JP5827792B2 - 化成処理鉄系材料 - Google Patents

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Description

本発明は、化成処理鉄系材料、鉄系材料用化成処理方法および鉄系材料用化成処理組成物に関する。
我々が目にする鉄製品には、そのほとんどに塗装が施されている。塗装に求められる機能の一つとして、鉄製品を腐食から守る、すなわち耐食性の向上が挙げられる。
また、塗装下地として、塗膜の密着性や耐食性を向上させるために化成処理が行われることが多い。製品を塗装するまでの間、腐食環境下で保管される場合もあり、化成皮膜単膜で、湿潤雰囲気下で腐食しないこと(裸耐食性)も求められる機能の一つである。
したがって、化成処理剤による化成皮膜には、優れた裸耐食性と優れた塗膜密着性の両方が備えることが望まれる。
金属表面に裸耐食性および塗膜密着性に優れる表面処理皮膜を析出させる手法としては、クロメート処理法やリン酸亜鉛処理法が一般的に用いられてきた。
しかしながら、昨今の環境規制から処理液中に有害なクロムを含むクロメート処理は敬遠される方向にある。
また、環境負荷物質であるリン酸を多量に含んでいるリン酸亜鉛処理も、産業廃棄物となるスラッジの発生が避けられないため、敬遠される方向にある。
そこで、近年、金属表面をジルコニウムのような金属を含む薄膜で被覆することによって、塗装後の耐食性を付与し、さらに、処理液中に有害成分を含まず、スラッジの発生を抑制した技術が開発されてきている。
このような表面処理方法として、従来、以下に示す方法が提案されている。
特許文献1に記載のジルコニウム化成液で皮膜を析出させた場合、優れた塗膜耐食性が得られる。しかし、ジルコニウム析出時にフッ素が皮膜中に取り込まれ、腐食環境下で皮膜中のフッ素が溶解し、腐食を進行するため、裸耐食性用途には不向きである。
特許文献2では、ジルコニウム、ハフニウム、チタニウム中のフッ素含有率を10%以下にする処理方法が提案されている。しかし、10%のフッ素含有率であっても、湿潤時に溶解したフッ素が腐食反応を促進するため、裸耐食性も要求される用途には不向きである。
特許文献3では、ジルコニウム皮膜形成後にアルカリ後処理を行うことによって、皮膜中のFを除去し、良好な裸耐食性を得られる手法が提案されている。しかし、皮膜処理工程と後処理工程の2工程で処理を行うことは、設備長が長くなり、適用は困難である。
特許文献4では、ジルコニウム及び銅イオンを使用し、皮膜を析出させる手法が提案されている。銅イオンを添加することによって、皮膜主成分であるジルコニウム及びフッ素の取込み量が増加する。湿潤時に溶解したフッ素が腐食反応を促進するため、裸耐食性も要求される用途には不向きである。
ジルコニウム皮膜は化学的に安定な酸化ジルコニウム皮膜によるバリヤ効果で優れた耐食性および密着性を発現する。しかし、皮膜中にFを含有するため、裸耐食性が要求される用途に適用することは困難であった。
金属メッキの分野で金属に銅を析出させる手法が一般的に使用されており、電気および還元剤を使用して、金属銅が析出する。金属銅は、鉄素材と異種金属間の電気腐食を起こすので、耐食性を重要視する用途には不向きである。
また、金属材料を、銅イオンを含んだ水溶液に浸漬すると、金属表面でエッチング反応が起こり、置換析出反応によって金属銅が析出する。金属銅は、鉄素材と異種金属間の電気腐食を起こすので、耐食性を重要視する用途には使用できない。
特許文献5では、リン酸亜鉛系化成処理後の金属材料表面に銅を析出させることによって塗膜密着性を上げる手法が提案されている。皮膜の欠陥部にリン酸銅が析出し耐食性を持たせているので、クロムやリン酸を含まない化成処理に関して何ら知見を与えるものではない。
特開2004−218073号公報 特開2004−218072号公報 特開2008−240045号公報 特開2005−264230号公報 特開平7−278891号公報
上述したように、従来、環境に有害な成分を含まない化成処理液を用いて、裸耐食性および塗膜密着性に優れる化成皮膜を鉄系材料の表面に形成することは不可能であった。
そこで、本発明は、環境に有害な成分を含まない化成処理液を用いて、裸耐食性および塗膜密着性に優れる化成皮膜を鉄系材料の表面に形成することを可能とする鉄系材料用化成処理液、その化成処理液を用いる鉄系材料の化成処理方法およびその化成処理方法を用いて得られる化成処理鉄系材料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、銅イオンおよび酸化剤を含む水溶液を鉄系材料の表面に接触させると、裸耐食性および塗膜密着性に優れる化成皮膜をその鉄系材料の表面に形成できることを知得し、本発明を完成した。
なお、本発明者らは、裸耐食性および塗膜密着性に優れる理由を、鉄系材料の表面に皮膜として析出した、酸化銅を含む金属酸化物のバリヤ効果によるものであると推定しているが、これのみに限定されるものではないことはいうまでもない。
すなわち、本発明は以下の(1)〜()を提供する。
)鉄系材料の表面に銅と鉄と酸素とを含有する化成皮膜を形成し、その後、前記化成皮膜を形成した鉄系材料の表面を水洗処理する鉄系材料用化成処理方法であって、
前記化成皮膜が、銅イオンと、硝酸、硝酸イオン、亜硝酸、亜硝酸イオン、過酸化水素、臭素酸、臭素酸イオン、塩素酸、塩素酸イオンおよび鉄(III)イオンから選択される少なくとも1種の酸化剤とを含有するpH2.0〜6.0の化成処理液に、前記鉄系材料を浸漬することにより形成され、
前記化成処理液中、
前記銅イオンの濃度が10〜1000mg/Lであり、かつ
前記酸化剤の濃度が10〜10000mg/Lである鉄系材料用化成処理方法。
)前記酸化剤が、硝酸イオン、亜硝酸イオン、過酸化水素、臭素酸イオン、塩素酸イオン、過マンガン酸イオンおよび鉄(III)イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記()に記載の鉄系材料用化成処理方法。
)前記化成処理液が、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤からなる群から選ばれるに少なくとも1種をさらに含有する、上記()または()に記載の鉄系材料用化成処理方法。
)前記化成処理液が、アルカリ土類金属イオンおよび/または周期表第13族金属イオンをさらに含有することを特徴とする上記()〜()のいずれか1つに記載の鉄系材料用化成処理方法。
)前記化成処理液が、乳酸、グリコール酸、シュウ酸および酒石酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類をさらに含有する、上記()〜()のいずれか1つに記載の鉄系材料用化成処理方法。
(6)銅、鉄および酸素を含有する化成膜を表面に有する化成処理鉄系材料であって、
前記化成皮膜中、X線光電子分光分析(島津製作所製ESCA−850M)を用いて、鉄系材料側とは反対側の表面からの深さ方向の定量的組成分析により化成皮膜中の元素分布を測定し、表層の銅原子の検出量と酸素原子の検出量と鉄原子の検出量の比率から計算した、銅に対する酸素の含有比{酸素/銅}が1〜10であり、鉄に対する銅の含有比{銅/鉄}が0.3〜10であり、かつ、
前記化成皮膜の銅付着量が10〜2000mg/mであることを特徴とする化成処理鉄系材料。
塗装下地および/または裸耐食性用途で使用される、上記(6)に記載の化成処理鉄系材料
本発明によれば、環境に有害な成分を含まない化成処理液を用いて、裸耐食性および塗膜密着性に優れる化成皮膜を鉄系材料の表面に形成することを可能とする鉄系材料用化成処理液、その化成処理液を用いる鉄系材料の化成処理方法およびその化成処理方法を用いて得られる化成処理鉄系材料を提供することができる。
実施例34の化成被膜の(A)デプスプロファイルおよび(B)銅のスペクトルのピークモンタージュを表す図である。 比較例8の化成被膜の(A)デプスプロファイルおよび(B)銅のスペクトルのピークモンタージュを表す図である。
以下、本発明の鉄系材料用化成処理液(以下、単に「本発明の化成処理液」ともいう。)、本発明の鉄系材料用化成処理方法(以下、単に「本発明の化成処理方法」ともいう。)および本発明の化成処理鉄系材料について詳細に説明する。
<鉄系材料>
本発明の化成処理液による化成処理の対象は鉄材料である。鉄材料とは、鉄を含有する金属材料であれば特に、限定されず、例えば、冷間圧延鋼板、ニッケルフラッシュされた冷間圧延鋼板、熱間圧延鋼板等の鋼板;鋳鉄;焼結材および亜鉛と一部合金化された鉄亜鉛合金メッキ鋼板等が挙げられる。
本発明においては、2種以上の鉄系材料を同時に化成処理することもできる。2種以上の鉄系材料を同時に化成処理する場合は、異種金属同士が接触しない状態で表面処理されてもよく、溶接、接着、リベット止め等の接合方法によって異種金属同士が接合接触した状態で表面処理されてもよい。
化成皮膜の表層の酸素、銅および鉄の含有比率は、公知の測定方法(X線光電子分光分析装置(以下「XPS」ともいい、例えば、島津製作所社製ESCA−850Mが好適なものの一例である。)等によって測定することができる。
なお、上記化成皮膜の表層とはイオンスパッタリングにて化成皮膜表面の汚れ由来のCを除去した後の、1層目の分析値のことである。
化成皮膜の鉄系材料側とは反対側の表層の銅に対する酸素の含有比(原子数比){酸素/銅}が1〜10である。化成皮膜には、銅を含む化合物の他に、一部素地金属が溶出した鉄イオンが水酸化物または酸化物として皮膜に取り込まれている。すなわち、銅に対する酸素の含有比(原子数比){酸素/銅}には、鉄化合物に含まれる酸素も含有比に含まれることとなる。銅に対する酸素の含有比(原子数比){酸素/銅}が1未満であると、表層の金属銅の比率が高くなり、充分な塗装後耐食性が得られない。銅に対する酸素の含有比(原子数比){酸素/銅}が10超であると、鉄酸化物の量が多くなり、充分な塗装後密着性が得られない。
本発明の化成皮膜は銅を含有し、その付着量が銅として10〜2000mg/mである。化成皮膜中の銅付着量、が上記範囲内であると、得られる化成処理鉄系材料の裸耐食性および塗装後耐食性が優れたものとなる。銅の付着量が10mg/m未満であると、化成皮膜の被覆率が充分でなく、裸耐食性および塗装後耐食性が劣る。銅の付着量が、2000mg/m超であると、均一な皮膜が析出せず、塗装後耐食性が劣る。銅付着量、が10〜600mg/mであると、得られる化成処理鉄系材料の裸耐食性および塗装後耐食性がより優れたものとなる傾向があるため、好ましい。さらに、銅付着量、が50〜500mg/mであると、得られる化成処理鉄系材料の裸耐食性および塗装後耐食性がより確実により優れたものとなるため、より好ましい。
上記銅付着量、は、公知の測定方法(蛍光X線分析装置(以下「XRF」ともいい、例えば、RIGAKU社製ZSX PrimusIIが好適なものの一例である。)等によって測定することができる。
<使用用途>
本発明の化成処理液により形成された処理皮膜は裸使用用途や塗装下地用途として使用できる。塗装としては特に限定されず、カチオン電着塗装、粉体塗装、溶剤塗装、水系塗装等を挙げることができる。
<化成処理液>
本発明の化成処理液は、銅イオン10〜1000mg/Lおよび酸化剤10〜10000mg/Lおよびフッ素イオン0〜500mg/Lを含み、pH2.0〜6.0の水溶液である。
本発明の化成処理液中の銅イオンの濃度が10mg/L未満であると、所定量の銅化合物が鉄系材料表面に形成されず、鉄系材料表面に被覆ムラが生じ、1000mg/Lを超えると、金属銅が表層に析出するため、いずれの場合も裸耐食性および塗装密着性に優れる化成被膜を鉄系材料の表面に形成することができなくなる。また、本発明の化成処理液中の銅イオンの含有量は25〜500mg/Lであるのが好ましく、50〜150mg/Lであるのがより好ましい。
銅イオンは酸化物および/または水酸化物として鉄系材料表面に化成処理皮膜を形成する役割を果たすと推定される。
また、腐食環境であるアノード(酸性)雰囲気下あるいはカソード(アルカリ性)雰囲気下では、銅と酸化物を含む皮膜が一部溶出し、犠牲防食として作用するため、鉄の腐食進行を抑制すると推定している。
銅イオンは、一価または二価の銅イオンで目的の性能が得られ、銅イオンの供給源としては特に限定されず、例えば、硝酸銅、硫酸銅、フッ化銅、酸化銅、水酸化銅、炭酸銅、塩化銅等の化合物を挙げることができる。
本発明の化成処理液中の酸化剤の濃度が10mg/L未満または10000mg/L超であると、酸化剤として必要かつ十分な効果を発揮することができず、裸耐食性および塗装耐食性に優れる化成被膜を鉄系材料の表面に形成することができない。また、本発明の化成処理液中の酸化剤の濃度は、10〜5000mg/Lであるのが好ましく、80〜700mg/Lであるのがより好ましい。なお、硝酸に代表されるように、酸化剤がエッチングされた被処理金属材料成分を処理浴中に保持するための酸として働く場合は、上記した範囲内で、必要に応じて添加量を増加しても構わない。
前記酸化剤は、鋼板上での酸化銅および酸化鉄の析出を促進するとともに、金属銅の還元析出を抑制し、裸耐食性および塗膜密着性に優れた皮膜を析出させる。
上記酸化剤としては、例えば、硝酸、硝酸イオン、亜硝酸、亜硝酸イオン、過酸化水素、臭素酸、臭素酸イオン、塩素酸、塩素酸イオン、鉄(III)イオン等を挙げることができる。
本発明の化成処理液は、上記酸化剤のうち少なくとも1種類を含むことが好ましい。
化成処理液のpHが2.0未満であると、エッチング過多となり、鉄系材料表面の劣化の原因や、均一な金属酸化皮膜形成ができなくなる。また、pHが6.0を超えると、エッチングが不十分となり、金属酸化皮膜が得られない。
また、本発明の化成処理液のpHは、3.5〜6.0であるのが好ましい。エッチングに伴う界面のpH上昇で金属酸化物を形成させることから、pHが重要である。
本発明の化成処理液のpHを調整するために、硝酸、硫酸酸性化合物、および、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等の塩基性化合物を使用することができる。
また、本発明の化成処理液のpH調整としてフッ素化合物を使用することもできる。本発明の化成処理液中で解離したフッ素イオンは、鋼板表面のエッチング剤としての役割を果たすものである。フッ素イオンの供給源としては特に限定されず、公知のフッ素化合物を使用することができる。フッ素化合物を使用した場合、遊離フッ素イオン含有量は、500mg/L以下であることが好ましく、250mg/L以下であることがより好ましく、150mg/L以下であることがさらに好ましく、50mg/L以下であることがいっそう好ましく、含有しないこと(0mg/Lであること、またはフッ素イオンメーターによって検出されないこと)がよりいっそう好ましい。500mg/Lを超えると、エッチング過多となり、得られる化成処理皮膜が不十分である。
フッ素化合物を添加した場合は、皮膜中へのフッ素取込み量は5原子%以下であることが好ましく、3原子%以下であることがより好ましく、1原子%以下であることがさらに好ましく、検出されないことがいっそう好ましい。フッ素の取り込みが5原子%超であると湿潤環境下でフッ素が溶出し、裸耐食性が悪化する。
特に、ジルコニウム化合物とフッ素化合物との併用はしないことが好ましい。皮膜中にジルコニウムとフッ素とが同時に取り込まれると、取込み量に依存するが、本発明の化成処理鉄系材料の裸耐食性に悪影響を及ぼすからである。
前記したフッ素原子の取込み量の条件の下、本発明の化成被膜中へのジルコニウムおよびフッ素の取込み量の合計は10原子%以下であり、5原子%以下であることがより好ましく、3原子%以下であることがさらに好ましく、1原子%以下であることがいっそう好ましく、検出されないことがよりいっそう好ましい。
本発明の化成処理液は、さらに、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤の群の中からなる少なくとも1種の界面活性剤を含んでもよい。
本発明方法に用いられるノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー等のポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール型ノニオン性界面活性剤、および脂肪酸アルキロールアミド等のアミド型ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
本発明方法に用いられるカチオン性界面活性剤としては、例えば高級アルキルアミン塩、ポリオキシエチレン高級アルキルアミン等のアミン塩型カチオン性界面活性剤、およびアルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤が挙げられる。
また、アニオン性界面活性剤は一般的に酸性領域における溶解度が低く、この本発明に実用することが困難なものが多い。しかし、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩のようにエチレンオキサイドが付加されているタイプのものであれば、酸性領域においても良好な溶解性が確保されるため、添加実用が可能となる。
さらに、本発明の化成処理液には密着性付与剤として、アルカリ土類金属イオンおよび/または周期表第13族金属イオンを含んでもよい。密着性付与剤を含むと、化成被膜と鉄系材料との密着性が向上することによって、耐食性が向上する効果が期待できる。
アルカリ土類金属イオンは特に限定されないが、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等を挙げることができる。
周期表第13族金属イオンは特に限定されないが、例えば、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオン、タリウムイオン等を挙げることができる。
これらのアルカリ土類金属イオンおよび/または周期表第13族金属イオンは、1種類を単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の化成処理液中の上記アルカリ土類金属イオンおよび周期表第13族金属イオンの合計の含有量は、得られる化成被膜の鉄系材料に対する密着性の向上および経済性の観点から、10〜5000mg/Lが好ましく、10〜1000mg/Lがより好ましく、10〜500mg/Lがさらに好ましく、10〜200mg/Lがいっそう好ましい。
本発明の化成処理液中の上記アルカリ土類金属イオンおよび/または周期表第13族金属イオンの合計の含有量が、10mg/L未満であると、十分な量が銅と共析しないため、得られる化成被膜の鉄系材料に対する密着性の向上が十分でなく、5000mg/L超であると、5000mg/L含有時に比べて密着性の向上がみられず、経済的に不利である。
さらに、本発明の化成処理液には安定化剤として、乳酸、グリコール酸、シュウ酸、酒石酸を含んでもよい。安定化剤を含むと、安定化剤とエッチングによって溶出した鉄とが錯体を形成することによって、鉄スラッジの発生を抑制し、処理液が安定化する効果を期待できる。
<化成処理方法>
本発明の化成処理方法は、鉄系材料に、上述した化成処理液を接触させる処理液接触工程を有する表面処理方法である。鉄系材料に化成処理液を接触させることにより、その表面に銅を含む金属酸化物および金属水酸化物皮膜が析出し、裸耐食性および塗装後耐食性に優れた化成処理皮膜層が形成され、化成処理鉄系材料が得られる。
上記本発明の化成処理液による鉄系材料の化成処理は、特に限定されるものではなく、通常の処理条件によって本発明の化成処理液と鉄系材料表面とを接触させることによって行うことができる。上記鉄系材料用化成処理における処理温度は、下限20℃、上限60℃の範囲内であることが好ましい。上記鉄系材料用化成処理における処理時間は、下限10秒、上限600秒の範囲であることが好ましい。鉄系材料用化成処理方法としては特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法、ロールコート法を挙げることができる。
上記化成処理鉄系材料の表面は、上記本発明の化成処理液によって処理される前に脱脂処理、脱脂後水洗処理を行い、鉄系材料用化成処理後に水洗処理を行うことが好ましい。上記脱脂処理は、基材表面に付着している油分や汚れを除去するために行われるものであり、特に限定されるものではない。所望により、脱脂処理の前に、予備脱脂処理を行うことも可能である。
上記脱脂後水洗処理は、脱脂処理後の脱脂剤を水洗するために、水洗水によって1回または2回以上行うことが好ましい。この脱脂後水洗処理においては、スプレー水洗または浸漬水洗のどちらでもよく、これらの方法を組み合わせて水洗することもできる。
本発明の化成処理液を用いて、鉄系素材を化成処理する場合は、被処理鉄系材料を予め脱脂処理し、清浄化しなくとも良好な皮膜を形成させることができる。すなわち、この化成処理液は脱脂化成兼用化成処理剤として使用できる。
上記鉄系材料用化成処理後水洗処理は、その後の裸耐食性、各種塗装後の密着性等に悪影響を及ぼさないようにするために1回または2回以上行うことが好ましい。水洗を行う場合、最終の水洗は、洗浄水に含まれる不純物の影響を回避する観点から、純水を使用することが好ましい。この化成後水洗処理においては、スプレー水洗または浸漬水洗のどちらでもよく、これらの方法を組み合わせて水洗することもできる。
本発明の化成処理液を使用する化成処理において電着塗装を行う場合には、上記化成処理後水洗処理の後で乾燥工程は必ずしも必要ではない。乾燥工程を行わずに処理皮膜がウェットな状態のまま、各種塗装を行っても得られる性能に影響は与えない。また、別工程で塗装を施す場合は、工程間での錆発生を防止する面から、化成処理後水洗処理の後で乾燥することが好ましい。乾燥を行う場合は、冷風乾燥、熱風乾燥等どのような手法でも性能に影響を及ぼさない。
本発明の化成処理方法は、化成被膜中にフッ素がほとんど取り込まれないため、化成処理工程後にアルカリ処理工程を行う必要がない。そのため、従来の方法よりも工程数を少なくすることができる。しかも、アルカリ処理工程がないので、環境負荷をより低減することができる。本発明の化成処理方法は、化成処理を1工程で済ませたいというユーザーの要求を満たすものである。
また、本発明の化成処理方法は、化成被膜の形成が化成処理液と鉄系材料を接触させるだけで行うことができる。そのため、設備コストを抑えたいというユーザーの要求を満たすものである。
本発明は、鉄系材料表面に強固な皮膜を形成することによって、表面に優れた耐食性と塗膜密着性を付与された化成処理鉄系材料、ならびにその鉄系材料用化成処理方法とその化成処理組成物に関するものである。本発明の提供する化成処理鉄系材料、ならびに化成処理組成物は有害な6価クロムおよびリン酸を含有せず、鉄系材料表面に高い耐食性、塗膜密着性を付与することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[鉄系材料およびその前処理(清浄化)方法]
〈鉄系材料〉
70×150mm、板厚0.8mmの冷延鋼板(SPCC−SD)、70×150mm、板厚1.2mmの熱延鋼板(SPH)、70×150mm、板厚0.8mmの亜鉛メッキ鋼板(GA鋼板)を用い、下記処理工程にて処理を行った。なお、水切り乾燥後の試験板は裸耐食性を評価し、最終的に塗装まで施された試験板については、塗装後耐食性を評価した。
〈清浄化〉
脱脂剤(商品名:ファインクリーナーE2001(A剤13g/L、B剤7g/L)、日本パーカライジング社製)を使用して、液温40℃で120秒間スプレーすることにより金属材料の表面を脱脂した。その後、水道水にて30秒間スプレー水洗を行い、鉄系材料の表面に残存している脱脂剤と水を置換した。
[処理液接触工程]
後述する組成の化成処理液を調製し、その後以下の各実施例に示す方法により、清浄化した鉄系材料の化成処理を行った。化成処理後、各鉄系材料の表面を水道水にて常温下で30秒間スプレー水洗し、さらに常温下で30秒間脱イオン水でスプレー水洗を行い、冷風にて乾燥した。
[測定方法・試験方法]
〈皮膜中の金属の定量方法〉
成分付着量は、水切乾燥後の板を、蛍光X線分析装置(ZSXprimusII、株式会社リガク製)を用いて測定した。結果を第1表に示す。
〈化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定方法〉
水切り乾燥後の板を、X線光電子分光分析(島津製作所製ESCA−850M)を用いて、深さ方向の定量的組成分析により化成皮膜中の元素分布を測定し、表層の銅原子の検出量と酸素原子の検出量と鉄原子の検出量の比率から計算した。結果を第1表に示す。
なお、上記化成皮膜の表層とはイオンスパッタリングにて化成皮膜表面の汚れ由来のCを除去した後の、1層目の分析値のことである。
〈耐湿性試験(裸耐食性の評価)〉
冷風にて乾燥した板を、JIS K 5600−7−2に従い、温度50±1℃、湿度95%以上に設定した耐湿性測定装置(商品名「湿潤試験機」、スガ試験機株式会社製)に1時間保持した後、実験室内で速やかに観察し、下記判定基準に従いスコアを付けた。結果を第2表に示す。
判定基準
10点:錆発生認められず(最良)
9点:試験板上にごくわずかな点錆が発生
8点:試験板上に点錆が2〜3点発生
7点:試験板に占める錆面積の割合 5〜10%
6点:同 10〜20%
5点:同 20〜30%
4点:同 30〜40%
3点:同 40〜50%
2点:同 50〜60%
1点:同 60〜100%(最悪)
《塩水噴霧試験(塗装後耐食性の評価)》
塗装焼付け後の板をJIS K 5600−7−1に従い、試験板上の塗装面に、カッターナイフを用いてクロスカットを入れ、塩水噴霧試験機中で所定時間保持した。860時間塩水噴霧後、テープ剥離を行い、カット部からの片側最大剥離幅を計測した。結果を第2表に示す。
《塗装性能試験のためのカチオン電着塗装》
電着塗料として関西ペイント社製「GT−10」を用いた。上記処理液接触工程により得られた鉄系材料を180秒間定電圧陰極電解して、塗膜を鉄系材料の表面に析出させた後、脱イオン水でスプレー水洗して、170℃で20分間加熱焼付けした。なお、電圧の制御により、電着膜厚を20μmに調整した。
[実施例1]
1.化成処理液1を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液1の調製は、下記成分(A)、(B)をこの順に下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液1を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして10mg/L
(B)硝酸:硝酸イオンとして20mg/L
(2)化成処理液1を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例2]
1.化成処理液2を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液2の調製は、下記成分(A)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液2を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして1000mg/L
(2)化成処理液2を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例3]
1.化成処理液3を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液3の調製は、下記成分(A)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH2.0に調整し、化成処理液3を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして50mg/L
(2)化成処理液3を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例4]
1.化成処理液4を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液4の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH6.0に調整し、化成処理液4を得た。
(A)フッ化銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)過酸化水素:過酸化水素として20mg/L
(2)化成処理液4を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例5]
1.化成処理液5を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液5の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液5を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして400mg/L
(B)硝酸ナトリウム:硝酸イオンとして2000mg/L
(2)化成処理液5を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例6]
1.化成処理液6を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液6の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液6を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして800mg/L
(B)亜硝酸ナトリウム:亜硝酸イオンとして20mg/L
(2)化成処理液6を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例7]
1.化成処理液7を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液7の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液7を得た。
(A)炭酸銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)過酸化水素:過酸化水素として20mg/L
(2)化成処理液7を用いて、45秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例8]
1.化成処理液8を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液8の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液8を得た。
(A)フッ化銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)臭素酸ナトリウム:臭素酸イオンとして20mg/L
(2)化成処理液8を用いて、180秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例9]
1.化成処理液9を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液9の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液9を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして50mg/L
(B)塩素酸ナトリウム:塩素酸イオンとして20mg/L
(2)化成処理液9を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例10]
1.化成処理液10を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液10の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液10を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして50mg/L
(B)過マンガン酸カリウム:過マンガン酸として20mg/L
(2)化成処理液10を用いて、45秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例11]
1.化成処理液11を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液11の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液11を得た。
(A)フッ化銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)硝酸鉄(III):鉄イオンとして20mg/L
(2)化成処理液11を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例12]
1.化成処理液12を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液12の調製は、下記成分(A)、(B)、(C)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液12を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして200mg/L
(B)亜硝酸ナトリウム:亜硝酸イオンとして20mg/L
(C)硝酸アルミニウム:アルミニウムイオンとして100mg/L
(2)化成処理液12を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素、鉄および密着性付与剤の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例13]
1.化成処理液13を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液13の調製は、下記成分(A)、(B)、(C)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液13を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)過酸化水素:過酸化水素として20mg/L
(C)硝酸カルシウム:カルシウムイオンとして100mg/L
(2)化成処理液13を用いて、90秒間、30℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素、鉄および密着性付与剤の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例14]
1.化成処理液14を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液14の調製は、下記成分(A)、(B)、(C)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液14を得た。
(A)炭酸銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)硝酸鉄(III):鉄イオンとして20mg/L
(C)硝酸マグネシウム:マグネシウムイオンとして100mg/L
(2)化成処理液14を用いて、90秒間、45℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素、鉄および密着性付与剤の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例15]
1.化成処理液15を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液15の調製は、下記成分(A)、(B)、(C)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH3.0に調整し、化成処理液15を得た。
(A)フッ化銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)硝酸:硝酸イオンとして20mg/L
(C)硝酸ストロンチウム:ストロンチウムイオンとして100mg/L
(2)化成処理液15を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素、鉄および密着性付与剤の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例16]
1.化成処理液16を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液16の調製は、下記成分(A)、(B)、(C)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH5.0に調整し、化成処理液16を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)臭素酸ナトリウム:臭素酸イオンとして20mg/L
(C)硝酸バリウム:バリウムイオンとして100mg/L
(2)化成処理液16を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素、鉄および密着性付与剤の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例17]
1.化成処理液17を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液17の調製は、下記成分(A)、(B)、(C)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液17を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)塩素酸ナトリウム:塩素酸イオンとして20mg/L
(C)乳酸:乳酸として50mg/L
(2)化成処理液17を用いて、90秒間、55℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。その後、上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例18]
1.化成処理液18を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液18の調製は、下記成分(A)、(B)、(C)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液18を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして600mg/L
(B)塩素酸ナトリウム:塩素酸イオンとして20mg/L
(C)グリコール酸:グリコール酸として50mg/L
(2)化成処理液18を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例19]
1.化成処理液19を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液19の調製は、下記成分(A)、(B)、(C)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液19を得た。
(A)フッ化銅(II):銅イオンとして50mg/L
(B)過マンガン酸カリウム:過マンガン酸イオンとして20mg/L
(C)しゅう酸:しゅう酸として50mg/L
(2)化成処理液19を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例20]
1.化成処理液20を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液20の調製は、下記成分(A)、(B)、(C)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液20を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして50mg/L
(B)硝酸鉄(III):鉄イオンとして20mg/L
(C)酒石酸カリウム:酒石酸として50mg/L
(2)化成処理液20を用いて、45秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例21]
1.化成処理液21を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液21の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液21を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして50mg/L
(B)フッ化水素酸:フッ素イオンメーターにて50mg/Lになるように添加
(2)化成処理液21を用いて、90秒間、45℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例22]
1.化成処理液22を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液22の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液22を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして25mg/L
(B)臭素酸ナトリウム:臭素酸イオンとして20mg/L
(2)化成処理液22を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例23]
1.化成処理液23を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液23の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH3.0に調整し、化成処理液23を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして25mg/L
(B)硝酸鉄(III):鉄イオンとして20mg/L
(2)化成処理液23を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例24]
1.化成処理液24を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液24の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液24を得た。
(A)フッ化銅(II):銅イオンとして250mg/L
(B)亜硝酸ナトリウム:亜硝酸イオンとして20mg/L
(2)化成処理液24を用いて、450秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例25]
1.化成処理液25を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液25の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液25を得た。
(A)塩化銅(I):銅イオンとして50mg/L
(B)過酸化水素:過酸化水素として20mg/L
(2)化成処理液25を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例26]
1.化成処理液26を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液26の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液26を得た。
(A)炭酸銅(II):銅イオンとして50mg/L
(B)硝酸:硝酸イオンとして100mg/L
(2)化成処理液26を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例27]
1.化成処理液27を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液27の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液27を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして50mg/L
(B)過酸化水素:過酸化水素として20mg/L
(2)化成処理液27を用いて、90秒間、20℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。その後、上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例28]
1.化成処理液28を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液28の調製は、下記成分(A)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液28を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして50mg/L
(2)化成処理液28を用いて、90秒間、60℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例29]
1.化成処理液29を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液29の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液29を得た。
(A)炭酸銅(II):銅イオンとして50mg/L
(B)硝酸:硝酸イオンとして100mg/L
(2)化成処理液29を用いて、10秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例30]
1.化成処理液30を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液30の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液30を得た。
(A)フッ化銅(II):銅イオンとして50mg/L
(B)硝酸:硝酸イオンとして100mg/L
(2)化成処理液30を用いて、600秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例31]
1.化成処理液31を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPH)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液31の調製は、下記成分(A)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液31を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして50mg/L
(2)化成処理液31を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例32]
1.化成処理液32を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液32の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液32を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして50mg/L
(B)ポリエチレングリコール(MW:2000):ポリエチレングリコールとして1000mg/L
(2)化成処理液32を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例33]
1.化成処理液33を調製し、清浄化していない鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液33の調製は、下記成分(A)、(B)、(C)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液33を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)硝酸ナトリウム:硝酸イオンとして600mg/L
(C)ポリエチレングリコール(MW:1000):ポリエチレングリコールとして1000mg/L
(2)化成処理液33を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料のスプレー処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[実施例34]
1.化成処理液34を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液34の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液34を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)硝酸ナトリウム:硝酸イオンとして60mg/L
(2)化成処理液34を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[比較例1]
1.化成処理液35を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液35の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液35を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして5mg/L
(B)硝酸:硝酸イオンとして100mg/L
(2)化成処理液35を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[比較例2]
1.化成処理液36を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液36の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液36を得た。
(A)硝酸銅(II):銅イオンとして1500mg/L
(B)硝酸:硝酸イオンとして100mg/L
(2)化成処理液36を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[比較例3]
1.化成処理液37を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液37の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH1.5に調整し、化成処理液37を得た。
(A)炭酸銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)硝酸:硝酸イオンとして100mg/L
(2)化成処理液37を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[比較例4]
1.化成処理液38を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液38の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH8.0に調整し、化成処理液38を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして100mg/L
(B)硝酸:硝酸イオンとして100mg/L
(2)化成処理液38を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[比較例5]
1.化成処理液39を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液39の調製は、下記成分(A)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、アンモニア水または硫酸水溶液を用いてpH4.0に調整し、化成処理液39を得た。
(A)炭酸銅(II):銅イオンとして800mg/L
(2)化成処理液39を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[比較例6]
1.化成処理液40を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液40の調製は、下記成分(A)、(B)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、硝酸および水酸化ナトリウムを用いてpH4.0に調整し、化成処理液40を得た。
(A)ジルコンフッ化水素酸(HZrF):ジルコニウムとして250mg/L
(B)硝酸亜鉛:亜鉛イオンとして500mg/L
(2)化成処理液40を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の試験を行った。
(1)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[比較例7]
1.化成処理液41を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液41の調製は、下記成分(A)、(B)、(C)、(D)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、硝酸および水酸化ナトリウムを用いてpH4.0に調整し、化成処理液41を得た。
(A)ジルコンフッ化水素酸(HZr):ジルコニウムとして250mg/L
(B)硝酸亜鉛:亜鉛イオンとして500mg/L
(C)硝酸銅(II):銅イオンとして5mg/L
(D)親水性フュームドシリカ(日本アエロジル社製):ケイ素として200mg/L
(2)化成処理液41を用いて、90秒間、35℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の試験を行った。
(1)耐湿性試験および塩水噴霧試験
[比較例8]
1.化成処理液42を調製し、上記した方法で清浄化した鉄系材料(SPCC)の化成処理を行い、鉄系材料上に化成皮膜を形成した。
(1)化成処理液42の調製は、下記成分(A)を下記の濃度となるように水に添加し、常温で20分間攪拌した。次いで、所定温度に加温し、硫酸を用いてpH1.5に調整し、化成処理液42を得た。
(A)硫酸銅(II):銅イオンとして636mg/L
(2)化成処理液42を用いて、60秒間、25℃の条件で、清浄化した鉄系材料の浸漬処理を行った。
(3)上記した方法で水洗、脱イオン水洗、冷風乾燥を行い、化成処理鉄系材料を得た。
2.得られた化成処理鉄系材料を用いて、上記した方法に従って、以下の測定および試験を行った。
(1)銅付着量、化成皮膜表層の銅、酸素および鉄の含有率の測定
(2)耐湿性試験および塩水噴霧試験
化成処理液1〜43について、銅(銅イオンとして)濃度、酸化剤の種類および濃度、密着性付与剤の種類および濃度、安定化剤の種類および濃度、フッ素(フッ素イオンとして)の濃度、その他の添加剤の種類および濃度ならびにpHについて第1表に記載する。
第1表中の銅、酸化剤、密着性付与剤、安定化剤、フッ素およびその他の濃度に記載した数字は濃度[mg/L]を表す。なお、フッ素はフッ素イオン濃度である。
また、第1表中、酸化剤および密着性付与剤は以下のものである。
酸化剤1:硝酸イオン(NO
酸化剤2:亜硝酸イオン(NO
酸化剤3:過酸化水素(H
酸化剤4:臭素酸イオン(BrO
酸化剤5:塩素酸イオン(ClO
酸化剤6:過マンガン酸イオン(MnO
酸化剤7:鉄(III)イオン(Fe3+
密着性付与剤1:アルミニウムイオン(Al3+
密着性付与剤2:カルシウムイオン(Ca2+
密着性付与剤3:マグネシウムイオン(Mg2+
密着性付与剤4:ストロンチウムイオン(Sr2+
密着性付与剤5:バリウムイオン(Ba2+
安定化剤1:乳酸
安定化剤2:グリコール酸
安定化剤3:しゅう酸
安定化剤4:酒石酸
PEG1:ポリエチレングリコール(MW:1000)
PEG2:ポリエチレングリコール(MW:2000)
第2表には、実施例1〜34および比較例1〜8についての測定結果および試験結果を示す。ただし、比較例6および7については、化成皮膜中にFを含有するジルコニウム皮膜であり、本発明の皮膜とは関係性を持たないので、測定を行っておらず、測定結果も掲載していない。
第2表中、処理条件の温度、時間の単位は、それぞれ、[℃]、[秒]である。また、測定結果のCu、O/Cu、Cu/Fe、ADは、それぞれ、化成皮膜の銅含有量[mg/m]、化成皮膜表層の酸素含有率と銅含有率との比、銅含有率と鉄含有率との比、密着性付与剤含有率[mg/m]を表す。また、試験結果の「耐湿性」、「塩水噴霧」は、それぞれ、裸耐食性試験(耐湿性試験)の判定結果(スコア)[点]、塗装後耐食性試験(塩水噴霧試験)の結果(片側最大剥離幅)[mm]を表す。なお、塗装後耐食性試験の結果において、<3[mm]とは3[mm]未満であったことを示す。
<総論>
実施例1〜34に係る化成皮膜は、第2表の測定結果の欄に示すように、{酸素/銅}、{銅/鉄}および化成皮膜の銅付着量、が、それぞれ、1〜10、0.3〜10および10〜2000mg/mの範囲内にあるものである。
実施例1〜34に係る化成処理鉄系材料は、第2表の試験結果の欄に示されるように、裸耐食性および塗装後耐食性が優れるものであった。
実施例1〜34に係る化成皮膜は表層に酸化銅の皮膜が均一に析出しているため、良好な裸耐食性および塗装後耐食性が得られたと考えられる。
一方、比較例1〜5および8に係る化成皮膜は、第1表の測定結果の欄に示すように、{酸素/銅}、{銅/鉄}および銅付着量、の少なくとも1つが上記範囲内にないものであり、比較例6および7は本発明の皮膜とは関係性を持たない化成皮膜である。
比較例1〜8に係る化成処理鉄系材料は、第2表の試験結果の欄に示されるように、裸耐食性(耐湿性)および塗装後耐食性(塩水噴霧)のいずれか一方または両方が劣悪なものであった。
<各論>
実施例2、5、6および18は、銅付着量、が800〜2000mg/mのものであるが、これらの裸耐食性および塗装後耐食性は、他の実施例(実施例29を除く)に比べると劣るものであった。
従って、銅付着量、は、10〜600mg/mの範囲内であると、より好ましいとわかる(実施例1、28等を参照)。
また、実施例29は、実施例1と対比すると、{酸素/銅}、{銅/鉄}および銅付着量、において差異が認められないものの、裸耐食性および塗装後耐食性は劣るものであった。
この詳細な理由は容易に説明できるものではないが、より確実に所望の作用効果を奏する傾向が認められる理由から、銅付着量は、50〜500mg/mの範囲内であると、さらに好ましいとわかる(実施例3、28等を参照)。
図1は、実施例34の化成被膜表層のX線光電子分光化学分析結果を表す図である。「(B)深さ方向のピークモンタージュ」から、表面側に存在する銅は、銅酸化物等のみであり、金属銅は存在しないことがわかる。
化成被膜表面に金属銅が存在しないことは、裸耐食性および塗装後耐食性について所望の作用効果を奏するために必須であると考えられる。
比較例1および2は、鉄系材料側とは反対側の表面の銅に対する酸素の含有比{酸素/銅}が範囲外のものである。また、比較例2は、化成皮膜の銅付着量、および鉄に対する銅の含有比{銅/鉄}が範囲外のものでもある。銅イオン濃度が10mg/Lよりも小さい5mg/L(比較例1)では、裸耐食性および塗装後耐食性がともに不良であった。また、銅イオン濃度が1000mg/Lよりも大きい1500mg/L(比較例2)では、裸耐食性は良好であったが、塗装後耐食性が不良であった。これは、化成処理液中の銅イオン濃度が範囲外のものであることに起因すると考えられる。
比較例3および4は、鉄系材料側とは反対側の表面の銅に対する酸素の含有比{酸素/銅}が範囲外のものである。また、比較例3は、鉄に対する銅の含有比{銅/鉄}が範囲外のものでもある。pHが2よりも低い1.5(比較例3)およびpHが6よりも高い8(比較例4)では、裸耐食性および塗装後耐食性がともに不良であった。これは、化成処理液のpHが範囲外のものであることに起因すると考えられる。
比較例5は、鉄系材料側とは反対側の表面の銅に対する酸素の含有比{酸素/銅}および鉄に対する銅の含有比{銅/鉄}が範囲外のものである。裸耐食性および塗装後耐食性がともに不良であった。これは酸化剤を含有しなかったことに起因すると考えられる。
比較例6および7は、それぞれ、特許文献1に記載された発明の実施例1および6に係る化成処理材を使用したものである。裸耐食性が不良であったが、これは、化成被膜中にジルコニウムとフッ素が比較的高い原子濃度で存在するため、湿潤下でFが溶出することにより、腐食が促進されたと考えられる。
比較例8は、銅の化学置換めっきに関する文献、「尾形幹夫,『硫酸銅溶液中での鉄に対する銅の化学置換メッキ』,金属表面技術,金属表面技術協会,1975年,第26巻,第12号,p.592−596」(以下「尾形(1975)」という。)に記載された条件で化成処理(第1表の化成処理液42、第2表の処理条件を参照)を行ったものである。
比較例8は、鉄系材料に金属銅を化学置換めっきしたものと同等であり、表面が銅板のような外観の化成処理鉄系材料が得られた。鉄系材料と銅めっき皮膜との密着性は、上記文献にも記載があるように良好なものであるが、第2表に記載の試験結果から理解できるように、裸耐食性および塗装後耐食性がともに不良であった。
図2は、比較例8の化成被膜表層のX線光電子分光化学分析結果を表す図である。「(B)深さ方向のピークモンタージュ」から、表面側に存在する銅は、銅酸化物等も存在するが、金属銅がかなり存在していることがわかる。
比較例8によって得られる化成被膜は、外観上、銅めっきがされたかのようであり、また、鉄系材料側とは反対側の表面の銅に対する酸素の含有比{酸素/銅}が0.3と、1.0未満であった。尾形(1975)に記載された化成処理液には酸化剤を含んでいないため、化成被膜中への酸素の取込みが不十分だったと考えられる。化成皮膜表面に金属銅が存在したため、裸耐食性および塗装後耐食性について劣悪となったものと考えられる。

Claims (7)

  1. 鉄系材料の表面に銅と鉄と酸素とを含有する化成皮膜を形成し、その後、前記化成皮膜を形成した鉄系材料の表面を水洗処理する鉄系材料用化成処理方法であって、
    前記化成皮膜が、銅イオンと、硝酸、硝酸イオン、亜硝酸、亜硝酸イオン、過酸化水素、臭素酸、臭素酸イオン、塩素酸、塩素酸イオンおよび鉄(III)イオンから選択される少なくとも1種の酸化剤とを含有するpH2.0〜6.0の化成処理液に、前記鉄系材料を浸漬することにより形成され、
    前記化成処理液中、
    前記銅イオンの濃度が10〜1000mg/Lであり、かつ
    前記酸化剤の濃度が10〜10000mg/Lである鉄系材料用化成処理方法。
  2. 前記酸化剤が、硝酸イオン、亜硝酸イオン、過酸化水素、臭素酸イオン、塩素酸イオン、過マンガン酸イオンおよび鉄(III)イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の鉄系材料用化成処理方法。
  3. 前記化成処理液が、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤からなる群から選ばれるに少なくとも1種をさらに含有する、請求項またはに記載の鉄系材料用化成処理方法。
  4. 前記化成処理液が、アルカリ土類金属イオンおよび/または周期表第13族金属イオンをさらに含有することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の鉄系材料用化成処理方法。
  5. 前記化成処理液が、乳酸、グリコール酸、シュウ酸および酒石酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類をさらに含有する、請求項のいずれか1項に記載の鉄系材料用化成処理方法。
  6. 、鉄および酸素を含有する化成膜を表面に有する化成処理鉄系材料であって、
    前記化成皮膜中、X線光電子分光分析(島津製作所製ESCA−850M)を用いて、鉄系材料側とは反対側の表面からの深さ方向の定量的組成分析により化成皮膜中の元素分布を測定し、表層の銅原子の検出量と酸素原子の検出量と鉄原子の検出量の比率から計算した、銅に対する酸素の含有比{酸素/銅}が1〜10であり、鉄に対する銅の含有比{銅/鉄}が0.3〜10であり、かつ、
    前記化成皮膜の銅付着量が10〜2000mg/mであることを特徴とする化成処理鉄系材料。
  7. 塗装下地および/または裸耐食性用途で使用される、請求項に記載の化成処理鉄系材料。
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