JP2000248398A - 表面処理鋼板の製造方法および表面処理鋼板 - Google Patents

表面処理鋼板の製造方法および表面処理鋼板

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JP2000248398A
JP2000248398A JP11051787A JP5178799A JP2000248398A JP 2000248398 A JP2000248398 A JP 2000248398A JP 11051787 A JP11051787 A JP 11051787A JP 5178799 A JP5178799 A JP 5178799A JP 2000248398 A JP2000248398 A JP 2000248398A
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steel sheet
treatment
film
sol
resin
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JP11051787A
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Katsumi Kanda
勝美 神田
Junichi Fujimoto
準一 藤本
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Toyo Kohan Co Ltd
Original Assignee
Toyo Kohan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業環境の保全性に優れるとともに、塗装鋼
板の耐食性、成形加工性、および塗膜密着性に優れた塗
装下地用の表面処理鋼板の製造方法、およびその製造方
法を用いて作成した表面処理鋼板を提供する。 【解決手段】 無機化合物からなる結合剤、またはさら
に金属イオンとからなる処理液を用いて、鋼板上に直
接、またはめっきをを施した鋼板上にゾル状の水和酸化
物またはゾル状の水和酸化物と金属からなる前処理皮膜
を形成させた後、無機化合物からなる結合剤、またはさ
らに水溶性または水分散性の有機樹脂とからなる水溶液
を用いて、前処理皮膜上に有機/無機ハイブリッド皮膜
を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面処理鋼板の製造
方法、およびその製造方法を用いて作成した表面処理鋼
板に関する。より詳細には、鋼板に塗装を施してなる塗
装鋼板の耐食性、成形加工性、および塗膜密着性を向上
させることが可能な、塗装下地用の表面処理鋼板の製造
方法、およびその製造方法を用いて作成した表面処理鋼
板に関する。
【0002】
【従来の技術】冷延鋼板などの薄鋼板は安価でありかつ
優れた機械特性を有しているが、圧延したままの状態で
使用した場合は錆びやすく、耐食性や塗装を施した場合
の塗膜密着性などにおいて、実用上多くのトラブルが生
じる。そのため、圧延後の鋼板にめっきなどの表面処理
が施される。また、十分な耐食性を得るために、さらに
その上に塗装が施される場合が多い。この塗装による皮
膜と鋼板との密着性を改善するために、鋼板上に直接、
または鋼板に施しためっき上に、リン酸塩処理やクロメ
ート処理などの塗装下地用の表面処理が施される。
【0003】しかし、このような従来の表面処理におい
ては多くの欠点が内在しており、改善が求められてい
る。例えば、従来の亜鉛めっき鋼板のクロメート処理に
おいては、処理槽中で亜鉛と化成処理剤が反応してスラ
ッジが発生し、作業環境の保全および経済性の点で改善
を必要としている。この改善策として処理槽を必要とし
ない塗布型のクロメート処理が開発されているが、環境
保全、および成形加工性などの特性において満足できる
ものではなく、さらなる改善が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明においては、上
記の従来技術の欠点を解決するため、作業環境の保全性
に優れるとともに、塗装鋼板の耐食性、成形加工性、お
よび塗膜密着性に優れた塗装下地用の表面処理鋼板の製
造方法、およびその製造方法を用いて作成した表面処理
鋼板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の表面処理鋼板の
製造方法は、無機化合物からなる結合剤1種以上、さら
にアルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、
チタン、ジルコニウム、バナジウム、セリウム、亜鉛、
錫、ニッケル、コバルト、銅のいずれかに由来するイオ
ンの供給物質の1種以上とからなるpH2〜11の水溶
液中において、鋼板に陰極処理または陽極処理のいずれ
かの処理を施し、鋼板上にゾル状の水和酸化物、または
鋼板上にゾル状の水和酸化物と金属からなる皮膜を形成
させた後、前記無機化合物からなる結合剤1種以上、さ
らに水溶性または水分散性の有機樹脂1種以上とからな
る水溶液中において、陰極処理、陽極処理または浸漬処
理のいずれかの処理を施し、有機/無機ハイブリッド皮
膜を形成させることを特徴とする、表面処理鋼板の製造
方法である。または、無機化合物からなる結合剤1種以
上、さらにアルミニウム、クロム、モリブデン、タング
ステン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、セリウ
ム、亜鉛、錫、ニッケル、コバルト、銅のいずれかに由
来するイオンの供給物質の1種以上とからなるpH2〜
11の水溶液中において、鋼板に陰極処理または陽極処
理のいずれかの処理を施し、鋼板上にゾル状の水和酸化
物、または鋼板上にゾル状の水和酸化物と金属からなる
皮膜を形成させた後、前記無機化合物からなる結合剤1
種以上とからなる水溶液中において、陰極処理、陽極処
理または浸漬処理のいずれかの処理を施し、有機/無機
ハイブリッド皮膜を形成させることを特徴とする、表面
処理鋼板の製造方法である。または、無機化合物からな
る結合剤1種以上からなるpH2〜11の水溶液中にお
いて、鋼板に陰極処理または陽極処理のいずれかの処理
を施し、鋼板上にゾル状の水和酸化物、または鋼板上に
ゾル状の水和酸化物と金属からなる皮膜を形成させた
後、前記無機化合物からなる結合剤1種以上、さらに水
溶性または水分散性の有機樹脂1種以上とからなる水溶
液中において、陰極処理、陽極処理または浸漬処理のい
ずれかの処理を施し、有機/無機ハイブリッド皮膜を形
成させることを特徴とする、表面処理鋼板の製造方法で
ある。または、無機化合物からなる結合剤1種以上から
なるpH2〜11の水溶液中において、鋼板に陰極処理
または陽極処理のいずれかの処理を施し、鋼板上にゾル
状の水和酸化物、または鋼板上にゾル状の水和酸化物と
金属からなる皮膜を形成させた後、前記無機化合物から
なる結合剤1種以上とからなる水溶液中において、陰極
処理、陽極処理または浸漬処理のいずれかの処理を施
し、有機/無機ハイブリッド皮膜を形成させることを特
徴とする、表面処理鋼板の製造方法である。さらに前記
無機化合物からなる結合剤が、アルカリ金属塩、酸性金
属塩、コロイド金属酸化物、金属アルコキシド、金属ア
シレート、有機/無機ハイブリッド樹脂のいずれかであ
ること、前記水溶性または水分散性の有機樹脂が、アル
キド系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポ
キシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フ
ッ素系樹脂のいずれかであることを特徴とする。また本
発明の表面処理鋼板は、上記のいずれかの表面処理鋼板
の製造方法を用いて、鋼板上に 0.005〜1μmの厚
さのゾル状の水和酸化物、またはゾル状の水和酸化物と
金属からなる皮膜、およびその上層に 0.01〜5μm
の厚さの有機/無機ハイブリッド皮膜を形成させてなる
ことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明においては、無機化合物か
らなる結合剤、またはさらに金属イオンを添加してなる
処理液を用いて、鋼板上に直接、またはめっきをを施し
た鋼板上にゾル状の水和酸化物またはゾル状の水和酸化
物と金属からなる皮膜(以下、前処理皮膜という)を形
成させた後、無機化合物からなる結合剤、またはさらに
水溶性または水分散性の有機樹脂とからなる水溶液を用
いて、前処理皮膜上に有機/無機ハイブリッド皮膜(以
下、本処理皮膜という)を形成させることにより、本発
明の目的を達成できることが判明した。以下、本発明を
詳細に説明する。まず本発明に適用可能な鋼板として
は、圧延したままの状態の冷延鋼板の他に、溶融めっき
鋼板、電気めっき鋼板、複合めっき鋼板、蒸着めっき鋼
板などが含まれる。めっきする金属としては、亜鉛、
錫、アルミニウム、ニッケル、銅、クロム、およびこれ
らの合金があげられる。
【0007】次に、前処理皮膜の形成に用いる処理液に
ついて説明する。処理液中に含まれる無機化合物からな
る結合剤としては、一般に無機系塗料の結合剤としてし
ようされているものをそのまま適用することができる。
例として、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸
リチウムなどのケイ酸塩、アルカリジルコニウムをはじ
めとするジルコニウム塩などのアルカリ金属塩、リン酸
アルミニウムなどの酸性金属塩、アルミニウム、錫、ニ
ッケル、コバルト、亜鉛、バナジウム、ジルコニウムな
ど、水和酸化物をつくる金属の酸化物であるコロイダル
シリカ、コロイダルアルミナなどのコロイド金属酸化
物、テトラブチルジルコネートやテトラブチルチタネー
トをはじめとするアルコキシ金属である金属アルコキシ
ド、4酢酸ケイ素をはじめとするシリコンアシレート、
アルミニウムステアレートをはじめとする金属アシレー
ト、トリエチルアルミニウムをはじめとするアルキル金
属などの金属アシレート、シリコン樹脂をはじめとする
オルガノポリシロキサン、メチルトリメトキシシランを
はじめとするオルガノアルコキシシラン、テトラブチル
ジルコネートとシリコン樹脂をはじめとするジルコニア
シリコン、ケイ酸アミンとアクリル樹脂をはじめとする
アクリルシリケートなどの有機/無機ハイブリッド樹脂
などがあげられる。
【0008】また、処理液中にはさらにイオン供給物質
として、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングス
テン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、セリウム、
亜鉛、錫、ニッケル、コバルト、銅などが含まれていて
もよい。この中で亜鉛、錫、ニッケル、コバルト、銅な
どはこれらのイオンとして処理液中に存在するが、水溶
液のpHによっては亜鉛酸イオンや錫酸イオンなどとし
て存在することもある。またこれらの金属以外の金属に
ついては、クロム酸イオン、モリブデン酸イオン、タン
グステン酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオ
ン、またはそれらのイオンとの化合物として処理液中に
存在する。本発明に用いるイオン供給物質としては処理
液に溶解可能なものであれば適用可能であり、上記の金
属のみに限定されるものではない。前記の無機化合物か
らなる結合剤を含む処理液、またはさらにこれらのイオ
ン供給物質を添加した処理液中で処理することにより、
ゾルまたはゾルと金属からなる皮膜が形成される。金属
イオンの添加により皮膜形成されるゾルが緻密化し、そ
の上層に形成される本処理皮膜である有機/無機ハイブ
リッド皮膜との密着性が改善され、強固な本処理皮膜の
生成を促進し、耐食性、成形加工性、塗膜密着性などの
特性を改善する。
【0009】次いで前処理皮膜の形成方法について説明
する。上記の無機化合物からなる結合剤1種以上と、ま
たはさらに上記のイオン供給物質1種以上を、金属イオ
ン濃度として1〜50g/lの濃度で水に溶解させ処理
液とする。濃度が1g/l未満の場合は皮膜の析出効率
が著しく低下し、50g/lを超える場合は特性の向上
効果が飽和し、またドラッグアウトによるロスが増加し
経済性が失われる。処理液のpHは2〜11の範囲にあ
ることが好ましく、3〜10の範囲にあることがより好
ましい。pHが2未満または11を超える場合は水和酸
化物の形成功率が低下する。pH調整は処理液に酸性溶
液またはアルカリ性溶液を添加することにより行う。
【0010】上記の無機化合物からなる結合剤のイオン
性は処理液のpHの影響を受ける場合がある。例えば、
pHが4である処理液において、アルミニウムの水和酸
化物のゾルはプラスに帯電するがシリカゾルはマイナス
に帯電する。両者を混合するとプラスに帯電することが
多く、これらの場合は皮膜の析出に陰極電解処理をもち
いることが好ましい。このように、最適な皮膜の析出方
法を選択するために、無機化合物からなる結合剤のイオ
ン性を予めチェックしておく必要がある。
【0011】前処理皮膜は、前記鋼板を前記の処理液中
に浸漬した後、乾燥固化させることによって得ることも
可能であるが、鋼板に前記の処理液中で陰極処理または
陽極処理などの電解処理を施すことにより得ることもで
きる。電解処理の極性は、上記のように無機化合物から
なる結合剤のイオン性に基づいて適宜選択する。電流密
度は0.1〜50A/dmの範囲が好適である。処理
液の温度は20〜50℃の範囲が好適である。また、処
理時間は皮膜の厚さにもよるが、0.5〜10秒の範囲
が実用的である。ハルセル試験によれば、処理液の温度
は低温側で、電流密度は高温側でゾルが形成しやすい
が、脆いゾルが形成される傾向がある。また、電流密度
と処理時間は皮膜の膜厚に関連するので、予めハルセル
試験により、生成させる皮膜の膜厚を考慮して、実用的
な処理液の温度範囲や電流密度を選択することが好まし
い。上記のようにして得られる前処理皮膜の厚さは 0.
005〜1μmであることが好ましい。0.005μm
未満では特性向上の効果が認められず、1μmを超える
と成形加工性が著しく以下する。
【0012】上記のようにして鋼板上に前処理皮膜を形
成させた後、そのまま直ちに、または水洗した後、直ち
に下記に示すようにして、前処理皮膜上に本処理皮膜を
形成させる。前処理皮膜を形成させた後の水洗の有無に
ついては、処理液にpH調整用に酸またはアルカリを添
加した場合には水洗することが好ましい。以下、本処理
皮膜の形成方法について説明する。
【0013】まず、本処理皮膜の形成に用いる処理液に
ついて説明する。処理液中に含まれる無機化合物からな
る結合剤としては、前処理皮膜の形成に用いた処理液中
に含まれる無機化合物からなる結合剤を、そのまま適用
することができる。また、処理液中にはさらに水溶性ま
たは水分散性の有機樹脂として、アルキド系樹脂、酢酸
ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレ
タン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂などが
含まれていてもよい。これらの樹脂は水に溶解するか、
水に分散可能な樹脂であればいずれも適用可能であり、
イオン性を有していることが望ましい。分散状態を安定
化させるために、乳化剤や界面活性剤を添加してもよ
い。これらの樹脂は前記の無機化合物からなる結合剤と
組み合わせて有機/無機ハイブリッド樹脂として使用さ
れるが、元々有機/無機ハイブリッド樹脂であるケイ酸
アミンとアクリル樹脂、テトラブチルシリケートとシリ
コン樹脂などを用いてもよい。上記の無機化合物からな
る結合剤、またはさらに水溶性または水分散性の有機樹
脂を組み合わせることにより、有機/無機ハイブリッド
皮膜である本処理皮膜を形成させる処理液が得られる。
本処理皮膜を着色するため、この処理液に顔料または染
料を添加してもよい。これらの顔料または染料は、水溶
性または水分散性の塗料に使用可能なものであればいず
れも適用可能である。
【0014】処理液の無機化合物からなる結合剤、およ
び水溶性または水分散性の有機樹脂の濃度比率は特に制
限するものではないが、処理液中の無機化合物からなる
結合剤の濃度が増加すると、形成される本処理皮膜の耐
食性および塗膜密着性に対しては優れた効果を発揮する
が、成形加工性を劣化させる傾向がある。顔料や染料な
どの濃度比率も特に制限するものではないが、濃度の減
少に伴って皮膜の析出効率が低下する。したがって、無
機化合物からなる結合剤および水溶性または水分散性の
有機樹脂の濃度は、処理液の安定性および作業性を考慮
して固形分として5〜40重量%の範囲であることが好
ましい。5重量%未満の場合は皮膜の析出効率が減少す
る。一方、40重量%を超えると処理液がゲル化しやす
くなり、安定性に乏しくなる。顔料または染料の濃度は
任意に選択可能である。
【0015】次いで、本処理皮膜の形成方法について説
明する。本処理皮膜は、前記の前処理皮膜を形成させた
鋼板を上記の処理液中に浸漬した後、乾燥固化させるこ
とによって得ることも可能であるが、上記の処理液中で
陰極処理または陽極処理などの電解処理を施した方が効
率的に皮膜を形成させることができるので、以下、電解
処理による本処理皮膜の形成方法について説明する。
【0016】処理液のpHは2〜11の範囲にあること
が好ましいが、特に3〜10の範囲で析出効率が好適と
なる。pHが2未満、または11を超える場合は、無機
化合物からなる結合剤の析出効率が低下し、好ましくな
い。また、処理液のpHを2〜11の範囲に調整するた
め酸性またはアルカリ性の物質を処理液に添加すること
も可能であるが、処理皮膜上にこれらの酸性またはアル
カリ性の物質が残留して表面特性を劣化させる場合があ
るので、皮膜形成処理後に皮膜の水洗を必要とする。
【0017】処理液の温度は処理液の安定性に影響し、
処理液の温度が高温であるほどゲル化しやすくなる傾向
を示す。また低温では皮膜の析出効率が低下するので、
処理液の温度は20〜40℃の範囲にあることが好まし
い。電解処理は陽極処理および陰極処理のいずれかを、
処理溶液の状態、すなわち使用するに処理液のpHにお
けるイオン性によって適宜選択する。しかし、無機化合
物からなる結合剤のイオン性と水溶性または水分散性の
有機樹脂の極性が異なる場合があり、電解処理する際に
いずれの物質がイオン性または極性を支配するか、予め
知っておく必要がある。処理液がプラスに帯電する場合
は陰極処理、マイナスに帯電する場合は陽極処理を行
う。電流密度は0.1〜50A/dmの範囲が実用的
である。処理皮膜の厚さは通電時間で調整する。0.1
〜5μmの厚さが実用的である。0.1μm 未満では十
分な耐食性が得られず、5μmを超えると成形加工性が
低下し、また皮膜の乾燥固化に長時間を要し、高速生産
性を阻害する。
【0018】電解処理による皮膜は浸漬処理による皮膜
よりも優れた特性を示すが、その理由は十分に解明され
ていない。浸漬処理においては無機物と有機物が単に混
合した皮膜が得られるのに対して、電解処理においては
処理を施す素地である鋼板の表面が活性化されることに
加えて、電解により無機物と有機物が分子レベルで結合
して、強固な有機/無機ハイブリッド皮膜を形成するた
めであると推察される。このことは、浸漬処理を用いて
本処理皮膜を形成させる場合に、処理液中の無機化合物
からなる結合剤として有機/無機ハイブリッド樹脂を用
いた場合が、他の無機化合物からなる結合剤を用いた場
合よりも特性に優れた皮膜が得られることからも推察さ
れる。本発明の前処理皮膜および本処理皮膜を前記のめ
っき鋼板に形成させてなる表面処理鋼板は、塗装下地用
の表面処理鋼板としてのみならず、塗装を施さない未塗
装用途にもそのまま適用させることができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例にて本発明をさらに詳細に説明
する。 (実施例) [鋼板]本発明に用いる鋼板としては板厚0.3mm の冷
延鋼板をバフ研磨し、次いで電解アルカリ脱脂処理およ
び酸洗処理を施したままの鋼板(以下SSで示す)、お
よび表1に示すめっきを施しためっき鋼板を用いた。め
っき鋼板は溶融めっき鋼板(亜鉛めっき鋼板、Zn−5
%Al合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、以下
それぞれZn(H)、Zn−5%Al(H)、Al
(H)で示す)、電気めっき鋼板(亜鉛めっき鋼板、Z
n−2%Co− 0.5%Mo合金めっき鋼板、ニッケル
めっき鋼板、錫めっき鋼板、銅めっき鋼板、クロムめっ
き鋼板、以下それぞれZn(E)、Zn−2%Co
(E)、Ni(E)、Sn(E)、Cu(E)、Cr
(E)で示す)、真空蒸着亜鉛めっき鋼板(以下Zn
(V)で示す)を用いた。これらのめっき鋼板は、本発
明の表面処理を施す前にバフ研磨し、次いで電解アルカ
リ脱脂処理、酸洗処理を施して表面を清浄化した。
【0020】上記のようにして表面を清浄化した冷延鋼
板またはめっき鋼板に、表1に示す前処理皮膜形成用の
処理液、表2に示す本処理皮膜形成用の処理液を用い、
それぞれ表1および表2に示す条件により、前処理皮膜
および本処理皮膜を形成させた。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】[特性評価]上記のようにして得られた表面
処理鋼板の耐食性、塗膜密着性、および成形加工性を、
下記の条件で評価した。比較材としていずれも市販材で
ある冷延鋼板にリン酸処理およびクロメート処理を施し
たもの(比較材1)、冷延鋼板に塗布型クロメート処理
を施したもの(比較材2)、および電気亜鉛めっき鋼板
に塗布型クロメート処理を施したもの(比較材3)を同
一条件で評価した。 耐食性 JIS Z 2371に基づいて塩水噴霧試験を1000
時間実施した後、表面に生成するブリスターの発生状況
を目視観察し、次に示す評点で評価した。 ○:実用上問題なし。 ×:表面に実用上問題となる程度のブリスターが認めら
れる。
【0024】塗膜密着性 表面処理鋼板に、有機溶媒系アクリル樹脂を焼き付け硬
化後の皮膜厚さが15μmとなるように塗装焼き付け
た。この塗装鋼板を絞り比 2.2で円筒カップ状に絞り
加工し、カップ側面の塗膜を粘着テープで強制剥離し、
塗膜の剥離程度を目視観察し、次に示す評点で評価し
た。 ○:実用上問題なし。 ×:実用上問題となる程度の剥離が認められる。
【0025】成形加工性 表面処理鋼板に、有機溶媒系アクリル樹脂を焼き付け硬
化後の皮膜厚さが15μmとなるように塗装焼き付け
た。この塗装鋼板をデュポン衝撃試験機(衝撃付加部の
形状:半径1/2インチの半球状、衝撃付加部の重量:
500g:落下高さ:50cm)にて加工を付与した
後、加工部の塗膜を粘着テープで強制剥離し、塗膜の剥
離程度を目視観察し、次に示す評点で評価した。 ○:実用上問題なし。 ×:実用上問題となる程度の剥離が認められる。 以上の特性評価結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】表3に示すように、本発明の前処理皮膜お
よび本処理皮膜を被覆してなる表面処理鋼板は、優れた
耐食性、塗膜密着性、成形加工性を有している。
【0028】
【発明の効果】本発明は、無機化合物からなる結合剤、
またはさらに金属イオンとからなる処理液を用いて、鋼
板上に直接、またはめっきをを施した鋼板上にゾル状の
水和酸化物またはゾル状の水和酸化物と金属からなる前
処理皮膜を形成させた後、無機化合物からなる結合剤、
またはさらに水溶性または水分散性の有機樹脂とからな
る水溶液を用いて、前処理皮膜上に有機/無機ハイブリ
ッド皮膜からなる本処理皮膜を形成させる表面処理鋼板
の製造方法、およびその製造方法を用いてなる表面処理
鋼板であり、本発明の製造方法は作業環境の保全性に優
れ、その製造方法を用いてなる表面処理鋼板は耐食性、
成形加工性、および塗膜密着性に優れている。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 28/00 C23C 28/00 Z C25D 11/34 301 C25D 11/34 301 Fターム(参考) 4D075 AB01 AB09 BB62X BB62Z BB67X BB67Z BB81X BB81Z CA13 CA33 DB02 DC10 EA05 EB16 EB22 EB33 EB35 EB36 EB38 EC01 4F100 AA00C AA17B AB01B AB03A AK01C AK17C AK22C AK25C AK41C AK51C AK53C BA03 BA07 BA10A BA10C EJ611 EJ641 EJ642 JB02 JL01 4K044 AA02 AB02 BA11 BA21 BB03 BC02 BC04 BC05 CA16 CA17 CA53

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機化合物からなる結合剤1種以上、さ
    らにアルミニウム、クロム、モリブデン、タングステ
    ン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、セリウム、亜
    鉛、錫、ニッケル、コバルト、銅のいずれかに由来する
    イオンの供給物質の1種以上とからなるpH2〜11の
    水溶液中において、鋼板に陰極処理または陽極処理のい
    ずれかの処理を施し、鋼板上にゾル状の水和酸化物、ま
    たは鋼板上にゾル状の水和酸化物と金属からなる皮膜を
    形成させた後、前記無機化合物からなる結合剤1種以
    上、またはさらに水溶性または水分散性の有機樹脂1種
    以上とからなる水溶液中において、陰極処理、陽極処理
    または浸漬処理のいずれかの処理を施し、有機/無機ハ
    イブリッド皮膜を形成させることを特徴とする、表面処
    理鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 無機化合物からなる結合剤1種以上から
    なるpH2〜11の水溶液中において、鋼板に陰極処理
    または陽極処理のいずれかの処理を施し、鋼板上にゾル
    状の水和酸化物、または鋼板上にゾル状の水和酸化物と
    金属からなる皮膜を形成させた後、前記無機化合物から
    なる結合剤1種以上、またはさらに水溶性または水分散
    性の有機樹脂1種以上とからなる水溶液中において、陰
    極処理、陽極処理または浸漬処理のいずれかの処理を施
    し、有機/無機ハイブリッド皮膜を形成させることを特
    徴とする、表面処理鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記無機化合物からなる結合剤が、アル
    カリ金属塩、酸性金属塩、コロイド金属酸化物、金属ア
    ルコキシド、金属アシレート、有機/無機ハイブリッド
    樹脂のいずれかである、請求項1または2に記載の表面
    処理鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記水溶性または水分散性の有機樹脂
    が、アルキド系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹
    脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系
    樹脂、フッ素系樹脂のいずれかである、請求項1〜3に
    記載の表面処理鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの表面処理鋼板
    の製造方法を用いて、鋼板上に 0.005〜1μmの厚
    さのゾル状の水和酸化物、またはゾル状の水和酸化物と
    金属からなる皮膜、およびその上層に 0.01〜5μm
    の厚さの有機/無機ハイブリッド皮膜を形成させてなる
    表面処理鋼板。
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