JP2005023411A - 表面処理アルミニウム材及びアルミニウム成形体 - Google Patents

表面処理アルミニウム材及びアルミニウム成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2005023411A
JP2005023411A JP2003270530A JP2003270530A JP2005023411A JP 2005023411 A JP2005023411 A JP 2005023411A JP 2003270530 A JP2003270530 A JP 2003270530A JP 2003270530 A JP2003270530 A JP 2003270530A JP 2005023411 A JP2005023411 A JP 2005023411A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum material
corrosion resistance
aluminum
coating layer
treated aluminum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003270530A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4176581B2 (ja
Inventor
Keitaro Yamaguchi
恵太郎 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MA Aluminum Corp
Original Assignee
Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Aluminum Co Ltd filed Critical Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Priority to JP2003270530A priority Critical patent/JP4176581B2/ja
Publication of JP2005023411A publication Critical patent/JP2005023411A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4176581B2 publication Critical patent/JP4176581B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】 耐食性に優れ、好ましくは強度の加工が施され、また強腐食環境で使用される表面処理アルミニウム材を提供する。
【解決手段】 本発明の表面処理アルミニウム材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材の表面に形成された陽極酸化皮膜からなる下地層と、該下地層表面に形成されたシランカップリング剤を含む塗布層とを備え、前記下地層の表面に形成された塗布層に、珪酸塩、リン酸塩のうち1種以上が含まれる構成とされている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面処理アルミニウム材及びアルミニウム成形体に関するものである。
電機部品外筐、エアコンフィン材、自動車や航空機等の構造体や建材パネル等に用いられているアルミニウム成形体には、従来より、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、この金属基材の表面に形成された陽極酸化皮膜(いわゆるアルマイト酸化皮膜)からなる下地層とを有する表面処理アルミニウム材が用いられている。
この陽極酸化皮膜は、基本的にはアルミニウム板の表面部分に形成される無孔質のバリア層の上に、多孔質層を成長させて形成される。通常このような多孔質陽極酸化皮膜の有孔率(空孔率)は、60〜70%程度である。この有孔率(空孔率)は、陽極酸化皮膜の表面を観察した場合に、穴の空いている面積を全面積で除算した値である。
本発明者は、係る多孔質陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材の、耐食性、ガス放出性、アルミ基材に対する密着性を改善する目的で、前記有孔率が5%未満とされた無孔質陽極酸化皮膜を得る技術について研究開発を進め、その成果を下記特許文献1〜4等において開示している。
特開平5−25694号公報 特開平8−283991号公報 特開平8−283990号公報 特開平9−184093号公報
上記無孔質陽極酸化皮膜を形成した表面処理アルミニウム材は、腐食性物質のアルミ基材への到達を抑制する高いバリヤ効果により、優れた耐食性を得られるものであった。ところが、近年耐食性に対する要求は益々高くなり、無孔質陽極酸化皮膜による表面処理では十分に要求を満たせない場合が考えられるようになってきた。
例えば、熱交換器に用いるフィン材では、絞りやしごき等の強度の加工が施されるため、表面の無孔質陽極酸化皮膜がダメージを受けやすく、また新建材等から放出される各種の薬品等が循環して付着し、従来には見られなかった腐食を生じさせる場合がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、耐食性に優れ、好ましくは強度の加工が施され、また強腐食環境で使用されるアルミニウム成形体の構成材として好適に用いることができる表面処理アルミニウム材を提供することを目的とする。
また本発明は、耐食性に優れるアルミニウム成形体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を検討した結果、表面処理アルミニウム材の腐食が、陽極酸化皮膜表面の水酸基(−OH)を起点とする水和反応に起因することを見出した。そして、係る知見に基づき鋭意検討した結果、陽極酸化皮膜表面にシランカップリング剤を塗布することで表面処理アルミニウム材の耐食性を大きく向上できることを見出し、金属基材上に有孔率30%以下の陽極酸化皮膜からなる下地層を有し、この陽極酸化皮膜表面にシランカップリング剤が塗布された表面処理アルミニウム材について、特願2001−183357号にて特許出願している。
上記特許出願に係る表面処理アルミニウム材では、陽極酸化皮膜表面の水酸基と、シランカップリング剤の官能基とが結合されることで、水酸基を起点とする腐食を効果的に防止することができた。しかしながら、本発明者が表面処理アルミニウム材の耐食性を検証したところ、より強い腐食環境に上記表面処理アルミニウム材を曝した場合に、下地層上にシランカップリング剤を塗布したものであっても腐食が生じることが分かった。そこで本発明者は、陽極酸化皮膜表面にシランカップリング剤が塗布された表面処理アルミニウム材における耐食性をさらに向上させるために鋭意検討を重ね、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材の表面に形成された陽極酸化皮膜からなる下地層と、該下地層表面に形成された塗布層とを備え、前記下地層の表面に形成された塗布層に、珪酸塩、リン酸塩のうち1種以上が含まれることを特徴とする表面処理アルミニウム材を提供する。
本発明の表面処理アルミニウム材は、上記陽極酸化皮膜からなる下地層表面に形成される塗布層に、珪酸塩及び/又はリン酸塩が含まれる点に特徴を有している。この構成によれば、シランカップリング剤のシラノール基(−Si−OH)が、陽極酸化皮膜の水酸基(−OH)と脱水反応してシロキサン結合(Al−O−Si)を形成することにより、陽極酸化皮膜表面における水和反応の進行を抑制するのに加え、シランカップリング剤に含まれる珪酸塩やリン酸塩の−SiO、−POと、上記陽極酸化皮膜の水酸基とが同様に結合を形成するので、シランカップリング剤を塗布したものよりもさらに優れた耐食性を得られるようになる。
本発明の表面処理アルミニウム材においては、前記下地層の陽極酸化皮膜の厚さが60nm〜800nmとされ、有孔率が20%以下とされることが好ましい。
上記有孔率が20%を越える場合、若しくは陽極酸化皮膜の厚さが60nm未満の場合には、腐食性物質が陽極酸化皮膜を透過して金属基材まで到達しやすくなるため、良好な耐食性を得にくくなる。また、厚さが800nmを越えると、陽極酸化皮膜を形成するための電解処理において皮膜が多孔質化し易くなり、逆に耐食性が低下する場合がある。また有孔率を20%以下にするのが困難になる。
尚、より良好な耐食性を得るためには、前記陽極酸化皮膜の有孔率は5%以下とすることが好ましい。
本発明の表面処理アルミニウム材においては、前記シランカップリング剤の塗布量が、0.1g/m〜5g/mとされることが好ましい。
前記塗布量が、0.1g/m未満では、表面処理アルミニウム材の耐食性を向上させる効果を十分に得られない。また、5g/mを越える塗布量としても耐食性を向上させる効果はほとんど変わらず、製造コストが増加する。上記塗布量のより好ましい範囲としては0.5g/m以上、2g/m以下である。
本発明の表面処理アルミニウム材においては、前記塗布層における珪酸塩及びリン酸塩の含有量が、0.1%〜20%とされることが好ましい。
前記珪酸塩やリン酸塩の含有量が0.1%未満の場合には、耐食性を向上させる効果を十分に得ることができない。また、20%を越える含有量としても耐食性を向上させる効果はほとんど変わらず、製造コストが増加する。さらに、珪酸塩やリン酸塩を過大な含有量とすると、これらが塗布層表面に粉状に析出して外観不良となることがある。上記の珪酸塩やリン酸塩の含有量のより好ましい範囲は、0.5%以上、10%以下である。
本発明の表面処理アルミニウム材は、前記塗布層の表面に、塗装が施されていてもよい。 前記塗布層上にさらに塗装を施すことで、アルミニウム材の耐食性をさらに良好なものとすることができる。
次に、本発明のアルミニウム成形体は、先に記載の本発明の表面処理アルミニウム材を成形加工してなることを特徴とする。係る成形体としては、例えば、電機部品外筐、エアコンフィン材、自動車や航空機等の構造体や建材パネル、アルミニウムの2ピース缶等が挙げられる。本発明によれば、耐食性、対汚れ性、及び接着性に優れたアルミニウム成形体とすることができる。
尚、上記成形体への成形加工は、金属基材に表面処理を施す前、又は表面処理の途中で行ってもよいが、全ての表面処理を終了した後に成形加工を行う方が、多量の基材に対して一括に表面処理を行える点で好ましい。
以上、詳細に説明したように、本発明の表面処理アルミニウム材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材の表面に形成された陽極酸化皮膜からなる下地層と、該下地層表面に形成された塗布層とを備え、前記下地層の表面に形成された塗布層に、珪酸塩、リン酸塩のうち1種以上が含まれる構成とされたことで、塗布層に含まれる珪酸塩、リン酸塩の作用により陽極酸化皮膜表面の水酸基を起点とする腐食を効果的に抑制することができ、もって陽極酸化皮膜上にシランカップリング剤を塗布したものよりさらに優れた耐食性を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本発明に係る表面処理アルミニウム材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、この金属記載の表面に形成された陽極酸化皮膜と、この陽極酸化皮膜の表面に形成された塗布層とを備えた構成を基本構成とするものである。
上記金属基材としては、純アルミニウム、純アルミニウム系のJIS1000系合金、Al-Cu系のJIS2000系合金、Al-Mn系のJIS3000系合金、Al-Si系のJIS4000系合金、Al-Mg系のJIS5000系合金、Al-Mg-Si系のJIS6000系合金、Al-Zn-Mg系のJIS7000系合金等、その用途に応じて適宜選択して使用することができる。例えば、建材パネル等にはJIS5000系合金、内外装板、装飾部品、銘板等にはJIS1000系合金、建築、装飾品等にはJIS6000系合金、フィン材等にはJIS3000合金が好適に採用できる。
また、前記金属基材としては、これらの合金等に溶体化処理、時効処理等の種々の調質処理を施したものも用いることができ、これらの合金の各種圧延板のほか、クラッド材も使用することができる。
前記下地層は、金属基材表面を陽極酸化処理することで形成される。この陽極酸化処理は、金属基材を構成するアルミニウム又はアルミニウム合金を電解液に浸漬して陽極処理を行うことで表面に基材の酸化皮膜を形成するものである。
本発明に係る表面処理アルミニウム材における下地層は、上記陽極酸化処理を後述する方法により形成することができ、形成方法を適切に選択することによりその有孔率が20%以下となるように調製されることが好ましい。この有孔率は、陽極酸化皮膜表面の測定領域において孔の形成されている部分の面積を前記測定領域の面積で除した値(すなわち、有孔率=孔の面積/測定領域面積)である。有孔率が20%を越えると、腐食性物質が陽極酸化皮膜を透過して金属基材に到達し易くなるため、良好な耐食性が得られにくくなる。
前記下地層の層厚は、60nm以上800nm以下とすることが好ましい。層厚60nm未満では、腐食性物質を遮断する機能が十分に作用せず、所望の耐食性が得られにくい。また、層厚800nmを越える陽極酸化皮膜は、電解処理の際に多孔質化し易く、皮膜の有孔率が30%程度以上となって多孔質化すると耐食性が低下するため好ましくない。
上記塗布層は、シランカップリング剤を主体とし、珪酸塩、リン酸塩のいずれか又は両方を含む層とされる。具体的には、シランカップリング剤の水溶液に、所定量の珪酸塩、リン酸塩を添加したものを前記下地層上に塗布することで形成することができる。
シランカップリング剤は、分子中に2個以上の反応基を有する有機ケイ素単量体を指し、これらの反応基には、無機質(ガラス、金属など)と化学結合する反応基と、有機材料(各種合成樹脂)と化学結合する反応基とが含まれる。このシランカップリング剤の反応基としては、特に限定はないが、無機質と化学結合する反応基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、シラノール基などが挙げられ、有機質と化学結合する反応基としては、例えばビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、ウレイド基などが挙げられる。
本発明に係る塗布層では、珪酸塩やリン酸塩が含有されていることで、下地層表面の水酸基とシランカップリング剤や珪酸塩、リン酸塩の反応基とが反応して結合され、腐食基点となりうる陽極酸化皮膜の水酸基を安定化させることができ、もって極めて良好な耐食性を得られるようになっている。
上記塗布層に含まれる珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸アンモニウム、珪酸リチウムなどを例示することができ、これらのうちでも、珪酸ナトリウムが耐食性の向上効果が大きく好ましい。また、リン酸塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸アルミニウム等を例示することができ、これらのうちでも、リン酸二水素アンモニウムが耐食性の向上効果が大きく好ましい。
上記塗布層に含まれる珪酸塩、リン酸塩の含有量は、0.1%以上、20%以下の範囲とすることが好ましい。
前記珪酸塩やリン酸塩の含有量が0.1%未満の場合には、耐食性を向上させる効果を十分に得ることができない。また、20%を越える含有量としても耐食性を向上させる効果はほとんど変わらず、製造コストが増加する。さらに、珪酸塩やリン酸塩を過大な含有量とすると、これらが塗布層表面に粉状に析出して外観不良となることがある。上記珪酸塩やリン酸塩の含有量は、0.5%以上10%以下とすることがより好ましく、このような範囲とすることで、優れた耐食性が得られ、かつ外観不良の生じにくい表面処理アルミニウム材とすることができる。
上記塗布層におけるシランカップリング剤の塗布量は、0.1g/m以上、5g/m以下の範囲とすることが好ましい。前記塗布量が0.1g/m未満では、塗布層を設けることによる耐食性の向上効果を十分に得られず、5g/mを越える塗布量としても耐食性の向上効果はほとんど変わらず、むしろ成形加工時に塗布層の凝集破壊が生じやすくなり、塗布層と下地層との密着性が低下する場合がある。
また、シランカップリング剤の塗布量は、0.5g/m以上、2g/m以下とすることがより好ましく、このような範囲とすることで、良好な耐食性が得られ、かつ成形加工による不具合が生じにくい表面処理アルミニウム材とすることができる。
上記塗布層上にはさらに塗装を施すこともでき、耐食性のさらなる向上を図ることもできる。本発明に係る表面処理アルミニウム材への塗装は、特に限定されないが、例えば、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂等が耐食性の点で好適である。
また、上記塗布層又は塗装膜上にさらに別の層を設けることもでき、この構成により種々の用途に柔軟に対応することができる。塗布層上には、例えばポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂等の有機樹脂フィルムの層、TiO、ZnO、SnO、SrTiO、WO、Fe等を用いた光触媒層、発色層、耐食性皮膜、耐摩耗性皮膜、導電膜等を、1又は複数層形成することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム材は、プレス加工、絞り加工、しごき加工等の塑性加工により必要な形状に加工して種々の目的に使用されるアルミニウム成形体とすることができる。例えば、電機部品外筐、エアコンフィン材、自動車や航空機の構造体や建材パネル、アルミニウムの2ピース缶等を挙げることができる。
次に、本発明に係る表面処理アルミニウム材の製造方法について説明する。
本発明の表面処理アルミニウム材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材の表面を電解処理することにより陽極酸化皮膜を形成し、この陽極酸化皮膜の表面に、珪酸塩、リン酸塩のいずれか又は両方を含むシランカップリング剤を塗布することにより製造することができる。
上記陽極酸化皮膜としては、有孔率が20%以下であることが好ましく、このような陽極酸化皮膜を形成するには、陽極酸化皮膜が多孔質化する前の段階で電解を停止して、所定の平坦性を有する陽極酸化皮膜を得るのがよい。
ここで用いる電解液としては、硼酸、硼酸塩、リン酸塩、アジピン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、硫酸等を含む溶液が好ましく用いられ、これらの溶液を用いることにより上記有孔率の調製が比較的容易なものとなる。また、これらの溶液を複数組み合わせて用いることもできる。
これらの電解液を用いて上記アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材を陽極酸化すると、電解の初期段階において無孔質のバリア層と称される陽極酸化皮膜が成長し、この無孔質の陽極酸化皮膜の成長が所定の段階まで進むと、この無孔質の皮膜上に多孔質層が急激に成長して多孔質の陽極酸化皮膜が形成される。ここで、多孔質の陽極酸化皮膜とは、無孔質の薄いバリア層の上に多孔質層が成長したものを意味する。
基材の陽極酸化を行う場合、形成された陽極酸化皮膜の膜厚(nm)が、硫酸を電解液として、電解電圧(V)×(14〜16)の値を越えると、陽極酸化皮膜が多孔質化し始めることが分かっている。よって、この電圧を基準として膜厚を制御するならば、多孔質化されず、有孔率の低い陽極酸化皮膜を比較的容易に形成することができる。
次に、上記工程にて基材表面に形成された陽極酸化皮膜上にシランカップリング剤を主体とし、珪酸塩、リン酸塩のいずれか又は両方を含む塗布層を形成する。この塗布層の形成に際しては、所定濃度に希釈されたシランカップリング剤の水溶液に、濃度を調製しながら珪酸塩、リン酸塩を添加して混合した塗布液を用意し、この塗布液をディッピング法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法等の周知の方法により塗布するのが良い。
上記塗布液の塗布後には、80〜250℃程度の熱処理を行う。熱処理の時間は、熱処理温度や、塗布層の状態に応じて適宜調製することができる。つまり、熱処理温度が高いほど処理時間を短く、熱処理温度が低いほど処理時間を長くすることが望ましい。本発明に係る塗布層の熱処理時間は数秒から5分程度であり、シランカップリング剤が熱劣化せず、かつ、先述したシランカップリング剤及び珪酸塩、リン酸塩の反応基と、陽極酸化皮膜の反応基との反応をスムーズに進行させるためには、120〜220℃で5〜60秒の熱処理が望ましい。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとするが、本発明の技術範囲は下記実施例に限定されるものではない。
表1に本発明の実施例及び比較例を示す。表1は種々の条件で下地層及び塗布層を形成した表面処理アルミニウム材について、それぞれ耐食性を評価した結果を示すものである。
Figure 2005023411
表1に示す各実施例及び比較例のアルミニウム材の製造方法は以下の通りである。
まず、アルミニウム基材として0.3mmまで圧延したA1100−H18アルミニウム板を用意した。次いで、この基材を界面活性剤を2%含み50℃に加温された脱脂液に60秒間浸漬した後30秒間水洗した。
そして、基材を50℃に加温された10%NaOH水溶液で30秒間エッチングした後30秒間水洗した。その後、10%NHO水溶液で30秒間洗浄し、30秒間水洗した。
次に、上記アルミニウム基材を、表1の電解条件に示す電解液に浸漬し、基材を陽極、対極にカーボン板を用いて1A/dmの直流で電解処理し、処理後10秒間水洗して、100℃で5分間乾燥させた。尚、電解液以外の電解条件も表1に示すように各々調整した。
ここで、上記電解処理により基材表面に形成された陽極酸化皮膜を10万倍の電子顕微鏡で20箇所観察し、観察領域内の表面に存在する孔の面積を、測定面積で除して有孔率を算出した。各々の有孔率の測定結果と、陽極酸化皮膜の膜厚を表1に示す。
次に、各々の試料について、表1に示す量の珪酸塩、リン酸塩を添加されたシランカップリング剤の水溶液を用意し、この溶液を所定の塗布量となるように上記陽極酸化皮膜の表面にバーコーターで塗布した。シランカップリング剤を塗布した基材について、直ちに150℃で30秒間の乾燥を行った。
次に、上記製造方法で得られた各試料について耐食性の評価を行った。評価結果は表1に併記している。
まず、JIS C0023の塩水噴霧試験法における試験槽温度のみを35℃から50℃に高温化した以外は上記試験法に準じて、50mm×100mmの試験片に対して1000時間の試験を行った。次いで塩水噴霧試験後のアルミニウム材表面の腐食状態を目視観察し、以下の評価基準に基づき判定した。
また、前記基材表面の陽極酸化皮膜の上に樹脂皮膜(ポリアミド樹脂55重量部とポリアクリル樹脂20重量部とポリアミドのナトリウム塩20重量部とノニオン系界面活性剤5重量部を混合した樹脂)を塗装により形成した試料についても同様の試験を行った。
腐食が全く見られない場合は◎印、試験片端部のみ僅かに腐食した場合は○印、全面積の20%以下の変色又は5%以下の腐食の場合は△印、全面積の20%を越える変色又は5%を越える腐食の場合は×印をそれぞれ表1に示した。
表1に示すように、本発明の実施例に係るアルミニウム材は塩水噴霧試験に耐える優れたものであった。これに対して比較例において、陽極酸化皮膜を形成していない比較例No.1,4の試料は耐食性に劣り、シランカップリング剤または添加塩を含んでいない試料においても耐食性に問題を生じた。
また、陽極酸化皮膜の厚さは60nm〜800nmの範囲がより好ましいが、このより好ましい範囲を外れたNo.8、9、10の各試料は他の実施例試料に比べて耐食性は若干低下し、より好ましい有孔率20%を超えるNo.9,10の試料においても耐食性は若干低下し、より好ましいシランカップリング剤塗布量0.1g/mを下回るNo.11の試料は耐食性が他の実施例よりも若干低下している。

Claims (6)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材の表面に形成された陽極酸化皮膜からなる下地層と、該下地層表面に形成されたシランカップリング剤を含む塗布層とを備え、
    前記下地層の表面に形成された塗布層に、珪酸塩、リン酸塩のうち1種以上が含まれることを特徴とする表面処理アルミニウム材。
  2. 前記下地層の陽極酸化皮膜の厚さが60nm〜800nmとされ、有孔率が20%以下とされたことを特徴とする請求項1に記載の表面処理アルミニウム材。
  3. 前記シランカップリング剤の塗布量が、0.1g/m〜5g/mの範囲とされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理アルミニウム材。
  4. 前記塗布層における珪酸塩及びリン酸塩の含有量が、0.1%〜20%の範囲とされたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表面処理アルミニウム材。
  5. 前記塗布層の表面に、塗装が施されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表面処理アルミニウム材。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の表面処理アルミニウム材を成形加工してなることを特徴とするアルミニウム成形体。

JP2003270530A 2003-07-02 2003-07-02 表面処理アルミニウム材及びアルミニウム成形体 Expired - Fee Related JP4176581B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003270530A JP4176581B2 (ja) 2003-07-02 2003-07-02 表面処理アルミニウム材及びアルミニウム成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003270530A JP4176581B2 (ja) 2003-07-02 2003-07-02 表面処理アルミニウム材及びアルミニウム成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005023411A true JP2005023411A (ja) 2005-01-27
JP4176581B2 JP4176581B2 (ja) 2008-11-05

Family

ID=34190459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003270530A Expired - Fee Related JP4176581B2 (ja) 2003-07-02 2003-07-02 表面処理アルミニウム材及びアルミニウム成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4176581B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008163433A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Mitsubishi Alum Co Ltd 表面処理アルミニウム材料の製造方法および表面処理アルミニウム材料の製造装置
JP2008163434A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Mitsubishi Alum Co Ltd 表面処理アルミニウム材料の製造方法および表面処理アルミニウム材料の製造装置
JP2008163435A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Mitsubishi Alum Co Ltd 表面処理アルミニウム材料の製造方法および表面処理アルミニウム材料の製造装置
CN104231913A (zh) * 2014-09-16 2014-12-24 天津千鑫有色金属制品有限公司 一种环保型铝合金压铸件表面处理剂及制备方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5724021B1 (ja) 2014-06-25 2015-05-27 アイシン軽金属株式会社 高耐アルカリ性アルミニウム部材及びその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008163433A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Mitsubishi Alum Co Ltd 表面処理アルミニウム材料の製造方法および表面処理アルミニウム材料の製造装置
JP2008163434A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Mitsubishi Alum Co Ltd 表面処理アルミニウム材料の製造方法および表面処理アルミニウム材料の製造装置
JP2008163435A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Mitsubishi Alum Co Ltd 表面処理アルミニウム材料の製造方法および表面処理アルミニウム材料の製造装置
CN104231913A (zh) * 2014-09-16 2014-12-24 天津千鑫有色金属制品有限公司 一种环保型铝合金压铸件表面处理剂及制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4176581B2 (ja) 2008-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104160070B (zh) 阳极氧化表面处理
US7732068B2 (en) Corrosion resistant aluminum alloy substrates and methods of producing the same
US10309029B2 (en) Method for forming a multi-layer anodic coating
JP5891243B2 (ja) 表面組織が緻密なマグネシウム合金およびその表面処理方法
US8309237B2 (en) Corrosion resistant aluminum alloy substrates and methods of producing the same
US20110284389A1 (en) Self cleaning aluminum alloy substrates
KR20090035891A (ko) 알루미늄 소재의 자가세정능 부여를 위한 표면 개질 방법
JP2002371381A (ja) 表面処理アルミニウム材及びその製造方法並びにアルミニウム成形体
JP2003342790A (ja) 表面処理アルミニウム材及び熱可塑性樹脂被覆アルミニウム材
JP4176581B2 (ja) 表面処理アルミニウム材及びアルミニウム成形体
JP2007314840A (ja) 親水性に優れたアルミニウム合金の表面処理方法
JP7298889B2 (ja) 複合化クロムめっき物品
JP2000239895A (ja) 撥水性に優れたアルミニウム表面処理材及びその製造方法
JP4522615B2 (ja) 表面処理アルミニウム材及びアルミニウム成形体
JP2008202118A (ja) 陽極酸化皮膜の改質方法
JP4722422B2 (ja) 表面処理アルミニウム材および熱交換器
JP3853702B2 (ja) 表面処理アルミニウム材の製造方法
JP6746363B2 (ja) アルミニウム塗装材およびその製造方法
JP4248818B2 (ja) 表面処理アルミニウム材料の製造方法
JP3816363B2 (ja) 耐食性に優れる表面処理アルミニウム材及びその製造方法
JP6695767B2 (ja) アルミニウム塗装材の製造方法
JP5086688B2 (ja) 表面処理アルミニウムの製造方法
WO2011071105A1 (ja) アルミニウム塗装材及びその製造方法
JP2008266664A (ja) 樹脂被覆用アルミニウム材及び樹脂被覆アルミニウム材、ならびに、これらの製造方法
JP3139838B2 (ja) クリア塗装用表面処理アルミニウム及びアルミニウム合金材料とその製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060322

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080108

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080310

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20080812

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080820

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110829

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110829

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120829

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees