JP2002321308A - 成形性に優れた撥水性アルミニウム塗装材 - Google Patents

成形性に優れた撥水性アルミニウム塗装材

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JP2002321308A
JP2002321308A JP2001129265A JP2001129265A JP2002321308A JP 2002321308 A JP2002321308 A JP 2002321308A JP 2001129265 A JP2001129265 A JP 2001129265A JP 2001129265 A JP2001129265 A JP 2001129265A JP 2002321308 A JP2002321308 A JP 2002321308A
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Midori Narita
緑 成田
Tsukasa Kasuga
司 春日
Akihiro Kiyotani
明弘 清谷
Teruhito Maruyama
照仁 丸山
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Dow Corning Asia Ltd
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絞り加工、曲げ加工等のプレス加工を始めと
する成形を行なうに際して、表面に形成された硬化被膜
において、亀裂や皺、剥離等の発生が有利に防止され得
て、極めて優れた成形性を実現すると共に、そのような
成形後においても、良好なる撥水性を発揮し得るアルミ
ニウム塗装材を提供すること。 【解決手段】 アルミニウム材料の表面に、特定のオル
ガノポリシロキサンの100重量部に対して、シラノー
ル基を有する特定のオルガノポリシロキサンを、3〜7
0重量部の割合にて含有する組成物を、塗布、硬化せし
めることによって、成形性に優れた撥水性アルミニウム
塗装材を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、成形性に優れた撥水性アルミニ
ウム塗装材に係り、特に、絞り加工や曲げ加工等といっ
た成形加工の後においても、かかるアルミニウム塗装材
の表面上に形成された硬化塗膜に亀裂や皺等の欠陥が発
生することなく、優れた撥水性を維持するアルミニウム
塗装材に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、空気調和機等の熱交換器におい
ては、その軽量化や熱効率の向上、更にはコンパクト化
等の要請に応えるために、各種のアルミニウム材料から
なるアルミニウムフィンが用いられてきており、また、
そのようなフィンの間隔を出来るだけ狭くする設計が取
り入れられて来ている。例えば、空気調和機の蒸発器等
の熱交換器においては、アルミニウムフィンの表面温度
が大気の露点以下となり、フィンの表面に凝縮によって
水滴が付着したり、また、暖房運転時の室外機では、大
気温度が低いため、フィン表面の水滴が霜となって凍り
付いたり等することによって、通風抵抗が増大し、且つ
風量が減少して、熱交換効率が著しく低下する問題を内
在するものであった。
【0003】このため、その解決策として、現状では、
アルミニウムフィン表面に対して親水性化の塗装を施
し、フィン表面に付着する水滴を流れ落とすように、ま
た、除霜時の水滴の残留を最小にするようにしている
が、暖房運転時間を延長する等には至らず、また、フィ
ン表面に形成される親水性の塗膜が経時的に劣化し、そ
の劣化と共に、水滴の除去性能も低下することとなるた
めに、耐久性においても問題を有するものであった。
【0004】一方、そのような親水性化の塗装に代え
て、特開平5−117637号公報には、有機系樹脂溶
液と微粒子とからなる撥水性コーティング組成物を塗布
することによって、フィン表面を超撥水化せしめて、着
霜時間を長くすることが検討されているのではあるが、
撥水性が未だ充分でなく、また耐久性に問題があるとこ
ろから、実用に供することが出来ないものであった。
【0005】また、そのような超撥水性特性を与える超
撥水性塗料には、スプレー塗装用にフッ素粒子を含む塗
料が多く用いられているのであるが、それらの塗料で
は、塗膜厚さが60μm以上と厚いものが殆どであって
〔斎藤ら著「表面技術」 Vol.47、No.7(19
96)、p.558〜561〕、そのために、熱伝達効
率が低く、フィン用材料としては不適当なものとなるの
であり、また耐久性に問題があるものも多いことが認め
られている。
【0006】さらに、特開平11−166798号公報
においては、滑水性材料をコーティングすることによっ
て、水滴が流れ易くなると共に、着霜或いは着氷しても
短時間で除霜することが出来るようになったのである
が、そのようなコーティング膜は、フッ素系高分子とシ
リコーン系樹脂をグラフトさせたものであるところか
ら、所望とする滑水性能を実現するためには、塗膜厚さ
を10μm以上としなければならず、塗膜の熱伝導率は
アルミニウム材等に比して極めて低いために、却って、
熱交換効率が低下し、所期の熱交換器の性能が阻害され
たり、また、耐プレス性等の成形性に劣る等といった問
題が惹起されることとなったのである。
【0007】また、特開2000−119642号公報
には、RSiO3/2 単位からなるシリコーンレジンと特
定構造のポリアルキル水素シロキサンとから構成される
撥水性塗膜形成用組成物が提案され、そして、そのよう
な組成物によって、塗膜の表面が平滑とされて、その表
面に付着した水滴が、転がり落ちるのではなく滑り降り
るようになり、極めて優れた撥水性能が有利に実現され
得るようになったのであるが、このような組成物よりな
る撥水性塗膜にあっては、柔軟性や屈曲性、延伸性等と
いった特性が今一つ充分でなく、アルミニウム塗装材の
成形加工の際に、塗膜がアルミニウム材の変形に追従し
得ず、亀裂や皺、更には剥離を発生せしめる恐れがあっ
た。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、絞り加工、曲げ加工等のプレス加工を始めとす
る成形加工を行なうに際して、表面に形成された硬化塗
膜において、亀裂や皺、剥離等の発生が有利に防止され
得て、極めて優れた成形性を実現すると共に、そのよう
な成形後においても、良好なる撥水性を発揮し得るアル
ミニウム塗装材を提供することにある。
【0009】
【解決手段】そして、本発明者らは、そのような課題を
解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のオルガノポリ
シロキサンに対して、シラノール基を有する特定のオル
ガノポリシロキサンを組み合わせ、それらを、特定の割
合で配合せしめて、塗膜形成用組成物と為すことによっ
て、優れた撥水性を実現すると共に、従来にない極めて
優れた柔軟性や屈曲性、延伸性等の特性が付与された塗
膜(被膜)が形成され得ることを見出したのである。
【0010】従って、本発明は、かかる知見に基づいて
完成されたものであって、その要旨とするところは、成
形性に優れた撥水性アルミニウム塗装材にして、アルミ
ニウム材料の表面に、下記化3の一般式(1)にて表わ
されるオルガノポリシロキサンの100重量部と、下記
化4の一般式(2)にて表わされるシラノール基を有す
るオルガノポリシロキサンの3〜70重量部とを含有す
る組成物からなる硬化塗膜が形成せしめられて、撥水性
表面とされていることを特徴とするアルミニウム塗装材
にある。
【化3】
【化4】
【0011】すなわち、このような本発明に従うアルミ
ニウム塗装材にあっては、特定のオルガノポリシロキサ
ンと、シラノール基を有する特定のオルガノポリシロキ
サンとが、所定の割合にて配合せしめられた組成物から
なる硬化塗膜が形成せしめられてなるものであるところ
から、かかる硬化塗膜が、上述せるように、従来に比し
て、著しく優れた柔軟性や屈曲性、延伸性等といった特
性を実現することとなり、以て、そのような硬化塗膜が
形成せしめられたアルミニウム塗装材に、プレス加工等
の成形加工を施しても、かかる硬化塗膜に、亀裂や剥離
等の問題が惹起されず、優れた成形性が発揮される得る
ようになるのである。
【0012】しかも、かかるアルミニウム塗装材にあっ
ては、その成形後においても、撥水性能が低下すること
なく、耐久性にも優れるという利点を有しているのであ
る。
【0013】なお、この本発明に従うアルミニウム塗装
材の好ましい態様の一つによれば、前記組成物が、エポ
キシ基又はアシロキシ基を有するシランからなる密着性
向上剤を、0.01〜70重量部の割合において、更に
含有していることが、望ましく、これによって、塗膜が
アルミニウム材料表面上に優れた密着性をもって形成さ
れることとなり、以て塗膜の剥離等の問題が有利に解消
され、より一層優れた成形性が得られるようになるので
ある。
【0014】また、本発明に従うアルミニウム塗装材の
他の望ましい態様の一つによれば、前記組成物が、硬化
触媒又は有機過酸化物からなる硬化促進剤を、0.01
〜30重量部の割合において、更に含有していること
が、望ましく、このような硬化促進剤を採用することに
よって、塗膜を形成せしめる際の硬化時間を、効果的に
短縮することが可能となる。
【0015】さらに、かかる本発明に従うアルミニウム
塗装材の別の望ましい態様の一つによれば、アルミニウ
ム材料に対する塗膜形成用組成物の塗装を有利に行なう
べく、前記組成物が、希釈溶剤の添加により、液状組成
物とされている構成が、好適に採用されることとなる。
【0016】また、本発明においては、前記硬化塗膜
が、前記アルミニウム材料表面に設けた化成処理皮膜及
び/又はプライマー塗膜の上に形成されていることが、
更に望ましく、このような多層構造を採用することによ
って、プレス加工、その中でも、特に強い応力が付与さ
れる絞り加工においても、塗膜に亀裂や剥離等の生じな
い優れた成形性及び撥水性が実現され得るのである。
【0017】
【発明の実施の形態】ところで、本発明に従うアルミニ
ウム塗装材を構成するアルミニウム材料としては、従来
から公知の各種のアルミニウム若しくはアルミニウム合
金からなるものであれば、その形状は何等限定されるも
のではなく、如何なる形状のものでも対象とすることが
出来ることは、言うまでもないところである。例えば、
アルミニウム塗装材を、熱交換器のフィン材等に適用す
る場合には、かかるアルミニウム材料としては、一般
に、そのようなフィン材によく用いられている薄板材
が、有利に採用されることとなる等、その用途等に応じ
て、適宜に決定されるものである。
【0018】そして、そのようなアルミニウム材料の表
面に、前記化3の一般式(1)で表わされるオルガノポ
リシロキサンと前記化4の一般式(2)で表わされるシ
ラノール基を有するオルガノポリシロキサンとが、所定
の配合割合にて含有された組成物からなる硬化塗膜を形
成せしめることによって、本発明の目的とする成形性に
優れたアルミニウム塗装材が得られることとなるのであ
る。
【0019】具体的には、そのような硬化塗膜を形成す
る組成物に必須とされる成分の一つである一般式(1)
で表わされるオルガノポリシロキサンは、加水分解縮合
生成物であって、レジン乃至はレジン状の構造を採るも
のである。
【0020】なお、かかる一般式(1)において、R1
及びR3 は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基
を示すものであり、そして、そのような炭素数1〜5の
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブ
チル基等を挙げることが出来、その中でも、特に、メチ
ル基が、好適に採用されることとなる。また、一般式
(1)におけるR2 及びR4 は、それぞれ独立に水酸基
又は炭素数1〜5のアルコキシ基から選ばれる1種以上
の置換基を示している。ここにおいて、そのようなアル
コキシ基の種類や、一般式(1)で表わされるオルガノ
ポリシロキサンの1分子中に占める水酸基とアルコキシ
基との比率は、特に限定されるものではないが、前者の
アルコキシ基にあっては、その炭素数が減少するに従っ
て反応性が高くなり、また、後者の場合には、アルコキ
シ基に対する水酸基の比率が高くなるに従って、反応性
が向上するものの、組成物の保存安定性が低下するよう
になるところから、その組成物の使用態様等に応じて、
適宜に選択乃至は調整されることとなる。
【0021】また、上述の本発明に採用される、一般式
(1)で表わされるオルガノポリシロキサンにあって
は、その製造工程で、例えば、1官能単位[Ra 3SiO
1/2 ](但し、Ra は有機基である。)、4官能単位
[SiO4/2 ]等が副生し、残存することがあるが、本
発明の特徴的な効果の発揮に影響を与えない程度であれ
ば、それらの残存する単位を有していても何等差支えな
いことは、言うまでもないところである。
【0022】さらに、そのような一般式(1)におい
て、[R1 22 mSiO(2-m)/2 ]単位と [R34 nSi
(3-n)/2 ]単位の繰り返し数をそれぞれ示す、a及び
bは、0.70≦b/(a+b)≦0.95、より好適
には、0.80≦b/(a+b)≦0.95なる不等式
を満足する数値であることが、望ましい。けだし、かか
る〔b/(a+b)〕の値が過小である場合には、アル
ミニウム材料の表面に形成せしめられる硬化塗膜の強度
が低下する一方、逆に過大である場合には、所望とする
特性を有し得ない硬化塗膜が得られることとなり、以て
アルミニウム塗装材に優れた成形性が付与され得なくな
るからである。
【0023】加えて、かかるa及びbは、その〔a+
b〕の値、言い換えれば、一般式(1)で表わされるオ
ルガノポリシロキサンの大きさ(重合度)を示す値が、
150≦a+b、より好適には、300≦a+bなる不
等式を満たすものであることが望ましい。そして、一般
式(1)で表わされるオルガノポリシロキサンが、この
150≦a+bの条件を満たすものであれば、その液状
や固体状等の形態に応じて、単独で或いは有機溶剤に希
釈した上で、一般式(2)で表わされるシラノール基を
有するオルガノポリシロキサンと共に、本発明に従う組
成物を構成することが出来るのである。なお、この〔a
+b〕の値が、150に満たない場合には、形成される
撥水性塗膜に充分な加工性が付与され得なくなる。ま
た、〔a+b〕の値の上限については、特に限定される
ものではないが、後に詳述するように、アルミニウム材
料への塗布を有利に行なうべく、かかるオルガノポリシ
ロキサンを有機溶剤に希釈する構成を採用するに際して
は、使用される有機溶剤に可溶である必要があり、例え
ば、ベンゼン等に可溶であることが望ましく、一般に、
a+b≦50000であることが望ましい。尤も、一般
式(1)で表わされるオルガノポリシロキサンは、その
製造時の重合反応を調整すること等により、種々の大き
さ(重合度)のものが得られるのであり、重合反応を完
遂させることによって、重合度の著しく大きな不溶・不
融の物質が生成されることがあるが、そのような不溶・
不融の物質は、実用的ではなく、望ましくないことは、
言うまでもないところである。
【0024】さらに、一般式(1)において、m及びn
は、それぞれ、0≦m≦0.33、及び、0<n≦1.
00なる不等式を満足し、その範囲の中でも、特に、0
≦m≦0.1、0<n≦0.2であることが、好まし
い。尤も、これらの値が過大である場合には、得られる
硬化塗膜の柔軟性や屈曲性、延伸性といった特性が低下
したり、また、親水性官能基の残存による撥水性の低下
が惹起されることとなり、以て目的とするアルミニウム
塗装材が得られなくなる。
【0025】而して、上述の如き一般式(1)にて表わ
されるオルガノポリシロキサンを製造するに際しては、
従来から公知の製造方法を採用することが出来、例え
ば、オルガノトリアルコキシシラン及びジオルガノジア
ルコキシシランを、塩酸等の酸性触媒、又はカリウムシ
ラノレート等の塩基性触媒と水を用いて、アルコール及
び芳香族系溶媒中で重合させる方法や、オルガノトリハ
ロシラン及びジオルガノジアルコキシシランを、水とア
ルコール及び芳香族系溶媒中で重合せしめる方法等を用
いて、目的とするオルガノポリシロキサンを製造するこ
とが出来るが、これらの方法に限定されるものではな
い。
【0026】一方、硬化塗膜を形成する組成物に必須と
される他の成分である、シラノール基を有するオルガノ
ポリシロキサンとしては、前記化4の一般式(2)にて
表わされる、オイル又はオイル状のものが採用されるこ
ととなる。
【0027】ここで、そのような一般式(2)中の
5 、R6 、R8 、R9 、R10及びR11は、それぞれ独
立に炭素数1〜5のアルキル基を表わすものであって、
そして、そのようなアルキル基としては、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基等を例示することが出来、その中で
も、特に、メチル基が好ましい。また一方、R7 及びR
12は、水酸基又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。但
し、R7 及びR12のうちの少なくとも一つは、特に、水
酸基であることが必要とされる。また、R7 又はR12
アルキル基である場合には、そのようなアルキル基とし
ては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が採用
され、その中でも、特に、メチル基の採用が好ましい。
【0028】また、前記した一般式(2)におけるx及
びyは、それぞれ、0≦x、0<y、5≦x+y≦10
00なる不等式を満たし、そのような数値範囲の中で
も、特に10≦x+y≦300であることが好ましい。
しかも、かかるx及びyは、0.8≦y/(x+y)≦
1.0なる不等式を満たし、その中でも、特に、0.9
≦y/(x+y)≦1.0を満たす数であることが望ま
しいのである。なお、ここにおいて、〔x+y〕の値が
過小である場合には、アルミニウム塗装材に良好な撥水
性能が付与され得なくなるのである一方、かかる〔x+
y〕の値が過大であると、形成される硬化塗膜に充分な
強度が付与され得なくなる問題を生ずる。また、〔y/
(x+y)〕の値が小さ過ぎると、残留する水酸基が多
くなり、以て、組成物にて形成される硬化塗膜の撥水性
が低下せしめられるのである。なお、一般式(2)にて
表わされるシラノール基を有するオルガノポリシロキサ
ンは、従来より公知の物質であって、従来より公知の製
造方法にて合成することが可能であり、例えば、ジオル
ガノジハロシランの加水分解縮合による方法を挙げるこ
とが出来るが、これに限定されるものではない。
【0029】ところで、塗膜形成用の組成物を調製する
に際しては、上述せる如き一般式(1)で表わされるオ
ルガノポリシロキサンと一般式(2)で表わされるシラ
ノール基を有するオルガノポリシロキサンとが、所定の
割合にて配合せしめられることとなるのであるが、本発
明において、そのような配合割合としては、一般式
(1)で表わされるオルガノポリシロキサンの100重
量部に対して、一般式(2)で表わされるシラノール基
を有するオルガノポリシロキサンの3〜70重量部を添
加せしめるような配合割合を採用する必要があり、この
ような配合割合を採用することによって、従来にない、
極めて優れた柔軟性や屈曲性、延伸性等といった特性を
実現し得る硬化塗膜を形成することが可能となるのであ
り、以て、成形性乃至は成形加工性に極めて優れたアル
ミニウム塗装材を得ることが出来るのである。特に、一
般式(2)で表わされるシラノール基を有するオルガノ
ポリシロキサンの含有割合としては、より好適には、一
般式(1)で表わされるオルガノポリシロキサンの10
0重量部に対して、3〜50重量部が推奨される。な
お、かかる一般式(2)で表わされるシラノール基を有
するオルガノポリシロキサンの含有割合が過小になる
と、撥水性能が不充分なものとなり、また逆に、その含
有割合が過大になると、硬化塗膜の機械的な性状が低下
するようになる。
【0030】また、かかる塗膜形成用の組成物には、更
に必要に応じて、アルミニウム材料と硬化塗膜との密着
性を向上せしめるべく、密着性向上剤として、エポキシ
基を有するシラン又はアシロキシ(アシルオキシ)基を
有するシランを添加することも可能である。なお、かか
る密着性向上剤の添加割合としては、一般式(1)で表
わされるオルガノポリシロキサンの100重量部に対し
て、0.01〜70重量部、より好適には、0.01〜
40重量部が有利に採用され得る。けだし、かかる含有
割合が過大になると、それに見合うだけの密着性向上の
効果が得られないのみならず、却って密着性が低下した
り、硬化塗膜の強度が低下したり等といった問題が惹起
するからである。
【0031】ここにおいて、かかる密着性向上剤の一例
であるエポキシ基を有するシランとしては、前記せる如
き効果を奏するものであれば、何等限定されるものでは
なく、従来から公知の各種のエポキシ基を有するシラン
を適宜に採用することが出来、例えば、グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキ
シシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、グリシドキシヘキシルトリメトキシシラン、グリシ
ドキシヘキシルトリエトキシシラン、エポキシプロピル
トリメトキシシラン、エポキシプロピルトリエトキシシ
ラン、エポキシヘキシルトリメトキシシラン、エポキシ
ヘキシルトリエトキシシラン等を挙げることが出来る
が、これらに何等限定されるものではない。
【0032】一方、密着性向上剤の他の例であるアシロ
キシ基を有するシランとしては、上記エポキシ基を有す
るシランと同様に、アルミニウム材料と塗膜との密着性
を向上せしめる効果を奏するものであれば、従来から公
知の各種のアシロキシ基を有するシランを適宜に採用す
ることが出来る。例えば、そのようなアシロキシ基を有
するシランの具体例としては、アクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジメト
キシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラ
ン、アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ア
クリロキシヘキシルトリメトキシシラン、アクリロキシ
ヘキシルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシ
シラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、メタクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、メタ
クリロキシヘキシルトリエトキシシラン等を挙げること
が出来るが、これらに何等限定されるものではないこと
は、言うまでもないところである。
【0033】そして、上述せる如き、エポキシ基を有す
るシランやアシロキシ基を有するシランを密着性向上剤
として添加するに際しては、それらの化合物の何れかを
使用すれば効果が発揮されるが、例えば、エポキシ基を
有するシランの中から二種以上を併用しても構わない。
これは、アシロキシ基を有するシランの場合でも同様で
ある。更にまた、エポキシ基を有するシランの一種以上
とアシロキシ基を有するシランの一種以上を併用するこ
とも可能である。
【0034】ところで、上述の如き塗膜形成用組成物
は、それがアルミニウム材料表面に適用されて、硬化せ
しめられることによって、硬化塗膜を形成することとな
る。なお、そのような組成物の硬化は、常温で行なわれ
ることも可能であるが、硬化時間を短縮せしめるべく、
加熱処理を実施することによっても当然可能である。特
に、そのような塗膜形成組成物の硬化を更に促進乃至は
硬化時間を短縮せしめるために、更に必要に応じて、硬
化促進剤として、硬化触媒又は有機過酸化物を、組成物
に添加することが可能である。なお、かかる硬化促進剤
の添加の割合としては、使用される硬化触媒の種類や有
機過酸化物の種類によっても異なるが、一般に、一般式
(1)にて表わされるオルガノポリシロキサン100重
量部に対して、0.01〜30重量部、より好適には、
0.01〜20重量部であることが、望ましい。けだ
し、かかる硬化促進剤の添加割合が過大である場合に
は、組成物にゲル化や増粘等が惹起され、アルミニウム
材料に対して塗布することが困難になったり、また、硬
化触媒や有機過酸化物に含まれる親水性成分や、硬化触
媒や有機過酸化物が分解や反応することによって生成す
る親水性成分によって、硬化塗膜の撥水性能が低下する
等といった問題が惹起せしめられるからである。
【0035】また、上記硬化促進剤である硬化触媒とし
ては、組成物の硬化を促進せしめるものであれば、特に
限定されるものでなく、従来から公知の各種の硬化触媒
を適宜に採用することが出来る。例えば、代表的には、
有機金属化合物やアミノ基含有化合物が挙げられ、より
詳細な具体例の幾つかを以下に列挙こととするが、それ
ら例示のもののみに限定されるものではないことは言う
までもないところである。なお、前者の有機金属化合物
としては、有機錫化合物、有機チタン化合物、有機鉛化
合物、有機亜鉛化合物、有機鉄化合物、有機ジルコニウ
ム化合物、有機コバルト化合物等があり、また、それら
の中には、キレート化合物(例えば、キレートチタニウ
ム、キレートジルコニウム、キレートコバルト等)も含
まれることとなる。
【0036】−有機金属化合物− ・有機錫化合物 二酢酸錫、ジオクチル酸錫、ジラウリル酸錫、四酢酸
錫、二酢酸ジブチル錫、ジオクチル酸ジブチル錫、ジラ
ウリル酸ジブチル錫、ジオレイン酸ジブチル錫、ジメト
キシジブチル錫、ジブチル錫オキサイド、ベンジルマレ
イン酸ジブチル錫、ビス(トリエトキシシロキシ)ジブ
チル錫、二酢酸ジフェニル錫 ・有機チタン化合物 テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ
−n−プロポキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタ
ン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−i−ブトキ
シチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタ
ン、ジ−i−プロポキシビス(エチルアセトアセテー
ト)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナー
ト)チタン、ジ−i−プロポキシビス(アセチルアセト
ナート)チタン、ジブトキシビス(アセチルアセトナー
ト)チタン、トリ−i−プロポキシアリルアセテートチ
タン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコー
ル、ビス(アセチルアセトナート)チタンオキサイド ・有機鉛化合物 二酢酸鉛、ビス(2−エチルヘキサン酸)鉛、ジネオデ
カン酸鉛、四酢酸鉛、テトラキス(n−プロピオン酸)
鉛 ・有機亜鉛化合物 二酢酸亜鉛、ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛、ジネ
オデカン酸亜鉛、ジウンデセン酸亜鉛、ジメタクリル酸
亜鉛 ・有機鉄化合物 二酢酸鉄 ・有機ジルコニウム化合物 テトラキス(2−エチルヘキサン酸)ジルコニウム、テ
トラキス(メタクリル酸)ジルコニウム ・有機コバルト化合物 二酢酸コバルト
【0037】−アミノ基含有化合物− アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノ
エチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、テ
トラメチルグアニジン、テトラメチルグアニジルプロピ
ルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピ
ルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプ
ロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、1,8−
ジアザビシクロ〔5.4.0.〕−7−ウンデセン、ジ
−n−ヘキシルアミン、トリエタノールアミン、ジシク
ロヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、トリエチ
ルアミン、ジエチルアミン、トリエチルベンジルアミ
ン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラアミン
【0038】一方、前記硬化促進剤である有機過酸化物
としても、硬化促進の効果を奏するものであれば、特に
限定されるものではなく、従来から公知の各種の有機過
酸化物を適宜に採用することが出来る。有機過酸化物の
具体例としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケ
タール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキ
サイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボ
ネート、パーオキシエステル、又はこれらに分類されな
いパーオキサイドが挙げられ、これらの詳細な具体例を
以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0039】・ケトンパーオキサイド ジメチルエチルケトンパーオキサイド、ジシクロヘキサ
ノンパーオキサイド、ジメチルシクロヘキサノンパーオ
キサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、ア
セチルアセトンパーオキサイド ・パーオキシケタール 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘ
キサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロ
ドデカン ・ハイドロパーオキサイド p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベ
ンゼンヒドロパーオキサイド、クミンヒドロパーオキサ
イド、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド ・ジアルキルパーオキサイド ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサ
イド、ジ−t−ブチルパーオキサイド ・ジアシルパーオキサイド ジイソブチリルパーオキサイド、ジオクタノイルパーオ
キサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、
ジベンゾイルパーオキサイド、ジ−m−トルオイルパー
オキサイド ・パーオキシジカーボネート ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−ブ
チルパーオキシジカーボネート ・パーオキシエステル クミルパーオキシネオドデカノエート、t−ブチルパー
オキシネオドデカノエート、t−ブチルパーオキシイソ
ブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノ
カーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノ
カーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、
t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオ
キシアセテート ・その他のパーオキサイド t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド
【0040】なお、かかる硬化促進剤を使用する場合に
あっては、硬化触媒と有機過酸化物とを併用することも
可能であるが、硬化触媒が有機過酸化物の反応促進剤と
なる場合があるところから、それぞれ、別々に使用する
ことが、望ましい。
【0041】また、本発明にて採用される組成物にあっ
ては、更に必要に応じて、希釈溶剤を添加して、液状の
組成物とされる構成が、有利に採用されることとなる。
そして、このような液状の組成物と為すことによって、
撥水性が付与せしめられるべきアルミニウム材料表面に
対する塗布等が、極めて有利に実施され得ることとな
る。
【0042】なお、そのような希釈溶剤(有機溶剤)と
しては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素化合物、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノ
ール等のアルコール化合物、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の
ケトン化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化
合物、クロロホルム、トリクロロエチレン、四塩化炭素
などのハロゲン化炭化水素化合物、n−ヘキサン、n−
オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化
水素化合物、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメ
トキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエト
キシシラン等のシラン化合物、ヘキサメチルジシロキサ
ン、テトラシクロ−1,2−ジメチルシロキサン等を挙
げることが出来、これらのうちの少なくとも一種以上
が、適宜に選択され使用されることとなるが、これらに
限定されるものでは決してない。
【0043】また、このような希釈溶媒の使用割合とし
ては、特に限定されるものではないが、本発明に採用さ
れる一般式(1)で表わされるオルガノポリシロキサン
と一般式(2)で表わされるシラノール基を有するオル
ガノポリシロキサンとを合わせた合計量100重量部に
対して、0〜10000重量部の範囲であることが望ま
しく、その中でも、特に、10〜2000重量部である
ことが、更に好ましく、このような割合を採用すること
によって、アルミニウム材料への塗布がより一層容易と
される程度の粘度を有する液状の組成物となるのであ
る。
【0044】さらに、本発明に採用される組成物には、
必要に応じて、顔料、染料、紫外線発色性染料、レベリ
ング剤、防黴剤、防腐剤、老化防止剤、防食剤、防錆
剤、帯電防止剤、難燃剤、防汚剤等の従来から公知の各
種の添加剤にあっても、形成される硬化塗膜の優れた特
性を阻害しない限りにおいて、適宜に選択して、適量に
て添加することが出来る。
【0045】そして、上述の如き成分から構成される組
成物が、アルミニウム材料に適用されることによって、
その表面に、柔軟性や屈曲性、延伸性等の特性に優れた
硬化塗膜が形成されることとなるのである。
【0046】なお、ここにおいて、かかる硬化塗膜が形
成されるアルミニウム材料(アルミニウム基材)にあっ
ては、化成処理やプライマー塗装等の前処理が施されて
いても、施されていなくても何等構わないのであるが、
防錆性等を付与するために、また、硬化塗膜とアルミニ
ウム材との密着性を更に向上させるために、化成処理皮
膜及び/又はプライマー塗膜が形成されているアルミニ
ウム材料を使用することが、望ましい。そして、そのよ
うな化成処理皮膜及び/又はプライマー(下塗り)塗膜
が形成されたアルミニウム材料を用いることによって、
アルミニウム塗装材が2層以上の多層構造を採ることと
なり、以て、プレス加工、その中でも、特に強い応力が
掛かる絞り加工においても、硬化塗膜に亀裂や剥離等が
発生しない、優れた成形性が実現され得るのである。
【0047】ここで、上記で採用される化成処理として
は、特に限定されるものではなく、リン酸クロメート処
理、クロム酸クロメート処理等のクロム系処理、リン酸
チタン処理等のチタン系処理、リン酸ジルコニウム処理
等のジルコニウム系処理、リン酸モリブデン処理等のモ
リブデン系処理、リン酸亜鉛処理等の亜鉛系処理等の、
従来から公知の各種の化成処理を例示することが出来
る。
【0048】また、プライマー塗装に用いられるプライ
マー塗料としては、アルミニウム材及び硬化塗膜との密
着性や、加工性の良好なものであれば、特に制限される
ものではなく、シランカップリング剤や、シリコーン樹
脂系、アクリル樹脂系、ポリアミド樹脂系、エポキシ樹
脂系、アルキド樹脂系、ウレタン樹脂系、アミノ樹脂
系、ポリビニルアルコール系塗料等を例示することが出
来る。なお、プライマー塗料の塗装方法としては、ロー
ルコーティング、バーコーティング等、従来から公知の
各種の手法が適宜に採用され得、また、プライマー塗膜
の硬化乃至は焼付け条件にあっても、一般に、塗料の種
類や塗装方法によって、室温〜350℃、より好ましく
は、50℃〜300℃の範囲内において、適宜に設定さ
れることとなる。なお、ここにおいて、かかるプライマ
ー塗膜の厚さとしては、プライマー塗膜中で凝集破壊が
惹起せしめられたり、また、密着性が低下されないよう
に、10μm以下、より好適には、0.5μm〜5μm
が有利に採用されることとなる。
【0049】ところで、本発明の目的とするアルミニウ
ム塗装材は、前述せる如き組成物がアルミニウム材料の
表面に塗装、硬化されて、硬化塗膜が形成されることに
よって、作製されるのであるが、そのような組成物の塗
装も、上記プライマー塗装と同様に、ロールコーティン
グ、浸漬塗布、含浸法、フローコーティング、刷毛塗り
法、スプレー法等の、従来から公知の各種の手法を採用
することによって行なわれ、これによって、アルミニウ
ム材料の必要な箇所に、所期の特性を実現し得る平滑な
硬化塗膜が形成されるのである。
【0050】なお、かかる硬化塗膜を形成する際の硬化
条件については、組成物中に含まれる成分等に左右され
るのであるが、前記した硬化促進剤が添加されていない
場合には、一般に、常温にて2日間、50℃にて2時間
以内、250℃にて1分以内、350℃にて数秒間で硬
化が可能である。
【0051】一方、硬化触媒又は有機過酸化物等の硬化
促進剤が組成物中に添加されている場合には、硬化促進
剤を使用しない場合に比して、硬化時間を短縮すること
が出来る等の優れた硬化性が実現され得る。なお、かか
る硬化温度としては、常温〜350℃を採用することが
望ましく、その中でも、実用的には、特に、50℃〜3
00℃の温度範囲であることが望ましい。なお、硬化の
際の温度が、低過ぎる場合には、反応が充分に進行せ
ず、逆に、高過ぎる場合には、シロキサンが分解する恐
れがある。
【0052】また、硬化が行なわれて、形成せしめられ
た硬化塗膜の膜厚としては、特に限定されるものではな
いが、所望とする特性、例えば、優れた柔軟性や屈曲
性、延伸性が最大限に発揮され得るように、例えば、
0.2μm〜30μm、より好適には、0.5μm〜1
0μmが、望ましいのである。なお、かかる膜厚が過小
である場合には、硬化塗膜による撥水性能が充分に発揮
され得ず、また、膜厚が過大である場合には、成形加工
時に塗膜内で脆性破壊が起き、塗膜の亀裂、剥離が惹起
され易くなる。
【0053】そして、上述せる如くして形成せしめられ
た、本発明に従うアルミニウム塗装材は、基本的に、撥
水性が必要とされる品物、材料、部品等、例えば、熱交
換器のフィン材や製氷皿、冷凍庫内壁等として、有利に
用いられることとなるのである。
【0054】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変
更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解さ
れるべきである。
【0055】先ず、アルミニウム材料として、厚さが
0.110mmのアルミニウム板材(JIS−A120
0)を用い、これを、市販の強アルカリ脱脂剤:ファイ
ンクリーナー4498SK(日本パーカライジング株式
会社製)の2%の溶液中に、60℃の温度にて、50秒
間浸漬することにより、脱脂処理を行ない、その後、水
道水中に15秒間浸漬して、水洗した。
【0056】次いで、それを、市販のリン酸クロメート
処理剤:アルクロム702SK/ACK(日本パーカラ
イジング株式会社製)の1.2%/0.2%の溶液中
に、45℃の温度にて、20秒間浸漬することによっ
て、化成処理を実施し、その後、水道水中に15秒間浸
漬して、水洗した後、60℃の温風で20分間加熱する
ことによって、乾燥せしめた。
【0057】そして、かかるクロメート処理の施された
アルミニウム材料に、下記表1に示されるプライマー塗
料を、バーコータを用いて塗装し、240℃×20秒に
て、焼き付けを行なうことにより、プライマー(下塗
り)塗装を実施した。なお、プライマー塗膜の種類及び
塗膜厚さは、下記表6及び表7に併せて示した。
【0058】
【表1】
【0059】一方、一般式(1)にて表わされるオルガ
ノポリシロキサンとして、下記表2に示される構造を有
するもの(以下、A成分と略称する)を準備し、一般式
(2)にて表わされるシラノール基を有するオルガノポ
リシロキサンとして、下記表3に示される構造を有する
もの(以下、B成分と略称する)を準備した。そして、
A成分の各々100重量部に対して、B成分、及び、下
記表4に示される密着性向上剤(以下、C成分と略称す
る)としてのエポキシ基を有するシラン若しくはアシロ
キシ基を有するシラン、更に、下記表5に示される硬化
促進剤(以下、D成分と略称する)としての硬化触媒又
は有機過酸化物とを、下記表6及び表7に示される配合
割合となるように添加し、混合・攪拌せしめた。また、
その際、希釈溶剤として、キシレンを添加、攪拌するこ
とによって、最終的な有効成分濃度が30重量%とされ
た塗膜形成用(トップコート塗装用)の液状組成物(塗
料)が準備せしめられた。なお、下記表2及び表3中、
〔a+b〕は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)〔装置:HLC−8020(東ソー株式会
社製)、カラム:TSKgelGMHXL−L、及び、
G1000HXL(東ソー株式会社製)、溶媒:トルエ
ン〕による標準ポリスチレン換算重量平均分子量(M
w)の測定値より算出し、〔b/(a+b)〕、m、
n、〔x+y〕、〔y/(x+y)〕の値は、29SiN
MRスペクトル〔装置:ACP−300(独国:ブルカ
ー社製)〕の測定値より求めた。
【0060】そして、上述の如くして準備された液状組
成物(塗料)を、化成処理及びプライマー塗装が施され
たアルミニウム材料に対して、それぞれ、バーコータで
塗装することによって、実施例1〜36及び比較例1〜
18に係るトップコート塗装の施されたアルミニウム塗
装材を作製した。なお、かかる塗膜厚さは、0.5〜
2.0μmとし、硬化条件としては、硬化促進剤が添加
せしめられた塗膜形成用組成物を塗装した場合において
は、250℃×15秒間、それ以外の組成物を塗装した
場合においては、250℃×60秒間を採用した。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】そして、上述の如くして作製された実施例
1〜36及び比較例1〜18のアルミニウム塗装材を用
いて、下記の評価試験を実施した。
【0068】−撥水性の評価− 上述の如くして得られた実施例1〜36及び比較例1〜
18のアルミニウム塗装材表面に、それぞれ、2μLの
水滴を滴下し、図1に示される如き、アルミニウム塗装
材と水滴との接点における接線と塗装材の面との為す
角:接触角(θ)を測定し、その結果を、初期接触角と
して、下記表8及び下記表9に示した。
【0069】また、実施例1〜36及び比較例1〜18
のアルミニウム塗装材表面に、それぞれ、5μLの水滴
を滴下し、図2に示される如き、塗装材上に載せた水滴
が、塗装材を傾斜させたときに落下し始める際の、塗装
材と水平面との為す角:転落角(α)を測定し、その結
果を、初期転落角として、下記表8及び下記表9に示し
た。
【0070】−耐久性の評価− アルミニウム塗装材を、水道水の流水中に7時間浸漬し
た後、80℃の温度で17時間乾燥する工程を1サイク
ルとして、その7サイクルを繰り返して実施することに
より、耐久性試験を行ない、かかる耐久性試験後の接触
角(θ)と転落角(α)を上記と同様にして測定し、そ
の結果を下記表8,9に併せ示した。
【0071】−成形性の評価− 図3に示される如き工程で、張り出し・絞り・穴あけ加
工を行ない、内外壁部の塗膜の残存状況を走査型電子顕
微鏡SEM:FE−800(日本電子株式会社製)で観
察し、以下の如き評価基準にて、評価を行ない、その結
果を表8,9に示した。評価基準・・・5:塗膜が10
0%残存、4:塗膜が80%残存、3:塗膜が50%残
存、2:塗膜が20%残存、1:塗膜が全面的に剥離。
【0072】さらに、総合評価として、上記の全ての評
価が合格である場合に合格、それ以外の場合には不合格
の判定を下し、その結果を下記表8及び表9に示した。
【0073】
【表8】
【0074】
【表9】
【0075】上記表8及び表9を比較すると明らかなよ
うに、比較例1,3,5に係るアルミニウム塗装材にあ
っては、B成分の添加量が少ないために、転落角が大き
く、充分な撥水性能が認められないのである。また、比
較例2,4,6係る塗装材にあっては、B成分の添加量
が多過ぎるところから、密着性が阻害されて、成形性に
劣っていることが、分かる。更に、比較例7,8におい
ては、C成分の添加量が多過ぎて、却って、密着性が阻
害され、充分な成形性が得られていない。また、比較例
9にかかる塗装材は、A成分における〔a+b〕の値が
小さく、また、比較例10では、〔a+b〕の値が小さ
く、且つ、[R1 22 mSiO(2-m)/2]単位を有しないA
成分が使用されているために、充分な成形性が実現され
得ていないことが、分かる。また、比較例11にあって
は、A成分のR3 基が、芳香環であるために、塗装後の
転落角が大きくなり、充分な撥水性能が得られていない
のである。更に、比較例12〜15に係るアルミニウム
塗装材は、使用したB成分が本発明に採用されるものと
異なるところから、転落角が大きく、充分な撥水性能が
実現されていない。また更に、比較例16〜18に係る
アルミニウム塗装材は、プライマー塗膜厚さが厚過ぎ
て、成形性において、劣っていることが認められるので
ある。
【0076】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う撥水性アルミニウム塗装材は、特定のオルガノポ
リシロキサンとシラノール基を有する特定のオルガノポ
リシロキサンとを、所定の割合にて含有せしめた組成物
からなる硬化塗膜が、アルミニウム材料の撥水性表面と
して形成されたものでところから、絞り加工、曲げ加工
等のプレス加工を始めとする成形加工を行なうに際して
も、かかる硬化塗膜に、亀裂や皺、剥離等の発生が有利
に防止され得て、極めて優れた成形性を実現すると共
に、成形加工後においても、良好なる撥水性を維持し得
るのである。
【0077】従って、本発明に従う撥水性アルミニウム
塗装材は、熱交換器のフィン材等として、極めて有利に
適用され得るのであり、また、そのようなアルミニウム
フィン材からなる熱交換器を、例えば、室外機として用
いることによって、暖房効率を著しく向上せしめること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において測定される接触角(θ)の説明
図である。
【図2】実施例において測定される転落角(α)の説明
図である。
【図3】実施例の成形性評価において採用された張り出
し・絞り・穴あけ加工の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 15/20 B32B 15/20 27/00 101 27/00 101 C09D 183/04 C09D 183/04 (72)発明者 春日 司 東京都港区新橋五丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 清谷 明弘 東京都港区新橋五丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 丸山 照仁 神奈川県伊勢原市東大竹1−17−7 Fターム(参考) 4D075 AE03 BB73X CA03 CA13 CA33 CA36 DA06 DB07 DC16 DC19 EA07 EA41 EB15 EB19 EB22 EB32 EB33 EB36 EB38 EB39 EB43 EB56 EC37 EC45 EC54 EC60 4F100 AB10A AK52B AK53B AL05B BA02 BA07 CA02B CC01B EH46 EJ65 GB51 JB06B YY00B 4J038 DL031 DL032 JA66 JB01 JC38 KA03 KA04 KA06 MA07 MA09 NA07 NA23 PC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形性に優れた撥水性アルミニウム塗装
    材にして、アルミニウム材料の表面に、下記化1の一般
    式(1)にて表わされるオルガノポリシロキサンの10
    0重量部と、下記化2の一般式(2)にて表わされるシ
    ラノール基を有するオルガノポリシロキサンの3〜70
    重量部とを含有する組成物を塗布して、硬化させること
    により、硬化塗膜が形成せしめられて、撥水性表面とさ
    れていることを特徴とするアルミニウム塗装材。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 前記組成物が、エポキシ基又はアシロキ
    シ基を有するシランからなる密着性向上剤を、0.01
    〜70重量部の割合において、更に含有している請求項
    1に記載のアルミニウム塗装材。
  3. 【請求項3】 前記組成物が、硬化触媒又は有機過酸化
    物からなる硬化促進剤を、0.01〜30重量部の割合
    において、更に含有している請求項1又は請求項2に記
    載のアルミニウム塗装材。
  4. 【請求項4】 前記組成物が、希釈溶剤の添加により、
    液状組成物とされている請求項1乃至請求項3の何れか
    に記載のアルミニウム塗装材。
  5. 【請求項5】 前記硬化塗膜が、前記アルミニウム材料
    表面に設けた化成処理皮膜及び/又はプライマー塗膜の
    上に形成されている請求項1乃至請求項4の何れかに記
    載のアルミニウム塗装材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004283824A (ja) * 2003-03-06 2004-10-14 Nippon Light Metal Co Ltd アルミニウム塗装材及びその製造方法
JP2009527641A (ja) * 2006-02-24 2009-07-30 ゲルハルト ハイチェ ゲーエムベーハー 耐食性基材およその製造方法

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