JP2000239612A - 塗料用硬化性組成物、塗装物および塗料用樹脂組成物 - Google Patents

塗料用硬化性組成物、塗装物および塗料用樹脂組成物

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JP2000239612A
JP2000239612A JP11363316A JP36331699A JP2000239612A JP 2000239612 A JP2000239612 A JP 2000239612A JP 11363316 A JP11363316 A JP 11363316A JP 36331699 A JP36331699 A JP 36331699A JP 2000239612 A JP2000239612 A JP 2000239612A
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carbon atoms
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JP11363316A
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English (en)
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Toshiro Nanbu
俊郎 南部
Seigo Nakamura
静悟 中村
Naotami Ando
直民 安藤
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐酸性、耐擦傷性、耐汚染性、熱硬化
性等を有するとともに、極めて優れた耐候性および外観
性を有し、とくに自動車用上塗り塗料に好適に使用しう
る塗料用硬化性組成物、塗装物および塗料用樹脂組成物
を提供する。 【解決手段】 エポキシ基を有する化合物(x)成分と
カルボキシル基を有する化合物(y)成分とを混合して
得られる樹脂(A−1)および/またはエポキシ基とカ
ルボキシル基とを有するビニル系共重合体(z)成分に
より得られる樹脂(A−2)からなる(A)成分、主鎖
が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端およ
び/または側鎖に、下記一般式(I): 【化1】 で表される炭素原子に結合した加水分解性シリル基を分
子中に少なくとも1個有するビニル系共重合体からなる
(B)成分、ならびに、 下記一般式(VII): (R3 O)4-b −Si−R4 b (VII) で表されるシリコン化合物および/またはその部分加水
分解縮合物からなる(C)成分を含む塗料用硬化性組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば自動車、
産業機械、スチール製家具、建築物内外装、家電用品お
よび種々のプラスチック製品等に好適に用いられる塗料
用硬化性組成物およびそれを用いてなる塗装物に関す
る。さらに詳しくは、優れた耐酸性、耐擦傷性、耐汚染
性、外観性、熱硬化性等を呈するとともに、極めて優れ
た耐候性を有し、とくに自動車用上塗り塗料に好適に使
用しうる塗料用硬化性組成物、塗装物および塗料用樹脂
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車、産業機械、スチール製家
具、建築物内外装、家電用品、プラスチック製品等の塗
装には、アルキドメラミンやアクリルメラミン等のメラ
ミン樹脂を主として含有する塗料が用いられている。
【0003】しかし、かかるメラミン樹脂を主として含
有する塗料の場合、硬化時に有害なホルマリンが発生す
るという問題や、硬化塗膜が耐酸性に劣るため、酸性雨
に侵されるという問題がある。とくに、近年の大気汚染
に起因する酸性雨の問題は深刻なものとなってきてお
り、塗膜にエッチングや白化、シミ等が発生する現象が
みられる。
【0004】上記問題を解決するために、メラミン樹脂
を使用しない塗料組成物がすでに提案されている(特開
平3−287650号および特開平2−45577号
等)。このような塗料組成物は、酸基とエポキシ基とを
反応させることにより生じるエステル結合を架橋点とす
るので、メラミン樹脂を主とする塗料を用いた場合と比
べて、耐酸性に優れた塗膜を形成させることができると
いう長所を有する。しかし、上記した酸基とエポキシ基
との反応で塗膜を形成させる塗料組成物は優れた耐酸性
を呈する塗膜が得られるが、付着した汚れが落ちにくい
傾向にあることがわかった。とくに、淡彩色系の塗装の
場合にその傾向がより目立ち、見た目の美しさ、掃除の
容易さ、掃除回数の低減等の点から、耐汚染性の改善が
望まれていた。
【0005】さらに、自動車の上塗り塗装仕上げにおい
ては、仕上がり外観の向上が切望されている。塗装物の
高外観化を図る場合、通常、上塗り塗料に、さらに、外
観改良剤であるレベリング剤を添加して塗装に供してお
り、現在、レベリング剤を添加しなくとも十分な仕上が
り外観が得られ高外観化に対応できる塗料は上市されて
いない。耐汚染性を付与した塗料にレベリング剤を添加
する場合、レベリング剤を添加することにより、塗料の
耐汚染性が損なわれてしまうことがあった。
【0006】WO98/07797号公報には、エポキ
シ基を含有する樹脂(A)成分、カルボキシル基を含有
する化合物(B)成分、および、シリケート(C)成分
を配合した塗料用硬化性組成物(α)、ならびに、
(A)成分にさらに加水分解性シリル基を導入した組成
物、つまり、加水分解性シリル基およびエポキシ基を含
有する樹脂(A)成分、カルボキシル基を含有する化合
物(B)成分、シリケート(C)成分を配合した塗料用
硬化性組成物(β)が開示されている。しかし、これら
の塗料は優れた耐汚染性は有しているものの、塗料化す
る際に添加する添加剤によっては、その耐汚染性が減少
する場合があった。添加剤としてレベリング剤を添加す
る場合も同様の問題が起こっており、耐汚染性を低下さ
せないレベリング剤を選択するか、または、レベリング
剤を添加しなくとも外観性に優れ、そのため耐汚染性も
損なわれない塗料が切望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、優れた耐酸性、耐擦傷性、耐汚染性、熱硬化性等を
有するとともに、極めて優れた耐候性および外観性を有
し、とくに自動車用上塗り塗料に好適に使用しうる塗料
用硬化性組成物、塗装物および塗料用樹脂組成物を提供
することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、エポキシ基を
有する化合物(x)成分とカルボキシル基を有する化合
物(y)成分とを混合して得られる樹脂(A−1)およ
び/またはエポキシ基とカルボキシル基とを有するビニ
ル系共重合体(z)成分により得られる樹脂(A−2)
からなる(A)成分、主鎖が実質的にビニル系共重合体
鎖からなり、主鎖末端および/または側鎖に、下記一般
式(I):
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1 は水素原子または炭素数1〜
10のアルキル基、R2 は水素原子または炭素数1〜1
0のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基および炭
素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水
素基、aは0〜2の整数を示す)で表される炭素原子に
結合した加水分解性シリル基を分子中に少なくとも1個
有するビニル系共重合体からなる(B)成分、ならび
に、下記一般式(VII): (R3 O)4-b −Si−R4 b (VII) (式中、R3 は水素原子または炭素数1〜10のアルキ
ル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜1
0のアラルキル基を示し、R3 どうしは同一であっても
異なっていてもよく、R4 は炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のア
ラルキル基を示し、R4 が複数ある場合はR4 どうしは
同一であっても異なっていてもよく、bは0〜2の整数
を示す)で表されるシリコン化合物および/またはその
部分加水分解縮合物からなる(C)成分を含む塗料用硬
化性組成物である。
【0011】本発明の塗料用硬化性組成物は、(A)成
分100重量部、(B)成分1〜100重量部、およ
び、(C)成分1〜100重量部を含むことが好まし
い。上記(x)成分は、1分子中に2個以上のエポキシ
基を含有し、エポキシ当量が200〜2000g/モル
であることが好ましく、1分子中に1個以上の水酸基を
含有し、その水酸基当量が500〜7000g/モルで
あることが好ましく、1分子中に1個以上のカルボキシ
ル基を含有することが好ましい。
【0012】上記(y)成分は、1分子中に平均2個以
上のカルボキシル基を含有するビニル系共重合体
((y)−i成分)であることが好ましい。上記(y)
−i成分は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、
そのエポキシ当量が200〜2000g/モルであるこ
とが好ましく、1分子中に1個以上の水酸基を有し、そ
の水酸基当量が500〜7000g/モルであることが
好ましい。
【0013】上記(y)成分は、1分子中に少なくとも
2個のカルボキシル基を含有し、分子量が2,000以
下のオリゴマー化合物((y)−ii成分)であること
が好ましい。上記(y)−ii成分は、ポリオール化合
物と酸無水物化合物とをハーフエステル化反応させて得
られることが好ましい。
【0014】上記(z)成分は、1分子中に1個以上の
カルボキシル基と2個以上のエポキシ基とを有し、エポ
キシ当量が200〜2000g/モルであることが好ま
しい。
【0015】上記(B)成分は、1分子中に1個以上の
水酸基を有し、その水酸基当量が500〜7000g/
モルであることが好ましく、1分子中に1個以上のエポ
キシ基を有し、そのエポキシ当量が200〜2000g
/モルであることが好ましい。
【0016】上記(C)成分は、テトラアルキルシリケ
ートおよび/またはその部分加水分解縮合物からなるこ
とが好ましい。本発明の塗料用硬化性組成物は、更に、
硬化触媒(D)成分を、上記(A)成分、(B)成分お
よび(C)成分の合計固形分100重量部に対して0.
001〜10重量部含有することが好ましい。上記
(A)成分中のエポキシ基とカルボキシル基とのモル比
は、カルボキシル基1モルに対しエポキシ基0.2〜5
モルであることが好ましい。
【0017】メタリック粉末および/または着色顔料を
含有する塗料が塗布された塗布面にトップコートクリア
ー塗料が塗布されてなる塗装物であって、上記トップコ
ートクリアー塗料が本発明の塗料用硬化性組成物を主成
分として含有する塗装物もまた本発明の一つである。
【0018】エポキシ基を有する化合物(x)成分とカ
ルボキシル基を有する化合物(y)成分とを混合して得
られる樹脂(A−1)および/またはエポキシ基とカル
ボキシル基とを有するビニル系共重合体(z)成分によ
り得られる樹脂(A−2)からなる(A)成分を含む塗
料用組成物と混合することにより塗料用硬化性組成物を
製造するための塗料用樹脂組成物であって、主鎖が実質
的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端および/ま
たは側鎖に、下記一般式(I):
【0019】
【化4】
【0020】(式中、R1 は水素原子または炭素数1〜
10のアルキル基、R2 は水素原子または炭素数1〜1
0のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基および炭
素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水
素基、aは0〜2の整数を示す)で表される炭素原子に
結合した加水分解性シリル基を分子中に少なくとも1個
有するビニル系共重合体からなる(B)成分、ならび
に、下記一般式(VII): (R3 O)4-b −Si−R4 b (VII) (式中、R3 は水素原子または炭素数1〜10のアルキ
ル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜1
0のアラルキル基を示し、R3 どうしは同一であっても
異なっていてもよく、R4 は炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のア
ラルキル基を示し、R4 が複数ある場合はR4 どうしは
同一であっても異なっていてもよく、bは0〜2の整数
を示す)で表されるシリコン化合物および/またはその
部分加水分解縮合物からなる(C)成分を含む塗料用樹
脂組成物もまた本発明の一つである。
【0021】本発明の塗料用樹脂組成物において、上記
塗料用組成物中の(A)成分100重量部に対する混合
量は、(B)成分1〜100重量部、および、(C)成
分1〜100重量部であることが好ましい。以下、本発
明を詳述する。
【0022】まず、(A)成分について説明する。本発
明に用いられる(A)成分はエポキシ基を有する化合物
(x)成分とカルボキシル基を有する化合物(y)成分
との反応により硬化塗膜を形成しうる塗料組成物であ
る。なお、本明細書中においてエポキシ基を有する化合
物(x)成分は、上記一般式(I)で表される炭素原子
に結合した加水分解性シリル基を分子中に有しないもの
である。
【0023】上記(x)成分としてはエポキシ基を含有
する樹脂が挙げられる。エポキシ基を含有する樹脂は、
エポキシ基含有ビニル系モノマーに由来する単位と、そ
の他の共重合可能なビニル系モノマーに由来する単位等
とから構成される。上記エポキシ基含有ビニルモノマー
の種類は特に限定されないが、その一例として次の一般
式(1)〜(14)で表されるものが挙げられる。
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】(各一般式中、R5 は水素原子またはメチ
ル基を示し、R6 は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭
化水素基を示す。) 上記エポキシ基含有ビニルモノマーの使用量は、共重合
成分全量中10〜70重量%が好ましく、20〜60重
量%であることがさらに好ましい。かかるモノマーの使
用量が10重量%未満である場合には、得られる組成物
が充分な硬化性、耐酸性を呈さなくなる傾向にあり、7
0重量%を超える場合には、他の樹脂との相溶性、耐候
性が低下する傾向にある。
【0027】上記その他共重合可能なビニル系モノマー
には特に限定はなく、例えば、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ter
t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタ
フルオロプロピル(メタ)アクリレート、不飽和ポリカ
ルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)と炭
素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのジエス
テルまたはハーフエステル等の不飽和ポリカルボン酸エ
ステル;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレ
ン、スチレンスルホン酸ナトリウム等の芳香族炭化水素
系ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジ
アリルフタレート等のビニルエステルやアリル化合物;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル化
合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジ
エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリ
ジン、アミノエチルビニルエーテル等の塩基性窒素原子
含有ビニル化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン
酸ジアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、クロ
トンアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、
N−ビニルピロリドン、N−ブトキシメチル(メタ)ア
クリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−
メチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のア
ミド基含有ビニル化合物;ビニルメチルエーテル、塩化
ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、
ブタジエン、イソプレン、マレイミド、N−ビニルイミ
ダゾール等のその他のビニル化合物等が挙げられる。
【0028】エポキシ基を有する樹脂(x)成分の合成
方法としては、t−ブチルパーオキシアセテート等の過
酸化物系ラジカル開始剤や、アゾビスイソブチロニトリ
ル等のアゾ系ラジカル開始剤を用いる溶液重合法が、合
成が容易であるという点で好ましい。
【0029】また必要に応じて、n−ドデシルメルカプ
タン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプ
タン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカ
プトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルメチルジエトキシシラン等の連鎖移動剤を用
い、分子量調節をしてもよい。
【0030】上記溶液重合に用いる重合溶媒としては、
炭化水素類(トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シク
ロヘキサン等)、酢酸エステル類(酢酸エチル、酢酸ブ
チル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、n−ブチルアルコール等)、エーテル
類(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブ
アセテート等)、ケトン類(メチルエチルケトン、アセ
ト酢酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコー
ル、メチルイソブチルケトン、アセトン等)のような非
反応性の溶媒が挙げられ、このような溶媒であれば特に
限定はない。
【0031】(x)成分の数平均分子量は、熱硬化性や
耐久性に優れる点から、1000〜20000が好まし
く、さらには2000〜15000、特には3000〜
10000が好ましい。
【0032】また、(x)成分は1分子中に2個以上の
エポキシ基を有することが望ましい。かかる樹脂のエポ
キシ当量は、硬化性、耐候性、塗膜仕上り性等の点から
200〜2000g/モルが好ましく、230〜100
0g/モルがより好ましく、250〜750g/モルが
さらに好ましい。
【0033】上記(x)成分は水酸基を含有することも
できる。(x)成分として、水酸基をも有する場合は、
水酸基含有ビニルモノマーに由来する単位と上記したエ
ポキシ基含有ビニル系モノマーに由来する単位と、上記
したその他共重合可能なビニル系モノマーに由来する単
位等から、例えば、ラジカル開始剤を用いた溶液重合に
より調製することができる。
【0034】上記水酸基含有ビニル系モノマーの種類は
特に限定されず、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)
アクリルアミド、4−ヒドロキシスチレンビニルトルエ
ン、東亜合成社製のアロニクス5700、4−ヒドロキ
シスチレン、日本触媒社製のHE−10、HE−20、
HP−1およびHP−20(以上、いずれも末端に水酸
基を有するアクリル酸エステルオリゴマー)、日本油脂
社製のブレンマーPPシリーズ(ポリプロピレングリコ
ールメタクリレート)、ブレンマーPEシリーズ(ポリ
エチレングリコールモノメタクリレート)、ブレンマー
PEPシリーズ(ポリエチレングリコールポリプロピレ
ングリコールメタクリレート)、ブレンマーAP−40
0(ポリプロピレングリコールモノアクリレート)、ブ
レンマーAE−350(ポリエチレングリコールモノア
クリレート)、ブレンマーNKH−5050(ポリプロ
ピレングリコールポリトリメチレンモノアクリレート)
およびブレンマーGLM(グリセロールモノメタクリレ
ート)、水酸基含有ビニル系化合物とε−カプロラクト
ンとの反応により得られるε−カプロラクトン変性ヒド
ロキシアルキルビニル系共重合性化合物等が挙げられ
る。
【0035】これらの水酸基含有ビニル系モノマーは単
独で用いてもよく、また、2種以上を併用混合して用い
ることができる。
【0036】上記(x)成分が水酸基を有する場合は、
上記水酸基含有ビニルモノマーの使用量は、共重合成分
全量中2〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がさ
らに好ましい。かかるモノマーの使用量が50重量%を
超える場合には、硬化性組成物を用いて形成された塗膜
の耐水性および耐酸性が低下する傾向にある。
【0037】また、上記樹脂(x)成分中の水酸基当量
は、500〜7000g/モルであることが好ましく、
600〜5000g/モルであることがより好ましく、
700〜3000g/モルであることがさらに好まし
い。かかる水酸基当量が7000g/モルを超える場合
には、組成物の熱硬化性が劣る傾向にある。
【0038】上記(x)成分はカルボキシル基を含有す
ることもできる。(x)成分として、カルボキシル基を
有する場合は、例えば、カルボキシル基含有ビニル系重
合性化合物とエポキシ基含有ビニル系モノマーに由来す
る単位その他共重合可能なビニル系モノマーに由来する
単位等のビニル系モノマーに由来する単位等から、例え
ば、ラジカル開始剤を用いた溶液重合により調製するこ
とができる。また、上記水酸基含有ビニルモノマーに由
来する単位を含むこともできる。
【0039】上記(y)成分はカルボキシル基を有する
化合物である。上記(y)成分として例えば、カルボキ
シル基を含有するビニル系共重合体(y)−i成分が挙
げられる。上記カルボキシル基を含有するビニル系共重
合体は1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を含
有する共重合体である。カルボキシル基を含有するビニ
ル系共重合体(y)−i成分は例えばカルボキシル基含
有ビニル系重合性化合物と上記のその他の共重合可能な
ビニル系モノマーとを、ラジカル開始剤を用いて溶液重
合することにより調製できる。
【0040】または、酸無水物基を有するラジカル重合
性モノマーと上記その他共重合可能なビニル系モノマー
とをラジカル重合した共重合体中の酸無水物基をハーフ
エステル化することにより調製できる。
【0041】カルボキシル基含有ビニル系重合性化合物
としては具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタ
コン酸、マレイン酸等のα、β−エチレン性不飽和カル
ボン酸またはその酸無水物と、炭素数1〜20の直鎖ま
たは分岐のアルコールとのハーフエステルが挙げられ
る。酸無水物基を有するラジカル重合性モノマーとして
は、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン
酸等が挙げられる。
【0042】上記カルボン酸基含有ビニル系重合性化合
物および酸無水物基を有するラジカル重合性モノマー
は、全モノマー中10〜50重量%が好ましく、15〜
40重量%であることがさらに好ましい。
【0043】上記ハーフエステル化するために用いるハ
ーフエステル化剤は、低分子量のアルコール類であり、
具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノー
ル、t−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、ジメチルアミノエタノール、アセトール、アリル
アルコール、プロパギルアルコール等が挙げられる。特
に好ましい化合物は、アセトール、アリルアルコール、
プロパギルアルコール、エタノール、メタノールであ
る。
【0044】ハーフエステル化反応は通常の方法に従
い、室温から120℃の範囲の温度で、触媒の存在下に
行われる。上記触媒としては、第3級アミン類(例え
ば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等)、第4級
アンモニウム塩(例えばベンジルトリメチルアンモニウ
ムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミ
ド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジ
ルトリブチルアンモニウムブロミド等)が挙げられる。
【0045】また、(y)成分は1分子中に2個以上の
カルボキシル基を有することが望ましい。
【0046】(y)−i成分としてエポキシ基を含有す
る場合は、上記した方法で(y)−i成分を調製する際
に、上記したエポキシ基含有ビニル系モノマーを共重合
することなどにより得ることができる。
【0047】(y)−i成分としてエポキシ基を含有す
る場合はかかる樹脂のエポキシ当量は、硬化性、耐候
性、塗膜仕上り性等の点から200〜2000g/モル
が好ましく、230〜1000g/モルがより好まし
く、250〜750g/モルがさらに好ましい。またエ
ポキシ基の数は1分子中に2個以上あれば、満足できる
硬化性が得られる。
【0048】上記(y)−i成分は水酸基を含有するこ
ともできる。(y)−i成分として、水酸基をも有する
場合は、上記した方法で(y)−i成分を調製する際
に、上記した水酸基含有ビニルモノマーを共重合するこ
となどにより得ることができる。
【0049】(y)−i成分として水酸基を含有する場
合は、かかる樹脂中の水酸基当量は、500〜7000
g/モルであることが好ましく、600〜5000g/
モルであることがより好ましく、700〜3000g/
モルであることがさらに好ましい。かかる水酸基当量が
7000g/モルを超える場合には、組成物の熱硬化性
が劣る傾向にある。
【0050】(y)−i成分のカルボキシル基を含有す
る樹脂の数平均分子量は、1000〜20000が好ま
しく、2000〜10000であることが更に好まし
い。上記分子量が1000より小さいと機械的性質等が
劣るものとなり、20000を上回ると粘度が高くな
り、その結果として塗装時の固形分濃度を下げなければ
ならなくなる。また、カルボキシル基は1分子中に少な
くとも2個含有すること好ましい。2個より少ないと硬
化性が十分でない場合がある。
【0051】上記(y)成分として、カルボキシル基を
含有するオリゴマー化合物(y)−ii成分も挙げられ
る。上記カルボキシル基を含有するオリゴマー化合物は
1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を含有する
化合物であり、グルタミン酸等の化合物を使用すること
ができるが、本発明の組成物から得られる塗膜の耐候
性、耐酸性、リコート密着性等の点から、1分子当たり
ヒドロキシル基2個以上、好ましくは2〜10個を有す
るポリオール化合物と、酸無水物化合物とをハーフエス
テル化反応させて得られる、1分子中に少なくとも2個
のカルボキシル基を含有する化合物(以下、カルボン酸
オリゴマーと記す)であることが好ましい。
【0052】上記カルボン酸オリゴマーを合成するため
の上記1分子当りのヒドロキシル基2個以上を有するポ
リオール化合物としては、エチレングリコール、1,2
−および1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリ
コール、ペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、
水添ビスフェノールA、グリセリン、ソルビトール、ネ
オペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリ
オール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロー
ルエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリト
ール、キニトール、マニトール、トリスヒドロキシエチ
ルイソシアヌレート、ジペンタエリスリトール、トリス
ヒドロキシメチルエタン等の多価アルコール類;これら
の多価アルコール類とγ−ブチロラクトンやε−カプロ
ラクトン等のラクトン化合物との開環付加体;該多価ア
ルコール類と、トリレンジイソシアネート、ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート
化合物とのアルコール過剰下での付加体;該多価アルコ
ール類とエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエ
チレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジ
ビニルエーテル、ペンタンジオールジビニルエーテル、
ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘ
キサンジメタノールジビニルエーテル等のビニルエーテ
ル化合物とのアルコール過剰下での付加体および該多価
アルコール類とアルコキシシリコーン化合物、例えばK
R−213、KR−217、KR−9218(いずれも
商品名、信越化学工業社製)等とのアルコール過剰下で
の縮合体等を挙げることができる。
【0053】一方、これらのポリオール化合物と反応さ
せる好ましい酸無水物化合物としては、ヘキサヒドロ無
水フタル酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フ
タル酸、テトラヒドロ無水フタル酸および無水トリメリ
ット酸等が挙げられる。なお、ポリオール化合物と反応
させる酸無水物化合物との比率を調整することで、水酸
基含有カルボン酸オリゴマーとすることができる。
【0054】(y)−ii成分であるカルボン酸オリゴ
マーの分子量は、2,000以下である。2000を超
えると硬化性、相溶性が低下するという問題が生じる可
能性がある。なお、好ましい範囲は100〜1800で
ある。
【0055】上記(x)成分と(y)成分との配合量
は、(y)成分が(y)−i成分である場合には(x)
成分100重量部に対して25〜200重量部であるこ
とが好ましく、50〜150重量部がさらに好ましい。
【0056】(y)−i成分の配合量が200重量部を
越えると、未反応のカルボキシル基が残存し耐薬品性が
低下するので好ましくない。また、25重量部未満の場
合には十分な硬化が行われず、硬化塗膜の耐水性、耐候
性等が低下するため好ましくない。(y)成分として
(y)−ii成分を用いた場合は(x)成分100重量
部に対し、(y)−ii成分0.1〜100重量部であ
るのが好ましい。さらに好ましい範囲は1〜90重量部
であり、より好ましい範囲は1〜80重量部である。
【0057】(y)−ii成分の上記配合量が100重
量部を超えると耐水性、耐候性が低下する場合があり、
0.1重量部未満の場合には、硬化性が低下するという
問題が発生し易くなる。
【0058】上記(z)成分は、エポキシ基とカルボキ
シル基とを有するビニル系共重合体である。上記(z)
成分の数平均分子量は、1000以上あれば使用可能で
あるが、2000〜20000の範囲にあることが好ま
しく、3000〜10000の範囲にあることがより好
ましい。数平均分子量が1000未満の場合、機械的性
質、耐水性等が劣るものとなり、20000を上回ると
粘度が高くなり、その結果として塗装時の固形分濃度を
下げなければならなくなる。またエポキシ当量は、硬化
性、耐候性等の点から200〜2000g/モルである
ことが好ましく、400〜1500g/モルであること
が更に好ましい。
【0059】上記(z)成分中に導入されるカルボキシ
ル基の数は1分子中に1個以上である。カルボキシル基
がないと硬化性が十分でなくなる。またエポキシ基の数
は1分子中に2個以上あれば、満足できる硬化性が得ら
れる。
【0060】上記(z)成分は、例えば上記のカルボキ
シル基含有ビニル系重合性化合物と上記エポキシ基含有
ビニル系モノマーと、上記その他共重合可能なビニル系
モノマーとをラジカル開始剤を用いて溶液重合すること
により調製できる。
【0061】(A)成分中のエポキシ基とカルボキシル
基とのモル比は、優れた硬化性、耐酸性、耐候性、耐水
性等を呈する硬化性組成物を得ることができるという点
から、カルボキシル基1モルに対するエポキシ基のモル
数(以下、「エポキシ基/カルボキシル基」と表記す
る。)で、0.2〜5.0であることが好ましく、0.
5〜4.0であることがより好ましく、0.6〜3.0
であることがさらに好ましい。
【0062】次に(B)成分について説明する。本発明
に用いられる(B)成分は、主鎖が実質的にビニル系共
重合体鎖からなり、主鎖末端および/または側鎖に上記
一般式(I)で表される炭素原子に結合した加水分解性
シリル基を1分子中に少なくとも1個有するビニル系共
重合体である。本明細書において、加水分解性シリル基
とは、シラノール基を含む概念である。
【0063】上記ビニル系共重合体は、その主鎖が実質
的にビニル系共重合体鎖からなるため、本発明の硬化性
組成物を用いて形成される塗膜の耐候性、耐薬品性等が
優れたものとなり、また、加水分解性シリル基が炭素原
子に結合しているため、塗膜の耐水性、耐アルカリ性、
耐酸性等も優れている。
【0064】(B)成分において、上記一般式(I)で
表される加水分解性シリル基は分子中に1個以上あれば
よいが、得られる塗料用硬化性組成物を用いて形成され
る塗膜の耐溶剤性が優れるという点から、2〜10個あ
ることが好ましい。
【0065】上記一般式(I)において、R1 は水素原
子または炭素数1〜10のアルキル基であり、好ましく
は、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル
基等の炭素数1〜4のアルキル基である。かかるアルキ
ル基の炭素数が10を超える場合には、加水分解性シリ
ル基の反応性が低下する傾向にある。また、上記R1
が、例えばフェニル基、ベンジル基等のアルキル基以外
の基である場合にも、加水分解性シリル基の反応性が低
下するので好ましくない。
【0066】また、上記一般式(I)において、R2
水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、好ましく
は、上記R1 において例示された炭素数1〜4のアルキ
ル基であり、フェニル基等の炭素数6〜10のアリール
基、ベンジル基等の炭素数7〜10のアラルキル基から
選ばれた1価の炭化水素基であり、これらの中では、本
発明の組成物が硬化性に優れるという点からアルキル基
が好ましい。
【0067】上記ビニル系共重合体は例えば下記(1)
または(2)等を含有する共重合成分を重合することに
よって製造することができる。 (1)加水分解性シリル基含有ビニル単量体(モノマー
(y−1))、(2)共重合可能なその他の単量体(モ
ノマー(y−2))。
【0068】上記モノマー(y−1)としては、例えば
以下のものが挙げられる。
【0069】
【化7】
【0070】等の一般式(II):
【0071】
【化8】
【0072】(式中、R1 、R 2、aは上記と同じであ
り、R7 は水素原子またはメチル基を示す。)で表され
る化合物。
【0073】
【化9】
【0074】等の一般式(III):
【0075】
【化10】
【0076】(式中、R1 、R 2、R7 およびaは上記
と同じであり、nは1〜12の整数を示す。)で表され
る化合物。
【0077】
【化11】
【0078】等の一般式(IV):
【0079】
【化12】
【0080】(式中、R1 、R 2、R7 、aおよびnは
上記と同じ。)で表される化合物。または
【0081】
【化13】
【0082】(式中、pは0〜20の整数を示す。)等
の一般式(V):
【0083】
【化14】
【0084】(式中、R1 、R 2、R7 およびaは上記
と同じであり、pは0〜22の整数を示す。)で表され
る化合物や、上記一般式(II)で表される加水分解性
シリル基をウレタン結合またはシロキサン結合を介して
末端に有する(メタ)アクリレート等である。これらは
単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。これらの
中では、取扱いが容易で低価格であり、反応副生成物が
生じないという点から上記一般式(IV)で表される化
合物が好ましい。
【0085】モノマー(y−1)の使用量は、共重合成
分全量中5〜60重量%が好ましく、10〜50重量%
であるのがさらに好ましい。かかるモノマー(y−1)
の使用量が5重量%未満である場合には、得られる硬化
性組成物を用いて形成された塗膜の耐酸性が不充分とな
る傾向にあり、60重量%を超える場合には、硬化性組
成物の保存安定性が低下する傾向にある。
【0086】上記モノマー(y−2)としては、例えば
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、
ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフ
ルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)
アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
アミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチ
ル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)
アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリル
アミド、マクロモノマーであるAS−6、AN−6、A
A−6、AB−6、AK−5等の化合物(以上、東亜合
成社製)、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエ
ステル類等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒ
ドロキシアルキルエステル類とリン酸またはリン酸エス
テル類との縮合生成物等のリン酸エステル基含有ビニル
系化合物、ウレタン結合やシロキサン結合を含む(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体や、ス
チレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレ
ンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエ
ン等の芳香族炭化水素系ビニル化合物;マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これらのア
ルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等の塩;無水
マレイン酸等の不飽和カルボン酸の酸無水物、これらと
炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖を有するアルコー
ルとのジエステルまたはハーフエステル等の不飽和カル
ボン酸のエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
ジアリルフタレート等のビニルエステルやアリル化合
物;ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテル等の
アミノ基含有ビニル系化合物;イタコン酸ジアミド、ク
ロトンアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミ
ド、N−ビニルピロリドン等のアミド基含有ビニル系化
合物;メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエ
ーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、
プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフ
ィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスル
ホン酸等のその他のビニル系化合物等が挙げられる。こ
れらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0087】(B)成分中の加水分解性シリル基当量
は、優れた熱硬化性、耐酸性、耐候性等を呈する硬化性
組成物を得ることができるという点から500〜7,0
00g/モルであるのが好ましく、さらに好ましくは5
50〜5,000g/モル、より好ましくは650〜
4,000g/モルである。かかる加水分解性シリル基
当量が500g/モル未満の場合には、内部応力が大き
くなり、7,000g/モルを超える場合には、硬化性
が低下する傾向がある。
【0088】上記(B)成分は水酸基を有することもで
きる。上記水酸基の導入方法としては、水酸基含有ビニ
ル系単量体(モノマー(y−3))を共重合する方法が
ある。
【0089】上記モノマー(y−3)としては、例えば
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
ビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、アロニクス5700(東亜合成社製)、4−ヒドロ
キシスチレン、HE−10、HE−20、HP−1、H
P−20等の末端に水酸基を有するアクリル酸エステル
オリゴマー(以上、日本触媒社製)、ブレンマーPPシ
リーズ(ポリプロピレングリコールメタクリレート)、
ブレンマーPEシリーズ(ポリエチレングリコールモノ
メタクリレート)、ブレンマーPEPシリーズ(ポリエ
チレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレ
ート)、ブレンマーAP−400(ポリプロピレングリ
コールモノアクリレート)、ブレンマーAE−350
(ポリエチレングリコールモノアクリレート)、ブレン
マーNKH−5050(ポリプロピレングリコールポリ
トリメチレンモノアクリレート)、ブレンマーGLM
(グリセロールモノメタクリレート)等の化合物(以
上、日本油脂社製)、水酸基含有ビニル系化合物とε−
カプロラクトンの反応によって得られるε−カプロラク
トン変性ヒドロキシアルキルビニル系共重合性化合物等
が挙げられる。
【0090】また、上記ε−カプロラクトン変性ヒドロ
キシアルキルビニル系共重合性化合物の代表例として
は、例えば一般式(VI):
【0091】
【化15】
【0092】で表される化合物が挙げられる。その具体
例としては、例えばPlaccelFA−1(R6 は水
素原子、qは1)、Placcel FA−4(R6
水素原子、qは4)、Placcel FM−1(R6
は水素原子、qは1)、Placcel FM−4(R6
は水素原子、qは4)(以上、ダイセル化学工業社
製)、TONE M−100(R6 は水素原子、qは
2)、TONEM−201(R6 はメチル基、qは
1)、(以上、UCC社製)等が挙げられる。これらの
モノマー(y−3)は、単独で用いてもよく、2種以上
併用してもよい。
【0093】上記モノマー(y−3)の中では、得られ
る硬化性組成物を用いて形成された塗膜の耐酸性および
耐水性が優れるという点から、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレートおよびε−カプロラクトン変性ヒドロキシ
アルキルビニル系共重合性化合物が好ましく、特に2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0094】上記(B)成分が水酸基を有する場合は、
上記モノマー(y−3)の使用量は、共重合成分全量中
2〜50重量%が好ましく、2〜35重量%であること
がさらに好ましい。かかるモノマー(y−3)の使用量
が50重量%を超える場合には、硬化性組成物を用いて
形成された塗膜の耐水性および耐酸性が低下する傾向に
ある。
【0095】また、上記(B)成分が水酸基を有する場
合は、上記(B)成分中の水酸基当量(水酸基1モルを
含むビニル系共重合体の量(g))は、500〜7,0
00g/モルであることが好ましい。かかる水酸基当量
が7,000g/モルを超える場合には、組成物の熱硬
化性が劣る傾向にある。
【0096】上記(B)成分はエポキシ基を有すること
もできる。エポキシ基を導入するには、上記したエポキ
シ基含有ビニル系単量体を共重合するればよい。上記エ
ポキシ基含有ビニルモノマーの使用量は、共重合成分全
量中5〜50重量%が好ましく、7〜40重量%である
ことがさらに好ましい。かかるモノマーの使用量が5重
量%未満である場合には、得られる組成物が充分な硬化
性、耐酸性を呈さなくなる傾向にあり、50重量%を超
える場合には、他の樹脂との耐水性、相溶性が低下する
傾向にある。
【0097】上記(B)成分がエポキシ基を有する場合
は、そのエポキシ当量は、硬化性、耐候性、塗膜仕上り
性等の点から200〜2000g/モルが好ましく、2
30〜1000g/モルがより好ましく、250〜75
0g/モルがさらに好ましい。
【0098】本発明においては、得られる硬化性組成物
を用いて形成される塗膜の耐候性、耐溶剤性、耐衝撃性
等を向上させる目的で、ビニル系共重合体の50重量%
を超えない範囲で、ウレタン結合やシロキサン結合によ
り形成されたセグメントを、ビニル系共重合体主鎖中に
含まれるように使用してもよい。
【0099】本発明に用いられるビニル系共重合体は、
上記モノマー(y−1)、モノマー(y−2)、モノマ
ー(y−3)等を含有する共重合成分から、例えば特開
昭54−36395号公報、特開昭57−55954号
公報等に記載の方法によって製造することができるが、
合成の容易さ等の点からアゾビスイソブチロニトリル等
のアゾ系ラジカル重合開始剤を用いた溶液重合法によっ
て製造するのが好ましい。
【0100】上記溶液重合法に用いられる重合溶液は、
非反応性のものであればよく、特に限定はないが、例え
ばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン
等の炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エス
テル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、
n−ブタノール等のアルコール類;エチルセロソルブ、
ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のエーテル
類;メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチル
アセトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケ
トン、アセトン等のケトン類等が挙げられる。
【0101】上記重合溶媒は、単独で用いてもよく、2
種以上併用してもよいが、重合溶剤中のメタノールやブ
タノール等のアルコール類の量が共重合成分100重量
部に対して0.01重量部未満の場合には、重合時にゲ
ル化を起こす可能性があるので、重合溶媒中には、共重
合成分100重量部に対してアルコール類が0.01〜
30重量部の割合で含有されるようにするのが好まし
い。
【0102】また、上記溶液重合の際に連鎖移動剤を用
いることにより、得られるビニル系共重合体の分子量を
調節してもよい。
【0103】上記連鎖移動剤の具体例としては、例えば
n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカ
プタン、n−ブチルメルカプタン、γ−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
エトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシ
シラン、(CH3 O)3 Si−S−S−Si(OCH
33 、(CH3 O)3 Si−S8 −Si(OCH3
3 等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種
以上併用してもよい。
【0104】例えば上記γ−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン等の加水分解性シリル基を分子中に有する
連鎖移動剤を用いる場合には、ビニル系共重合体の主鎖
末端に加水分解性シリル基を導入することができるので
好ましい。かかる連鎖移動剤の使用量は、共重合成分全
量に対して0.1〜10重量%程度であるのが好まし
い。
【0105】上記(B)成分の使用量は、上記(A)成
分100重量部に対して、1〜200重量部が好まし
い。(B)成分が1重量部未満の場合には、十分な外観
性改良の効果を発現しない傾向にあり、200重量部を
超える場合には、貯蔵安定性が低下する傾向にある。さ
らに好ましくは1〜150重量部であり、特に好ましく
は1〜100重量部であり、最も好ましくは1〜50重
量部である。
【0106】次に(C)成分について説明する。本発明
に用いられる(C)成分である下記一般式(VII) (R3 O)4-b −Si−R4 b (VII) で表されるシリコン化合物および/またはその部分加水
分解縮合物は、得られる硬化性組成物を用いて形成され
る塗膜の耐汚染性を向上せしめる成分である。
【0107】上記一般式(VII)において、R3 は、
水素または炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭
素数1〜4のアルキル基、アリール基、好ましくは炭素
数6〜10のアリール基、および、アラルキル基、好ま
しくは炭素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価
の炭化水素基を示す。R4 は、炭素数1〜10、好まし
くは炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、好ましく
は炭素数6〜10のアリール基、および、アラルキル
基、好ましくは炭素数7〜10のアラルキル基から選ば
れた1価の炭化水素基を示す。aは0〜2の整数である
ため、1分子中に(R3 O)基が2〜4個存在するが、
これら複数の(R3 O)のR3 は同一である必要はな
い。また、R4 も複数存在する場合、同一である必要は
ない。
【0108】上記シリコン化合物の具体例としては、例
えばテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケー
ト、テトラn−プロピルシリケート、テトラi−プロピ
ルシリケート、テトラn−ブチルシリケート、テトラi
−ブチルシリケート、テトラt−ブチルシリケート等の
テトラアルキルシリケート;メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエト
キシシラン、メチルsec−オクチルオキシシラン、メ
チルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシ
ラン等のアルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアリ
ールトリアルコキシシラン、メチルトリフェノキシシラ
ン等のアルキルトリアリールオキシシラン、3−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシト
リアルコキシシラン等のトリアルコキシシランまたはト
リアリールオキシシラン等が挙げられる。
【0109】また、上記シリコン化合物の部分加水分解
縮合物としては、例えば通常の方法で上記テトラアルキ
ルシリケートやトリアルコキシシラン、トリアリールオ
キシシラン等に水を添加し、部分加水分解させて縮合さ
せたもの、または上記テトラアルキルシリケートをアル
コール系溶剤中、酸性物質と水の存在下、加水分解した
ものが挙げられる。その具体例としては、例えばMSI
51、ESI40、HAS−1、HAS−10(以上、
コルコート社製)、MS51、MS56、MS56S
(三菱化学社製)等のテトラアルキルシリケート部分加
水分解縮合物等が挙げられる。
【0110】上記のごとき(C)成分は単独で用いても
よく2種以上併用してもよいが、(A)成分および
(B)成分との相溶性、得られる組成物の硬化性および
該組成物を用いて形成される塗膜の硬度が高いことによ
り汚染物質の定着を抑制するという点から、ESI28
等のテトラアルキルシリケートおよび/またはMS5
1、MS56、MS56S、HAS−1等のテトラアル
キルシリケートの部分加水分解縮合物が好ましい。
【0111】(C)成分の混合量は、(A)成分100
重量部に対して、1〜100重量部であるのが好まし
い。(C)成分の混合量は、1〜80重量部がより好ま
しく、5〜80重量部が特に好ましい。(C)成分の混
合量が1重量部未満の場合には耐汚染性の効果が十分で
なく、100重量部を超える場合には耐衝撃性が低下す
る。
【0112】本発明の塗料用硬化性組成物は、(A)成
分100重量部、(B)成分1〜100重量部、およ
び、(C)成分1〜100重量部を含むことが好まし
い。この混合比により、耐汚染性や仕上がり外観性等の
バランスに優れた塗料用硬化性組成物を得ることができ
る。
【0113】上述のとおり、WO98/07797号公
報には、エポキシ基を含有する樹脂(A)成分、カルボ
キシル基を含有する化合物(B)成分、および、シリケ
ート(C)成分を配合した塗料用硬化性組成物(α)、
ならびに、(A)成分にさらに加水分解性シリル基を導
入した組成物、つまり、加水分解性シリル基およびエポ
キシ基を含有する樹脂(A)成分、カルボキシル基を含
有する化合物(B)成分、シリケート(C)成分を配合
した塗料用硬化性組成物(β)が開示されている。これ
に対し、本発明の塗料用硬化性組成物は、酸基およびエ
ポキシ基を有する上記(A)成分、炭素原子に結合した
加水分解性シリル基を有する上記(B)成分、および、
シリケート化合物である上記(C)成分を含むものであ
る。すなわち、本発明の塗料用硬化性組成物は、上記の
公知塗料と比較して、塗料用硬化性組成物(α)とは加
水分解性シリル基含有重合体を含む点で相違し、塗料用
硬化性組成物(β)とは加水分解性シリル基含有重合体
とエポキシ基含有化合物とが別の成分として含まれる点
で相違する。
【0114】塗装物の高外観化を図るためには、通常、
塗料にレベリング剤を添加して仕上がり外観性を向上さ
せる。これに対し、本発明の塗料用硬化性組成物は、加
水分解性シリル基含有重合体を含むことにより、外観性
に優れレベリング剤を添加しなくとも十分な仕上がり外
観を呈することができる。なお、本発明の塗料用硬化性
組成物は、レベリング剤を添加して塗装に供してもよ
い。また、本発明の塗料用硬化性組成物は、加水分解性
シリル基含有重合体とエポキシ基含有化合物とを別の成
分として含むことにより、すなわち、少なくともエポキ
シ基の一部が加水分解性シリル基含有重合体とは別の化
合物中に存在することにより、貯蔵安定性に優れるもの
である。
【0115】次に(D)成分について説明する。本発明
の硬化性組成物には硬化触媒(D)成分が適宜用いられ
る。硬化触媒(D)成分としては、加水分解性シリル基
含有化合物の硬化触媒として使用されるもの、または、
酸とエポキシとのエステル化反応に使用されるものであ
れば特に限定なく使用し得る。
【0116】硬化触媒(D)成分の具体例としては、例
えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレー
ト、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマ
レエート、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物;リン
酸、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェー
ト、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェー
ト、モノデシルホスフェート、ジメチルホスフェート、
ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオク
チルホスフェート、ジデシルホスフェート等のリン酸ま
たはリン酸エステル;プロピレンオキサイド、ブチレン
オキサイド、シクロヘキセンオキサイド、グリシジルメ
タクリレート、グリシドール、アクリルグリシジルエー
テル、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、油化シェ
ルエポキシ社製のカーデュラE、油化シェルエポキシ社
製のエピコート828、エピコート1001等のエポキ
シ化合物とリン酸および/またはモノリン酸エステルと
の付加反応物;有機チタネート化合物;有機アルミニウ
ム化合物;有機亜鉛化合物;マレイン酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸、イタコン酸、クエン酸、コ
ハク酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等
のカルボン酸化合物(有機カルボン酸化合物)、これら
の酸無水物;ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエ
ンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタ
レンスルホン酸等のスルホン酸化合物(有機スルホン酸
化合物)、上記スルホン酸化合物を含チッ素化合物(例
えば1−アミノ−2−プロパノール、モノエタノールア
ミン、ジエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタ
ノール、2−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−
2−メチル−1−プロパノール、ジイソプロパノールア
ミン、3−アミノプロパノール、2−メチルアミノ−2
−メチルプロパノール、モルホリン、オキサゾリジン、
4,4−ジメチルオキサゾリジン、3,4,4−トリメ
チルオキサゾリジン等)でブロックしたもの(酸とアミ
ンとの反応物)(例えば、キング インダストリーズ
(KING INDUSTRIES)社製のNACUR
E5225、NACURE5543、NACURE59
25等);ヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキシルア
ミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、ドデシルアミ
ン、DABCO、DBU、モルホリン、ジイソプロパノ
ールアミン等のアミン類;これらアミン類と酸性リン酸
エステルとの反応物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等のアルカリ性化合物、ベンジルトリエチルアンモニ
ウムクロリドまたはブロミド、テトラブチルアンモニウ
ムクロリドまたはブロミド等の4級アンモニウム塩、ま
たホスホニウム塩等が挙げられる。これらの硬化触媒は
単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0117】硬化触媒(D)成分の配合量は、(A)成
分、(B)成分および(C)成分の合計固形分100重
量部に対して0.001〜10重量部が好ましい。
【0118】さらに、本発明の硬化性組成物に使用され
得るその他の配合成分について説明する。本発明の硬化
性組成物には溶剤類が適宜用いられるが、その種類は特
に限定されず、(A)成分、(B)成分および(C)成
分のいずれをも溶解し、ないしは安定に分散させうるも
のであればよい。そのうちでも代表的なものとしては、
トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、
オクタンのごとき炭化水素系、メタノール、エタノー
ル、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノー
ル、sec−ブタノール、t−ブタノール、エチレング
リコールモノアルキルエーテルの如きアルコール系、酢
酸メチル、酢酸ブチルの如きエステル系、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノンのようなケトン系等が挙げられる。なお、溶剤
類は、(A)成分または(B)成分の合成時に用いられ
た溶剤をそのまま用いることもできる。
【0119】本発明の塗料用硬化性組成物は、例えば紫
外線吸収剤、光安定剤等の耐候性向上剤を配合すること
により、その耐候性をさらに向上させることが出来る。
【0120】上記紫外線吸収剤としては、例えばベンゾ
フェノン系、トリアゾール系、フェニルサリチレート
系、ジフェニルアクリレート系、アセトフェノン系のも
の等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以
上併用してもよい。上記光安定剤としては、例えばビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セ
バケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブ
チルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)、テトラキス(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタ
ンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,
3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用しても
よい。
【0121】上記紫外線吸収剤の配合量は、硬化性組成
物の樹脂固形分100重量部に対して通常0.1〜10
重量部であり、1〜5重量部使用することが好ましい。
【0122】また、上記光安定剤の配合量は、硬化性組
成物の樹脂固形分100重量部に対して通常0.1〜1
0重量部であり、1〜5重量部使用することが好まし
い。
【0123】本発明の塗料用硬化性組成物の製造方法と
しては、酸基およびエポキシ基を有する上記(A)成
分、炭素原子に結合した加水分解性シリル基を有する上
記(B)成分、および、シリケート化合物からなる上記
(C)成分を適宜混合すればよく特に限定されないが、
酸基およびエポキシ基を有する上記(A)成分を含む塗
料用組成物に、炭素原子に結合した加水分解性シリル基
を有する上記(B)成分、および、シリケート化合物か
らなる上記(C)成分を含む塗料用樹脂組成物を1パッ
クとして別途混合する方法が好適に用いられる。上記
(A)成分を含む塗料用組成物に、上記(B)成分、お
よび、上記(C)成分を含む塗料用樹脂組成物を混合す
ることにより、得られる塗料用硬化性組成物は、加水分
解性シリル基含有重合体を含み、また、加水分解性シリ
ル基含有重合体とエポキシ基含有化合物とを別の成分と
して含むため、従来の塗料と比較して、光沢や鮮映性等
の仕上がり外観性や、保存性が著しく改良した塗料用硬
化性組成物を得ることできる。このため、本発明の塗料
用硬化性組成物はさらにレベリング剤を添加しなくても
十分な外観性を発揮することができる。酸基およびエポ
キシ基を有する上記(A)成分を含む塗料用組成物と混
合することにより本発明の塗料用硬化性組成物を製造す
るための塗料用樹脂組成物であって、炭素原子に結合し
た加水分解性シリル基を有する上記(B)成分、およ
び、シリケート化合物からなる上記(C)成分を含む上
記塗料用樹脂組成物も本発明の一つである。なお、上記
(A)成分を含む塗料用組成物を用いて塗料用硬化性組
成物を製造する際に、上記(B)成分、および、上記
(C)成分を含む塗料用樹脂組成物を混合することによ
り、レベリング剤を使用しなくとも十分な仕上がり外観
を得ることができるが、本発明はレベリング剤の使用を
排除するものではない。
【0124】本発明の塗料用樹脂組成物は、上記塗料用
組成物中の(A)成分100重量部に対する上記(B)
成分および上記(C)成分の混合量が、(B)成分が1
〜100重量部、および、(C)成分が1〜100重量
部となるものであるのが好ましい。この混合比により、
耐汚染性、仕上がり外観性、保存安定性等のバランスに
優れた塗料用硬化性組成物を得ることができる。
【0125】次に、本発明の硬化性組成物を用いた塗装
の一例について説明する。まず、被塗装物にメタリック
粉末および/または着色顔料を含有する塗料を塗布した
後、該塗布面に本発明の硬化性組成物を主成分とするト
ップコートクリアー塗料を塗布する。
【0126】上記メタリック粉末および/または着色顔
料を含有する塗料(ベースコート)には特に限定はな
く、例えばアミノアルキド樹脂、オイルフリーアルキド
樹脂、熱硬化アクリル樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、硝化
綿ラッカー、変性アクリルラッカー、スレートアクリル
ラッカー、常温硬化ウレタン樹脂、アクリルエナメル樹
脂、酸化硬化アルキド樹脂、酸化硬化変性(CAB等)
アルキド樹脂、常温または加熱硬化型フッ素樹脂、加水
分解性シリル基含有樹脂、本発明の硬化性組成物および
これらの混合物等を主成分とするものに、メタリック粉
末や着色顔料を含有せしめたもの等を用いることができ
る。
【0127】上記メタリック粉末および/または着色顔
料を含有する塗料は、有機溶媒を媒体とした溶液型塗
料、非水ディスパージョン塗料、多液型塗料、粉体塗
料、スラリー塗料、水性塗料等のいずれのタイプの塗料
であってもよい。
【0128】上記メタリック粉末および着色顔料にも特
に限定はなく、従来から使用されているものを用いるこ
とができる。メタリック粉末の具体例としては、例えば
アルミニウム粉末、銅粉末、雲母粉末等、また、着色顔
料の具体例としては、例えばフタロシアニンブルー、ト
ルイジンレッド、ベンジジンエロー等の有機系顔料や、
酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の無機系顔
料が挙げられる。これらのメタリック粉末および着色顔
料はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上併用しても
よい。
【0129】なお、ベースコートに前述の紫外線吸収剤
や光安定剤を配合すれば、塗装物の耐候性を一層向上さ
せることができる。
【0130】また、メタリック粉末および/または着色
顔料を含有する塗料に、その塗膜とトップコートクリア
ー塗膜との密着性を向上させるために前述のシリコン化
合物(アミノシラン系化合物等)を配合してもよい。
【0131】この場合のシリコン化合物の配合量は、メ
タリック粉末および/または着色顔料を含有する塗料1
00重量部に対して、通常20重量部以下、好ましくは
10重量部以下0.5重量部以上である。
【0132】本発明の塗装物はベースコートが塗布され
た塗布面に、さらにトップコートクリアー塗料が塗布さ
れたものであり、例えば被塗物に上記メタリック粉末お
よび/または着色顔料を含有する塗料を塗布して数分間
セッティングした後、ウェット・オン・ウェット方式で
トップコートクリアー塗料を塗装して加熱硬化させる2
コート1ベーク方式や、メタリック粉末および/または
着色顔料を含有する塗料を塗装して加熱硬化させた後、
トップコートクリアー塗料を塗布して加熱硬化させる2
コート2ベーク方式等の方式により製造することができ
る。
【0133】トップコートクリアー塗料の塗布は、浸
漬、吹付け、刷毛塗り、ロールコーターまたはフローコ
ーターを用いる方法等、従来から行われている種々の方
法により行うことができる。その後、30℃以上、好ま
しくは55〜350℃に加熱することにより硬化させる
ことができる。
【0134】塗装物の塗膜の厚さは、用途によって異な
るため一概に規定できないが、メタリック粉末および/
または着色顔料を含有する塗膜の厚さは隠蔽性等の点か
ら10〜30μmの範囲内が好ましく、また、トップコ
ートクリアー塗膜の厚さは、耐久性等の点から20〜5
0μmの範囲が好ましい。
【0135】本発明の塗料用硬化性組成物は、優れた耐
酸性、耐擦傷性、外観性、熱硬化性、耐汚染性等を呈す
るとともに、極めて優れた耐候性を呈するもので、例え
ば自動車、産業機械、スチール製家具、建築物内外装、
家電用品、プラスチック等に用いられる上塗り塗料、特
に自動車用上塗塗料等に好適に使用し得る。
【0136】
【実施例】次に、本発明の塗料用硬化性組成物および、
それを塗布してなる塗装物を実施例に基づいてさらに具
体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0137】合成例1[エポキシ基含有樹脂((x)−
1、(x)−2)、エポキシ基および水酸基含有樹脂
((x)−3、(x)−4)、カルボキシル基含有ビニ
ル系共重合体((y)−1)の合成] 攪拌機、温度計、還流管、窒素ガス導入管および滴下ロ
ートを備えた反応器に下記[表1]における[部分2]
を仕込み、窒素ガスを導入しつつ、105℃に昇温した
後、[部分1]の混合溶液を5時間かけて等速で滴下し
た。
【0138】次にこの中へ[部分3]の混合溶液を1時
間かけて等速で滴下した。その後、引き続き、105℃
で2時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた溶液
の固形分濃度、共重合体の数平均分子量(ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)により測定)、
エポキシ当量およびアルコール性水酸基当量を[表1]
に併記した。なお、エポキシ当量およびアルコール性水
酸基当量は、算出により求めた。
【0139】
【表1】
【0140】合成例2[カルボキシル基含有ビニル系共
重合体((y)’−2)の合成] 下記の[表2]に示した成分を用い、合成例1と同様に
してポリマー((y)’−2)を合成した。得られた溶
液の固形分濃度、ポリマー((y)’−2)の数平均分
子量(GPCにより測定)を[表2]に併記した。
【0141】得られたポリマー((y)’−2)19
2.3部に酢酸ブチル17.6部に溶解したトリエチル
アミン1.0部とメタノール10部とを加え、60℃で
8時間反応させ、これによりポリマー((y)−2)を
得た。IRで酸無水物基の吸収(1.785cm-1)が
完全に消失するのを確認した。
【0142】
【表2】
【0143】合成例3[カルボキシル基含有オリゴマー
化合物((y)−3、(y)−4)の合成] 攪拌機、温度計、還流管、窒素ガス導入管および滴下ロ
ートを備えた反応器に下記[表3]における[部分1]
を仕込み、窒素ガスを導入しつつ、100℃で15分間
攪拌後、[部分2]を15分間かけて加えた。その後、
120℃で3時間反応させた。IRで酸無水物基の吸収
(1.785cm-1)が消失するのを確認した。
【0144】
【表3】
【0145】合成例4[エポキシ基およびカルボキシル
基含有ビニル系共重合体((z)−1)の合成] 攪拌機、温度計、還流管、窒素ガス導入管および滴下ロ
ートを備えた反応器に下記[表4]における[部分2]
を仕込み、窒素ガスを導入しつつ、80℃に昇温した
後、[部分1]の混合溶液を3時間かけて等速で滴下し
た。
【0146】次にこの中へ[部分3]の混合溶液を1時
間かけて等速で滴下した。その後、引き続き、80℃で
2時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた溶液の
固形分濃度、共重合体の数平均分子量(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)により測定)、エ
ポキシ当量およびモル比(エポキシ基/カルボキシル
基)を[表4]に併記した。
【0147】
【表4】
【0148】合成例5[(B)−1、(B)−2、
(B)−3、(B)−4の合成] 撹拌機、温度計、還流管、窒素ガス導入管および滴下ロ
ートを備えた反応器に下記[表5]における[部分2]
を仕込み、窒素ガスを導入しつつ、115℃に昇温した
後、[部分1]の混合溶液を4時間かけて等速で滴下し
た。
【0149】次にこの中へ[部分3]の混合溶液を1時
間かけて等速で滴下した。その後、引き続き、115℃
で2時間撹拌した後、室温まで冷却した。最後に、[部
分4]の混合溶液を加えて撹拌した。得られた溶液の固
形分濃度、共重合体の数平均分子量(ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)により測定)、加水
分解性シリル基当量、アルコール性水酸基当量およびエ
ポキシ当量を[表5]に併記した。
【0150】
【表5】
【0151】実施例1〜11および比較例1〜3 実施例1〜10および比較例1〜3においては、[表
6]、[表7]に示すポリマーまたは化合物を、同表に
示す固型分比で以て配合した。各実施例または比較例の
全樹脂固形分100重量部に対し、紫外線吸収剤チヌビ
ン384を2重量部、光安定剤チヌビン123を1重量
部(いずれもチバガイギー社製)加えた。更に、各実施
例または比較例の全樹脂固形分100重量部に対し、レ
ベリング剤(ディスパロンL−1984−50、楠本化
成社製)を0.4重量部添加したものと、レベリング剤
を添加しないものを調製した。
【0152】この混合物をソルベッソ100(石油系芳
香族溶剤、エクソン化学社製)で希釈してフォードカッ
プで約20〜25秒の粘度に調整し、トップコート用ク
リアー塗料とした。
【0153】実施例11においては、合成例5で得られ
た(B)成分である(B)−3を80重量部と、(C)
成分であるMS56S(三菱化学社製)を10重量部
(固形分)とを予め混合し、ソルベッソ100(石油系
芳香族溶剤、エクソン化学社製)で希釈して固形分濃度
を60重量%に調整した。この溶液を50℃にて4時間
熟成し、(B)成分と(C)成分との混合溶液(E)−
1を得た。得られた(E)−1成分を[表6]に示す固
形分比で配合し、更に、全樹脂固形分100重量部に対
し、レベリング剤(ディスパロンL−1984−50、
楠本化成社製)を0.4重量部添加したものと、レベリ
ング剤を添加しないものを調製し、トップコート用クリ
アー塗料とした。
【0154】脱脂および燐酸化成処理を行った軟鋼板
に、自動車用エポキシアミド系カチオン電着プライマー
および中塗りサーフェーサーを塗装した塗板を試験片と
して用い、その上に市販のアクリルメラミン樹脂塗料
(黒ベースコート、ただし耐汚染性評価は白ベースコー
ト)を施した。
【0155】次に上記トップコート用クリアー塗料をウ
ェット・オン・ウェットで塗装し、20分間セッティン
グした後、140℃で30分間焼き付けた。乾燥膜厚
は、ベースコートが約15μm、トップコートクリアー
が約50μmであった。
【0156】得られた塗膜における物性(1.外観性、
2.熱硬化性、3.耐酸性、4.耐擦傷性、5.耐汚染
性、6.親水性、7.促進耐候性)を、下記の方法によ
り評価した。それぞれの結果を[表6]、[表7]に併
記した。
【0157】1.外観性 写像性測定器(スガ試験機社製、ICM−1DP型、ス
リット幅:1mm)を用いて塗膜の鮮映性を評価した。
なお、上記鮮映性の数値が大きいほど外観性に優れてい
ることを示す。
【0158】2.熱硬化性(ゲル分率) トップコート用クリアー塗料をスズ箔上に塗布し、12
0℃で30分間焼き付けて得られた厚さ約40μmの遊
離のクリアーフィルムを約50×50mmの大きさに切
断し、予め精秤した200メッシュのステンレス製の金
網(W0)に包み精秤した(W1)。その後、アセトン
中に24時間浸漬して抽出を行い、次いで乾燥・精秤し
(W2)、式:
【0159】
【式1】
【0160】に基づいてゲル分率(%)を求めた。 3.耐酸性 10%硫酸水溶液を0.5cc、ピペットを用いて試験
板上に滴下し、乾燥機中、80℃で30分間加熱した
後、水で硫酸水溶液を洗い落とし、塗膜表面の変化の様
子を観察し、次の基準で評価した。 10点:試験前と変化なし 9点:僅かに変化が認められる 8点:円形の後が残る 7点:変色や膨れが僅かに認められる 5点:光沢の低下や変色が明らかに認められる 1点:フィルムの溶解が認められる
【0161】4.耐擦傷性(光沢保持率) 塗膜が形成された試験片(150mm×100mm)を
水平に固定し、塗膜上に研磨剤(JIS 8種ローム
1.2重量%、JIS 11種ローム1.2重量%、カ
オリン0.6重量%、中性洗剤1重量%および水96重
量%の混合物)を約0.05g/cm2 塗布した後、ク
ラフト紙で覆った錘(接触面の直径:5cm、荷重:2
2g/cm2 )を表面上でストロークさせた。錘をスト
ロークさせる前および20回ストローク後の塗膜表面の
20°光沢を光沢計(型式GM−268、ミノルタ社
製)を用いて測定し、式:
【0162】
【式2】
【0163】に基づいて、20回ストローク後の光沢保
持率(%)を求めた。なお、光沢保持率が大きいものほ
ど耐擦傷性に優れている。
【0164】5.耐汚染性 大阪府摂津市で南面30°の屋外曝露を6ヵ月実施し
た。曝露後の汚染性を目視で判定した。 判定基準 ○:ほとんど汚れが目立たない △:やや汚れている ×:かなり汚れている
【0165】6.親水性 親水性は、接触角測定機(協和界面科学社製:CA−S
150型)を用い、曝露前と、大阪府摂津市で南面30
°の屋外曝露を3ヵ月行った後の水との接触角を測定す
ることにより評価した。数値が小さいほど親水性が高い
ことを示す。
【0166】7.促進耐候性 JIS K 5400に準拠し、サンシャインカーボンア
ーク灯式耐候性試験機(スガ試験機社製)を用いて評価
した。 試験条件:ブラックパネル温度63±3℃、120分中
18分降雨2,500時間後、次のように目視で評価し
た。 ○ :異常なし ○△:水跡の付着または白化現象が認められる △ :光沢の低下と水跡の付着とが明らかに認められる
【0167】8.保存安定性 実施例および比較例に示した(A)成分、(B)成分、
(C)成分を混合し、脱水剤としてオルト酢酸メチルを
樹脂固形分に対して3重量部添加し、樹脂固形分濃度が
50%になるようにソルベッソ100で調整した。これ
を50℃乾燥機中で10日間保存した後、粘度の状態を
調べた。 ○:ほとんど変化なし △:増粘が観察される
【0168】
【表6】
【0169】
【表7】
【0170】[表6]、[表7]の結果から、実施例1
〜10で得られた塗料を用いて形成した塗膜はいずれも
耐酸性、耐擦傷性、耐汚染性等に優れたものであると同
時に、耐候性に優れたものであることがわかった。ま
た、実施例1〜10で得られた塗料を用いて形成した塗
膜はいずれもレベリング剤を用いなくとも外観性に優れ
たものであった。
【0171】
【発明の効果】本発明の塗料用硬化性組成物は、優れた
熱硬化性を呈するとともに、形成される塗膜の耐酸性、
耐擦傷性、外観性が良好で、かつ、耐汚染性、耐候性等
の塗膜物性バランスに優れているものであるので、例え
ば自動車、産業機械、スチール製家具、建築物内外装、
家電用品、プラスチック製品等に用いられる上塗り塗料
等に好適に使用される。本発明の塗料用硬化性組成物
は、特に外観性に優れ、レベリング剤を添加しなくとも
十分な外観性を発揮することが可能である。また、本発
明の塗料用硬化性組成物を塗装した塗装物は、上記のよ
うな優れた特性を有する。更に、本発明の塗料用樹脂組
成物を酸/エポキシ硬化性塗料に混合して、塗料用硬化
性組成物を製造することにより、外観性に優れた塗料用
硬化性組成物を得ることができる。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ基を有する化合物(x)成分と
    カルボキシル基を有する化合物(y)成分とを混合して
    得られる樹脂(A−1)および/またはエポキシ基とカ
    ルボキシル基とを有するビニル系共重合体(z)成分に
    より得られる樹脂(A−2)からなる(A)成分、主鎖
    が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端およ
    び/または側鎖に、下記一般式(I): 【化1】 (式中、R1 は水素原子または炭素数1〜10のアルキ
    ル基、R2 は水素原子または炭素数1〜10のアルキル
    基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数7〜10
    のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0
    〜2の整数を示す)で表される炭素原子に結合した加水
    分解性シリル基を分子中に少なくとも1個有するビニル
    系共重合体からなる(B)成分、ならびに、下記一般式
    (VII): (R3 O)4-b −Si−R4 b (VII) (式中、R3 は水素原子または炭素数1〜10のアルキ
    ル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜1
    0のアラルキル基を示し、R3 どうしは同一であっても
    異なっていてもよく、R4 は炭素数1〜10のアルキル
    基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のア
    ラルキル基を示し、R4 が複数ある場合はR4 どうしは
    同一であっても異なっていてもよく、bは0〜2の整数
    を示す)で表されるシリコン化合物および/またはその
    部分加水分解縮合物からなる(C)成分を含むことを特
    徴とする塗料用硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 (A)成分100重量部、(B)成分1
    〜100重量部、および、(C)成分1〜100重量部
    を含むことを特徴とする請求項1記載の塗料用硬化性組
    成物。
  3. 【請求項3】 前記(x)成分が、1分子中に2個以上
    のエポキシ基を含有し、エポキシ当量が200〜200
    0g/モルであることを特徴とする請求項1または2記
    載の塗料用硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 前記(x)成分が、1分子中に1個以上
    の水酸基を含有し、その水酸基当量が500〜7000
    g/モルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載の塗料用硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 前記(x)成分が、1分子中に1個以上
    のカルボキシル基を含有することを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の塗料用硬化性組成物。
  6. 【請求項6】 前記(y)成分が、1分子中に平均2個
    以上のカルボキシル基を含有するビニル系共重合体
    ((y)−i成分)であることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか1項に記載の塗料用硬化性組成物。
  7. 【請求項7】 前記(y)−i成分が、1分子中に2個
    以上のエポキシ基を有し、そのエポキシ当量が200〜
    2000g/モルであることを特徴とする請求項6記載
    の塗料用硬化性組成物。
  8. 【請求項8】 前記(y)−i成分が、1分子中に1個
    以上の水酸基を有し、その水酸基当量が500〜700
    0g/モルであることを特徴とする請求項6または7記
    載の塗料用硬化性組成物。
  9. 【請求項9】 前記(y)成分が、1分子中に少なくと
    も2個のカルボキシル基を含有し、分子量が2,000
    以下のオリゴマー化合物((y)−ii成分)であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗
    料用硬化性組成物。
  10. 【請求項10】 前記(y)−ii成分が、ポリオール
    化合物と酸無水物化合物とをハーフエステル化反応させ
    て得られることを特徴とする請求項9記載の塗料用硬化
    性組成物。
  11. 【請求項11】 前記(z)成分が、1分子中に1個以
    上のカルボキシル基と2個以上のエポキシ基とを有し、
    エポキシ当量が200〜2000g/モルであることを
    特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の塗料
    用硬化性組成物。
  12. 【請求項12】 前記(B)成分が、1分子中に1個以
    上の水酸基を有し、その水酸基当量が500〜7000
    g/モルであることを特徴とする請求項1〜11のいず
    れか1項に記載の塗料用硬化性組成物。
  13. 【請求項13】 前記(B)成分が、1分子中に1個以
    上のエポキシ基を有し、そのエポキシ当量が200〜2
    000g/モルであることを特徴とする請求項1〜12
    のいずれか1項に記載の塗料用硬化性組成物。
  14. 【請求項14】 前記(C)成分が、テトラアルキルシ
    リケートおよび/またはその部分加水分解縮合物からな
    ることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記
    載の塗料用硬化性組成物。
  15. 【請求項15】 更に、硬化触媒(D)成分を、前記
    (A)成分、(B)成分および(C)成分の合計固形分
    100重量部に対して0.001〜10重量部含有する
    ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載
    の塗料用硬化性組成物。
  16. 【請求項16】 前記(A)成分中のエポキシ基とカル
    ボキシル基とのモル比が、カルボキシル基1モルに対し
    エポキシ基0.2〜5モルであることを特徴とする請求
    項1〜15のいずれか1項に記載の塗料用硬化性組成
    物。
  17. 【請求項17】 メタリック粉末および/または着色顔
    料を含有する塗料が塗布された塗布面にトップコートク
    リアー塗料が塗布されてなる塗装物であって、前記トッ
    プコートクリアー塗料が請求項1〜16のいずれか1項
    に記載の塗料用硬化性組成物を主成分として含有するこ
    とを特徴とする塗装物。
  18. 【請求項18】 エポキシ基を有する化合物(x)成分
    とカルボキシル基を有する化合物(y)成分とを混合し
    て得られる樹脂(A−1)および/またはエポキシ基と
    カルボキシル基とを有するビニル系共重合体(z)成分
    により得られる樹脂(A−2)からなる(A)成分を含
    む塗料用組成物と混合することにより塗料用硬化性組成
    物を製造するための塗料用樹脂組成物であって、主鎖が
    実質的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端および
    /または側鎖に、下記一般式(I): 【化2】 (式中、R1 は水素原子または炭素数1〜10のアルキ
    ル基、R2 は水素原子または炭素数1〜10のアルキル
    基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数7〜10
    のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0
    〜2の整数を示す)で表される炭素原子に結合した加水
    分解性シリル基を分子中に少なくとも1個有するビニル
    系共重合体からなる(B)成分、ならびに、下記一般式
    (VII): (R3 O)4-b −Si−R4 b (VII) (式中、R3 は水素原子または炭素数1〜10のアルキ
    ル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜1
    0のアラルキル基を示し、R3 どうしは同一であっても
    異なっていてもよく、R4 は炭素数1〜10のアルキル
    基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のア
    ラルキル基を示し、R4 が複数ある場合はR4 どうしは
    同一であっても異なっていてもよく、bは0〜2の整数
    を示す)で表されるシリコン化合物および/またはその
    部分加水分解縮合物からなる(C)成分を含むことを特
    徴とする塗料用樹脂組成物。
  19. 【請求項19】 塗料用組成物中の(A)成分100重
    量部に対する混合量が、(B)成分1〜100重量部、
    および、(C)成分1〜100重量部であることを特徴
    とする請求項18記載の塗料用樹脂組成物。
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WO2009051182A1 (ja) * 2007-10-17 2009-04-23 Kaneka Corporation 塗料用樹脂組成物および該塗料用樹脂組成物を塗布してなる塗装物

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JP5996835B2 (ja) * 2007-10-17 2016-09-21 株式会社カネカ 塗料用樹脂組成物および該塗料用樹脂組成物を塗布してなる塗装物

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