JP2008202118A - 陽極酸化皮膜の改質方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の陽極酸化皮膜の改質方法は、二次電解法であり、電解設備や、処理設備に特別な工夫が必要で、治具にも一工夫が必要であった。
【解決手段】アルミニウムもしくはマグネシウムまたはその合金の表面に陽極酸化皮膜を形成し、水洗し、封孔せずに乾燥した後、水または有機溶剤に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩、または0.1μm以下の微粒子金属化合物を含有する処理液に接液し、該陽極酸化皮膜内に該処理液を含浸することによって処理液中の成分を陽極酸化皮膜表面に吸着もしくは析出させることを特徴とする陽極酸化皮膜の改質方法。
【選択図】なし
【解決手段】アルミニウムもしくはマグネシウムまたはその合金の表面に陽極酸化皮膜を形成し、水洗し、封孔せずに乾燥した後、水または有機溶剤に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩、または0.1μm以下の微粒子金属化合物を含有する処理液に接液し、該陽極酸化皮膜内に該処理液を含浸することによって処理液中の成分を陽極酸化皮膜表面に吸着もしくは析出させることを特徴とする陽極酸化皮膜の改質方法。
【選択図】なし
Description
本発明はアルミニウムもしくはマグネシウムまたはそれらの合金表面の陽極酸化皮膜を改質する方法に関するものである。
アルミニウムもしくはマグネシウムまたはそれらの合金は軽量で強度もあり取り扱いしやすい材料であるため、近時自動車、電子機器、建築、厨房材料などの広い分野で使用されている。しかし基本的には陽極酸化皮膜を設けているが、使用目的に応じて陽極酸化皮膜の改質が行われている。
陽極酸化皮膜を改質する方法を例示すれば、従来次のような方法が提案されている。
アルミニウムもしくはマグネシウムまたはそれらの合金表面を電気化学的に陽極酸化処理した皮膜のポアー内に、Ni,Sn,Co,Ce,Cu,Crなどの金属塩溶液中で電解することにより、該陽極酸化皮膜のポアー内にこれらの金属を吸着もしくは沈積する電解着色方法がある。また、水溶性もしくは水分散性樹脂溶液を用いて直流電解し、樹脂成分を析出させ、乾燥、焼付けすることによって塗膜を形成する方法が知られている。
しかしながら、これらの方法はいずれも電解方法であり、陽極酸化皮膜の通電性が不可欠であるとともに、ポアー底部のバリアー皮膜の破壊を引き起こし、耐食性を損なうことがある。
また、ポアーの径の大きさは通常数十ミクロンであり、分子の大きい化合物のポアー内への進入は難しい。陽極酸化皮膜が水で湿潤している場合、金属塩溶液に浸漬するだけでは、金属塩の成分は、ポアー内に進入、吸着あるいは沈着し難い。
このため、ポアー内に有効成分を導くために通常は電解による方法がとられる。しかし電解方法による析出は、陽極では酸素過電圧、陰極では、水素過電圧の問題があり、特にアルミニウムおよびマグネシウムおよびそれらの合金に対する電解方法は、一般に種々の高級技術が必要であり、簡単なものではない。また、電解設備が必要であり、被処理物との電気的接続およびその治具に工夫と保守管理などが必要である。
アルミニウムもしくはマグネシウムまたはそれらの合金表面を電気化学的に陽極酸化処理した皮膜のポアー内に、Ni,Sn,Co,Ce,Cu,Crなどの金属塩溶液中で電解することにより、該陽極酸化皮膜のポアー内にこれらの金属を吸着もしくは沈積する電解着色方法がある。また、水溶性もしくは水分散性樹脂溶液を用いて直流電解し、樹脂成分を析出させ、乾燥、焼付けすることによって塗膜を形成する方法が知られている。
しかしながら、これらの方法はいずれも電解方法であり、陽極酸化皮膜の通電性が不可欠であるとともに、ポアー底部のバリアー皮膜の破壊を引き起こし、耐食性を損なうことがある。
また、ポアーの径の大きさは通常数十ミクロンであり、分子の大きい化合物のポアー内への進入は難しい。陽極酸化皮膜が水で湿潤している場合、金属塩溶液に浸漬するだけでは、金属塩の成分は、ポアー内に進入、吸着あるいは沈着し難い。
このため、ポアー内に有効成分を導くために通常は電解による方法がとられる。しかし電解方法による析出は、陽極では酸素過電圧、陰極では、水素過電圧の問題があり、特にアルミニウムおよびマグネシウムおよびそれらの合金に対する電解方法は、一般に種々の高級技術が必要であり、簡単なものではない。また、電解設備が必要であり、被処理物との電気的接続およびその治具に工夫と保守管理などが必要である。
アルミニウムもしくはマグネシウムまたはそれらの合金表面を改質する本技術分野においても、技術の高度化、高性能化および機能化が求められ、陽極酸化皮膜を生かしながら機能を付加する方法として、一般に前記したような染色、着色並びに電着塗装があるが、その方法によらないで、更に他の種々の機能を持った陽極酸化皮膜が求められている。
即ち他の種々の機能として、陽極酸化皮膜の皮膜電気抵抗を増加させた絶縁性に優れる皮膜や、反対に陽極酸化皮膜の電気抵抗を減少させた皮膜あるいは耐食性能を向上させた皮膜の出現が求められている。
また、陽極酸化皮膜の改質のために、処理設備が簡易で作業性及び経済性に有利であることが条件として求められており、有機溶剤は作業環境上使用しないことが要求されている。
例えばアルミニウムの陽極酸化皮膜にアルコールに溶解したアルコキシシランを塗布した後、乾燥することによって、該陽極酸化皮膜の耐食性、耐熱性、耐摩耗性を向上させる方法が特開平6―316787号公報に記載されており、また、特開2001―172795号公報には脂肪族、脂環族および芳香族炭化水素などのポリシラザンの溶液を塗布する方法が記載され公知であるが、いずれも有機溶剤を使用しており、有機溶剤は可燃性液体であるため、引火性の問題のほか人体への安全性に問題がある。
本発明はこのような問題に鑑み、有機溶剤を使用せず、水を溶媒とする処理剤を用いることにより、安全性と経済性に優れた方法を提供するものである。
なお、有機溶剤を使用せず電解設備を必要とする方法は、特開平5―222585号公報および特開2003―277990号公報の電解着色方法、特開2002―327292号公報の銀または銅を析出させた防カビ方法、並びに特開2002―302778号公報の有機酸浴を用い、特殊な電源によって形成する陽極酸化皮膜に無電解メッキし、導電部を形成する方法が知られている。
しかし、本発明は、この従来例のように電解設備を必要とせず、かつ特殊な電源を必要としない方法を提供するものである。
特開平6―316787号公報
特開2001―172795号公報
特開平5―222585号公報
特開2003―277990号公報
特開2002―327292号公報
特開2002―302778号公報
例えばアルミニウムの陽極酸化皮膜にアルコールに溶解したアルコキシシランを塗布した後、乾燥することによって、該陽極酸化皮膜の耐食性、耐熱性、耐摩耗性を向上させる方法が特開平6―316787号公報に記載されており、また、特開2001―172795号公報には脂肪族、脂環族および芳香族炭化水素などのポリシラザンの溶液を塗布する方法が記載され公知であるが、いずれも有機溶剤を使用しており、有機溶剤は可燃性液体であるため、引火性の問題のほか人体への安全性に問題がある。
本発明はこのような問題に鑑み、有機溶剤を使用せず、水を溶媒とする処理剤を用いることにより、安全性と経済性に優れた方法を提供するものである。
なお、有機溶剤を使用せず電解設備を必要とする方法は、特開平5―222585号公報および特開2003―277990号公報の電解着色方法、特開2002―327292号公報の銀または銅を析出させた防カビ方法、並びに特開2002―302778号公報の有機酸浴を用い、特殊な電源によって形成する陽極酸化皮膜に無電解メッキし、導電部を形成する方法が知られている。
しかし、本発明は、この従来例のように電解設備を必要とせず、かつ特殊な電源を必要としない方法を提供するものである。
本発明は、陽極酸化皮膜の多孔に、従来のように金属塩溶液中で2次電解することにより金属塩を吸着もしくは沈積する方法(電解着色法)によらずに、また、水溶性もしくは水分散性樹脂溶液を用いて、直流電解して樹脂成分を析出させ、乾燥、焼き付けることにより塗膜を形成する方法によらない新規な方法であり、必要な化学物質を多孔内に浸透させ陽極酸化皮膜を改質するものであり、特別な電着、電解設備の必要性はなく、特定の化学物質を含む処理液を用いることにより、陽極酸化皮膜を有する被処理物との接液のみで陽極酸化皮膜を改質する方法に関するものである。
即ち、本発明の概要は、
アルミニウムもしくはマグネシウムまたはその合金の表面に陽極酸化皮膜を形成し、水洗し、封孔せずに乾燥した後、水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液に接液し、該陽極酸化皮膜内に該処理液を含浸することによって処理液中の成分を陽極酸化皮膜に吸着もしくは析出させることを特徴とする陽極酸化皮膜の改質方法(請求項1)であり、
該陽極酸化皮膜の乾燥は、余剰の水分を除去するために、水切り乾燥後常温もしくは熱風乾燥例えば40〜130℃の熱風で乾燥することにより、該処理液の陽極酸化皮膜内への処理液中の成分の浸透量を十分にすることを特徴とする請求項1に記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項2)であり、特に温風乾燥は乾燥効率がよいので好ましい。
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Sn,Zn,Cu,Cr,Co,Se,W,Ti,Zr,Si,AgおよびAlの群から選択された金属の1種または2種以上を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項3)であり、
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液として、金属のフッ化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、硝酸塩もしくは熱分解性有機錯塩、または金属酸化物の1種もしくは2種以上を含有させたことを特徴とする請求項1,2もしくは3のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項4)である。
アルミニウムもしくはマグネシウムまたはその合金の表面に陽極酸化皮膜を形成し、水洗し、封孔せずに乾燥した後、水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液に接液し、該陽極酸化皮膜内に該処理液を含浸することによって処理液中の成分を陽極酸化皮膜に吸着もしくは析出させることを特徴とする陽極酸化皮膜の改質方法(請求項1)であり、
該陽極酸化皮膜の乾燥は、余剰の水分を除去するために、水切り乾燥後常温もしくは熱風乾燥例えば40〜130℃の熱風で乾燥することにより、該処理液の陽極酸化皮膜内への処理液中の成分の浸透量を十分にすることを特徴とする請求項1に記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項2)であり、特に温風乾燥は乾燥効率がよいので好ましい。
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Sn,Zn,Cu,Cr,Co,Se,W,Ti,Zr,Si,AgおよびAlの群から選択された金属の1種または2種以上を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項3)であり、
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液として、金属のフッ化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、硝酸塩もしくは熱分解性有機錯塩、または金属酸化物の1種もしくは2種以上を含有させたことを特徴とする請求項1,2もしくは3のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項4)である。
また、具体的方法としては、
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、TiもしくはZrの1種または2種以上の金属を用い、加熱乾燥し、該金属を酸化物とすることにより、陽極酸化皮膜の絶縁性を向上させることを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項5)があり、
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Sn,Zn,Cu,SiおよびAgの群から選択された金属の1種または2種以上の金属を用いることにより、陽極酸化皮膜の皮膜抵抗を低減した皮膜を形成することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項6)があり、
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、CuもしくはAgを用い、かつ該皮膜の還元処理をすることにより、CuもしくはAgを析出した皮膜とし、陽極酸化皮膜の皮膜抵抗を一層低減した皮膜を形成することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項7)があり、
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Ag,Sn,ZnもしくはCuの1種または2種以上の金属を用いることにより、陽極酸化皮膜に抗菌性・坑カビ性を付与することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項8)があり、
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Sn,Zn,Cr,Co,Ce,W,Ti,Zr,SiもしくはAlの群から選択された金属の1種または2種以上の金属を用いることにより、陽極酸化皮膜に耐食性を付与することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項9)がある。
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、TiもしくはZrの1種または2種以上の金属を用い、加熱乾燥し、該金属を酸化物とすることにより、陽極酸化皮膜の絶縁性を向上させることを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項5)があり、
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Sn,Zn,Cu,SiおよびAgの群から選択された金属の1種または2種以上の金属を用いることにより、陽極酸化皮膜の皮膜抵抗を低減した皮膜を形成することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項6)があり、
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、CuもしくはAgを用い、かつ該皮膜の還元処理をすることにより、CuもしくはAgを析出した皮膜とし、陽極酸化皮膜の皮膜抵抗を一層低減した皮膜を形成することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項7)があり、
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Ag,Sn,ZnもしくはCuの1種または2種以上の金属を用いることにより、陽極酸化皮膜に抗菌性・坑カビ性を付与することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項8)があり、
水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Sn,Zn,Cr,Co,Ce,W,Ti,Zr,SiもしくはAlの群から選択された金属の1種または2種以上の金属を用いることにより、陽極酸化皮膜に耐食性を付与することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法(請求項9)がある。
陽極酸化皮膜に前記した処理液を浸透させ易くするためには、皮膜内の含有水分を除去する必要があり、乾燥手段には常温で風乾もしくは減圧乾燥してもよいが、40〜130℃の熱風で乾燥する方法が簡便で好ましい。この場合40℃未満の温度では乾燥までに時間がかかり、作業効率の点から不利である。逆に130℃を超えた高温では、必要以上に陽極酸化皮膜のクラックが入ったり、製品に損傷を起こすおそれがあるので好ましくない。勿論減圧乾燥もあり得るが、設備費がかかるため有利ではない。
本発明は、陽極酸化皮膜を乾燥させ、次いで、水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液に接液し、該陽極酸化皮膜内に該処理液を含浸することによって、処理液中の成分を陽極酸化皮膜に処理液成分もしくは処理液から化学変化で生成する金属を吸着もしくは析出させることにより、陽極酸化皮膜の性能、性質を変化させ、処理によって異なる新たな機能を付与した皮膜を提供することが出来る。
本発明の陽極酸化皮膜を種々改質する方法について更に詳述すると、アルミニウム及びマグネシウム並びにその合金の表面に、通常の方法で陽極酸化皮膜を形成した後、水洗し、封孔処理すること無しに、皮膜を乾燥する。
本発明に用いるアルミニウムおよびその合金の陽極酸化条件については、特に制限はないが、被処理品の要求する皮膜厚によって適宜選択することが出来、通常皮膜厚は1〜100μmである。陽極酸化浴には硫酸浴、シュウ酸浴あるいはリン酸浴もしくはこれらの混酸浴、または苛性ソーダ浴を用いて陽極酸化皮膜を生成することが出来る。
本発明に用いるマグネシウムおよびその合金の陽極酸化皮膜生成条件については、特に制限はないが、被処理品の要求する皮膜厚によって適宜の手段例えばガルバニック法、HAE法もしくはDOW17法などを用いることが出来る。
被処理体は、陽極酸化皮膜処理後、余剰の電解溶液を除去するためには、通常水洗し次いで乾燥する。皮膜の乾燥は、皮膜中の余剰な水分もしくは吸着水を減少もしくは除去し、陽極酸化皮膜を改質する処理液を含浸させ易くすることを目的とするものである。乾燥は先にも述べたように、自然乾燥でもよいが、好ましくは40から130℃の温風乾燥が能率的である。なお、40℃未満では効率が悪く、130℃を超えると含浸付着成分の変質やクラックを生じる場合もあり得る。、
陽極酸化皮膜が水分を十分吸着もしくは水で濡れた状態で、乾燥することなく陽極酸化皮膜を改質する処理液中に浸漬し、陽極酸化皮膜内の水分と処理液中の金属を付着させることも理論上は可能ではあるが、作業時間がかかり、効率的でないばかりか、特別な処理液槽も必要であり、効率的ではない。
陽極酸化皮膜を改質するため、被処理体を処理液にを接液する方法としては、刷毛、スプレー、流しかけ、浸漬などの方法があり、適宜選択される。
被処理体を処理液にを接液し、十分に陽極酸化皮膜に処理液を浸透させた後、余剰の処理液は、エアーブロー、払拭もしくは水洗し、除去することが好ましい。
本発明で用いられる処理液としては、水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩及びその錯塩を含有する処理液であるが、処理液中の金属としてはSn,Zn,Cu,Cr,Co,Ce,W,Ti,Zr,Si,AgおよびAlの群から選択された金属が適用され、該金属の1種または2種以上の酸化物、水和物、フッ化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、硝酸塩等が、またアルカリ性成分としてのアンモニウムまたはアミン類の1もしくは2種以上もしくはこれらの複塩からなるものを使用することができる。
該処理液における金属の溶解性、分散性を向上させるために、硫酸、リン酸、硝酸、ホウ酸、フッ化水素酸などの無機酸もしくはその塩、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸もしくはその塩類、アンモニア、アミン類、並びにアニオン性、カチオン性、非イオン性および両イオン性の界面活性剤を選択して用いることが出来る。
被処理体は、水溶性もしくはゾル・ゲル状の該処理液を陽極酸化皮膜に浸透させ、余剰の処理液を除去した後、乾燥することによって、皮膜中の水分、溶剤その他の揮発性成分を除去するとともに、加熱によって分解、揮散する化合物成分を除去することが好ましい。加熱温度は特に限定はないが、40℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。なお、40℃未満では効率が悪く、130℃を超えると含浸付着成分の意に反した変質や剥離を生じる場合もあり得る。
本発明において、陽極酸化皮膜を封孔せずに乾燥すること、および水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液に接液し、該陽極酸化皮膜内に該処理液を含浸することによって処理液中の成分を陽極酸化皮膜表面に吸着もしくは析出させることで、従来のように二次電解によらずに、比較的簡単な方法で、かつ特別な設備を要せずに、必要とする処理液中の金属を所定の塩類または単体として析出させて、特徴のある皮膜性能を付与することができる。請求項1〜4の発明は、本発明の概要を示すものである。
請求項5の発明では、特に絶縁性向上の効果があり、請求項6の発明では、特に導電性のよい金属の塩類を使用することにより陽極酸化皮膜の絶縁抵抗が低減した被膜形成を得るものであり、
請求項7の発明では、CuまたはAgを処理液中の金属として用い、さらに還元処理によって、確実に導電性の一層よい金属であるCuまたはAgを析出させ、導電性の皮膜を生成し、さらに絶縁抵抗の低減された陽極酸化皮膜を得ることが出来る。
請求項8の発明では、処理液中の金属として、抗菌性・抗カビ性のものを選択することにより、陽極酸化皮膜に抗菌性、抗カビ性の付与に効果がある。
請求項9の発明は、特定した金属の塩類を用いることにより、耐食性の付与された陽極酸化皮膜を得る効果がある。なお、本発明の実施に際して処理液による処理を反復実施したり、水に難溶性の塩や化合物を形成する無機および有機酸並びにそのアルカリ塩などを後処理剤または前処理剤として使用することも適宜実施することができる。
請求項5の発明では、特に絶縁性向上の効果があり、請求項6の発明では、特に導電性のよい金属の塩類を使用することにより陽極酸化皮膜の絶縁抵抗が低減した被膜形成を得るものであり、
請求項7の発明では、CuまたはAgを処理液中の金属として用い、さらに還元処理によって、確実に導電性の一層よい金属であるCuまたはAgを析出させ、導電性の皮膜を生成し、さらに絶縁抵抗の低減された陽極酸化皮膜を得ることが出来る。
請求項8の発明では、処理液中の金属として、抗菌性・抗カビ性のものを選択することにより、陽極酸化皮膜に抗菌性、抗カビ性の付与に効果がある。
請求項9の発明は、特定した金属の塩類を用いることにより、耐食性の付与された陽極酸化皮膜を得る効果がある。なお、本発明の実施に際して処理液による処理を反復実施したり、水に難溶性の塩や化合物を形成する無機および有機酸並びにそのアルカリ塩などを後処理剤または前処理剤として使用することも適宜実施することができる。
本発明を実施する場合に、該金属化合物を含む処理液を陽極酸化皮膜に含浸させた後、金属化合物が皮膜中により強固に固定させるために、水に難溶な塩を形成する物質として、リン酸、酸化剤を用いることができ、また還元剤を用いることで金属の単体を析出させることができる。
請求項5に記載の発明を実施するに際して、処理液中の金属としてTiもしくはZrを用いることの出来る該処理液を例示すれば、(NH4)2MeF6,(NH4)2MeF6,MeO(NO3)2,MeO(C2H3O2)2,(NH4)2MeO(CO3)2,Me(C8H15O2)2などの水溶液、並びに、MeO2,MeOCO3,MeO(OH)2などの、ゾル・ゲル溶液などがある。ここでの式中Meは、ZrまたはTiを示す。
以下に陽極酸化皮膜における実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。
アルミニウムおよびマグネシウムの陽極酸化皮膜の処理方法について述べれば以下のとおりである。勿論他の液で陽極酸化を行っても大体同様な皮膜厚のものが製造でき、酸化皮膜の性質に大差はない。
アルミニウム5052合金の表面を、常用の手段によって、脱脂・洗浄、エッチング、酸洗・脱スマットを行い、被処理物金属表面の酸化膜、細かい傷などを除去し、表面を均一にした後、硫酸20重量%、シュウ酸2重量%の15℃の混酸電解液に浸漬、直流で電流密度3A/dm2で10分間電解した後、水洗し、10μm厚の陽極酸化皮膜を得た。
なおアルミニウム合金の種類、陽極酸化条件は、任意に選択できる。
なおアルミニウム合金の種類、陽極酸化条件は、任意に選択できる。
マグネシウムAZ91D合金の表面を、常用の手段によって脱脂・洗浄、5%クエン酸・シュウ酸の混酸でエッチング洗浄、10%硝酸洗浄後、酸性フッ化アンモニウム30重量%、重クロム酸ナトリウム10重量%、リン酸10重量%の80℃の電解液に浸漬、直流で電流密度2.5A/dm2で、30分間電解、最終電圧は75Vを示し、約20μm厚の陽極酸化皮膜を得た。なおマグネシウム合金の種類、陽極酸化条件は、任意に選択できる。
次いで後に記載の実施例および比較例の試料を作成し、比較試験を行った。その場合、皮膜の評価方法について述べれば以下の通りである。
皮膜抵抗の測定は、横河・ヒューレットパッカード製4329型ハイレジスタンスメータを用い、印加電圧25ボルトにて体積抵抗値を測定した。
抗菌性の評価は、フイルム密着法を用い、50×50×0.32mmの供試材を滅菌シャーレに入れ、大腸菌(Eschericha Coil IFO3972)を約105個/ml含む菌液を0.4ml接種し、相対湿度90%以上で24時間培養後の菌数を測定し、JIS Z 2801 「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」の5.2プラスチック製品などの試験方法を用いた。
抗菌性能の判定は、判定式: A/B ≦ 0.01を満たすとき、「抗菌性能がある」と判断する。
抗菌性能の判定は、判定式: A/B ≦ 0.01を満たすとき、「抗菌性能がある」と判断する。
耐食性試験は、JIS Z 2371[塩水噴霧試験]の基づく方法にて、アルミニウム合金は、240時間、並びにマグネシウム合金は、24時間の試験後、レイティングナンバーで表示した。
[実施例1]
アルミニウム合金5052を用い、10μmの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の水溶性のジルコン化合物として、酢酸ジルコニルZrO(C2H3O2)2の2重量%水溶液を用いてその中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、130℃の熱風乾燥炉で30分間乾燥した。皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値が3×1012Ωで高く、絶縁性であることがわかる。
皮膜抵抗値が高く、絶縁性であることがわかる。
アルミニウム合金5052を用い、10μmの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の水溶性のジルコン化合物として、酢酸ジルコニルZrO(C2H3O2)2の2重量%水溶液を用いてその中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、130℃の熱風乾燥炉で30分間乾燥した。皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値が3×1012Ωで高く、絶縁性であることがわかる。
皮膜抵抗値が高く、絶縁性であることがわかる。
[実施例2]
アルミニウム合金5052を用い、10μmの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、温風のドライヤーを用いて、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の6フッ化チタンのアンモニウム塩(NH4)2TiF6の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、130℃の熱風乾燥炉で30分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値が5×1011Ωで高く、絶縁性であることがわかる。
アルミニウム合金5052を用い、10μmの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、温風のドライヤーを用いて、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の6フッ化チタンのアンモニウム塩(NH4)2TiF6の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、130℃の熱風乾燥炉で30分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値が5×1011Ωで高く、絶縁性であることがわかる。
[実施例3]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、水酸化ニッケル2重量%を含むpH10のアンモニア水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、130℃の熱風乾燥炉で30分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は2×108Ωでやや皮膜抵抗は低い。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、水酸化ニッケル2重量%を含むpH10のアンモニア水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、130℃の熱風乾燥炉で30分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は2×108Ωでやや皮膜抵抗は低い。
[実施例4]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、硝酸銀の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は2×106Ωで小さく、導電性であることが判る。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、硝酸銀の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は2×106Ωで小さく、導電性であることが判る。
[実施例5]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、酸化銀Ag2Oの2重量%の微分散水溶液を、刷毛で塗布した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は小さく、1×107Ωで導電性であることが判る。なお、還元剤を用いればさらに導電性となるが、Ag2Oは100℃以上で加熱分解しやすいので、還元剤を用いなくてもより導電性とすることができる。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、酸化銀Ag2Oの2重量%の微分散水溶液を、刷毛で塗布した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は小さく、1×107Ωで導電性であることが判る。なお、還元剤を用いればさらに導電性となるが、Ag2Oは100℃以上で加熱分解しやすいので、還元剤を用いなくてもより導電性とすることができる。
[実施例6]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、硝酸銀の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜を、2重量%のハイドロキノン水溶液に3分浸漬し還元処理た後、水きり乾燥を行った結果、皮膜は、灰色に変色した。抵抗の測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は小さく、2×105Ωで導電性であることが判る。なお還元処理を行わないと皮膜抵抗値は2×106Ω〜107Ωである。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、硝酸銀の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜を、2重量%のハイドロキノン水溶液に3分浸漬し還元処理た後、水きり乾燥を行った結果、皮膜は、灰色に変色した。抵抗の測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は小さく、2×105Ωで導電性であることが判る。なお還元処理を行わないと皮膜抵抗値は2×106Ω〜107Ωである。
[実施例7]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、20〜30nmの粒子径のシリカゾルの5重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は5×107Ωで小さいことが判る。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、20〜30nmの粒子径のシリカゾルの5重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は5×107Ωで小さいことが判る。
[実施例8]
マグネシウム合金AZ91Dを用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、20〜30nmの粒子径のシリカゾルの5重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は3×107Ωで小さいことが判る。
マグネシウム合金AZ91Dを用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、20〜30nmの粒子径のシリカゾルの5重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は3×107Ωで小さいことが判る。
[実施例9]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、炭酸亜鉛3重量%を含むpH10のアンモニア水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は1×108Ωである。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、炭酸亜鉛3重量%を含むpH10のアンモニア水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は1×108Ωである。
[実施例10]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、金属スズ10gを1リットルの希硝酸にて溶解したpH2の硝酸スズとなし、その水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は小さく、6×107Ωで導電性であることが判る。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、金属スズ10gを1リットルの希硝酸にて溶解したpH2の硝酸スズとなし、その水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は小さく、6×107Ωで導電性であることが判る。
[実施例11]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、無水硫酸銅3重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥し乾燥した皮膜を、2重量%のハイドロキノン水溶液に3分浸漬し還元処理た後、水きり乾燥を行った結果、皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は小さく、5×107Ωで導電性であることが判る。なお還元処理を行わないと皮膜抵抗値は108Ω〜109Ωである。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、無水硫酸銅3重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥し乾燥した皮膜を、2重量%のハイドロキノン水溶液に3分浸漬し還元処理た後、水きり乾燥を行った結果、皮膜抵抗測定結果を表1に示した。皮膜抵抗値は小さく、5×107Ωで導電性であることが判る。なお還元処理を行わないと皮膜抵抗値は108Ω〜109Ωである。
[比較例1]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜をを生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。抵抗値は2×109Ωであり、絶縁性でも導電性でもない。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜をを生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。抵抗値は2×109Ωであり、絶縁性でも導電性でもない。
[比較例2]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、乾燥すること無しに沸騰水で封孔処理を施し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。皮膜抵抗測定結果を表1に示した。抵抗値は3×1010Ωであり、絶縁性でも導電性でもない。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、乾燥すること無しに沸騰水で封孔処理を施し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。皮膜抵抗測定結果を表1に示した。抵抗値は3×1010Ωであり、絶縁性でも導電性でもない。
[比較例3]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、水洗し、乾燥することなく、液温20℃の水溶性ジルコン化合物ZrO(C2H3O2)2の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、130℃の熱風乾燥炉で30分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。抵抗値は7×109Ωであり、絶縁性でも導電性でもない。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、水洗し、乾燥することなく、液温20℃の水溶性ジルコン化合物ZrO(C2H3O2)2の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、130℃の熱風乾燥炉で30分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。抵抗値は7×109Ωであり、絶縁性でも導電性でもない。
[比較例4]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とした後、水洗し、乾燥することなく、酸化銀水溶液Ag2Oの2重量%の微分散水溶液中に3分間浸漬した後、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。抵抗値は2×109Ωであり、絶縁性でも導電性でもない。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とした後、水洗し、乾燥することなく、酸化銀水溶液Ag2Oの2重量%の微分散水溶液中に3分間浸漬した後、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した皮膜抵抗測定結果を表1に示した。抵抗値は2×109Ωであり、絶縁性でも導電性でもない。
[比較例5]
マグネシウム合金AZ91Dを用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、何等処理することないものを作製し、皮膜抵抗を測定し、測定結果を表1に示した。抵抗値は6×109Ωであり、実施例8に比べて抵抗値は大きいことが判る。
マグネシウム合金AZ91Dを用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、何等処理することないものを作製し、皮膜抵抗を測定し、測定結果を表1に示した。抵抗値は6×109Ωであり、実施例8に比べて抵抗値は大きいことが判る。
以上の実施例と比較例の対比でわかるように陽極酸化後封孔処理をしないことと、乾燥した後、所定の処理液に接液することが絶縁性皮膜や導電性皮膜を得るために重要であることが理解される。
[実施例12]
実施例4と同様にして、アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、硝酸銀の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。これについて皮膜の抗菌性試験を行ったが、異常はなかった。
抗菌性は表2に示すとおりである。
実施例4と同様にして、アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、硝酸銀の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。これについて皮膜の抗菌性試験を行ったが、異常はなかった。
抗菌性は表2に示すとおりである。
[実施例13]
実施例10と同様にして、アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、硝酸スズの2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。これについて皮膜の抗菌性試験を行ったが、良好な抗菌性が得られた。抗菌性は表2に示すとおりである。
実施例10と同様にして、アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、硝酸スズの2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。これについて皮膜の抗菌性試験を行ったが、良好な抗菌性が得られた。抗菌性は表2に示すとおりである。
[実施例14]
実施例11と同様にして、アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、硫酸銅の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。これについて皮膜の抗菌性試験を行ったが、良好な抗菌性が得られた。抗菌性は表2に示すとおりである。
実施例11と同様にして、アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、硫酸銅の2重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。これについて皮膜の抗菌性試験を行ったが、良好な抗菌性が得られた。抗菌性は表2に示すとおりである。
[比較例6]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、何等処理することなく試験片とし、皮膜の抗菌性能試験を行った。抗菌性は表2に示すとおりで非常に悪かった。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、何等処理することなく試験片とし、皮膜の抗菌性能試験を行った。抗菌性は表2に示すとおりで非常に悪かった。
上記表から判るように、本発明の実施例のものは、接液に用いられた金属の作用で、優れた抗菌性を示すことが理解される。
[実施例15]
アルミニウム合金5052を用い、その10μの陽極酸化皮膜を、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の硝酸スズ(4)の2重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、耐食性試験240時間後の結果を表3に示した。レイテングNo.は9.5で優れている。
アルミニウム合金5052を用い、その10μの陽極酸化皮膜を、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の硝酸スズ(4)の2重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、耐食性試験240時間後の結果を表3に示した。レイテングNo.は9.5で優れている。
[実施例16]
アルミニウム合金5052を用い、その10μの陽極酸化皮膜を、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の硝酸スズ(4)の2重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、さらに75重量%リン酸10gを1リットルに溶解した水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。耐食性試験240時間後の結果を表3に示した。レイテングNo.は10で優れている。
アルミニウム合金5052を用い、その10μの陽極酸化皮膜を、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の硝酸スズ(4)の2重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、さらに75重量%リン酸10gを1リットルに溶解した水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。耐食性試験240時間後の結果を表3に示した。レイテングNo.は10で優れている。
[実施例17]
アルミニウム合金5052を用い、10μmの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の水溶性のジルコン化合物として、酢酸ジルコニアZrO(C2H3O2)2の2重量%水溶液を用いてその中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。レイテングNo.は10を示し、良好であった。
アルミニウム合金5052を用い、10μmの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の水溶性のジルコン化合物として、酢酸ジルコニアZrO(C2H3O2)2の2重量%水溶液を用いてその中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。レイテングNo.は10を示し、良好であった。
[実施例18]
マグネシウム合金AZ91Dを用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、20〜30nmの粒子径のシリカゾルの5重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、130℃の熱風乾燥炉で30分間乾燥した後、耐食性試験24時間後の結果を表3に示した。レイテングNo.は10を示し、良好であった。
マグネシウム合金AZ91Dを用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、20〜30nmの粒子径のシリカゾルの5重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、130℃の熱風乾燥炉で30分間乾燥した後、耐食性試験24時間後の結果を表3に示した。レイテングNo.は10を示し、良好であった。
[実施例19]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の硝酸コバルト1重量%と硝酸セリウム2重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。レイテングNo.は9.6を示し、良好であった。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の硝酸コバルト1重量%と硝酸セリウム2重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。レイテングNo.は9.6を示し、良好であった。
[実施例20]
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃のリンタングステン酸H3[PO4W12O36]・nH2Oの2重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。レイテングNo.は9.6を示し、良好であった。
アルミニウム合金5052を用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃のリンタングステン酸H3[PO4W12O36]・nH2Oの2重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。レイテングNo.は9.6を示し、良好であった。
[実施例21]
アルミニウム合金5052を用い、の10μの陽極酸化皮膜を、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の6フッ化ジルコンアンモニウム塩(NH4)2ZrF6の2重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、耐食性試験240時間後の結果を表3に示した。レイテングNo.は9.6を示し、良好であった。
アルミニウム合金5052を用い、の10μの陽極酸化皮膜を、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、液温20℃の6フッ化ジルコンアンモニウム塩(NH4)2ZrF6の2重量%の水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去し、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、耐食性試験240時間後の結果を表3に示した。レイテングNo.は9.6を示し、良好であった。
[実施例22]
マグネシウム合金AZ91Dを用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、20〜30nmの粒子径のシリカゾルの5重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。レイテングNo.は9.5を示し、良好であった。
マグネシウム合金AZ91Dを用い、10μの陽極酸化皮膜を生成させて被処理材料とし、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した後、20〜30nmの粒子径のシリカゾルの5重量%水溶液中に3分間浸漬し、エアーブローにより余剰の液を除去した後、80℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥した。レイテングNo.は9.5を示し、良好であった。
[比較例7]
比較例1に用いた同様の試験片の耐食性試験240時間後の結果、耐食性は7で極めて悪いものであった。
比較例1に用いた同様の試験片の耐食性試験240時間後の結果、耐食性は7で極めて悪いものであった。
前記表1から本発明の実施例1、2は絶縁性の向上した皮膜が得られることが、また、実施例3〜12は比較的電気抵抗の小さい皮膜が得られることが判る。
また、表2からは本発明の実施例12〜14は抗菌性に優れたものが得られることが判る。抗カビせいも同様なものと推定される。さらに、表3は、実施例15〜22に示すものが耐食性に優れたものであることが判る。従って、各実施例により例示されていないものも、請求の範囲に記載したなかで、同一範疇ににはいるものは同様な効果を奏することも容易に理解できるであろう。
いずれにしても、本発明で重要なことは陽極酸化皮膜を乾燥させて、特定の処理液に接液することであり、処理液に用いられる塩類、特に金属の選択によって、特定の作用効果に秀でた皮膜に改質できるという効果を奏することである。
また、表2からは本発明の実施例12〜14は抗菌性に優れたものが得られることが判る。抗カビせいも同様なものと推定される。さらに、表3は、実施例15〜22に示すものが耐食性に優れたものであることが判る。従って、各実施例により例示されていないものも、請求の範囲に記載したなかで、同一範疇ににはいるものは同様な効果を奏することも容易に理解できるであろう。
いずれにしても、本発明で重要なことは陽極酸化皮膜を乾燥させて、特定の処理液に接液することであり、処理液に用いられる塩類、特に金属の選択によって、特定の作用効果に秀でた皮膜に改質できるという効果を奏することである。
Claims (9)
- アルミニウムもしくはマグネシウムまたはその合金の表面に陽極酸化皮膜を形成し、水洗し、封孔せずに乾燥した後、水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液に接液し、該陽極酸化皮膜内に該処理液を含浸することによって処理液中の成分を陽極酸化皮膜に吸着もしくは析出させることを特徴とする陽極酸化皮膜の改質方法。
- 陽極酸化皮膜の乾燥は、水切り乾燥後常温もしくは熱風で乾燥することにより、陽極酸化皮膜内へ該処理液中の成分を十分に含浸させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の陽極酸化皮膜の改質方法。
- 水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Sn,Zn,Cu,Cr,Co,Ce,W,Ti,Zr,Si,AgおよびAlの群から選択された金属の1種または2種以上を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の陽極酸化皮膜の改質方法。
- 水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液として、金属のフッ化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、硝酸塩もしくは熱分解性有機錯塩、または金属酸化物の1種もしくは2種以上を含有させたことを特徴とする請求項1,2もしくは3のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法。
- 水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、TiもしくはZrの1種または2種以上の金属を用い、加熱乾燥することにより該金属を酸化物とすることにより、陽極酸化皮膜の絶縁性を向上させることを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法。
- 水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Sn,Zn,Cu,SiおよびAgの群から選択された金属の1種または2種以上の金属を用いることにより、陽極酸化皮膜の絶縁抵抗を低減した皮膜を形成することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法。
- 水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、CuもしくはAgを用い、かつ該皮膜の還元処理をすることにより、CuもしくはAgを析出した皮膜とし、陽極酸化皮膜の絶縁抵抗を低減した皮膜を形成することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法。
- 水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Ag,Sn,ZnもしくはCuの群から選択された金属の1種または2種以上を用いることにより陽極酸化皮膜に、抗菌性・抗カビ性を付与することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法。
- 水に可溶もしくはゾル・ゲル状の金属塩もしくはその錯塩を含有する処理液中の金属として、Sn,Zn,Cr,Co,Ce,W,Ti,Zr,SiもしくはAlの群から選択された金属の1種または2種以上を用いることにより、陽極酸化皮膜に耐食性を付与することを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の改質方法。
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