JP3671339B2 - 熱交換器用プレコートフィン材の製造方法 - Google Patents

熱交換器用プレコートフィン材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はルームエアコン等の熱交換器に使用されるアルミニウム合金製プレコートフィン材の製造方法に関し、特に基材であるアルミニウム合金薄板の表面に塗布型クロメート皮膜を形成し、さらにその皮膜上に有機無機複合塗料からなる親水性塗膜を形成することによりプレコートフィン材を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にルームエアコンやカーエアコン等に使用される熱交換器には、軽量でかつ加工性、熱伝導性に優れたアルミニウム合金製フィン材が従来から広く使用されている。一方近年、ルームエアコンやカーエアコン等については、そのコンパクト化、省エネルギ化が強く望まれるようになり、それに伴なって熱交換効率をより一層向上させることが強く望まれている。そしてこのような要請に応えるための熱交換器の構造的な方策として、ルーバーを立ち起こしたり、フィンとフィンとの間隔、すなわち熱媒体物質としての空気が流通する部分の間隔を狭くすることが従来から行なわれている。ところがこのようにフィン間隔を狭くした場合、フィン表面の親水性を高めることが必要となる。すなわち、フィン表面の親水性が不充分であれば、冷房運転時に空気中の水分の結露により生じたフィン表面の水滴がフィン間にブリッジを形成して、フィン間を通過する空気に対する通風抵抗が増大し、そのため逆に熱交換効率を低下させてしまい、また水が通風とともに外部へ飛び出してしまう不都合も生じ、さらにはフィン表面の水が長期間滞留してフィン材の腐食が進行してしまう問題もある。一方フィン表面の親水性が良好であれば、フィン表面に結露により生じた水滴のフィン表面に対する接触角が小さくなる結果、水滴はフィン間でブリッジを形成することなく、フィン表面で拡がって水膜となり、速やかに流下するため、通風抵抗も大きくならず、また通風によって水滴が外部へ飛び出してしまうことも少なく、さらにはフィン表面での水の滞留時間も短くなるため腐食の進行も回避して結果的に耐食性を向上させることができる。
【0003】
そこで従来からフィン表面の親水性を向上させるため、フィン材表面に種々の親水性処理を施すことが行なわれている。そしてこの場合、フィン材の基材であるアルミニウム合金薄板の表面に、下地処理としてクロメート処理やベイマイト処理などを行なって耐食性皮膜(下地皮膜)を形成した後、その耐食性皮膜上に親水性処理として水ガラスやコロイダルシリカなどの無機系塗料あるいは各種の有機系塗料、さらには有機無機複合塗料などを塗布して焼付け乾燥し、親水性塗膜を形成することが広く行なわれている。
【0004】
ところでアルミニウム合金製フィン材を用いてルームエアコン等の熱交換器を組立てるにあたっては、従来はフィン用アルミニウム合金薄板をフィン形状に成形して組立て、その後に下地耐食性皮膜の形成や親水性塗膜形成を行なう方式、すなわちポストコート方式が一般的であったが、最近では主として生産性向上の観点から、成形加工前のフィン用アルミニウム合金薄板の表面に予め下地耐食性皮膜の形成や親水性塗膜の形成を行なっておき、その後にフィン形状に成形して組立てる方式、すなわちプレコート方式を適用することが多くなっている。そして後者のプレコート方式の場合、フィン材(すなわちプレコートフィン材)には、下地耐食性皮膜や親水性塗膜が形成された状態での成形性が良好であることが要求される。
【0005】
一方最近では、生産性向上や環境保護等の観点から、フィン材の成形加工時に低粘度で揮発性の高いプレス油を用い、プレス成形後は従来の如きトリクロロエチレンやアルカリ性脱脂剤による脱脂工程を省いて、加熱乾燥のみを行なうことが多くなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のようにアルミニウム合金薄板に予め下地耐食性皮膜および親水性塗膜を形成したプレコートフィン材を成形するにあたっては、成形性が良好であることが望まれるが、特に低粘度の揮発性プレス油を用いて成形する場合は、より一層成形性が優れていることが望まれる。しかしながら、従来一般のプレコートフィン材では、低粘度の揮発性プレス油を用いて成形した場合、成形時にカラー部での座屈や割れ、飛び等の成形欠陥が発生することが多く、その意味で成形性が良好とは言えなかったのが実情である。
【0007】
従来プレコートフィン材の成形性を向上させるための方法としては、例えば特開平4−198287号、特開平5−311123号、特公平1−21785号あるいは特公平2−25692号に示されるように、親水性塗膜の表面の潤滑性を良好にする方向で検討がなされていた。しかしながら低粘度の揮発性プレス油を用いて従来のプレコートフィン材を成形した場合、塗膜表面の動摩擦係数が低くて潤滑性が良好である場合でも、成形時に前述のような成形欠陥が発生することが判明している。この点について本発明者等が種々検討を重ねた結果、成形性には塗膜表面の潤滑性だけではなく、塗膜と下地との密着性が大きな影響を与えていることが判明した。すなわち、低粘度の揮発性プレス油を用いて成形する場合、たとえ塗膜表面の動摩擦係数が低くても、塗膜と下地との密着性が悪ければ、成形中に塗膜が下地から剥離し、潤滑性に劣る下地(耐食性皮膜もしくはアルミニウム合金薄板表面)と成形用金型とが直接接触して、凝着(いわゆる焼き付き)が生じ、そのため前述のような座屈や割れ、飛び等の不具合が生じやすくなることが判明した。
【0008】
したがってプレコートフィン材の成形性を改善して、低粘度揮発性プレス油を用いた成形加工においても座屈や割れ、飛びなどの成形欠陥の発生を確実に防止するためには、プレコートフィン材における親水性塗膜と下地との密着性を向上させる必要がある。また下地に対する親水性塗膜の密着性を向上させれば、塗膜の耐水性も向上し、結果的に耐食性の向上に寄与する。
【0009】
ところで下地耐食性皮膜上に塗布される親水性塗膜としては、前述のように無機系塗料、有機系塗料、有機無機複合塗料があるが、最近ではこれらのうちでも特にケイ酸もしくはケイ酸塩と有機樹脂とを含む有機無機複合塗料を用いることが多くなっている。そしてこのような有機無機複合塗料としては、ケイ酸もしくはケイ酸塩と有機樹脂のほか、さらに水溶性潤滑樹脂、界面活性剤、および架橋剤を添加混合したものを用いるのが一般的である。
【0010】
上述のような有機無機複合塗料を用いて下地耐食性皮膜上に親水性塗膜を形成するにあたっては、先ず水に前述のような各成分を添加し、撹拌・混合して塗料浴を形成し(すなわちいわゆる“建浴”を行ない)、その後下地耐食性皮膜上に塗布し、さらに焼付けを行なう必要があるが、従来は建浴方法やその後の塗布、焼付けのプロセスについては、必ずしも充分な検討がなされていたとは言えなかったのが実情である。
【0011】
すなわち従来は、建浴に関しては混合時の温度やその後の保持温度については若干の検討がなされ、また焼付け温度についても検討がなされているが、建浴時における各成分の混合順序(添加順序)や、それぞれの成分添加後の撹拌時間、液温の上限、建浴から塗装終了までの時間、さらには詳細な焼付けヒートパターン等については充分な検討がなされていなかった。しかるに本発明者等がこれらの条件について詳細な実験・検討を繰返した結果、建浴時の各成分の添加順序、撹拌時間、液温、建浴から塗装終了までの時間、詳細な焼付けヒートパターン等も塗膜の性能や品質に重大な影響を与えることを見出したのである。
【0012】
すなわち、上述のような建浴時の各成分添加順序等の条件が不適切であれば、塗装時における塗料の成分が不均一となったり、ケイ酸もしくはケイ酸塩の塗料浴中での析出や、塗料の固化に伴なう塗装欠陥発生等の不都合を招くことが判明した。そしてその結果、ムラや塗布抜けなどの塗装外観不良、あるいは凝集したケイ酸もしくはケイ酸塩の塗膜表面からの脱離によるセメント臭などの臭気発生、また凝集したケイ酸もしくはケイ酸塩による金型摩耗、成形傷の発生、潤滑成分の不均一による潤滑不良などの成形不良、さらには塗料成分の不均一による局部的な水濡れ性不良などの親水性不良などの不都合が発生していたのである。
【0013】
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、下地耐食性皮膜として予め塗布型クロメート皮膜を形成し、その後塗布型クロメート皮膜表面に、親水性塗料として、ケイ酸もしくはケイ酸塩と有機樹脂とを含む有機無機複合塗料を塗布して焼付け、これによって親水性塗膜を形成するにあたり、前述の諸問題を解決し、親水性塗膜の密着性を確実かつ安定して向上させて低粘度の揮発性プレス油を用いた場合でも成形性、潤滑性を安定して向上させ、かつ親水性、親水持続性が良好であり、さらに塗膜外観も良好でまた臭気発生も少ない親水性塗膜を形成し得ることを見出し、この発明をなすに至ったのである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、塗布型クロメート皮膜上に親水性塗料としてケイ酸もしくはケイ酸塩と有機樹脂とを含む有機無機複合塗料を塗布して焼付けるにあたって、有機無機複合塗料の建浴条件、特に有機無機複合塗料を構成する各成分の添加順序や撹拌時間、液温、および建浴から塗装終了までの時間、さらには焼付けのための詳細なパターン条件等を厳密に規定することによって、前述の諸問題を解決し得ることを見出し、この発明をなすに至った。
【0015】
具体的には、請求項1の発明は、予めアルミニウム合金基材表面に塗布型クロメート皮膜を形成しておき、その塗布型クロメート皮膜表面にケイ酸もしくはケイ酸塩と有機樹脂とを含有する有機無機複合塗料を塗布して焼付けることにより、塗布型クロメート皮膜上に親水性を有する有機無機複合皮膜を形成する熱交換器用プレコートフィン材の製造方法において、有機無機複合塗料を建浴するにあたり、有機無機複合塗料を構成すべき各成分をそれぞれ20〜25℃の範囲内の温度で保持しながら、先ず水に水溶性潤滑樹脂を添加し、次いで界面活性剤を添加した後、有機樹脂を添加し、その後架橋剤を添加してからケイ酸もしくはケイ酸塩を添加し、かつこれらの各成分を添加する毎にそれぞれ5〜10分間撹拌することによって、有機無機複合塗料を建浴し、その後も有機無機複合塗料の温度を20〜25℃の範囲内に保持しながら、全成分の添加混合の終了から10時間以内に塗布型クロメート皮膜上に塗布・焼付けを行ない、しかもその塗布・焼付けにあたって、塗布直前のアルミニウム合金基材の温度を15〜25℃の範囲内に保持するとともに、塗布後焼付け開始までの時間を1〜60秒の範囲内とし、さらに焼付け開始からアルミニウム合金基材の温度が100℃になるまでの時間を3〜7秒の範囲内となるようにして塗布・焼付けを行なうことを特徴とするものである。
【0016】
また請求項2の発明は、予めアルミニウム合金基材表面に塗布型クロメート皮膜を形成しておき、その塗布型クロメート皮膜表面にケイ酸もしくはケイ酸塩と有機樹脂とを含有する有機無機複合塗料を塗布して焼付けることにより、塗布型クロメート皮膜上に親水性を有する有機無機複合皮膜を形成する熱交換器用プレコートフィン材の製造方法において、有機無機複合塗料を建浴するにあたり、有機無機複合塗料を構成すべき各成分をそれぞれ20〜25℃の範囲内の温度で保持しながら、先ず水に水溶性潤滑樹脂を添加し、次いで有機樹脂を添加した後、界面活性剤を添加し、その後架橋剤を添加してからケイ酸もしくはケイ酸塩を添加し、かつこれらの各成分を添加する毎にそれぞれ5〜10分間撹拌することによって、有機無機複合塗料を建浴し、その後も有機無機複合塗料の温度を20〜25℃の範囲内に保持しながら、全成分の添加混合の終了から10時間以内に塗布型クロメート皮膜上に塗布・焼付けを行ない、しかもその塗布・焼付けにあたって、塗布直前のアルミニウム合金基材の温度を15〜25℃の範囲内に保持するとともに、塗布後焼付け開始までの時間を1〜60秒の範囲内とし、さらに焼付け開始からアルミニウム合金基材の温度が100℃になるまでの時間を3〜7秒の範囲内となるようにして塗布・焼付けを行なうことを特徴とするものである。
【0017】
このように請求項1、請求項2の発明の熱交換器用プレコートフィン材の製造方法では、予めアルミニウム合金基材表面に塗布型クロメート皮膜を形成しておき、その後にケイ酸もしくはケイ酸塩と有機樹脂とを含有する有機無機複合塗料を塗布して焼付け、塗布型クロメート皮膜上に親水性塗膜としての有機無機複合皮膜を形成することを前提としている。そして有機無機複合塗料の建浴条件(A)として、建浴時における各成分の保持温度(A−1)、各成分の添加順序(A−2)、各成分添加ごとの撹拌時間(A−3)、建浴から塗布までの浴の保持温度(A−4)、建浴終了から塗布・焼付け終了までの時間(A−5)の各条件を次のように規定し、さらに有機無機複合塗料の塗布・焼付け条件(B)として、塗布直前におけるアルミニウム合金基材温度(B−1)、塗布後焼付け開始までの時間(B−2)、焼付け開始からアルミニウム合金基材温度が100℃に達するまでの時間(B−3)の各条件を規定している。
A:建浴条件
A−1;各成分の保持温度20〜25℃
A−2;各成分の添加順序
[請求項1] 水→水溶性潤滑樹脂→有機樹脂→界面活性剤→架橋剤→ケイ酸もしくはケイ酸塩
[請求項2] 水→水溶性潤滑樹脂→界面活性剤→有機樹脂→架橋剤→ケイ酸もしくはケイ酸塩
A−3;各成分添加時の撹拌時間 5〜10分
A−4;建浴から塗布までの浴の保持温度 20〜25℃
A−5;建浴終了から塗布・焼付け終了までの時間 10時間以内
B:塗布・焼付け条件
B−1;塗布時の基材温度 15〜25℃
B−2;塗布後焼付け開始までの時間 1〜60秒
B−3;焼付け開始から基材温度が100℃に達するまでの時間 3〜7秒
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明の方法を実施するにあたっては、予めアルミニウム合金基材の薄板に塗布型クロメート皮膜を形成しておく。ここで、基材となるアルミニウム合金薄板は、要は従来から熱交換器用フィン材として使用されているものであれば良く、特に限定されるものではない。すなわち、JIS規格の1100合金、1050合金、1N30合金等の純アルミニウム系合金、あるいは2017合金、2024合金等のAl−Cu系合金、また3003合金、3004合金等のAl−Mn系合金、5052合金、5083合金等のAl−Mg系合金、さらには6061合金等のAl−Mg−Si系合金などを用いることができる。またアルミニウム合金基材の形状は、要は薄板であれば良く、シートあるいはコイルのいずれでも良い。
【0019】
このようなアルミニウム合金基材(薄板)に対しては、脱脂、水洗、乾燥を行なった後、塗布型クロメート液を塗布し、その後焼付けのための加熱を行なって基材上で皮膜として固化させる。
【0020】
ここで、塗布型クロメート液の種類、組成は特に限定されるものではなく、要は少なくともCr6+イオンと、固化のための樹脂を含有していれば良く、一般に市販されているものを適宜使用することができる。また塗布方法としても従来と同様にロールコーターなどによって塗布すれば良い。さらに、塗布型クロメート液の塗布量も特に限定されるものではないが、通常は金属Cr量にして3〜100mg/m2 の範囲内とすることが好ましい。
【0021】
上述のようにして形成された塗布型クロメート皮膜表面に有機無機複合塗料を塗布するにあたっては、その塗布前に有機無機複合塗料の各成分を溶媒としての水に順次添加して撹拌し、塗料浴を建浴する。ここで、有機無機複合塗料の成分としては、溶媒としての水と、塗膜の主体となるべきケイ酸もしくはケイ酸塩および有機樹脂のほか、水溶性潤滑樹脂、界面活性剤、および架橋剤を添加するのが一般的である。
【0022】
そしてこれらの各成分を溶媒としての水に添加混合して建浴するにあたって、各成分の温度を前述のように20〜25℃に保持する必要があり、また建浴後の塗料も20〜25℃の範囲内に保持する必要がある。このような各成分および塗料の保持温度の限定理由は次の通りである。
【0023】
すなわち20℃未満の場合には、有機無機複合塗料の成分である水溶性潤滑樹脂や有機樹脂等の粘度が高くなるため、添加混合がやりにくくなり、各成分の混合が不充分となって、塗膜の密着性が悪くなるおそれがあり、さらに建浴後の塗料の粘度も高くなるため、塗装の際のローピングに伴なって塗装筋が発生するなど、塗装が難しくなり、また塗装焼付け後の塗膜が白化しやすいといった不都合が発生する。なお塗膜の白化は、塗装焼付け後に水溶性潤滑樹脂が塗膜最表面に充分に浮き出なくなるために発生する。
【0024】
一方25℃を越える場合には、有機無機複合塗料の建浴中および建浴後にコーターパン等からの水分蒸発による成分濃縮が激しくなって成分濃度が増加してしまうおそれがあり、また塗料液中の樹脂と架橋剤の架橋反応が進みやすくなり、これらの理由によって塗料粘度の経時変化が激しくなり、短時間のうちに粘度が急激に増加してしまって、塗料の寿命が極端に短くなる。またその結果、塗料の建浴頻度を多くせざるを得ず、生産性が低下する。また上述のように塗料粘度の変化が大きいため、均一な厚みで塗装するためには塗装条件を連続的に変化させなければならず、例えばロールコーターで塗装する場合にはギャップ調整を連続的に変化させなければならないなどの面倒が生じる。
【0025】
また、有機無機複合塗料を建浴するにあたっての各成分の添加混合順序、すなわち建浴順序としては、請求項1で規定するように、[水]→[水溶性潤滑樹脂]→[有機樹脂]→[界面活性剤]→[架橋剤]→[ケイ酸もしくはケイ酸塩]の順とするか、または請求項2で規定するように、[水]→[水溶性潤滑樹脂]→[界面活性剤]→[有機樹脂]→[架橋剤]→[ケイ酸もしくはケイ酸塩]の順とする必要がある。このように建浴順序を定めた理由は次の通りである。
【0026】
すなわち、ケイ酸もしくはケイ酸塩、界面活性剤、水溶性潤滑樹脂、有機樹脂、架橋剤は溶媒である水を含めて塗料液中で複雑な凝集物を形成する。この凝集物は各成分を混合する順序を変えることにより、その構造が大きく変化し、またその凝集物の構造変化によりその性質も変化を起こすと推測される。その結果混合順序が不適切であれば、有機無機複合塗料の性状が変化してしまって、塗装焼付け後の塗膜においてケイ酸もしくはケイ酸塩の析出不足、潤滑成分の析出不足、塗膜白化等の不都合が発生する。
【0027】
水溶性潤滑樹脂については、最初に溶媒である水に添加混合し、その後各成分の添加を行なうのが適切である。これは、水および水溶性潤滑樹脂の粘度が他の成分と比較して低いため、水溶性潤滑樹脂を水中に均一に分散させることが容易であること、またこれらの2成分を混合した液中へその他の各成分の添加を行なえば、各成分添加時の粘度の増加を緩和することができるから、各成分を均一に混合することが容易となるためである。
【0028】
界面活性剤と有機樹脂の添加順序は、いずれが先でも構わない。一方架橋剤は界面活性剤の添加よりも後に添加することが適当である。これは、有機樹脂に架橋剤を添加すれば、有機樹脂の架橋反応が生じて粘度が急激に増加するから、架橋剤の添加後に界面活性剤を添加した場合には、界面活性剤の分散が不充分となってしまい、またそのため塗料液中で形成される凝集物の構造が大きく変化してしまって、塗料の性状が異なったものとなってしまうからである。
【0029】
また架橋剤と有機樹脂の添加順序についても、架橋剤の添加は有機樹脂の添加よりも後に行なうことが適当である。すなわち、架橋剤は有機樹脂の架橋反応を行なうために添加するものであるが、既に述べたように有機樹脂の添加よりも前に水溶性潤滑樹脂が添加されており、この状態で、仮に有機樹脂より前に架橋剤を添加したとすれば、水溶性潤滑樹脂に架橋剤が配位してしまうことがある。このような反応が生じた場合には、塗料浴中での水溶性潤滑樹脂の分散が不充分となり、その結果塗膜の潤滑性が悪くなって、フィンの成形不良などの不具合が生じてしまう。一方有機樹脂と水溶性潤滑樹脂が混在している液中に金属架橋剤を添加した場合には、架橋剤は有機樹脂と優先的に配位するため、上述のような問題の発生を避けることができる。したがって架橋剤は有機樹脂の後に添加することが適切である。
【0030】
ケイ酸もしくはケイ酸塩は最後に添加することが適当である。これは、水にケイ酸もしくはケイ酸塩を添加した後に他の成分を添加すれば、混合途中の塗料液中でケイ酸もしくはケイ酸塩の析出を生じやすく、そのため焼付け後の塗膜上にケイ酸が凝集した白点が発生する等の不都合を生じるからである。
【0031】
次に、建浴時においては、各成分を添加するごとに5〜10分撹拌することが必要である。その理由は次の通りである。
【0032】
すなわち、撹拌時間が5分未満の場合には、撹拌が不充分となって、各成分が均一に混合されていない塗料となってしまい、そのため塗膜密着性不足、塗膜白化等の不都合が発生する。一方撹拌時間が10分を越える場合には、撹拌の効果が飽和し、また塗料の建浴時間が長くかかることになって、生産性が低下してしまう。
【0033】
以上のように各成分を添加混合して塗料浴を建浴した後には、10時間以内に塗装焼付けを完了することが適当である。すなわち、建浴終了後も塗料粘度は次第に増加するから、建浴終了後に長時間経過した塗料を用いて塗装焼付けした場合には、塗料の粘度が高いために塗装の際のローピングに伴なって塗装筋が発生するなど、塗装性が悪化し、さらに粘度が増加すれば、遂には塗料がゲル化してしまって、塗装不能となってしまう。建浴後10時間以内であれば、このような不都合を招くおそれが少ない。
【0034】
さらに塗布直前におけるアルミニウム合金基材の温度は、15〜25℃の範囲内とする必要がある。その理由は次の通りである。
【0035】
すなわち、塗布直前の基材温度が15℃未満の場合には、基材上に塗布された塗料が冷却されてしまい、そのため塗料成分が不均一化し、その結果塗布面にムラが生じたり、塗膜焼付け後に潤滑成分が充分に分離せずに塗膜が白化したりするおそれがある。一方塗布時の基材温度が25℃を越える場合には、基材上に塗布された塗料が加温されてしまい、そのため塗料中の溶媒である水分の蒸発が速くなって、塗料粘度が急速に増加し、その結果塗料液が平坦になる前に固化が始まってしまい、焼付け後の塗膜面に畳目状の凹凸を生じたり、塗膜厚が不均一になったりするおそれがある。
【0036】
さらに塗料を塗布した後、焼付け開始までの時間(タクトタイム)は1〜60秒、好ましくは2〜15秒とすることが適当である。その理由は次の通りである。
【0037】
タクトタイムが1秒未満の場合には、基材上に塗布された塗料が流れて平滑化するための時間が足りず、平滑となる前に固化が始まってしまい、その結果焼付け後の塗膜面に畳目状の凹凸を生じたり、塗膜厚が不均一になったりするおそれがある。一方タクトタイムを60秒を越えて長くしても効果は変わらず、ライン長を伸ばすだけになってしまい、コスト高となってしまう。したがってタクトタイムは1〜60秒の範囲内、好ましくは2〜15秒とする。
【0038】
さらに塗料塗布後の焼付け時の昇温については、焼付け開始時すなわち材料を焼付け炉に入れた時点から基材温度が100℃に達するまでの時間が3〜7秒の間となるように制御する必要がある。すなわち、焼付けのための昇温の間、塗料は液体の状態を保ちながらも沸点近くまで加熱されるが、この間に塗料は塗布型クロメート皮膜表面と反応し、この反応によって有機無機複合皮膜と塗布型クロメート皮膜とが強固に密着した層を形成するため、塗膜密着性が向上する。ここで、基材温度が100℃に達するまでの時間が3秒未満では反応時間が充分ではないため、強固に密着した層の形成が不充分となり、充分な塗膜密着性が得られない。一方基材温度が100℃に達するまでの時間を7秒を越えて長くしても、それ以上効果は変わらず、ライン長を伸ばすだけになってしまい、コスト高となってしまう。したがって基材温度が100℃に達するまでの時間は3〜7秒の範囲内とした。
【0039】
なお建浴後の有機無機複合塗料を塗布型クロメート皮膜上に塗布して焼付ける際の焼付け温度(到達温度)およびその温度での保持時間は特に限定するものではないが、通常は200〜300℃で3〜15秒とすれば良い。
【0040】
さらに、この発明の方法において使用される有機無機複合塗料の主成分である有機樹脂、ケイ酸もしくはケイ酸塩の具体的種類は特に検定されるものではなく、従来から親水性塗膜に使用されているものを用いることができ、例えば有機樹脂としてはアクリル樹脂、ポリビニルアルコール等を用いることができ、またケイ酸としてはコロイダルシリカ等、さらにケイ酸塩としては水ガラス等を用いることができる。一方水溶性潤滑樹脂としては例えばポリエチレングリコール等のポリエーテルを用いることができ、さらに界面活性剤としてはカルボン酸塩、スルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤あるいはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を用いることができ、そしてまた架橋剤としてはエポキシ架橋剤、ウレタン架橋剤、メラミン架橋剤あるいは炭酸ジルコニウム等の金属架橋剤等を用いることができる。
【0041】
また有機無機複合塗料を構成する各成分の配合割合も特に限定されるものではないが、一般的には固形分を2〜10%とし、固形分中の各成分を下記のような配合比とすれば良い。但し固形分とは有機無機複合塗料中に含まれる塗料成分の量、すなわち
固形分(%)=(塗料成分/(塗料成分+水分))×100
で表わされる量である。
[固形分中の各成分の配合比]
有機樹脂100重量部に対して:
ケイ酸もしくはケイ酸塩 100〜350重量部
水溶性潤滑樹脂 200〜350重量部
界面活性剤 15〜 55重量部
架橋剤 15〜 45重量部
【0042】
【実施例】
実施例1
基材として厚さ0.110mmのJIS 3003相当のアルミニウム合金薄板を用意し、これに脱脂処理を施した後、水洗、乾燥を行なった。その後塗布型クロメート液(日本ペイント製:SAT247)を基材表面に塗布し、焼付け乾燥を行なった。ここで、塗布型クロメート液の塗布時の液温は25℃、塗布から焼付け開始までの時間は15秒とし、さらに焼付け乾燥を15℃/秒の昇温速度で焼付け乾燥温度150℃に達するまで行なった。なお塗布型クロメート液の塗布量は、Cr量が20mg/m2 となるように調整した。このようにして基材表面に塗布型クロメート皮膜を形成した後、その塗布型クロメート皮膜上に有機無機複合塗料を塗布した。この有機無機複合塗料の建浴条件および塗布・焼付け条件は次のように定めた。
【0043】
有機無機複合塗料の建浴時の液温は表1の実施例1−1,1−2、比較例1−1〜1−3に示すように種々変化させた。なお各例において、有機無機複合塗料を構成する各成分の保持温度、および塗料建浴後の保持温度も、表1に示した各例の液温と実質的に等しいものとした。また各成分の添加順序は、[水]→[水溶性潤滑樹脂]→[有機樹脂]→[界面活性剤]→[架橋剤]→[ケイ酸塩]の順とし、各成分の添加ごとに10分の撹拌を行なった。
【0044】
一方塗布直前の基材の温度は20℃に保持し、塗布後焼付け開始までの時間(タクトタイム)は15秒とし、さらに焼付け開始から基材温度が100℃に達するまでの時間は5秒とした。なお有機無機複合塗料の建浴後、塗装終了までの時間はいずれも3時間であった。また有機無機複合塗料の固形分は4%とし、固形分中の各成分の種類および配合割合は次の通りである。
Figure 0003671339
【0045】
得られた塗装板に対して、以下に示す試験を行なった。
密着性試験
塗膜面にツメを垂直に強くあて、2cmの長さに同一個所を2往復摺擦する。次に隣接する部分を同様に摺擦する。これを幅3cmとなるまで行ない、摺擦した部分の外観を目視により判定した。判定基準は次の通りである。
○:外観に変化無し
△:塗膜面にキズが入る
×:塗膜が剥離する
塗膜白化性試験
純水40μlを塗膜上に滴下し、指で35φの円を描くように50回摺擦し、乾燥後の塗膜の白化状態を目視により判定した。判定基準は次の通りである。
○:白化無し
△:弱い白化
×:白化
塗膜外観評価
塗膜表面1dm2 の範囲内の塗装筋ムラの数を目視により判定した。判定基準は次の通りである。
○:0個
△:1〜5個
×:6個以上
【0046】
これらの試験結果を表1中に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003671339
【0048】
表1に示されるように、建浴時の有機無機複合塗料の各成分の温度および建浴後の塗料の保持温度を含めて、有機無機複合塗料の温度が20〜25℃の範囲内にある実施例1−1,1−2の場合は、塗膜の密着性が良好でかつ塗膜白化もなく、さらに塗装外観も良好であった。これに対し比較例1−1,1−2は液温が低かった例であり、この場合は各性能がいずれも劣っていた。また比較例1−3は液温が高過ぎた例であるが、この場合は密着性が若干劣り、また塗装外観が劣っていた。
【0049】
実施例2
有機無機複合塗料の温度を、建浴時の各成分の保持温度および建浴後の保持温度を含めて22℃で一定とし、また建浴時における各成分の添加順序を表2の実施例2−1,2−2、比較例2−1,2−2に示すように種々異ならしめた点以外は、実施例1と同様に実施した。得られた塗装板について、実施例1と同様な試験を行なったところ、表2に示す結果が得られた。
【0050】
【表2】
Figure 0003671339
【0051】
表2から明らかなように、有機無機複合塗料の建浴にあたって、[水→水溶性潤滑樹脂→有機樹脂→界面活性剤→架橋剤→ケイ酸塩]の添加順序とした実施例2−1、および[水→水溶性潤滑樹脂→界面活性剤→有機樹脂→架橋剤→ケイ酸塩]の添加順序とした実施例2−2では、塗膜の密着性が良好でかつ塗膜白化もなく、さらには塗膜外観も良好であることが判明した。これに対し[水→ケイ酸塩→有機樹脂→界面活性剤→架橋剤→水溶性潤滑樹脂]の添加順序とした比較例2−1、および[水→水溶性潤滑樹脂→ケイ酸塩→架橋剤→界面活性剤→有機樹脂]の添加順序とした比較例2−2では、塗膜の密着性が劣るとともに塗膜白化が生じ、また塗装外観も劣っていた。
【0052】
実施例3
有機無機複合塗料の温度を、建浴時の各成分の保持温度および建浴後の保持温度を含めて22℃で一定とし、建浴するにあたっての各成分の添加後の撹拌時間を表3の実施例3−1,3−2、比較例3−1,3−2に示すように種々変化させた点以外は、実施例1と同様に実施した。得られた塗装板について、実施例1と同様な試験を行なったところ、表3中に示す結果が得られた。
【0053】
【表3】
Figure 0003671339
【0054】
表3から明らかなように、有機無機複合塗料の建浴にあたって、各成分添加後の撹拌時間を5〜10分の範囲内とした実施例3−1,3−2では、塗膜の密着性が優れるとともに、塗膜の白化もなく、さらに塗膜の外観も優れていることが判明した。これに対し撹拌時間が5分に満たない比較例3−1,3−2では、塗膜白化が生じていしまい、また塗膜の密着性も劣っていた。
【0055】
実施例4
有機無機複合塗料の温度を、建浴時の各成分の保持温度および建浴後の保持温度を含めて22℃で一定とし、建浴後の有機無機複合塗料を塗布型クロメート皮膜上に塗布する直前の基材の温度を、表4の実施例4−1,4−2、比較例4−1〜4−3に示すように種々異ならしめた点以外は、実施例1と同様に実施した。得られた塗装板について、実施例1と同様な試験を行なったところ、表4中に示す結果が得られた。
【0056】
【表4】
Figure 0003671339
【0057】
表4から明らかなように、有機無機複合塗料塗布直前の基材温度を15〜25℃の範囲内とした実施例4−1,4−2の場合は、塗膜の密着性が優れるとともに塗膜の白化もなく、また塗装外観も良好であった。これに対し有機無機複合塗料塗布時の基材温度を15℃未満とした比較例4−1,4−2および25℃を越える高温とした比較例4−3では、いずれも塗装外観に劣り、また塗膜密着性に劣るとともに、塗膜の白化も生じてしまった。
【0058】
実施例5
有機無機複合塗料の温度を、建浴時の各成分の保持温度および建浴後の保持温度を含めて22℃で一定とし、建浴後の有機無機複合塗料を塗布型クロメート皮膜上に塗布した後、焼付けを開始するまでの時間(タクトタイム)を、表5の実施例5−1〜5−3、比較例5−1に示すように種々異ならしめた点以外は、実施例1と同様に実施した。得られた塗装板について、実施例1と同様な試験を行なったところ、表5中に示す結果が得られた。
【0059】
【表5】
Figure 0003671339
【0060】
表5から明らかなように、有機無機複合塗料塗布後焼付け開始までのタクトタイムを1〜60秒の範囲内とした実施例5−1〜5−3の場合は、いずれも塗膜の密着性が優れるとともに塗膜の白化もなく、また塗装外観も良好であった。これに対しタクトタイムが0.4秒と短かった比較例5−1では、塗膜密着性および塗装外観が劣り、また塗膜の白化も生じてしまった。
【0061】
実施例6
有機無機複合塗料の温度を、建浴時の各成分の保持温度および建浴後の保持温度を含めて22℃で一定とし、建浴後の有機無機複合塗料を塗布型クロメート皮膜上に塗布してから焼付けを行なうにあたり、焼付け開始から基材温度が100℃に達するまでの昇温時間を、表6の実施例6−1,6−2、比較例6−1,6−2に示すように種々異ならしめた点以外は、実施例1と同様に実施した。得られた塗装板について、実施例1と同様な試験を行なったところ、表6中に示す結果が得られた。
【0062】
【表6】
Figure 0003671339
【0063】
表6から明らかなように、有機無機複合塗料の焼付け時における100℃までの昇温時間を3〜7秒の範囲内とした実施例6−1,6−2の場合は、塗膜の密着性が優れるとともに塗膜の白化もなく、また塗装外観も良好であった。これに対し焼付け時における昇温時間を3秒未満とした比較例6−1,6−2では、いずれも塗膜密着性、塗装外観に劣り、また塗膜の白化も生じてしまった。
【0064】
【発明の効果】
この発明の熱交換器用プレコートフィン材の製造方法によれば、下地耐食性皮膜として予め塗布型クロメート皮膜を形成し、その後塗布型クロメート皮膜表面に、親水性塗料として、ケイ酸もしくはケイ酸塩と有機樹脂とを含む有機無機複合塗料を塗布して焼付け、これによって親水性塗膜を形成するにあたり、親水性塗膜である有機無機複合皮膜の下地に対する密着性を確実かつ安定して向上させて、低粘度の揮発性プレス油を用いた場合でも成形性、潤滑性を安定して向上させることができ、また親水性、親水持続性を良好であってかつまた塗膜外観も良好でさらに臭気発生も少ない親水性塗膜を形成することができる。

Claims (2)

  1. 予めアルミニウム合金基材表面に塗布型クロメート皮膜を形成しておき、その塗布型クロメート皮膜表面にケイ酸もしくはケイ酸塩と有機樹脂とを含有する有機無機複合塗料を塗布して焼付けることにより、塗布型クロメート皮膜上に親水性を有する有機無機複合皮膜を形成する熱交換器用プレコートフィン材の製造方法において、
    有機無機複合塗料を建浴するにあたり、有機無機複合塗料を構成すべき各成分をそれぞれ20〜25℃の範囲内の温度で保持しながら、先ず水に水溶性潤滑樹脂を添加し、次いで界面活性剤を添加した後、有機樹脂を添加し、その後架橋剤を添加してからケイ酸もしくはケイ酸塩を添加し、かつこれらの各成分を添加する毎にそれぞれ5〜10分間撹拌することによって、有機無機複合塗料を建浴し、その後も有機無機複合塗料の温度を20〜25℃の範囲内に保持しながら、全成分の添加混合の終了から10時間以内に塗布型クロメート皮膜上に塗布・焼付けを行ない、しかもその塗布・焼付けにあたって、塗布直前のアルミニウム合金基材の温度を15〜25℃の範囲内に保持するとともに、塗布後焼付け開始までの時間を1〜60秒の範囲内とし、さらに焼付け開始からアルミニウム合金基材の温度が100℃になるまでの時間を3〜7秒の範囲内となるようにして塗布・焼付けを行なうことを特徴とする、熱交換器用プレコートフィン材の製造方法。
  2. 予めアルミニウム合金基材表面に塗布型クロメート皮膜を形成しておき、その塗布型クロメート皮膜表面にケイ酸もしくはケイ酸塩と有機樹脂とを含有する有機無機複合塗料を塗布して焼付けることにより、塗布型クロメート皮膜上に親水性を有する有機無機複合皮膜を形成する熱交換器用プレコートフィン材の製造方法において、
    有機無機複合塗料を建浴するにあたり、有機無機複合塗料を構成すべき各成分をそれぞれ20〜25℃の範囲内の温度で保持しながら、先ず水に水溶性潤滑樹脂を添加し、次いで有機樹脂を添加した後、界面活性剤を添加し、その後架橋剤を添加してからケイ酸もしくはケイ酸塩を添加し、かつこれらの各成分を添加する毎にそれぞれ5〜10分間撹拌することによって、有機無機複合塗料を建浴し、その後も有機無機複合塗料の温度を20〜25℃の範囲内に保持しながら、全成分の添加混合の終了から10時間以内に塗布型クロメート皮膜上に塗布・焼付けを行ない、しかもその塗布・焼付けにあたって、塗布直前のアルミニウム合金基材の温度を15〜25℃の範囲内に保持するとともに、塗布後焼付け開始までの時間を1〜60秒の範囲内とし、さらに焼付け開始からアルミニウム合金基材の温度が100℃になるまでの時間を3〜7秒の範囲内となるようにして塗布・焼付けを行なうことを特徴とする、熱交換器用プレコートフィン材の製造方法。
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