JP4572522B2 - エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、及びノボラック樹脂 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、及びノボラック樹脂 Download PDF

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Description

本発明は、高誘電率を必要とするフィルム、基板、積層板等の電子部品に用いられる電子材料用樹脂として使用する、高誘電率を有するエポキシ樹脂組成物とその硬化物、及び、エポキシ樹脂組成物の硬化剤として使用するノボラック樹脂に関する。
従来、誘電率の高い樹脂は、有機エレクトロルミネッセンス用材料やコンデンサ等に有用な樹脂として使用されている。高い比誘電率を有する樹脂としては、シアノエチル化ポリビニルアルコール、シアノエチル化プルラン(例えば、特許文献1参照。)、シアノエチル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(例えば、特許文献2参照。)シアノエチル基を有するエポキシ化合物(例えば、特許文献3参照)、シアノエチル化アミン化合物を硬化剤とするエポキシ樹脂硬化物(例えば、特許文献4参照。)等の、シアノ基を有する樹脂が知られている。
一方、近年、携帯電話やカーナビゲーションシステムを代表とする、可搬性を有する電子機器の需要が進んでいる。それに伴い電子機器の使用環境も大幅に変化しており、それらの使用環境に耐えうるような、耐熱性を有する電子材料が要求されている。
しかしながら、上記に挙げた樹脂のうち、例えば、シアノエチル化ポリビニルアルコール、シアノエチル化プルラン、シアノエチル化アクリル系ポリマーは熱可塑性樹脂であり、且つガラス転移点も低いため、ガラス転移点近傍で誘電率が急激に変化してしまうといった問題があった。また、シアノエチル基を有するエポキシ化合物やシアノエチル化アミン化合物を硬化剤に用いたエポキシ樹脂硬化物は、熱硬化性樹脂のため、熱による変形は小さいものの、ガラス転移点が低く、上記要求を満たすまでには至っていない。
特開平5−315185号公報 特開平5−140234号公報 特開平6−184130号公報 特開平10−46006号公報
本発明が解決しようとする課題は、誘電率が高く且つ高い耐熱性を有する樹脂、及びこれを提供する硬化性樹脂組成物を提供することにある。更にこれを用いた電子材料用として有用な基板を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、芳香環上にシアノ基又はシアノ基を有する置換基を有するノボラック樹脂を硬化剤として用いたエポキシ樹脂が、高誘電率と耐熱性を兼ね備えていることを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤、及び硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物において、該硬化剤が、芳香環上に−CN、−O−X−CN(但し、Xは炭素原子数2〜4のアルキレン基を表す)、又は−X−CN(但し、Xは炭素原子数1〜4のアルキレン基を表す)を置換基として有しており、かつ、置換基のフェノール性水酸基に対するモル比(置換基/フェノール性水酸基)が、4/6〜9/1であり、更に重量平均分子量が400〜8000の範囲であるノボラック樹脂であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、前記記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより得られるエポキシ樹脂硬化物を提供する。
また、本発明は、前記記載のエポキシ樹脂硬化物の片面又は両面に金属箔を有する基板を提供する。
また、本発明は、芳香環上に−O−X1−CN(但し、X1は炭素原子数2〜4のアルキレン基を表す)、又は−X2−CN(但し、X2は炭素原子数1〜4のアルキレン基を表す)を置換基として有しており、かつ、置換基のフェノール性水酸基に対するモル比(置換基/フェノール性水酸基)が、4/6〜9/1であり、更に重量平均分子量が400〜8000の範囲であることを特徴とするノボラック樹脂を提供する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、芳香環上にシアノ基又はシアノ基を有する置換基を有するノボラック樹脂を硬化剤として用いるので、得られた硬化物は高誘電率と耐熱性とに優れる。従って電子材料として特に有用であり、特に、エポキシ樹脂硬化物の片面又は両面に金属箔を有するものははんだ特性にすぐれ、プリント配線基板等の耐熱性を要求させる電子材料として有用である。
(ノボラック樹脂)
本発明で硬化剤として使用するノボラック樹脂は、芳香環上に−CN、−O−X−CN(但し、Xは炭素原子数2〜4のアルキレン基を表す)、又は−X−CN(但し、Xは炭素原子数1〜4のアルキレン基を表す)を置換基として有する(以下、ノボラック樹脂(A)と略す)。Xとして、好ましくは、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、Xとして、好ましくはメチレン基、ブチレン基等が挙げられる。これらの基は直鎖であっても分岐であってもよい。該置換基は、中でも、−O−X−CN、又は−X−CNが好ましい。
ノボラック樹脂(A)は、前記置換基のうち1種類のみを有していてもよいし、複数の異なる基を有していてもよい。例えば、−X−CNのみを有する樹脂であってもよいし、−CNと−O−X−CNの両方の基を有していてもよい。
(含有分率M/N)
ノボラック樹脂(A)の前記置換基、即ちシアノ基を有する基とフェノール性水酸基とのモル比(官能基モル比)は、前記置換基/フェノール性水酸基が4/6〜9/1の範囲内であることが好ましい。前記モル比が9/1よりも大きい場合、耐熱性が十分ではなく、4/6よりも小さい場合、誘電率が十分ではない。更に、5/5〜8.5/1.5の範囲であることが好ましく、5/5〜8/2の範囲がより好ましい。この範囲とすることで、比誘電率が6以上のフェノール樹脂が得られる。
(重量平均分子量)
ノボラック樹脂(A)の重量平均分子量(以下、Mwと略す)は400〜8000の範囲が好ましい。この範囲内とすることで、より高い耐熱性が得ることができる。中でも、3000〜8000の範囲がより好ましい。
(ノボラック樹脂の製造方法)
ノボラック樹脂(A)は、公知の方法で製造することができる。例えば、芳香環上に−CN又は−X−CNを置換基として有するノボラック樹脂(A)は、−CN又は−X−CNを置換基として有するフェノール類とアルデヒド類とを重縮合させて得ることができる。
(シアノ基を有するフェノール類)
本発明で使用する、−CN又は−X−CNを置換基として有するフェノール類は、同一の芳香環1個にフェノール性水酸基を1個有する1価フェノール類、同一の芳香環に2〜3個のフェノール性水酸基を有する多価フェノール類、さらには、ビスフェノール類等を使用することが出来る。また、これらのフェノール類を単独又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
1価フェノール類としては、4−ヒドロキシベンゾニトリル、3−ヒドロキシベンゾニトリル、2−ヒドロキシベンゾニトリル、4−ヒドロキシフェニルアセトニトリル、2−ヒドロキシフェニル−α−メチルアセトニトリル、4−ヒドロキシフェニル−α−メチルアセトニトリル、4−ヒドロキシフェニル−α,α−ジメチルアセトニトリル、3−(4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニトリル、3−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニトリル、4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゾニトリル、3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−プロピオニトリル、5−ヒドロキシ−1−ナフタレンカルボニトリル、6−ヒドロキシ−1−ナフタレンカルボニトリル、7−ヒドロキシ−1−ナフタレンカルボニトリル、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボニトリル、7−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボニトリル、等を挙げることができる。
多価フェノールとしては、3,5−ジヒドロキシベンゾニトリル、2,5−ジヒドロキシベンゾニトリル、等を挙げることができる。
(汎用フェノール類)
また、本発明の効果を損なわない範囲で、即ち、ノボラック樹脂(A)の前記置換基とフェノール性水酸基とのモル比が、前記範囲内となるようにして、シアノ基を置換基として含まない、汎用のフェノール類を共重合させることもできる。汎用フェノール類に特に限定はなく、同一の芳香環1個にフェノール性水酸基を1個有する1価フェノール類、同一の芳香環に2〜3個のフェノール性水酸基を有する多価フェノール類、さらには、ビスフェノール類、トリスフェノール類等を使用することが出来る。また、これらのフェノール類を単独又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
1価フェノール類としては、例えば、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、2,3キシレノール、3,4−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、また、α−ナフトール、β−ナフトール等を挙げることができる。
多価フェノール類としては、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、また、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン2,7−ジヒドロキシナフタレン等の2価フェノール類、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール等の3価フェノール類を挙げることができる。
ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等を、トリスフェノール類としては、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等を挙げることができる。
(アルデヒド類)
本発明で使用するアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドが好ましいが、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド等を使用することもできる。アルデヒド類の使用量に特に限定はないが、一般的にはフェノール類1モルに対して、0.5〜1.5の範囲で使用するのが好ましい。これらのアルデヒド類も単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(製造方法)
前記芳香環上に−CN又は−X−CNを置換基として有するフェノール類と前記アルデヒド類とを重縮合させる際に使用する触媒や溶媒は、公知のものを使用すればよく、例えば、触媒は、塩酸、硝酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の無機酸又は有機酸が挙げられ、溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類の有機溶剤があげられる。合成の常法としては、例えば、触媒下において80〜150℃の液温で、15分〜5時間程度反応させる方法が一般的である。
以下に、一例として、4−ヒドロキシフェニルアセトニトリルとホルムアルデヒドとを用いてノボラック樹脂を合成した場合の反応式を示す。
Figure 0004572522

(式中のnは、整数を表す。)
また、芳香環上に−O−X−CNを置換基として有するノボラック樹脂(A)は、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の一部に、アルカリ触媒存在下でニトリル化合物を反応させ、フェノール性水酸基をエーテル化させて得ることができる。ノボラック樹脂は、汎用フェノール類とアルデヒド類との重縮合体からなる汎用のノボラック樹脂を使用してもよいし、前記ノボラック樹脂(A)のフェノール性水酸基の一部にニトリル化合物を反応させてもよい。汎用フェノール類及びアルデヒド類は、前記「汎用フェノール類」及び「アルデヒド類」の欄に挙げた化合物を使用することができる。
以下に、一例として、フェノール樹脂の水酸基の一部にニトリル化合物を反応させた場合の反応式を示す。
Figure 0004572522
(式中のl、m、pは、いずれも整数を表す。)
ニトリル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ブテンニトリル、3−ブテンニトリル、2−ペンテンニトリル、3−ペンテンニトリル、4−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリルなどのシアノ基及び不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
前記ニトリル化合物は、ノボラック樹脂の水酸基1モルに対して1モル以上使用するのが好ましく、1.5モル以上使用するのが好ましい。使用量が1モル未満の場合、反応が上手く進行しないことがある。
また、アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等のアルコラート、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、ナトリウムオキシド、等が挙げられる。
前記反応は、必要に応じて溶剤を使用してもよい。溶剤としては特に制限はなく公知慣用のものを使用できるが、アルカリ触媒存在下でノボラック樹脂を溶解させる溶剤が好ましい。例えば、水、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アニソール、等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、等のアミド類、アセトニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類など、汎用の溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、単独、または、2種類以上混合して用いることができる。
ノボラック樹脂とニトリル化合物との反応は、通常反応温度200℃以下で行い、室温〜100℃で行うのが好ましい。反応圧力は、常圧、加圧、いずれでも良い。反応時間は、変性する割合によって異なるが、通常は1〜24時間である。通常は、前記ニトリル化合物をノボラック樹脂の水酸基1モルに対して1モル以上使用するので、反応終了後、公知の精製方法により未反応のニトリル化合物を取り除くことが好ましい。
ノボラック樹脂(A)の好ましい例としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−α−メチルアセトニトリルとホルムアルデヒドとの重縮合体のような、一般式(1)で表される繰り返し単位を有するノボラック樹脂が挙げられる。
Figure 0004572522
(1)
式中、Aはベンゼン環又はナフタレン環を表し、Bは−O−X−CN、又は−X−CNを表し、Xは炭素原子数2〜4のアルキレン基を表し、Xは炭素原子数1〜4のアルキレン基を表す。
あるいは、フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂のフェノール性水酸基にアクリロニトリルを反応させた樹脂のような、一般式(2)及び一般式(3)で表される繰り返し単位を有するノボラック樹脂が挙げられる。
Figure 0004572522
(2)
Figure 0004572522
(3)
式中、Aはベンゼン環又はナフタレン環を表し、Dは水素原子、−O−X−CN、又は−X−CNを表し、Xは炭素原子数2〜4のアルキレン基を表し、Xは炭素原子数1〜4のアルキレン基を表す。
(エポキシ樹脂組成物)
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、前記ノボラック樹脂(A)、及び硬化促進剤を含有する。また、無機フィラーや、希釈する目的で各種溶剤を含有していてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、UV硬化型樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの樹脂、充填剤、染料、顔料、その他公知の添加剤等を適量配合してもよい。
(エポキシ樹脂)
本発明に使用するエポキシ樹脂は、分子内に少なくとも2つ以上の反応性エポキシ基を有していれば特に限定はない。具体的には、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、ナフトールアラルキル型、グリシジルアミン型、ナフタレン型、ジシクロペンタジエン型、テトラメチルビフェノール型等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種類で使用しても、2種類以上を混合して用いてもよい。また、これらのエポキシ樹脂は、分子量、その他の物性にも特に制限はない。
(硬化促進剤)
本発明に使用する硬化促進剤としては、公知慣用の加熱硬化型触媒を使用できる。例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(以下DBUと略称する)などのアミン化合物、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどの有機ホスフィン化合物、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトなどの有機ホスファイト化合物などが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上の混合物として用いることができる。硬化促進剤は、通常、エポキシ樹脂に対して2質量%未満となるように使用する。中でも、エポキシ樹脂に対して0.1〜1質量%とすることが好ましく、0.2〜0.6質量%とすることがより好ましい。
(無機フィラー)
本発明においては、必要に応じて無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーとしては特に限定はなく、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、ガラスパウダー、ケイ酸カルシウム、タルク、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化ジルコン、硫酸カルシウム、ケイ酸ジルコン、ベンナイト、ゼオライト、カオリン、マイカ、パイロフィライト、セリナイト、ハイドロタルサイト、硫酸バリウム、等を使用することができる。また、特に高誘電率の、チタン酸バリウム、チタン酸亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸鉛、チタン酸マグネシウム、酸化チタン、アンチモン酸バリウム、アンチモン酸ストロンチウム、アンチモン酸カルシウム、アンチモン酸マグネシウム、スズ酸バリウムなどの金属酸化物を使用すると、比誘電率の高いエポキシ樹脂硬化物を得ることができ、好ましい。これらの無機フィラーは、複合化合物、固溶体、単なる混合物であってもよい。無機フィラーの含有量は、本発明のエポキシ樹脂硬化物の機械的特性、耐熱性を著しく損なわない限りは特に限定されないが、通常は、体積分率に換算して40%以下が好ましい。
(溶剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物を希釈する目的で使用する溶剤は、フェノール樹脂(A)、エポキシ樹脂、及び、硬化促進剤を溶解しうるものであればよく、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、アニソール等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム等の塩素系炭化水素系溶媒等を使用することができる。これらは、単独で用いることもできるし、2種類以上混合して用いることもできる。
(量)
本発明において、エポキシ樹脂とノボラック樹脂(A)との混合比は、エポキシ樹脂のエポキシ当量をE、ノボラック樹脂(A)のヒドロキシ基当量をH、エポキシ樹脂の質量をe、ノボラック樹脂(A)の質量をhとすると、(e/E)/(h/H)が10/8〜10/15となるようにすることが好ましく、10/9〜10/12とすることがより好ましい。(e/E)/(h/H)の比、即ちエポキシ基とヒドロキシ基のモル比の該範囲よりエポキシ基が少なくなると高い誘電性が得られにくく、また、ヒドロキシ基が該範囲より多すぎると、架橋密度が低減するため耐熱性が低下する傾向にある。
(エポキシ樹脂硬化物)
(製造方法)
本発明のエポキシ樹脂組成物は、一端予備硬化した後、予備硬化物を加熱成形して本硬化させることで、板状、フィルム等の所望の形状を有する本発明のエポキシ樹脂硬化物が得られる。
予備硬化の際には、フェノール樹脂(A)、エポキシ樹脂、及び硬化促進剤が均一に混合していることが好ましい。このため、該組成物は予備硬化の前に、一端溶剤に溶解させ均一としてから再度乾燥させて溶媒を除去するのが好ましい。乾燥は、エポキシ樹脂組成物の硬化を促進させないため、通常室温〜150℃付近で行う。得られたエポキシ樹脂組成物を加熱して予備硬化させる。予備硬化の条件は特に限定がないが、得られた予備硬化物が、室温付近では固形物であり、且つ加熱した時には粘調性流動体となることが目安である。具体的には、例えば、加熱温度130〜170℃、加熱時間5〜30分で行う。
得られた予備硬化物を必要に応じて粉砕後、圧縮成形法、トランスファー成形法、注型成形法、押出成形法、等の汎用の方法で、加熱成形して本硬化させることで、板状、フィルム等の所望の形状を有する本発明のエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、5以上の比誘電率を有し、且つ110℃以上の耐熱性を有するものが好ましい。これは、使用するエポキシ樹脂とフェノール樹脂(A)との配合比率を変化させることで所望の物性を有する硬化物が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、予め金、銅、アルミなどの金属箔、ガラス、アラミドまたはポリエステルなどのクロス材料、不織布、プリント配線基板などの基材上に、塗布し、乾燥させ、本硬化させて、基材付きの基板としてもよい。また、エポキシ樹脂組成物の予備硬化物を加熱成形して本硬化させる際に、必要に応じて前記基材上に載置し、エポキシ樹脂硬化物と基材を積層一体化させてもよいし、加熱成形後、前記基材と積層させてもよい。中でも、金、銅、アルミなどの金属箔を片面又は両面に有する基板は、はんだ特性に優れ、特にプリント配線基板等の耐熱性を要求させる電子材料として特に有用である。
(金属箔付きエポキシ樹脂)
前記金属箔としては、前記金、銅、アルミ等の金蔵箔があげられる。膜厚は特に限定ないが、1〜100μmの範囲が好ましい。
(製造方法)
前記基板は、必要に応じて溶剤で希釈したエポキシ樹脂組成物を金属箔上に塗布乾燥させる。これを前記記載の方法で硬化させ、片面に金属箔を有する基板を得る。あるいは、両面に金属箔を有する基板を得る場合は、前記硬化条件を、予備硬化条件とし、片面に金属箔を有する予備硬化された基板を得る。該基板の樹脂面に、更に金属箔を積層させ、プレス法、ラミネート法、等一般的な方法で加熱して硬化させて得る。
金属箔上に塗布する方法は、ドクターブレードコート法、スピンコート法、ディップコート法、又はスクリーン印刷コート法等の公知の方法を用いることができる。
また、本発明の金属箔付き基板は、基板同士を複数積層させて積層板として使用してもよい。基板同士を積層させる場合、金属箔側とエポキシ樹脂側を接触させても、エポキシ樹脂側同士を接触させてもよい。また、プリント配線基板等の電子材料を単数または複数積層させてもよい。さらには、本発明の金属箔付き基板と汎用の金属箔付きエポキシ樹脂とを積層させることもできる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、これらによって限定されるものではない。特に断わりのない限り「部」、「%」は質量基準である。
(実施例1)
100mlの三つ口フラスコに21.2g(0.2モル)のフェノールノボラック樹脂TD−2090(大日本インキ化学工業(株)社製)、63.6g(1.2モル)のアクリロニトリル、2gの水酸化ナトリウム、そして、40gの水を入れ、60℃で1.5時間攪拌した。反応後、塩酸を加えてpHを7より若干小さくし、そこに水を加えて100℃で未反応のアクリロニトリルを留去した。その後、塩化ナトリウムが洗い出されるまで熱水で洗いノボラック樹脂(1)を得た。ノボラック樹脂(1)のシアノ基を有する置換基とフェノール性水酸基とのモル比は、5.5/4.5であり、重量平均分子量は、GPCを用いて測定したところ、スチレン換算で6500であった。また、ノボラック樹脂(1)を加熱溶融してペレットを作成した。得られたペレットの両側に電極をつけて、比誘電率を測定したところ、6.7であった。
(実施例2)
100mlの三つ口フラスコに21.2g(0.2モル)のフェノールノボラック樹脂TD−2090(大日本インキ化学工業(株)社製)、74.2g(1.4モル)のアクリロニトリル、2gの水酸化ナトリウム、そして、40gの水を入れ、60℃で2時間攪拌した。反応後、塩酸を加えてpHを7より若干小さくし、そこに水を加えて100℃で未反応のアクリロニトリルを留去した。その後、塩化ナトリウムが洗い出されるまで熱水で洗い、ノボラック樹脂(2)を得た。ノボラック樹脂(2)のシアノ基を有する置換基とフェノール性水酸基とのモル比は8.4/1.6であり、重量平均分子量は7050であった。実施例1と同様にして比誘電率を測定したところ、7.5であった。
(実施例3)
100mlの三つ口フラスコに21.2g(0.2モル)のフェノールノボラック樹脂TD−2090(大日本インキ化学工業(株)社製)、80.4g(1.2モル)のメタクリロニトリル、2gの水酸化ナトリウム、そして、40gの水を入れ、60℃で2時間攪拌した。反応後、塩酸を加えてpHを7より若干小さくし、そこに水を加えて100℃で未反応のアクリロニトリルを留去した。その後、塩化ナトリウムが洗い出されるまで熱水で洗い、ノボラック樹脂(3)を得た。ノボラック樹脂(3)のシアノ基を有する置換基とフェノール性水酸基とのモル比は6.1/3.9であり、重量平均分子量は6800であった。実施例1と同様にして比誘電率を測定したところ、7.0であった。
(実施例4)
100mlの三つ口フラスコに24.0g(0.2モル)のビスフェノールAノボラック樹脂KH−6021(大日本インキ化学工業(株)社製)、63.6g(1.2モル)のアクリロニトリル、2gの水酸化ナトリウム、そして、40gの水を入れ、60℃で1.5時間攪拌した。反応後、塩酸を加えてpHを7より若干小さくし、そこに水を加えて100℃で未反応のアクリロニトリルを留去した。その後、塩化ナトリウムが洗い出されるまで熱水で洗い、ノボラック樹脂(4)を得た。ノボラック樹脂(4)のシアノ基を有する置換基とフェノール性水酸基とのモル比は6.0/4.0であり、重量平均分子量はスチレン換算で3800であった。実施例1と同様にして比誘電率を測定したところ、6.9であった。
(実施例5)
100mlの三つ口フラスコに13.3g(0.1モル)の4−ヒドロキシフェニルアセトニトリル、3.0g(0.1モル)のパラホルムアルデヒド、0.4gの塩化亜鉛(ZnCl)を入れ、硫酸でpHを約1に調製した。75〜80℃で5時間攪拌加熱した後、50mlの蒸留水を加え、80〜100℃で30分間加熱した。その後、樹脂をろ過、4−ヒドロキシフェニルアセトニトリルがなくなり、Clイオンが検出されなくなるまで湯洗を繰り返し、ノボラック樹脂(5)を得た。ノボラック樹脂(5)のシアノ基を有する置換基とフェノール性水酸基とのモル比は5.0/5.0であり、重量平均分子量はスチレン換算で1800であった。実施例1と同様にして比誘電率を測定したところ、9.0であった。
(実施例6)
100mlの三つ口フラスコに11.9g(0.1モル)の4−ヒドロキシベンゾニトリル、3.0g(0.1モル)のパラホルムアルデヒド、0.4gの塩化亜鉛(ZnCl)を入れ、硫酸でpHを約1に調製した。95℃で6時間攪拌加熱した後、50mlのアセトニトリルを入れ、樹脂を沈殿させた。これをろ過してアセトニトリルで洗い、100℃で乾燥させてノボラック樹脂(6)を得た。ノボラック樹脂(6)のシアノ基を有する置換基とフェノール性水酸基とのモル比は5.0/5.0であり、重量平均分子量はスチレン換算で1600であった。実施例1と同様にして比誘電率を測定したところ、8.0であった。
(実施例7)
100mlの三つ口フラスコに21.2g(0.2モル)の実施例5で得られたノボラック樹脂(5)、63.6g(1.2モル)のアクリロニトリル、2gの水酸化ナトリウム、そして、40gの水を入れ、60℃で1.5時間攪拌した。反応後、塩酸を加えてpHを7より若干小さくし、そこに水を加えて100℃で未反応のアクリロニトリルを留去した。その後、塩化ナトリウムが洗い出されるまで熱水で洗いノボラック樹脂(7)を得た。ノボラック樹脂(7)のシアノ基を有する置換基とフェノール性水酸基とのモル比は7.5/2.5であり、重量平均分子量はスチレン換算で4500であった。実施例1と同様にして比誘電率を測定したところ、11.2であった。
(実施例8)
テトラヒドロフラン100gに2−メチル−4−エチル−2−イミダゾール0.056g、エポキシ樹脂としてエピクロンHP−7200H(大日本インキ化学工業(株)社製)11.3g、実施例1のノボラック樹脂(1)8.7gを加え、攪拌しながら溶解させた。溶解したテトラヒドロフラン溶液50gをアルミカップに入れ、50℃に設定したホットプレートで、1時間かけて溶剤を除去した。さらに150℃に設定したホットプレート上で、エポキシ樹脂組成物をテフロン(テフロンは登録商標である)棒でかき混ぜながら、ゲル化させた。得られたゲル物をハンマーで粉砕し、粉砕物を型枠に詰め、真空下、2MPaの圧力をかけながら、室温から3℃/分で170℃まで昇温し、その後1時間プレスすることで、厚みが0.5mmのエポキシ樹脂硬化物を得た。
(実施例9〜17)
実施例8と同様の方法で、実施例9〜17のエポキシ樹脂硬化物を得た。表1〜2に詳しい組成を示す。
(比較例1)
シアノエチル化プルランを特許文献1の実施例1に従って合成した。得られたシアノエチル化プルランを型枠に入れ、160℃、3MPaで5分間プレスすることにより、厚みが0.5mmのシアノエチル化プルラン板を得た。
(比較例2)
シアノエチル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを特許文献2の製造例1に従って合成した。次にシアノエチルポリマーを特許文献2の実施例1に従って合成し、これを50%DMF溶液に調製した後、これを離型剤が塗布されたPETフィルムに塗布、160℃で4時間乾燥し、0.1mmのフィルムを得た。さらに得られたフィルムを7枚積層し、厚みが0.5mmになるように型枠に入れ、170℃、3MPaで10分間プレスすることにより、シアノエチル基を含有するアクリル酸エステルポリマー板を得た。
(比較例3)
シアノエチル化エポキシ樹脂を特許文献3の実施例1に従って合成した。得られたシアノエチル化エポキシ樹脂10gと硬化剤としてエピクロンB−053(大日本インキ化学工業(株)社製)4.3gを混合、脱泡した後、片面に離型剤を塗布したガラス板2枚をすき間が0.5mmになるように調製したものに流し込み、150℃で2時間加熱することによりシアノエチル化されたエポキシ樹脂硬化物を得た。
(比較例4)
100mlの三つ口フラスコに21.2g(0.2モル)のフェノールノボラック樹脂TD−2090(大日本インキ化学工業(株)社製)、74.2g(1.4モル)のアクリロニトリル、2gの水酸化ナトリウム、そして、40gの水を入れ、60℃で4時間攪拌した。反応後、塩酸を加えてpHを7より若干小さくし、そこに水を加えて100℃で未反応のアクリロニトリルを留去した。その後、塩化ナトリウムが洗い出されるまで熱水で洗い、98.3%シアノエチル変性されたノボラック樹脂(比4)を得た。ノボラック樹脂(比4)のシアノ基を有する置換基とフェノール性水酸基とのモル比は、9.8/0.2であり、重量平均分子量は7500であった。実施例1と同様にして比誘電率を測定したところ、6.9であった。
実施例1のノボラック樹脂(1)の代わりに、ノボラック樹脂(比4)を使用した以外は実施例8と同様にして、エポキシ樹脂硬化物を得た。その詳しい組成を表2に示す。
(比較例5)
100mlの三つ口フラスコに21.2g(0.2モル)のフェノールノボラック樹脂TD−2090(大日本インキ化学工業(株)社製)、26.5g(0.5モル)のアクリロニトリル、2gの水酸化ナトリウム、そして、40gの水を入れ、60℃で4時間攪拌した。反応後、塩酸を加えてpHを7より若干小さくし、そこに水を加えて100℃で未反応のアクリロニトリルを留去した。その後、塩化ナトリウムが洗い出されるまで熱水で洗い、30.3%シアノエチル変性されたノボラック樹脂(比5)を得た。ノボラック樹脂(比5)のシアノ基を有する置換基とフェノール性水酸基とのモル比は、3.0/7.0であり、重量平均分子量は5500であった。実施例1と同様にして比誘電率を測定したところ、5.4であった。
実施例1のノボラック樹脂(1)の代わりに、得られたノボラック樹脂(比5)を使用した以外は実施例8と同様にして、エポキシ樹脂硬化物を得た。その詳しい組成を表2に示す。
(比較例6)
実施例1のフェノールノボラック樹脂の代わりに、シアノアルキル変性していないフェノールノボラック樹脂「TD−2090」(大日本インキ化学工業(株)社製)を使用した以外は実施例8と同様にして、エポキシ樹脂硬化物を得た。その詳しい組成を表2に示す。
Figure 0004572522
Figure 0004572522

(表中、単位は質量部である。TD−2090は、シアノアルキル変性していないフェノールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業(株)社製)を示し、THFはテトラヒドロフランを示す。)
(評価結果)
実施例、比較例で得られたエポキシ樹脂硬化物は、比誘電率及び耐熱性により評価した。その結果を表3に示す。評価方法は、次の方法で行った。
(比誘電率)
得られたエポキシ樹脂硬化物を3cm×3cmにカットし、両面に金をスパッタすることで比誘電率測定用の試料を作製した。得られた試料はLFインピーダンスアナライザ4192A(横河ヒューレット・パッカード(株)社製)を用い、100kHzの比誘電率を測定した。
(tanδ)
誘電率の指標としてtanδを測定した。測定は、比誘電率と同様の方法で行った。交流電流で比誘電率を測定する場合、試料に加わる電界のエネルギー損失分が誘電損失として生じる。このエネルギー損失は、通常、熱として発生するので、誘電損失の小さいものほど、優れた材料であると判断できる。tanδは、誘電損失/比誘電率で定義され、材料の良否を判断する指標とされている。
(耐熱性)
耐熱性の指標としてガラス転移点(Tg)を測定した。測定は、示差走査型熱分析装置DSC210(セイコーインスツルメンツ(株)社製)を用いて行った。得られたエポキシ樹脂硬化物のTgは、30〜230℃の範囲を10℃/分の昇温速度で走査したときの熱流曲線の変曲点から求めた。
Figure 0004572522
この結果、実施例8〜17と比較例1〜4において、比誘電率εにあまり差は無かったが、比較例1〜4は耐熱性に劣っていた。比較例5、6は、耐熱性は良好であったが、比誘電率が低かった。
(実施例18)
テトラヒドロフラン50gに2−メチル−4−エチル−2−イミダゾール0.056g、エポキシ樹脂としてエピクロンHP−7200H(大日本インキ化学工業(株)社製)11.3g、実施例1のフェノールノボラック樹脂(1)8.7gを加え、攪拌しながら溶解させた。得られた溶液を、18μmの銅箔にアプリケーターで塗布し、50℃で10分乾燥後、さらに150℃で10分乾燥して、厚み50μmの樹脂付き銅箔を得た。得られた樹脂付き銅箔の樹脂側を2枚張り合わせ、真空下、2MPaの圧力をかけながら、室温から3℃/分で170℃まで昇温し、その後1時間プレスすることで、両面に銅箔を有する厚み70μmの基板を得た。
(実施例19)
実施例18において、実施例1で得られたノボラック樹脂(1)を実施例2で得られたノボラック樹脂(2)に代えた以外は、実施例18と同様にして両面に銅箔を有する厚み65μmの基板を得た。
(実施例20)
実施例18において、実施例1で得られたノボラック樹脂(1)を実施例6で得られたノボラック樹脂(6)に代えた以外は、実施例18と同様にして両面に銅箔を有する厚み70μmの基板を得た。
(実施例21)
実施例18において、実施例1で得られたノボラック樹脂(1)を実施例7で得られたノボラック樹脂(7)に代えた以外は、実施例18と同様にして両面に銅箔を有する厚み65μmの基板を得た。
(比較例7)
特許文献1に記載の実施例1に従い、12%のシアノエチル化プルラン溶液を作製し、これを18μmの銅箔にアプリケーターで塗布、100℃で5時間乾燥し、厚み45μmの樹脂付き銅箔を得た。得られた樹脂付き銅箔の樹脂側を2枚張り合わせ、真空下、160℃、2MPaで5分プレスすることにより、両面に銅箔を有する厚み50μmの基板を得た。
(比較例8)
特許文献3に記載の実施例1に従い合成したシアノエチル化エポキシ樹脂10部と、硬化剤としてエピクロンB−053(大日本インキ化学工業(株)社製)4.3部を混合、脱泡した後、これを18μmの銅箔にアプリケーターで塗布、100℃で15分加熱し、厚み100μmの樹脂付き銅箔を得た。得られた樹脂付き銅箔の樹脂側を2枚張り合わせ、160℃、2MPaで1時間プレスすることにより両面に銅箔を有する厚み120μmの基板を得た。
(比較例9)
実施例18において、実施例1のノボラック樹脂(1)を、シアノアルキル変性していないフェノールノボラック樹脂「TD−2090」に代えた以外は、実施例9と同様にして両面に銅箔を有する厚み75μmの基板を得た。
実施例18〜21、及び、比較例7〜9の基板の比誘電率を、前記比誘電率の評価方法に従い行った。耐熱性は、260℃のハンダ浴に30秒浸漬することでハンダ耐熱性を観察した。その結果を表4に示す。
Figure 0004572522
表4の結果より、本発明のエポキシ樹脂硬化物を用いて作製した金属箔付きの基板は、高誘電率でかつ耐熱性に優れていることがわかる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、優れた高誘電率及び耐熱性を有することから、基板状やフィルム状の形状にして、コンデンサ、電子写真用材料、圧電材料等の種々の電気分野や電子分野に使用する電子材料として好適に使用することができる。特に、金属箔を片側又は両側に設けた基板は、特に耐熱性を有する電子材料の他、ビルドアップの層間絶縁材用のコート材、樹脂付き銅箔にも好適に用いることができる。また、シリカやマイカなどの充填材を含有した状態で硬化させた硬化物は、リジッドプリント配線基板及びそのプリプレグとして好適に使用できる。


Claims (6)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤、及び硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物において、該硬化剤が、芳香環上に−CN、−O−X−CN(但し、Xは炭素原子数2〜4のアルキレン基を表す)、又は−X−CN(但し、Xは炭素原子数1〜4のアルキレン基を表す)を置換基として有しており、かつ、置換基のフェノール性水酸基に対するモル比(置換基/フェノール性水酸基)が、4/6〜9/1であり、更に重量平均分子量が400〜8000の範囲であるノボラック樹脂であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 請求項1記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られることを特徴とするエポキシ樹脂硬化物。
  3. 請求項に記載のエポキシ樹脂硬化物の片面又は両面に金属箔を有することを特徴とする基板。
  4. 芳香環上に−O−X−CN(但し、Xは炭素原子数2〜4のアルキレン基を表す)、又は−X−CN(但し、Xは炭素原子数1〜4のアルキレン基を表す)を置換基として有しており、かつ、置換基のフェノール性水酸基に対するモル比(置換基/フェノール性水酸基)が、4/6〜9/1であり、更に重量平均分子量が400〜8000の範囲であることを特徴とするノボラック樹脂。
  5. 前記ノボラック樹脂が、一般式(1)で表される繰り返し単位を有する請求項に記載のノボラック樹脂。
    Figure 0004572522
    (1)
    (式中、Aはベンゼン環又はナフタレン環を表し、Bは−O−X−CN、又は−X−CNを表し、Xは炭素原子数2〜4のアルキレン基を表し、Xは炭素原子数1〜4のアルキレン基を表す。)
  6. 前記ノボラック樹脂が、一般式(2)及び一般式(3)で表される繰り返し単位を有する請求項に記載のノボラック樹脂。
    Figure 0004572522
    (2)
    Figure 0004572522
    (3)
    (式中、Aはベンゼン環又はナフタレン環を表し、Dは水素原子、−O−X−CN、又は−X−CNを表し、Xは炭素原子数2〜4のアルキレン基を表し、Xは炭素原子数1〜4のアルキレン基を表す)
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