JP2004229658A - 薬剤揮散装置及びこれを用いた害虫防除方法 - Google Patents

薬剤揮散装置及びこれを用いた害虫防除方法 Download PDF

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Abstract

【課題】常温揮散性薬剤を含み構造がシンプルなファンを回転させて長期間にわたり害虫防除効果を奏する実用的な薬剤揮散装置、ならびにこれを用いた害虫防除方法の提供。
【解決手段】エムペントリン、テフラメトリン及びフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種以上の常温揮散性ピレスロイド系薬剤60〜1600mgを、2枚〜8枚羽根を有する有孔ファン2に含浸させ、モーター3を用いて50〜2000rpmの速度で回転させるとともに、前記ファンから薬剤を1時間当たり0.01〜2.0mgの割合で揮散させるようになした薬剤揮散装置1、及びこれを用いた害虫防除方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ファン式の薬剤揮散装置及びこれを用いた害虫防除方法に関するものである。
害虫、例えば蚊や蚋などを駆除するために、薬剤を閉鎖空間(建築物や自動車の室内、アウトドアスポーツにおけるテント内など)全体に揮散、放出させる薬剤揮散方法として、熱エネルギーを利用した蚊取線香や電気蚊取マット、液体式電気蚊取(リキッド)が一般的である。一方、電源として電池を用い、常温で薬剤含浸体にファン等の風をあてて薬剤を揮散、放出させるファン式薬剤揮散装置も携帯用として実用化されている。しかしながら、後者のファン式薬剤揮散装置のうち、薬剤含浸体を装置に固定しファンの風力のみで薬剤を揮散させるタイプのものは揮散が十分効率的とはいえない。
ファン式薬剤揮散装置の薬剤揮散効率を高めるために、薬剤含浸体を回転させようとする提案もある。例えば、特開平5−68459号公報において、揮散性薬剤、好ましくはエムペントリンをファンに保持させ該ファンを回転させることによって揮散性薬剤を気中に拡散させる拡散方法が記載されている。しかしながら、薬剤を含浸させるファンの材質として、ポリ塩化ビニルやエチレン−メチルメタクリレートなどのプラスチック樹脂が好適に使用されているため、薬剤がファン内部に取り込まれ表面への移行がスムーズに起こらない結果、長期間にわたって効率的な揮散性能や防除効果を示しえなかった。
一方、本発明者らは、特開2001−247406号公報において、粒状の薬剤含浸体を収納するカートリッジをモーターで回転させ、その遠心力とファンによる風力によって薬剤を効率的に揮散、放出させる薬剤揮散方法を開示した。この方式は、揮散性能や害虫防除効果に優れ極めて有用性の高いものであるが、薬剤含浸体を収納する回転体としてのカートリッジを必要とし、特に洋服タンスやクローゼットなどの衣料防虫用途として構造がシンプルとは言えない面があった。
特開平5−68459号公報 特開2001−247406号公報
本発明は、常温揮散性薬剤を含浸させたファンの回転により薬剤を気中に拡散させるタイプで、構造がシンプルであり、特に洋服タンスやクローゼットなどの衣料防虫用途において長期間にわたり優れた害虫防除効果を奏する実用的な薬剤揮散装置、ならびにこれを用いた害虫防除方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは、常温揮散性薬剤を、2枚〜8枚羽根を有する有孔ファンに含浸させるとともに、所定のモーター回転速度でファンを回転させ、所定の割合でファンから薬剤を揮散せしめることによって目的の薬剤揮散装置、及びこれを用いた害虫防除方法が得られることを知見し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するために、次のような構成を採用する。
(1)エムペントリン、テフラメトリン及び一般式(I)
Figure 2004229658


(式中、X及びYは同一又は相異なって水素原子、メチル基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基を表し、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種以上の常温揮散性ピレスロイド系薬剤60〜1600mgを、2枚〜8枚羽根を有する有孔ファンに含浸させ、モーターを用いて50〜2000rpmの速度で回転させるとともに、前記ファンから薬剤を1時間当たり0.01〜2.0mgの割合で揮散させるようになした薬剤揮散装置。
(2)有孔ファンが、プラスチック樹脂を0〜20%含んでもよいセルロース基材からなり、かつその目付(g/m2)を厚さ(mm)で除したパラメーターで示した時、100〜500(g/m2・mm)の範囲にある(1)に記載の薬剤揮散装置。
(3)有孔ファンが、連続発泡処理を施したポリオレフィン系プラスチック樹脂からなる(1)に記載の薬剤揮散装置。
(4)常温揮散性ピレスロイド系薬剤を含浸させた有孔ファンを所定時間回転させた後、該回転を所定時間休止させるサイクルを繰り返し、該薬剤を間欠的に揮散せしめるようになした(1)ないし(3)のいずれかに記載の薬剤揮散装置。
(5)10m3以下の空間において、エムペントリン、テフラメトリン及び一般式(I)
Figure 2004229658


(式中、X及びYは同一又は相異なって水素原子、メチル基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基を表し、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種以上の常温揮散性ピレスロイド系薬剤60〜1600mgを、2枚〜8枚羽根を有する有孔ファンに含浸させ、モーターを用いて50〜2000rpmの速度で回転させるとともに、前記ファンから薬剤を1時間当たり0.01〜2.0mgの割合で揮散させて害虫を防除する害虫防除方法。
本発明の薬剤揮散装置は、常温揮散性薬剤を含浸させた有孔ファンの回転により薬剤を気中に拡散させるタイプで、構造がシンプルであり電池の負荷も小さい。そして、これを用いた本発明の害虫防除方法によれば、洋服タンスやクローゼットなどのイガ、カツオブシムシなどの衣料害虫、また屋内の蚊や蚋、ハエ、ユスリカなどの各種害虫に対して長期間にわたり優れた害虫防除効果を示し、特に、適用空間が10m3以下の洋服タンスやクローゼットなどの衣料防虫用途において有用性が高い。
本発明の薬剤揮散装置は、電源として電池(乾電池など)を使用したシンプルな構成とし、かつ効率的な薬剤揮散性能を確保するため薬剤含浸体とファンを兼用するシステムを採用する。そして、電池の負荷を抑え、通常、3ケ月〜12ケ月、好ましくは6ケ月〜12ケ月の長期間にわたりモーターの作動が可能で、しかも優れた害虫防除効果を維持する設計になっている。一般に、モーターの連続作動が基本であるが、電池の負荷を低減するために、例えばモーターを所定時間回転させた後、該回転を所定時間休止させるサイクルを繰り返し、薬剤を間欠的に揮散せしめるようにするのが好ましい。
本発明で用いられる常温揮散性薬剤としては、エムペントリン、テフラメトリン及び一般式(I)
Figure 2004229658


(式中、X及びYは同一又は相異なって水素原子、メチル基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基を表し、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物があげられる。
一般式(I)で表される化合物の具体例としては、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(以後、化合物Aと称す)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Bと称す)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Cと称す)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(以後、化合物Dと称す)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Eと称す)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジフルオロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Fと称す)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(以後、化合物Gと称す)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Hと称す)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Iと称す)、又は4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Jと称す)をあげることができる。これらの化合物は一種類を使用してもよいし、又は二種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。なお、一般式(I)で表される化合物には、その不斉炭素や二重結合に基づく光学異性体や幾何異性体が存在するが、これらの各々やそれらの任意の混合物の使用も本発明に含まれるのは勿論である。
本発明の薬剤揮散装置には、上記常温揮散性薬剤を含浸させた2枚〜8枚羽根を有する有孔ファンが付設される。すなわち、ファンに孔を設けることによって、ファン表面からの薬剤揮散に伴い、ファン内部に保持された薬剤を順次内部から表面へ徐々に移行させ、長期間にわたり効率的な揮散性能を維持する作用が付与される。好ましい有孔程度は、後記するファンの基材の材質にもよるが、例えば、セルロース基材の場合、有孔面積の表面積全体に対する比率が0.2〜10%程度、一方、プラスチック樹脂の場合、連続発泡処理が施されて有孔状を呈しているものが適当である。
また、ファンの形状や大きさは、薬剤の拡散性が確保される限り何ら制限されず、もちろん羽根にひねりの角度をもたせることによって拡散性を向上させうる。なお、本発明では、「ファン」とは「羽根」を含めた「回転体」を意味し、例えば、羽根の切り込みは必ずしも中心部付近まで達していなくてもよく、中心部の羽根装着部と羽根とを含めたものをファンと称する。更に、羽根をプラスチック製枠体で補強するとともに、羽根の間に薬剤含浸スポークを放射状に装てんさせたような形状も本発明のファンに包含される。
有孔ファンを構成する基材としては、(1)プラスチック樹脂を0〜20%含んでもよいセルロース基材、(2)連続発泡処理を施したポリオレフィン系もしくはポリウレタン系(好ましくはポリオレフィン系)有孔状プラスチック樹脂が好ましい。これに対し、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルやエチレン−メチルメタクリレート、高密度ポリプロピレンなどの無孔プラスチック樹脂は、薬剤がファン内部に取り込まれ表面への移行がスムーズに起こり得ない。
セルロース基材は、パルプ、レーヨン、ビスコース等からなる紙又は不織布であって、かつその目付(g/m2)を厚さ(mm)で除したパラメーターで示した時、100〜500(g/m2・mm)の範囲にあるものがよい。
このパラメーターは、セルロース基材にあっては揮散性能と密接に関連し、試験の結果、100〜500(g/m2・mm)の範囲にあるものが好ましかった。すなわち、100g/m2・mmより小さいと薬剤の揮散性が高く、逆に、500g/m2・mmを超えると薬剤の揮散性が抑えられ調整が困難となる。
セルロース基材に混入されるプラスチック樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等、各種のものを使用できるが、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を採用すれば、ファンの強度アップとともに、常温揮散性薬剤のファン内部から表面への移行速度を調節しえるのでより有用である。
本発明では、有孔ファン全体当たりに含浸される常温揮散性薬剤量は、60〜1600mgの範囲に規定される。薬剤の含浸量が60mgより少ないと、害虫防除効力の持続性に不足を生じる場合がある。一方、含浸量の最大量は、セルロース基材の場合、1000mgを超えて吸液可能であるものの薬剤揮散性等を考慮して600mg以下が好ましく、セルロース基材に比べて吸液能が劣るプラスチック樹脂基材についても600mg以下が製造上有利である。
薬剤の含浸に際しては、必要に応じ溶剤、希釈剤、界面活性剤、分散剤、徐放化剤などを用い、また従来から知られている各種含浸手段を採用することができる。更に、前記薬剤含浸ファンに、安定剤、香料、着色剤、帯電防止剤などを適宜配合してもよく、また薬剤組成物に、揮散性能に支障をきたさない程度において、揮散性の高い他の殺虫、忌避成分(例えば、ヒノキチオール、カルボン、サフロール、シトロネロール、ケイ皮アルデヒドなどの防虫香料など)、殺ダニ剤、防黴剤、殺菌剤、消臭剤などを添加して多目的組成物とすることもできる。
本発明の薬剤揮散装置は、モーターの回転数を50〜2000rpmとし、有孔ファンからの薬剤揮散量を1時間当たり0.01〜2.0mgに規定する。すなわち、本発明で用いるモーターの仕様は、DC1.5V〜3.0V駆動で、50〜2000rpmの回転数を与えるものが適当であり、通常単3アルカリ電池2個が電源として装てんされる。そして、乾電池の消耗によりファンの回転が遅くなった時点をもって薬剤の揮散終了を表示するように設計される。モーターの回転数は、用いる常温揮散性ピレスロイド系薬剤の種類、目標とする1時間当たりの薬剤揮散量、有孔ファンの材質等を考慮して適宜決定すればよいが、汎用タイプの500〜2000rpm仕様のものが経済的である。但し、例えば、セルロース基材に比べて吸液能が劣るプラスチック樹脂基材を有孔ファンとして用いる場合には、ファン表面付近に付着・保持された薬剤が使用初期で揮散し過ぎないように、回転数を1000rpm以下に設定するのがよい。
また、本発明の薬剤揮散装置では、有孔ファンの周囲にスリット状、メッシュ状などの保護バーを装着し、指などが回転するファンに触れないように設計される。また使用前に薬剤含浸ファンから薬剤が揮散することを防止するため、装置を遮蔽部材(例えば、非通気性フィルムなど)で包装し、このような遮蔽部材を使用直前に破袋するようにすればよい。
本発明では、常温揮散性薬剤を含浸させた有孔ファンを所定時間回転させた後、該回転を所定時間休止させるサイクルを繰り返し、該薬剤を間欠的に揮散せしめるようにするのが下記の理由から効率的である。
(1) 洋服タンスやクローゼットのような狭い密閉空間では、ファンの回転により揮散し
た薬剤が空間に蓄積し処理空間が有効薬剤濃度に達した後は、回転を休止させても有効薬剤濃度に近い値を維持できうること、
(2)常温揮散性薬剤のなかでもエムペントリンの如き高揮散性の薬剤を使用する場合、モーターの休止中においても薬剤の揮散が期待でき、ファンを間欠的に回転するだけで、空間内に生じる空気の対流が薬剤の拡散を高めえること。
所定の回転時間と所定の休止時間は、薬剤揮散装置が使用される場所、用途などによって適宜設定することができ、例えば1日に1時間オン/23時間オフ、3時間オン/21時間オフ、12時間に30分オン/11.5時間オフ、1時間に10分オン/50分オフなどで行うことができる。
本発明の薬剤揮散装置は、シンプルな構造が好ましいが、上記間欠揮散のプログラムを制御するCPU(中央処理装置)やメモリーを内蔵したり、更に液晶による目視可能な(1)薬剤残量表示機能や(2)電池の残量表示機能を備えることもできる。
薬剤残量表示機能の制御方式としては種々可能であり、例えば所定量以上の電圧下でモーターが作動する際に固有の周波パルスを発振するRC発振回路を内蔵し、この発振パルスの感知とこれに基づくモーター作動時間の計測、ならびに薬剤残量への変換を制御する方式を採用することができる。通常、メモリーを備え、タイマーのデータは電源を切っても消失しないように保存される。また、薬剤含浸体(ファン自体)の取替え後にリセットスイッチを押せば、モーター作動時間の計測プログラムがリセットされる。
こうして得られた本発明の薬剤揮散装置は、常温揮散性薬剤を含浸させた有孔ファンの回転により薬剤を効率的に気中に拡散させることができ、しかも構造がシンプルで電池の負荷も小さい。そして、これを用いた本発明の害虫防除方法によれば、洋服タンスやクローゼットなどのイガ、カツオブシムシなどの衣料害虫、また屋内の蚊や蚋、ハエ、ユスリカなどの各種害虫に対して長期間にわたり優れた害虫防除効果を示し、特に、適用空間が10m3以下の洋服タンスやクローゼットなどの衣料防虫用途において有用性が高い。
次に、具体的実施例ならびに試験例に基づいて、本発明の薬剤揮散装置、及びこれを用いた害虫防除方法を更に詳細に説明する。
図1は本発明の薬剤揮散装置の一実施例の断面図を示す。
薬剤揮散装置1は、常温揮散性薬剤・化合物E[4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート]200mgを含浸・混入させた有孔6枚羽根ファン2[材質:紙、有孔面積比率:1%、重量:4.7g、目付:1150g/m2、厚さ:2.8mm、目付/厚さパラメーター:410g/m2・mm]と、回転数が1000rpmのモーター3と、1.5Vの単3アルカリ乾電池(4)2個を備えている。モーター3を回転させるとファン2により遠心力と風力が生じ、上面吸気口5から流入した空気は装置側面の排気口6を経て流出するが、この空気の流れにのってファン2に保持させた薬剤は空中に放散される。なお、外表面に付設されている7は電源スイッチ、8はパイロットランプである。
6ケ月用の本発明薬剤揮散装置を、衣類が多数収納された6m3のクローゼットで使用したところ、1時間当たりの薬剤揮散量は0.03mgであった。遠心力と風力の作用でクローゼット内の薬剤拡散性にすぐれ、6ケ月にわたりイガ、コイガ、カツオブシムシなどの衣料害虫の防除に有効であった。なお、およそ6ケ月経過時点でモーターの回転が極端に遅くなったので、ファンと乾電池を新たに交換して更に半年間装置を使用した。
図2は本発明の薬剤揮散装置の他の実施例で用いる有孔ファンの平面図を示す。
本実施例の薬剤揮散装置1は、図2に示す如く、レーヨン90%とポリプロピレン10%からなる4枚羽根ファン2[有孔面積比率:0.5%、重量:4g、目付:500g/m2、厚さ:2.0mm、目付/厚さパラメーター:250g/m2・mm]に、プラスチック製の枠体9を取り付けたものを用い、また、「回転1時間オン/23時間オフ」の間欠制御タイマー(図示せず)を設置した以外は、実施例1の装置に準じて作製した。なお、常温揮散性薬剤としてエンペントリン1000mgを含浸させた。
12ケ月用の本発明薬剤揮散装置を、衣類が多数収納された8m3のクローゼットで使用した。間欠制御プログラムにより1日に1時間ファンが作動し、その間の薬剤揮散量は0.8mgであったが、本薬剤揮散装置の場合、ファンの回転が休止中においても一部エムペントリンはファンから揮散した。ファンの作動は間欠的にもかかわらず薬剤の拡散性向上に寄与し、12ケ月にわたり衣料害虫の防除に有効であった。また、乾電池の消費電力が小さく、使用期間中乾電池を交換する必要がなかったので利便性にも優れた。
図3は本発明の薬剤揮散装置の更に別の実施例で用いる有孔ファンの平面図を示す。
本実施例の薬剤揮散装置1は、図3に示す如く、ポリプロピレン製の羽根10に外周枠11を取り付け、羽根10の間に連続発泡ポリプロピレン製スポーク12を放射状に装てんしたものを用い、また、「回転3時間オン/21時間オフ」の間欠制御タイマー(図示せず)を設置した以外は、実施例1の装置に準じて作製した。なお、常温揮散性薬剤として化合物F[4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジフルオロビニル)シクロプロパンカルボキシレート]240mgを含浸させた。
12ケ月用の本発明薬剤揮散装置を、衣類が多数収納された6m3のクローゼットで使用したところ、1時間当たりの薬剤揮散量は0.1mgであった。本薬剤揮散装置1は、羽根10による風がスポーク12から薬剤を効率的に拡散させるため、間欠的な作動においても12ケ月にわたり優れた衣料害虫防除効果を示した。
実施例1及び実施例2に準じ、単3乾電池2個(計3V)を用いた6ケ月用の各種薬剤揮散装置を作製した。
6m3のクローゼットで6ケ月間使用し、定期的に衣類上にイガ幼虫を放飼して薬剤揮散装置の食害防止効果を調べた。結果は、○、△、×で評価し、併せて表1に示した。
Figure 2004229658

本発明の薬剤揮散装置は、6ケ月間の長期にわたり優れた害虫防除効果を示し、比較例6の従来の薬剤保持体固定タイプに比べて極めて効率的な揮散性能を奏することが認められた。なお、有孔ファンの材質がセルロース基材の場合、目付/厚さパラメーターは、100〜500g/m2・mmの範囲が好ましく、またポリオレフィン系プラスチック樹脂を20%まで混入することによって薬剤揮散性の徐放化を調節できること、更に、有孔ファンの材質がプラスチック樹脂のものについては、連続発泡処理を施したポリオレフィン系樹脂が好ましいことも明らかとなった。
これに対し、比較例1や比較例2のように、ファンの材質としてポリスチレンや高密度ポリプロピレンのような無孔プラスチック樹脂を採用したものは、薬剤の揮散性が劣り害虫防除効果が低かった。また、薬剤の含浸量が60mg未満の薬剤揮散装置(比較例3)は、害虫防除効果の持続性が不足した。更に、比較例4のように、ファンの回転速度が50rpm未満であると十分な揮散性能を奏しえず、一方比較例5の如く、2000rpmを越えると害虫防除効果が長期間持続しなかった。
本発明の薬剤揮散装置は、薬剤を効率的に揮散、放出させるので、有効成分を適宜選択したうえで、例えば芳香、消臭、抗菌用途など、害虫防除以外の分野でも実用化が可能である。
本発明の薬剤揮散装置の一実施例の断面図を示す。 他の実施例で用いる有孔ファンの平面図を示す。 更に別の実施例で用いる有孔ファンの平面図を示す。
符号の説明
1:薬剤揮散装置、
2:セルロース製ファン、
3:モーター、
4:乾電池、
5:吸気口、
6:排気口、
7:電源スイッチ、
8:パイロットランプ、
9:枠体、
10:羽根、
11:外周枠
12:スポーク

Claims (5)

  1. エムペントリン、テフラメトリン及び一般式(I)
    Figure 2004229658


    (式中、X及びYは同一又は相異なって水素原子、メチル基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基を表し、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種以上の常温揮散性ピレスロイド系薬剤60〜1600mgを、2枚〜8枚羽根を有する有孔ファンに含浸させ、モーターを用いて50〜2000rpmの速度で回転させるとともに、前記ファンから薬剤を1時間当たり0.01〜2.0mgの割合で揮散させるようになしたことを特徴とする薬剤揮散装置。
  2. 有孔ファンが、プラスチック樹脂を0〜20%含んでもよいセルロース基材からなり、かつその目付(g/m2)を厚さ(mm)で除したパラメーターで示した時、100〜500(g/m2・mm)の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の薬剤揮散装置。
  3. 有孔ファンが、連続発泡処理を施したポリオレフィン系プラスチック樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の薬剤揮散装置。
  4. 常温揮散性ピレスロイド系薬剤を含浸させた有孔ファンを所定時間回転させた後、該回転を所定時間休止させるサイクルを繰り返し、該薬剤を間欠的に揮散せしめるようになしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の薬剤揮散装置。
  5. 10m3以下の空間において、エムペントリン、テフラメトリン及び一般式(I)
    Figure 2004229658


    (式中、X及びYは同一又は相異なって水素原子、メチル基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基を表し、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種以上の常温揮散性ピレスロイド系薬剤60〜1600mgを、2枚〜8枚羽根を有する有孔ファンに含浸させ、モーターを用いて50〜2000rpmの速度で回転させるとともに、前記ファンから薬剤を1時間当たり0.01〜2.0mgの割合で揮散させて害虫を防除することを特徴とする害虫防除方法。
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