JP4570427B2 - 薬剤揮散装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転可能な薬剤保持体の上側表面において、気流の方向を変化させることを可能とする薬剤揮散装置に関するものである。
本出願人による特開2001−247406号公報においては、粒状の薬剤含浸体を収納するカートリッジをモーターで回転させ、その遠心力とファンによる風力によって薬剤を効率的に揮散、放出させる薬剤揮散方法が提唱されている。当該方法による構成は、揮散性能や害虫防除効果に優れ極めて有用性の高いものであるが、薬剤含浸体を収納するカートリッジを必要とし、特に洋服タンスやクローゼットなどの衣料防虫用途として構造がシンプルとは言えないという難点があった。
このような状態を考慮し、出願人は、回転に際し、通気が可能である空隙を有している板状体に薬剤を含浸させ、単数又は複数の当該板状体によって形成された回転体に対する回転駆動装置を設けたことによる薬剤揮散装置による構成を先願発明として既に御庁に出願している(特願2003−102369号出願、及び当該出願を基礎とする特許法第41条第1項の優先主張に基づく特願2004−095479号出願)。
上記先願発明は、特開2001−247406号発明に比し簡単な構成であり、かつ簡便な使用ができるという点において優れている。
上記先願発明における回転の対象物である板状体においては、天然繊維及び/又は合成繊維によるシート、布等をも包摂しており、このような構成の板状体は、薬剤保持性に優れているが、薬剤を更に効率的に揮散させることが要請されている。
しかるに、上記先願発明においては、遠心力に基づく揮散性能に付加して、更に揮散性能を向上させるような基本的技術思想まで考慮されている訳ではない。
特開2001−247406号公報 特願2003−102369号出願 特願2004−095479号出願
本発明は、常温揮散性薬剤を保持させた回転体の回転により薬剤を気中に拡散させることによる薬剤揮散装置において、シンプルな構造であって、特に洋服タンスやクローゼットなどの衣料防虫用途において遠心力に基づく揮散性能だけでなく、薬剤保持体の上側表面において乱気流を発生させることによる揮散性能を付加することに基づき、長期間にわたり優れた揮散効果を更に一層発揮し得る薬剤揮散装置の構成を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明においては、以下のような構成を採用している。
(1)回転に際し、通気が可能である空隙を介して薬剤を保持し得る1個の平板状の薬剤保持体と、当該薬剤保持体の上側において、当該薬剤保持体の上側表面に対し上側から近接又は当接し、かつ所定の上下幅を有することによって、当該上側表面における気流の方向を変化させることができる部材(以下「気流方向変化部材」と略称する。)を回転中心を基準とする内側から、周囲の外側にかけての全ての領域又は一部の領域に配置している回転体と、当該回転体に対する回転駆動装置を設けたことを特徴とする薬剤揮散装置。
(2)気流方向変化部材として回転方向を基準として、平板状の上側表面に対し30°〜150°の範囲の角度を形成した状態にて長手方向を有している板状体を採用したことを特徴とする前記(1)記載の薬剤揮散装置。
(3)板状体が薬剤保持体の上側表面側に底部を有しており、回転方向に対し直角を形成することによって断面L字型であるか、又は回転方向に対し鋭角を形成することによって、断面V字型であることを特徴とする前記(2)記載の薬剤揮散装置。
(4)気流方向変化部材として、長手方向を有している柱構造を採用したことを特徴とする前記(1)記載の薬剤揮散装置。
(5)柱構造が、矩形断面、円形断面、半円形断面、三角形断面、又は回転方向側に急激に隆起し、回転方向反対側に順次婉曲に下降したことによって、流線形の外周を有した形状であることを特徴とする前記(4)記載の薬剤揮散装置。
(6)複数本の気流方向変化部材を、回転軸に嵌合した状態にて、直線状又は曲線状の放射形状に延設されていることを特徴とする前記(2)、(4)記載の薬剤揮散装置。
(7)複数本の気流方向変化部材を薬剤保持体の上側表面に固着された状態にて、直線状又は曲線状に回転中心を基準として内側から外側に延設されていることを特徴とする前記(2)、(4)記載の薬剤揮散装置。
(8)回転体を薬剤保持体の下側から支持することができる保護ケースを介して回転させることを特徴とする前記(1)記載の薬剤揮散装置。
(9)薬剤保持体が、紙、不織布、編み物、織物及びフェルトの何れかによる繊維構造物からなることを特徴とする前記(1)記載の薬剤揮散装置。
(10)回転駆動装置において、電源からの入力を所定時間毎に開閉状態とする間欠制御装置を設けたことを特徴とする前記(1)記載の薬剤揮散装置。
(11)薬剤として、殺虫剤、防虫剤及び芳香剤の何れか、又はこれらの組み合わせを採用していることを特徴とする前記(1)記載の薬剤揮散装置。
(12)殺虫剤が、一般式
Figure 0004570427


(式中、Xは水素原子又はメチル基を表す。Xが水素原子の時、Yはビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロビニル基、2,2−ジフルオロビニル基又は2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル基を表し、Xがメチル基の時、Yはメチル基を表す。また、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする前記(11)記載の薬剤揮散装置。
本発明の薬剤揮散装置は、1個の平板状の薬剤保持体の上側表面に対し上側から当接又は近接する気流方向変化部材によって発生する乱気流によって、薬剤保持体における揮散性能を更に一層助長することに基づいて、優れた殺虫、防虫効果及び/又は芳香効果を得ることができる。
前記(1)の構成からも明らかなように、本発明は、1個の平板状の薬剤保持体の上側表面に対し上側から当接又は近接した状態にて気流方向を変化させるような上下幅を有している気流方向変化部材3を、回転中心を基準とする内側から周囲の外側までの全領域又は一部領域に配置したことを基本構成としている。
前記気流方向変化部材3が薬剤保持体2と共に回転することによって、回転後方に乱流、遷移流、層流の何れかが発生するが、何れの場合においても、気流方向変化部材3の前記後方側においては、通常の薬剤保持体2の表面における気圧よりも小さな気圧を有する負圧領域を形成しており、圧力の平衡状態を維持するために、気流方向変化部材3の下側に位置している薬剤保持体2内部における空隙を空気が通過し、かつ薬剤を表面側にスムーズに移行させることによって、前記のような効率的な揮散効果を実現するものと解される。
前記のような負圧領域が形成される根拠としては、
P+ρv/2=constant
(但し、P:圧力、ρ:気流の密度、v:気流速度)
というベルヌイの定理に立脚した場合、気流方向変化部材3の上側頂点は、明らかに気流速度vが大きく、かつ圧力Pは小さな状態となっているが、このような上側頂部に準じた状態が、気流方向変化部材3の後方においても生じており、通常の上側表面よりも圧力Pが小さな状態となっていることに由来するものと考えられるが、この点に関する具体的な因果関係は、必ずしも全面的に解明されている訳ではない。
気流方向変化部材3の形状として、前記(2)に記載し、かつ図1(a)、(b)に示すように、回転方向に対し30°〜150°の範囲の角度を形成した状態にて長手方向を有している板状体を採用したことを特徴とする実施形態、
更には、前記(4)に記載し、かつ図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、長手方向を有している柱構造を採用したことを特徴とする実施形態、
を典型例として揚げることができる。
尚、図1(a)、(b)は、気流方向変化部材3が薬剤保持体2の表面と当接した状態にて設けられている場合を示しており、図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、気流方向変化部材3が薬剤保持体2の表面から一定の距離をおいて設けられている場合を示しているが、何れの場合においても、気流方向変化部材3の回転方向後方であって、薬剤保持体2の上側表面においては、負圧領域の形成、更には薬剤保持体2からの空気の上昇を形成することが可能であるものと考えられる。
前記板状体による実施形態の場合には、前記(3)に記載し、かつ図1(a)、(b)に示すように、板状体が薬剤保持体の上側表面側に底部を有しており、回転方向に対し鋭角を形成することによって断面V字型であるか、又は回転方向に対し直角を形成することによって、断面L字型であることによる設計を採用することが可能であるが、当該底部を設けることは決して必須の設計事項ではない。
他方、前記柱状の実施形態の場合には、前記(5)に記載し、かつ図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、柱構造が、矩形断面、円形断面、半円形断面、三角形断面、又は回転方向側に急激に隆起し、回転方向反対側に順次婉曲に下降したことによって、流線形の外周を有した形状であることによる設計を採用することが可能であるが、柱状の形態は特に限定される訳ではない。
前記各実施形態は、何れも図3(a)、(b)に示すように、複数本の気流方向変化部材3を、回転軸51に嵌合した状態にて、直線状又は曲線状の放射形状に延設するか、
又は、図4(a)、(b)に示すように、複数本の気流方向変化部材3を薬剤保持体2の上側表面に固着された状態にて、直線状又は曲線状に回転中心を基準として内側から外側に延設することによって薬剤保持体2の上側の広い領域幅において乱気流を発生させ、ひいては前記効果を有効に実現することができる。
図1(a)に示す断面形状と、図3(a)に示す直線状の放射形状とを結合して採用した場合には、図5(a)の見取図に示すような形状による実施形態を得ることができ、図1(b)の断面形状と、図3(a)の直線状の放射形状を結合した場合には、図5(b)の見取図に示すような形状による実施形態を得ることができる。
前記(3)の実施形態において、回転方向を基準として、平板状の上側表面に対する角度を30°〜150°としたのは、前記角度が前記数値範囲以外の場合、即ち30°未満、又は150°を超える場合には、揮散効率が必ずしも良好ではないこと、即ち、負圧の形成が十分ではないため、薬剤保持体2からの空気の上昇に基づく揮散効率が十分ではないことに由来している。
前記(4)の実施形態においては、図2(a)の断面形状の場合には、図1(b)の断面形状の場合と同様に効率的な乱気流による効果を得ることができ、図2(b)に示す断面形状の場合には、円形断面の上側及び下側によって複雑な気流が発生し、図2(a)の断面形状の場合に準ずるような効果を得ることができる。
前記(4)の実施形態のうち、特に図2(e)に示すような回転方向側に急激に隆起し、回転方向反対側に順次婉曲に下降したことによって、流線形の外周を有した断面による形態の場合には、飛行機の翼と同じように、流線形表面を有しており、かつ薬剤保持体2からの上昇気流を発生し易い点において優れている。
薬剤保持体2には、通気を可能とする空隙が存在しているが、空隙の構造又は形状は、特に限定されている訳ではない。
このような空隙を有している薬剤保持体2として採用する典型的な繊維構造物としては、紙、不織布、編み物、織物、フェルトなどがあげられる。
紙には段ボール紙、コートボール紙、ろ紙など各種のものがあり、不織布は後記する適当な繊維間を物理的あるいは化学的に接着したり又は絡ませたりして、嵩密度が0.1g/m3〜0.3g/m3程度の層状に製したものである。また、編み物は、マルチフィラメント糸(生糸)、仮撚加工糸、タスラン糸等の各種加工糸、紡績糸、スパンライク糸等を製編して得られ、一方織物としては繊維を相互に織合したことによる布が典型例である。
これらの繊維構造物は、毛管現象を介した薬剤液の保持に好適であり、なかでも適度な空隙を有する構造物が得られやすいことなど考慮すると、円板状に形成した不織布又は編み物が使いやすい。
前記繊維構造物の素材としては、薬剤の安定性に影響のないもので、揮散が一定で持続性が良好なものが好ましく、例えば、パルプ、天然繊維の木綿、麻、羊毛、絹等、またレーヨン、ビスコース等の半合成繊維、合成繊維のポリエステル(PET)、ナイロン、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド等、無機繊維のガラス繊維、カーボン繊維、セラミック繊維等が使用可能である。
薬剤保持体2の形状は、平板状であれば特に限定されず、円盤状、ドーナツ状、歯車状など、目的に応じて適宜決定すればよい。本発明は小型の薬剤揮散装置に適用される薬剤保持体2を意図しているため、例えば、円盤状であれば、外径3〜6cm程度による規格が使用上便宜である。
本発明で用いる薬剤としては、揮散性を有する殺虫剤、防虫剤、殺ダニ剤、忌避剤、芳香剤、消臭剤などがあげられる。殺虫剤(防虫剤)のなかでは、常温揮散性ピレスロイド系薬剤が好適で、このような薬剤としては、一般式(I)
Figure 0004570427

(式中、Xは水素原子又はメチル基を表す。Xが水素原子の時、Yはビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロビニル基、2,2−ジフルオロビニル基又は2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル基を表し、Xがメチル基の時、Yはメチル基を表す。また、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物を例示することができる。
一般式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Aと称す)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Bと称す)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Cと称す)、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Dと称す)などがあげられるが、これらに限定されるものではない。一般式(I)で表される化合物は一種類を使用してもよいし、又は二種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
尚、一般式(I)で表される化合物には、その不斉炭素や二重結合に基づく光学異性体や幾何異性体が存在するが、これらの各々やそれらの任意の混合物の使用も本発明に含まれるのは勿論である。
薬剤保持体2において、当初注入する薬剤保持量は、薬剤の種類、有効期間、薬剤保持体2の大きさ等にもよるが、例えば前記常温揮散性ピレスロイド系薬剤の場合には、20〜400mg程度に設定するのが適当である。
薬剤を保持させるに際しては、必要に応じ溶剤、希釈剤、界面活性剤、分散剤、徐放化剤などを用い、また従来から知られている各種手段を採用することができる。更に、薬剤に安定剤、香料、着色剤、帯電防止剤などを適宜配合することもできる。
本発明では、図6に示すように、回転体1を薬剤保持体2の下側にて安定に支持することができる保護ケース4を介して回転させるようにしてもよい。更には、回転体1の気流方向変化部材3側及び薬剤保持体2側をそれぞれ上側部分及び下側部分によって囲み、外側周囲を複数個の保持枠41によって囲み、かつ中心位置において、回転駆動装置10の回転軸51と嵌合し得る保護ケース4によって回転体1を収納する形態を採用することもできる。なお、保護ケース4の上側部分が薬剤保持体2と大幅に離間しない限りにおいて、気流方向変化部材3を薬剤保持体2ではなく、保護ケース4に付設することができる(尚、このような付設の場合には、図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、気流方向変化部材3を薬剤保持体2の上側表面から離れた位置に設けることも可能である。)。
このように、保護ケース4を採用した場合には、当該保護ケース4を回転駆動装置10の回転軸51と嵌合させることが可能となることから、回転体1が変形し易い形状であって、単独では、回転駆動装置10の回転軸51の支持によって、安定した回転が得られない場合に好都合であると共に、薬剤に手指が触れるのを防止するという機能を発揮することができる。
本発明の回転体1は、小型で携帯用の薬剤揮散装置に適しているが、置き型の長時間使用タイプにも適用できる。前者の場合、乾電池6や充電池、あるいは太陽電池の使用が主体であり、一方後者では前記電源に加え、経済性の確保を重視してACアダプターを用い交流電源を優先的に使用する設計を採用してもよい。
薬剤揮散装置の回転駆動部に用いられるモーター5の仕様は、DC1.5V〜6.0V駆動で、500〜2000rpmの回転数を与えるものが適当である。
前記回転数の範囲は、500rpm未満の場合薬剤の揮散性能が劣り、一方2000rpmを超えると回転中に薬剤が保持体から飛散する恐れがあるという傾向に由来している。
図7は、薬剤揮散装置として、回転駆動源であるモーター5と電源である乾電池6(1.5V単4電池2個)を備え、回転体1は支持体を介してモーター5の回転軸51に嵌着され、薬剤揮散装置には、更に、通気口7、電源スイッチ8、パイロットランプ9を備えたことによる実施形態を示している。
薬剤揮散装置には、所望に応じて、揮散状態を制御するために、コンピュータ(CPU)を内包している中央制御装置を備えたうえで、更に液晶による目視可能な(1)薬剤残量表示機能、(2)乾電池6/又は充電池の残量表示機能を付与した場合には、合理的な揮散状態を実現することができる。
前記の各残留保持機能の表示については、表示を記憶するメモリーを特に備え、電源をOFFの状態とした場合においても消失しないように保存すると良い。薬剤残量液晶表示器の形状や表示デザインも任意で、例えば薬剤用途ごとに切り替え可能に棒状の液晶表示器を設けるような設計による実施形態、更には、数個の液晶表示が段階的に消えるような実施形態もまた、当然採用可能である。
一般にモーター5の連続作動が基本であるが、電池の負荷を低減するために、電源からの入力を所定時間毎に開閉状態とする間欠制御装置を備え、モーター5を所定時間回転させた後、該回転を所定時間休止させるサイクル(例えば、1日あたり1時間オン、23時間オフ)を繰り返すように設計しても良い。
こうして得られた本発明の薬剤揮散装置は、シンプルな構造で製造上のメリットが大きく、回転体1の回転に基づく薬剤の高い揮散効率を最後まで安定して持続できるので極めて有用である。そして、薬剤として常温揮散性ピレスロイド系薬剤を用いた場合には、屋内の蚊やハエ、イガ等の衣料害虫、あるいは屋外の蚋、ユスリカなどの各種害虫に対してすぐれた殺虫、防虫効果を奏することができる。
具体的実施例ならびに試験例に即して説明する。
図5(a)に示す断面V字型(V字の角度:60°)で細長状(長さ:2.0cm)のプラスチック製気流方向変化部材3の4個と回転中心部を放射状に一体成形したうえで、外径5.0cm、厚さ3.5mmのポリエステル繊維製薬剤保持体(織物)2の上面を挟持するようにして回転体1を構成し、他方、図7に示すような回転駆動装置10を採用した。
薬剤として、化合物C[4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート]300mgをケロシン300mgに溶解した薬液を採用した。
前記のように、回転体1、回転駆動装置10、及び薬液を採用したうえで、当該薬液を前記薬剤保持体2に保持させ、モーター5の回転数が1200rpmで、間欠制御装置(1日あたり1時間オン、23時間オフ)を備えた薬剤揮散装置に適用した。
薬剤揮散装置を8m3のクローゼットの中に置き、電源スイッチ8をオンにしたところ、モーター5と回転体1は、間欠制御装置に基づき1日あたり1時間作動した。回転に伴い、気流方向変化部材3が乱気流を生じ、薬剤保持体2に保持された薬剤は遠心力と負圧の発生に基づき、効率的に揮散した。使用中、薬剤保持体2から薬剤が飛散することはなく、約6ケ月にわたり衣料害虫の防除に有効であった。
ポリエステル繊維/レーヨン繊維からなり、外径5.5cm、厚さ3.0mmを有している複合不織布を用いて円盤状の薬剤保持体2を作製し、この上面に、断面L字型(L字の角度:90°)で細長状(長さ:2.4cm)のプラスチック製気流方向変化部材3を6個有する回転体1を実施例1に準じて構成した。
実験例1で用いた薬剤の替わりに、化合物A[2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート]60mgを使用し、実施例1の薬剤揮散装置(但し、間欠制御装置を具備しない120時間用)に適用した。
この薬剤揮散装置を犬小屋にて吊り下げ、1日あたり8時間作動させ、当該作動を約15日間継続したところ、薬剤揮散装置は、蚊、ユスリカなどの害虫に対して安定した殺虫効力を発揮し、犬は害虫に悩まされることはなかった。
実施例1に準じ、化合物Cを60mg含有する各種回転体1を作製し、これを備えた薬剤揮散装置を、6畳の部屋で1300rpmの回転速度にて作動させた。アカイエカ♀成虫約100匹を放ち、2時間暴露させて蚊成虫に対するノックダウン効力を調べ、KT50値を求めた。試験は、薬剤揮散装置の使用開始直後、及び使用120時間後に行い、結果は表1に示すとおりである。
尚、対照例としては、薬剤保持体2を回転させるも気流方向変化部材3を有さない薬剤揮散装置を用いた。すなわち、対照例1は、試験例1の回転体1から、また対照例2は、試験例3〜9の回転体1から気流方向変化部材3を除いた状態にある。

Figure 0004570427

* 板状体における数値は、当該板状体が回転方向に対し形成する薬剤保持体表面との角度を示す。
** 対照例1は、試験例1の回転体から気流方向変化部材を除いた形態に該当する。
*** 対照例2は、試験例3〜9の回転体から気流方向変化部材を除いた形態に該当する。
試験の結果、本発明による薬剤揮散装置は、120時間の長期にわたり優れた殺虫効力を安定して保持することが判明した。気流方向変化部材3の回転方向に対し形成する薬剤保持体2表面との角度としては、30°以上であることが好ましいことが認められた。
一方、対照例1、及び対照例2のように、回転体1が気流方向変化部材3を設けていない場合には、各試験例に比し、殺虫効力が明白に劣っていることが判明した。
本発明の薬剤揮散装置は、薬剤を効率的に揮散、放出させるので、有効成分を適宜選択したうえで、防虫又は殺虫などの害虫駆除の分野だけでなく、例えば芳香、消臭、抗菌用途などの分野においても実用化が可能である。
板状体による気流方向変化部材の断面形状を示しており、(a)は回転方向に対し薬剤保持体表面と鋭角を形成する場合を示しており、(b)は当該表面と直角を形成している場合を示す。 肉厚柱状による気流方向変化部材の断面形態を示しており、(a)は矩形断面の場合を示し、(b)は円形断面の場合を示し、(c)は、三角形断面の場合を示し、(d)は半円断面の場合を示し、(e)は、回転方向側に急激に隆起し、回転方向反対側に順次婉曲に下降したことによって、流線形の外周を有した断面の場合を示す。 複数本の気流方向変化部材、回転軸に嵌合したうえで、1個の薬剤保持体の表面上部における配置状態を示す平面図であり、(a)は直線状の放射形状による場合を示しており、(b)は曲線状の放射形状による場合を示している。 複数本の気流方向変化部材1個の薬剤保持体の上側表面に固着た実施形態における配置状態を示す平面図であり、(a)は直線状の場合を示しており、(b)は曲線状の場合を示している。 本発明で用いる回転体の状態を示す斜視図であって、(a)は、図1(a)と図3(a)との結合による実施形態を示しており、(b)は、図1(b)と図3(a)との結合による実施形態を示している。 薬剤保持体、及び気流方向変化部材を収容し得る保護ケースにつき、薬剤保持体に対する上下両側において、蓋部分と保持部分とに分解したことによる斜視図である。 回転体と回転駆動装置とを一体化したことによる薬剤揮散装置の実施形態を示す断面図である。
1 回転体
2 薬剤保持体
3 気流方向変化部材
4 保護ケース
41 保持枠
5 モーター
51 回転軸
6 乾電池
7 通気口
8 電源スイッチ
9 パイロットランプ
10 回転駆動装置

Claims (12)

  1. 回転に際し、通気が可能である空隙を介して薬剤を保持し得る1個の平板状の薬剤保持体と、当該薬剤保持体の上側において、当該薬剤保持体の上側表面に対し上側から近接又は当接し、かつ所定の上下幅を有することによって、当該上側表面における気流の方向を変化させることができる部材(以下「気流方向変化部材」と略称する。)を回転中心を基準とする内側から、周囲の外側にかけての全ての領域又は一部の領域に配置している回転体と、当該回転体に対する回転駆動装置を設けたことを特徴とする薬剤揮散装置。
  2. 気流方向変化部材として回転方向を基準として、平板状の上側表面に対し30°〜150°の範囲の角度を形成した状態にて長手方向を有している板状体を採用したことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散装置。
  3. 板状体が薬剤保持体の上側表面側に底部を有しており、回転方向に対し直角を形成することによって断面L字型であるか、又は回転方向に対し鋭角を形成することによって、断面V字型であることを特徴とする請求項2記載の薬剤揮散装置。
  4. 気流方向変化部材として、長手方向を有している柱構造を採用したことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散装置。
  5. 柱構造が、矩形断面、円形断面、半円形断面、三角形断面、又は回転方向側に急激に隆起し、回転方向反対側に順次婉曲に下降したことによって、流線形の外周を有した形状であることを特徴とする請求項4記載の薬剤揮散装置。
  6. 複数本の気流方向変化部材を、回転軸に嵌合した状態にて、直線状又は曲線状の放射形状に延設されていることを特徴とする請求項2、4の何れか1項に記載の薬剤揮散装置。
  7. 複数本の気流方向変化部材を、薬剤保持体の上側表面に固着された状態にて、直線状又は曲線状に回転中心を基準として内側から外側に延設されていることを特徴とする請求項2、4の何れか1項に記載の薬剤揮散装置。
  8. 回転体を薬剤保持体の下側から支持することができる保護ケースを介して回転させることを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散装置。
  9. 薬剤保持体が、紙、不織布、編み物、織物及びフェルトの何れかによる繊維構造物からなることを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散装置。
  10. 回転駆動装置において、電源からの入力を所定時間毎に開閉状態とする間欠制御装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散装置。
  11. 薬剤として、殺虫剤、防虫剤及び芳香剤の何れか、又はこれらの組み合わせを採用していることを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散装置。
  12. 殺虫剤が、一般式
    Figure 0004570427


    (式中、Xは水素原子又はメチル基を表す。Xが水素原子の時、Yはビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロビニル基、2,2−ジフルオロビニル基又は2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル基を表し、Xがメチル基の時、Yはメチル基を表す。また、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項11記載の薬剤揮散装置。
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