JP2013239556A - コンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材、アルミニウム樹脂被覆材を用いたコンデンサケース、コンデンサケースを用いたコンデンサ、ならびに、コンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形性、塗膜密着性、絶縁性、耐高温水性、耐薬品性及び耐食性に優れたコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材、これを用いたコンデンサケース、これを用いたコンデンサ、コンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法を得る。
【解決手段】アルミニウム基材と、この少なくとも一方の表面に化成皮膜に形成した化成皮膜と、化成皮膜上に形成した仕上げ塗膜とを備え、仕上げ塗膜が、ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールとを含み、ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールの重量比率が、ポリアクリルアミド系樹脂:グリオキサール=100:30〜300であり、1〜20μmの厚さを有するコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材及びその製造方法、これを用いたコンデンサケース、これを用いたコンデンサを提供する。
【選択図】なし
【解決手段】アルミニウム基材と、この少なくとも一方の表面に化成皮膜に形成した化成皮膜と、化成皮膜上に形成した仕上げ塗膜とを備え、仕上げ塗膜が、ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールとを含み、ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールの重量比率が、ポリアクリルアミド系樹脂:グリオキサール=100:30〜300であり、1〜20μmの厚さを有するコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材及びその製造方法、これを用いたコンデンサケース、これを用いたコンデンサを提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、成形性、塗膜密着性、絶縁性、耐高温水性、耐食性及び耐薬品性に優れ、更にコスト面や安全性にも優れたコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材、当該アルミニウム樹脂被覆材を用いたコンデンサケース、当該コンデンサケースを用いたコンデンサ、ならびに、当該コンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法に関する。
近時、成形後の絶縁用樹脂被覆が不要な樹脂被覆アルミニウム合金板材が、コンデンサケース材として使用されるようになってきている。このコンデンサケースは通常円筒形であり、様々な高さ/直径比を有する。アルミニウム合金板材を円筒形に形成するため、深絞り成形やしごき成形を組み合わせた厳しい条件での成形加工が施される。そのため、このコンデンサケース材に建材などに用いられる一般的な樹脂被覆アルミニウム合金板材を適用すると、樹脂層に亀裂や剥離などが発生して十分な絶縁性が得られない。特に、高さ/直径比の大きいケースの成形において、この傾向が顕著である。
特許文献1には、コンデンサケース等に使用され、成形性に優れ、耐熱変色性及び高温高湿耐久性を有する樹脂被覆アルミニウム材料が開示されている。これは、純アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に有孔率5%以下の無孔質陽極酸化皮膜を形成し、その上層に数平均分子量が2000〜100000のエポキシ系樹脂をシランカップリング剤を介して被覆した構造を有する。前記無孔質陽極酸化皮膜の膜厚が30〜200nm、前記シランカップリング剤の無孔質陽極酸化皮膜上への塗布量が0.5〜10mg/m2、ならびに、前記エポキシ系樹脂の数平均分子量が5000〜80000でその被覆厚さが1〜20μmとするのが好ましいことが記載されている。
特許文献2には、(A)水酸基含有樹脂とブロックイソシアネート硬化剤を含有する皮膜形成樹脂組成物、(B)アルデヒド化合物吸着能を有する窒素含有化合物で表面処理された無機化合物、及び(C)リン酸チタニウム系化合物を、(A)成分100重量部に対して(B)成分0.1〜10重量部及び(C)成分0.1〜10重量部の割合で含有することを特徴とするプレコート用熱硬化型塗料組成物、ならびに、それを金属板に塗装して得られるプレコート金属板が開示されている。更に、(A)成分に含まれる水酸基含有樹脂として、水酸基価5〜200mgKOH/gで数平均分子量1000〜20000の水酸基含有ポリエステル樹脂が記載されている。
しかしながら、特許文献1及び2の樹脂被覆アルミニウム被覆材は、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂が最表面に形成されているために、成形性には優れているものの、加工後のプレス成形にて使用したプレス油を除去するための洗浄液を必要とする。このため洗浄液が残存した場合、コンデンサケース内の電解液と反応し、塗膜が変性及び溶解し、コンデンサ自体として信頼性を損なうという問題があった。
本発明の目的は、良好な成形性、密着性、ならびに、成形後における絶縁性、耐高温水性、耐食性、耐薬品性に優れ、更にコスト面や安全性においても優れるコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材、当該アルミニウム樹脂被覆材を用いたコンデンサケース、当該コンデンサケースを用いたコンデンサ、ならびに、当該コンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法を提供することである。
本発明は請求項1において、アルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に形成した化成皮膜と、当該化成皮膜上に形成した仕上げ塗膜とを備えるアルミニウム樹脂被覆材であって、前記仕上げ塗膜が、ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールとを含み、前記ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールの重量比率が、ポリアクリルアミド系樹脂:グリオキサール=100:30〜300であり、1〜20μmの厚さを有することを特徴とするコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材とした。
本発明は請求項2において、請求項1に記載のアルミニウム樹脂被覆材を用いたことを特徴とするコンデンサケースとした。本発明は請求項3において、請求項2に記載のコンデンサケースを用いたことを特徴とするコンデンサとした。
本発明は請求項4において、アルミニウム基材の少なくとも一方の表面を、Cr、Zr及びTiから選択される1種以上を含有する化成皮膜用処理液により化成処理することよって化成皮膜を形成する化成皮膜形成工程と;当該化成皮膜の表面にポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールとを含み、前記ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールの重量比率が、ポリアクリルアミド系樹脂:グリオキサール=100:30〜300である塗料組成物を塗布する塗布工程と;塗料組成物を塗布したアルミニウム基材を温度150〜320℃で1〜120秒焼付けて厚さ1〜20μmの仕上げ塗膜を形成する仕上げ塗膜形成工程と;を含むことを特徴とするコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法とした。
本発明は請求項5では請求項4において、前記化成処理の方法が、塗布型処理方法、浸漬式処理方法及びスプレー式処理方法のいずれかの処理方法であるものとした。
本発明に係るコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材は、コンデンサケースに要求される高い深絞り成形性、アルミニウム基材と仕上げ塗膜との密着性、ならびに、成形後における絶縁性、過酷な環境にも耐え得る耐高温水性と耐食性、洗浄液や電解液が付着しても変性しない優れた耐薬品性を有する。更に、このアルミニウム樹脂被覆材は、コスト面や安全性にも優れる。また、これを用いたコンデンサケース、ならびに、このコンデンサケースを用いたコンデンサも同様に、優れた成形性、塗膜密着性、絶縁性、耐高温水性、耐食性及び耐薬品性、ならびに、コスト面や安全性に優れる。更に、本発明に係るコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法により、当該コンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材を容易、かつ、再現性よく製造することができる。
1.コンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材
本発明に係るコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材は、純アルミニウム又はアルミニウム合金の基材と、当該基材の少なくとも一方の表面に形成した化成皮膜と、その上に形成した仕上げ塗膜とを備える。
本発明に係るコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材は、純アルミニウム又はアルミニウム合金の基材と、当該基材の少なくとも一方の表面に形成した化成皮膜と、その上に形成した仕上げ塗膜とを備える。
1−1.アルミニウム基材
本発明で用いるアルミニウム基材は、純アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材である。純アルミニウムとは、99mass%以上のアルミニウムをいう。アルミニウム合金としては、A1100、A1200、A3003、A3004、A5052、A6063等が好適に用いられる。調質もO材、H14、24、36材等、Al−Cu系及びAl−Si−Mg系では、時効硬化処理を行ったT6材等が挙げられるが、成形に合わせ、適宜使用できる。また、アルミニウム基材の厚さに特に限定されるものではないが、0.1〜1.2mm程度の厚さのものが好適用いられる。以下において、純アルミニウム及びアルミニウム合金を、単に「アルミニウム」と記す。なお、アルミニウム以外の金属を基材に用いることもできる。
本発明で用いるアルミニウム基材は、純アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材である。純アルミニウムとは、99mass%以上のアルミニウムをいう。アルミニウム合金としては、A1100、A1200、A3003、A3004、A5052、A6063等が好適に用いられる。調質もO材、H14、24、36材等、Al−Cu系及びAl−Si−Mg系では、時効硬化処理を行ったT6材等が挙げられるが、成形に合わせ、適宜使用できる。また、アルミニウム基材の厚さに特に限定されるものではないが、0.1〜1.2mm程度の厚さのものが好適用いられる。以下において、純アルミニウム及びアルミニウム合金を、単に「アルミニウム」と記す。なお、アルミニウム以外の金属を基材に用いることもできる。
1−2.化成皮膜
アルミニウム基材表面には、下地皮膜として化成皮膜が形成される。化成皮膜は、アルミニウム樹脂被覆材に耐食性と密着性を付与し、陽極酸化などの下地皮膜に比べて低コストである。本発明で用いる化成皮膜は、Cr、Zr及びTiから選択される1種以上を含有する化成皮膜用処理液によりアルミニウム基材を化成処理することよって形成される。
アルミニウム基材表面には、下地皮膜として化成皮膜が形成される。化成皮膜は、アルミニウム樹脂被覆材に耐食性と密着性を付与し、陽極酸化などの下地皮膜に比べて低コストである。本発明で用いる化成皮膜は、Cr、Zr及びTiから選択される1種以上を含有する化成皮膜用処理液によりアルミニウム基材を化成処理することよって形成される。
化成皮膜の付着量はCr、Zr、Tiの元素換算で2〜50mg/m2である。付着量が元素換算で2mg/m2未満では、十分な耐食性と塗膜との皮膜密着性が得られない。また、50mg/m2を超えても耐食性や塗膜との皮膜密着性の更なる効果が得られず経済性に欠ける。好ましい付着量は元素換算で5〜40mg/m2である。ここで、上記元素換算量は、化成皮膜に含有されるCr、Zr、Tiの総量を意味する。すなわち、含有される元素が1種の場合には、その元素の換算量であり、含有される元素が2種の場合には、それら2種の元素の総換算量であり、含有される元素が3種の場合には、それら3種の元素の総換算量である。
1−3.仕上げ塗膜
本発明では、アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に化成皮膜を形成し、その上に仕上げ塗膜を形成する。ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールとの適切な重量比率の仕上げ塗膜を用いることによって、優れた成形性、塗膜密着性、絶縁性、耐高温水性、耐食性及び耐薬品性が得られる。
本発明では、アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に化成皮膜を形成し、その上に仕上げ塗膜を形成する。ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールとの適切な重量比率の仕上げ塗膜を用いることによって、優れた成形性、塗膜密着性、絶縁性、耐高温水性、耐食性及び耐薬品性が得られる。
(i)ポリアクリルアミド系樹脂
ベース樹脂であるポリアクリルアミド系樹脂においては、アミノ基などの官能基が、アルミニウム基材表面に存在するアルミニウムの酸化物や水和物等と結合し、両者の間に強固な共有結合が形成される。このように、仕上げ塗膜とアルミニウム基材との強固な塗膜密着性により、コンデンサケース等のように過酷な成形条件においても材料の変形に追従し、優れた成形性と塗装密着性が得られる。
ベース樹脂であるポリアクリルアミド系樹脂においては、アミノ基などの官能基が、アルミニウム基材表面に存在するアルミニウムの酸化物や水和物等と結合し、両者の間に強固な共有結合が形成される。このように、仕上げ塗膜とアルミニウム基材との強固な塗膜密着性により、コンデンサケース等のように過酷な成形条件においても材料の変形に追従し、優れた成形性と塗装密着性が得られる。
ポリアクリルアミド系樹脂としては、一般的に製造されるポリアクリルアミド系樹脂を用いてもよい。具体的には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N―メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド系モノマーから選択される重合性不飽和二重結合を有するモノマーを主たる構成成分とした樹脂が挙げられる。
本発明に用いられるポリアクリルアミド系樹脂には、アクリルアミド系モノマーの単独重合体又はアクリルアミド系モノマーと他の共重合可能なモノマーとの共重合体であって、アミド基を複数個有するものも用いることができる。例えば、アクリルアミド系モノマーの割合が、30重量部以上で共重合されることが好ましく、50重量部以上で共重合されることがより好ましく、80重量部以上で共重合されることが更に好ましく、アクリルアミド系モノマーの単独重合体が最も好ましい。なお、本発明において、ポリアクリルアミド系共重合体を用いる場合には、共重合体中のポリアクリルアミド系樹脂の含有量によって、グリオキサールの配合量を調製することが必要である。
共重合に使用できるモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、アリルアルコール、アルキルビニルエーテル、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、α―オレフィン、アクリロニトリル等が挙げられる。
以上のポリアクリルアミド系樹脂のうち、分子中におけるアミド結合が多い単独重合体のポリアクリルアミド系樹脂が好ましい。また、ポリアクリルアミド系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜30,000,000であり、より好ましくは500,000〜3,000,000である。
本発明に係るコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材は、成形後にプレス油を除去する洗浄工程において有機溶剤や薬剤等に浸漬洗浄され、また、コンデンサケース内に納められる電解液がケースに付着すること等があるため、有機溶剤や薬品に対する耐性を付与する必要がある。また、コンデンサ自身、自動車や家電機器等に搭載されるため、厳しい環境に曝され、コンデンサの機能を維持しなければならないため、塗膜自身に耐環境性が必要となる。上記のポリアクリルアミド系樹脂のみによって塗膜を形成すると、高温高湿度環境下では、ポリアクリルアミド系樹脂の一部が加水分解し、コンデンサの機能を阻害してしまう。従って、以下に述べるグリオキサールをポリアクリルアミド系樹脂の重量比率に応じて所定量配合することが必要である。
(ii)グリオキサール
本発明者らは、上述したように上記ポリアクリルアミド系樹脂に対してグリオキサールを特定比率含有させることにより、ポリアクリルアミド系樹脂の成形性と塗膜密着性に加えて優れた耐高温水性、耐食性及び耐薬品性を更に付与することが可能となることを見出した。
本発明者らは、上述したように上記ポリアクリルアミド系樹脂に対してグリオキサールを特定比率含有させることにより、ポリアクリルアミド系樹脂の成形性と塗膜密着性に加えて優れた耐高温水性、耐食性及び耐薬品性を更に付与することが可能となることを見出した。
ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールを含有させることによる効果の理由は明確ではないが、グリオキサールは、ポリアクリルアミド分子同士を結合する架橋剤としての働きを有することが一因と考えられる。即ち、ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールの含有量を本発明の配合割合とすることにより、ポリアクリルアミド分子同士がグリオキサールによって架橋結合された強固な3次元的な網目構造が形成されるものと考えられ、これにより、仕上げ塗膜の耐薬品性と耐高温水性の向上が図られ、更に仕上げ塗膜とアルミニウム基材との界面における密着性が付与されるものと考えられる。
上記ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールの配合割合は、ポリアクリルアミド系樹脂100重量部に対して、グリオキサールを30〜300重量部とすることによって、耐薬品性と耐高温水性の向上が図られる。このポリアクリルアミド系樹脂100重量部に対するグリオキサールの配合割合は、好ましくは50〜200重量部、更に好ましくは75〜125重量部である。上記グリオキサールの配合割合が30重量部未満では、ポリアクリルアミド分子同士を結合するグリオキサール量が不足し、仕上げ塗膜において十分な耐高温水性、耐食性及び耐薬品性が得られない。一方、上記グリオキサールの配合割合が300重量部を超えると所望の耐食性が得られず不経済となる。
(iii)添加剤
仕上げ塗膜には、必要に応じて、タンニン酸、没食子酸、フイチン酸、ホスフィン酸等の防錆剤;ポリアルコールのアルキルエステル類等のレベリング剤;相溶性を損なわない範囲で添加されるフタロシアニン化合物等の着色剤;アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩系等の界面活性剤;などの添加剤を添加することができる。
仕上げ塗膜には、必要に応じて、タンニン酸、没食子酸、フイチン酸、ホスフィン酸等の防錆剤;ポリアルコールのアルキルエステル類等のレベリング剤;相溶性を損なわない範囲で添加されるフタロシアニン化合物等の着色剤;アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩系等の界面活性剤;などの添加剤を添加することができる。
2.コンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法
本発明に係るコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法は、アルミニウム基材の少なくとも一方の表面を、化成皮膜用処理液により化成処理することよって化成皮膜を形成する化成皮膜形成工程と;化成皮膜の表面にポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールとを含む塗料組成物を塗布する塗布工程と;塗料組成物を塗布したアルミニウム基材を焼付けて仕上げ塗膜を形成する仕上げ塗膜形成工程と;を備える。そして、化成処理の方法として、塗布型処理方法、浸漬式処理方法及びスプレー型処理方法のいずれかの処理方法が用いられる。
本発明に係るコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法は、アルミニウム基材の少なくとも一方の表面を、化成皮膜用処理液により化成処理することよって化成皮膜を形成する化成皮膜形成工程と;化成皮膜の表面にポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールとを含む塗料組成物を塗布する塗布工程と;塗料組成物を塗布したアルミニウム基材を焼付けて仕上げ塗膜を形成する仕上げ塗膜形成工程と;を備える。そして、化成処理の方法として、塗布型処理方法、浸漬式処理方法及びスプレー型処理方法のいずれかの処理方法が用いられる。
2−1.化成皮膜形成工程
まず、化成皮膜用処理液を調製する。化成皮膜用処理液は、Cr、Zr及びTiから選択される金属元素の1種以上をイオン状態で含有する。溶媒には、水、アルコール類等が用いられるが、水を用いるのが好ましい。化成皮膜用処理液中のCr、Zr、Tiの濃度は、元素の種類や用いる溶媒の種類、液粘度などによって適宜選択すればよい。なお、化成皮膜と仕上げ塗膜との密着性をより強固にするため、上記金属元素の他に、ポリエステル系、ポリアクリル酸系及びその塩、ポリウレタン系、エポキシ系等の有機樹脂を含有させてもよい。
まず、化成皮膜用処理液を調製する。化成皮膜用処理液は、Cr、Zr及びTiから選択される金属元素の1種以上をイオン状態で含有する。溶媒には、水、アルコール類等が用いられるが、水を用いるのが好ましい。化成皮膜用処理液中のCr、Zr、Tiの濃度は、元素の種類や用いる溶媒の種類、液粘度などによって適宜選択すればよい。なお、化成皮膜と仕上げ塗膜との密着性をより強固にするため、上記金属元素の他に、ポリエステル系、ポリアクリル酸系及びその塩、ポリウレタン系、エポキシ系等の有機樹脂を含有させてもよい。
化成処理によって化成皮膜を形成する方法としては、上記化成皮膜用処理液をロールコータ等によってアルミニウム基材表面に塗布し、次いでこれを焼付けることによって化成皮膜を形成する塗布型処理方法が挙げられる。焼付条件は、通常、100〜250℃で
1〜120秒である。また、化成皮膜用処理液が入った槽内にアルミニウム基材を浸漬して電解及び/又は加熱することによって、化学反応によりアルミニウム基材表面に化成皮膜を形成する浸漬式処理方法を採用してもよい。電解や加熱の条件は、所望の皮膜付着量が得られるように適宜選択されるが、電解条件としては、通常、0.5〜60A/dm2で5〜300秒、加熱条件としては、通常、30〜80℃で1〜120秒である。更に、アルミニウム基材表面に化成皮膜用処理液をスプレーによって噴霧し、化学反応によりアルミニウム基材表面に化成皮膜を形成するスプレー式処理方法を採用してもよい。
なお、化成皮膜形成工程の前処理として、脱脂処理工程、酸洗浄処理工程及び水洗処理工程のうちの一工程;脱脂処理工程と水洗処理工程;酸洗浄処理工程と水洗処理工程;或いは、脱脂処理工程と水洗処理工程と酸洗浄処理工程と水洗処理工程;を実施してもよい。
1〜120秒である。また、化成皮膜用処理液が入った槽内にアルミニウム基材を浸漬して電解及び/又は加熱することによって、化学反応によりアルミニウム基材表面に化成皮膜を形成する浸漬式処理方法を採用してもよい。電解や加熱の条件は、所望の皮膜付着量が得られるように適宜選択されるが、電解条件としては、通常、0.5〜60A/dm2で5〜300秒、加熱条件としては、通常、30〜80℃で1〜120秒である。更に、アルミニウム基材表面に化成皮膜用処理液をスプレーによって噴霧し、化学反応によりアルミニウム基材表面に化成皮膜を形成するスプレー式処理方法を採用してもよい。
なお、化成皮膜形成工程の前処理として、脱脂処理工程、酸洗浄処理工程及び水洗処理工程のうちの一工程;脱脂処理工程と水洗処理工程;酸洗浄処理工程と水洗処理工程;或いは、脱脂処理工程と水洗処理工程と酸洗浄処理工程と水洗処理工程;を実施してもよい。
2−2.塗料組成物の塗布工程
化成皮膜形成工程を経たアルミニウム基材の少なくとも一方の表面に、仕上げ塗膜用の液状の塗料組成物を塗布(塗装)する。
化成皮膜形成工程を経たアルミニウム基材の少なくとも一方の表面に、仕上げ塗膜用の液状の塗料組成物を塗布(塗装)する。
このような塗料組成物は、ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールを溶媒に溶解又は分散して調製される。ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールの含有比率は重量比で、ポリアクリルアミド系樹脂:グリオキサール=100:30〜300である。塗料組成物におけるポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールとの合計濃度は、塗布し易い塗料組成物の粘度を考慮して1〜50wt%とするのが好ましい。また、上記添加剤の適当量を含有させてもよい。
用いる溶媒は、各成分を溶解又は分散できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、水等の水性溶媒;アセトン等のケトン系溶剤;エタノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤;ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル系溶剤;ならびに、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の一連のグリコールアルキルエーテル系溶剤のエステル化物;等が挙げられ、その中でも水性溶媒が好ましく、本発明においては水が特に好ましい。
塗料組成物の塗布方法としては、ロールコーター法、ロールスクイズ法、ケミコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等の方法が用いられ、塗膜の均一性に優れ、生産性が良好なロールコーター法が好ましい。ロールコーター法としては、塗布量管理が容易なグラビアロール方式や、厚塗りに適したナチュラルコート方式や、塗布面に美的外観を付与するのに適したリバースコート方式等を採用することができる。また、塗膜の乾燥には一般的な加熱法、誘電加熱法等が用いられる。
2−3.仕上げ塗膜の形成工程
仕上げ塗膜形成工程における焼付けは、焼付け温度(到達板表面温度)が150〜320℃で、焼付け時間が1〜120秒の条件で行われる。仕上げ塗膜形成における焼付け温度が150℃未満であったり、焼付け時間が1秒未満であったりする場合には、塗膜が十分に形成されず塗膜密着性が低下する。焼付け温度が320℃を超えたり、焼付け時間が120秒を超える場合には、仕上げ塗膜が変性し、塗膜の強度や伸びなどを著しく低下させ、良好な成形性が得られない。
仕上げ塗膜形成工程における焼付けは、焼付け温度(到達板表面温度)が150〜320℃で、焼付け時間が1〜120秒の条件で行われる。仕上げ塗膜形成における焼付け温度が150℃未満であったり、焼付け時間が1秒未満であったりする場合には、塗膜が十分に形成されず塗膜密着性が低下する。焼付け温度が320℃を超えたり、焼付け時間が120秒を超える場合には、仕上げ塗膜が変性し、塗膜の強度や伸びなどを著しく低下させ、良好な成形性が得られない。
仕上げ塗膜厚さは、1〜20μm、好ましくは5〜15μmとする必要がある。塗膜厚さが1μm未満では所望の絶縁性が得られず、20μmを超えると成形性や、加工後の絶縁性、塗膜密着性、耐高温水性、耐食性及び耐薬品性が飽和して更なる向上が図れず不経済となる。
なお、上記仕上げ塗膜は、アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に形成される。すなわち、アルミニウム基材の一方の表面にのみ仕上げ塗膜が形成されていても、両方の表面に形成されていてもよい。
なお、上記仕上げ塗膜は、アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に形成される。すなわち、アルミニウム基材の一方の表面にのみ仕上げ塗膜が形成されていても、両方の表面に形成されていてもよい。
3.コンデンサケース
以上のようにして作製されるコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材に、複数の成形工程を施して本発明に係るコンデンサケースが製造される。これら成形工程には、アルミニウム樹脂被覆材の表面にプレス成形加工用のプレス油を塗布する工程や、深絞り加工などの工程が含まれる。これら成形工程を経て、所望の形状からなるコンデンサケースが作製される。
以上のようにして作製されるコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材に、複数の成形工程を施して本発明に係るコンデンサケースが製造される。これら成形工程には、アルミニウム樹脂被覆材の表面にプレス成形加工用のプレス油を塗布する工程や、深絞り加工などの工程が含まれる。これら成形工程を経て、所望の形状からなるコンデンサケースが作製される。
4.コンデンサ
本発明に係るコンデンサは、特に限定されるものではない。例えば、上記のようにして製造されたコンデンサケース内に、電解液を含浸した紙を挟んで、端子を取り付けたアルミニウム箔を巻き付けたものを収容し、ケース開口部に封止ゴムを嵌入した状態でケース下部をかしめることによりアルミ電解コンデンサが製造される。
本発明に係るコンデンサは、特に限定されるものではない。例えば、上記のようにして製造されたコンデンサケース内に、電解液を含浸した紙を挟んで、端子を取り付けたアルミニウム箔を巻き付けたものを収容し、ケース開口部に封止ゴムを嵌入した状態でケース下部をかしめることによりアルミ電解コンデンサが製造される。
以下に、本発明例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明例1〜19及び比較例1〜14
アルミニウム基材として、0.300mm厚さの1100−H24材を用いた。このアルミニウム基材に対して、弱アルカリ脱脂して水洗した後に乾燥した。次いで、このように前処理したアルミニウム基材表面に、表1〜5に示す化成処理によって化成皮膜を形成した。なお、比較例6では、化成処理を行わなかった。
アルミニウム基材として、0.300mm厚さの1100−H24材を用いた。このアルミニウム基材に対して、弱アルカリ脱脂して水洗した後に乾燥した。次いで、このように前処理したアルミニウム基材表面に、表1〜5に示す化成処理によって化成皮膜を形成した。なお、比較例6では、化成処理を行わなかった。
このようにして化成処理を施したアルミニウム基材に、表1〜5に記載する樹脂成分とこれと反応する反応成分を含有する塗料組成物をロールコーター法によって塗布した。なお、塗料組成物の溶媒には水を用い、塗料組成物における樹脂成分と反応成分との合計濃度は、8〜12wt%の範囲で適宜選択した。
ベース樹脂に用いたポリアクリルアミドAは、ポリアクリルアミド単独重合体であり、その重量平均分子量は1,000,000であり、ポリアクリルアミドBは、ポリアクリルアミド単独重合体であり、その重量平均分子量は18,000,000であり、ポリアクリルアミドCは、ポリアクリル酸Na−アクリルアミド共重合体であり、その重量平均分子量は200,000であった。これらベース樹脂の重量平均分子量の測定には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリスチレン換算)を用いた。
このようにして塗料組成物を塗布したアルミニウム基材を、表1〜5に示す条件(焼付け温度<到達板表面温度(PMT)>、焼付時間)で焼付けることによって、表1〜5に示す厚さのアルミニウム樹脂被覆材の試料を作製した。
アルミニウム樹脂被覆材試料について、成形性、塗膜密着性、絶縁性、耐高温水性、耐薬品性及び耐食性を後述の方法で評価した。結果を、併せて表1〜5に示す。
(成形性)
5段の絞りしごき成形方式によって、アルミニウム樹脂被覆材試料の仕上げ塗膜側を外面にして絞り比2.0のコンデンサケースに成形し、仕上げ塗膜表面を目視観察して評価した。なお、成形の際に、動粘度1.6mm2/sの揮発性プレス油を使用した。
5段の絞りしごき成形方式によって、アルミニウム樹脂被覆材試料の仕上げ塗膜側を外面にして絞り比2.0のコンデンサケースに成形し、仕上げ塗膜表面を目視観察して評価した。なお、成形の際に、動粘度1.6mm2/sの揮発性プレス油を使用した。
成形性において、下記評価基準に基づいて評価し、◎及び○を合格とし、△及び×を不合格とした。
◎:成形前後において仕上げ塗膜表面の状態に変化がない。
○:成形後の仕上げ塗膜表面が若干荒れており、目視によっては確認できないが顕微鏡で拡大すると仕上げ塗膜表面に微小な亀裂が確認できる。
△:成形後の仕上げ塗膜表面が荒れており、目視によって仕上げ塗膜表面に亀裂が確認できる。
×:成形後の仕上げ塗膜表面が荒れており更に筋が観察され、目視によって仕上げ塗膜表面に亀裂が確認できる。
◎:成形前後において仕上げ塗膜表面の状態に変化がない。
○:成形後の仕上げ塗膜表面が若干荒れており、目視によっては確認できないが顕微鏡で拡大すると仕上げ塗膜表面に微小な亀裂が確認できる。
△:成形後の仕上げ塗膜表面が荒れており、目視によって仕上げ塗膜表面に亀裂が確認できる。
×:成形後の仕上げ塗膜表面が荒れており更に筋が観察され、目視によって仕上げ塗膜表面に亀裂が確認できる。
(塗膜密着性)
上記成形性で評価したコンデンサケースの側壁部に対して、テープ剥離試験を実施して仕上げ塗膜の剥離状態を評価した。
上記成形性で評価したコンデンサケースの側壁部に対して、テープ剥離試験を実施して仕上げ塗膜の剥離状態を評価した。
塗膜密着性において、下記評価基準に基づいて評価し、○を合格とし、×を不合格とした。
○:仕上げ塗膜の剥離が確認されなかった。
×:仕上げ塗膜の剥離が確認された。
○:仕上げ塗膜の剥離が確認されなかった。
×:仕上げ塗膜の剥離が確認された。
(絶縁性)
絶縁性試験は、JIS K 6911に準拠して上記アルミニウム樹脂被覆材試料の仕上げ塗膜の表面抵抗を測定した。絶縁性において下記評価基準に基づいて評価し、◎及び○を合格とし、△及び×を不合格とした。
◎:仕上げ塗膜の表面抵抗≧1014Ω
○:1014Ω>仕上げ塗膜の表面抵抗≧1010Ω
△:1010Ω>仕上げ塗膜の表面抵抗≧106Ω
×:106Ω>仕上げ塗膜の表面抵抗
絶縁性試験は、JIS K 6911に準拠して上記アルミニウム樹脂被覆材試料の仕上げ塗膜の表面抵抗を測定した。絶縁性において下記評価基準に基づいて評価し、◎及び○を合格とし、△及び×を不合格とした。
◎:仕上げ塗膜の表面抵抗≧1014Ω
○:1014Ω>仕上げ塗膜の表面抵抗≧1010Ω
△:1010Ω>仕上げ塗膜の表面抵抗≧106Ω
×:106Ω>仕上げ塗膜の表面抵抗
(耐高温水性)
耐高温水性試験は、上記アルミニウム樹脂被覆材試料を、121℃の水蒸気に5日間暴露した。試験後の仕上げ塗膜表面の変色状態を目視で観察した。耐高温水性について下記評価基準に基づいて評価し、○を合格とし、△及び×を不合格とした。
○:仕上げ塗膜表面全体において変色が確認されなかった。
△:仕上げ塗膜表面全体において変色が確認された。
×:仕上げ塗膜が溶解及び剥離し、皮膜が確認されなかった。
耐高温水性試験は、上記アルミニウム樹脂被覆材試料を、121℃の水蒸気に5日間暴露した。試験後の仕上げ塗膜表面の変色状態を目視で観察した。耐高温水性について下記評価基準に基づいて評価し、○を合格とし、△及び×を不合格とした。
○:仕上げ塗膜表面全体において変色が確認されなかった。
△:仕上げ塗膜表面全体において変色が確認された。
×:仕上げ塗膜が溶解及び剥離し、皮膜が確認されなかった。
(耐薬品性)
耐薬品性試験は、上記アルミニウム樹脂被覆材試料を電解液として使用されるγ-ブチロラクトン溶液に20℃で1時間浸漬し、仕上げ塗膜表面における溶解及び変色の状態を目視で観察した。耐薬品性について下記評価基準に基づいて評価し、◎及び○を合格とし、△及び×を不合格とした。
◎:仕上げ塗膜表面全体において、溶解及び変色が確認されなかった。
○:仕上げ塗膜表面全体において溶解が確認されず、一部において変色が確認されるが、製品としての使用に耐え得る。
△:仕上げ塗膜表面全体において溶解が確認されないものの、全体において変色が確認された。
×:仕上げ塗膜表面全体において、溶解及び変色が確認された。
耐薬品性試験は、上記アルミニウム樹脂被覆材試料を電解液として使用されるγ-ブチロラクトン溶液に20℃で1時間浸漬し、仕上げ塗膜表面における溶解及び変色の状態を目視で観察した。耐薬品性について下記評価基準に基づいて評価し、◎及び○を合格とし、△及び×を不合格とした。
◎:仕上げ塗膜表面全体において、溶解及び変色が確認されなかった。
○:仕上げ塗膜表面全体において溶解が確認されず、一部において変色が確認されるが、製品としての使用に耐え得る。
△:仕上げ塗膜表面全体において溶解が確認されないものの、全体において変色が確認された。
×:仕上げ塗膜表面全体において、溶解及び変色が確認された。
(耐食性)
JIS Z2371に基づき、塩水噴霧試験1000時間行い、レイティングナンバー(L.N.)により耐食性を測定した。R.N9.0以上を合格とした。
JIS Z2371に基づき、塩水噴霧試験1000時間行い、レイティングナンバー(L.N.)により耐食性を測定した。R.N9.0以上を合格とした。
表1〜5に示すように本発明例1〜19はいずれも、成形性、塗膜密着性、絶縁性、耐高温水性、耐薬品性及び耐食性がいずれも合格であった。また、そのなかでも、ベース樹脂にポリアクリルアミドAを用いてグリオキサールとの最も好ましい配合量である本発明例1〜5、10、11、18、19は成形性と耐薬品性に際立って優れている。
これに対して、比較例1では、化成皮膜を形成したが仕上げ塗膜を形成しなかったため、絶縁性及び耐食性が不合格であった。
比較例2では、樹脂成分としてポリアクリル酸を用い反応成分であるグリオキサールを用いなかったため、絶縁性の除いた評価が全て不合格であった。
比較例3では、樹脂成分としてエポキシ樹脂を用い反応成分であるグリオキサールを用いなかったため、耐薬品性が不合格であった。
比較例4では、樹脂成分としてポリエステル樹脂を用い反応成分であるグリオキサールを用いなかったため、耐高温水性と耐薬品性が不合格であった。
比較例5では、樹脂成分としてポリアクリルアミド系樹脂を用いたが反応成分であるグリオキサールを用いなかったため、耐高温水性、耐薬品性及び耐食性が不合格であった。
比較例6では、下地処理である化成処理を施さなかったため、成形性と塗膜密着性が不合格であった。
比較例7では、反応成分であるグリオキサールに代えてイソシアネートを用いたため、耐高温水性、耐薬品性及び耐食性が不合格であった。
比較例8では、反応成分であるグリオキサールの配合量が少なかったため、耐高温水性、耐薬品性及び耐食性が不合格であった。
比較例9では、反応成分であるグリオキサールの配合量が多かったため、耐食性が不合格であった。
比較例10では、焼付温度が130℃と低かったため、塗膜密着性及び耐薬品性が不合格であった。
比較例11では、焼付温度が330℃と高かったため、成形性が不合格であった。
比較例12では、焼付時間が0.5秒と短かったため、塗膜密着性及び耐薬品性が不合格であった。
比較例13では、焼付時間が135秒と長かったため、成形性が不合格であった。
比較例14では、仕上げ塗膜の塗膜厚さが0.5μmと薄かったため、絶縁性が不合格であった。
比較例2では、樹脂成分としてポリアクリル酸を用い反応成分であるグリオキサールを用いなかったため、絶縁性の除いた評価が全て不合格であった。
比較例3では、樹脂成分としてエポキシ樹脂を用い反応成分であるグリオキサールを用いなかったため、耐薬品性が不合格であった。
比較例4では、樹脂成分としてポリエステル樹脂を用い反応成分であるグリオキサールを用いなかったため、耐高温水性と耐薬品性が不合格であった。
比較例5では、樹脂成分としてポリアクリルアミド系樹脂を用いたが反応成分であるグリオキサールを用いなかったため、耐高温水性、耐薬品性及び耐食性が不合格であった。
比較例6では、下地処理である化成処理を施さなかったため、成形性と塗膜密着性が不合格であった。
比較例7では、反応成分であるグリオキサールに代えてイソシアネートを用いたため、耐高温水性、耐薬品性及び耐食性が不合格であった。
比較例8では、反応成分であるグリオキサールの配合量が少なかったため、耐高温水性、耐薬品性及び耐食性が不合格であった。
比較例9では、反応成分であるグリオキサールの配合量が多かったため、耐食性が不合格であった。
比較例10では、焼付温度が130℃と低かったため、塗膜密着性及び耐薬品性が不合格であった。
比較例11では、焼付温度が330℃と高かったため、成形性が不合格であった。
比較例12では、焼付時間が0.5秒と短かったため、塗膜密着性及び耐薬品性が不合格であった。
比較例13では、焼付時間が135秒と長かったため、成形性が不合格であった。
比較例14では、仕上げ塗膜の塗膜厚さが0.5μmと薄かったため、絶縁性が不合格であった。
本発明により、高い深絞り成形性、アルミニウム基材と仕上げ塗膜との密着性、成形後における絶縁性、過酷な環境にも耐え得る耐高温水性と耐食性、洗浄液や電解液が付着しても変性しない優れた耐薬品性を有し、更に、コスト面や安全性にも優れるコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材が提供される。また、これを用いたコンデンサケース、ならびに、このコンデンサケースを用いたコンデンサも同様に、優れた成形性、塗膜密着性、絶縁性、耐高温水性、耐食性及び耐薬品性、ならびに、コスト面や安全性においても優れる。更に、前記コンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材を容易、かつ、再現性よく製造することができる製造方法も提供される。
Claims (5)
- アルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に形成した化成皮膜と、当該化成皮膜上に形成した仕上げ塗膜とを備えるアルミニウム樹脂被覆材であって、前記仕上げ塗膜が、ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールとを含み、前記ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールの重量比率が、ポリアクリルアミド系樹脂:グリオキサール=100:30〜300であり、1〜20μmの厚さを有することを特徴とするコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材。
- 請求項1に記載のアルミニウム樹脂被覆材を用いたことを特徴とするコンデンサケース。
- 請求項2に記載のコンデンサケースを用いたことを特徴とするコンデンサ。
- アルミニウム基材の少なくとも一方の表面を、Cr、Zr及びTiから選択される1種以上を含有する化成皮膜用処理液により化成処理することよって化成皮膜を形成する化成皮膜形成工程と;当該化成皮膜の表面にポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールとを含み、前記ポリアクリルアミド系樹脂とグリオキサールの重量比率が、ポリアクリルアミド系樹脂:グリオキサール=100:30〜300である塗料組成物を塗布する塗布工程と;塗料組成物を塗布したアルミニウム基材を温度150〜320℃で1〜120秒焼付けて厚さ1〜20μmの仕上げ塗膜を形成する仕上げ塗膜形成工程と;を含むことを特徴とするコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法。
- 前記化成処理の方法が、塗布型処理方法、浸漬式処理方法及びスプレー式処理方法のいずれかの処理方法である、請求項4に記載のコンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法。
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JP2012111285A JP2013239556A (ja) | 2012-05-15 | 2012-05-15 | コンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材、アルミニウム樹脂被覆材を用いたコンデンサケース、コンデンサケースを用いたコンデンサ、ならびに、コンデンサケース用アルミニウム樹脂被覆材の製造方法 |
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JP2015146375A (ja) * | 2014-02-03 | 2015-08-13 | 株式会社Uacj | コンデンサケース用アルミニウム塗装材 |
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- 2012-05-15 JP JP2012111285A patent/JP2013239556A/ja active Pending
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