JP3694853B2 - 熱交換器用プレコートフィン材の製造方法 - Google Patents

熱交換器用プレコートフィン材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はルームエアコン等の熱交換器に使用されるアルミニウム合金製プレコートフィン材の製造方法に関し、特に基材であるアルミニウム合金薄板の表面に塗布型クロメート皮膜を形成しさらにその皮膜上に親水性塗膜を形成してプレコートフィン材を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にルームエアコンやカーエアコン等に使用される熱交換器には、軽量でかつ加工性、熱伝導性に優れたアルミニウム合金製フィン材が従来から広く使用されている。一方近年、ルームエアコンやカーエアコン等については、そのコンパクト化、省エネルギ化が強く望まれるようになり、それに伴なって熱交換効率をより一層向上させることが強く望まれている。そしてこのような要請に応えるための熱交換器の構造的な方策として、ルーバーを立ち起こしたり、フィンとフィンとの間隔、すなわち熱媒体物質としての空気が流通する部分の間隔を狭くすることが従来から行なわれている。ところがこのようにフィン間隔を狭くした場合、フィン表面の親水性を高めることが必要となる。すなわち、フィン表面の親水性が不充分であれば、冷房運転時に空気中の水分の結露により生じたフィン表面の水滴がフィン間にブリッジを形成して、フィン間を通過する空気に対する通風抵抗が増大し、そのため逆に熱交換効率を低下させてしまい、また水が通風とともに外部へ飛び出してしまう不都合も生じ、さらにはフィン表面の水が長期間滞留してフィン材の腐食が進行してしまう問題もある。一方フィン表面の親水性が良好であれば、フィン表面に結露により生じた水滴のフィン表面に対する接触角が小さくなる結果、水滴はフィン間でブリッジを形成することなく、フィン表面で拡がって水膜となり、速やかに流下するため、通風抵抗も大きくならず、また通風によって水滴が外部へ飛び出してしまうことも少なく、さらにはフィン表面での水の滞留時間も短くなるため腐食の進行も回避することができる。
【0003】
そこで従来からフィン表面の親水性を向上させるため、フィン材表面に種々の親水性処理を施すことが行なわれている。そしてこの場合、フィン材の基材であるアルミニウム合金薄板の表面に、下地処理としてクロメート処理やベイマイト処理などを行なって耐食性皮膜(下地皮膜)を形成した後、その耐食性皮膜上に親水性処理として水ガラスやコロイダルシリカなどの無機系塗料あるいは各種の有機系塗料を塗布して焼付け乾燥し、親水性塗膜を形成することが広く行なわれている。
【0004】
ところでアルミニウム合金製フィン材を用いてルームエアコン等の熱交換器を組立てるにあたっては、従来はフィン用アルミニウム合金薄板をフィン形状に成形して組立て、その後に下地耐食性皮膜の形成や親水性塗膜形成を行なう方式、すなわちポストコート方式が一般的であったが、最近では主として生産性向上の観点から、成形加工前のフィン用アルミニウム合金薄板の表面に予め下地耐食性皮膜の形成や親水性塗膜の形成を行なっておき、その後にフィン形状に成形して組立てる方式、すなわちプレコート方式を適用することが多くなっている。そして後者のプレコート方式の場合、フィン材(すなわちプレコートフィン材)には、下地耐食性皮膜や親水性塗膜が形成された状態での成形性が良好であることが要求される。
【0005】
一方最近では、生産性向上や環境保護等の観点から、フィン材の成形加工時に低粘度で揮発性の高いプレス油を用い、プレス成形後は従来の如きトリクロロエチレンやアルカリ性脱脂剤による脱脂工程を省いて、加熱乾燥のみを行なうことが多くなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のようにアルミニウム合金薄板に予め下地耐食性皮膜および親水性塗膜を形成したプレコートフィン材を成形するにあたっては、成形性が良好であることが望まれるが、特に低粘度の揮発性プレス油を用いて成形する場合は、より一層成形性が優れていることが望まれる。しかしながら、従来一般のプレコートフィン材では、低粘度の揮発性プレス油を用いて成形した場合、成形時にカラー部での座屈や割れ、飛び等の成形欠陥が発生することが多く、その意味で成形性が良好とは言えなかったのが実情である。
【0007】
従来プレコートフィン材の成形性を向上させるための方法としては、例えば特開平4−198287号、特開平5−311123号、特公平1−21785号あるいは特公平2−25692号に示されるように、親水性塗膜の表面の潤滑性を良好にする方向で検討がなされていた。しかしながら低粘度の揮発性プレス油を用いて従来のプレコートフィン材を成形した場合、塗膜表面の動摩擦係数が低くて潤滑性が良好である場合でも、成形時に前述のような成形欠陥が発生することが判明している。この点について本発明者等が種々検討を重ねた結果、成形性には塗膜表面の潤滑性だけではなく、塗膜と下地との密着性が大きな影響を与えていることが判明した。すなわち、低粘度の揮発性プレス油を用いて成形する場合、たとえ塗膜表面の動摩擦係数が低くても、塗膜と下地との密着性が悪ければ、成形中に塗膜が下地から剥離し、潤滑性に劣る下地(耐食性皮膜もしくはアルミニウム合金薄板表面)と成形用金型とが直接接触して、凝着(いわゆる焼き付き)が生じ、そのため前述のような座屈や割れ、飛び等の不具合が生じやすくなることが判明した。
【0008】
したがってプレコートフィン材の成形性を改善して、低粘度揮発性プレス油を用いた成形加工においても座屈や割れ、飛びなどの成形欠陥の発生を確実に防止するためには、プレコートフィン材における親水性塗膜と下地との密着性を向上させる必要がある。また下地に対する親水性塗膜の密着性を向上させれば、塗膜の耐水性も向上し、結果的に耐食性の向上に寄与する。
【0009】
しかしながら従来、下地に対する親水性塗膜の密着性改善策としては、例えば特開平4−32583号や特開平4−32585号などに示されているように、クロメート処理などの耐食性皮膜を形成する前の段階においてアルミニウム合金薄板の表面性状を改善するために、アルミニウム合金薄板をアルカリ洗浄したりエッチングしたりすることしか考えられておらず、これらの方策のみでは下地に対する親水性皮膜の密着性を充分に向上させることは困難であり、そのため低粘度の揮発性プレス油を用いての成形時に前述のような問題が発生していたのである。
【0010】
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、下地耐食性皮膜として特に塗布型クロメート皮膜を形成し、その塗布型クロメート皮膜上に親水性塗膜を形成する場合において、下地の塗布型クロメート皮膜を確実かつ安定して緻密化させて、親水性塗膜の密着性を確実かつ安定して向上させ、これによって低粘度の揮発性プレス油を用いて成形した場合においても優れた成形性を示し、かつまた耐食性にも優れた熱交換器用プレコートフィン材を確実に得ることができるプレコートフィン材製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、プレコートフィン材における種々の下地耐食性皮膜のうち、クロメート皮膜、とりわけ塗布型クロメート皮膜に注目し、親水性塗膜の密着性を高める方策について種々検討を重ねた結果、塗布型クロメート皮膜を形成する際の条件、特に塗布型クロメート液を塗布してからその焼付け乾燥のための加熱を開始するまでの時間、さらには塗布型クロメート液塗布時における液温や塗布後の焼付け乾燥のための昇温速度が、その塗布型クロメート皮膜上に形成される親水性塗膜の密着性に大きな影響を及ぼしていることを見出し、この発明をなすに至ったのである。
【0012】
具体的には、請求項1の発明は、アルミニウム合金からなる基材表面に塗布型クロメート液を塗布した後、焼付けて塗布型クロメート皮膜を形成し、その後塗布型クロメート皮膜表面に親水性塗膜を形成する熱交換器用プレコートフィン材の製造方法において、基材表面に塗布型クロメート液を塗布してから焼付けのための加熱を開始するまでの時間を0.5秒以上60秒以下に制御することを特徴とするものである。
【0013】
また請求項2の発明は、請求項1に記載の熱交換器用プレコートフィン材の製造方法において、基材表面に塗布型クロメート液を塗布するにあたって、その塗布時におけるクロメート液の温度を10℃以上、45℃以下に制御することを特徴とするものである。
【0014】
さらに請求項3の発明は、請求項1に記載の熱交換器用プレコートフィン材の製造方法において、塗布型クロメート液を基材表面に塗布した後、焼付けのための加熱を行なうにあたって、昇温速度を1℃/秒以上、75℃/秒以下に制御することを特徴とするものである。
【0015】
さらにこの発明について詳細に述べる。
【0016】
一般に塗布型クロメート処理としては、樹脂を含有するクロメート液(塗布型クロメート液)を用いて、アルミニウム合金基材上にロールコーターなどにより塗布し、その後焼付けて塗布型クロメート液中の樹脂を硬化させ、皮膜として固化させることが行なわれている。このような塗布型クロメート処理においては、基材上に塗布型クロメート液を塗布してから焼付けを行なうまでの時間は、従来一般には生産ラインの都合や生産性などの観点から適宜定められていた。
【0017】
ところで塗布型クロメート処理においても、塗布型クロメート液をアルミニウム合金基材表面に塗布した状態では、反応型クロメート処理の場合と同様に、アルミニウム合金表面で液中のCr6+イオンが少なくとも一部は還元されて、Cr3+の塩、酸化物、水酸化物が生成されると考えられるが、このような反応については従来の塗布型クロメート処理では単に当然生じるものと把握されていたに過ぎず、その反応を最適化すること、あるいはその反応と親水性塗膜の密着性との関係などについては充分な考慮がなされていなかったのが実情である。
【0018】
しかるに本発明者等が、塗布型クロメート処理におけるアルミニウム合金基材表面での反応に着目し、その反応と親水性塗膜の密着性との関係について実験・検討を重ねた結果、塗布型クロメート液をアルミニウム合金基材表面に塗布してから焼付けのための加熱を開始するまでの時間が前記反応に大きな影響を及ぼしており、その時間を適切に制御して前記反応を最適化することによって、緻密な塗布型クロメート皮膜を形成することができ、ひいてはその上に形成される親水性塗膜の密着性を向上させ得ることを見出した。また塗布型クロメート液の塗布から焼付けのための加熱開始までの時間のみならず、塗布時における塗布型クロメート液の温度、さらには焼付けのための加熱時の昇温速度も前記同様な影響を及ぼし、それらを最適化することにより親水性塗膜の密着性を向上させ得ることを見出したのである。
【0019】
ここで、塗布型クロメート液をアルミニウム合金基材表面に塗布してから、その塗布型クロメート液を焼付けるまでの間は、塗布型クロメート液は液体状態のままアルミニウム合金基材表面に保持されることになり、その間に塗布型クロメート液とアルミニウム合金基材との反応が進行する。すなわち、アルミニウム合金基材表面層のAlが溶解されてAl3+イオンが生じ、このAl3+イオンによって塗布型クロメート液中のCr6+が還元されて、新たにCr3+の塩または酸化物もしくは水酸化物が生成される。そしてこのようなCr3+の塩、酸化物、水酸化物が充分に生成されたクロメート皮膜は、極めて緻密な構造となり、そのため基材に対するクロメート皮膜の密着性およびクロメート皮膜上に形成される親水性塗膜のクロメート皮膜および基材表面に対する密着性が極めて良好となり、また同時に水分が透過しにくくなるため、耐食性向上にも寄与する。したがって塗布型クロメート液を基材表面に塗布してから、液体状態のまま保持される時間、すなわち焼付けのための加熱を開始するまでの時間をある程度以上確保することにより、前述の反応を充分に進行させてCr3+の塩、酸化物、水酸化物を充分に生成させることにより、クロメート皮膜を充分に緻密化し、塗膜密着性および耐食性を確実かつ安定して向上させることができるのである。
【0020】
塗布型クロメート液を基材表面に塗布してから、焼付けのための加熱を開始する時間が0.5秒未満の場合はクロメート液とAlとの反応が不充分となり、Cr6+イオンの還元反応が充分に進まず、塗膜密着性および耐食性の向上効果が充分に得られない。またこの場合Cr溶出量が増加して耐環境性が低下する。一方、塗布してから焼付けのための加熱開始までの時間が60秒を越えればライン長が長くなり過ぎて実用的ではない。したがって塗布型クロメート液を塗布してから焼付けのための加熱を開始するまでの時間は0.5秒以上60秒以下に制御する必要がある。
【0021】
また、塗布型クロメート液を基材に塗布する際における塗布型クロメート液の温度(液温)も前述のような反応の進行に影響を与える。すなわち、塗布型クロメート液の液温が低過ぎる場合は、基材のAlとの反応性が低下し、一方液温が高過ぎる場合には反応が進み過ぎてアルミニウム化合物が生成されてしまうから、Cr3+の塩、酸化物、水酸化物を充分に生成させて緻密なクロメート皮膜を形成させるためには、塗布時の液温を適切に規制する必要がある。
【0022】
塗布型クロメート液の塗布時の液温が10℃未満の場合には、基材のAlと塗布型クロメート液との反応性が低く、Cr6+イオンの還元反応が充分に進まず、そのため塗膜密着性および耐食性の向上効果が充分に得られず、さらにはCr溶出量が増加して耐環境性が低下する。一方塗布型クロメート液の塗布時の液温が45℃を越える場合は、基材Alとの反応が進み過ぎてアルミニウム化合物が生成されてしまい、そのアルミニウム化合物がクロメート皮膜中に異物として残り、皮膜の均一性が低下して、塗膜密着性、耐食性が逆に低下してしまう。したがって塗布型クロメート液塗布時の液温は10℃以上、45℃以下に制御する。
【0023】
さらに、塗布型クロメート液を基材表面に塗布した後、焼付けのために加熱するにあたっての昇温速度も前述のような反応の進行に影響を与える。すなわち、焼付け時に急速加熱すれば、溶媒である水の蒸発速度が大きくなり過ぎ、塗布型クロメート液が液体状態のまま基材上に存在する時間が短くなるため、Cr6+の還元反応が充分に進まないことがあるから、焼付け時の昇温速度も適切に規制する必要がある。
【0024】
すなわち、焼付けのための加熱時における昇温速度が75℃/秒を越える場合は、塗布型クロメート液が急速に乾いてCr6+を還元させるための反応時間が充分に得られず、そのため塗膜密着性、耐食性の向上効果が充分に得られず、さらに極端な場合は、クロメート液に突沸現象が生じてクロメート皮膜が不均一となり、その結果塗膜密着性、耐食性が一層低下してしまう。一方、昇温速度が1℃/秒未満の場合は、焼付けのための炉の長さが長くなり過ぎるとともに生産性が低下するから、実用的ではない。したがって焼付けのための加熱時における昇温速度は1℃/秒以上、75℃/秒以下とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
この発明の製造方法で基材となるアルミニウム合金薄板は、要は従来から熱交換器用フィン材として使用されているものであれば良く、特に限定されるものではない。すなわち、JIS規格の1100合金、1050合金、1N30合金等の純アルミニウム系合金、あるいは2017合金、2024合金等のAl−Cu系合金、また3003合金、3004合金等のAl−Mn系合金、5052合金、5083合金等のAl−Mg系合金、さらには6061合金等のAl−Mg−Si系合金などを用いることができる。またアルミニウム合金基材の形状は、要は薄板であれば良く、シートあるいはコイルのいずれでも良い。
【0026】
この発明の方法を実施するにあたっては、上述のようなアルミニウム合金基材(薄板)に対して、脱脂、水洗、乾燥を行なった後、塗布型クロメート液を塗布し、その後焼付けのための加熱を行なって基材上で皮膜として固化させる。
【0027】
ここで、塗布型クロメート液の種類、組成は特に限定されるものではなく、要は少なくともCr6+イオンと、固化のための樹脂を含有していれば良く、一般に市販されているものを適宜使用することができる。また塗布方法としても従来と同様にロールコーターなどによって塗布すれば良い。さらに、塗布型クロメート液の塗布量も特に限定されるものではないが、通常は金属Cr量にして3〜100mg/m2 の範囲内とすることが好ましい。Cr量が3mg/m2 未満では充分な耐食性が得られず、一方100mg/m2 をこえれば経済性を損なうだけである。ここで、塗布型クロメート液の塗布時の液温は、既に述べたように10〜45℃の範囲内とし、さらに塗布後は焼付けのための加熱開始までの間に0.5秒〜60秒保持することは前述の通りである。焼付けのための加熱は、従来と同様の焼付け炉によって行なえば良い。この際、昇温速度を1〜75℃/秒の範囲内とすることは既に述べた通りである。また焼付けのための加熱温度は特に限定されないが、通常は150℃±50℃、より好ましくは150℃±30℃の範囲内とすることが適当である。
【0028】
以上のようにして塗布型クロメート液を焼付け、乾燥させてクロメート皮膜を形成した後には、その皮膜上に親水性塗膜を形成する。この親水性塗膜は、親水性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば水ガラスまたはコロイダルシリカ等を主体とする無機系塗料でも良く、あるいは無機系塗料とアクリル、ポリビニルアルコール等の樹脂との混合塗料であっても良く、さらにはこれらにジルコニウム酸等の金属架橋剤が添加されていても良い。そのほか親水性を有する有機系塗料でも良く、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂や、アクリルアミド、アクリル酸あるいはアクリルエステル等のアクリル系樹脂、さらにはこれらの2種以上の混合物、共重合体であっても良い。またこれらの基材樹脂は、自己架橋型のものであっても良く、必要に応じてヘキサブチロールメラミン、ヘキサブトキシメラミン等のメラミン化合物や、エポキシ基を有する化合物、ブチロール基を付加させた尿素あるいはイソシアネート基を有する化合物などの硬化剤が添加されていても良い。
【0029】
なおこれらの親水性塗膜の塗膜量および塗膜の焼付け条件等は、塗料の特性および焼付け炉の特性、さらに製品の使用目的に合せて適宜設定すれば良い。
【0030】
【実施例】
実施例1
基材として厚さ0.110mmのJIS3003相当のアルミニウム合金薄板を用意し、これを脱脂処理後、水洗、乾燥を行なった。その後、市販の塗布型クロメート液(日本ペイント製;SAT427)を使用し、液温25℃に保持して、塗布から焼付け開始までの時間を種々変化させ、ロールコーターにより塗布した。焼付け乾燥のための加熱は、15℃/秒の昇温速度で150℃になるまで行なった。塗布量は、金属Cr量にして20mg/m2 となるように調整した。焼付け乾燥後の塗布型クロメート皮膜上に親水性塗膜塗料として市販の水ガラス系塗料(日本ペイント製SAT131)を塗布し、200℃で20秒焼き付けて、プレコートフィン材を得た。親水性塗膜塗布量はSi換算で200mg/m2 とした。
【0031】
また前記と同様に塗布型クロメート塗料を塗布、焼付け乾燥して形成された塗布型クロメート皮膜上に親水性塗膜塗料としてアクリル系親水性有機樹脂を塗布し、260℃で10秒焼付けし、プレコートフィン材を得た。塗膜量は、1.0g/m2 とした。
【0032】
得られた各プレコートフィン材に対し以下に示す試験を行なった。
【0033】
密着性:3.16mmφの鋼球を用いて100gfの荷重を加えながら、無潤滑状態で塗膜表面を摺動させ、焼付き発生までの回数を調べた。評価基準は次の通りである。
15回以上=○
10回以上15回未満=△
10回未満=×
【0034】
耐食性:塩水噴霧試験を1000時間実施した。評価基準は次の通りである。
良好(腐食面積0.25%以下)=○
やや不良(腐食面積0.25〜2.5%)=△
不良(腐食面積2.5%以上)=×
【0035】
成形性:揮発性プレス油(出光興産製ダフニーパンチオイルAF2A)を使用し、実機フィンプレスで成形した。評価基準は次の通りである。
良好=○
不良(カラー部内面にキズ発生、塗膜剥離発生)=△
不可(カラー部の割れ、飛び、座屈発生)=×
【0036】
以上の各試験結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003694853
【0038】
表1から明らかなように、塗布型クロメート液を塗布してから焼付け開始までの保持時間が0.5〜60秒の範囲内の実施例1−1〜1−12により得られたプレコートフィン材では、親水性塗膜として水ガラス系、アクリル系のいずれを使用した場合でも、塗膜の密着性が良好であり、そのため成形性が良好であり、かつ耐食性も良好であった。これに対し塗布型クロメート液を塗布してから焼付け開始までの保持時間が0.5秒未満の比較例1−1〜1−4の場合は、塗膜の密着性が劣り、成形性も劣るとともに耐食性も劣っていた。また塗布型クロメート液を塗布してから焼付け開始までの時間が60秒を越える比較例1−5,1−6の場合は、塗膜性能には問題はないものの、焼付け時間が長過ぎるためライン長も長くなり過ぎて実用的でない。
【0039】
実施例2
塗布型クロメート液を塗布するにあたって、液温を種々変化させて塗布し、塗布から焼付け開始までの時間を15秒で一定とした点以外は、実施例1と同様にしてプレコートフィン材を作成した。得られたプレコートフィン材について、実施例1と同様な試験を行なった。その結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
Figure 0003694853
【0041】
表2から明らかなように、塗布型クロメート液を塗布する際の塗布型クロメート液の液温を10〜45℃の範囲内とした実施例2−1〜2−12により得られプレコートフィン材は、親水性塗膜として水ガラス系、アクリル系のいずれを用いた場合でも、塗膜の密着性が良好となり、そのため成形性が良好であり、かつ耐食性も良好であった。これに対し塗布時の塗布型クロメート液の液温を10℃未満の低温とした比較例2−1,2−2により得られたプレコートフィン材は、塗膜の密着性に劣り、そのため成形性が不良好となるとともに、耐食性も不良となった。また塗布時の塗布型クロメート液の液温が45℃を越えた比較例2−2〜2−6の場合も塗膜の密着性が悪くなり、成形性および耐食性が劣ってしまった。
【0042】
実施例3
塗布型クロメート液を塗布するにあたって、液温を一定の25℃に保持し、かつ塗布から焼付け開始までの時間を15秒で一定とし、焼付け乾燥のための昇温速度を種々変化させた点以外は、実施例1と同様にしてプレコートフィン材を作成した。得られたプレコートフィン材について、実施例1と同様な試験を行なった。その結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
Figure 0003694853
【0044】
表3から明らかなように、焼付け乾燥時の昇温速度を1〜75℃/秒の範囲内とした実施例3−1〜3−12により得られたプレコートフィン材は、親水性塗膜として水ガラス系、アクリル系のいずれを用いた場合でも、塗膜の密着性が良好となり、そのため成形性が良好となり、また耐食性も良好となった。これに対し焼付け乾燥時の昇温速度が1℃/秒未満の比較例3−1,3−2により得られたプレコートフィン材の場合は、塗膜性能には問題はないが、焼付け時間が長過ぎるためライン長も長くなり過ぎて、実用的でない。また焼付け乾燥時の昇温速度が75℃/秒を越える比較例3−3,3−4により得られたプレコートフィン材の場合も、塗膜の密着性が劣り、そのため成形性が悪く、また耐食性も劣っていた。
【0045】
【発明の効果】
前述の実施例からも明らかなように、請求項1の発明の熱交換器用プレコートフィン材の製造方法によれば、アルミニウム合金基材表面に塗布型クロメート液を塗布した後、焼付けて塗布型クロメート皮膜を形成し、その後塗布型クロメート皮膜表面に親水性塗膜を形成するにあたり、基材表面に塗布型クロメートを塗布してから焼付けのための加熱を開始するまでの時間を0.5秒以上60秒以下に制御することによって、プレコートフィン材における塗膜の密着性を確実かつ安定して向上させることができ、そのためプレコートフィン材の成形性を確実かつ安定して改善して、特に低粘度の揮発性プレス油を用いて成形加工を行なう場合でも、カラー部などにおける座屈や割れ、飛び等の成形欠陥を発生することなく、安定して良品に成形することができ、また耐食性も確実かつ安定して向上させることができる。
【0046】
さらに請求項2の発明の熱交換器用プレコートフィン材の製造方法によれば、請求項1の発明と同様に塗布型クロメート液を塗布してから焼付けのための加熱を開始するまでの時間を0.5秒以上60秒以下に制御すると同時に、基材表面に塗布型クロメート液を塗布するにあたって、その塗布時におけるクロメート液の温度を10℃以上、45℃以下に制御することによって、プレコートフィン材における塗膜の密着性をより確実かつ安定して向上させ、プレコートフィン材の成形性、耐食性を、より一層確実に向上させることができる。
【0047】
そしてまた請求項3の発明の熱交換器用プレコートフィン材の製造方法によれば、請求項1の発明と同様に塗布型クロメート液を塗布してから焼付けのための加熱を開始するための時間を0.5秒以上、60秒以下に制御すると同時に、塗布型クロメート液を基材表面に塗布した後、焼付けのための加熱を行なうにあたって、昇温速度を1℃/秒以上、75℃/秒以下に制御することによってプレコートフィン材における塗膜の密着性をより確実かつ安定して向上させ、プレコートフィン材の成形性、耐食性を、より一層確実に向上させることができる。

Claims (3)

  1. アルミニウム合金からなる基材表面に塗布型クロメート液を塗布した後、焼付けて塗布型クロメート皮膜を形成し、その後塗布型クロメート皮膜表面に親水性塗膜を形成する熱交換器用プレコートフィン材の製造方法において、
    基材表面に塗布型クロメート液を塗布してから焼付けのための加熱を開始するまでの時間を0.5秒以上60秒以下に制御することを特徴とする、熱交換器用プレコートフィン材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の熱交換器用プレコートフィン材の製造方法において;
    基材表面に塗布型クロメート液を塗布するにあたって、その塗布時におけるクロメート液の温度を10℃以上、45℃以下に制御することを特徴とする、熱交換器用プレコートフィン材の製造方法。
  3. 請求項1に記載の熱交換器用プレコートフィン材の製造方法において;
    塗布型クロメート液を基材表面に塗布した後、焼付けのための加熱を行なうにあたって、昇温速度を1℃/秒以上、75℃/秒以下に制御することを特徴とする、熱交換器用プレコートフィン材の製造方法。
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