JP4566702B2 - マグネシウム合金用防錆塗料組成物およびこれからなる塗膜を有する物品 - Google Patents

マグネシウム合金用防錆塗料組成物およびこれからなる塗膜を有する物品 Download PDF

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本発明は、マグネシウム合金用防錆塗料組成物およびこれからなる塗膜を有する物品に関する。
マグネシウム合金は、軽量であり、強度が高いことから、携帯電話やノート型パソコンの筐体、自動車部品、航空機部品等に使用されている。
しかしながら、マグネシウム合金は、腐食しやすいという欠点を有しており、その表面にクロメート処理等の防錆処理を施す必要があった(特許文献1参照)。クロメート処理を行うとマグネシウム合金の表面が変色し、金属光沢が失われてしまう。
このため、マグネシウム合金には、加工性に優れることから、ダイヤモンドカット加工、ヘアーライン加工、鏡面加工などの表面加工によって金属光沢を活かした意匠性を付与できるにもかかわらず、その腐食性ゆえに、これまで金属光沢を活かした意匠性を付与することができなかった。
特公昭61−17911号公報
よって、本発明の目的は、マグネシウム合金の腐食を抑え、かつマグネシウム合金への付着性に優れた無色透明の塗膜を得ることができるマグネシウム合金用防錆塗料組成物およびこれからなる塗膜をマグネシウム合金表面に施した物品を提供することにある。
すなわち、本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物は、酸化アルミニウム粒子または酸化亜鉛粒子であり、平均粒子径が20〜50nmである酸化物粒子(a)と、アクリル樹脂(b)と、シランカップリング剤(c)とを含有することを特徴とするものである。
また、本発明の物品は、マグネシウム合金の表面に、本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物からなる塗膜を有することを特徴とするものである。
塗膜の膜厚は、0.2〜0.5μmであることが好ましい。
本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化スズ(IV)、および二酸化ケイ素からなる群から選ばれる酸化物の粒子であり、平均粒径が20〜50nmである酸化物粒子(a)と、アクリル樹脂(b)と、シランカップリング剤(c)とを含有するものであるので、マグネシウム合金の腐食を抑え、かつマグネシウム合金への付着性に優れた無色透明の塗膜を得ることができる。
特に、前記酸化物粒子(a)として、酸化アルミニウム粒子または酸化亜鉛粒子を用いた場合に、防錆効果に優れる。
また、本発明の物品は、マグネシウム合金の表面に、本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物からなる塗膜を有するものであるので、耐食性に優れ、マグネシウム合金の金属光沢を活かした意匠性を付与することができる。
以下、本発明について説明する。
<酸化物粒子(a)>
本発明における酸化物粒子(a)は、酸化アルミニウム(Al23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(IV)(SnO2 )、および二酸化ケイ素(SiO2 )からなる群から選ばれる酸化物の粒子である。マグネシウム合金の腐食を抑え、かつ無色透明である塗膜を得るためには、これら酸化物粒子が好適である。中でも、防錆効果に優れる酸化アルミニウム粒子または酸化亜鉛粒子が好ましい。
酸化物粒子(a)は、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、アルミニウム、亜鉛、スズ、およびケイ素から選ばれる2種以上を有する複合酸化物であってもよい。
酸化物粒子(a)の平均粒径は、20〜50nmである。酸化物粒子の平均粒子径が50nmを超えると、無色透明な塗膜が得られにくくなり、また、防錆効果も低下する。平均粒子径が20nmより小さい酸化物粒子は、工業的に製造することが困難であり実用的でない。平均粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
<アクリル樹脂(b)>
本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物におけるバインダー樹脂としては、マグネシウム合金への付着性が良好で、透明性の高いアクリル樹脂(b)が用いられる。
アクリル樹脂(b)は、重合開始剤を用いてアクリル系単量体を重合して得られる重合体である。
アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシブチル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルコキシアルキルエステル;アリルアクリレート、アリルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルケニルエステル;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;アリルオキシエチルアクリレート、アリルオキシエチルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルケニルオキシアルキルエステル;アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
また、これらはアクリル系単量体とともに、他のビニル系単量体を併用しても構わない。他のビニル系単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のオレフィン系化合物;酢酸ビニル、アリルアルコール、マレイン酸などが挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物:アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
アクリル樹脂(b)の質量平均分子量は、30,000〜45,000であることが好ましい。アクリル樹脂(b)の質量平均分子量が30,000未満では、得られる塗膜の強度、耐水性が低下するおそれがある。アクリル樹脂(b)の質量平均分子量が45,000を超えると、塗料の粘度が高くなり、塗装作業性が低下するおそれがある。ここで、質量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるスチレン換算の値である。
アクリル樹脂(b)のガラス転移温度(Tg)は、−60〜90℃であることが好ましい。Tgが−60℃未満では、得られる塗膜の耐湿性、耐温水性が低下するおそれがあり、Tgが90℃を超えると、得られる塗膜の脆性が増し、再付着性が低下するおそれがある。ここで、アクリル樹脂(b)のガラス転移温度(Tg)は、単量体a,b,c・・・からなる共重合体の場合は、以下の式で求められる。
1/Tg=ma/Tga+mb/Tgb+mc/Tgc+・・・
a :単量体aの質量分率、Tga :単量体aから得られる単独重合体のTg[K]、
b :単量体bの質量分率、Tgb :単量体bから得られる単独重合体のTg[K]、
c :単量体cの質量分率、Tgc :単量体cから得られる単独重合体のTg[K]。
<シランカップリング剤(c)>
シランカップリング剤(c)は、マグネシウム合金への塗膜の付着性を向上させるものである。
シランカップリング剤(c)としては、例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
中でも、マグネシウム合金への塗膜の付着性を向上させる効果が高いことから、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランが好適に用いられる。
<マグネシウム合金用防錆塗料組成物>
本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物は、酸化物粒子(a)と、アクリル樹脂(b)と、シランカップリング剤(c)とを含有するものである。
酸化物粒子(a)の含有量は、マグネシウム合金用防錆塗料組成物の固形分(100質量%)中、40〜50質量%であることが好ましい。酸化物粒子(a)の含有量が40質量%未満では、十分な防錆効果が得られないおそれがある。酸化物粒子(a)の含有量が50質量%を超えると、アクリル樹脂(b)の量が少なくなって塗膜強度が不十分となるおそれがあり、また、無色透明な塗膜が得られにくくなるおそれがある。
アクリル樹脂(b)の含有量は、マグネシウム合金用防錆塗料組成物の固形分(100質量%)中、40〜50質量%であることが好ましい。アクリル樹脂(b)の含有量が40質量%未満では、塗膜強度が不十分となるおそれがある。アクリル樹脂(b)の含有量が50質量%を超えると、酸化物粒子(a)の量が少なくなって十分な防錆効果が得られないおそれがある。
シランカップリング剤(c)の含有量は、マグネシウム合金用防錆塗料組成物の固形分(100質量%)中、5〜10質量%であることが好ましい。シランカップリング剤(c)の含有量が5質量%未満では、マグネシウム合金への塗膜の付着性が不十分となるおそれがある。シランカップリング剤(c)の含有量が10質量%を超えると、塗膜強度が低下し、塗膜物性の低下とともに、コストアップのおそれがある。
ここで、固形分とは、溶剤等、塗膜を形成する際に蒸発する成分を除いたものである。
本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物には、必要に応じて、塗面調整剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を加えてもよい。
本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物は、所望の固形分濃度と成るように溶剤と混合して塗料として用いられる。溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;トルエン、キシレン、ナフサ等の炭化水素系溶剤;2−ブトキシエタノール等のアルコール系溶剤などが挙げられる。
<物品>
本発明の物品は、マグネシウム合金の表面に、本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物からなる塗膜を有するものである。また、本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物からなる塗膜を下地層とし、この上にクリア塗料からなる塗膜をさらに設けたものが、耐食性、耐水性、耐傷付き性の点で好ましい。
マグネシウム合金は、マグネシウムと他の金属との合金である。他の金属としては、アルミニウム、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル、銅、鉛、錫、カルシウムなどである。他の金属は2種以上であってもよい。
マグネシウム合金は、必要に応じて、ダイカスト法、チクソモールディング法などの公知の成形方法によって所望の形状に成形し、さらに、ダイヤモンドカット加工、ヘアーライン加工、鏡面加工などの表面加工を施してもよい。
クリア塗料としては、公知のクリア塗料を用いることができ、例えば、シリコンアクリル系2液型クリア塗料、ウレタン系2液型クリア塗料などが挙げられる。
本発明の物品は、例えば、以下のようにして製造される。
まず、本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物を含有する塗料を、マグネシウム合金表面に塗装し、乾燥させて下地層を形成する。ついで、下地層上にクリア塗料を塗装し、乾燥させてクリア塗膜を形成する。
塗装方法としては、例えば、スプレー塗装、フローコート、デイッピング、刷毛塗り、ロールコート等が用いられる。
下地層の膜厚は、好ましくは0.2〜0.5μmである。下地層の膜厚が0.2μm未満では、防錆効果が不十分となるおそれがあり、0.5μmを超えると、無色透明な塗膜が得られにくい。
クリア塗膜の膜厚は、好ましくは10〜15μmである。クリア塗膜の膜厚が10μm未満では、耐食性、耐水性、耐傷付き性が不十分となるおそれがあり、15μmを超えると、硬化収縮に伴う付着性の低下、および外観ムラが発生するおそれがある。
<作用>
以上説明した本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物にあっては、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化スズ(IV)、および二酸化ケイ素からなる群から選ばれる酸化物粒子(a)を含有しているので、これら酸化物に由来する防錆効果によって、マグネシウム合金の腐食を抑える塗膜を得ることができる。また、酸化物粒子(a)の平均粒径が20〜50nmであるので、無色透明の塗膜を得ることができるとともに、酸化物粒子(a)をナノサイズまで微細化したことによる防錆効果の向上を図ることができる。また、シランカップリング剤(c)を含有しているので、マグネシウム合金への付着性に優れた塗膜を得ることができる。
特に、前記酸化物として、酸化アルミニウムまたは酸化亜鉛を用いた場合に、防錆効果に優れる。この理由について以下に説明する。
酸化アルミニウムおよび酸化亜鉛は、等電点が8以上であり、中性水溶液中において酸化物の表面は−MOH2 +となっている(ここで、Mは金属元素)。よって、このような酸化物を含む塗膜に塩水(中性水溶液)を噴霧した場合、塗膜にしみ込んだ水によって酸化物の表面が−MOH2 +となり、これが水ともに塗膜にしみ込んだ塩素イオンを−MOH2 +Cl- の状態で捕捉し、マグネシウム合金の表面に塩素イオンが到着することを防ぎ、マグネシウム合金の腐食を確実に抑えているものと考えられる。
一方、酸化スズ(IV)および二酸化ケイ素は、等電点が7以下であり、中性水溶液中において酸化物の表面は−MO- となっている。そのため、塩素イオンは酸化物表面に捕捉されにくく、等電点が8以上である酸化アルミニウムおよび酸化亜鉛よりも、防錆効果が劣っているものと考えられる。
以下、実施例を示して本発明を詳しく説明する。
[実施例1]
酸化物粒子(a)として酸化アルミニウム粒子(シーアイ化成(株)製、商品名:NanoTek(登録商標)Al23−10Et、平均粒子径31nm)4.5質量部、アクリル樹脂(b)としてダイヤナールLR−2544(三菱レイヨン(株)製、質量平均分子量38,000、ガラス転移温度50℃)4.5質量部、シランカップリング剤(c)としてAZ6202(日本ユニカー(株)製)1質量部を、溶剤(2−ブトキシエタノール)5質量部に加え、十分に攪拌し、マグネシウム合金用防錆塗料を得た。マグネシウム合金用防錆塗料の固形分(100質量%)中、酸化物粒子(a)は45質量%、アクリル樹脂(b)は45質量%、シランカップリング剤(c)は10質量%であった。
このマグネシウム合金用防錆塗料を溶剤(2−ブトキシエタノール)で5倍に希釈したのち、マグネシウム合金(AZ31)板(50mm×50mm、厚さ1mm、表面にダイヤモンド加工が施されたもの)の表面に、スプレーガンを用いて、乾燥後の塗膜の厚さが0.5μmとなるように塗装し、70℃で30分間乾燥させ、下地層を形成した。
ついで、シリコンアクリル系2液型クリア塗料(オリジン電気(株)製、商品名:オリジツーク#100)を、所定の配合(主剤/硬化剤/シンナー=4質量部/1質量部/2質量部)で調製し、これを下地層の表面に、スプレーガンを用いて、乾燥後の塗膜の厚さが15μmとなるように塗装し、80℃で30分間乾燥させ、クリア層を形成し、塗膜を有する物品を得た。この物品を、温度25℃、湿度55%RHの条件下で7日間放置し、塗膜の架橋反応を十分進行させた。
この物品について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(曇り、着色の有無)
物品の外観を観察し、塗膜の曇り、着色の有無を目視で判定した。
(付着性)
JIS K 5400に準拠した碁盤目法にて付着性を評価した。具体的には、物品の塗装面にカッターで碁盤目状に切り込み(1mm間隔、100マス)を入れ、セロハンテープを密着させたのち、これを引きはがし、アルミニウム合金表面からはがれた塗膜のマスを数えた。
(耐水性)
物品を40℃の温水中に240時間浸漬し、これを温水中から取り出し、塗膜表面の水分を除去し、表面温度が室温になるまで放置したものについて、JIS K 5400に準拠した碁盤目法にて付着性を評価した。
(耐食性)
JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験を240時間実施したのち、JIS H 8679に記載のレイティングナンバ(以下、RNと略す)により表面の腐食の程度を評価した。RNは、腐食面積比率0.5%以下のものについてはRN標準図表より求め、腐食面積比率が0.5%を超えるものについては、RNと腐食面積(A%)との関係式RN=3(2−log10A)より求めた。RNが大きいほど耐食性に優れることを示す。
また、ブリスタサイズは、ASTM D714−02記載の標準比較写真により評価した。ブリスタサイズが大きいほど耐食性に優れることを示す。
また、塩水噴霧試験後の外観写真を図1に示す。
[実施例2]
酸化物粒子(a)として酸化亜鉛粒子(シーアイ化成(株)製、商品名:NanoTek(登録商標)ZnO−15、平均粒子径34nm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてマグネシウム合金用防錆塗料を調製し、実施例1と同様にして塗装を行って物品を得た。
この物品について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3]
酸化物粒子(a)として酸化スズ(IV)粒子(シーアイ化成(株)製、商品名:NanoTek(登録商標)SnO2 −30、平均粒子径21nm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてマグネシウム合金用防錆塗料を調製し、実施例1と同様にして塗装を行って物品を得た。
この物品について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4]
酸化物粒子(a)として二酸化ケイ素粒子(シーアイ化成(株)製、商品名:NanoTek(登録商標)SiO2 、平均粒子径25nm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてマグネシウム合金用防錆塗料を調製し、実施例1と同様にして塗装を行って物品を得た。
この物品について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
酸化物粒子(a)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして塗料を調製し、実施例1と同様にして塗装を行って物品を得た。
この物品について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。また、塩水噴霧試験後の外観写真を図2に示す。
[比較例2]
酸化物粒子(a)として酸化チタン(TiO2 )粒子(シーアイ化成(株)製、商品名:NanoTek(登録商標)TiO2 −15、平均粒子径36nm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてマグネシウム合金用防錆塗料を調製し、実施例1と同様にして塗装を行って物品を得た。
この物品について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004566702
実施例1、2、比較例3、4の物品は、表面の塗膜が無色透明であり、表面に施されたダイヤモンド加工をはっきり確認できた。また、塗膜の付着性、耐水性、およびマグネシウム合金の耐食性は、酸化物粒子(a)を含まない塗料を用いた比較例1の物品に比べ優れていた。特に、実施例1の物品は、図1の写真に示すように、その表面はほとんど腐食されていなかった。また、図3に示すように、耐食性を示すRNと酸化物の等電点との関係をグラフにしたところ、酸化物の等電点が8以上となった場合(実施例1、2)にRNが高くなることが確認された。
一方、酸化物粒子(a)として酸化チタン粒子を用いた比較例2の物品は、酸化物粒子の平均粒子径が本発明にて規定する範囲に入っているにもかかわらず、透明性が悪く、表面に施されたダイヤモンド加工をはっきり確認できなかった。
本発明のマグネシウム合金用防錆塗料組成物を用いることにより、マグネシウム合金の表面の金属光沢を失わせるクロメート処理を行わなくてもマグネシウム合金の腐食を抑えることができ、マグネシウム合金に、ダイヤモンドカット加工、ヘアーライン加工、鏡面加工などの表面加工によって金属光沢を活かした意匠性を付与できる。
塩水噴霧試験後における実施例1の物品の外観写真である。 塩水噴霧試験後における比較例1の物品の外観写真である。 実施例におけるレイティングナンバと酸化物の等電点との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 酸化アルミニウム粒子または酸化亜鉛粒子であり、平均粒子径が20〜50nmである酸化物粒子(a)と、
    アクリル樹脂(b)と、
    シランカップリング剤(c)と
    を含有することを特徴とするマグネシウム合金用防錆塗料組成物。
  2. マグネシウム合金の表面に、請求項記載のマグネシウム合金用防錆塗料組成物からなる塗膜を有することを特徴とする物品。
  3. 塗膜の膜厚が、0.2〜0.5μmである、請求項2記載の物品。
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