JP5170724B2 - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高信頼性半導体封止用を始めとする電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を始めとする各種複合材料用、接着剤、塗料等に有用なエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
【0003】
しかし、近年特に電気・電子分野においてはその発展に伴い、使用される樹脂、あるいは樹脂組成物の高純度化をはじめ耐湿性、密着性、誘電特性、フィラーを高充填させるための低粘度化、成型サイクルを短くするための反応性のアップ等の諸特性の一層の向上が求められている。又、構造材としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途などにおいて軽量で機械物性の優れた材料が求められている。これらの要求に対し、エポキシ樹脂及びこれを含有するエポキシ樹脂組成物について多くの提案がなされてはいるが、未だ充分とはいえない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、その硬化物において優れた、耐湿性(耐水性)、低誘電率性、低誘電正接性を示す電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料用、接着剤、塗料等に有用なエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記のような特性をエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に付与する方法について鋭意研究の結果、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(1)少なくとも式(1)
【化2】
(式中Rは独立して炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはフェニル基のいずれか1種を示し、且つ全R中の炭素数の合計がn+3より大きい。
nは平均値であり、1〜10の実数を示す。)
で表される化合物を含有するフェノール類化合物をグリシジル化して得られるエポキシ樹脂、
(2)前記(1)の式(1)の化合物をグリシジル化して得られるエポキシ樹脂、
(3)前記(1)の式(1)において、全R中の少なくとも1個以上が炭素数4以上のアルキル基またはシクロアルキル基である前記(1)、(2)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂、
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物、
(5)前記(4)のエポキシ樹脂組成物の硬化物
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ樹脂は前記式(1)の化合物単独またはそれと他のフェノール類化合物との混合物(以下、これらをあわせて原料フェノール化合物という)の水酸基をグリシジル化することにより得られる。式(1)の化合物は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基のようなアルキル基、シクロアルキル基またはフェニル基を2個有するフェノール類とジシクロペンタジエンを酸触媒の存在下、重合して得ることができるが、市販品としてグットイヤーケミカル社製のものが用意に入手可能である。
式(1)の化合物と必要により併用する他のフェノール類化合物の具体例としてはビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物等が挙げられるがこれらに限定されることはない。またこれらは単独で用いても2種以上併用しても良い。
尚、原料フェノール化合物中において、式(1)の化合物の占める割合は50重量%以上とするのが好ましい。
【0007】
本発明のエポキシ樹脂は、原料フェノール化合物の水酸基を従来公知の方法に準拠してグリシジルエーテル化することにより得ることができる。グリシジルエーテル化反応に使用されるエピハロヒドリン類としては、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、エピヨードヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、β−メチルエピブロムヒドリン、β−エチルエピクロルヒドリン等があるが、工業的に入手し易く安価なエピクロルヒドリンが好ましい。
【0008】
グリシジルエーテル化反応は例えば原料フェノール化合物の混合物とエピハロヒドリン類の混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体を一括又は徐々に添加しながら20〜120℃で1〜20時間反応させて行う。この際アルカリ金属水酸化物は水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物を連続的に添加すると共に反応系内から減圧下、又は常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出せしめ更に分液し水は除去しエピハロヒドリン類は反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
上記の方法においてエピハロヒドリン類の使用量は水酸基1当量に対して通常0.5〜20モル、好ましくは0.7〜10モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量は水酸基1当量に対し通常0.5〜3.0モル、好ましくは0.7〜2.5モルである。また、上記反応においてジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を添加することにより加水分解性ハロゲン濃度の低いエポキシ樹脂が得られ、電子材料封止材としての用途に適する。非プロトン性極性溶媒の使用量はエピハロヒドリン類の重量に対し通常5〜200重量%、好ましくは10〜100重量%である。また前記の溶媒以外にもメタノール、エタノール等のアルコール類を添加することによっても反応が進み易くなる。またトルエン、キシレン、ジオキサン等も使用することができる。
【0009】
また、原料フェノール化合物と過剰のエピハロヒドリン類の混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩を触媒として使用し、30℃〜150℃で1〜20時間反応させて得られたフェノール化合物のハロヒドリンエーテルに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体又は水溶液を加え、20〜120℃で1〜20時間反応させてハロヒドリンエーテルを閉環させて本発明のエポキシ樹脂を得ることもできる。この場合の第四級アンモニウム塩の使用量は水酸基1当量に対して通常0.001〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.1モルである。
【0010】
通常、これらの反応物は水洗後、又は水洗無しに加熱減圧下過剰のエピハロヒドリン類を除去した後、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等の溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて再び反応を行う。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量は原料フェノール化合物の水酸基1当量に対して通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.1モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後副生した塩をろ過、水洗などにより除去し、さらに加熱減圧下トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等の溶媒を留去することにより加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂を得ることができる。
【0011】
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物において本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することができる。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
【0012】
本発明のエポキシ樹脂組成物は通常硬化剤を含んでなる。硬化剤の具体例としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体、ジシアンジアミドなどが挙げられるがこれらに限定されることはない。
硬化剤の使用量は、硬化剤1当量に対しエポキシ樹脂が通常0.5〜1.5当量となる割合で、またシアネートエステル樹脂を含有する場合、通常、硬化剤:シアネートエステル樹脂(重量比)=20:80〜80:20となる割合で、またマレイミド化合物を含有する場合、通常、硬化剤:マレイミド化合物(重量比)=20:80〜80:20となる割合で使用する。
【0013】
本発明のエポキシ樹脂組成物において併用しうるエポキシ樹脂の具体例としてはビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジルエーテル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0014】
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要に応じて、エポキシ樹脂の硬化促進剤として一般的に用いられるものを含有させても良い。硬化促進剤としては例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、三フッ化ホウ素錯体、トリフェニルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のリン系化合物、三級アミン化合物などが挙げられ、その使用量はエポキシ樹脂100重量部に対して通常0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0015】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要によりシアネートエステル樹脂を含有することができる。使用しうるシアネートエステル樹脂の具体例としては、ジシアナートベンゼン、トリシアナートベンゼン、ジシアナートナフタレン、ジシアンートビフェニル、2、2’ービス(4ーシアナートフェニル)プロパン、ビス(4ーシアナートフェニル)メタン、ビス(3,5ージメチルー4ーシアナートフェニル)メタン、2,2’ービス(3,5−ジメチルー4ーシアナートフェニル)プロパン、2,2’ービス(4ーシアナートフェニル)エタン、2,2’ービス(4ーシアナートフェニル)ヘキサフロロプロパン、ビス(4ーシアナートフェニル)スルホン、ビス(4ーシアナートフェニル)チオエーテル、フェノールノボラックシアナート、フェノール・ジシクロペンタジエン共縮合物の水酸基をシアネート基に変換したもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0016】
本発明のエポキシ樹脂組成物に、シアネートエステル樹脂を含む場合、必要に応じてシアネート基を三量化させてsym−トリアジン環を形成するために、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸鉛、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、鉛アセチルアセトナート、ジブチル錫マレエート等の触媒を含有させることもできる。触媒は、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂分100重量部に対して通常0.0001〜0.10重量部、好ましくは0.00015〜0.0015重量部となる割合で使用する。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0017】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要によりマレイミド化合物を含有することができる。使用されうるマレイミド化合物としては、マレイミド基を有するものであれば良く、2級アミンを有する化合物と無水マレイン酸を縮合・脱水反応させることにより得られる化合物であり、その具体例としてはフェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−フェニレンビスマレイミド、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルプロパン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、アニリン類・アルデヒド類重縮合物のアミノ基と無水マレイン酸を縮合脱水したマレイミド樹脂、アニリン類・芳香族ジメタノール類重縮合物のアミノ基と無水マレイン酸を縮合脱水したマレイミド樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0018】
本発明のエポキシ樹脂組成物にマレイミド化合物を含有させる場合、硬化促進剤としてはエポキシ樹脂やシアネートエステル樹脂の硬化促進剤や、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用しても良い。硬化促進剤または重合開始剤は硬化性樹脂組成物において樹脂分100重量部に対して通常0.01〜10重量部となる割合で使用する。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0019】
また、本発明のエポキシ樹組成物にマレイミド化合物を含有させる場合、光ラジカル開始剤を用いることにより、光によって硬化することもできる。また、光カチオン開始剤を用いた場合は、エポキシ樹脂のみでも光により硬化させることもできる。
【0020】
更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することが出来る。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、インデン樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、石英粉、アルミニウム粉末、グラファイト、タルク、クレー、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、アスベスト、マイカ、ガラス粉末、ガラス繊維、ガラス不織布又は、カーボン繊維等の無機充填材、シランカップリング剤のような充填材の表面処理剤、離型剤、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤が挙げられる。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を所定の割合で均一に混合することにより得られる。混合は必要により上記各成分の軟化点より20〜100℃程度高い温度で加熱溶融することに依って行うことが出来る。
また、エポキシ樹脂組成物の各成分を溶剤等に均一に分散又は溶解させることにより、混合することもできる。溶媒は特に限定されないが、その用いうる具体例としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これら溶媒は樹脂分100重量部に対して通常5〜300重量部、好ましくは10〜150重量部が用いられる。
【0022】
本発明の硬化物は、上記の硬化性樹脂組成物を、通常室温〜250℃で30秒〜50時間で処理することにより得られる。
また、エポキシ樹脂組成物の成分を溶剤等に均一に分散又は溶解させ、溶媒を除去した後に前記のような条件で硬化させることもできる。
また、エポキシ樹脂組成物に光ラジカル開始剤や光カチオン開始剤等を含有する場合は主に紫外線を照射することによって硬化することもできる。
【0023】
こうして得られる本発明の硬化物は、高耐湿性、低誘電率性、低誘電正接性を有する。従って、本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐湿性、低誘電率性、低誘電正接性の要求される広範な分野で用いることが出来る。具体的には、絶縁材料、積層板、封止材料等あらゆる電気・電子材料の配合成分として有用である。
【0024】
【実施例】
以下本発明を、実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また参考例、実施例において、エポキシ当量、溶融粘度、軟化点は以下の条件で測定した。
1)エポキシ当量
JIS K−7236に準じた方法で測定した。
2)溶融粘度
150℃におけるコーンプレート法における溶融粘度
測定機械:コーンプレート(ICI)高温粘度計(RESEARCH EQUIPMENT (LONDON)LTD.製)
コーンNo.:4(測定範囲0〜40ポイズ)
試料量:0.100±0.005(g)
3)軟化点
JIS K−7234に準じた方法で測定
【0025】
実施例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、下記式(2)
【化3】
(グットイヤーケミカル製 WINGSTAY L−HLS n=1.2・・・全R中の炭素数の合計=10.2>n+3=4.2)119重量部、エピクロルヒドリン350重量部、ジメチルスルホキシド90重量部を仕込、加熱、撹拌、溶解後、温度を50℃に保持しながら、フレーク状の水酸化ナトリウム22重量部を1.5時間かけて連続的に添した。水酸化ナトリウム添加完了後、50℃で2時間、70℃で1時間更に反応を行った。ついで水洗を繰り返し、副成塩とジメチルスルホキシドを除去した後、油層から加熱減圧下において過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物に350重量部のメチルイソブチルケトンを添加し溶解した。
このメチルイソブチルケトン溶液を70℃に加熱し30%水酸化ナトリウム水溶液5重量部を添加し、1時間反応させた後、反応液の水洗を洗浄液が中性となるまで繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することにより本発明のエポキシ樹脂(E1)129重量部を得た。エポキシ樹脂(E1)のエポキシ当量は310g/eq、軟化点は116℃であった。
【0026】
実施例2
実施例1において式(2)の化合物119重量部を89重量部に変え、更にフェノール・ジシクロペンタジエン重合物(日石化学製 DPPシリーズ 軟化点89℃)22重量部を加えた以外は同様の操作を行い、本発明のエポキシ樹脂(E2)125重量部を得た。得られたエポキシ樹脂(E2)のエポキシ当量は293g/eq、軟化点は103℃、溶融粘度は2.5Pa・sであった。
【0027】
実施例3
実施例1において式(2)の化合物119重量部を62重量部に変え、更にフェノール・ジシクロペンタジエン重合物(日石化学製 DPPシリーズ 軟化点89℃)41重量部を加えた以外は同様の操作を行い、本発明のエポキシ樹脂(E3)121重量部を得た。得られたエポキシ樹脂(E3)のエポキシ当量は261g/eq、軟化点は88℃、溶融粘度は0.7Pa・sであった。
【0028】
実施例4
実施例1において式(2)の化合物119重量部を117重量部に変え、更にビスフェノールA16重量部を加えた以外は同様の操作を行い、本発明のエポキシ樹脂(E4)123重量部を得た。得られたエポキシ樹脂(E4)のエポキシ当量は286g/eq、軟化点は97℃、溶融粘度は1.7Pa・sであった。
【0029】
実施例5〜8
表1に示す重量割合で配合した混合物を、2軸ロールで混練後、粉砕、タブレット化して、トランスファー成型により樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間硬化させた。
【0030】
このようにして得られた硬化物の物性を測定した結果を表1に示す。
尚、物性値の測定は以下の方法で行った。
・吸湿率:直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片を121℃/100%RHの条件下で24時間放置した後の重量増加率(%)
・誘電率:JIS−6911に準拠して測定した。
【0031】
【表1】
【0032】
尚、表1における略号は下記のものを示す。
PN:フェノールノボラック(明和化成(株)製 H−1 軟化点84℃、水酸基当量105g/eq)
TPP:トリフェニルフォスフィン(純正化学(株))
【0033】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物はその硬化物において優れた耐湿性(耐水性)、を有するため、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に使用する場合に極めて有用である。 また、低誘電率性、低誘電正接性をも有するので、電気電子部品用途においては特に有用である。
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