JP2006111901A - プレコートフィン用アルミニウム下地処理材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 Cr等の有害金属を含まない化成皮膜を形成したプレコートフィン用アルミニウム下地処理材として、その上に親水性塗膜を形成した際の塗膜密着性、耐食性が優れたものを提供する。
【解決手段】 皮膜中に主要化成金属成分としてZrまたはTiを1.0〜100mg/m2含有し、しかも皮膜中のAl量が、最表面層で10mass%以下であるとともに主要化成金属成分が最大濃度を示す深さの位置において50mass%以下である化成皮膜を、アルミニウム基材表面に形成した。
【選択図】 なし

Description

この発明はルームエアコン等の熱交換器に用いられるプレコートフィン用のアルミニウム下地処理材に関し、特にCr等の有害金属を含まない化成皮膜を下地皮膜としてアルミニウム基材表面に形成したプレコートフィン用アルミニウム下地処理材に関するものである。
アルミニウム材は軽量でかつ適度な機械的特性を有し、しかも美観、成形加工性、耐食性等に優れた特徴を有しているため、熱交換器用フィン材として従来から広く使われている。
ところで熱交換器用フィン材には冷房運転時の結露防止能が求められており、そこで一般には親水性塗膜をアルミニウム基材の上に設けた親水性フィン材が使用されている。しかしながら親水性塗膜は、アルミニウム基材表面に対する密着性に劣ることが多いため、一般にはアルミニウム基材と親水性塗膜との間に中間層(下地皮膜)を設けて、アルミニウム基材と親水性塗膜との間の密着性を高める処理(下地処理)を行なうのが通常である。また一方、熱交換器用フィン材には、親水性に加えて耐食性も求められるが、親水性塗膜は、それ自体では防食能が弱いかあるいは無いため、耐食性向上のための下地処理も付加されるのが通例となっている。
これらの二つの目的を同時に満足させるため、従来はアルミニウム基材表面に対する下地処理として、スプレーによるリン酸クロメート処理や、ロールコーター塗布・焼付による塗布型クロメート処理などのクロメート処理を施すことが多かった。すなわちアルミニウム基材の上にクロメート皮膜を設け、さらにその上に親水性塗膜を設けることにより、優れた耐食性、塗膜密着性、親水性を有するプレコートフィン材を得ていたのである。
しかしながら、近年の環境汚染に対する関心の高まりや、リサイクル性の追求などの要請から、有害金属であるクロムの使用を極力減らすか、廃止することが強く望まれるようなっている。そこで最近では、このような要求を満足させるために、クロメート処理に代えて、クロム等の有害な重金属を含まない下地処理皮膜やその下地処理皮膜を形成するための方法の提案が種々なされており、その代表的な例を特許文献1〜特許文献6として示す。
これらの特許文献のうち、先ず特許文献1には、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズおよびホウ素の一種を含有するフルオロ金属酸またはフルオロ金属酸塩不飽和結合を有する芳香族スルホンサンモノマーまたは不飽和結合を有する脂肪族スルホン酸モノマーのホモポリマーからなる少なくとも一種の高分子化合物を含有するアルミニウム表面処理材および、この薬剤で処理して得られる皮膜を設けたアルミニウム材が示されている。
また特許文献2には、(A)H2TiF6、H2TfF6、H3AlF6、H2SiF6、H2GeF6、H2SnF6、またはHBF4、(B)2個以上のOH基(但し、COOH基内のOH基を除く)含有水溶性有機カルボン酸または塩を含み、必要によりさらに(C)Ti、Zr、Hf、Al、Si、Ge、Sn、Bの元素、酸化物、水酸化物、または炭酸塩、あるいは(D)X−(N−R1−N−R2−アミノメチル)−4−ヒドロキシスチレン(X=2、4、または6、R1=C1-4アルキル基、R2=H(CHOH)nCH2−に相応する置換基、n=1〜7)などを含む処理液により金属表面を処理する方法が示されている。
さらに特許文献3には、(A)H2ZrF6、(B)分散シリカ、(C)水溶性または水分散性3−(N−メチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−4−ヒドロキシースチレンポリマーおよび(D)1−プロポキシ−2−プロパノールを包含する酸性水溶液で処理し、リンス無しとすることにより有機皮膜を設ける方法が示されている。
また特許文献4には、アルカリ金属水酸化物でpHを11〜13に調整したリン酸イオン、アルミニウムキレート化剤および界面活性剤を含む水溶液で脱脂処理し、次いでpHを1.5〜4.0に調整したジルコニウムイオン、リン酸イオン、有効フッ素イオンを含有する処理剤もしくは前記イオンに加えバナジウムイオンを加えた溶液で処理する方法が示されている。
さらに特許文献5、特許文献6には、冷間圧延後、中性または塩基性溶液で処理し、ベーマイト系皮膜を形成し、その後ケイ酸塩含有溶液で処理、あるいはさらにその後調質焼鈍する下地処理方法が示されている。
特開平10−1783号公報 特開平7−197273号公報 特開平4−263083号公報 特開平1−246370号公報 特公平7−81194号公報 特開平5−279866号公報
前述のようにクロム等の有害な重金属類を含まない下地皮膜を形成するための特許文献1〜6の各方法のうち、先ず特許文献1〜4の各方法では、結果的に耐食性が不充分となったり、加工中に皮膜が破壊されて充分な塗膜密着性が確保されなかったり、さらには下地処理後に塗布される親水性塗料との相性が悪くて塗装工程中にハジキが発生してしまうなどの問題がある。
また特許文献5、特許文献6の方法では、ベーマイト皮膜を形成するために90℃で10数秒〜20秒程度の加熱を要することから、下地処理方法としては工程時間が長くて生産性が劣り、また下地処理後に加熱焼鈍する方法では、表面が汚れやすくて、親水性塗料塗布の際にハジキ等の不具合が発生しやすいという問題もある。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、プレコートフィン材用アルミニウム下地処理材として、Cr等の有害金属を含まない下地皮膜(化成皮膜)として、その皮膜上に親水性塗膜を形成した際に塗膜密着性が優れるとともに、耐食性、かつ親水性、成形性の良好な塗膜が形成されるような下地皮膜を有するアルミニウム下地処理材を提供することを課題とするものである。
前述の課題を解決するため、Cr等の有害金属を含まない化成皮膜(ノンクロメート化成皮膜)のうち、特にZrもしくはTiを主要化成金属成分とする化成皮膜について、本発明者等が種々実験・検討を重ねたところ、皮膜中に含まれているAlが塗膜密着性および耐食性に大きな影響を与えていることを見出し、さらに実験・検討を重ねた結果、化成皮膜中のAlの深さ方向(皮膜厚み方向)の濃度分布を適切に調整することによって、塗膜密着性および耐食性の両者を確実かつ安定して向上させることができ、また良好な親水性および成形性も確保し得ること見出し、この発明をなすに至った。
具体的には、この発明のプレコートフィン用アルミニウム下地処理材は、皮膜中に主要化成金属成分としてZrまたはTiを1.0〜100mg/m2含有し、しかも皮膜中のAl量が、最表面層で10mass%以下であるとともに主要化成金属成分が最大濃度を示す深さの位置において50mass%以下である化成皮膜を、アルミニウム基材表面に形成したことを特徴とするものである。
この発明のプレコートフィン用アルミニウム下地処理材は、アルミニウム基材の表面に、下地皮膜としてCr等の有害金属を含まない化成皮膜を形成した下地処理材として、化成皮膜中のAl濃度の深さ方向分布を適切に規制することによって、その化成皮膜上に親水性塗膜を設けたときの塗膜密着性が安定して優れるとともに耐食性に優れており、また親水性および成形性にも優れており、したがってルームエアコン等の熱交換器に用いるプレコートフィン材に最適である。
この発明のプレコートフィン用アルミニウム下地処理材は、基本的にはベース材としてのアルミニウム基材の表面に、ノンクロメート型化成皮膜として、ZrまたはTiを主要化成金属成分とする下地皮膜を形成したものであり、その化成皮膜は、主要化成金属成分としてのZrまたはTiを1.0〜100mg/m2含有するものと規定している。
そしてこの発明で特に重要な点は、このような化成皮膜中におけるAl、すなわち基材としてのアルミニウム材に由来するAlの濃度分布を、深さ方向(すなわち皮膜の厚み方向)に規定したことである。具体的には、化成皮膜の最表面層におけるAl濃度が10mass%以下であるとともに、主要化成金属成分(ZrまたはTi)が最大濃度を示す深さにおけるAl濃度が50mass%以下であることを規定した。このように化成皮膜中のAl濃度を深さ方向に規制することによって、その化成皮膜上に親水性塗膜を形成した場合に、塗膜密着性が優れかつ耐食性にも優れ、かつ親水性、成形性も良好な塗膜を形成することが可能となった。
上述のように化成皮膜中におけるAl濃度分布を規定した理由は次の通りである。
アルミニウム表面に形成したノンクロメート型化成皮膜の構造については、従来一般的には、アルミニウム素地と化成皮膜の界面にフッ化物、オキシ水酸化アルミニウム層が存在し、その上にZrもしくはTiなどの重金属のリン酸塩、水酸化物、酸化物を主体とする化成皮膜層が形成されているというモデルで説明するのが通常であった。しかるに本発明者等がGDS、オージェなどの解析機器を用い、化成処理皮膜の深さ方向の元素分析、いわゆるデプスプロファイルを詳細に調べた結果、化成皮膜の主要成分が深さ方向において必ずしも従来述べられていたような均一な分布構造あるいはいくつかの物質からなる層状構造を取らず、深さ方向で濃度が変化して、特定の深さで濃化しており、しかも必ずしも明確な層を形成しているのではなく、いわゆる傾斜構造で分布していることが判明した。
そしてこのような化成皮膜においては、詳細なメカニズムは不明であるが、皮膜中に含まれるAlが、塗膜密着性および耐食性に大きく影響していることを見出し、さらに研究を重ねた結果、単純なAl濃度の多少ではなく、深さ方向におけるAl濃度の分布の態様が重要であって、その深さ方向のAl濃度分布を適切に調整することにより、塗膜密着性および耐食性を従来よりも大幅に向上させ得ることを見出したのである。
ここでアルミニウム基材表面に形成した化成皮膜中における深さ方向のAl濃度分布および主要化成金属成分の濃度分布を図1に模式的に示す。図1に示すように、化成皮膜中の主要化成金属成分(ZrもしくはTi)は、皮膜最表面位置Aから基材としてのアルミニウム材に接する位置(アルミニウム基材表面位置)Bまでの間の中間位置(但し、AB間の中央よりも若干Aに近い位置)Cで最大濃度を示すのが通常である。一方皮膜中のAl濃度は、皮膜の最表面位置Aからアルミニウム基材に向って次第に増加して行く分布となる。
このような化成皮膜中の深さ方向のAl濃度分布において、化成皮膜の最表面層のAl濃度を10mass%以下に規制すると同時に、主要化成金属成分(ZrもしくはTi)が最大濃度を示す位置CにおけるAl濃度を50mass%以下に規制することによって、塗膜密着性および耐食性を大幅に向上させるとともに、良好な親水性、成形性を確保することが可能となるのである。
ここで化成皮膜の最表面層のAl濃度が10mass%を越えれば、その化成皮膜上に形成される親水性塗膜に悪影響を与え、塗膜の親水性、塗膜の密着性が損なわれてしまう。一方化成皮膜中における主要化成金属成分(ZrもしくはTi)が最大濃度を示す位置CにおけるAl濃度が50mass%を越えれば、皮膜が硬くなって、成形加工時に皮膜の割れが生じやすくなり、成形性を損なうばかりでなく耐食性、塗膜密着性の低下を招く。したがって前述のようなAl濃度分布条件を満たすことが、塗膜密着性、耐食性、親水性、成形性を同時に向上させるために必要である。
なおここで化成皮膜の最表面層とは、化成皮膜の最表面から0.01μmの深さの位置までの層を称するものとし、その深さ0.01μmまでの最表面層の平均のAl濃度が上述の範囲内となっていれば良いものとする。
またこの発明において、化成皮膜中のZrまたはTiの量は、1.0〜100mg/m2の範囲内とする。ZrもしくはTiの量が1.0mg/m2未満では充分な耐食性を得ることができず、一方100mg/m2を越えれば、皮膜が硬くなって成形時に皮膜の割れが生じやすくなって、成形加工性を損なうばかりでなく、結果的に耐食性の低下を招く。
さらにこの発明における化成皮膜は、前述のように主要化成金属成分としてZrまたはTiを含有するとともに、前述のように基材のアルミニウム材に由来するAlを含有しているものであるが、そのほか処理液中の水に由来するO、Hを含有するのが通常であり、さらに場合によってはP、F、Siの一種以上を含有することが多い。
また化成皮膜中のFは、ZrもしくはTiの供給源であるH2ZrF6やH2TiF6に由来して皮膜中に含まれるものや、化成処理を行なう際のアルミニウム基材表面に対するエッチングのために添加されるフッ化水素酸等に由来して含まれるのが通常である。なお化成皮膜中においてFはZrもしくはTiに配位しているようであり、Fが含有される場合は、化成皮膜中のF/(ZrまたはTi)の重量比が2.5以下であることが望ましい。この重量比が2.5を越えるような場合は、F量が過剰であって、ZrもしくはTi以外の化成皮膜成分と結合したり、場合によっては親水性塗膜と反応することもある。このような場合、水分等の作用により親水性塗膜表面に湧き出し、溶出のもととなることから好ましくない。
また化成皮膜中のPは、リン酸、縮合リン酸等の形態で処理液中に添加されていることが多く、その場合リン酸Zrもしくはリン酸Tiとして化成皮膜中に取り込まれ、耐食性向上に寄与する。Pも深さ方向の分布は一様ではなく、表面付近に多く、深さ方向に次第に減少する傾斜分布となるのが通常である。ここでリン酸が過剰であれば、表面付近のP量が増加する。本発明者等が、親水性皮膜を設けずに下地処理皮膜を水中に浸漬する実験を行なったところ、表面のP量がZr量もしくはTi量を上回っているような部分が優先的に溶解されてしまうことを確認した。このことは、P量が過剰な化成皮膜は、耐食性が劣る可能性があることを示唆している。したがって、Pについても過剰な添加による化成皮膜中への大量混入は避けることが好ましく、化成皮膜全体としてP/(ZrまたはTi)の重量比が0.1〜1の範囲内とすることが望ましい。
なおベース材として用いるアルミニウム基材の種類、成分組成は特に限定されるものではなく、通常熱交換器用フィン材として用いられているアルミニウム合金を適宜使用することができる。
この発明のアルミニウム下地処理材を製造するにあたっては、アルミニウム基材(薄板)に対して、先ず脱脂(エッチングを含む)、水洗、乾燥を行なった後、前述のような化成皮膜を形成すれば良い。また必要に応じて、脱脂、水洗工程の後に、酸洗浄、水洗(酸成分除去)工程を追加しても良い。この後、ZrまたはTiを主要化成金属成分とする化成皮膜(下地皮膜)をアルミニウム基材表面に形成すれば良いが、そのための手法としては、処理液に接触させて化学反応により皮膜を形成する「反応型」と、処理液を塗布して乾燥させることによる「塗布型」の両者が知られており、この発明の場合いずれを適用しても高い効果を得ることができる。
このようにしてアルミニウム基材表面に化成皮膜を形成するにあたっては、既に述べたようにその皮膜の深さ方向におけるAl濃度分布を制御する。深さ方向のAl濃度分布の制御のための具体的方法は特に限定されるものではないが、処理後の成分組成、濃度やウェット量、処理時間、塗布後の焼付条件等を適切に調整すればよい。
以上のように下地皮膜として化成皮膜を形成したプレコートフィン用アルミニウム下地処理材を実際に使用するにあたっては、化成皮膜上に親水性塗膜を形成しておく。このように化成皮膜上に設けられる親水性塗膜は、親水性を有するものであれば特に制約はなく、水ガラスまたはコロイダルシリカ等を主体とする無機系塗料でも良く、無機系塗料とアクリル、ポリビニルアルコール等の樹脂との混合塗料であっても良い。またこれらにジルコニウム酸等の金属架橋剤が添加されていても良い。親水性を有する有機系塗料でも良く、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、アクリルアミド、アクリル酸あるいはアクリルエステルといったアクリル系樹脂等が適しており、これらの2種以上の混合物、共重合体であっても良い。これらの基剤樹脂は自己架橋型のものであっても良く、必要に応じてヘキサブチロールメラミン、ヘキサブトキシメラミン等のメラミン化合物、エポキシ基を有する化合物、ブチロール基を付加させた尿素あるいはイソシアネート基を有する化合物といった硬化剤が添加されても良い。
具体的には、特開平11−223487号に開示されているような塗膜、特開平10−217394号に記載されている塗膜、特許第2975550号に示されている塗膜、特許第2025282号に記載されているような塗膜が好適である。
なおこれらの親水性塗膜の塗膜量および塗膜の焼付け条件等は、塗料の特性および焼付け炉の特性、さらに製品の使用目的等に合わせて適宜定めれば良い。
以下、実施例に基いて、本発明の実施の形態を具体的に説明する。なお基材のアルミニウム合金としては全てJIS 3003合金(板厚0.1mm)を用いた。
実施例1
常法によりアルカリ脱脂[日本ペイント製:SC340(1%濃度、温度=70℃、時間=6秒)]した後、水道水で5秒間洗浄し、乾燥後、塗布型Zr処理(フッ素−Zrタイプ)を行なって、化成皮膜(下地皮膜)を形成した。なお処理液を塗布する際に、塗布液のウェット量と処理液の濃度を種々変化させた。処理液塗布後の焼付条件は、風速15m/秒において170℃雰囲気中にて在炉時間10秒で行なった。なおこのような焼付条件を標準焼付条件とする。
以上のようにして作製した下地処理板表面に、ポリビニルアルコールを主成分とする親水性塗料を塗布・焼付け(塗布量=0.5g/m2、焼付け=220℃、10秒)して、仕上塗膜(親水性塗膜)を形成して、プレコートフィン材とした。
以上のようにして得られたプレコートフィン材について、下地皮膜(化成皮膜)の状態(皮膜中のZr量、最表面層のAl量、Zr最大濃度の位置のAl量)を、GDSにて分析するとともに、塗膜性能として、密着性、親水性、耐食性および成形性を調べた。これらの結果を表1に示す。なお各塗膜性能の調査方法、評価方法は次の通りである。
密着性:
バウデン試験機にて3/16φ鋼球を使用し、荷重100gf、無潤滑にて摺動させた。1〜5往復でカジリを生じたものを×、6〜10往復でカジリを生じたものを△、異常なしを○とした。
親水性:
プレス油AF2C(出光興産)に浸漬後、160℃で10分乾燥し、塗膜面の水接触角を測定し、20℃以下を良好と判断した。
耐食性:
JIS Z 2371による塩水噴霧試験を実施し、試験時間500時間で貫通孔のないものを○、貫通孔10個以下を△、10個以上を×とした。
成形性:
フィンプレスにてDOF成形を実施し、10万ショット成形後のカラー部内面の塗膜状態を観察して、異常なしを○、クラック発生を△、塗膜剥離を×とした。
Figure 2006111901
表1から明らかなように、この発明の範囲内の下地皮膜(化成皮膜)を形成した例(実施例1−1〜実施例1−4)では、密着性、親水性、耐食性、成形性のいずれもが優れていた。これに対し化成皮膜中のZr量がこの発明の範囲を外れた下地皮膜の場合(比較例1−1、比較例1−2)には、塗膜密着性、耐食性、成形性のうちいずれか一つ以上が劣っていた。
実施例2
常法によりアルカリ脱脂[日本ペイント製:SC340(1%濃度、温度=70℃、時間=6秒)]した後、水道水で5秒間洗浄し、乾燥後、塗布型Zr処理(フッ素−Zrタイプ)を行なって、化成皮膜(下地皮膜)を形成した。なお処理液の塗布にあたっては、塗布後のZr量を一定として、種々の皮膜を得るため、処理液のF量、塗布時のウェット量を種々変更した。焼付時の昇温パターンも、実施例1と同様な標準条件のパターンのほか、若干変化させた条件のパターン(急速パターンおよび遅延パターン)も適用した。急速パターンおよび遅延パターンは、風速を変えることによって行ない、処理板の到達温度は一定となるように操作した。なお化成処理液のF量およびウェット量と、焼付時の昇温パターンの組合せを表2に示す。
以上のようにして作製された下地処理板表面に、ポリビニルアルコールを主成分とする親水性塗料を塗布・焼付け(塗布量=0.5g/m2、焼付け=220℃、10秒)して、仕上塗膜(親水性塗膜)を形成し、プレコートフィン材とした。
以上のようにして得られたプレコートフィン材について、下地皮膜の状態(皮膜中のZr量、最表面層のAl量、Zr最大濃度位置でのAl量)を、GDSにて分析にて調べるとともに、塗膜性能として、密着性、親水性、耐食性および成形性を調べた。その結果を表3に示す。なお各塗膜性能の調査方法、評価基準は、実施例1の場合と同様である。
Figure 2006111901
Figure 2006111901
表3から明らかなように、この発明の範囲内の下地皮膜(化成皮膜)が形成された例(実施例2−1〜実施例2−4)では、全ての塗膜性能、すなわち密着性、親水性、耐食性、成形性のいずれもが優れていた。これに対し化成皮膜中の深さ方向のAl濃度分布がこの発明の範囲を外れた下地皮膜の場合(比較例2−1〜比較例2−4)では、親水性および成形性のいずれかが劣っていた。
実施例3
化成皮膜を形成するにあたって、塗布型Ti処理(フッ素−Tiタイプ)を行なった点以外は実施例1と同様にしてプレコートフィン材を得た。そして実施例1と同様に下地皮膜(化成皮膜)の状態(皮膜中のTi量、最表面層のAl量、Ti最大濃度位置でのAl量)と、塗膜性能(密着性、親水性、耐食性、成形性)を調べた。その結果を表4に示す。
Figure 2006111901
実施例4
化成皮膜を形成するにあたって、塗布型Ti処理(フッ素−Tiタイプ)を行なった点以外は実施例2と同様にしてプレコートフィン材を得た。そして実施例2と同様に下地皮膜(化成皮膜)の状態(皮膜中のTi量、最表面層のAl量、Ti最大濃度位置でのAl量)と、塗膜性能(密着性、親水性、耐食性、成形性)を調べた。その結果を表5に示す。
Figure 2006111901
この発明によるプレコートフィン用アルミニウム処理材における下地皮膜(化成皮膜)中の深さ方向でのAl濃度分布および主要化成金属成分(ZrまたはTi)の濃度分布を模式的に示すグラフである。

Claims (1)

  1. 皮膜中に主要化成金属成分としてZrまたはTiを1.0〜100mg/m2含有し、しかも皮膜中のAl量が、最表面層で10mass%以下であるとともに主要化成金属成分が最大濃度を示す深さの位置において50mass%以下である化成皮膜を、アルミニウム基材表面に形成したことを特徴とする、プレコートフィン用アルミニウム下地処理材。
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