JP4554763B2 - 外観性および耐汚染性に優れた塗料用樹脂組成物、及び塗料用樹脂組成物の耐汚染性付与性能延長方法 - Google Patents
外観性および耐汚染性に優れた塗料用樹脂組成物、及び塗料用樹脂組成物の耐汚染性付与性能延長方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外観性および耐汚染性に優れた塗料用樹脂組成物、塗料用樹脂組成物の耐汚染性付与性能延長方法、前記塗料用樹脂組成物、及び塗装物に関し、詳しくは、低汚染型の塗料用組成物、例えばライン用塗料に用いる樹脂組成物の貯蔵中(特に開封後(開放系))における耐汚染性の低下を防ぎ得る塗料用樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、例えば、建築物内外装材、自動車、橋梁、家電製品などの用途に使用しうる金属,セラミックス,窯業系成形物,プラスチックなどをライン塗装するにあたって、外観性,ポットライフ,密閉貯蔵安定性等の性能低下を抑制し、塗膜表面の水に対する接触角を低下させ親水化させることにより耐汚染性を付与する塗料用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、金属,セラミックス,窯業系成形物,プラスチックなどの産業製品に意匠効果を付与したり、その耐候性、耐食性などを向上させるために、各種合成樹脂からなる組成物で該産業製品の表面を被覆することが試みられている。とくに、かかる組成物のなかでも、ライン用途においてはメラミン樹脂、ウレタン樹脂などが本来呈する硬化性,加工性,価格等の点において非常に多く使用されており、更に、これらの耐候性を向上させた組成物としてフッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂などの架橋構造を有する組成物が、屋外で長期間にわたって暴露された場合であっても、優れた耐候性を示すことから、高耐候性組成物として構造物外部の塗装に使用されてきている。
【0003】
しかし、近年、構造物外部に付着した汚れが落ちにくい傾向にあることがわかり、特に淡彩色系の塗装の場合にその傾向がより目立ち、見た目の美しさ、掃除の容易さ、掃除回数の低減等の点から、前記組成物を用いた硬化塗膜には、耐汚染性のより一層の向上が強く望まれてきている。
【0004】
このような耐汚染性を付与する方法については樹脂とシリケート化合物からなる組成物がWO94/06870、特開平6−145453等に既に提案されている。
【0005】
しかし、これらはシリケート化合物を配合した直後であれば接触角が低下し、耐汚染性を十分に発現できるが、シリケート化合物を添加した配合物を長期に保存したり、あるいは、その配合物を開放系で長時間にわたって使用する場合には十分な接触角が得られないばかりか、外観性,粘度,耐汚染性などの性能低下がおこり十分に満足できるものではなく、改良が望まれていた。
【0006】
本発明は、このような従来技術に鑑みてなされたものであり、樹脂が本来呈する硬化性,加工性,耐候性,耐食性,硬度,耐汚染性などを維持しながら、貯蔵後の粘度変化,外観性の低下等を抑制し長期にわたって使用しうる塗料用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の外観性および耐汚染性に優れた塗料用樹脂組成物は、(A)シリル基を含有しない有機樹脂として数平均分子量が2500以上30000以下のポリエステル樹脂を含むポリエステルメラミン樹脂、(B)一般式(I):
(R1O)4−a−Si−(R2)a …… (I)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基(ただし、R1およびR2は同時に水素原子ではない)、aは0、1または2を示す)で表わされるシリコン含有化合物および/またはその部分加水分解縮合物、及び(C)耐汚染性維持剤として加水分解性エステル化合物を配合してなるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の塗料用樹脂組成物及びそれを用いてなる塗装物について説明する。
【0009】
本発明における大きな特徴の1つは、(A)成分である有機樹脂に予め耐汚染性維持剤である(C)成分を配合し、系中の水分を2000ppm以下にした後、シリコン含有化合物および/またはその部分加水分解縮合物(B)を配合することにあり、このようにすることにより長期保存した後やポットライフ後においても十分に親水化機能を発現し水に対する接触角を低下させることにある。
【0010】
本発明の塗料用硬化性組成物は、有機樹脂(A)成分が本来呈する、硬化性,加工性,硬度,耐汚染性,外観性を有するだけでなく、耐汚染性維持剤(B)成分が特定の割合で含有されているので、長期にわたって密閉保存後やポットライフ後においても、優れた水に対する接触角の低下機能を有しており、耐汚染性を付与することができる。
【0011】
(A)成分
(A)成分としては、次の2つの態様があるが、そのうち、本発明は(A−b)の態様を対象とする。
(A−a):シリル基含有樹脂とその他の有機樹脂のブレンド樹脂である場合。
(A−b):シリル基を含有しない有機樹脂として、数平均分子量が2500以上30000以下のポリエステル樹脂を含むポリエステルメラミン樹脂である場合。
【0012】
本発明に用いられる(A)成分としては、上記した要件以外、とくに限定がなく、各種熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を用いることができる。これらのなかでも、得られる塗料用硬化性組成物から形成される硬化物の硬化性,加工性,耐蝕性,硬度,耐候性などが優れるという点から、アクリル系樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂および酸で架橋するエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、特にアクリル系樹脂および/またはポリエステル樹脂を主成分としたものが好ましい。なお、かかる主成分とするとは、(A)成分中に50重量%よりも多く含まれることをいう。
【0013】
(A)成分:アクリル系樹脂
前記アクリル系樹脂としては、得られる塗料用硬化性組成物から形成される硬化物が耐候性、耐薬品性などに優れるという点から、たとえば主鎖が実質的にビニル系重合体鎖からなり、
下記一般式(2):
−Si(R4)b−(R3O)3−b (2)
(式中、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、bは0または1を示す)で表わされる加水分解性シリル基を、主鎖の末端および/または側鎖に有するビニル系重合体(以下、シリル基含有ビニル系重合体(A)成分という)が好ましく用いられる。なお、本明細書において、ビニル系とは、ビニル基、ビニリデン基のように、重合性炭素−炭素不飽和二重結合を有する基を含有した化合物に由来することを示す。
【0014】
前記シリル基含有ビニル系重合体(a)成分は、主鎖が実質的にビニル系重合体鎖からなるので、かかる(a)成分を含有した塗料用硬化性組成物から形成される硬化物が耐候性、耐薬品性などに優れるとともに、重合体を構成するモノマーの組成を変更することにより、軟質から硬質まで幅広い樹脂設計が可能である。なお、該(a)成分は、通常、主鎖を構成する単位の50モル%程度以上、好ましくは60モル%程度以上、さらに好ましくは80モル%程度以上がビニル系モノマー由来の単位からなる。したがって、(a)成分は、主鎖または側鎖にウレタン結合、シロキサン結合などが一部含まれたものであってもよい。
【0015】
前記シリル基含有ビニル系重合体において、一般式(2)で表わされる加水分解性シリル基は、主鎖の末端および/または側鎖に少なくとも1個あればよいが、得られる塗料用硬化性組成物から形成される硬化物の硬化性と耐衝撃性とのバランスが良いという点から、かかる加水分解性シリル基の数は、1分子中2〜10個であることが好ましい。
【0016】
前記一般式(2)において、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基であるが、かかるアルキル基の炭素数が10を超える場合には、加水分解性シリル基の加水分解性が低下するので、好ましくない。
【0017】
一般式(2)におけるR3およびR4を示す炭化水素基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;たとえばフェニル基などの炭素数6〜10のアリール基;たとえばベンジル基などの炭素数7〜10のアラルキル基などが好ましく例示される。また、一般式(2)において、bは0または1であり、(R3O)−が同一分子内に2または3個存在するが((R3O)2−または(R3O)3−)、かかる2または3個の(R3O)−は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0018】
なお、前記一般式(2)で表わされる加水分解性シリル基は、前記したように、主鎖の末端に含まれていてもよく、側鎖に含まれていてもよく、主鎖の末端および側鎖の両方に含まれていてもよい。
【0019】
前記シリル基含有ビニル系重合体(a)成分は、たとえば前記一般式(2)で表わされる加水分解性シリル基を含有するビニル系単量体(α)成分由来の単位と、(α)成分と共重合可能な(α)成分以外のその他の単量体(β)成分由来の単位などとから構成され、これら(α)成分、(β)成分を用いて製造される。
【0020】
前記(α)成分としては、たとえば
【化1】
などの一般式(3):
【化2】
(式中、R3、R4、bは前記一般式(2)中のR3、R4、bと同じ、R5は水素原子またはメチル基を示す)で表わされる化合物;
【化3】
などの一般式(4):
【化4】
(式中、R3、R4、R5およびbは前記一般式(3)中のR3、R4、R5およびbと同じ、nは1〜12の整数を示す)で表わされる化合物;
【化5】
などの一般式(5):
【化6】
(式中、R3、R4、R5、bおよびnは前記一般式(4)中のR3、R4、R5、bおよびnと同じ)で表わされる化合物;
【化7】
などの一般式(6):
【化8】
(式中、R3、R4、R5およびbは前記一般式(2)および一般式(3)中のR3、R4、R5およびbと同じ、mは1〜14の整数を示す)で表わされる化合物;
【化9】
(式中、pは0〜20の整数を示す)などの一般式(7):
【化10】
(式中、R3、R4、R5およびbは前記一般式(3)中のR3、R4、R5およびbと同じ、pは0〜22の整数を示す)で表わされる化合物や、アルコキシシリル基をウレタン結合またはシロキサン結合を介して末端に有する(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0021】
かかる(α)成分は単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
前記(α)成分の量は、硬化性および耐候性の向上という点から、シリル基含有ビニル系共重合体(a)成分全量の2重量%以上、好ましくは5重量%以上であることが望ましく、また内部応力の調整および耐衝撃性の向上という点から、(a)成分全量の60重量%以下、好ましくは50重量%以下であることが望ましい。
【0023】
前記(α)成分以外のその他の共重合可能なビニル系単量体(β)としては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのハロゲンで置換されていてもよいアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレートなどのアラルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル系化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有ビニル系化合物;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル化合物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などの塩;無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸の酸無水物、これらと炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖を有するアルコールとのジエステルまたはハーフエステルなどの不飽和カルボン酸のエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、クロトンアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドンなどのアミド基含有ビニル系化合物;メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、マレイミド、フルオロオレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他のビニル系化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、4−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレンビニルトルエン、アロニクス5700(東亜合成化学工業(株)製)、HE−10、HE−20、HP−1、HP−20などの末端に水酸基を有するアクリル酸エステルオリゴマー(以上、日本触媒化学工業(株)製)、ブレンマーPPシリーズ、(ポリプロピレングリコールメタクリレート)、ブレンマーPEシリーズ(ポリエチレングリコールモノメタクリレート)、ブレンマーPEPシリーズ(ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート)、ブレンマーAP−400(ポリプロピレングリコールモノアクリレート)、ブレンマーAE−350(ポリエチレングリコールモノアクリレート)、ブレンマーNKH−5050(ポリプロピレングリコールポリトリメチレンモノアクリレート)、ブレンマーGLM(グリセロールモノメタクリレート)などの化合物(以上、日本油脂(株)製)、水酸基含有ビニル系化合物とε−カプロラクトンとの反応によって得られるε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系共重合性化合物などのアルコール性水酸基含有ビニル系モノマーなどがあげられる。なお、前記ε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系共重合性化合物の代表例としては、たとえば一般式(8):
【化11】
(式中、R6は水素原子またはメチル基、qは1以上の整数を示す)で表わされる化合物があげられる。かかる化合物の具体例としては、たとえばPlaccel FA−1(R6は水素原子、qは1)、Placcel FA−4(R6は水素原子、qは4)、Placcel FM−1(R6はメチル基、qは1)、Placcel FM−4(R6はメチル基、qは4)(以上、ダイセル化学工業(株)製)、TONE M−100(R6は水素原子、qは2)、TONE M−201(R6はメチル基、qは1)(以上、UCC社製)などがあげられる。
【0024】
前記(β)成分は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。(β)成分の量は、内部応力の調整および耐衝撃性の向上という点から、シリル基含有ビニル系単量体(a)成分全量の40重量%以上、好ましくは50重量%以上であることが望ましく、また硬化性および耐候性の向上という点から、(a)成分全量の98重量%以下、好ましくは95重量%以下であることが望ましい。
【0025】
前記シリル機含有ビニル系重合体(a)成分は、たとえば特開昭54−36395号公報、特開昭57−36109号公報、特開昭57−55953号公報、特開昭58−157810号公報などに記載の方法によって製造することができる。なお、取扱いの容易さなどの点から、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系ラジカル重合開始剤やt−ブチルパーオキシオクトエートなどの過酸化物を用いた溶液重合法により、該シリル基含有ビニル系重合体(A)成分を製造することが好ましい。
【0026】
前記溶液重合法に用いられる重合溶媒は、非反応性のものであればよく、とくに限定がない。該重合溶媒としては、たとえばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのエーテル類;メチルエチルケトン、オルト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン類などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
また、前記溶液重合法を採用する際に、連鎖移動剤を用いることにより、得られるビニル系重合体(A)成分の分子量を調節することができる。前記連鎖移動剤の具体例としては、たとえばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、(CH3O)3Si−S−S−Si(OCH3)3、(CH3O)3Si−S8−Si(OCH3)3、(CH3O)3Si−(CH2)3−S−S−(CH2)3−Si(OCH3)3などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。たとえば、とくにγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどの加水分解性シリル基を分子中に有する連鎖移動剤を用いた場合には、シリル基含有ビニル系重合体(a)成分の主鎖の末端に加水分解性シリル基を導入することができる。
【0028】
なお、前記連鎖移動剤の量は、(a)成分全量100重量部に対して0.1〜10重量部程度であることが好ましい。
【0029】
なお、本発明においては、(a)成分において(a)成分の50重量%をこえない範囲で、ウレタン結合やシロキサン結合によって形成されたセグメントが主鎖に含まれていてもよい。
【0030】
本発明に用いられるアクリル系樹脂としては、前記(a)成分のほかにも、低価格であり、硬化の際に温度の影響を受けにくいという点から、たとえばウレタン結合含有アクリル系樹脂またはウレタン架橋を行なうアクリル系樹脂(b)成分が好ましく用いられる。
【0031】
前記ウレタン結合含有アクリル系樹脂は、その分子中にイソシアナート基と水酸基との反応によって得られたウレタン結合を有する樹脂である。かかるウレタン結合含有アクリル系樹脂としては、たとえばオレスター(三井化学(株)製)なとがあげられる。
【0032】
前記ウレタン架橋を行なうアクリル系樹脂は、その分子中に水酸基と反応し得るイソシアナート基を有する樹脂であり、イソシアナート基と水酸基とが反応することによってウレタン架橋構造を形成し得る樹脂である。かかるイソシアナート基を有する、ウレタン架橋を行なうアクリル系樹脂としては、たとえばm−TMI(武田薬品工業(株)製、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアナート)などのイソシアナート基含有モノマーの共重体;D−150N、D−170N(以上、武田薬品工業(株)製)などのイソシアヌレート型ポリイソシアナート;デュラネート17B−60PX、デュラネートMF−K60X(以上、旭化成工業(株)製)、コロネート2513(日本ポリウレタン(株)製)などのブロックイソシアナート;アクリディックA−801(大日本インキ化学工業(株)製)、アルマテックスD−152、アルマテックス785−5、アルマテックス748−5M(以上、三井化学(株)製)などがあげられる。
【0033】
また、アクリル系樹脂として、3級アミノ基含有アクリル系重合体(c)成分も好ましく用いられる。前記3級アミノ基含有アクリル系重合体は、通常、3級アミノ基含有ビニル系単量体由来の単位と、これと共重合可能なその他のビニル系単量体由来の単位とから構成される。
【0034】
前記3級アミノ基含有ビニル系共重合体としては、たとえばN,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ン、ンージエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。また、該3級アミノ基含有ビニル系単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体としては、たとえば前記シリル基含有ビニル系共重合体(a)成分を得る際に用いられる単量体(β)成分などがあげられる。
【0035】
前記3級アミノ基含有アクリル系重合体は、たとえば前記3級アミノ基含有ビニル系単量体およびその他のビニル系単量体を通常の方法で重合させることにより、得ることができる。
【0036】
前記3級アミノ基含有アクリル系重合体の数平均分子量にはとくに限定がなく、通常2000〜30000程度であることが好ましい。
【0037】
アクリル系樹脂としては、前記(a)成分、(b)成分、(c)成分を2種以上混合して用いることができる。
【0038】
(A)成分:フッ素樹脂
前記アクリル系樹脂と同様に、樹脂(A)成分の主成分として好ましく用いられるフッ素樹脂としては、たとえば溶剤可溶型フッ素樹脂であるルミフロンLF−100−C、ルミフロンLF−400、ルミフロンLFX700(以上、旭ガラス(株)製)などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
さらに、本発明においては、前記アクリル系樹脂および/またはフッ素樹脂を主成分としたもののほかに、樹脂(A)成分として前記メラミン樹脂やエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂を選択することができる。
【0040】
(A)成分:メラミン樹脂
前記メラミン樹脂としては、たとえばユーバン20SE−60(三井化学(株)製)などのn−ブチル化変性メラミン樹脂;ユーバン60系(三井化学(株)製)イソブチル化変性メラミン樹脂;CYMEL235、CYMEL303、CYMEL1156(以上、三井サイテック(株)製)などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0041】
(A)成分:エポキシ樹脂
前記エポキシ樹脂は、その分子中にエポキシ基を2個以上有する樹脂である。
かかるエポキシ樹脂としては、たとえばエピコート1001(油化シェルエポキシ(株)製)、セロキサイド2021(ダイセル化学工業(株)製、二官能性エポキシ樹脂)、ニッサンTEPIC(日産化学工業(株)製)、エピオールNPG−100(日本油脂(株)製)、エピクロン(大日本インキ化学工業(株)製、ビスフェノールAタイプ)、デナコール(ナガセ化成工業(株)製)などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0042】
(A)成分:ポリエステル樹脂
前記ポリエステル樹脂は多価カルボン酸を主体とした酸成分と多価アルコールを主体としたアルコール成分との重縮合物である。上記酸成分としては特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその無水物:こはく酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等に脂肪族ジカルボン酸等を挙げることができる。上記のほか、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;これらに対応するヒドロキシカルボン酸:P−オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸;トリメリット酸、トリメジン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸等を少量含有してもよい。
【0043】
上記アルコール成分としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ジヘキサンオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキサイド付加物、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等の側鎖を有する脂肪族グリコールを挙げることができる。上記のほか、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールを少量含有してもよい。
【0044】
前記ポリエステル樹脂としては、たとえばアルマテックスP645、P646、HMP25等(三井化学(株)製)などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0045】
なお、本発明においては、得られる塗料用樹脂組成物から形成される硬化物の硬化性,加工性,耐候性,耐食性,硬度がより向上するという点から、樹脂(A)成分としてアクリル系樹脂またはポリエステル樹脂を主成分とし、メラミン樹脂および/またはエポキシ樹脂を含有したものを用いることが好ましい。特に、耐候性を向上させることを目的としてフッ素樹脂を用いることが可能である。このように、本発明においては、樹脂(A)成分として種々の樹脂を用いることが可能であるが、得られる塗料用硬化性樹脂組成物から形成される硬化物の耐候性が低下するおそれをなくすためには、数平均分子量が2000以上、好ましくは2500以上、さらに好ましくは3000以上である樹脂を用いることが望ましく、また塗料用硬化性樹脂組成物の粘度が上昇しすぎて塗装作業性が低下するおそれをなくすためには、数平均分子量が50000以下、好ましくは40000以下、さらに好ましくは30000以下である樹脂を用いることが望ましい。
【0046】
(B)成分
前記(B)成分は、前記一般式(1)で表されるシリコン含有化合物および/またはその加水分解縮合物である。前記一般式(1)において、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基であるが、かかるR1を示すアルキル基の炭素数が10をこえる場合には、加水分解性化合物であるシリコン含有化合物類(B)成分自身の加水分解性が低下するので、好ましくない。一般式(1)におけるR1およびR2を示す炭化水素基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;たとえばフェニル基などの炭素数6〜10のアリール基;たとえばベンジル基などの炭素数7〜10のアラルキル基などが好ましく例示される。
【0047】
また、一般式(1)において、aが0、1または2の場合、(R1O)−が同一分子内に2、3または4個存在するが((R1O)2−、(R1O)3−または(R1O)4−)、かかる2、3または4個の(R1O)−は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、aが2の場合、(R2)−が同一分子内に2個存在するが((R2)2−)、かかる2個の(R2)−は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0048】
前記シリコン含有化合物の具体例としては、たとえばテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラ−n−プロピルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ−n−ブチルシリケート、テトライソブチルシリケート、テトラ−t−ブチルシリケートなどのテトラアルキルシリケート;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、メチルトリ−sec−オクチルオキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン、メチルトリフェノキシシランなどのアルキルトリアリールオキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのグリシドキシトリアルコキシシランなどのトリアルコキシシランまたはトリアリールオキシシランなどがあげられる。また、前記シリコン含有化合物の部分加水分解縮合物としては、たとえば通常の方法で前記テトラアルキルシリケート、トリアルコキシシラン、トリアリールオキシシランなどのシリコン含有化合物に水を添加し、部分加水分解させて縮合させたものが挙げられる。その具体例としては、たとえばMSi51,ESi40,ESi48(以上、コルコート(株)製)、MS56,MS56S,MS57(以上、三菱化学(株)製)、シリケート40,シリケート48(以上、多摩化学(株)製)などのテトラアルキルシリケートの部分加水分解縮合物や、たとえばAFP−1(信越化学工業(株)製)などのトリアルコキシシラン部分加水分解縮合物などがあげられる。なお、前記MSi51は、テトラメチルシリケートの部分加水分解縮合物であり、またESi40およびHAS−1は、テトラエチルシリケートの部分加水分解縮合物である。 MS56、MS56Sはテトラメチルシリケートの部分加水分解縮合物である。
【0049】
前記シリコン含有化合物類(B)成分は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。該(B)成分のなかでは、得られる塗料用樹脂組成物の耐汚染性,硬化性が優れるという点から、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラ−n−プロピルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ−n−ブチルシリケート、テトライソブチルシリケート、テトラ−t−ブチルシリケート及びその部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種またはこれら2種以上の混合物を用いることが好ましい。特に、ポットライフ後や長期密閉貯蔵試験後の粘度上昇を抑制するためにはテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート及びその部分加水分解縮合物とテトラ−n−プロピルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ−n−ブチルシリケート、テトライソブチルシリケート、テトラ−t−ブチルシリケート及びその部分加水分解縮合物を併用することが好ましい。
【0050】
(B)成分の量は、得られる塗料用樹脂組成物から形成される硬化物の耐汚染性を充分に向上させるためには、樹脂(A)成分の固形分100重量部に対して0.5〜100重量部、好ましくは1〜70重量部、さらに好ましくは2〜30重量部である。使用量が0.5重量部未満の場合は耐汚染性が十分に発現せず、使用量が100重量部を超える場合は、外観性が低下したり、塗膜にクラックが発生するおそれがあり好ましくない。
【0051】
(C)成分
耐汚染性維持剤(C)成分は樹脂(A)成分の貯蔵安定性を向上させる目的で、本発明の塗料用樹脂組成物に添加して使用することが好ましい。前記耐汚染性維持剤としては、たとえばオルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸メチル、オルトプロピオン酸エチル、オルト酪酸メチル、オルト酪酸エチルなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。耐汚染性維持剤は、(A)成分の重合時に加えておいてもよく、重合後に加えてもよい。また、(A)成分を用いて顔料分散する時に添加して顔料中の水分を除去することも可能であるし、顔料分散し塗料化した後に、添加することも可能である。かかる耐汚染性維持剤(C)の量は(A)成分中の水分を除去できる量であれば、特に限定はない。(A)成分をクリアー塗料として用いる場合は比較的水分量が少ないので少量でも問題ないが、顔料分散を行ないエナメル化する場合は顔料中に含まれる水分の除去が必要である。耐汚染性維持剤(C)成分の使用量は(A)成分の樹脂固形分100重量部に対して0.01〜70重量部、好ましくは0.5〜35重量部、さらに好ましくは1〜20重量部である。耐汚染性維持剤(C)成分(脱水剤)の使用量が0.01重量部未満の場合は脱水効果が不十分であり、貯蔵安定性が低下する。使用量が70重量部を超える場合は塗膜にワキ(発泡)が発生し好ましくない。この耐汚染性維持剤(C)成分の配合により、貯蔵安定性が向上する。すなわち、例えば、ライン塗装を行なう場合のように、比較的長い時間、塗料を空気(外気)に晒す場合(開放系におく場合)、当該塗料は次第に劣化し、期待されるだけの物性(たとえば、最終的に得られる塗膜に対して耐汚染性を付与するという耐汚染性付与性能)が発現しなくなるが、本発明のように、耐汚染性維持剤(C)成分を配合することにより、ライン塗装工程で使用する場合の如く、比較的長時間にわたって開放系におかれる場合でも、耐汚染性付与性能は低下せず、当該耐汚染性付与性能を延長させることが可能となる。のみならず、耐汚染性維持剤(C)を配合することにより、最終的に得られる塗膜の外観性が向上し、また親水性の維持効果を奏するわけであるが、これらの点についても、耐汚 染性維持剤(C)成分を配合することによる本発明の特徴といえる。
【0052】
硬化触媒
本発明の塗料用樹脂組成物は、樹脂(A)成分にシリコン含有化合物類(B)成分、耐汚染性維持剤(C)成分を配合したものであるが、本発明においては、硬化性をさらに向上させる目的で、該塗料用樹脂組成物に硬化触媒(D)成分を配合することが好ましい。
【0053】
本発明においては、前記硬化触媒(D)成分として、得られる塗料用樹脂組成物から形成される硬化物の接触角をより小さくし、耐汚染性の向上効果をより大きくすることができるという点から、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとチッ素含有有機化合物との反応生成物、カルボン酸、スルホン酸、スルホン酸とチッ素含有有機化合物との反応生成物、有機スズ化合物および有機アルミニウム化合物の少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0054】
説明を加える。硬化触媒(D)成分としては、たとえばモノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノデシルホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェートなどの酸性リン酸エステル;該酸性リン酸エステルと、たとえばヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、ドデシルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、モルホリン、ジイソプロパノールアミンなどのチッ素含有有機化合物との反応生成物;マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イタコン酸、クエン酸、コハク酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2−エチルヘキサン酸などのカルボン酸;パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸;たとえばNACURE5225、NACURE5543、NACURE5925(以上、キングインダストリーズ社製)などの前記スルホン酸と前記チッ素含有有機化合物との反応生成物;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレエート、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセタート)などの有機アルミニウム化合物;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、グリシジルメタクリレート、グリシドール、アクリルグリシジルエーテル、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、式:CH2CH2−Si(OCH3)3で表わされる化合物、カーデュラE、エピコート828、エピコート1001(以上、油化シェルエポキシ(株)製)などのエポキシ化合物と、リン酸および/またはモノリン酸エステルとの付加反応物;テトライソプロピルチタネート、テトラオクチレングリコールチタン、ジプロポキシチタン−ビス(エチルアセトアセテート)、ポリ(トリプロポキシチタニウム)、イソプロピルトリステアロイルチタネートなどの有機チタネート化合物などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0055】
硬化触媒(D)成分の量は、シリコン含有化合物(B)成分の加水分解縮合を促進させるものであり、(B)成分の固形分100重量部に対して0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.2〜3重量部とすることが望ましい。使用量が0.01重量部以下の場合は硬化性が十分ではなく、接触角が低下しにくく、使用量が10重量部を超える場合は外観性が得られないおそれがある。
【0056】
その他
本発明の塗料用硬化性樹脂組成物を、とくにトップコートクリアー塗料に配合して用いる場合には、該塗料用樹脂組成物に紫外線吸収剤や光安定剤を配合することにより、特にはこれらを同時に配合することにより、該塗料用硬化性樹脂組成物から形成される硬化物の耐候性をより一層向上させることができる。
【0057】
前記紫外線吸収剤としては、たとえばベンゾフェノン系吸収剤、トリアゾール系吸収剤、フェニルサリチレート系吸収剤、ジフェニルアクリレート系吸収剤、アセトフェノン系吸収剤などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。前記紫外線吸収剤の量は、塗料用硬化性樹脂組成物の固形分全量100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。前記光安定剤としては単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。前記光安定剤の量は、塗料用硬化性樹脂組成物の固形分全量100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部であることが望ましい。
【0058】
また、本発明の塗料用硬化性樹脂組成物を、とくにトップコートクリアー塗料に配合して用いる場合には、該トップコートクリアー塗料の用途に応じて、たとえば希釈剤、ハジキ防止剤、レベリング剤などの添加剤;ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレートなどの繊維素系化合物;前記樹脂(A)成分のほかに、とくに塩化ビニル系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、塩化ゴム、ポリビニルブチラールなどの樹脂などをさらに塗料用樹脂組成物に配合してもよい。
【0059】
本発明の塗料用硬化性樹脂組成物を得る方法にはとくに限定がなく、たとえば樹脂(A)成分、シリコン含有化合物(B)成分、耐汚染性維持剤(C)成分、ならびに必要に応じて硬化触媒(D)成分などの任意成分を、それぞれの量を適宜調整して混合する方法などを採用することができる。
【0060】
本発明の塗料用樹脂組成物は、たとえば浸漬方法、吹付け方法、刷毛塗り方法、ロールコーターまたはフローコーターを用いる方法など、従来から行なわれている種々の方法によって基材に塗装したのち、常温でまたは60〜350℃程度で加熱するなどして硬化させ、とくに耐汚染性に優れた硬化物(塗膜)を形成させることができる。このように、本発明の塗装用硬化性組成物から形成される硬化物は、合成樹脂が本来呈する硬化性,加工性,耐候性、耐食性、硬度などを維持しながら、優れた耐汚染性を発現するための親水性を同時に併せもつものであり、更に、長期保存後においてもこれらの性能低下をおこさないものである。したがって、本発明の塗料用樹脂組成物は、ライン塗装に用いられ、特に、プレコートメタル(PCM)などの塗装に適しており、屋根、壁などの建築内外装、フェンス、ガードレールなどの道路資材、自動販売機など、屋外で用いられる金属製品、自動車などの用途にきわめて有用である。
【0061】
【実施例】
つぎに、本発明の塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを用いてなる塗装物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0062】
合成例1(水酸基及びシリル基含有ビニル系重合体の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器にキシレン26重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。そののち、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン13重量部、スチレン15重量部、ブチルメタクリレート29重量部、メチルメタクリレート30重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13重量部、キシレン20重量部および2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2.75重量部からなる混合物を滴下ロートにより5時間かけて等速滴下した。
【0063】
滴下終了後、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.25重量部およびキシレン5重量部を1時間かけて等速滴下したのち、110℃で2時間熟成してから冷却し、更に、メチルイソブチルケトン10重量部を加え、キシレンで希釈して樹脂固形分濃度が60%のアクリル系共重合体を得た。得られたアクリル系共重合体の数平均分子量(GPC法)は7000であった。
【0064】
合成例2(水酸基及びシリル基含有ビニル系重合体の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器にソルベッソ100の13重量部、1−ブタノール9重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。そののち、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20重量部、スチレン15重量部、ブチルメタクリレート38重量部、メチルメタクリレート7重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20重量部、ソルベッソ100の8重量部、1−ブタノール5重量部および2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)4.7重量部、メタノール2重量部からなる混合物を滴下ロートにより5時間かけて等速滴下した。
【0065】
滴下終了後、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.3重量部およびキシレン5重量部を1時間かけて等速滴下したのち、110℃で2時間熟成してから冷却し、更に、ソルベッソ100で希釈して樹脂固形分濃度が60%のアクリル系共重合体を得た。得られたアクリル系共重合体の数平均分子量(GPC法)は5100であった。
【0066】
合成例3(エポキシ樹脂の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器にソルベッソ100を17重量部、n−ブタノール10重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。そののち、スチレン20重量部、グリシジルメタアクリレート34重量部、シクロヘキシルメタクリレート30重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16重量部、ソルベッソ100を13重量部、n−ブタノール6重量部およびカヤエステルOの5.7重量部からなる混合物を滴下ロートにより4時間かけて等速滴下した。
【0067】
滴下終了後、カヤエステルOを0.3重量部およびキシレン10重量部を30分かけて等速滴下したのち、110℃で1時間30分熟成してから冷却し、ソルベッソ100で希釈して樹脂固形分濃度が60%のエポキシ基含有重合体を得た。得られたアクリル系共重合体の数平均分子量(GPC法)は5400であった。
【0068】
合成例4(カルボキシル基含有アクリル樹脂の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器にソルベッソ100を26重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。そののち、スチレン15重量部、イソブチルメタクリレート28重量部、2−エチルヘキシルアクリレート36.5重量部、無水マレイン酸20.5重量部、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン30重量部、カヤエステルOを5.7重量部、キシレン10重量部からなる混合物を滴下ロートにより4時間かけて等速滴下した。
【0069】
滴下終了後、カヤエステルOを0.3重量部およびキシレン10重量部を30分かけて等速滴下した後、110℃で1時間30分熟成してから冷却し、ソルベッソ100で希釈して樹脂固形分濃度が50%の酸無水基含有重合体を得た。得られた酸無水基含有重合体の数平均分子量(GPC法)は5600であった。
【0070】
合成例5(水酸基含有重合体の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器にキシレン26重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。そののち、メチルメタクリレート15重量部、イソブチルメタクリレート57重量部、n−ブチルアクリレート8重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20重量部、キシレン14.5重量部および2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)5.6重量部からなる混合物を滴下ロートにより5時間かけて等速滴下した。
【0071】
滴下終了後、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.4重量部およびソルベッソ100の6.8重量部を1時間かけて等速滴下したのち、110℃で2時間熟成してから冷却し、メチルイソブチルケトン10重量部を加え、更に、キシレンで希釈して樹脂固形分濃度が60%のアクリル系共重合体を得た。得られたアクリル系共重合体の数平均分子量(GPC法)は6900であった。
【0072】
B成分の調整(B−1)
合成例2で得られた樹脂100重量部(固形分)にエチルシリケート48(コルコート(株)製エチルシリケートの部分加水分解縮合物)を100重量部とを予め混合し、ソルベッソ100で希釈して固形分濃度を60%に調整した。この溶液を50℃にて4時間熟成させ(B―1)成分を得た。
【0073】
(白エナメル塗料の調製)
白エナメル塗料−A
市販のアルマテックスHMP25(ポリエステル樹脂、不揮発分60%(三井化学(株))を54重量部に対して、酸化チタン(CR−97、石原産業(株)製)72重量部、キシレン10.8重量部を配合し、ガラスビーズを用いてペイントコンディショナーで2時間分散を行なった。
【0074】
その後、前記アルマテックスHMP25を90重量部、サイメル303(三井サイテック(株)製、メラミン樹脂)を21.6重量部、キシレン51.6重量部配合し、更に、ペイントコンディショナーで30分間分散を行ない、白エナメル塗料−A(固形分濃度60%、顔料濃度40%)を調整した。
【0075】
白エナメル塗料−B
合成例3で得たエポキシ樹脂(不揮発分60%)を54重量部に対して、酸化チタン(CR−97、石原産業(株)製)72重量部、キシレン10.8重量部を配合し、ガラスビーズを用いてペイントコンディショナーで2時間分散を行なった。
【0076】
その後、前記合成例3で得た樹脂を36重量部、合成例4で得た樹脂を90重量部、キシレン37.2重量部を配合し、さらに、ペイントコンディショナーで30分間分散を行ない、白エナメル塗料−B(固形分濃度60%、顔料濃度40%)を調整した。
【0077】
白エナメル塗料−C
合成例5で得た水酸基含有アクリル樹脂(不揮発分60%)を54重量部に対し、酸化チタン(CR−97、石原産業(株)製)72重量部、キシレン10.8重量部を配合し、ガラスビーズを用いてペイントコンディショナーで2時間分散を行なった。その後、前記合成例5で得た水酸基含有アクリル樹脂を126重量部、キシレン37.2重量部配合し、更に、ペイントコンディショナーで30分間分散を行ない、白エナメル塗料−C(固形分濃度60%、顔料濃度40%)を調整した。
【0078】
白エナメル塗料−D
合成例5で得た水酸基含有アクリル樹脂(不揮発分60%)を54重量部に対し、酸化チタン(CR−97、石原産業(株)製)72重量部、キシレン10.8重量部を配合し、ガラスビーズを用いてペイントコンディショナーで2時間分散を行なった。
【0079】
その後、前記合成例5で得た水酸基含有アクリル樹脂を90重量部、サイメル303(三井サイテック(株)製メラミン樹脂)を21.6重量部、キシレン48.6重量部配合し、更に、ペイントコンディショナーで30分間分散を行ない、白エナメル塗料−D(固形分濃度60%、顔料濃度40%)を調整した。
【0080】
白エナメル塗料−E
合成例1で得た加水分解性シリル基及び水酸基含有アクリル樹脂(不揮発分60%)を54重量部に対して、酸化チタン(CR−97、石原産業(株)製)72重量部、キシレン10.8重量部を配合し、ガラスビーズを用いてペイントコンディショナーで2時間分散を行なった。
【0081】
その後、前記合成例1で得た樹脂126重量部、キシレン37.2重量部配合し、更に、ペイントコンディショナーで30分間分散を行ない、白エナメル塗料−E(固形分濃度60%、顔料濃度40%)を調整した。
【0082】
白エナメル塗料−F
市販のアルマテックスHMP25(ポリエステル樹脂、不揮発分60%(三井化学(株))を54重量部に対して、酸化チタン(CR−97、石原産業(株)製)72重量部、キシレン10.8重量部を配合し、ガラスビーズを用いてペイントコンディショナーで2時間分散を行なった。
【0083】
その後、前記アルマテックスHMP25を99重量部、サイメル303(三井サイテック(株)製、メラミン樹脂)を16.2重量部、キシレン48重量部配合し、更に、ペイントコンディショナーで30分間分散を行ない、白エナメル塗料−F(固形分濃度60%、顔料濃度40%)を調整した。
【0084】
実施例および比較例
得られた白エナメル(白エナメル塗料−A〜F)100重量部に対し、シリコン含有化合物(B)成分、耐汚染性維持剤(C)及び必要に応じて架橋剤(D)及び/又は硬化触媒を[表1]に示す組成となるように配合し、この混合物をソルベッソ100にて希釈し、フォードカップ#4による粘度が約30秒となるように調製し、塗料用樹脂組成物を得た。表1中、実施例2〜6は参考例である。
【0085】
得られた塗料を室温で24時間放置した後の水分をカールフィッシャー法で測定した結果、実施例1は430ppm、実施例8は820ppm、比較例1は3600ppmであった。
【0086】
つぎに、脱脂およびリン酸化成処理が行なわれた軟質鋼板に、エポキシアミド系カチオン電着プライマーおよび中塗りサーフェーサーを塗装したものを試験片とし、上記塗料用樹脂組成物を塗布した。
【0087】
室温で10分間放置した後、これを250℃で1分間焼き付けて塗膜(硬化物)を形成させた。白エナメルの乾燥膜厚は約30μmであった。
【0088】
得られた塗膜における(1)外観性、(2)耐溶剤性、(3)屈曲性、(4)鉛筆硬度、(5)耐汚染性、(6)親水性、(7)ポットライフを下記方法により評価した。結果を[表1]に併記する。
【0089】
(1) 外観性(光沢)
JIS K5400に準拠して60°光沢を測定した。
【0090】
(2) 耐溶剤性
脱脂綿にキシレンを染み込ませ、20往復ラビング試験を行なった。
【0091】
(3) 屈曲性
直径6mmの丸棒を用い180°の折り曲げ試験を行なった。
【0092】
(4) 硬度(鉛筆硬度)
JIS K5400に準拠して評価した。
【0093】
(5) 耐汚染性
曝露初期のL*a*b*表色系で表される明度を色彩色差計(ミノルタ(株)製:CR300)で測定し、大阪府摂津市で南面30°の屋外曝露を3ヶ月実施した。曝露後の明度と曝露前の明度差の絶対値(ΔL値)を汚染性の尺度とした。なお、数値の小さい方が耐汚染性に優れ、数値の大きい方が汚れていることを示す。
【0094】
(6) 親水性(接触角)
接触角測定機(協和界面科学(株)製:CA−S150型)を用い、曝露前,大阪府摂津市で南面30°の屋外曝露3ヶ月後及び促進評価法として50℃、98%RH雰囲気下で3日間処理した後の水との接触角を測定することにより評価した。数値が小さいほど親水性が高いことを示す。
【0095】
(7) ポットライフ
試験対象塗料を450mlマヨネーズ瓶に約300g計量して、温度23℃、55RH%雰囲気下でスターラーにて攪拌し、2,4,6時間経過後の光沢及び接触角の変化を調べた。
【0096】
【表1】
【0097】
[表1]の結果から、実施例で得られた塗料を用いて形成した塗膜はいずれも従来から要求される外観性、耐溶剤性、屈曲性を維持しつつ、耐汚染性の優れ、更に、攪拌条件下でのポットライフ試験後の光沢及び接触角が低下することなく、持続性に優れたものであることがわかる。
【0098】
【発明の効果】
本発明は従来用いられている有機樹脂に耐汚染性維持剤とシリコン化合物を配合することにより耐汚染性とポットライフを両立させることが可能であることがわかる。組成物が本来呈する外観性、耐溶剤性、屈曲性を維持しつつ、優れた親水性に基づく、屋外での長期間にわたる暴露にも耐え得る優れた耐汚染性を同時に併せもつ硬化物を形成することができるものである。したがって、本発明の塗料用硬化性樹脂組成物は、建築物内外装材、自動車、橋梁、家電製品などの用途に使用しうる金属,セラミックス,窯業系成形物,プラスチックなどの連続して使用する塗装に好適に使用することができる。
Claims (8)
- (A)シリル基を含有しない有機樹脂として数平均分子量が2500以上30000以下のポリエステル樹脂を含むポリエステルメラミン樹脂、
(B)一般式(I):(R1O)4−a−Si−(R2)a …… (I)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基(ただし、R1およびR2は同時に水素原子ではない)、aは0、1または2を示す)で表わされるシリコン含有化合物および/またはその部分加水分解縮合物、及び
(C)耐汚染性維持剤として加水分解性エステル化合物を配合してなることを特徴とする外観性および耐汚染性に優れた塗料用樹脂組成物。 - 前記(B)成分がテトラメチルシリケート、テトラメチルシリケートの部分加水分解縮合物、テトラエチルシリケート、及びテトラエチルシリケートの部分加水分解縮合物からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の組成物。
- 前記(B)成分がテトラメチルシリケート、テトラメチルシリケートの加水分解縮合物、テトラエチルシリケート、テトラエチルシリケートの加水分解縮合物、テトラプロピルシリケート、テトラプロピルシリケートの加水分解縮合物、テトラブチルシリケート、テトラブチルシリケートの加水分解縮合物からなる群より選ばれた2種以上の混合物である請求項1記載の組成物。
- 前記(A)100重量部に対し、前記(B)が0.5〜100重量部配合されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
- 前記(A)100重量部に対し、前記(C)が0.1〜35重量部配合されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
- 耐汚染性付与性能を備え、これにより硬化塗膜に優れた耐汚染性を発現させることのできる塗料用樹脂組成物の当該耐汚染性付与性能を開放系であっても低下させ得ない耐汚染性付与性能維持方法であって、
(A)シリル基を含有しない有機樹脂として数平均分子量が2500以上30000以下のポリエステル樹脂を含むポリエステルメラミン樹脂に、
(B)一般式(I):(R1O)4−a−Si−(R2)a …… (I)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基(ただし、R1およびR2は同時に水素原子ではない)、aは0、1または2を示す)で表わされるシリコン含有化合物および/またはその部分加水分解縮合物を配合し、これにより得られてなる樹脂組成物に対し、
さらに(C)耐汚染性維持剤として加水分解性エステル化合物を含ませることを特徴とする塗料用樹脂組成物の耐汚染性付与性能延長方法。 - 下記(A)成分に対して予め下記(C)成分を配合し、これにより系中の水分を2000ppm以下にしたあと、下記(B)成分を配合することを特徴とする塗料用樹脂組成物の調製方法。
(A)シリル基を含有しない有機樹脂として数平均分子量が2500以上30000以下のポリエステル樹脂を含むポリエステルメラミン樹脂。
(B)一般式(I):(R1O)4−a−Si−(R2)a …… (I)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基(ただし、R1およびR2は同時に水素原子ではない)、aは0、1または2を示す)で表わされるシリコン含有化合物および/またはその部分加水分解縮合物。
(C)加水分解性エステル化合物。 - メタリック粉末および/または着色顔料を含有した塗料が塗布された塗布面に下記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分からなる塗料用樹脂組成物をトップコートクリアー塗料として塗布し、当該塗布物を硬化させてなる塗装物。
(A)シリル基を含有しない有機樹脂として数平均分子量が2500以上30000以下のポリエステル樹脂を含むポリエステルメラミン樹脂。
(B)一般式(I):(R1O)4−a−Si−(R2)a …… (I)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基(ただし、R1およびR2は同時に水素原子ではない)、aは0、1または2を示す)で表わされるシリコン含有化合物および/またはその部分加水分解縮合物。
(C)加水分解性エステル化合物。
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