JP5092332B2 - 表面処理鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、家庭用電気器具および建材などに用いて好適な表面処理鋼板、特に、塩分付着後に乾燥および湿潤が繰り返される環境下においても、耐食性に優れる被膜を表面に有する表面処理鋼板およびその製造方法に関するものである。
従来、鋼板の分野では、防錆性を確保するために、鋼板の表面にリン酸亜鉛被膜およびクロメート被膜を形成後に、さらに塗装して供用するのが一般的である。
ここに、クロメート被膜は、浸漬処理や塗布処理或いは電解処理などの方法を用いて鋼板上に形成される。しかし、クロメート処理は、クロムを含む溶液を用いて行われるところ、環境保全の観点から世界的にクロムの使用が規制されるなか、クロメート被膜に替わる表面処理被膜が求められている。
一方、りん酸亜鉛被膜は、その処理液中に燐を多量に含むことや、ニッケルやマンガン等の重金属が処理剤中に多量に含有されていることから、環境負荷の原因となり得るため、やはりりん酸亜鉛被膜に替わる表面処理被膜が求められている。
上記の観点から、表面処理剤や被膜について種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオン並びに、フッ素イオンを含有してなり、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオンの含有量は、重量基準で20〜500質量ppmであり、フッ素イオンの含有量は、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオンに対してモル比で6倍以上であり、実質的にりん酸イオンを含有せず、pHが2〜5である化成処理剤が開示されている。
特許文献2には、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオン、フッ素イオン並びに、可溶性エポキシ樹脂を含有してなり、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオンの含有量は、20〜500質量ppmであり、フッ素イオンの含有量は、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオンに対して、モル比で6倍以上であり、実質的にりん酸イオンを含有せず、pHが2.5〜4.5である金属表面処理用組成物が開示されている。
特許文献3には、ジルコニウム化合物及びチタニウム化合物から選ばれる1種以上の化合物を金属元素として5〜5000質量ppm含み、遊離フッ素イオンを0.1〜100質量ppm含み、かつpHが2〜6である金属の表面処理用処理液が開示されている。
特許文献4には、(A)Ti,Zr,HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物、(B)ナフタレンスルホン酸などから選ばれる少なくとも1種の化合物、(C)Ag,Alなどから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む化合物、(D)フッ素含有化合物の少なくとも1種、を含有する金属表面処理用組成物が開示されている。
特許文献5には、金属製基材上に、ジルコニウム及び/又はチタンを含んでなる表面処理層を有し、更に樹脂層を有するノンクロム被覆金属材料が開示されている。
特許文献6にはTi、O、Fを主成分とし、最表面に含有されるPとM(MはTiあるいはTi及びZr)の原子比が0.1≦P/M<0.6である表面処理金属材料が開示されている。
特開2003−155578号公報 特開2003−253461号公報 特開2004−190121号公報 特開2005−264230号公報 特開2005−200720号公報 特開2006−9046号公報
しかしながら、特許文献1ないし6に開示されている処理剤や処理方法を用いて鋼板を処理した場合、特に屋外環境下、つまり塩分付着後に乾燥および湿潤が繰り返される環境下において、素地に到達するような後天的な傷部、もしくはピンホール欠陥のような表面処理層の欠陥部を起点として、鋼板と表面処理層との界面で糸状錆に代表される塗膜下腐食が発生し、外観が損なわれる。すなわち欠陥部耐食性が不足していた。
また、表面処理鋼板では、さらに裸耐食性、すなわち無塗装で用いた場合の耐食性にも優れている必要がある。
本発明は、上記の現状に鑑み、クロム、燐および重金属を用いることなく製造可能な、裸耐食性および欠陥部耐食性に優れる表面処理鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、鋼板にFeおよびTiを含む反応層を形成し、この反応層上にさらに酸素透過抑制効果の高い被覆層を形成して反応層および被覆層からなる被膜を形成し、この被膜形成後の酸素還元電流を同形成前の酸素還元電流の1/10以下にすることによって、塩分付着後に乾燥および湿潤が繰り返される環境下においても、裸耐食性および欠陥部耐食性に優れる表面処理鋼板を得ることができるとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものであり、その要旨構成は次の通りである。
(1)鋼板の少なくとも片面に、TiおよびFeを含む反応層と、該反応層上に積層した被覆層とからなる被膜を有し、該被膜を形成後の酸素還元電流が同被膜形成前の酸素還元電流の1/10以下であることを特徴とする表面処理鋼板。
(2)前記反応層のTi付着量が5〜80mg/m2であることを特徴とする上記(1)記載の表面処理鋼板。
(3)上記(1)又は(2)に記載された表面処理鋼板の製造方法であって、鋼板の少なくとも片面に、TiおよびFeを含む反応層と、該反応層上に積層した被覆層とからなる被膜を形成するに当り、鋼板の少なくとも片面に、Ti:100〜5000質量ppm、酸化剤:1000〜50000質量ppmおよび遊離フッ素イオン:50〜1000質量ppmを含み、pHが3〜6である処理液を、相対流速0.1m/s以上にて接触させて、前記反応層を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
(4)上記(1)又は(2)に記載された表面処理鋼板の製造方法であって、鋼板の少なくとも片面に、TiおよびFeを含む反応層と、該反応層上に積層した被覆層とからなる被膜を形成するに当り、鋼板の少なくとも片面にFeめっきを施したのち、該めっき面に、Ti:100〜5000質量ppm、酸化剤:1000〜50000質量ppmおよび遊離フッ素イオン:50〜1000質量ppmを含み、pHが3〜6である処理液を、相対流速0.1m/s以上にて接触させて、前記反応層を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
(5)上記(1)又は(2)に記載された表面処理鋼板の製造方法であって、鋼板の少なくとも片面に、TiおよびFeを含む反応層と、該反応層上に積層した被覆層とからなる被膜を形成するに当り、鋼板の少なくとも片面を、pHが5以下の酸性水溶液に浸漬処理した後、該処理面に、Ti:100〜5000質量ppm、酸化剤:1000〜50000質量ppmおよび遊離フッ素イオン:50〜1000質量ppmを含み、pHが3〜6である処理液を、相対流速0.1m/s以上にて接触させて、前記反応層を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
(6)上記(1)又は(2)に記載された表面処理鋼板の製造方法であって、鋼板の少なくとも片面に、TiおよびFeを含む反応層と、該反応層上に積層した被覆層とからなる被膜を形成するに当り、鋼板の少なくとも片面にFeめっきを施したのち、該めっき面をpHが5以下の酸性水溶液に浸漬処理した後、該処理面に、Ti:100〜5000質量ppm、酸化剤:1000〜50000質量ppmおよび遊離フッ素イオン:50〜1000質量ppmを含み、pHが3〜6である処理液を、相対流速0.1m/s以上にて接触させて、前記反応層を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
(7)上記(3)〜(6)のいずれかにおいて、前記反応層の形成後に、該反応層上に、有機被膜、無機被膜および有機無機複合被膜のうちの少なくとも1つによる被覆層を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
本発明によれば、クロム、燐および重金属を含む処理液を用いることなく、裸耐食性および欠陥部耐食性に優れる表面処理鋼板を提供することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
鋼板上に塩分が存在する場合、その塩類による結露水や表層の水膜による電気伝導度増加、同水膜中における錯形成による鉄イオン拡散促進、塩素イオン吸着による酸化被膜の破壊、化学的凝縮作用による湿潤状態の持続(結露)などが複合して作用する結果、鋼板は腐食しやすくなる。沿岸地域では、飛来海塩の影響により、塩分が付着しやすい環境にある。さらに、昼夜などの気温の変化により、乾燥および湿潤が繰り返される環境下では、鋼表面への酸素供給量の増大が生じ、カソード反応が促進され、更に腐食が進行しやすくなる。
このような環境下での腐食反応を抑制するためには、鋼板表面に、酸素還元電流を1/10以下にする被膜を形成することが肝要である。すなわち、被膜の形成によって酸素還元電流を1/10以下に小さくすると、酸素透過量が減少する結果、腐食反応を抑制することができる。
なお、酸素還元電流は、5質量%NaCl水溶液中でカソード動電位分極曲線を測定することにより評価できる。そして、この測定を、被膜の形成前後で行うことによって、被膜の形成後の酸素還元電流の低下代を把握できる。なお、被膜の形成前とは、反応層形成前であり、反応層形成前に後述する酸性水溶液への浸漬処理を施す場合は、酸性水溶液の浸漬処理後反応層形成前であり、反応層形成前に後述するFeめっきを施す場合はFeめっき後反応層形成前であり、反応層形成前にFeめっきと酸性水溶液への浸漬処理を施す場合は、Feめっきおよび酸性水溶液への浸漬処理後反応層形成前である。
次に、酸素還元電流を1/10以下にするための被膜について、詳しく説明する。
この被膜は、鋼板表面に形成するTiおよびFeを含む反応層と、該反応層上の形成する被覆層との積層になる。
まず、反応層は、FeおよびTiを含む必要がある。ここで、FeおよびTiの組み合わせが耐食性の向上に効果を発現する理由は明らかではないが、Tiの化合物中にFeを取り入れることによって、得られる反応層と下地鋼板との密着性が向上する結果、糸状錆の発生が抑制されるためであると推察される。
ここで、反応層のTi付着量は5〜80mg/m2とすることが好ましい。Ti付着量が5mg/m2未満では、鋼板表面を均一に被覆できず、耐食性を損なうおそれがある。一方、Ti付着量が80mg/m2を超えると、密着性不良となり、裸耐食性と欠陥部耐食性が劣化するおそれがある。
また、反応層中のFe/(Fe+Ti)は、0.3〜0.9とするのが好ましい。Fe/(Fe+Ti)が0.3より少ないと鋼板と反応層との密着性が低下し、十分な耐食性を確保できない。一方、Fe/(Fe+Ti)が0.9より多いと反応層中のTi含有比率が低くなる結果、耐食性が低下する。
このTi系反応層には、Feの他の金属種、例えば、Zr、V、Mo、Mn、Co、Fe、Ni、Zn、Al、Mg、P、LaおよびCeなどを複合化してもよい。
次に、反応層の形成方法を説明する。反応層の形成方法は、浸漬処理やスプレー処理など、処理液と鋼板とを接触反応させることができる方法であれば、特に限定する必要はない。鋼板を表面処理した後は、そのまま乾燥するか、もしくは反応層形成後に水洗を実施してから、乾燥しても良い。また、乾燥前に、ロール絞り又は気体絞りなどの工程により、処理液の液膜を制御してもよい。
ここで、上記処理液は、被膜形成成分であるTiイオンを100〜5000質量ppm含むことが必要である。Tiイオンが100質量ppm未満であると、Ti供給量が少なく、処理液の処理能力が小さくなる。一方、Tiイオンが5000質量ppmを超えると、耐食性についてそれ以上の効果は期待できず、経済的に不利である。
上記Tiイオン供給源としては特に限定されず、例えば、硫酸チタン、チタン系フッ化物、チタン系塩化物およびヨウ化チタン等、可溶性Ti塩であればいずれでもよい。
さらに、処理液は、酸化剤を1000〜50000質量ppm含むことが必要である。酸化剤が1000質量ppm未満であると、Ti系の反応層が均一に形成され難く、十分な耐食性を発現できない。一方、酸化剤が50000質量ppmを超えると、効率的に反応層を形成することが難しい。
上記酸化剤の供給源としては酸化力を有するものであれば特に限定されず、例えば、HNO3、HClO3、HBrO3、HNO2、HMnO4、HVO3、H2O2、H2WO4、H2MoO4およびこれらの塩類のいずれでもよい。
さらにまた、遊離フッ素イオンを50〜1000質量ppm含むことが必要である。遊離フッ素イオンが50質量ppm未満であると、Fe表面のエッチングが不十分となり均一な反応層が形成されない。一方、遊離フッ素イオンが1000質量ppmを超えると、エッチングが進行しすぎて反応層が均一に形成されない。
上記フッ素イオンの供給源としては特に限定されず、例えば、ふっ化水素酸、ふっ化水素酸塩、ふっ化硼素酸等をあげることができる。
次に、処理液のpHは3〜6とする。すなわち、pHが3未満では、Ti系反応層が安定に形成できない。一方、pHが6を超えると、Ti系反応層が形成されない。
このpHの調整剤としては特に限定されず、硝酸、過塩素酸、硫酸、硝酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の酸または塩基を用いて行うのが好ましい。
上記処理液を用いた反応層の形成において、最も重要なのは、処理液が鋼板と接触するときの相対流速である、この相対流速が0の浸漬処理では反応層が形成しない。つまり、処理液を鋼板との間で相対流速0.1m/s以上で接触させる必要がある。なぜなら、0.1m/s未満であると、鋼板表面への反応層形成成分の供給速度が遅くなって反応性が低下し、十分な裸耐食性と欠陥部耐食性を発現できない。
また、処理液の温度は、常温〜60℃であることが好ましい。すなわち、60℃を超えると、反応層の形成における効率が悪くなる。さらに、処理液を鋼板に接触させる時間は、5〜120sであることが好ましい。なぜなら、5s未満であると、鋼板表面との反応時間が短く、均一な反応層の形成が困難となる。一方、120sを超えても反応層形成量はほとんど変わらず、経済的に不利になる。
上記処理液での反応層形成処理において、基材の鋼種は特に限定されないが、予め基材である鋼板の表面にFeめっきを施しておくと、反応層を形成させた後の耐食性がさらに向上する。この理由は明らかではないが、Feめっきを施すことにより、反応層の形成素地として、組成や組織の観点で均一な表面が形成され、その全面にわたって反応層が均一に形成されるためと推察される。上記Feめっきの付着量は、2g/m2以上であることが好ましい。2g/m2未満であると、鋼板の全表面を均一に被覆することが難しくなり、Feめっきによる上記効果が減少する。なお、Feめっきは、電気めっき法、蒸着法など全面が均一にFeで被覆可能な方法であれば、いずれの方法でも良い。
また、上記処理液での反応層形成処理において、鋼板表面またはFeめっき面を酸性水溶液により処理した後に反応層を形成することが好ましい。というのは、鋼板表面には、酸化物や、成分の偏析などが存在しており、処理液と接触させても反応性が乏しい場合があり、この場合に反応性を向上させる効果を有する。
上記酸性水溶液は特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、ふっ化水素酸、塩素酸、しゅう酸、リン酸、これらの混合物などの酸が挙げられる。また、酸性水溶液には、金属イオンが存在してもよく、例えばTi、Zr、V、Mo、Co、Fe、Ni、Zn、Al、Mg、La、Ceなどがあげられる。これら成分を含む酸素酸イオンや、これら成分がキレート化された錯イオンなどを添加しても良い。酸性水溶液のpHが5を超えると効果が十分でない。
上記反応層上の被覆層は、被膜として酸素還元電流を1/10以下に低減できるものであればよく、とくに限定しないが、有機被膜、無機被膜、および有機無機複合被膜のうち少なくとも1つからなることが好ましい。有機被膜、無機被膜、および有機無機複合被膜のうち少なくとも1つからなることにより、広範囲のpH域にて化学的に安定である高バリアー性の被覆層となり、裸耐食性および欠陥部耐食性の向上がはかられる。
次に、被覆層の形成方法を説明する。被覆層の形成方法は、スプレー法、バーコーター塗布、ロールコーター塗布、浸漬法、電解処理など表面に被覆物質を付与できる方法なら何でもよく、その後、そのまま乾燥又はさらに加熱することにより被覆層を形成する。
次に、本発明の実施例について述べる。
(サンプルの作製方法)
表1に示す組成の冷延鋼板(70×150×0.8mm)に、以下の条件で反応層および被覆層を形成し、表面処理鋼板を製造した。
まず、鋼板に前処理として、脱脂処理を施した。すなわち、ユケン工業(株)製のパクナ(登録商標)電清添加剤25を5g/lとNaOHを50g/l含む水溶液を70℃に昇温し、その液に鋼板を浸漬処理し、鋼板を+極として5A/dmの電流を20s間流すことで鋼板表面の油を除去した後、水洗した。次に、表2記載の酸性処理液にて鋼板を浸漬処理後に水洗した。No.28とNo.29は表2記載の酸性処理液への浸漬を行わなかった。または、上記脱脂処理、水洗、硫酸酸洗(5質量%硫酸水溶液、50℃、10s浸漬処理)、水洗後、電気Feめっき処理を施した。次に、表2記載の酸性処理液にて浸漬処理後に水洗した。No.30は表2記載の酸性処理液への浸漬を行わなかった。
なお、Feめっき処理は、硫酸めっき浴(FeSO4・7H2O=300g/L、Na2SO4=50g/L、pH=1.8、浴温=60℃)を用いて、電流密度=50A/dm2、流速=1m/s、電解時間=0〜10sの条件に従って行った。
その後、表3に示す処理液で表4に示す条件にて反応層を形成後、水洗してブロアーにて水分を除去した。さらに、表5に示す被覆層となるように塗料をバーコーター塗装し、200℃に設定した電気炉にて2分間乾燥させ、表5に示す付着量とした。
(Ti付着量評価)
高周波誘導プラズマ(ICP)分析により得られたTi重量をもとに作成した検量線を用い、蛍光X線分析にてTi付着量を評価した。
(反応層構成物質の評価)
集束イオンビーム(FIB)加工装置により断面サンプルを作製後、反応層中央部を倍率50万倍にてEDX分析を実施し、反応層中のFe/(Fe+Ti)質量比を求めた。
(遊離フッ素濃度評価)
Ti反応層形成処理液中の遊離フッ素イオン濃度は、市販のフッ素イオンメーター(Ti-5101;(株)東興化学研究所製)で測定した。
(酸素還元電流評価)
5質量%NaCl水溶液中においてカソード動電位分極曲線を測定して評価した。
(耐食性評価)
得られた表面処理鋼板を、70mm×70mmのサイズにせん断し、端面、背面をシールしたのち、クロスカットを入れ、以下の条件にて、腐食試験を行った。
まず、人工海塩をイオン交換水に希釈し、0.035質量%となる水溶液を作製し、この水溶液を、70mm×70mmサイズの試験片に対して、水溶液として1試験片あたり140mgとなるように調整しながら噴霧し、水溶液を乾燥させることによって、塩分を10mg/m2付着させた。
引き続き、この試験片を、環境試験機に入れ、乾燥(60℃、35%)3時間→湿潤(40℃、95%)3時間、となるよう乾湿繰り返し保持した。なお、移行時間は1時間とした。また、3、7、10、14、17日目には、環境試験機からサンプルを取り出し、塩分を水洗除去、乾燥した後、再び10mg/mの人工海塩を付着させ、環境試験機に再度投入した。21日目もしくは49日目に、塩分を水洗除去、乾燥した後、裸耐食性は、カット部以外の赤錆発生面積率にて評価し、欠陥部耐食性は、傷部からの糸状錆発生率を評価した。糸状錆発生率はカット長さに対する派生した全糸状錆の幅を合計した値の割合で評価した。
評価点は、以下のとおりとする。
[裸耐食性:赤錆発生面積率]
50%以上:×
5%以上、50%未満:△
5%未満:○
発錆なし:◎
[欠陥部耐食性:糸状錆発生率]
50%以上:×
10%以上、50%未満:△
10%未満:○
発生無し:◎
表4に、各サンプルの鋼種、反応層形成条件、Ti付着量、Fe/(Fe+Ti)質量比、被覆層種類並びに評価結果を示した。
これらの結果より、本発明で得られた表面処理鋼板は、塩分付着、乾湿繰り返し環境下において、優れた裸耐食性および欠陥部耐食性を示すことがわかる。
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Claims (7)

  1. 鋼板の少なくとも片面に、TiおよびFeを含む反応層と、該反応層上に積層した被覆層とからなる被膜を有し、該被膜を形成後の酸素還元電流が同被膜形成前の酸素還元電流の1/10以下であることを特徴とする表面処理鋼板。
  2. 前記反応層のTi付着量が5〜80mg/mであることを特徴とする請求項1記載の表面処理鋼板。
  3. 請求項1又は2に記載された表面処理鋼板の製造方法であって、鋼板の少なくとも片面に、TiおよびFeを含む反応層と、該反応層上に積層した被覆層とからなる被膜を形成するに当り、鋼板の少なくとも片面に、Ti:100〜5000質量ppm、酸化剤:1000〜50000質量ppmおよび遊離フッ素イオン:50〜1000質量ppmを含み、pHが3〜6である処理液を、相対流速0.1m/s以上にて接触させて、前記反応層を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載された表面処理鋼板の製造方法であって、鋼板の少なくとも片面に、TiおよびFeを含む反応層と、該反応層上に積層した被覆層とからなる被膜を形成するに当り、鋼板の少なくとも片面にFeめっきを施したのち、該めっき面に、Ti:100〜5000質量ppm、酸化剤:1000〜50000質量ppmおよび遊離フッ素イオン:50〜1000質量ppmを含み、pHが3〜6である処理液を、相対流速0.1m/s以上にて接触させて、前記反応層を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載された表面処理鋼板の製造方法であって、鋼板の少なくとも片面に、TiおよびFeを含む反応層と、該反応層上に積層した被覆層とからなる被膜を形成するに当り、鋼板の少なくとも片面を、pHが5以下の酸性水溶液に浸漬処理した後、該処理面に、Ti:100〜5000質量ppm、酸化剤:1000〜50000質量ppmおよび遊離フッ素イオン:50〜1000質量ppmを含み、pHが3〜6である処理液を、相対流速0.1m/s以上にて接触させて、前記反応層を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載された表面処理鋼板の製造方法であって、鋼板の少なくとも片面に、TiおよびFeを含む反応層と、該反応層上に積層した被覆層とからなる被膜を形成するに当り、鋼板の少なくとも片面にFeめっきを施したのち、該めっき面をpHが5以下の酸性水溶液に浸漬処理した後、該処理面に、Ti:100〜5000質量ppm、酸化剤:1000〜50000質量ppmおよび遊離フッ素イオン:50〜1000質量ppmを含み、pHが3〜6である処理液を、相対流速0.1m/s以上にて接触させて、前記反応層を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  7. 請求項3〜6のいずれか一項において、前記反応層の形成後に、該反応層上に、有機被膜、無機被膜および有機無機複合被膜のうちの少なくとも1つによる被覆層を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
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