JP4872182B2 - アルミニウム塗装材及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム塗装材及びその製造方法

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Description

この発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に耐食性に優れた塗膜を有するアルミニウム塗装材及びその製造方法に関する。
アルミニウム材の耐食性処理にはクロメート処理やリン酸クロメート処理等のクロム系表面処理剤を用いる方法がよく知られており、これらの方法は現在でも広く行われている(特許文献1〜3参照)。
しかしながら、近年、環境負荷物質の使用を規制しようとする気運が世界的に高まってきており、EUでは廃自動車指令等により6価のクロムに関する法規制が始まっている。
また、本発明者は、分子内に3つ以上の一級アルコール性水酸基を有する3価以上の多価アルコールを併用することにより3価のクロム(硝酸クロム)を使用することを提案しており(特許文献4参照)、この3価のクロムについては今のところ法規制はされていないが、加熱すると一部が6価のクロムに変化するという報告もあり、6価及び3価のクロムを全く含まない、いわゆる「ノンクロム」であって環境にやさしい耐食性に優れた表面処理剤の開発が望まれている。
特開平1-299,877号公報 特公平02-42,389号公報 特公平03-77,440号公報 特開2000-256,868号公報
そこで、本発明者は、ノンクロムであってアルミニウム材の表面に優れた耐食性能を付与する塗膜が形成されているアルミニウム塗装材について鋭意検討した結果、表面の接触角が30°以下であるアルミニウム材を用い、その表面にシリコン元素を含む塗膜(シリコン含有塗膜)を形成せしめることにより、得られたアルミニウム塗装材が優れた耐食性能を発揮することを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面にシリコン元素を含むシリコン含有塗膜を有して優れた耐食性能を発揮するアルミニウム塗装材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、このような表面にシリコン元素を含むシリコン含有塗膜を有して優れた耐食性能を発揮するアルミニウム塗装材を製造するための方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなり、pH8以上のアルカリ溶液によるアルカリ処理及び/又はpH6以下の酸溶液による酸処理により前処理されて接触角が30°以下であるアルミニウム材の表面に、アクリルシリコン系塗料、アクリルウレタンシリコン系塗料、又はアクリルシリコン系エマルジョン塗料を塗布し焼付乾燥してシリコン元素を含む膜厚1μm以上10μm以下のシリコン含有塗膜が形成されており、このシリコン含有塗膜は焼付乾燥後にナノインデンテーション法で測定した複合弾性率E*が300kgf/mm2以上であることを特徴とするアルミニウム塗装材である。
また、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材をpH8以上のアルカリ溶液によるアルカリ処理及び/又はpH6以下の酸溶液による酸処理により前処理してその表面の接触角を30°以下に調整し、次いでアルミニウム材の表面にアクリルシリコン系塗料、アクリルウレタンシリコン系塗料、又はアクリルシリコン系エマルジョン塗料を塗布し焼付乾燥してシリコンを含む膜厚1μm以上10μm以下のシリコン含有塗膜を形成することを特徴とするアルミニウム塗装材の製造方法である。
本発明において、アルミニウム材としては、アルミニウム又はアルミニウム合金の圧延材、押出形材、ダイカスト材、鋳物材等や、これらを適宜加工して得られる加工材、更にはこれらの材料を適宜組み合わせて得られる組合せ材等が挙げられる。
本発明において、表面にシリコン含有塗膜を形成する前の上記アルミニウム材の表面の接触角については、30°以下、好ましくは20°以下、より好ましくは10°以下であるのがよく、このアルミニウム材の表面の接触角が30°を超えると、アルミニウム材の表面とシリコン含有塗膜との間の密着性が不十分になり、結果として所望の耐食性能を発揮し得なくなる場合がある。
上記アルミニウム材の表面に形成されるシリコン含有塗膜は、アルミニウム材の表面にシリコン元素(Si)を含むシリコン含有塗料を塗布して形成される塗膜であり、具体的にはシロキサン結合を有するモノマー又はポリマーを含有する塗料、又は、アルコキシシラン及び/又はシラノール基を含有する塗料である。このような塗料の好ましい具体例としては、例えば、アクリルシリコン系塗料、アクリルウレタンシリコン系塗料、及びアクリルシリコン系エマルジョン塗料を挙げることができる
本発明において、アルミニウム材の表面に形成される焼付乾燥後のシリコン含有塗膜は、ナノインデンテーション法で測定した複合弾性率E*が300kgf/mm2以上、好ましくは400kgf/mm2以上1,500kgf/mm2以下、より好ましくは400kgf/mm2以上1,000kgf/mm2以下であるのがよい。このシリコン含有塗膜の複合弾性率E*が300kgf/mm2より小さくなると、十分な耐食性を発揮せしめるのが難しくなる。ここで、ナノインデンテーション(nano-indentation)法で測定した複合弾性率E*とは、ナノインデンテーション テスター(例えば、エリオニクス社製ナノインデンテーション テスターENT-1100a等)を用いて測定された塗膜と測定圧子の両方を含んだ弾性率であり、例えば、トライボロジスト第40巻第3号第199-204頁(1995)に詳細に説明されている。
また、本発明のシリコン含有塗膜は、それ自体がアルミニウム塗装材の最外層表面を形成するものであってもよいが、このシリコン含有塗膜がその上に上塗り塗膜を形成し積層するためのプライマー層として形成されてもよい。この目的で形成されるシリコン含有塗膜の膜厚については、通常0.1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上10μm以下であるのがよく、0.1μmより薄いと十分な耐食性能が発揮されず、反対に、20μmより厚くなると上塗り塗膜との密着性が低下するという問題が生じる。
そして、本発明のシリコン含有塗膜がプライマー層として用いられる場合、そのシリコン含有塗膜の上に上塗り塗料を塗布して上塗り塗膜が形成される。ここで用いられる上塗り塗料については、特に制限はなく、例えば、アクリル系塗料、ポリエステル系塗料、ウレタン系塗料、エポキシ系塗料、フッ素系塗料、アクリルシリコン系塗料、ウレタンシリコン系塗料、アクリルウレタンシリコン系塗料、アルカリシリケート系塗料、コロイダルシリカ等を使用したシリカゾル系塗料、酸化チタン系塗料、セラミックス系塗料、本発明のシリコン含有塗料等を挙げることができ、有機系、無機系、有機・無機ハイブリッド系等のいずれの塗料であってもよい。また、この上塗り塗膜については、単一層塗膜に限らず、二層以上の多層塗膜でもよく、更に、その膜厚については特に制限されないが通常は1〜100μmが好ましい。
ここで、本発明のアルミニウム塗装材を製造する際に用いる表面の接触角が30°以下のアルミニウム材については、結果として表面の接触角が30°以下であればよいので、どのような方法で表面の接触角の調整がなされていてもよく、例えば、シリコン含有化合物を含む又は含まないアルカリ溶液によるアルカリ処理、シリコン含有化合物を含む又は含まない酸溶液による酸処理、界面活性剤等を含む中性溶液による界面活性剤溶液処理、有機溶剤等を用いた脱脂処理あるいはこれらの処理を組み合わせて行う処理等により前処理を行って調整するのがよく、更に、必要により上記前処理後の接触角を30°以下に維持するために、上記のアルカリ処理及び/又は酸処理による前処理後にその表面にシリコン含有化合物を含有する溶液を塗布して乾燥する第二の前処理を行って調整するのがよく、表面に付着した有機物を可及的に除去するという観点から、好ましくはpH8以上のアルカリ溶液によるアルカリ処理及び/又はpH6以下の酸溶液による酸処理により前処理をして、若しくは、更に第二の前処理をしてその表面の接触角を30°以下に調整するのがよい。
上記pH8以上のアルカリ溶液によるアルカリ処理及び/又はpH6以下の酸溶液による酸処理により前処理を行う際に用いるpH8以上のアルカリ溶液については、pH8以上の処理液であればよく、例えば、市販のアルカリ性脱脂剤で調製したもの、苛性ソーダ等のアルカリ試薬で調製したもの、又はこれらのものを混合して調製したもの等が挙げられ、また、pH6以下の酸溶液については、市販の酸性脱脂剤で調製したもの、硫酸、硝酸、フッ酸、リン酸等の鉱酸や酢酸、クエン酸等の有機酸や、これらの酸を混合して得られた混合酸等の酸試薬を用いて調製したもの等が挙げられる。
シリコン含有化合物を含有するpH8以上のアルカリ溶液については、例えば珪酸ソーダ、アルカリシリケートを用いた市販の脱脂剤や、苛性ソーダ等のアルカリ試薬にコロイダルシリカ等を混ぜたもの等が挙げられ、また、シリコン含有化合物を含有するpH6以下の酸溶液については、例えば市販の脱脂剤や、硫酸、硝酸、フッ酸、リン酸等の鉱酸や、酢酸、クエン酸等の有機酸や、これらの酸を混合して得られた混合酸等の酸試薬にコロイダルシリカ等を混ぜたもの等が挙げられる。更に、第二の前処理を行うためのシリコン含有化合物を含有する溶液については、例えばコロイダルシリカ、アルコキシシラン、アルコキシシランの加水分解物等を含有する溶液で、水系又は溶剤系の溶液が挙げられる。
そして、アルミニウム材を前処理する方法についても特に制限はなく、例えば、浸漬法、スプレー法等の方法により、室温から90℃まで、好ましくは室温から70℃までの温度で、1工程1秒から15分程度、好ましくは5秒から10分程度の条件で行うのがよい。
なお、上記アルミニウム材の表面は、上記の前処理によってエッチングされてもよく、また、されなくてもよい。また、アルミニウム材の前処理をしてその表面の接触角を調整した後は、必要により水洗処理してもよく、また、2種以上の処理を組み合わせて前処理する場合には、各処理の間に及び/又は最終処理の後に水洗処理してもよく、これらの水洗処理には工業用水、地下水、水道水、イオン交換水等を用いることができ、製造されるアルミニウム塗装材に応じて適宜選択される。更に、前処理されて接触角の調整がされたアルミニウム材については、必要により乾燥処理されるが、この乾燥処理についても、室温で放置する自然乾燥でよいほか、エアーブロー、ドライヤー、オーブン等を用いて行う強制乾燥でもよい。
このようにして表面の接触角を調整して得られたアルミニウム材については、次にその表面に上記のシリコン含有塗料が塗布されてシリコン含有塗膜が形成されるが、この際の塗装方法については、例えばロールコート法、スプレーコート法、浸漬法、バーコート法、静電塗装法等によるプレコート法であっても、また、スプレーコート法、スピンコート法、浸漬法、静電塗装法等によるポストコート法であってもよい。
そして、塗装後の乾燥処理についても、塗料に応じた乾燥方法を採用すればよく、例えば、エアーブロー、ドライヤー、オーブン等を用いて室温から300℃の範囲で5秒から24時間行う方法を例示することができる。
また、アルミニウム材の表面に形成されたシリコン含有塗膜をプライマー層として用い、その上に上塗り塗膜を設ける場合についても、従来のプライマー層の上に上塗り塗料を塗布して上塗り塗膜を形成せしめる場合と変わりなく、例えば、シリコン含有塗膜の上にロールコート法、スプレーコート法、浸漬法、バーコート法、静電塗装法等によるプレコート法や、スプレーコート法、スピンコート法、浸漬法、静電塗装法等によるポストコート法で上塗り塗料を塗布し、次いで上塗り塗料に応じた乾燥方法で乾燥すればよい。
本発明のアルミニウム塗装材は、6価及び3価のクロムを全く含まない、いわゆるノンクロムでありながら、優れた耐食性能を有するものであり、環境にやさしい材料である。
また、本発明のアルミニウム塗装材の製造方法によれば、このようなノンクロムでありながら、優れた耐食性能を有するアルミニウム塗装材を容易に製造することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
〔実施例1〜7及び比較例1〜3〕
大きさ70mm×150mm×0.8mmのアルミニウム板(JIS 1100)を用意し、各実施例1〜7及び比較例1〜3において下記の前処理を行って各アルミニウム板の表面の接触角を調整した。
上記各実施例1〜7及び比較例1〜3で前処理された各アルミニウム板について、接触角計(協和界面化学社製:CA-A型)を用い、純水を使用して表面の接触角(前処理後の接触角)を測定した。
結果を表1に示す。
[前処理方法]
実施例1では、シリコン含有化合物を含むシリケート系アルカリ性脱脂剤(脱脂剤A:日本ペイント社製商品名:サーフクリーナー155)の2wt%水溶液を用い、60℃で5秒間浸漬した後、水洗して乾燥させた。
実施例2では、アルカリ性脱脂剤(脱脂剤B:日本パーカライジング社製商品名:ファインクリーナー315)の1.5wt%水溶液を用い、65℃で15秒間浸漬した後、水洗して乾燥させた。
実施例3では、上記のアルカリ性脱脂剤(脱脂剤A)の2wt%水溶液を用い、60℃で1分間浸漬した後、水洗し、次いで10wt%-硝酸水溶液中に室温下で1分間浸漬し、水洗して乾燥させた。
実施例4では、10wt%-硫酸水溶液中に40℃で3分間浸漬し、水洗した後、1wt%-コロイダルシリカ水溶液(日産化学社製商品名:スノーテックスST-C)を塗布し、乾燥させた。
実施例5では、アルカリ性脱脂剤(脱脂剤A)の2wt%水溶液を用い、80℃で15秒間浸漬した後、水洗して乾燥させた。
比較例1では、アセトンに5分間浸漬した後、水洗して乾燥させた。
比較例2では、230℃で10分間加熱し、表面に付着した有機物を分解させた。
比較例3では、アルカリ性脱脂剤(脱脂剤A)の2wt%水溶液を用い、60℃で20秒間浸漬した後、水洗して乾燥させた。
以上のようにして前処理した後の各実施例1〜7及び比較例1〜3のアルミニウム板について、シリコン含有塗料としてアクリルシリコン系塗料(塗料A:エスケー化研社製商品名:セラタイトSi)、アクリルウレタンシリコン系塗料(塗料B:日本油脂社製商品名:ベルクリーン#1000)、及びアクリルシリコン系エマルジョン塗料(塗料C)を用い、下記の方法で上記シリコン含有塗料を塗布し、アルミニウム板の表面にシリコン含有塗膜を有する各試験片(アルミニウム塗装材)を形成した。
実施例1及び2では、塗料Aをバーコート塗装し、試験片の最高到達温度(PMT)240℃で1分間焼き付けて乾燥させた。
実施例3及び4では、塗料Bをスプレー塗装し、PMT170℃で20分間焼き付けて乾燥させた。
実施例5では、塗料Cをバーコート塗装し、PMT230℃で40秒間焼き付けて乾燥させた。
比較例1及び2では、塗料Aをバーコート塗装し、PMT240℃で1分間焼き付けて乾燥させた。
比較例3では、塗料Bをバーコート塗装し、PMT160℃で1分間焼き付けて乾燥させた。
このようにして得られた実施例1〜7及び比較例1〜3の各試験片について、形成されたシリコン含有塗膜の膜厚及び複合弾性率E*を測定すると共に、塩水噴霧試験(SST試験、JIS K 5400)及び耐湿試験(JIS K 5400)を行い、◎:2000時間後の耐食性能で塗膜に異常が認められないもの、○:1000時間後の耐食性能で塗膜に異常が認められないもの、×:1000時間後の耐食性能で塗膜に腐食等の異常が認められるもの、の基準で評価した。
なお、膜厚についてはkett製万能型膜厚計LZ-200を用いて測定し、また、複合弾性率E*についてはエリオニクス製ナノインデンテーション テスターENT-1100aを用いて以下の測定条件で測定した。
圧子:ダイヤモンド三角錐圧子(ベルコビッチ圧子)
試験荷重:20mgf
分割数:1,000
ステップインターバル:40msec.
測定面:焼付乾燥後の塗膜表面
結果を表1に示す。
Figure 0004872182
〔実施例6〜9及び比較例4,5〕
上記と同じアルミニウム板に下記に示す各実施例6〜9及び比較例4,5の前処理を行って各アルミニウム板の表面の接触角を調整した。
上記各実施例6〜9及び比較例4,5で前処理された各アルミニウム板について、接触角計(協和界面化学社製:CA-A型)を用い、純水を使用して表面の接触角(前処理後の接触角)を測定した。
結果を表2に示す。
[前処理方法]
実施例では、脱脂剤Aの2wt%水溶液を用い、60℃で15秒間浸漬した後、水洗して乾燥させた。
実施例では、アルカリ性脱脂剤(脱脂剤D:日本ペイント社製商品名:サーフクリーナー53)の2wt%水溶液を用い、60℃で20秒間浸漬した後、水洗し、次いで10wt%-硝酸水溶液中に室温下で20秒間浸漬し、水洗して乾燥させた。
実施例では、脱脂剤Cの1wt%水溶液を用い、50℃で2分間浸漬した後、水洗し、次いで10wt%-硝酸水溶液中に室温下で1分間浸漬し、水洗して乾燥させた。
実施例では、アルカリ性脱脂剤Aの2wt%水溶液を用い、70℃で15秒間浸漬した後、水洗して乾燥させた。
比較例4では、脱脂剤Dの2wt%水溶液を用い、60℃で1秒間浸漬した後、水洗して乾燥させた。
比較例5では、脱脂剤Aの2wt%水溶液を用い、60℃で20秒間浸漬した後、水洗して乾燥させた。
以上のようにして前処理した後の各実施例6〜9及び比較例4,5のアルミニウム板について、プライマー層(シリコン含有塗膜)形成用のシリコン含有塗料としてアクリルシリコン系塗料(塗料A)及びアクリルウレタンシリコン系塗料(塗料B)、及びアクリルシリコン系エマルジョン塗料(塗料C)を用い、また、上塗り塗膜形成用の上塗り塗料としてポリエステル系塗料(塗料a:大日本塗料社製商品名:Vニット#500)、エポキシ系塗料(塗料b:大日本塗料社製商品名:DIF R95)、及び、アクリル系塗料(塗料c:日本ペイント社製商品名:スーパーラック)を用い、下記の方法でそれぞれプライマー層(シリコン含有塗膜)と上塗り塗膜とを形成し、各実施例6〜9及び比較例4、5の試験片(アルミニウム塗装材)を調製した。
実施例においては、塗料Aをバーコート塗装し、PMT240℃で1分間焼き付けて乾燥させ、次いで塗料aをバーコート塗装し、PMT220℃で1分間焼き付けて乾燥させた。
実施例においては、塗料Aをバーコート塗装し、PMT240℃で1分間焼き付けて乾燥させ、次いで塗料bをバーコート塗装し、PMT220℃で1分間焼き付けて乾燥させた。
実施例においては、塗料Cをスプレー塗装し、PMT180℃で10分間焼き付けて乾燥させ、次いで塗料cをスプレー塗装し、PMT170℃で20分間焼き付けて乾燥させた。
実施例においては、塗料Cをバーコート塗装し、PMT230℃で40秒間焼き付けて乾燥させ、次いで塗料aをバーコート塗装し、PMT220℃で1分間焼き付けて乾燥させた。
比較例4においては、塗料Bをスプレー塗装し、PMT150℃で5分間焼き付けて乾燥させ、次いで塗料cをスプレー塗装し、PMT170℃で20分間焼き付けて乾燥させた。
比較例5においては、塗料Bをバーコート塗装し、PMT180℃で1分間焼き付けて乾燥させ、次いで塗料aをバーコート塗装し、PMT200℃で1分間焼き付けて乾燥させた。
このようにして得られた実施例6〜9及び比較例4、5の各試験片について、形成されたシリコン含有塗膜の膜厚及び複合弾性率E*並びに上塗り塗膜の膜厚を測定すると共に、上記と同様にして1000時間後及び2000時間後の耐食性能を評価した。
なお、上塗り塗膜の膜厚については、kett製万能型膜厚計LZ-200を用いて測定し、複合弾性率E*については上記と同様にして測定した。但し、測定面については、測定したい塗膜が内層となっていて表面からの測定ができないので、焼付乾燥後の塗膜断面の鏡面研磨面を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 0004872182
上記の表1及び表2に示す結果から明らかなように、アルミニウム材の表面の接触角が30°以下であって、その表面にシリコン含有塗膜が形成されたアルミニウム塗装材は、非常に優れた耐食性を示している。
本発明のアルミニウム塗装材は、6価及び3価のクロムを全く含まない、いわゆるノンクロムでありながら、優れた耐食性能を有するものであり、環境にやさしい材料であるので、広範囲の用途に安心して用いることができ、その工業的価値の高いものである。
また、本発明のアルミニウム塗装材の製造方法によれば、このようなノンクロムでありながら、優れた耐食性能を有するアルミニウム塗装材を容易に製造することができる。

Claims (8)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなり、pH8以上のアルカリ溶液によるアルカリ処理及び/又はpH6以下の酸溶液による酸処理により前処理されて接触角が30°以下であるアルミニウム材の表面に、アクリルシリコン系塗料、アクリルウレタンシリコン系塗料、又はアクリルシリコン系エマルジョン塗料を塗布し焼付乾燥してシリコン元素を含む膜厚1μm以上10μm以下のシリコン含有塗膜が形成されており、このシリコン含有塗膜は焼付乾燥後にナノインデンテーション法で測定した複合弾性率E*が300kgf/mm2以上であることを特徴とするアルミニウム塗装材。
  2. シリコン含有塗膜がプライマー層を形成しており、このプライマー層の上に上塗り塗膜が形成される請求項1に記載のアルミニウム塗装材。
  3. 前処理に用いるアルカリ溶液及び/又は酸溶液がシリコン含有化合物を含有する請求項1又は2に記載のアルミニウム塗装材。
  4. アルミニウム材は、アルカリ処理及び/又は酸処理による前処理後に、その表面にシリコン含有化合物を含有する溶液を塗布し、次いで乾燥する第二の前処理が行われる請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム塗装材。
  5. ナノインデンテーション法によるシリコン含有塗膜の測定条件は、圧子がダイヤモンド三角錐圧子であり、試験荷重が20mgfであり、分割数が1,000であり、ステップインターバルが40msec.であり、また、測定面がシリコン含有塗膜の焼付乾燥後の表面若しくは塗膜断面の鏡面研磨面である請求項1〜のいずれかに記載のアルミニウム塗装材。
  6. ダイヤモンド三角錐圧子がベルコビッチ圧子である請求項に記載のアルミニウム塗装材。
  7. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材をpH8以上のアルカリ溶液によるアルカリ処理及び/又はpH6以下の酸溶液による酸処理により前処理してその表面の接触角を30°以下に調整し、次いでアルミニウム材の表面にアクリルシリコン系塗料、アクリルウレタンシリコン系塗料、又はアクリルシリコン系エマルジョン塗料を塗布し焼付乾燥してシリコンを含む膜厚1μm以上10μm以下のシリコン含有塗膜を形成することを特徴とするアルミニウム塗装材の製造方法。
  8. シリコン含有塗膜がプライマー層であり、このプライマー層の上に上塗り塗膜を形成する請求項に記載のアルミニウム塗装材の製造方法。
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