JP3816363B2 - 耐食性に優れる表面処理アルミニウム材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気製品、器物、装飾品、建材、自動車部品、フィン材等に好適に用いられるアルミニウム製品またはアルミニウム合金製品に用いられて好適な下地処理が施されたアルミニウム材とその製造方法に係わり、耐食性と塗膜密着性を高めることができる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、アルミニウム板やアルミニウム合金板に塗装を施す場合には、塗膜の密着性を高めるために塗装下地処理が行われている。
従来の塗装下地処理としては、クロメート処理、ベーマイト処理などの化学皮膜処理や多孔質陽極酸化処理等が挙げられる。これらの塗装下地処理に要求される特性としては、塗膜密着性並びに塗装後耐食性に優れていることなどである。
ところが、従来の塗装下地処理においては、以下のような問題点があった。
前記クロメート処理では、塗膜密着性や耐食性は優れた性能を示すが、クロメート皮膜を塗布する際のクロム含有排水が環境汚染につながり、排水処理にコストがかかってしまうという欠点があり、また、食品関係の用途には皮膜中のクロムが人体に有害であることから、脱クロム化の要求がなされている。
【0003】
前記ベーマイト処理では、皮膜の厚みを薄くすると耐食性が悪くなるため、通常厚さ1μm(10000Å)以上の皮膜を形成するのが一般的であり、また、表面に羽毛状の凹凸を有するためアンカー効果が得られ、塗膜との密着性が高い傾向にあるとされているが、ベーマイト皮膜の含水量が通常15〜30重量%と高く、特に焼付け塗装する場合にベーマイト皮膜からの水分の揮散に起因して塗膜密着性が著しく劣化してしまうおそれがある。又、皮膜が多孔質であるため、腐食性物質が容易にアルミニウム基材に達してしまい、耐食性も充分なものとはならなかった。
【0004】
前記多孔質陽極酸化処理では、焼き付け塗装する場合に、前述のベーマイト処理と同様に皮膜の多孔質部分からの水分やイオンの揮散に起因して塗膜密着性が劣ってしまう問題があり、この対策として多孔質陽極酸化皮膜に通常施している封孔処理を行わないなどの対策がとられるが、この場合には耐食性が不十分になることがある。また、多孔質陽極酸化処理では、均一に酸化皮膜を形成させるために、脱脂、エッチング、デスマット、電解、封孔などの複数の処理が必要となり、コスト高となってしまう傾向がある。
【0005】
これらの背景から本願出願人においては先に、特開平8−283990号公報などに開示されている如き無孔質陽極酸化皮膜を開発し、塗膜密着性並びに塗装後耐食性に富むアルミニウム材を提供した。
この特許に係るアルミニウム材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に、厚さが70〜2000Å(0.007μm〜0.2μm)、含水量が1〜5重量%、空孔率が5%以下の無孔質陽極酸化皮膜を形成したものである。また、このアルミニウム材は、従来の多孔質陽極酸化皮膜が多孔質に起因する表面部分の凹凸によりアンカー効果を発揮させて塗膜密着性を得ているという塗膜密着性生成の理論ではなく、多孔質部分を無くすることで多孔質部分に含まれていた水分やイオンを無くし、塗膜乾燥時に水分やイオン成分が揮散することに起因する塗膜密着性の低下現象を生じないという新規な塗膜密着性の理論から、優れた塗膜密着性を得るというものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この種の無孔質陽極酸化皮膜においても塗膜密着性に更に厳しい品質を要求された場合には、塗膜密着性に不足を来すおそれがあった。
そこで本願出願人は、特開平9−184093号公報などに開示されている如く、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に、厚さが700〜3000Å(0.07μm〜0.3μm)のベーマイト皮膜と、厚さが70〜2000Åの陽極酸化皮膜とからなる複合皮膜を開発し、更なる塗膜密着性向上をなし得た。
ところが、この特許に係るアルミニウム材は、塗膜との密着性を向上するために、ベーマイト皮膜中の水分をベーキング処理で除去し、低水分量とする必要があった。また、先のアルミニウム材に塗装を施す事なく用いた場合、厳しい環境下で耐食性が充分とは言えない場合があった。
【0007】
そこで本願発明者は、このような背景の基でアルミニウム材の表面に形成する下地層としてのベーマイト皮膜あるいは陽極酸化皮膜の更なる塗膜密着性向上と耐食性について研究を重ねた結果、本願発明に到達した。
【0008】
本願発明は前記の背景に基づき、塗膜密着性の更なる向上と耐食性の更なる向上をなし得たアルミニウム材とその製造方法の提供を目的とする。
更に本願発明は、塗膜を設けない場合においても耐食性に優れさせたアルミニウム材とその製造方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材上に形成された厚さ300Å〜20000Åのアルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜とを具備してなり、前記多孔質皮膜の表面又は内部に、Si、Pの1種以上が付着又は含有されてなるものである。
多孔質皮膜にSi、Pの1種以上が付着又は含有されていると、耐食性が向上するとともに、塗膜密着性も向上する。先のSi、Pは塗膜中に一般的に含まれている顔料との結合性、親和性が高いので、塗膜に対する密着性も良好なものとなる。
【0010】
本発明は前記課題を解決するために、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材上に形成された厚さ50Å〜7000Åの無孔質皮膜と、該無孔質皮膜上に形成された厚さ300Å〜20000Åのアルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜とを具備してなり、前記皮膜にSiが付着又は含有されてなることを特徴とする。また、Siの代わりに、Pを30000ppm以上、60000ppm以下の範囲で付着又は含有されていても良い。
多孔質皮膜にSiあるいは特定量のPが付着又は含有されていると、耐食性が向上するとともに、塗膜密着性も向上する。また、多孔質皮膜の下側に無孔質皮膜が形成されていると、金属基材側への腐食性物質の侵入を阻止することができ、極めて耐食性に優れたアルミニウム材が得られる。先のSi、Pは塗膜中に一般的に含まれる顔料との結合性と親和性が高いので、塗膜に対する密着性も良好なものとなる。
【0011】
本発明において、前記Siが前記皮膜中に20ppm以上、100000ppm以下の範囲で含まれてなることが好ましい。
この範囲であるならば、良好な耐食性を維持したまま塗膜密着性も良好とすることができる。前記Siが20ppm未満になると、耐食性の向上効果が得られ難くなり、逆に100000ppmを越えると耐食性の向上効果は少なくなり、むしろ塗膜の密着性が低下する傾向になる。
本発明において、前記アルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜がベーマイト皮膜であり、前記無孔質皮膜が陽極酸化皮膜であることが好ましい。なお、ベーマイト皮膜とは、ベーマイト構造(AlOOH)を有する水和酸化物皮膜と表現することもできるものである。
多孔質皮膜がベーマイト皮膜であるならば、Si、Pが付着又は含浸されることで、耐食性の向上効果が確実に発揮される。
本発明において、前記無孔質皮膜が、空孔率30%以下の無孔質陽極酸化皮膜であることが好ましい。
ベーマイト皮膜の内部側に無孔質陽極酸化皮膜が形成されていると、腐食性物質が仮に多孔質皮膜を通過して無孔質陽極酸化皮膜側に侵入しても、腐食性物質の金属基材側への侵入を無孔質陽極酸化皮膜が阻止する。
【0012】
本発明の製造方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材に水和酸化物による多孔質皮膜を形成した後、前記多孔質皮膜に珪酸塩又はりん酸塩の水溶液を接触又は塗布させて該多孔質皮膜に前記水溶液中のSi又はPを付着又は含浸させることを特徴とする。
本発明の製造方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材に水和酸化物による多孔質皮膜を形成した後、陽極酸化処理を施して無孔質酸化皮膜を形成し、前記皮膜に珪酸塩又はりん酸塩の水溶液を接触又は塗布させて該皮膜に前記水溶液中のSi又はPを付着又は含浸させることを特徴とする。
多孔質皮膜を有する構造、あるいは多孔質皮膜に加えて下層側に無孔質皮膜を有する構造においても、皮膜に水溶液中のSi又はPを付着又は浸透させることで耐食性が向上するとともに、塗膜密着性が向上する。
【0013】
本発明の製造方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材に水和酸化物による多孔質皮膜を形成した後、珪酸塩水溶液又はリン酸塩水溶液中で陽極酸化処理を施して無孔質酸化皮膜を形成し、同時に該皮膜に前記陽極酸化処理水溶液中のSiを付着又は含浸させることを特徴とする。また、Siの代わりに、Pを30000ppm以上、60000ppm以下の範囲で付着又は含有されていても良い。
更に、珪酸塩又はリン酸塩以外の処理液で無孔質陽極酸化皮膜を形成させた前記多孔質皮膜付きの基材を、珪酸塩水溶液又はリン酸塩水溶液中で陽極酸化処理を施して、該皮膜にSi又は特定量のPを付着又は含浸させることができる。
珪酸塩水溶液又はリン酸塩水溶液で生成させた陽極酸化皮膜であるならば、陽極酸化処理中に電解液成分であるSiやPが電気的に効率良く皮膜内に付着または含浸されるため耐食性に優れる。Si、Pは塗膜中に一般的に含まれる顔料との結合性が高いので、塗膜に対する密着性を良好とすることができる。
【0014】
本発明において、前記皮膜付の基材に珪酸塩又はりん酸塩の水溶液を塗布して珪酸成分またはりん酸成分を前記皮膜表面部分に付着させることができる。
本発明において、前記多孔質皮膜をベーマイト処理により生成することを特徴とするものでも良い。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明に係るアルミニウム材の第1の実施の形態を示すもので、この形態のアルミニウム材Aは、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる板状の金属基材1とこの金属基材1の全外面に形成された厚さ300Å〜20000Åのアルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜2とから構成されている。
なお、この実施の形態の多孔質皮膜2は図1では金属基材1の全外面に形成されているが、多孔質皮膜2は耐食性と塗膜密着性の上で必要な面に形成すれば良いので、例えば金属基材1の表面のみ、あるいは裏面のみに形成しても差し支えない。
【0016】
前記基材1は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなり、JIS1000系等の純アルミニウム系、JIS2000系等のAl-Cu系、Al-Cu-Mg系、JIS3000系のAl-Mn系、JIS4000系のAl-Si系、JIS5000系等のAl-Mg系、JIS6000系等のAl-Mg-Si系、JIS7000系等のAl-Zn-Mg系、Al-Zn-Mg-Cu系、JIS8000系などのAl-Fe-Mn系のいずれの系のものを用いても良い。また、これらの系の成形用合金、構造用合金、電気用合金、AC1A、AC2A、AC3A、AC4Bなどの鋳造合金のいずれの形態で用いても良い。
【0017】
前記JIS1000系の純アルミニウム系のもの、JIS2000系のもの、JIS3000系のものは例えば種々の部品などに用いられているので、これらの用途に供する場合に本発明を適用できる。
JIS4000系のものは、例えば建築パネルなどに用いられるので、これらの用途に供する場合に本発明を適用することができる。JIS5000系のものは、例えば内外装板、装飾部品、銘板等に広く使用されるので、これらの用途に供する場合に本発明を適用することができる。JIS6000系のものは、例えば建築、装飾品などに使用されるのでこれらの用途に供する場合に本発明を適用することができる。JIS7000系のものは例えば熱交換器用フィン材などに使用されるので、これらの用途に供する場合に本発明を適用することができる。
【0018】
前記金属基材1上に形成されたアルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜2とは、この実施の形態ではいわゆるベーマイト皮膜にSi、Pの少なくとも1種が付着又は含浸さまれた皮膜が用いられている。
先のベーマイト皮膜とは、アルミニウムが高温の水と反応して擬ベーマイト質の水和酸化物皮膜を生成することを利用して得られるもので、クロメート系の化成皮膜と違って公害上の問題がなく、ベーマイト皮膜そのものは工業用途に広く使用されているものである。
【0019】
以下にこのベーマイト皮膜の形成法について説明する。
先の用途に合わせた合金系の適切な形状に加工されたアルミニウム又はアルミニウム合金の金属基材を用意したならば、この金属基材に対して前処理を施す。
この前処理は、金属基材の表面に付着した油脂分を除去し、金属基材表面の不均質な酸化物皮膜等を除去できるものであればいかなる処理でも良い。例えば、弱アルカリ性の脱脂液による脱脂処理を施した後、水酸化ナトリウム水溶液でアルカリエッチングをした後、硝酸水溶液でデスマット処理を行う方法や、脱脂処理後に酸洗浄を行う方法などが適宜選択して用いられる。
ついで、この前処理が施された基材を建浴水中でベーマイト処理を施すことにより、該基材の表面にベーマイト皮膜を形成する。
建浴水としては、高温の水を使用できるが、特に、電気伝道度が0.1μS以下のイオン交換水を用いるのが、基材表面の黒変の防止とベーマイト皮膜を生成し易いなどの点で好ましい。
【0020】
建浴水の温度は、90℃〜沸点(100℃)の範囲が望ましい。
本発明でのベーマイト処理は、必要とする多孔質皮膜の厚さに合わせて適宜調節して良く、厚さ300Å〜20000Åの範囲とするので、多孔質皮膜の膜厚が薄い場合は10秒〜5分程度で十分であり、膜厚が厚い場合は5分を越える時間、〜120分程度処理する。
建浴水には、アンモニア、アミン、アルコールアミン、アミド、トリエタノールアミン等のアルカリ添加剤を添加して用いるのが、ベーマイト皮膜の生成速度が速くなるなど点で好ましく、その場合、ベーマイト皮膜の膜厚が厚くなり過ぎないようにするため、ベーマイト処理時間はできる限り短時間とすることが好ましい。
【0021】
このようなベーマイト処理によってアルミニウムまたはアルミニウム合金の金属基材の表面に、羽毛状の凹凸を有する水和酸化物の多孔質皮膜(ベーマイト皮膜)2が形成される。このベーマイト皮膜の膜厚は、300〜20000Å、好ましくは500〜12000Å程度である。ベーマイト膜厚が300Å未満であると、良好な耐食性が得られず、膜厚が20000Åを超えると、コイルに巻き上げる段階で皮膜にクラックが入り易くなり、耐食性が低下する傾向となる。また、このベーマイト皮膜とは、ベーマイト構造(AlOOH)を有する水和酸化物皮膜とも表現することができる。
【0022】
ベーマイト皮膜を形成したならば、このベーマイト皮膜に珪酸塩とりん酸塩の少なくとも1種を直接塗布するか、珪酸塩とりん酸塩の水溶液中で通電する処理を施してベーマイト皮膜表面あるいはその内部に珪酸塩とりん酸塩の少なくとも1種以上を付着させるか含ませる処理を行う。ベーマイト皮膜に珪酸塩とりん酸塩を通電処理により付着させるか含ませるためには、珪酸塩あるいはりん酸塩の水溶液を用意し、ベーマイト皮膜付の金属基材1を前記水溶液に浸漬して正極側とし、水溶液を負極側として通電し、電気的にベーマイト皮膜の表面層部分に付着させることが好ましい。
【0023】
ベーマイト皮膜の表面に珪酸塩とりん酸塩の少なくとも1種以上を塗布して物理的にSi、Pを付着した形態とは、ベーマイト皮膜表面の羽毛状の多孔質部分に珪酸塩とりん酸塩のどちらか一方あるいは両方が吸着された状態であると推定できる。
ベーマイト皮膜の内部にSi、Pの少なくとも一方を含浸させた状態とは、珪酸塩とりん酸塩のどちらか一方あるいは両方をイオンの形でベーマイト皮膜の羽毛状の多孔質部分に含浸結合させた状態を呈していると推定できる。珪酸塩であれば、SiO2 2-の式で示される珪酸イオン、りん酸塩であれば、PO4 3-で示されるりん酸イオンの形で陽極酸化皮膜成分として結合しているものと推定できる。
以上説明の如く製造されたアルミニウム材Aは、多孔質皮膜(ベーマイト皮膜)中あるいはその表面部分にSi、Pの少なくとも1種を含んでいるので、耐食性に優れる効果がある。
【0024】
前述のような多孔質皮膜2が形成されたアルミニウム材の表面には必要に応じて塗装が施される。ここでの塗装に用いられる塗料として特に制限はないが、特に焼き付けタイプのものを用いる場合に最も有効に効果が得られる。このような塗料としては、熱可塑性アクリル樹脂系塗料、熱硬化性アクリル樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、ポリウレタン樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料、ポリアミド樹脂系塗料などが用いられる。
塗装方法としては、特に制限はないが、吹き付け塗装、ロールコータ法、グラビアロール法、静電塗装法、カチオン電着塗装法等が用いられる。また、必要に応じて下塗り、中塗り、上塗りなどの多層塗装を施すこともできる。このようにすると塗装アルミニウム材が得られる。
また、塗膜を形成したものにおいて、Si、Pは多孔質皮膜2上に塗膜を被覆する場合に塗膜中に含まれる顔料との結合性を有するので、塗膜を被覆した場合に塗膜との密着性も良好なものとなる。
【0025】
前述のような多孔質皮膜2にSi、Pを含ませるには先の電解処理の他に、SiあるいはPを含む水溶液をロールコーターなどの塗布装置で塗布し、120℃程度の温度で乾燥させることで行うこともできる。この場合に多孔質皮膜2の内部に深くまでSiあるいはPが侵入するわけではないが、多孔質皮膜2の表面部分にSi、Pを存在させることでも本発明の効果を得ることができる。
従って、多孔質皮膜2に対して電解によりSi、Pの少なくとも1種を含ませた後、更にSiあるいはPを含む水溶液をロールコーターなどの塗布装置で塗布しても良く、逆に塗布してから電解しても良い。
【0026】
「第2の実施の形態」
次に、図2は本発明に係るアルミニウム材の第2の実施の形態を示すもので、この形態のアルミニウム材Bは、先の実施の形態で用いたものと同等の金属基材1と、その全外面上に形成された無孔質の陽極酸化皮膜3と、該陽極酸化皮膜3上に形成された水和酸化物の多孔質皮膜5とから構成されている。
なお、この実施の形態の陽極酸化皮膜3と多孔質皮膜5は図2では金属基材1の全外面に形成されているが、陽極酸化皮膜3と多孔質皮膜5は耐食性と塗膜密着性の上で必要な面に形成すれば良いので、例えば金属基材1の表面のみ、あるいは裏面のみに形成しても差し支えない。
【0027】
この形態において多孔質皮膜5は先の実施の形態の構造と同様にSi、Pの少なくとも1種以上を付着させたものか、あるいはこれらを含有するものである。この形態において無孔質陽極酸化皮膜3とは、従来一般の多孔質陽極酸化皮膜とは異なり、空孔率が30%以下、好ましくは5%以下と低く、好ましくは含水量1〜5重量%、好ましくはアニオン含有量0.1〜7重量%の無孔質あるいは微孔質のものである。
【0028】
前記構造の無孔質陽極酸化皮膜3と多孔質皮膜5とを備えたアルミニウム材Bを製造するためには、先の実施の形態で形成した多孔質皮膜(ベーマイト皮膜)2と同等の構造の多孔質皮膜(ベーマイト皮膜)5をまず形成する。この多孔質皮膜5を形成する方法は先の実施の形態において説明した方法と同等で良い。
金属基材1上に多孔質皮膜5を形成したならば、次に、この金属基材1を電解浴中で電解する陽極酸化処理を施すことにより、金属基材1と多孔質皮膜5との境界部分に陽極酸化皮膜3を形成することができる。
電解浴としては、生成する無孔質陽極酸化皮膜を溶解しにくく、かつ無孔質の陽極酸化皮膜を生成可能な電解質であり、Si、Pを添加可能な電解浴として、珪酸ナトリウム、又はりん酸アンモニウムの単独電解浴を例示することができる。電解質水溶液中の電解質濃度は2重量%からその電解質の飽和濃度の範囲で選ばれる。電解浴の浴温は20℃〜90℃の範囲である。
【0029】
この電解浴中で、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材は、連続あるいは断続であっても陽極となるように電源に接続されて電解される。陰極には不溶性の導電材料が用いられる。
電解電流は、直流電流が用いられ、直流電解では直流密度1〜30A/dm2 程度、電解時間数秒〜3分程度で電解が行われる。
【0030】
印加電圧は、直流電流では、電圧1Vに対して形成される酸化皮膜厚さが約14Åとなる関係があることから約5〜500V、好ましくは約30〜300Vの範囲とされることが好ましい。電源装置などの点からは200V以下とすることが好ましく、このような低電圧の電解でも優れた塗膜密着性と塗装後耐食性が得られる。
このような陽極酸化処理によって多孔質皮膜(ベーマイト皮膜)5の下地層として厚さの均一な無孔質陽極酸化皮膜3が形成される。無孔質陽極酸化皮膜3の膜厚は、50〜7000Åであることが好ましく、より好ましくは400〜4000Å程度である。膜厚が50Å未満であると、厚さが薄すぎて耐食性の更なる向上効果が得られ難いからである。一方、膜厚の上限としては、7000Åまで可能であるが、4000Åを超えて厚くしても、もはや効果の増大は期待できず、電解時間の増加や電解設備等にコストがかかり経済的にも不利となり、また、成形性が低下し、皮膜の割れなどが発生する傾向があるため、4000Å以下とすることが好ましい。
【0031】
このようにして得られた陽極酸化皮膜3は無孔質であり、その空孔率は最大でも30%程度以下、好ましくは5%以下であり、通常は2%程度以下となっている。また、陽極酸化皮膜の含水量は1〜5重量%程度、通常は1〜3重量%程度と極めて低い値を示す。さらに酸化皮膜のアニオン含有量は0.1〜7重量%程度、通常は1〜5重量%程度と低い値となっている。
一方、通常の硫酸浴、シュウ酸浴で得られた多孔質の陽極酸化皮膜は、空孔率が30〜70%と非常に高く、含水量は封孔処理後で15重量%程度、アニオン含有量は12〜15重量%程度である。但し、硫酸やシュウ酸浴でも多孔質化する前の無孔質から多孔質の間で電解を停止することで空孔率30%以下として用いることができる。
【0032】
このため本発明での陽極酸化皮膜は、腐食性物質の侵入を抑制して優れた耐食性を有するものとなる。また、皮膜から揮散する水分、アニオンが格段に微かなものとなり、焼付塗装時において、水分、アニオンの放出による塗膜の剥離が小さくなる。
また、本発明での無孔質の陽極酸化皮膜3の形成においては、電解浴の浴温が20℃〜90℃と温度範囲が広いから、浴管理が容易となる。
さらに、酸化皮膜溶解性の低い電解質を用いているので、電解中の皮膜の溶解が少なく、電流効率もよくなる。
以上の陽極酸化処理は、コイル状などの未加工の状態のアルミニウムまたはアルミニウム合金に対して行うこともでき、またプレス加工などの加工を施した後のものに対しても行うことができる。
【0033】
以上説明の如く製造されたアルミニウム材Bは、Si、Pを含む多孔質皮膜(ベーマイト皮膜)5と無孔質の陽極酸化皮膜3とを両方有するので、先の実施の形態の多孔質皮膜5のみを備えたアルミニウム材Aよりも耐食性の面でより優れている特徴を有する。即ち、多孔質皮膜5に加えてSi、Pを含む陽極酸化皮膜3自体が耐食性を発揮するので、より優れた耐食性が得られる。
【0034】
これらの皮膜を備えたアルミニウム材Bには、更に必要に応じて樹脂製の塗膜が形成される。
この塗膜については、アクリル系樹脂膜などの樹脂製の塗膜が選択される。ここでの塗膜には、商品の表示などのために顔料が含まれたものが適用されるが、先の皮膜に含ませた顔料はSi、Pとの親和性に優れるので、塗膜の密着性も良好なものとなる。
【0035】
【実施例】
JIS規定純アルミニウム系合金(JIS1050)からなる厚さ0.3mmのアルミニウム製の板状の金属基材を複数用意した。
これらの金属基材をアルカリ脱脂(日本ペイント製サーフクリーナ330の3%溶液、60℃に30秒浸漬)した後、常温にて10秒水洗し、10%硝酸で30秒中和処理し、処理後に常温で10秒水洗した。
次に、これら金属基材に98℃のpH9に調整したイオン交換水中に浸漬してベーマイト処理を施した。なお、このベーマイト処理の際の浸漬時間を適宜調節し、ベーマイト皮膜の厚さを調整した。
【0036】
先のベーマイト処理した複数の金属基材の一部をイオン交換水で10秒水洗した後、試料を陽極に接続し、10%硼酸水溶液に浸漬し、負極を水溶液中に浸漬して、水溶液温度を60℃として1.0A/dm2の電流密度で5分間電解処理し、以下の表1に示す種々の膜厚の無孔質陽極酸化皮膜を形成した。この無孔質陽極酸化皮膜の膜厚は電解時間で調整した。電解処理後、各試料を10秒間水洗し、120℃で乾燥させて以下の表1に示す試料を得た。得られた無孔質陽極酸化皮膜はベーマイト皮膜と金属基材の境界部分に形成されていた。
先のベーマイト処理した複数の金属基材の残りのものに1%珪酸塩水溶液あるいは1%りん酸塩水溶液を塗布し、塗布後に120℃で乾燥させて以下の表1に示す試料を得た。
【0037】
空孔率は皮膜断面をミクロトームで切断して10万倍で10カ所透過電子顕微鏡(TEM)観察し、ベーマイト皮膜と無孔質皮膜の境界部の孔の面積率を求め、空孔率とした。なお、ここでの孔とはアルミニウム基板からベーマイト層に向かう50〜1000Å程度の孔のことである。但し、金属間化合物が存在し、皮膜が不連続な部位を除いた。図3にその概要を示すが、アルミニウム基板6上に無孔質皮膜7とベーマイト層8とが順次積層されている構造の場合、無孔質皮膜7の途中部分からベーマイト層8へ向かう孔が複数形成されている場合、孔の面積をCとし、断面から見た無孔質皮膜の面積をDとした時、
有孔度(空孔率)=(Cの面積の総和/D)×100の関係式で示される。
【0038】
次に、Si、Pの濃度は、グロー放電質量分析(GDMS)で皮膜表面からエッチングしながら、Si又はPの質量分析を行い、AlとOの濃度がクロスする点までを膜厚とみなし、得られたSi又はPの濃度値を平均して求めた。即ち、図4に示すように横軸にエッチング時間をとり、縦軸に濃度(ppm)を取る線図を作成し、AlとOとSiの濃度を測定し、Si濃度については、図4に示した(a+b+c+d+e+f+g+h+j+k+l+m)/βの計算式から求めた。
【0039】
【表1】
【0040】
以上の製造方法により得られた各試料に対し、耐食性試験と密着性試験を行った。耐食性試験は50℃で相対湿度95%以上の湿潤環境に240時間暴露し、表面の腐食状態を比較観察することで行った。その結果を以下の表2に示すが、表2において◎印で示す試料は腐食が全く見られなかった試料、〇印で示す試料は腐食面積が表面積に対して5%以下の試料、△印で示す試料は腐食面積が表面積に対して15%以下の試料、×印で示した試料は腐食面積が表面積に対して30%以上の試料である。
密着性試験は、先の耐食性試験を行った試料を取り出して直ちに碁盤目試験(カッターで1mm角の升目を100個形成し、粘着テープで剥離する試験)を行った。その結果を表2に示すが、表2において〇印で示す試料は剥離部分が5%以下の試料、×印で示す試料は剥離部分が5%を越える試料である。
【0041】
【表2】
【0042】
表1と表2に示す結果から、本願発明に係る試料においてはいずれも優れた耐食性と塗膜密着性を示すことが明らかとなった。
まず、表1のNo.1〜3の試料はアルミニウム基材の表面に厚さ300Å、8000Å、20000Åの水和酸化物の多孔質皮膜(ベーマイト皮膜)のみを形成し、珪酸ナトリウム溶液(Si濃度10000ppm)に浸漬してから乾燥することで得られた試料であるが、多孔質皮膜の厚さが300Åでは耐食性が若干低下するがそれよりも厚い試料(8000Å、20000Å)ではいずれも耐食性は優れていた。No.22の試料は水和酸化物の多孔質皮膜を200Å形成した試料であるが、耐食性に劣る結果となった。No.23の試料は水和酸化物の多孔質皮膜を22000Å形成した試料であるが、この試料は膜にクラックが多数入り、これが原因となって耐食性に劣る結果となった。
従って水和酸化物の多孔質皮膜は少なくとも300Åは必要であるものと思われ、逆に20000Åを超えるとクラックが生成して耐食性に劣るものとなることが判明した。従って水和酸化物の多孔質皮膜は300Å以上、20000Å以下の厚さの範囲に形成されることが好ましいと判明した。
【0043】
No.4〜No.21の試料は、無孔質陽極酸化皮膜と多孔質皮膜(ベーマイト皮膜)を両方設けた試料であり、No.4〜6が電解法によりSiを付与した試料、No.7〜9が塗布法によりSiを付与した試料、No.10〜13が電解法によりPを付与した試料、No.14の試料が塗布法によりPを付与した試料、No.15〜19が電解法によりPを付与した試料、No.21が電解法によりSiを付与した試料、No.22が電解法によりPを付与した試料である。また、No.1〜No.21の試料において処理塩としては、珪酸ナトリウム、りん酸二水素アンモニウム、りん酸二水素ナトリウム、りん酸二水素カリウム、りん酸二水素アルミニウム、りん酸二水素マグネシウム、りん酸二水素のいずれかを用いた。
更に、No.20、21の試料には厚さ5μmの塗装膜を形成して塗膜密着性も評価した。
【0044】
No.4の試料は水和酸化物皮膜を300Å、無孔質の陽極酸化物皮膜を50Å形成した試料であるが、水和酸化物皮膜のみを300Å厚に形成したNo.1の試料よりも耐食性において更に良好な試験結果を示した。しかし、No.25の試料の如く厚さ40Åの陽極酸化皮膜では耐食性に劣る結果となった。以上のことから無孔質の陽極酸化物皮膜を設けることは耐食性向上に寄与するものであり、その厚さが最低50Åは必要であることがわかる。
No.8の試料はSi濃度(41000ppm)をNo.6の試料よりも少なくした試料(20ppm)であるが、耐食性が若干低下している。また、Si濃度を18ppmとしたNo.24の試料については耐食性に劣る結果となったので、Si濃度については20ppm以上必要であると考えられる。
【0045】
No.26の試料は電解に使用するりん酸塩としてりん酸三ナトリウムを用いた試料であるが、耐食性は向上しなかった。このことから、処理塩としては、珪酸ナトリウム、りん酸二水素アンモニウム、りん酸二水素ナトリウム、りん酸二水素カリウム、りん酸二水素アルミニウム、りん酸二水素マグネシウム、りん酸二水素のいずれかを用いることはできるが、りん酸三ナトリウムは用いることができないことが判明した。
No.27、28の試料はSi濃度かP濃度が低い(17ppm、18ppm)ものであるが、SiあるいはP濃度が低いものでは耐食性と塗膜密着性の両方の特性が不十分であった。
No.29は空孔度30%の試料であるが先のNo.1の試料と同等の特性となり、No.30は空孔度35%の試料であるが、先の例と異なり、耐食性が劣化した。
【0046】
以上の試験結果から、金属基材上に形成された厚さ300Å〜20000Åのアルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜を具備してなり、前記多孔質皮膜の表面又は内部に、Si、Pの1種以上が付着又は含有されてなるアルミニウム材であるならば、優れた耐食性を得られることが判明した。
次に、金属基材上に形成された厚さ50Å〜700Åの無孔質皮膜と、該無孔質皮膜上に形成された厚さ300Å〜20000Åのアルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜とを具備してなり、前記皮膜の表面または内部にSi、Pの1種以上が含有されてなるアルミニウム材であるならば、優れた耐食性と優れた塗膜密着性を有することが判明した。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、金属基材上に形成された厚さ300Å〜20000Åのアルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜を具備し、多孔質皮膜中にSiあるいは特定量のPを含んでなるので、優れた耐食性を得ることができる。
更に本発明は、金属基材上の厚さ50Å〜7000Åの無孔質皮膜と、該無孔質皮膜上に形成された厚さ300Å〜20000Åのアルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜とを具備してなり、前記皮膜の表面または内部にSiあるいは特定量のPが含有されてなるアルミニウム材であるならば、優れた耐食性と優れた塗膜密着性を得ることができる。
【0048】
また、先のSiを膜中に20〜100000ppm含んでいることにより、優れた耐食性を確実に得ることができるとともに、優れた塗膜密着性も確実に得ることができる。これらSi、Pについては表面に塗布しても良いし、電解等の方法によりイオン状態で含ませるか結合させても良く、いずれの方法によっても表面の耐食性に優れたアルミニウム材を得ることができる。
無孔質陽極酸化皮膜として空孔率30%以下のものであれば、内部の水分量が少ないので、加熱時に水分が揮発することが少なく、塗膜形成時などの加熱によって塗膜が剥離し易くなることがない。また、腐食性物質の侵入を抑制できる効果があり、また、多孔質皮膜としてベーマイト皮膜を適用することができる。
【0049】
本発明方法は、金属基材に対して水和酸化物による多孔質皮膜を形成し、これに珪酸塩あるいはりん酸塩を塗布するか、電解することによりSi、Pを含ませることができ、これにより耐食性に優れたアルミニウム材を得ることができる。 また、この方法に加えて、多孔質皮膜を形成した後、陽極酸化処理を施して陽極酸化皮膜を形成し、その後に珪酸塩あるいはりん酸塩を塗布するか、電解することによりSiあるいは特定量のPを含ませることができ、これにより耐食性と塗膜密着性の両方に優れたアルミニウム材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係るアルミニウム材の第1の実施の形態の構造を示す断面図。
【図2】 図2は本発明に係るアルミニウム材の第2の実施の形態の構造を示す断面図。
【図3】 図3は本発明に係るアルミニウム材の第2の実施の形態の積層構造を模式的に示す断面図。
【図4】 図4は実施例のアルミニウム材のSi濃度の特定法の一例であるGDMS法を説明するための線図である。
【符号の説明】
A、B…アルミニウム材、1…金属基材、2…多孔質皮膜、
3…陽極酸化皮膜。
Claims (10)
- アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材上に形成された厚さ300Å〜20000Åのアルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜とを具備してなり、前記多孔質皮膜の表面又は内部に、Si、Pの1種以上が付着又は含有されてなることを特徴とする耐食性に優れる表面処理アルミニウム材。
- アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材上に形成された厚さ50Å〜7000Åの無孔質皮膜と、該無孔質皮膜上に形成された厚さ300Å〜20000Åのアルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜とを具備してなり、前記皮膜の表面または内部にSiが付着又は含有されてなることを特徴とする耐食性に優れる表面処理アルミニウム材。
- 前記皮膜に前記Siが20ppm以上、100000ppm以下の範囲で含まれてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理アルミニウム材。
- アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材上に形成された厚さ50Å〜7000Åの無孔質皮膜と、該無孔質皮膜上に形成された厚さ300Å〜20000Åのアルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜とを具備してなり、前記皮膜の表面または内部にPが30000ppm以上、60000ppm以下の範囲で付着又は含有されてなることを特徴とする耐食性に優れる表面処理アルミニウム材。
- 前記アルミニウムの水和酸化物による多孔質皮膜がベーマイト皮膜であり、前記無孔質皮膜が陽極酸化皮膜であり、該陽極酸化皮膜が空孔率30%以下の無孔質陽極酸化皮膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理アルミニウム材。
- アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材に水和酸化物による多孔質皮膜を形成した後、前記多孔質皮膜に珪酸塩又はりん酸塩の水溶液を接触又は塗布させて該多孔質皮膜に前記水溶液中のSi又はPを付着又は含浸させることを特徴とする耐食性に優れる表面処理アルミニウム材の製造方法。
- アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材に水和酸化物による多孔質皮膜を形成した後、陽極酸化処理を施して無孔質酸化皮膜を形成し、前記皮膜に珪酸塩又はりん酸塩の水溶液を接触又は塗布させて該皮膜に前記水溶液中のSi又はPを付着又は含浸させることを特徴とする耐食性に優れる表面処理アルミニウム材の製造方法。
- アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材に水和酸化物による多孔質皮膜を形成した後、珪酸塩水溶液中で陽極酸化処理を施して無孔質酸化皮膜を形成し、同時に該皮膜に前記陽極酸化処理水溶液中のSiを付着又は含浸させることを特徴とする耐食性に優れる表面処理アルミニウム材の製造方法。
- アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材に水和酸化物による多孔質皮膜を形成した後、リン酸塩水溶液中で陽極酸化処理を施して無孔質酸化皮膜を形成し、同時に該皮膜に前記陽極酸化処理水溶液中のPを30000ppm以上、60000ppm以下の範囲で付着又は含浸させることを特徴とする耐食性に優れる表面処理アルミニウム材の製造方法。
- 前記多孔質皮膜をベーマイト処理により生成することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法。
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