビングにより乗員を拘束して、車体に衝突することによる負傷等から乗員を保護するようになっている。しかしながらこのようなシートベルト装置においては、乗員を拘束するベルトを構成するウェビングの幅がそれほど大きくないので、乗員はウェビングにより拘束されたとき比較的大きな荷重を局部的に受けるようになる。
【0003】
このようなことから、ウェビングを袋状に形成し、通常時にはこの袋状のウェビングを帯状に保形して一般的なシートベルトとして機能させ、緊急時にガス発生手段から噴出するガスをこの袋状のウェビングに導入することによりウェビングを膨張させ、その膨張させたウェビングにより乗員を受け止めるようにしたエアベルトを備えたインフレータブルシートベルト装置が、例えば特開平6ー135293号公報等において提案されている。このようなインフレータブルシートベルト装置のエアベルトによれば、ウェビングが乗員の運動エネルギをより広い面積で受けるようになる。これにより荷重が分散されるので、乗員が受ける荷重は比較的小さなものとなり、乗員はより一層効果的に保護される。
【0004】
また、ウェビングは膨張することによってたて方向に短くなると同時に、厚みが増加し、その厚み分だけ人体をシートに押し付けることになる。すなわち、ウェビングの膨張により、ウェビングの長さが短くなりかつウェビングの厚みが増加するので、ウェビングを実際に引き込んだと同様のウェビング引込み効果が得られる。したがって、このインフレータブルシートベルト装置によれば、プリテンショナーと同様の初期拘束力が得られるようになる。
【0005】
ところで、この公開公報に開示のエアベルトを始め、一般に、例えば図9(a)および(b)に示すようにインフレータブルシートベルト装置におけるエアベルト1は、少なくとも乗員に当接する部分が袋状に形成されたウェビング2と、このウェビング2の袋状部内に挿入された例えばウレタン又はシリコン等の比較的薄く形成でき、しかも耐熱性があるとともに強度の比較的大きな弾性材からなる袋状のバッグ3と、例えばポリエステル等の樹脂からなるウェビング2を覆う筒状のカバー4とから構成されている。
【0006】
その場合、袋状のバッグ3は、図10(a)に示すように細長い帯状に形成されており、その下端にはガス導入口3aが設けられている。図10(c)および(d)に示すように、このバッグ3は、その右側端部が同図(a)に示すその幅方向の右端からほぼ3分の1の位置で長手方向に延びる折り畳み線αに沿って図10(b)に矢印で示す方向に折り畳まれるとともに、その左側端部が同図(c)に示すその幅方向の中央位置で長手方向に延びる折り畳み線βに沿って図10(d)に矢印で示す方向に折り畳まれる。そして、図9(a)に示すようにバッグ3はその長手方向がウェビング2の長手方向となるようにしてウェビング2の袋状内に収容されている。
【0007】
そして、通常状態では、ウェビング2およびバッグ3はカバー4によりほぼ平坦にかつ帯状に保形されている。ウェビング2の袋状以外の帯部分が、例えば前述の公開公報等に開示されているように、車体底部に固定されたシートベルトリトラクタに巻き取られているとともに、このシートベルトリトラクタから延び出している。更に、シートベルトリトラクタから延び出したウェビング2は袋状部となって例えばセンタピラーに固定されているベルトガイドにより乗員の方へ案内され、ウェビングに支持されたタングの方へ延びている。
【0008】
このように構成されているエアベルト1においては、図示しないインフレータからのガスがガス導入口3aを介してバッグ3内に導入されると、バッグ3が膨張展開を開始する。すると、ウェビング2もバッグ3の膨張展開開始とともに膨張展開を開始し、図9(c)に示すようにその膨張力でカバー4の縫製部5の縫い糸5aが切断されることにより、カバー4が展開してウェビング2およびバッグ3が更に大きく膨張展開する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のバッグ3の折り畳み方法では、バッグ3がその長手方向の折り畳み線αに沿って折り畳まれるので、折り畳まれたバッグ3はその長手方向に長いものとなる。このため、バッグ3はウェビング2の筒状部内にウェビング2の長手方向に沿って比較的長い領域にわたって収容されるようになる。特に、ウェビング2の筒状部をより効果的に膨張させるためには、バッグの長さを長くする必要がある。
【0010】
このようにバッグ3の長さが長くなると、このバッグ3もウェビング2と一緒にベルトガイドを通過するようになるため、通常時においてベルト引き出しおよびベルト巻き取りがスムーズに行われ難くなり、また、タングまで延びるようにため、タングをウェビングに摺動可能に支持させる場合にはタングの摺動がスムーズに行われ難くなり、ベルトおよびタングの取扱いフィーリングがよくないという問題がある。
【0011】
また、従来のエアベルトのバッグでは、膨張展開するバッグ容量が車両減速度の大きさつまり乗員の慣性の大きさに関係なく一定であることから、EA効果が得られないので、膨張完了後にガスを排出するベントホールをバッグ3に設けてEA効果を得るようにしている。しかし、ベントホールをバッグ3に設けると、バッグ3のガスが比較的短時間で排出されてしまうので、例えばロールオーバー時等の、発生する車両減速度が車両衝突時より小さいが、比較的長時間乗員を拘束保護する必要がある場合には、エアベルトによる乗員の拘束力が弱まってしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ウェビングの膨張部の長さをより一層長くしながら、しかもベルトおよびタングの取扱いフィーリングを向上させることのできるエアベルトを用いたインフレータブルシートベルト装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、バッグにベントホールを設けても、ロールオーバー時等において、比較的長時間乗員を拘束保護したときに拘束力の低下を抑制することのできるエアベルトを用いたインフレータブルシートベルト装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明のインフレータブルシートベルトは、乗員に当接する部分を含む少なくとも一部が袋状部とされており、通常時は帯状に保形されているウェビングと、袋状でかつ細長い帯状に形成されるとともに長手方向の一端にガス導入口が設けられ、前記ウェビングの前記袋状部内に長手方向が前記ウェビングの長手方向に沿うようにして収納され、緊急時にガス発生手段からガが前記ガス導入口を通して導入されることにより膨張展開して前記ウェビングの前記袋状部を膨張展開するバッグと、通常時前記ウェビングの前記袋状部を含む所定領域を覆い、緊急時に前記バッグおよび前記袋状の膨張展開力で展開するカバーを備え、前記バッグが前記バッグの長手方向の他端から、前記バッグの折り畳み部分が前記バッグの一側の基布と前記一側の基布に対向する他側の基布との間に位置するようにして、少なくとも長手方向に直交する方向の折り畳み線に沿って折り畳まれて前記袋状部に収納されるエアベルトと、通常時には前記エアベルトの前記ウェビングを巻き取り・引き出し可能にするとともに緊急時には前記ウェビングの引き出しをロックするシートベルトリトラクタと、ベルトガイド孔を有し、少なくとも通常時に前記シートベルトリトラクタからの前記ウェビングがこのベルトガイド孔を摺動可能に貫通することで前記ウェビングを乗員の方へガイドするベルトガイドと、このウェビングに支持され、車体側に固定されたバックルに係合可能なタングとを少なくとも備え、前記ウェビングの袋状部に収納されている前記バッグが前記ベルトガイドより乗員側に配置されているとともに、膨張展開時に、前記ベルトガイドおよび前記タングの少なくとも1つに向かって膨張展開するようになっていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項2の発明のインフレータブルシートベルト装置は、乗員に当接する部分を含む少なくとも一部が袋状部とされており、通常時は帯状に保形されているウェビングと、袋状でかつ細長い帯状に形成されるとともに長手方向の一端にガス導入口が設けられ、前記ウェビングの前記袋状部内に長手方向が前記ウェビングの長手方向に沿うようにして収納され、緊急時にガス発生手段からガスが前記ガス導入口を通して導入されることにより膨張展開して前記ウェビングの前記袋状部を膨張展開するバッグと、通常時前記ウェビングの前記袋状部を含む所定領域を覆い、緊急時に前記バッグおよび前記袋状部の膨張展開力で展開するカバーを備え、前記バッグの折り畳み部分の一側の基布が前記バッグの折り畳み部分以外の前記一側の基布の外側に位置するとともに前記バッグの折り畳み部分の他側の基布が前記バッグの折り畳み部分以外の前記他側の基布の外側に位置するようにして、前記バッグが少なくとも長手方向に直交する方向の2本の折り畳み線に沿って折り畳まれて前記袋状部に収納されるエアベルトと、通常時には前記エアベルトの前記ウェビングを巻き取り・引き出し可能にするとともに緊急時には前記ウェビングの引き出しをロックするシートベルトリトラクタと、ベルトガイド孔を有し、少なくとも通常時に前記シートベルトリトラクタからの前記ウェビングがこのベルトガイド孔を摺動可能に貫通することで前記ウェビングを乗員の方へガイドするベルトガイドと、このウェビングに支持され、車体側に固定されたバックルに係合可能なタングとを少なくとも備え、前記ウェビングの袋状部に収納されている前記バッグが前記ベルトガイドより乗員側に配置されているとともに、膨張展開時に、前記ベルトガイドおよび前記タングの少なくとも1つに向かって膨張展開するようになっていることを特徴としている。
【0015】
更に、請求項3の発明のインフレータブルシートベルト装置は、乗員に当接する部分を含む少なくとも一部が袋状部とされており、通常時は帯状に保形されているウェビングと、袋状でかつ細長い帯状に形成されるとともに長手方向の一端にガス導入口が設けられ、前記ウェビングの前記袋状部内に長手方向が前記ウェビングの長手方向に沿うようにして収納され、緊急時にガス発生手段からガスが前記ガス導入口を通して導入されることにより膨張展開して前記ウェビングの前記袋状部を膨張展開するバッグと、通常時前記ウェビングの前記袋状部を含む所定領域を覆い、緊急時に前記バッグおよび前記袋状部の膨張展開力で展開するカバーを備え、前記バッグの折り畳み部分の一側の基布が前記バッグの折り畳み部分以外の前記一側の基布の内側に位置するとともに前記バッグの折り畳み部分の他側の基布が前記バッグの折り畳み部分以外の前記他側の基布の内側に位置するようにして、前記バッグが少なくとも長手方向に直交する方向の2本の折り畳み線に沿って折り畳まれて前記袋状部に収納されるエアベルトと、通常時には前記エアベルトの前記ウェビングを巻き取り・引き出し可能にするとともに緊急時には前記ウェビングの引き出しをロックするシートベルトリトラクタと、ベルトガイド孔を有し、少なくとも通常時に前記シートベルトリトラクタからの前記ウェビングがこのベルトガイド孔を摺動可能に貫通することで前記ウェビングを乗員の方へガイドするベルトガイドと、このウェビングに支持され、車体側に固定されたバックルに係合可能なタングとを少なくとも備え、前記ウェビングの袋状部に収納されている前記バッグが前記ベルトガイドより乗員側に配置されているとともに、膨張展開時に、前記ベルトガイドおよび前記タングの少なくとも1つに向かって膨張展開するようになっていることを特徴としている。
【0016】
更に、請求項4の発明のインフレータブルシートベルト装置は、前記バッグにベントホールが設けられており、このベントホールは通常時には折り畳まれた前記バッグ内に隠蔽されているとともに、前記ベルトガイド方向への前記バッグの膨張展開によりバッグ表面に現れて前記バッグ内のガスが排出されるようになっていることを特徴としている。
【0017】
【作用】
このような構成をした本発明のインフレータブルシートベルトにおいては、通常時にはバッグが長手方向と直交する方向の折り畳み線に沿って折り畳まれているので、バッグの長手方向の実長が比較的長く設定されても、ウェビングの袋状部に収納された状態でのバッグの長手方向の長さが短くなる。
また、収納状態でのバッグ長手方向の長さが短くなることから、バッグの長手方向の実長が長くなるばかりでなく、その実長の設定の自由度が大きくなる。
【0018】
また、ウェビングの袋状部に収納されたバッグは通常時にはベルトガイドのガイド孔を通過することがないので、通常時において、ベルト引き出しおよびベルト巻き取りがスムーズにかつ確実に行われるようになり、ベルトの取扱いフィーリングが良好になる。
また、バッグの実長の設定の自由度が大きくなることから、バッグの実長が、インフレータブルシートベルト装置が装着される車両に応じて種々柔軟に対応して設定可能となる。
【0019】
更に、車両衝突時等の大車両減速度が発生する緊急時には、ガス発生手段からのガスがバッグの一端に設けられたガス導入口からバッグ内に導入されることによりバッグおよびウェビングの袋状部が膨張展開しようとしてその膨張力によりカバーを展開させるので、バッグおよびウェビングの袋状部はエアベルトの長手方向に沿ってベルトガイドおよびタングの少なくとも1つに向かって迅速に膨張展開する。これにより、ウェビングの袋状部が従来のエアベルトと同様に乗員の運動エネルギをより広い面積で受けるようになって荷重が分散されるので、乗員が受ける荷重が比較的小さくなり、乗員はより一層効果的に保護される。
【0020】
更に、乗員の慣性でウェビングに張力が作用し、この張力でシートベルトリトラクタのEA機構が作動するので、ウェビングの伸び出しが生じるとともに、このウェビングの伸び出しは乗員の慣性によって変化する。したがって、ウェビングの伸び出しによりウェビングの膨張展開する袋状部の長手方向の長さが乗員の慣性の大きさに応じて変化するので、ウェビングの張力はウェビングの膨張部の長さの変化によって変化する、つまり乗員の慣性の大きさすなわち乗員の体格に応じて変化するようになる。これにより、小柄な乗員においては、ウェビングの膨張部の長さの変化が小さいのでウェビングの張力が小さくなり、また大柄な乗員においては、ウェビングの膨張部の長さの変化が大きいのでウェビングの張力が大きくなり、乗員をその体格に応じてより効果的に拘束保護されるようになる。
【0021】
更に、ウェビングの伸び出しにより、バッグが長手方向に膨張展開するので、バッグ容量が増大してバッグ内の圧力が低下し、バッグによってもEA効果が得られるようになる。特に、バッグによるEA効果がシートベルトリトラクタのEA機構によるEA効果と組み合わされることにより、インフレータブルシートベルト装置のEA効果のきめ細かいチューニングが可能となる。
更に、乗員の体格に関わらず、ベルトガイドまでウェビングの袋状部が膨張するとともに、膨張した袋状部が乗員の頭部の側方近傍に位置するようになる。これにより、車両の側方からの衝突時における乗員の頭部の保護効果が向上する。
【0022】
更に、バッグのガス導入口がバッグの一端に設けられる。つまり、ウェビングの袋状部にバッグが収納された状態では、バッグのガス導入口がバッグのタング側またはバッグのベルトガイド側に設けられる。これにより、ガス発生手段を車体下方の床部または車体上部に設けることが可能となる。特に、ガス導入口がバッグのベルトガイド側に設けられる場合は、ガス発生手段が車体の天井、センタピラーあるいはリヤピラー等に設置できるので、車両の余剰空間を効果的に利用可能となり、ガス発生手段の設置自由度が高くなる。
【0023】
更に、請求項4の発明においては、バッグにベントホールが設けられるが、このベントホールを、バッグの長手方向の膨張展開がほぼ終了したときにバッグ表面に表れるバッグ領域に設けることにより、例えばロールオーバー時等の、発生する車両減速度が車両衝突時より小さいが、比較的長時間乗員を拘束保護する必要がある場合には、バッグの長手方向の膨張展開が完了しないので、ベントホールはバッグ表面に表れない。したがって、バッグ内のガスがほとんど排出されないので、比較的長時間乗員を拘束保護したときにも拘束力の低下が抑制されるようになる。しかも、車両衝突時等においては、ベントホールによる乗員の運動エネルギ吸収効果が確実に得られるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1および図2は、それぞれ本発明にかかるエアベルトの実施の形態の一例が用いられている本発明に係るインフレータブルシートベルト装置の実施の形態の一例を概略的に示し、図1はこの例のベルトガイド側部分を示す部分斜視図、図2はこの例のタング側部分を示す部分斜視図である。なお、本発明のエアベルトの構成要素のうち、前述の従来例のエアベルトと同じ構成要素には同じ符号を付すことでその詳細な説明は省略する。
【0025】
図1および図2に示すように、この例のエアベルト1が用いられているインフレータブルシートベルト装置6は、一部がエアベルト1として構成されているショルダー側のウェビング2と、車体底部に固定され、このウェビング2のエアベルト以外の部分を巻取引出可能に巻き取る第1のシートベルトリトラクタ7と、センタピラー等の車体に固定され、第1のシートベルトリトラクタ7から引き出されたウェビング2を乗員の方へガイドするベルトガイド8と、エアベルト1の第1のシートベルトリトラクタ7と反対側の端に連結されたタング9と、車体側に固定され、このタング9が挿入係止されるバックル10と、バックル10に連結されたインフレータであるガス発生装置11(本発明のガス発生手段に相当)と、一端がタング9に連結され、従来一般的なシートベルトと同様の膨張展開しないウェビングから形成されたラップ側のウェビング2′と、このラップ側のウェビング2′の他端側部分を巻取引出可能に巻き取る第2のシートベルトリトラクタ12とを備えている。
【0026】
ショルダー側のウェビング2はメッシュ状に形成されて通気性のあるメッシュウェビングとして構成されている。このようにウェビング2をメッシュ状に形成することで、後述するようにバッグ3が膨張展開したとき、ウェビング2はそのエアベルト1の部分が長手方向に縮む特性を有している。また、ウェビング2がメッシュ状に形成されても、通常時はシートベルトとしての機能を発揮できるように、その強度が確保されている。
【0027】
この例のショルダー側のウェビング2は少なくとも乗員の肩および胸等が当接する部位を含む一部が袋状部2aに形成されていてエアベルト1の一部として構成されている。このエアベルト1は、前述の従来例のエアベルトと同様にこのウェビング2の袋状部2a内に収容された袋状のバッグ3と、ウェビング2の袋状部2aを含む一部を覆う筒状のカバー4とから構成されている。このエアベルト1はこの例では図2に示すようにタングに連結されている。また、ウェビング2はその袋状部2aのタング9連結端と反対側の端に連続して、従来の一般的なシートベルトと同様に、第1のシートベルトリトラクタ7のスプール(不図示)に巻取、引出可能に所定量巻き取られる非袋状部2bが形成されている。そして、通常時には、エアベルト1はバッグ3が折り畳まれて非袋状部2bの幅とほぼ同じ幅の平坦な帯状にされている。
【0028】
袋状のバッグ3は、図3(a)に示すように前述の従来と同様に細長い袋状に形成されている。バッグ3の下端3bの左端3cからバッグ3の幅の4分の1の位置には、ガス導入口3aが形成されているとともに、図4(a)に拡大して示すようにバッグ3の上端3dの中央部にはベントホール3eが設けられている。この袋状のバッグ3は、従来と異なり、まず長手方向と直交する方向に延びる図3(a)に示す折り畳み線γに沿って折り畳まれる。その場合、図3(b)ないし(d)に示すようにバッグ3は、その上端3dが手前側の基布3fと向こう側の基布3gとの間に位置するように矢印δ方向(図3(a)に図示)に折り畳まれる。したがって、ベントホール3eはカバー3の基布3f,3gに間に隠蔽される。次に、バッグ3は長手方向に延びる図3(b)に示す折り畳み線εに沿って図3(d)に示す方向ζに折り曲げられて、図3(e)および(f)に示すように重ね合わされて折り畳まれる。次いで、バッグ3は長手方向に延びる図3(e)に示す折り畳み線ηに沿って図3(f)に示す互いに逆の2方向θ,ιにそれぞれ折り曲げられて、図3(g)および(h)に示すように重ね合わされて折り畳まれる。
【0029】
このように折り畳まれた袋状のバッグ3は、図1に示すようにベルトガイド8より乗員側(第1のシートベルトリトラクタ7と反対側)に配置され、かつウェビング2の袋状部2a内に長手方向に沿いかつガス導入口3aがタング9側に向くようにして収容される。このとき、バッグ3は、長手方向と直交する方向の折り畳み線γに沿って折り畳まれることによりその長手方向の長さが短くなっているため、ベルトガイド8のガイド孔8aを貫通してベルトガイド8をリトラクタ側に越えることはない。
【0030】
筒状のカバー4は互いに縫着κにより連繋された筒状の第1および第2カバー4a,4bからなり、ウェビング2の袋状部2aを含む所定領域を覆っている。第1カバー4aは膨張しない通常状態にあるバッグ3が位置するウェビング2の袋状部2aの領域を覆うようにして配置されているとともに、図2に示すようにタング9に連結されている。この第1カバー4aはウェビング2の袋状部2aおよび折り畳まれたバッグ3を通常時に帯状に保形するようになっているとともに、ガス発生装置11からのガスによるウェビング2の袋状部2aおよびバッグ3の膨張時にはその膨張力で展開するようになっている。この第1カバー4aの展開により、袋状部2aおよびバッグ3が大きく膨張展開可能になる。
【0031】
また、第2カバー4bは膨張しない通常状態にあるバッグ3が位置しないウェビング2の袋状部2aとリトラクタ側非袋状部2bの一部との領域を覆うようにして配置されているとともに、図示しないが第1カバー4aとの連繋端部と反対側の端部がウェビング2の非袋状部2bに縫着λされている。第2カバー4bはウェビング2の袋状部2aを通常時に帯状に保形するようになっているとともに、ガス発生装置11からのガスによるウェビング2の袋状部2aおよびバッグ3の膨張時にはその膨張力で展開するようになっている。この第2カバー4bの展開により、袋状部2aおよびバッグ3が更に大きく膨張展開可能になる。
【0032】
前述の膨張力による第1および第2カバー2a,2bの展開は、前述の従来の縫着部の縫い糸の切断による展開を始め、適宜の方法で行うようにすることができる。そして、第2カバー4bの部分およびウェビング2の非袋状部分2bがベルトガイド8のガイド孔8aを摺動可能になっている。なお、カバー4は単一のカバーで構成することもできる。
【0033】
シートベルトリトラクタ7は、例えばエネルギ吸収機構(EA機構)を備えた緊急ロック式リトラクタ(ELR)から構成されている。このEA機構を備えたELRは従来周知であるのでその詳細な説明を省略するが、その一例として、一応簡単に説明すると、ウェビング2を巻き取るスプールと、通常時このスプールと一体回転するロックギヤと、これらのスプールとロックギヤとを連結するトーションバーとを備えたELRがある。
【0034】
そして、このELRは、通常時はスプールとロックギヤとが一体に回転自由となっているのでウェビングの引き出し・巻き取りを自由に行うことができる。また、このELRは、車両衝突時等の大きな車両減速度が発生したときはロックギヤのウェビングの引き出し方向の回転がロックされる。しかし、慣性による乗員の前方移動によりウェビングに、引き出し方向の荷重が加えられるので、スプールが引き続きウェビングの引き出し方向に回転しようとする。すると、トーションバーがねじれてスプールがロックギヤに対してウェビングの引き出し方向に相対回転し、ウェビングが伸び出される。このトーションバーのねじれにより、大車両減速度発生時の運動エネルギが吸収され、ウェビングから乗員への負荷が緩和される。
【0035】
こうして、EA機構を備えたELRは、大車両減速度の発生時に乗員の大きな前方移動を阻止しかつ運動エネルギを吸収することにより、乗員を拘束保護するようになっている。
なお、シートベルトリトラクタ7として、この従来例のELR以外の他の従来周知のシートベルトリトラクタを用いることができることは言うまでもない。
【0036】
タング9およびバックル10には、図示しないがいずれもガス流動孔が設けられており、タング9側のガス流動孔にはバッグ3のガス導入口3aが接続されているとともに、バックル側のガス流動孔にはガス発生装置11の図示しないガス噴出口が接続されている。そして、タング9がバックル10に挿入係止されたとき、これらの両ガス流動孔が接続され、ガス発生装置11のガスが両ガス流動孔およびガス導入口3aを通ってバッグ3内に導入されるようになっている。
【0037】
このように構成されたインフレータブルシートベルト装置1においては、通常時はガス発生装置11が作動しないので、ガス発生装置11からのガスがバッグ3内に導入されなく、ウェビング2の袋状部2aおよびバッグ3は帯状に保形されている。したがって、通常のシートベルトの装着状態は、図5(a)に示すように従来のシートベルト装置と同様にタング9がバックル11に係合することで、ベルトガイド8から延び出してきたエアベルト1が乗員の肩から胸に当接する。このようにして、エアベルトは通常時は一般的なシートベルトとして機能するようになる。
【0038】
この状態で、車両衝突時等の緊急時には、車両に発生する大きな減速度によりシートベルトリトラクタ7が作動して、シートベルトリトラクタ7のロックギヤのウェビング引出し方向の回転がロックされるとともに、ガス発生装置11が作動してガスを発生する。
【0039】
すると、乗員が慣性により前方へ移動しようとし、トーションバーがねじれて運動エネルギが吸収されるとともに、ウェビングが伸び出すようになる。一方、ガス発生装置11からのガスがバックル11およびタング9の各ガス流動孔およびバッグ3のガス導入口3aを介してバッグ3に導入されることにより、バッグ3が膨張展開を開始するので、ウェビング2の袋状部2aもバッグ3の膨張展開に対応する部分から膨張展開を開始する。これらのバッグ3および袋状部2aの膨張力で第1カバー4aが展開するとともに、ウェビング2の袋状部2aの膨張展開部分に対応する第2カバー4bの部分が展開する。これにより、バッグ3は、まず主に幅方向に膨張展開し、その後主に長手方向に沿ってベルトガイド8の方へ膨張展開するようになる。これにより、ウェビング2の袋状部2aの膨張展開部がバッグ3の長手方向への膨張展開にともなって長手方向に沿ってベルトガイド8の方へ移動していく。
【0040】
そして、バッグ3は長手方向に完全に膨張展開する前に、つまり上端3dおよびベントホール3eが現れる前にベルトガイド8に到達するが、バッグ3は膨張しているのでベルトガイド8のガイド孔8aの部分を通過して第1のシートベルトリトラクタ7側に展開することはない。したがって、図5(b)に示すようにウェビング2の袋状部2aは、タング9からベルトガイド8までの部分が膨張し、またベルトガイド8より第1のシートベルトリトラクタ7側の部分が膨張しなく初期の帯状に保持される。こうして、ウェビング2の袋状部2aのショルダー部が膨張展開して、大きな慣性で前方へ移動しようとする乗員の肩、胸、腰等を受け止める。
【0041】
これにより、乗員はウェビング2からの荷重が緩和され、トーションバーのねじれによる運動エネルギ吸収と相俟って、効果的に拘束保護されるようになる。
その場合、袋状部2aの膨張展開とこの膨張展開によるウェビング2の長手方向の縮みにより、乗員の初期拘束力が高められて従来のプリテンショナーと同様にプリテンション機能が発揮されるので、乗員の初期拘束が効果的に行われるようになる。
【0042】
大きな慣性で乗員が更に前方へ移動しようとすることによりウェビング2が更に伸び出すが、このウェビング2の伸び出しで、バッグ3が更に長手方向に膨張展開する。これにより、バッグ3の容量が増大してバッグ内圧が低下するので、運動エネルギが更に吸収され、このバッグ3の更なる膨張展開によってもEA効果が得られる。なお、このウェビング2の更なる伸び出しによっても、バッグ3はベルトガイド8まで膨張展開するが、ベルトガイド8を越えては膨張展開しない。
【0043】
ウェビング2が更に伸び出すと、図5(d)に示すようにバッグ3が長手方向に完全に膨張展開してベントホール3eがバッグ表面に現れるようになる。すると、バッグ3内のガスがこのベントホール3eを通してウェビング2の袋状部2a内に排出され、更に通気性のある袋状部2aから外部に排出される。これにより、運動エネルギ吸収効果が更に得られ、乗員への荷重が更に緩和される。なお、図5(d)におけるベルトガイド8とウェビング2との位置関係は、説明の便宜上、図5(a)ないし(c)と逆に示してある。
【0044】
こうして、この例のインフレータブルシートベルト装置6においては、車両衝突時等の大車両減速度の発生時に、運動エネルギが吸収されて乗員への荷重が緩和されつつ、慣性による乗員の前方移動が抑制されて、乗員が確実に拘束保護されるようになる。
【0045】
ところで、例えば車両のロールオーバ等の、車両減速度が車両衝突時等の大きな車両減速度より小さいが乗員を比較的長い時間拘束する必要がある場合にも、この例のインフレータブルシートベルト装置6においては、前述のようにシートベルトリトラクタ7によるEA効果、ガス発生装置11からのガスによるバッグ3およびウェビング2の袋状部2aの膨張によるEA効果、およびバッグ3の長手方向の展開でバッグ容量が増大することによるEA効果が得られるので、運動エネルギが吸収されて乗員への荷重が緩和されつつ、ロールオーバ等による乗員の移動が抑制されて、乗員が確実に拘束保護される。この場合には、車両減速度が車両衝突時等に比べて比較的小さいことからウェビングの伸び出しも小さいので、ベントホール3eは隠蔽されたまま表面に現れない。したがって、バッグ3内のガスがベントホール3eからはほとんど排出されないので、乗員は必要な長時間にわたって所定の拘束力で確実に拘束保護されるようになる。
【0046】
この例のインフレータブルシートベルト装置6によれば、通常時にはバッグ3を長手方向と直交する方向の折り畳み線γで折り畳んでいるので、バッグ3の長手方向の実長を比較的長くしても、ウェビング2の袋状部2aに収納された状態でバッグ3の長手方向の長さを短くすることができる。したがって、このようにウェビング2の袋状部2aに収納されたバッグ3は通常時にはベルトガイド8のガイド孔8aを通過することがないので、通常時において、ベルト引き出しおよびベルト巻き取りをスムーズにかつ確実に行うことができ、ベルトの取扱いフィーリングを良好にできる。
【0047】
また、収納状態でのバッグ3の長手方向の長さを短くできることから、バッグ3の長手方向の実長を長くできるばかりでなく、その実長の設定の自由度が大きくなり、インフレータブルシートベルト装置6が装着される車両に応じて種々柔軟に対応することができる。
【0048】
更に、ウェビング2の伸び出しにより、ウェビング2の膨張展開する袋状部2aの長手方向の長さが乗員の慣性の大きさに応じて変化するので、このウェビング2の膨張部の長さの変化によって変化するウェビング2の張力を乗員の慣性の大きさつまり乗員の体格に応じて変化させることができる。したがって、小柄な乗員においては、ウェビング2の膨張部の長さの変化が小さいのでウェビング2の張力も小さくなり、また大柄な乗員においては、ウェビング2の膨張部の長さの変化が大きいのでウェビング2の張力も大きくなり、乗員をその体格に応じてより効果的に拘束保護することができる。
【0049】
更に、ウェビング2の伸び出しにより、バッグ3を長手方向に膨張展開させているので、バッグ3容量を増大させてバッグ3内の圧力を低下させることができ、バッグ3によってもEA効果を得ることができる。特に、このバッグ3によるEA効果をシートベルトリトラクタ7のEA機構によるEA効果と組み合わせることにより、EA効果のきめ細かいチューニングが可能となる。
【0050】
更に、乗員の体格に関わらず、ベルトガイド8までウェビング2の袋状部2aを膨張させているので、膨張した袋状部2aを乗員の頭部の側方近傍に位置させることができる。これにより、車両の側方からの衝突時における乗員の頭部の保護効果を向上できる。
【0051】
なお、前述の例では、ベントホール3eをバッグ3の上端3dに設けているが、図4(b)に示すようにバッグ3の基布3fおよび基布3gの少なくとも一つに設けることもできる。この場合には、ベントホール3eの長手方向の設置位置を適宜設定することで、バッグ3の膨張展開時におけるベントホール3eの出現時期を任意に設定することができる。これにより、ベントホール3eを介してのバッグ3内のガスの排出によるEA効果の発生時期を種々の車両に応じて設定することができる。したがって、この例のインフレータブルシートベルト装置6では、ベントホール3eをバッグ3の上端3d、基布3fおよび基布3gの少なくとも一つに設けることができる。
【0052】
また、前述の例では、バッグ3を1本の折り畳み線γに沿って折り畳むようにしているが、図3(a)に仮想の二点差線で示す、長手方向と直交する2本の折り畳み線γ′,γ″に沿って図4(c)に示すように折り畳み部分がバッグ3の折り畳み部分以外の基布3fおよび基布3gの内側になるようにバッグ3を折り畳むようにすることもできる。このときには、ベントホール3eを基布3f,3gの折り畳み部分に設けて、通常のバッグ折り畳み時には隠蔽するようにしている。この場合には、折り畳み部の厚みが前述の例よりは厚くなるが、収納時のバッグ3の長手方向の長さをより短くできるので、バッグ3の長手方向の実長をより長くすることができる。
【0053】
更に、図3(a)に仮想の二点差線で示す、長手方向と直交する2本の折り畳み線γ′,γ″に沿って図4(d)に示すように折り畳み部分がバッグ3の折り畳み部分以外の基布3fおよび基布3gの外側になるようにバッグ3を折り畳むようにすることもできる。このときにも、ベントホール3eを基布3f,3gの折り畳み部分に設けて、通常のバッグ折り畳み時には隠蔽するようにしている。
この例の作用効果は図4(c)に示す例と実質的に同じである。
【0054】
更に、ベントホール3eを、バッグ3の長手方向の膨張展開がほぼ終了したときにバッグ表面に表れるようにしているので、例えばロールオーバー時等の比較的長時間乗員を拘束保護する必要がある場合に比較的長時間乗員を拘束保護しても拘束力の低下を抑制でき、しかも、車両衝突時等においては、ベントホール3eによる乗員の運動エネルギ吸収効果を確実に得ることができるようになる。
【0055】
更に、前述の例ではショルダー側のウェビング2の一部のみがエアベルト1として構成されているが、ラップ側のウェビング2′の、少なくとも乗員に当接部位を同様のエアベルト1として構成することもできる。また、ガスの導入方法も前述の例に限定されることなく、適宜のガス導入方法を用いることができることは言うまでもない。
【0056】
図6は、本発明にかかるエアベルトの実施の形態の他の例が用いられている本発明に係るインフレータブルシートベルト装置の実施の形態の他の例を部分的に示す部分斜視図である。
前述の各例では、いずれもタング9側からバッグ3にガス発生装置11からのガスを導入して、バッグ3がウェビング2の長手方向に沿ってベルトガイド8の方へ膨張展開するようにするようにしているが、図6に示すように、この例のインフレータブルシートベルト装置6では、ベルトガイド8側からバッグ3にガス発生装置11からのガスを導入して、バッグ3がウェビング2の長手方向に沿ってタング9の方へ膨張展開するようにするようになっている。
【0057】
すなわち、バッグ3がそのガス導入口3aが上方つまりベルトガイド8の方へ向いて設けられており、このガス導入口3aはメッシュウェビング2およびメッシュカバー4を貫通して袋状のメッシュウェビング2の内部からメッシュカバー4の外部へ延出されている。そして、外部に延出したガス導入口3aは可撓性のガス導入管12を介してガス発生装置11に連結されている。その場合、可撓性のガス導入管12は、通常のウェビング2の巻取・引出によって生じるウェビング2およびバッグ3の長手方向の移動を伸縮することあるいは撓むことによって吸収するようになっている。これにより、ウェビング2の巻取・引出がよりスムーズに行われるようにされている。
この例では、ガス発生装置11は、車体の天井、センタピラーあるいはリヤピラー等に設置される。
【0058】
この例のバッグ3は、図示しないが前述の各例のバッグ3の折り畳み方のいずれかで折り畳まれているとともに、このバッグ3の折り畳み状態では前述の各例と同様にベントホール3eが隠蔽されている。その場合、バッグ3の下部が、少なくともウェビング長手方向と直交する方向の折り畳み線γ,γ′,γ″のいずれかに沿って折り畳まれていることは言うまでもない。
この例のエアベルト1およびインフレータブルシートベルト装置6の他の構成は、前述の各例のいずれかの構成と同じである。
【0059】
なお、前述のウェビング2およびバッグ3の移動を吸収する機能はガス導入管12に持たせるばかりでなく、ガス導入口3aにも持たせることができ、また、ガス導入口3aのみに持たせることもできる。更に、ガス導入管12をバッグ3のガス導入口3aを延長して直接ガス発生装置11に連結することもできる。この場合には、ガス導入口3aに前述の移動吸収機能を持たせるようにすればよい。
【0060】
更に、シ−トベルト装着時にバッグ3を乗員の当接部に位置するようにかつウェビング2が相対移動可能となるように宙吊りさせることもできる。この場合には、ガス導入管12に前述のウェビング2およびバッグ3の移動を吸収する機能を適宜持たせるようにすることもできるし、あるいは持たせないようにすることもできる。
【0061】
このように構成されたこの例のインフレータブルシートベルト装置6においては、バッグ3の膨張展開時にバッグ3は、図6に矢印で示すようにベルトガイド8側からタング9側に向かってウェビング長手方向に沿って膨張展開するようになる。
この例では、通常時にバッグ3がタング9の摺動部分まで延びないようにできるので、タング9をウェビング2に対して摺動可能に支持する場合は、このタング9のウェビング2に対する摺動をスムーズに行うことができるようになり、タングの取り扱いフィーリングを向上させることができる。
また、ガス発生装置11が車体の天井、センタピラーあるいはリヤピラー等に設置できるので、余剰空間を効果的に利用することができるので、ガス発生装置11の設置自由度が高くなる。
【0062】
図7は、本発明にかかるエアベルトの実施の形態の更に他の例を示し、(a)はこのエアベルトのバッグを展開状態で示す図、(b)はこのバッグを長手方向と直交する方向に延びる折り畳み線γに沿って折り畳んだ状態を示す図、(c)はこの例のエアベルトを用いたインフレータブルシートベルト装置を部分的に示す図である。
【0063】
前述の図6に示す例では、バッグ3はベルトガイド8側からタング9側に向かってウェビング長手方向に沿って膨張展開するようにされているが、この例では、バッグ3はタング9側からベルトガイド8側に向かってウェビング長手方向に沿って膨張展開するようにされている。
すなわち、図7(a)および(b)に示すように、この例のバッグ3は、その上部が、少なくともウェビング長手方向と直交する方向の折り畳み線γに沿って折り畳まれ、かつベントホール3eが隠蔽されている。もちろん、バッグ3を前述の他の折り畳み線γ′,γ″等の他の方法で折り畳むことができることはいうまでもない。
【0064】
このように折り畳まれたバッグ3は、図7(c)に示すようにウェビング2の袋状部2a内に折り畳み部が収容される。
この例のエアベルト1およびインフレータブルシートベルト装置6の他の構成は、前述の図6に示す例と同じである。
【0065】
このように構成されたこの例のインフレータブルシートベルト装置6においては、バッグ3の膨張展開時にバッグ3は、図7(c)に矢印で示すようにタング9側からベルトガイド8側に向かってウェビング長手方向に沿って膨張展開するようになる。
【0066】
この例のインフレータブルシートベルト装置6によれば、図1ないし図5に示す例と同様にウェビング2の袋状部2aに収納されたバッグ3は通常時にはベルトガイド8のガイド孔8aを通過することがないので、通常時において、ベルト引き出しおよびベルト巻き取りをスムーズにかつ確実に行うことができ、ベルトの取扱いフィーリングを良好にできる。
この例のエアベルト1およびインフレータブルシートベルト装置6の他の作動および他の作用効果は、前述の図6に示す例と同じである。
【0067】
図8は、本発明にかかるエアベルトの実施の形態の更に他の例を用いた、図7(c)と同様のインフレータブルシートベルト装置を部分的に示す図である。
前述の図6に示す例では、バッグ3はベルトガイド8側からタング9側に向かってのみ、また、前述の図7に示す例では、バッグ3はタング9側からベルトガイド8側に向かってのみ、それぞれウェビング長手方向に沿って膨張展開するようにされているが、この例では、バッグ3は、ベルトガイド8側からタング9側に向かうとともにタング9側からベルトガイド8側に向かう両方向に、ウェビング長手方向に沿って膨張展開するようにされている。
【0068】
すなわち、図8に示すように、この例のバッグ3は、その上下部がともに、少なくともウェビング長手方向と直交する方向の折り畳み線γに沿って折り畳まれ、かつベントホール3eが隠蔽されている(図示例では、バッグ3の上部側にベントホール3eが設けられているが、ベントホール3eはバッグ3の下部側のみ、あるいはバッグ3の上下部側のいずれにも設けることができる。もちろん、バッグ3を前述の他の折り畳み線γ′,γ″等の他の方法で折り畳むことができることはいうまでもない。
【0069】
このように折り畳まれたバッグ3は、図8に示すようにウェビング2の袋状部2a内に折り畳み部が収容される。
この例のエアベルト1およびインフレータブルシートベルト装置6の他の構成は、前述の図7に示す例と同じである。
【0070】
このように構成されたこの例のインフレータブルシートベルト装置6においては、バッグ3の膨張展開時にバッグ3は、図8に矢印で示すようにベルトガイド8側からタング9側に向かうとともにタング9側からベルトガイド8側に向かう両方向に、ウェビング長手方向に沿って膨張展開するようになる。
この例のエアベルト1およびインフレータブルシートベルト装置6の他の作動および他の作用効果は、前述の図7に示す例と同じである。
【0071】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のインフレータブルシートベルト装置によれば、通常時にはバッグを長手方向と直交する方向の折り畳み線に沿って折り畳んでいるので、バッグの長手方向の実長を比較的長く設定しても、ウェビングの袋状部に収納された状態でのバッグの長手方向の長さを短くできる。
また、収納状態でのバッグ長手方向の長さを短くできることから、バッグの長手方向の実長を長くできるばかりでなく、その実長の設定の自由度を大きくできる。
【0072】
また、ウェビングの袋状部に収納されたバッグを通常時にはベルトガイドのガイド孔を通過させないようにしているので、通常時において、ベルト引き出しおよびベルト巻き取りをスムーズにかつ確実に行うことができるようになり、ベルトの取扱いフィーリングを良好にできる。
また、バッグの実長の設定の自由度を大きくできることから、バッグの実長をインフレータブルシートベルト装置が装着される車両に応じて種々柔軟に対応させて設定することができる。
【0073】
更に、緊急時にガス発生手段からのガスがバッグの一端に設けられたガス導入口からバッグ内に導入されることによりバッグおよびウェビングの袋状部をエアベルトの長手方向に沿ってベルトガイドまたはタングの方へ迅速に膨張展開するようにしているので、ウェビングの袋状部を従来のエアベルトと同様に乗員の運動エネルギをより広い面積で受けて荷重を分散できる。これにより、乗員が受ける荷重を小さくでき、乗員をより一層効果的に保護できる。
【0074】
更に、緊急時にシートベルトリトラクタのEA機構の作動で生じるウェビングの伸び出しを乗員の慣性によって変化させているので、ウェビングの膨張展開する袋状部の長手方向の長さを乗員の慣性の大きさに応じて変化させることができる。したがって、ウェビングの張力をウェビングの膨張部の長さの変化によって変化させることができる、つまり乗員の慣性の大きさすなわち乗員の体格に応じて変化させることができる。これにより、小柄な乗員ではウェビングの張力を小さくでき、また大柄な乗員ではウェビングの張力を大きくできるので、乗員をその体格に応じてより効果的に拘束保護できるようになる。
【0075】
更に、ウェビングの伸び出しにより、バッグを長手方向に膨張展開させているので、バッグ容量を増大させてバッグ内の圧力を低下させることができる。したがって、乗員の運動エネルギを効果的に吸収でき、バッグによってもEA効果を得ることができる。特に、バッグによるEA効果をシートベルトリトラクタのEA機構によるEA効果と組み合わせることにより、インフレータブルシートベルト装置のEA効果のきめ細かいチューニングが可能となる。
更に、乗員の体格に関わらず、ベルトガイドまでウェビングの袋状部が膨張するとともに、膨張した袋状部が乗員の頭部の側方近傍に位置するようにしているので、車両の側方からの衝突時における乗員の頭部の保護効果が向上できる。
【0076】
更に、バッグのガス導入口がバッグの一端に設けられる。つまり、ウェビングの袋状部にバッグが収納された状態では、バッグのガス導入口がバッグのタング側またはバッグのベルトガイド側に設けられる。これにより、ガス発生手段を車体下方の床部または車体上部に設けることが可能となる。特に、ガス導入口がバッグのベルトガイド側に設けられる場合は、ガス発生手段が車体の天井、センタピラーあるいはリヤピラー等に設置できるので、車両の余剰空間を効果的に利用可能となり、ガス発生手段の設置自由度を高くできる。
【0077】
更に、請求項4の発明によれば、ベントホールを、バッグの長手方向の膨張展開がほぼ終了したときにバッグ表面に表れるバッグ領域に設けることにより、例えばロールオーバー時等の比較的長時間乗員を拘束保護する必要がある場合に比較的長時間乗員を拘束保護しても拘束力の低下を抑制でき、しかも、車両衝突時等においては、ベントホールによる乗員の運動エネルギ吸収効果を確実に得ることができるようになる。
【0078】
また、通常時にバッグがタングの摺動部分まで延びないようにできるので、タングをウェビングに対して摺動可能に支持させる場合は、このタングのウェビングに対する摺動をスムーズに行うことができるようになり、タングの取り扱いフィーリングを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるエアベルトの実施の形態の一例が用いられている本発明に係るインフレータブルシートベルト装置の実施の形態の一例のベルトガイド側部分を示す部分斜視図である。
【図2】図1に示す例のインフレータブルシートベルト装置のタング側部分を示す部分斜視図である。
【図3】図1に示すエアベルトのカバーの折り畳みを説明し、(a)は折り畳む前のカバーを示す図、(b)はカバーをその長手方向と直交する方向に沿って折り畳んだ状態を示す図、(c)は(b)における右側面図、(d)は(b)における平面図、(e)は(b)に示すカバーをその長手方向に沿って折り畳んだ状態を示す図、(f)は(e)における平面図、(g)は(e)に示すカバーをその長手方向に沿って更に折り畳んだ状態を示す図、(h)は(g)における平面図である。
【図4】(a)は図3に示すカバーの折り畳みの途中過程を部分的に示す部分断面図、(b)はカバーの変形例を示す(a)と同様の部分断面図、(c)はカバーの他の変形例を示す(a)と同様の部分断面図、(d)はカバーの更に他の変形例を示す(a)と同様の部分断面図である。
【図5】図1に示すエアベルトの膨張作動を説明し、(a)は通常時のエアベルトの装着状態を示す図、(b)はガスによるエアベルトの膨張を開始した状態を示す図、(c)はカバーの長手方向の膨張展開が終了してガスによるエアベルトの膨張が完了した状態を示す図、(d)はエアベルトの膨張が完了したときバッグ表面に現れたベントホールを示す図である。
【図6】本発明にかかるエアベルトの実施の形態の他の例が用いられている本発明に係るインフレータブルシートベルト装置の実施の形態の他の例を部分的に示す部分斜視図である。
【図7】本発明にかかるエアベルトの実施の形態の更に他の例を示し、(a)はこのエアベルトのバッグを展開状態で示す図、(b)はこのバッグを長手方向と直交する方向に延びる折り畳み線γに沿って折り畳んだ状態を示す図、(c)はこの例のエアベルトを用いたインフレータブルシートベルト装置を部分的に示す図である。
【図8】本発明にかかるエアベルトの実施の形態の更に他の例を用いた、図7(c)と同様のインフレータブルシートベルト装置を部分的に示す図である。
【図9】従来のエアベルトの一例を示し、(a)は帯状に保形された通常時のエアベルトの一部を部分的に示す部分斜視図、(b)は(a)におけるカバーの一側縁を部分的に示す図、(c)はエアベルトの膨張時にカバーが展開するのを説明する図である。
【図10】従来のエアベルトのカバーの折り畳みを説明し、(a)は折り畳む前のカバーを示す図、(b)は(a)における平面図、(c)はカバーをその長手方向に沿って折り畳んだ状態を示す図、(d)は(c)における平面図、(e)は(c)に示すカバーをその長手方向に沿って更に折り畳んだ状態を示す図、(f)は(e)における平面図である。
【符号の説明】
1…エアベルト、2…ショルダー側のウェビング、3…バッグ、2a…袋状部、2b…非袋状部、2′…ラップ側のウェビング、3a…ガス導入口、3e…ベントホール、4…カバー、4a…第1カバー、4b…第2カバー、6…インフレータブルシートベルト装置、7…シートベルトリトラクタ、8…ベルトガイド、8a…ガイド孔、9…タング、10…バックル、11…ガス発生装置、γ,ε,η…折り畳み線、δ,ζ,ι,θ…折り畳み方向、κ,λ…縫着

Claims (4)

  1. 乗員に当接する部分を含む少なくとも一部が袋状部とされており、通
    常時は帯状に保形されているウェビングと、袋状でかつ細長い帯状に形成されるとともに長手方向の一端にガス導入口が設けられ、前記ウェビングの前記袋状部内に長手方向が前記ウェビングの長手方向に沿うようにして収納され、緊急時にガス発生手段からガが前記ガス導入口を通して導入されることにより膨張展開して前記ウェビングの前記袋状部を膨張展開するバッグと、通常時前記ウェビングの前記袋状部を含む所定領域を覆い、緊急時に前記バッグおよび前記袋状の膨張展開力で展開するカバーを備え、前記バッグが前記バッグの長手方向の他端から、前記バッグの折り畳み部分が前記バッグの一側の基布と前記一側の基布に対向する他側の基布との間に位置するようにして、少なくとも長手方向に直交する方向の折り畳み線に沿って折り畳まれて前記袋状部に収納されるエアベルトと、
    通常時には前記エアベルトの前記ウェビングを巻き取り・引き出し可能にするとともに緊急時には前記ウェビングの引き出しをロックするシートベルトリトラクタと、
    ベルトガイド孔を有し、少なくとも通常時に前記シートベルトリトラクタからの前記ウェビングがこのベルトガイド孔を摺動可能に貫通することで前記ウェビングを乗員の方へガイドするベルトガイドと、
    このウェビングに支持され、車体側に固定されたバックルに係合可能なタングと
    を少なくとも備え、
    前記ウェビングの袋状部に収納されている前記バッグが前記ベルトガイドより乗員側に配置されているとともに、膨張展開時に、前記ベルトガイドおよび前記タングの少なくとも1つに向かって膨張展開するようになっていることを特徴とするインフレータブルシートベルト装置。
  2. 乗員に当接する部分を含む少なくとも一部が袋状部とされており、通
    常時は帯状に保形されているウェビングと、袋状でかつ細長い帯状に形成されるとともに長手方向の一端にガス導入口が設けられ、前記ウェビングの前記袋状部内に長手方向が前記ウェビングの長手方向に沿うようにして収納され、緊急時にガス発生手段からガスが前記ガス導入口を通して導入されることにより膨張展開して前記ウェビングの前記袋状部を膨張展開するバッグと、通常時前記ウェビングの前記袋状部を含む所定領域を覆い、緊急時に前記バッグおよび前記袋状部の膨張展開力で展開するカバーを備え、前記バッグの折り畳み部分の一側の基布が前記バッグの折り畳み部分以外の前記一側の基布の外側に位置するとともに前記バッグの折り畳み部分の他側の基布が前記バッグの折り畳み部分以外の前記他側の基布の外側に位置するようにして、前記バッグが少なくとも長手方向に直交する方向の2本の折り畳み線に沿って折り畳まれて前記袋状部に収納されるエアベルトと、
    通常時には前記エアベルトの前記ウェビングを巻き取り・引き出し可能にするとともに緊急時には前記ウェビングの引き出しをロックするシートベルトリトラクタと、
    ベルトガイド孔を有し、少なくとも通常時に前記シートベルトリトラクタからの前記ウェビングがこのベルトガイド孔を摺動可能に貫通することで前記ウェビングを乗員の方へガイドするベルトガイドと、
    このウェビングに支持され、車体側に固定されたバックルに係合可能なタングと
    を少なくとも備え、
    前記ウェビングの袋状部に収納されている前記バッグが前記ベルトガイドより乗員側に配置されているとともに、膨張展開時に、前記ベルトガイドおよび前記タングの少なくとも1つに向かって膨張展開するようになっていることを特徴とするインフレータブルシートベルト装置。
  3. 乗員に当接する部分を含む少なくとも一部が袋状部とされており、通
    常時は帯状に保形されているウェビングと、袋状でかつ細長い帯状に形成されるとともに長手方向の一端にガス導入口が設けられ、前記ウェビングの前記袋状部内に長手方向が前記ウェビングの長手方向に沿うようにして収納され、緊急時にガス発生手段からガスが前記ガス導入口を通して導入されることにより膨張展開して前記ウェビングの前記袋状部を膨張展開するバッグと、通常時前記ウェビングの前記袋状部を含む所定領域を覆い、緊急時に前記バッグおよび前記袋状部の膨張展開力で展開するカバーを備え、前記バッグの折り畳み部分の一側の基布が前記バッグの折り畳み部分以外の前記一側の基布の内側に位置するとともに前記バッグの折り畳み部分の他側の基布が前記バッグの折り畳み部分以外の前記他側の基布の内側に位置するようにして、前記バッグが少なくとも長手方向に直交する方向の2本の折り畳み線に沿って折り畳まれて前記袋状部に収納されるエアベルトと、
    通常時には前記エアベルトの前記ウェビングを巻き取り・引き出し可能にするとともに緊急時には前記ウェビングの引き出しをロックするシートベルトリトラクタと、
    ベルトガイド孔を有し、少なくとも通常時に前記シートベルトリトラクタからの前記ウェビングがこのベルトガイド孔を摺動可能に貫通することで前記ウェビングを乗員の方へガイドするベルトガイドと、
    このウェビングに支持され、車体側に固定されたバックルに係合可能なタングと
    を少なくとも備え、
    前記ウェビングの袋状部に収納されている前記バッグが前記ベルトガイドより乗員側に配置されているとともに、膨張展開時に、前記ベルトガイドおよび前記タングの少なくとも1つに向かって膨張展開するようになっていることを特徴とするインフレータブルシートベルト装置。
  4. 前記バッグにベントホールが設けられており、このベントホールは通
    常時には折り畳まれた前記バッグ内に隠蔽されているとともに、前記ベルトガイド方向への前記バッグの膨張展開によりバッグ表面に現れて前記バッグ内のガスが排出されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインフレータブルシートベルト装置。
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