JP4007466B2 - 上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを用いてなる塗装物 - Google Patents
上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを用いてなる塗装物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4007466B2 JP4007466B2 JP15117398A JP15117398A JP4007466B2 JP 4007466 B2 JP4007466 B2 JP 4007466B2 JP 15117398 A JP15117398 A JP 15117398A JP 15117398 A JP15117398 A JP 15117398A JP 4007466 B2 JP4007466 B2 JP 4007466B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- weight
- parts
- curable composition
- carbon atoms
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車、産業機械、スチール製家具、建築物内外装、家電用品、プラスチック製品等に好適に用いられる上塗り塗料用硬化性組成物、及び、それを用いてなる塗装物に関する。更に詳しくは、優れた耐酸性、耐擦傷性、外観性、熱硬化性等を呈するとともに、極めて優れた耐汚染性を有し、特に自動車用上塗り塗料に好適に使用し得る上塗り塗料用硬化性組成物、及び、それを用いてなる塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車、産業機械、スチール製家具、建築物内外装、家電用品、プラスチック製品等の塗装には、アルキドメラミンやアクリルメラミン等のメラミン樹脂を主成分とする塗料が用いられてきた。
【0003】
しかし、かかるメラミン樹脂が主成分の塗料には、硬化時に有害なホルマリンが発生するという問題や、硬化塗膜の耐酸性が乏しいため、酸性雨に侵され易いという問題があった。特に、近年の大気汚染に起因する酸性雨は、塗膜にエッチングや白化、シミ等を発生させる原因となっており、深刻な問題になりつつある。
【0004】
上記のような問題を解決するため、加水分解性シリル基を有するビニル系共重合体とアクリルポリオールとのブレンド系、又は、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体とアルコール性水酸基を有するビニル系単量体との共重合体等を塗料に用いることについて検討がなされている(特開昭63−132977号公報等を参照)。
【0005】
加水分解性シリル基を有するビニル系共重合体とアクリルポリオールとのブレンド系や、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体とアルコール性水酸基を有するビニル系単量体との共重合体を使用する場合の特徴として、加水分解性シリル基及びアルコール性水酸基が安定なシロキサン結合又はシロキシ結合を形成して硬化するため、アクリルメラミンやアルキドメラミン等のメラミン樹脂を主成分とする塗料を用いた場合と比べて、耐酸性や耐候性が優れた塗膜を形成させることができるという点を一応挙げることができる。
【0006】
ところで、一般に、自動車の上塗り塗装仕上げには、メタリックカラー仕上げ及びソリッドカラー仕上げの2種類がある。
このうち、メタリックカラー仕上げの場合には、メタリックベースコートを塗装後、ウェット・オン・ウェット方式でアクリルメラミン樹脂塗料のクリアー塗料を塗装し、2コート1ベーク方式で加熱硬化させる方法が一般に行われている。
【0007】
一方、ソリッドカラー仕上げの場合には、アルキドメラミン樹脂塗料が用いられ、従来から、1コート1ベーク方式で加熱硬化させる方法が一般に採用されている。しかしながら、最近では、仕上り外観、耐候性、耐酸性、耐擦傷性、耐汚染性等の諸特性に対する要求が厳しくなってきたのに伴い、ソリッドカラー仕上げの上に、アクリルメラミン樹脂塗料、前記加水分解性シリル基を有するビニル系共重合体とアクリルポリオールとのブレンド系よりなる塗料、又は、加水分解性シリル基とアルコール性水酸基とを同一分子内に有するビニル系共重合体よりなる塗料等のクリアー塗料を塗装する方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、上記のクリアー塗料を使用した場合でも、特に都市部では付着した汚れが落ちにくく、特に淡彩色系の塗装の場合にその傾向がより目立ち、見た目の美しさ、掃除の容易さ、掃除回数の低減等の点から、耐汚染性の改善が望まれている。また、上記ソリッドカラー仕上げの上にクリアー塗料を塗装する場合でも、耐酸性、硬化性、耐汚染性等の諸物性を満足するものは得られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、優れた耐酸性、硬化性を呈することはもとより、外観性、硬度等の塗膜物性のバランスに優れるとともに、極めて優れた耐汚染性を有する上塗り塗料用硬化性組成物、及び、それを用いてなる塗装物を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(A)主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、その主鎖末端及び/又は側鎖に、下記一般式(1);
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。R2は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数7〜10のアラルキル基からなる群より選択された1価の基を表す。R1又はR2が複数存在する場合には、同一であっても異なっていてもよい。aは、0〜2の整数を表す。)
で表される炭素原子に結合した加水分解性シリル基を少なくとも1個有し、更にアルコール性水酸基を少なくとも1個有し、アルコール性水酸基当量が1,000〜2,000g/モルであるビニル系共重合体100重量部、
(B)テトラアルキルシリケート(ただしアルキル基の炭素数は1〜10)及び/又はその部分加水分解縮合物1〜100重量部、
(C)多価アルコールと、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びテトラヒドロ無水フタル酸からなる群より選択される酸無水物とをハーフエステル化反応させて得られるオリゴマー化合物であって、1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有し、分子量が2,000以下であるオリゴマー化合物0.1〜80重量部、並びに、
(D)溶剤0.5〜70重量部
からなる上塗り塗料用硬化性組成物(ただし当該硬化性組成物が、エポキシ基含有樹脂100重量部に対し、カルボキシル基を含有する化合物又は樹脂0.001〜100重量部を含有する場合を除く)である。
【0013】
本発明は、また、メタリック粉末及び/又は着色顔料を含有する塗料が塗布された塗布面にトップコートクリアー塗料が塗布されてなる塗装物であって、上記トップコートクリアー塗料が、上記の上塗り塗料用硬化性組成物を主成分として含有する塗装物でもある。
以下、本発明を詳述する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の上塗り塗料用硬化性組成物は、必須成分として、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分からなる4つの成分を含有するものである。以下、この4成分及び所望により用いられるその他の成分について順に説明する。
【0015】
(A)成分
本発明に用いられる(A)成分は、主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、その主鎖末端及び/又は側鎖に、上記一般式(1)で表される炭素原子に結合した加水分解性シリル基を少なくとも1個有し、更にアルコール性水酸基を少なくとも1個有し、アルコール性水酸基当量が1,000〜2,000g/モルであるビニル系共重合体である。
【0016】
成分(A)のビニル系共重合体は、その主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなるため、得られる硬化性組成物を用いて形成される塗膜は、耐候性、耐薬品性等が優れたものとなる。なお、上記ビニル系共重合体の主鎖が「実質的にビニル系共重合体鎖からなる」とは、上記ビニル系共重合体(A)の主鎖を構成する単量体単位のうちの50重量%以上、好ましくは70重量%以上が、ビニル系共重合体単位であることを意味する。
【0017】
また、上記ビニル系共重合体においては、加水分解性シリル基が炭素原子に結合しているため、形成される塗膜の耐水性、耐アルカリ性、耐酸性等も優れたものとなる。なお、本明細書中、「加水分解性シリル基」とは、上記一般式(1)のR1 が水素原子であることからも分かるように、シラノール基をも含む概念である。
【0018】
上記一般式(1)において、R1 は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。上記炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、オクチル基、デシル基等を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基である。上記アルキル基の炭素数が10を超える場合には、加水分解性シリル基の反応性が低下する傾向にある。また、上記R1 が、例えばフェニル基、ベンジル基等のアルキル基以外の基である場合にも、加水分解性シリル基の反応性が低下するので好ましくない。上記R1 が複数存在する場合には、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0019】
また、上記一般式(1)において、R2 は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数7〜10のアラルキル基からなる群より選択された1価の基を表す。上記炭素数1〜10のアルキル基としては、上で例示した基等が挙げられる。上記炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。上記炭素数7〜10のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等を挙げることができる。これらの中では、得られる組成物が優れた硬化性を有するという点から、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。上記R2 が複数存在する場合には、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0020】
更に、上記一般式(1)において、aは、0〜2の整数を表す。すなわち、R1 は、1〜3個存在し、R2 は、0〜2個存在する。
【0021】
上記ビニル系共重合体の主鎖末端及び/又は側鎖に結合した上記一般式(1)の加水分解性シリル基は、上記重合体1分子中に少なくとも1個含有されるものであるが、得られる硬化性組成物を用いて形成される塗膜の耐溶剤性が優れるという点から、2〜10個含有されることが好ましい。
【0022】
上記ビニル系共重合体主鎖末端及び/又は側鎖に結合したアルコール性水酸基は、上記重合体1分子中に少なくとも1個含有される。
【0023】
上記ビニル系共重合体におけるアルコール性水酸基当量は、上記アルコール性水酸基1モルを含有するビニル系共重合体の量(g)で表示すると、1,000〜2,000g/モルである。1,000g/モル未満の場合には、得られる硬化性組成物を用いて形成される塗膜の貯蔵安定性、耐酸性が十分でなく、また、2,000g/モルを超える場合には、硬化性組成物の熱硬化性が劣る傾向がある。
【0024】
また、上記ビニル系共重合体における加水分解性シリル基当量は、上記加水分解性シリル基1モルを含有するビニル系共重合体の量(g)で表示すると、優れた熱硬化性、耐酸性、耐候性戸を呈する硬化性組成物が得られるという点から、500〜7,000g/モルであることが好ましい。より好ましくは、550〜5,000g/モルであり、更に好ましくは、650〜4,000g/モルである。500g/モル未満の場合には、内部応力が大きくなり、7,000g/モルを超える場合には、硬化性が低下する傾向がある。
【0025】
上記ビニル系共重合体は、例えば、下記(1)〜(3)等の単量体を含有する共重合成分を重合することによって製造することができる。
(1)加水分解性シリル基含有ビニル系単量体(モノマー(a−1))、
(2)アルコール性水酸基含有ビニル系単量体(モノマー(a−2))、及び
(3)共重合可能なその他の単量体(モノマー(a−3))。
【0026】
上記モノマ−(A−1)の具体例としては、例えば、下記の(3−1)〜(3−11)の化合物;
【0027】
【化3】
【0028】
等の下記一般式(3);
【0029】
【化4】
【0030】
(式中、R1 、R2 、aは、上記と同じ。R5 は、水素原子又はメチル基を表す。)で表される化合物、
下記の(4−1)〜(4−9)の化合物;
【0031】
【化5】
【0032】
等の下記一般式(4);
【0033】
【化6】
【0034】
(式中、R1 、R2 、R5 及びaは上記と同じ。nは、1〜12の整数を表す。)で表される化合物、
下記の(5−1)〜(5−2)の化合物;
【0035】
【化7】
【0036】
等の下記一般式(5);
【0037】
【化8】
【0038】
(式中、R1 、R2 、R5 、a、nは上記と同じ。)で表される化合物、及び、下記の(6−1)〜(6−2)の化合物;
【0039】
【化9】
【0040】
(式中、pは、0〜20の整数を表す。)等の一般式(6);
【0041】
【化10】
【0042】
(式中、R1 、R2 、R5 、a、pは、上記と同じ。)で表される化合物や、上記一般式(1)で表される加水分解性シリル基をウレタン結合又はシロキサン結合を介して末端に有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、取扱いが容易で低価格であり、反応副生成物を生じないという点から、上記一般式(4)で表される化合物が好ましい。これらのモノマー(A−1)は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0043】
上記モノマー(a−1)の使用量は、共重合成分全量中、5〜60%(重量%、以下同様)であるのが好ましく、10〜50%であるのがより好ましい。この使用量が5%未満である場合には、得られる硬化性組成物を用いて形成される塗膜の耐酸性が不充分となる傾向があり、60%を超える場合には、硬化性組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
【0044】
次に、上記モノマー(a−2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アロニクス5700(商品名)(東亜合成化学工業社製)、4−ヒドロキシスチレン;HE−10、HE−20、HP−1、HP−20(各商品名)等の末端に水酸基を有するアクリル酸エステルオリゴマー(以上、日本触媒化学工業社製);ブレンマーPPシリーズ(ポリプロピレングリコールメタクリレート)、ブレンマーPEシリーズ(ポリエチレングリコールモノメタクリレート)、ブレンマーPEPシリーズ(ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート)、ブレンマーAP−400(ポリプロピレングリコールモノアクリレート)、ブレンマーAE−350(ポリエチレングリコールモノアクリレート)、ブレンマーNKH−5050(ポリプロピレングリコールポリトリメチレンモノアクリレート)、ブレンマーGLM(グリセロールモノメタクリレート)(各商品名)等の化合物(以上、日本油脂社製);水酸基含有ビニル系化合物とε−カプロラクトンの反応によって得られるε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系共重合性化合物等が挙げられる。
【0045】
上記ε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系共重合性化合物の代表例としては、例えば、下記一般式(7);
【0046】
【化11】
【0047】
で表される化合物が挙げられる。その具体例としては、例えば、PlaccelFA−1〔上記一般式(1)中で、R6 は水素原子であり、qは1である化合物〕、Placcel FA−4(R6 は水素原子、qは4)、PlaccelFM−1(R6 は水素原子、qは1)、Placcel FM−4(R6 は水素原子、qは4)(各商品名)(以上、ダイセル化学工業社製);TONE M−100(R6 は水素原子、qは2)、TONE M−201(各商品名)(R6 はメチル基、qは1)(以上、UCC社製)等が挙げられる。
【0048】
これらのモノマー(a−2)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記モノマー(a−2)の中では、得られる硬化性組成物を用いて形成される塗膜の耐酸性及び耐水性が優れるという点から、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系共重合性化合物が好ましく、特に、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0049】
上記モノマー(a−2)の使用量は、共重合成分全量中0.1〜50%であることが好ましく、2〜35%であることがより好ましい。この使用量が50%を超える場合には、硬化性組成物を用いて形成される塗膜の耐水性及び耐酸性が低下する傾向がある。
【0050】
上記モノマー(a−3)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、マクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5(各商品名)等の化合物(以上、東亜合成化学工業社製)、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン酸又はリン酸エステル類との縮合生成物等のリン酸エステル基含有ビニル系化合物、ウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系ビニル化合物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等の塩;無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸の酸無水物、これらと炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖を有するアルコールとのジエステル又はハーフエステル等の不飽和カルボン酸のエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレート等のビニルエステルやアリル化合物;ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基含有ビニル系化合物;イタコン酸ジアミド、クロトンアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドン等のアミド基含有ビニル系化合物;メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸等のその他のビニル系化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
なお、モノマー(a−3)として、アミン、カルボン酸、スルホン酸、リン酸系の基を有する極性モノマーを用いる場合には、重合時の架橋反応を抑えるために、その使用量を共重合成分全量の5%以下にすることが望ましい。
【0052】
本発明においては、得られる硬化性組成物を用いて形成される塗膜の耐候性、耐溶剤性、耐衝撃性等を向上させる目的で、上記ビニル系共重合体の50%を超えない範囲で、ウレタン結合やシロキサン結合により形成されたセグメントを、ビニル系共重合体主鎖中に含まれるように使用してもよい。
【0053】
本発明の(A)成分であるビニル系共重合体は、上記モノマー(a−1)、モノマー(a−2)、モノマー(a−3)等を含有する共重合成分から、例えば、特開昭54−36395号公報、特開昭57−55954号公報等に記載の方法によって製造することができるが、合成の容易さ等の点から、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系ラジカル重合開始剤を用いた溶液重合法によって製造するのが好ましい。
【0054】
上記溶液重合法に用いられる重合溶媒は、非反応性のものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のエーテル類;メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン類等の溶媒が挙げられる。
【0055】
上記重合溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ただし、メタノールやブタノール等のアルコール類を重合溶媒として用いる場合には、共重合成分100重量部に対してアルコール類を1〜30重量部の割合で使用するのが好ましい。上記アルコール類の量が1重量部未満の場合には、重合時にゲル化を起こす可能性があるので好ましくない。
【0056】
また、上記溶液重合の際に連鎖移動剤を用いることにより、得られるビニル系共重合体の分子量を調節してもよい。上記連鎖移動剤の具体例としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、(CH3 O)3 Si−S−S−Si(OCH3 )3 、(CH3 O)3 Si−S8 −Si(OCH3 )3 等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
例えば、上記γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を分子中に有する連鎖移動剤を用いる場合には、上記ビニル系共重合体の主鎖末端に加水分解性シリル基を導入することができるので好ましい。
【0058】
上記連鎖移動剤の使用量は、共重合成分に対して、0.1〜10%程度であるのが好ましい。
【0059】
(B)成分
本発明に用いられる(B)成分は、テトラアルキルシリケート(ただしアルキル基の炭素数は1〜10)及び/又はその部分加水分解縮合物である。この成分は、得られる硬化性組成物を用いて形成される塗膜の耐汚染性を向上させる作用を有する。
【0060】
上記アルキル基としては、上で例示したもの等が挙げられる。複数のアルキル基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0063】
上記テトラアルキルシリケートの具体例としては、例えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラn−プロピルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラn−ブチルシリケート、テトライソブチルシリケート、テトラt−ブチルシリケート等が挙げられる。
【0064】
また、上記シリコン化合物の部分加水分解縮合物としては、例えば、通常の方法で上記テトラアルキルシリケート等に水を添加し、部分加水分解させて縮合させたもの、又は、アルコール系溶剤中、酸性物質と水の存在下、上記テトラアルキルシリケートを加水分解したもの等が挙げられる。
【0065】
その具体例としては、例えば、MSI51、ESI40、HAS−1、HAS−10(各商品名)(以上、コルコート社製);MS51、MS56、MS56S(各商品名)(以上、三菱化学社製)等のテトラアルキルシリケート部分加水分解縮合物等が挙げられる。
【0066】
上記のごとき(B)成分としては、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよいが、(A)成分及び(C)成分との相溶性、得られる組成物の硬化性及び該組成物を用いて形成される塗膜の硬度が高いことにより汚染物質の定着を抑制するという点から、ESI28、MS51、MS56、HAS−1等のテトラアルキルシリケート及び/又はテトラアルキルシリケートの部分加水分解縮合物が好ましい。
【0067】
(B)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜100重量部、更に好ましくは10〜80重量部である。(B)成分が1重量部未満の場合には耐汚染性の効果が充分でなく、100重量部を超える場合には耐衝撃性が低下する。
【0068】
上記(B)成分の添加方法については特に限定されず、上記(A)成分の重合時に添加してもよく、また、(A)成分との加熱ブレンドや(A)及び(C)成分とのコールドブレンド等の方法も用いることができる。
【0069】
(C)成分
本発明の(C)成分は、多価アルコールと、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びテトラヒドロ無水フタル酸からなる群より選択される酸無水物とをハーフエステル化反応させて得られるオリゴマー化合物であって、1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有するオリゴマー化合物である。このオリゴマー化合物を、以下、「カルボン酸オリゴマー」とする。
【0070】
上記カルボン酸オリゴマーを合成するための上記多価アルコールは、1分子中に水酸基を2個以上有する化合物であり、なかでも、本発明の組成物から得られる塗膜の硬化性、耐候性、耐酸性、リコート密着性等の点から、1分子中に水酸基を2〜10個以上有するものが好ましい。
【0071】
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、水添ビスフェノールA、グリセリン、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キニトール、マニトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシメチルエタン等が挙げられる。
【0073】
また、上記多価アルコールと上記酸無水物との比率を調整することで、水酸基も含有するカルボン酸オリゴマーを製造することができ、これを(C)成分として用いてもよい。
【0074】
(C)成分であるカルボン酸オリゴマーの分子量は2,000以下であり、好ましくは1,800以下である。分子量が2,000を超えると、硬化性、相溶性が低下する可能性がある。
【0075】
(C)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対し、0.1〜80重量部であるのが好ましい。(C)成分の配合量が80重量部を超えると、耐水性及び塗料化時の貯蔵安定性が低下する場合があり、0.1重量部未満の場合には、硬化性が低下する可能性がある。なお、好ましい範囲は1〜80重量部であり、より好ましい範囲は1〜50重量部である。
【0076】
その他の成分
本発明の上塗り塗料用硬化性組成物には、上記の各成分以外に、溶剤(D)を用いる。溶剤(D)は、上記の(A)、(B)及び(C)成分のいずれをも溶解し、又は、安定に分散させることができるものであれば特に限定されない。なかでも代表的なものは、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、オクタン等の炭化水素系、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系等の、ビニル系共重合体(A)を調製する際に用いられるような溶剤である。これらのうち、アルコール系溶剤は脱水剤と併用すれば、安定性に好結果が得られる。溶剤(D)としては、(A)成分であるビニル系共重合体の重合時に用いられた溶媒をそのまま用いることもできる。
【0077】
上記溶剤の使用量には特に限定はないが、余りにも多い場合には、得られる硬化性組成物を用いて形成された塗膜にワキ(発泡現象)等の欠陥が生じ易くなる傾向があるので、ビニル系共重合体(A)100重量部に対して通常は70重量部以下であり、好ましくは50重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。また、下記の脱水剤を用いずに溶剤を単独で用いる場合には、通常は0.5〜70重量部であり、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部である。
【0078】
本発明の硬化性組成物に脱水剤を更に加えることにより、該硬化性組成物の保存安定性をより向上させることができる。
【0079】
上記脱水剤としては、例えば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルト酪酸メチル、オルト酪酸エチル、オルトプロピオン酸メチル、オルトプロピオン酸エチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0080】
上記脱水剤はビニル系共重合体(A)の重合時に加えておいてもよく、また重合後に加えてもよい。かかる脱水剤の使用量があまりにも多い場合には、得られる硬化性組成物を用いて形成される塗膜にピンホール等の欠陥が生じ易くなる傾向があるので、ビニル系共重合体(A)100重量部に対して70重量部以下で使用し、好ましくは50重量部以下で使用し、20重量部以下で使用するのがより好ましい。
【0081】
本発明の上塗り塗料用硬化性組成物に、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候性向上剤を配合することにより、その耐候性を更に向上させることができる。特にこれらを併用することにより、より一層効果的に耐候性を向上させることができる。
【0082】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、トリアゾール系、フェニルサリチレート系、ジフェニルアクリレート系、アセトフェノン系のもの等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。上記紫外線吸収剤の使用量は、硬化性組成物の樹脂固形分100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部であり、好ましくは1〜5重量部である。
【0083】
上記光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。上記光安定剤の使用量は、硬化性組成物の樹脂固形分100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部であり、好ましくは1〜5重量部である。
【0084】
次に、本発明の上塗り塗料用硬化性組成物を用いた塗装の一例について説明 する。
メタリック粉末及び/又は着色顔料を含有する塗料を被塗装物に塗布した後、該塗布面に本発明の上塗り塗料用硬化性組成物を主成分とするトップコートクリアー塗料を塗布する。
【0085】
上記メタリック粉末及び/又は着色顔料を含有する塗料(ベースコート)には特に限定はなく、例えば、アミノアルキド樹脂、オイルフリーアルキド樹脂、熱硬化アクリル樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、硝化綿ラッカー、変性アクリルラッカー、スレートアクリルラッカー、常温硬化ウレタン樹脂、アクリルエナメル樹脂、酸化硬化アルキド樹脂、酸化硬化変性(CAB等)アルキド樹脂、常温又は加熱硬化型フッ素樹脂、加水分解性シリル基含有樹脂、本発明の硬化性組成物及びこれらの混合物等を主成分とするものに、メタリック粉末や着色顔料を配合した塗料等を用いることができる。
【0086】
上記メタリック粉末及び/又は着色顔料を含有する塗料は、有機溶媒を媒体とした溶液型塗料、非水ディスパージョン塗料、多液型塗料、粉体塗料、スラリー塗料、水性塗料等のいずれのタイプの塗料であってもよい。
【0087】
上記メタリック粉末及び着色顔料にも特に限定はなく、従来から使用されているものを用いることができる。メタリック粉末の具体例としては、例えば、アルミニウム粉末、銅粉末、雲母粉末等が挙げられる。着色顔料の具体例としては、例えば、フタロシアニンブルー、トルイジンレッド、ベンジジンエロー等の有機系顔料や、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の無機系顔料が挙げられる。これらのメタリック粉末及び着色顔料はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0088】
なお、上記メタリック粉末及び/又は着色顔料を含有する塗料に上述の紫外線吸収剤や光安定剤を配合すれば、塗装物の耐候性を一層向上させることができる。
【0089】
また、ベースコートとトップコートクリアー塗膜との密着性を向上させるために、上記メタリック粉末及び/又は着色顔料を含有する塗料に上述のシリコン化合物(特に、アミノシラン化合物等)を配合することもできる。この場合のシリコン化合物の配合量は、上記塗料100重量部に対して、通常、20重量部以下であり、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0090】
本発明の塗装物は、上記のメタリック粉末及び/又は着色顔料を含有する塗料がベースコートとして塗布された塗布面に、更にトップコートクリアー塗料が塗布されてなる塗装物であって、上記トップコートクリアーは、上述の硬化性組成物を主成分として含有するものである。本発明の塗装物は、例えば、被塗物に上記メタリック粉末及び/又は着色顔料を含有する塗料を塗布して数分間セッティングした後、ウェット・オン・ウェット方式で上記トップコートクリアー塗料を塗装して加熱硬化させる2コート1ベーク方式や、上記メタリック粉末及び/又は着色顔料を含有する塗料を塗装して加熱硬化させた後、上記トップコートクリアー塗料を塗布して加熱硬化させる2コート2ベーク方式等の方式により製造することができる。上記トップコートクリアー塗料の塗布は、浸漬、吹付け、刷毛塗り、ロールコーター又はフローコーターを用いる方法等、従来から行われている種々の方法により行うことができる。上記トップコートクリアー塗料は、塗布後、30℃以上、好ましくは55〜350℃に加熱することにより硬化させることができる。
【0091】
本発明の塗装物における塗膜の厚さは、用途によって異なるため一概に規定できないが、メタリック粉末及び/又は着色顔料を含有する塗膜の厚さは、隠蔽性等の点から10〜30μmの範囲内が好ましく、また、トップコートクリアー塗膜の厚さは、耐久性等の点から20〜50μmの範囲が好ましい。
【0092】
本発明の上塗り塗料用硬化性組成物は、上述のように、優れた耐酸性、耐擦傷性、外観性、熱硬化性等を呈するとともに、極めて優れた耐汚染性を呈するものであり、例えば、自動車、産業機械、スチール製家具、建築物内外装、家電用品、プラスチック製品等に用いられる上塗り塗料、特に自動車用上塗り塗料等として好適に使用することができる。
【0093】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0094】
合成例1 ビニル系共重合体(A)の合成
撹拌機、温度計、還流管、窒素ガス導入管及び滴下ロートを備えた反応器に、表1における[部分2]を仕込み、窒素ガスを導入しつつ、115℃に昇温した後、[部分1]の混合溶液を4時間かけて等速で滴下した。
次に、この中へ[部分3]の混合溶液を1時間かけて等速で滴下した。引き続き115℃で2時間撹拌した後、室温まで冷却した。最後に、[部分4]の混合溶液を加えて撹拌した。
得られた溶液の固形分濃度、共重合体の数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定)、加水分解性シリル基当量及びアルコール性水酸基当量を表1に併記した。
【0095】
【表1】
【0096】
表1で配合した成分は以下のとおりである。
A174:γ−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート(日本ユニカー社製)
ソルベッソ100:石油系芳香族溶剤(エクソン化学社製)
V−59:2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業社製)
【0097】
合成例2 カルボン酸オリゴマー(C)の合成
撹拌機、温度計、還流管、窒素ガス導入管及び滴下ロートを備えた反応器に、表2における[部分1]を仕込み、窒素ガスを導入しつつ、120℃で15分間撹拌後、[部分2]を15分間かけて加えた。
その後、120℃で3時間反応させた。IRで酸無水物基の吸収(1,785cm-1)が消失するのを確認した。
【0098】
【表2】
【0099】
実施例1〜4、比較例1〜4
上記合成例より得られた(A)成分[(A−1)〜(A−3)]、(B)成分、(C)成分[(C−1)〜(C−3)]、比較のための成分(A′−1)、(A′−2)を表3に示す固形分比で配合した。
各実施例又は比較例の全樹脂固形分に対し、レベリング剤(楠本化成社製のディスパロンL−1984−50)を0.4%、紫外線吸収剤チヌビン384を2%、光安定剤チヌビン123を1%(いずれもチバガイギー社製)加えた。
この混合物をソルベッソ100(エクソン化学社製の石油系芳香族溶剤)で希釈してフォードカップで約20〜25秒の粘度に調製し、トップコート用クリアー塗料とした。
【0100】
脱脂及び燐酸化成処理を行った軟鋼板に、自動車エポキシアミド系カチオン電着プライマー及び中塗りサーフェーサーを塗装した塗板を試験片として用い、その上に市販のアクリルメラミン樹脂塗料(黒ベースコート、但し、耐汚染性評価は白ベースコート)を施した。
次に上記トップコート用クリアー塗料をウェット・オン・ウェット方式で塗装し、20分間セッティングした後、140℃で30分間焼き付けた。
乾燥膜厚は、ベースコートが約15μm、トップコートクリアーが約40μmであった。
得られた塗膜における耐酸性、ゲル分率、外観性、鉛筆硬度、耐汚染性、親水性、及び貯蔵安定性を下記方法により評価した。結果を表3に併記する。
【0101】
耐酸性
10%硫酸水溶液を0.5cc、ピペットを用いて試験板上に滴下し、乾燥機中、80℃で30分間加熱した後、水で硫酸水溶液を洗い落とし、塗膜表面の変化の様子を観察し、次の基準で評価した。
10点:試験前と変化なし
9点:僅かに変化が認められる
8点:円形の後が残る
7点:変色や膨れがわずかに認められる
5点:光沢の低下や変色が明らかに認められる
1点:フィルムの溶解が認められる
【0102】
ゲル分率
トップコート用クリアー塗料をスズ箔上に塗布し、120℃又は140℃で30分間焼き付けて得られた厚さ約40μmの遊離のクリアーフィルムを約50×50mmの大きさに切断し、予め精秤した200メッシュのステンレス製の金網(W0 )に包み精秤した(W1 )。その後、アセトン中に24時間浸漬して抽出を行い、次いで乾燥・精秤し(W2 )、下記式に基づいてゲル分率(%)を求めた。
ゲル分率(%)={(W2 −W0 )/(W1 −W0 )}×100
【0103】
外観性
光沢及び鮮映性を目視により総合評価した。○は良好、△は普通、×は不良を示す。
鉛筆硬度
JIS K 5400に準拠して評価した。
【0104】
耐汚染性
曝露初期のL*a*b*表色系で表される明度を色彩色差計(ミノルタ社製:CR300)で測定し、大阪府摂津市で南面30°の屋外曝露を3ヶ月実施した。曝露後の明度と曝露前の明度差の絶対値(ΔL値)を汚染性の尺度とした。なお、数値の小さい方が耐汚染性に優れ、数値の大きい方が汚れていることを示す。
【0105】
親水性
親水性は、接触角測定機(協和界面科学社製:CA−S150型)を用い、曝露前と大阪府摂津市で南面30°の屋外曝露3ヶ月後の水との接触角を測定することにより評価した。数値が小さいほど親水性が高いことを示す。貯蔵安定性(A)、(B)及び(C)成分の樹脂固形分濃度を50%に調整した後、40℃で10日間貯蔵し、主剤の粘度変化(B型粘度計)を調べ、その増粘倍率を示した。
【0106】
【表3】
【0107】
表3の結果から、実施例1〜4で得られた塗料を用いて形成した塗膜はいずれも、耐酸性、硬化性に非常に優れ、外観性、鉛筆硬度等の塗膜物性バランスに優れたものであると同時に、耐汚染性に優れたものであることが分かる。
【0108】
【発明の効果】
本発明の上塗り塗料用硬化性組成物は、優れた熱硬化性を呈するとともに、形成される塗膜が耐酸性、外観性が良好で、かつ、耐汚染性等の塗膜物性バランスに優れているので、例えば、自動車、産業機械、スチール製家具、建築物内外装、プラスチック等に用いられる上塗り塗料等に好適に使用することができる。上記上塗り塗料用硬化性組成物を塗装した塗装物は、上記のごとき優れた特性を有する。
Claims (2)
- (A)主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、その主鎖末端及び/又は側鎖に、下記一般式(1);
で表される炭素原子に結合した加水分解性シリル基を少なくとも1個有し、更にアルコール性水酸基を少なくとも1個有し、アルコール性水酸基当量が1,000〜2,000g/モルであるビニル系共重合体100重量部、
(B)テトラアルキルシリケート(ただしアルキル基の炭素数は1〜10)及び/又はその部分加水分解縮合物1〜100重量部、
(C)多価アルコールと、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びテトラヒドロ無水フタル酸からなる群より選択される酸無水物とをハーフエステル化反応させて得られるオリゴマー化合物であって、1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有し、分子量が2,000以下であるオリゴマー化合物0.1〜80重量部、並びに、
(D)溶剤0.5〜70重量部
からなることを特徴とする上塗り塗料用硬化性組成物(ただし当該硬化性組成物が、エポキシ基を含有する樹脂100重量部に対し、カルボキシル基を含有する化合物又は樹脂0.001〜100重量部を含有する場合を除く)。 - メタリック粉末及び/又は着色顔料を含有する塗料が塗布された塗布面にトップコートクリアー塗料が塗布されてなる塗装物であって、前記トップコートクリアー塗料が、請求項1記載の上塗り塗料用硬化性組成物を主成分として含有することを特徴とする塗装物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15117398A JP4007466B2 (ja) | 1998-06-01 | 1998-06-01 | 上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを用いてなる塗装物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15117398A JP4007466B2 (ja) | 1998-06-01 | 1998-06-01 | 上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを用いてなる塗装物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11343453A JPH11343453A (ja) | 1999-12-14 |
JP4007466B2 true JP4007466B2 (ja) | 2007-11-14 |
Family
ID=15512914
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15117398A Expired - Fee Related JP4007466B2 (ja) | 1998-06-01 | 1998-06-01 | 上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを用いてなる塗装物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4007466B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5116914B2 (ja) * | 2000-09-25 | 2013-01-09 | 株式会社カネカ | 有機溶剤型塗料用樹脂組成物の製造方法 |
Family Cites Families (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07764B2 (ja) * | 1986-11-25 | 1995-01-11 | 鐘淵化学工業株式会社 | 塗料用樹脂組成物 |
JPH03277646A (ja) * | 1990-03-27 | 1991-12-09 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 硬化性組成物およびそれを塗布してなる塗装物 |
JP3069186B2 (ja) * | 1991-01-28 | 2000-07-24 | 鐘淵化学工業株式会社 | 硬化性組成物 |
JP3318805B2 (ja) * | 1993-06-29 | 2002-08-26 | 鐘淵化学工業株式会社 | 熱硬化性上塗り塗料用組成物 |
JPH0827414A (ja) * | 1994-07-15 | 1996-01-30 | Kansai Paint Co Ltd | 塗料用硬化性樹脂組成物及び上塗り塗膜形成方法 |
WO1996035758A1 (fr) * | 1995-05-11 | 1996-11-14 | Kanegafuchi Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Composition durcissable pour revetement de finition et article revetu de cette composition |
JP3458205B2 (ja) * | 1995-11-20 | 2003-10-20 | 関西ペイント株式会社 | 高固形分塗料組成物及びそれを用いる上塗り塗膜形成方法 |
JPH09296149A (ja) * | 1996-04-30 | 1997-11-18 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 上塗り塗料用硬化性組成物、及びそれを用いてなる塗装物 |
JPH09296147A (ja) * | 1996-04-30 | 1997-11-18 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 上塗り塗料用硬化性組成物およびそれを用いてなる塗装物 |
JPH09302302A (ja) * | 1996-05-09 | 1997-11-25 | Kansai Paint Co Ltd | 塗料調整方法 |
US6265073B1 (en) * | 1996-08-22 | 2001-07-24 | Kaneka Corporation | Curable composition for top coating and articles coated using the same |
JPH1088065A (ja) * | 1996-09-12 | 1998-04-07 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 上塗り塗料用硬化性組成物およびそれを用いてなる塗装物 |
JPH10130583A (ja) * | 1996-10-31 | 1998-05-19 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 塗料用硬化性組成物およびそれを塗布した塗装物 |
JPH10140077A (ja) * | 1996-11-14 | 1998-05-26 | Kansai Paint Co Ltd | 自動車上塗り塗料及びそれを用いた塗膜形成方法 |
JPH11116887A (ja) * | 1997-10-09 | 1999-04-27 | Kansai Paint Co Ltd | 高固形分塗料組成物及びそれを用いる上塗り塗膜形成法 |
-
1998
- 1998-06-01 JP JP15117398A patent/JP4007466B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11343453A (ja) | 1999-12-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2001316630A (ja) | 上塗り用塗料組成物 | |
JP2886007B2 (ja) | 塗料用硬化性組成物 | |
US6265073B1 (en) | Curable composition for top coating and articles coated using the same | |
JPH1036775A (ja) | 塗料用硬化性組成物およびそれを用いてなる塗装物 | |
US6316572B1 (en) | Curable composition for coatings, coated articles and resin composition for coatings | |
JPH09302286A (ja) | 塗膜形成方法 | |
JP3954721B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JPH03277646A (ja) | 硬化性組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JP4334188B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物。 | |
JP4007466B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを用いてなる塗装物 | |
JP3702381B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを塗布してなる塗装物 | |
JP4119014B2 (ja) | 上塗り塗料組成物及びその塗膜の形成方法 | |
JPH10147743A (ja) | 上塗り塗料組成物 | |
JP4007465B2 (ja) | 塗料用硬化性組成物及び塗装物 | |
JP3108516B2 (ja) | 熱硬化性上塗塗料組成物 | |
JPH1088065A (ja) | 上塗り塗料用硬化性組成物およびそれを用いてなる塗装物 | |
JPH0987588A (ja) | 塗料用硬化性組成物、及びそれを塗布してなる塗装物 | |
WO1998046691A1 (fr) | Composition durcissable pour couches de finition et articles enduits de cette composition | |
JP2001081393A (ja) | 上塗り塗料用硬化性組成物およびそれを用いてなる塗装物 | |
JP4807904B2 (ja) | フィルム塗装物 | |
JPH10183052A (ja) | 上塗り塗料用硬化性組成物およびそれを用いた塗装物 | |
JP2011212568A (ja) | 塗膜形成方法及び親水化処理剤溶液 | |
JP4035174B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性樹脂組成物 | |
JP2000239612A (ja) | 塗料用硬化性組成物、塗装物および塗料用樹脂組成物 | |
JPH10130583A (ja) | 塗料用硬化性組成物およびそれを塗布した塗装物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20040310 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060613 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060811 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070731 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070823 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100907 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100907 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110907 Year of fee payment: 4 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110907 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110907 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120907 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120907 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130907 Year of fee payment: 6 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130907 Year of fee payment: 6 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |