JP3506826B2 - アルミニウム材及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム材及びその製造方法

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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

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  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気製品、器物、
装飾品、建材、自動車部品、フィン材等に好適に用いら
れるアルミニウム製品またはアルミニウム合金製品に用
いられる塗装下地処理が施されたアルミニウム材とその
製造方法に係わり、塗膜の密着性及び塗装後耐食性を高
めたものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、アルミニウム板やアルミニミウ
ム合金板に塗装を施す場合には、塗膜の密着性を高める
ため、塗装下地処理が行われている。従来の塗装下地処
理としては、クロメート処理、ベーマイト処理などの化
学皮膜処理や、多孔質陽極酸化処理等が挙げられる。こ
れらの塗装下地処理に要求される特性としては、塗膜密
着性及び塗装後耐食性などである。
【0003】ところが、従来の塗装下地処理において
は、以下のような問題点があった。前記ベーマイト処理
では、皮膜の厚みを薄くすると耐食性が悪くなるため、
通常厚さ10000Å以上の皮膜を形成するのが一般的
であり、また、表面に羽毛状の凹凸を有するためアンカ
ー効果が得られ塗膜との密着性が高い傾向にあるが、皮
膜の含水量が通常15〜30重量%と高く、特に焼付け
塗装する場合に皮膜からの水分の揮散に起因して塗膜密
着性が著しく劣化してしまうことがある。
【0004】前記多孔質陽極酸化処理では、焼き付け塗
装する場合に、前述のベーマイト処理と同様に皮膜から
の水分の揮散に起因して塗膜密着性が劣ってしまうこと
があり、この対策として封孔処理を行わないなどの対策
がとられるが、この場合には耐食性が不十分になること
がある。また、多孔質陽極酸化処理では、均一に酸化皮
膜を形成させるために、脱脂、エッチング、デスマッ
ト、電解、封孔などの複数の処理が必要となり、コスト
高となってしまう。 さらに、通常厚さ10μm程度の
酸化皮膜を形成する場合が一般的であるが、この程度の
厚みの皮膜形成に30分以上の電解処理時間を要するた
め、下地処理に時間がかかり、生産性に劣る。また、前
記封孔処理では、90℃程度の高温で処理する必要があ
るため、加熱にコストがかかってしまう。また、厚さ1
μm以下の薄い皮膜を均一に成形することは困難である
ため、必然的に厚膜となり、成形加工前に皮膜処理した
場合には、成形性が低下してしまうという不都合があ
る。
【0005】前記クロメート処理では、塗膜密着性や耐
食性は優れた性能を示すが、クロメート皮膜を塗布する
際のクロム含有排水が環境汚染につながり、排水処理に
コストがかかってしまうという欠点があり、また、食品
関係の用途には皮膜中のクロムが人体に有害であること
から、脱クロム化の要求が高まってきている。
【0006】そこで、本願発明者は、前述のような問題
点を改善するために、アルミニウム板やアルミニミウム
合金板を、硼酸、硼酸塩、リン酸塩、アジピン酸塩等の
水溶液中に浸漬し、電解することにより、無孔質陽極酸
化皮膜を形成する方法が有効であることを見い出し、特
許出願している(特願平7−88497号、特願平7−
88498号)。しかしながらこのような無孔質陽極酸
化皮膜においては、含水量、含アニオン量が少ないため
無孔質のものであっても塗膜密着性ならびに塗装後耐食
性が優れるが、該無孔質陽極酸化皮膜上に塗装する塗料
によっては密着性に不満が残る場合があり、用いる塗料
が制限されてしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みてなされたもので、用いる塗料の選択の自由度が大
きく、成形性ならびに生産性がよく、しかも低コストで
あり、塗膜密着性ならびに塗装後耐食性が優れるアルミ
ニウム材と、その製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のアルミニ
ウム材にあっては、アルミニウムまたはアルミニウム合
金の表面に、厚さが700〜3000Åのベーマイト皮
膜と厚さが70〜2000Åの無孔質陽極酸化皮膜とか
らなる含水量が5重量%以下の複合皮膜が形成され、前
記無孔質陽極酸化皮膜はベーマイト皮膜の下地層として
設けられていることを特徴とする。また、請求項2記載
のアルミニウム材にあっては、請求項1又は2記載のア
ルミニウム材の表面に塗装を施してなる塗装アルミニウ
ム材を特徴とする。
【0009】請求項3記載のアルミニウム材の製造方法
にあっては、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表
面にベーマイト処理を施してベーマイト皮膜を形成した
後、硼酸、硼酸塩、リン酸塩、アジピン酸塩、フタル酸
塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩の群から選ばれ
る1種または2種以上からなる電解質水溶液により陽極
酸化処理を施して前記ベーマイト皮膜の下地層として無
孔質陽極酸化皮膜を形成する複合皮膜形成工程と、該複
合皮膜の表面に250℃以上のベーキング処理を施して
複合皮膜の含水量を5重量%以下にする工程を備えるこ
とを特徴とする。
【0010】請求項4記載のアルミニウム材の製造方法
にあっては、請求項3記載のアルミニウム材の製造方法
において、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面
に複合皮膜形成工程を施すことを成形前あるいは成形後
に行う工程を備えることを特徴とする。
【0011】請求項5記載の塗装アルミニウム材の製造
方法にあっては、請求項3又は4記載のアルミニウム材
の製造方法によりアルミニウム材を製造した後、該アル
ミニウム材の表面に塗装を施す工程を備えることを特徴
とする塗装アルミニウム材の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明のアルミニウム材と
塗装アルミニウム材について、その製造方法により詳し
く説明する。本発明のアルミニウム材の素材となるアル
ミニウムまたはアルミニウム合金としては、特に限定さ
れず、純アルミ系の1000系合金、Al−Cu系、A
l−Cu−Mg系の2000系合金、Al−Mn系の3
000系合金、Al−Si系の4000系合金、Al−
Mg系の5000系合金、Al−Mg−Si系の600
0系合金、Al−Zn−Mg−Cu系、Al−Zn−M
g系の7000系合金、Al−Fe−Mn系の8000
系合金などが用いられ、成形用合金、構造用合金、電気
用合金、AC1A,AC2A,AC3A,AC4Bなど
の鋳造用合金が用いられる。
【0013】また、これらの合金に溶体化処理、時効処
理などの種々の調質処理を施したものも用いられる。さ
らに、これらのアルミニウム合金の表面にクラディング
したクラッド材も使用できる。また、アルミニウムまた
はアルミニウム合金は予めプレス成形加工などを施した
加工材のものであってもよく、未加工の板材、押出材、
鋳造品であってもよい。 本発明にあっては、これら合
金系のなかで、1000系、3000系、5000系、
6000系等が好ましく、特に1000系が好ましい。
【0014】このような素材に対して前処理が施され
る。この前処理としては特に限定されず、要は素材の表
面に付着した油脂分を除去し、素材表面の不均質な酸化
物皮膜が除去できるものであればよい。例えば、弱アル
カリ性の脱脂液による脱脂処理を施したのち、水酸化ナ
トリウム水溶液でアルカリエッチングをしたのち、硝酸
水溶液中でデスマット処理を行う方法や、脱脂処理後に
酸洗浄を行う方法などが適宜選択して用いられる。
【0015】ついで、この前処理が施された素材を建浴
水中でベーマイト処理を施すことにより、該素材の表面
にベーマイト皮膜を形成する。建浴水としては、高温の
水を使用できるが、特に、電気伝道度が0.1μS以下
のイオン交換水を用いるのが、素材表面の黒変の防止と
ベーマイト皮膜を生成し易いなどの点で好ましい。
【0016】建浴水の温度は、90℃〜沸点(100
℃)の範囲である。本発明でのベーマイト処理は、1〜
2分程度で十分である。従来のベーマイト処理時間は3
0分以上であるが、本発明では膜厚の薄いベーマイト皮
膜を形成するため、1〜2分程度の短時間で処理してい
る。建浴水には、アンモニア、アミン、アルコールアミ
ン、アミド、トリエタノールアミン等のアルカリ添加剤
を添加して用いるのが、ベーマイト皮膜の生成速度が速
くなるなど点で好ましく、その場合、ベーマイト皮膜の
膜厚が厚くなり過ぎないようにするため、ベーマイト処
理時間はさらに1分以下程度と短時間とする必要があ
る。
【0017】このようなベーマイト処理によってアルミ
ニウムまたはアルミニウム合金の表面に、羽毛状の凹凸
を有するベーマイト皮膜が形成される。ベーマイト皮膜
の膜厚は、700〜3000Å、好ましくは1500〜
2500Å程度である。膜厚が700Å未満であると、
羽毛状の凹凸の形成が不十分でアンカー効果が得られ
ず、十分な塗膜密着性が得られなくなる。一方、膜厚が
3000Åを超えると、ベーマイト膜が含有する水分の
除去が十分に為され難く、塗装後密着性が低下してしま
うからである。従って、ベーマイト皮膜の膜厚は、羽毛
状の凹凸がアンカー効果を生じるのに必要最低限の厚み
があればよい。後述するベーキング処理が施される前の
ベーマイト皮膜の含水量は、通常15〜30重量%と高
い。
【0018】ついで、このベーマイト処理が施された素
材を電解浴中で電解する陽極酸化処理を施すことによ
り、ベーマイト皮膜の下地層として無孔質陽極酸化皮膜
を形成する。電解浴としては、生成する無孔質陽極酸化
皮膜を溶解しにくく、かつ無孔質の陽極酸化皮膜を生成
する電解質である硼酸、硼酸塩、リン酸塩、アジピン酸
塩、フタル酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩な
どの群から選ばれる1種または2種以上を溶解した電解
質水溶液が用いられる。これらの電解質のなかでもホウ
酸、アジピン酸塩、フタル酸塩が酸化皮膜の性状、コス
トなどの点で好ましい。電解質水溶液中の電解質濃度は
2重量%からその電解質の飽和濃度の範囲で選ばれる。
電解浴の浴温は20℃〜90℃の範囲である。
【0019】この電解浴中で、アルミニウムまたはアル
ミニウム合金素材は、連続あるいは断続であっても陽極
となるように電源に接続されて電解される。陰極には不
溶性の導電材料が用いられる。電解電流は、直流電流が
用いられ、直流電解では直流密度1〜30A/dm2
度、電解時間数秒〜3分程度で電解が行われる。
【0020】印加電圧は、直流電流では、電圧1Vに対
して形成される酸化皮膜厚さが約14Åとなる関係があ
ることから約5〜142V、好ましくは約20〜50V
の範囲とされる。電源装置などの点からは50V以下と
することが好ましく、このような低電圧での電解でも優
れた塗膜密着性と塗装後耐食性が得られる。このような
陽極酸化処理によってベーマイト皮膜の下地層として厚
さの均一な無孔質陽極酸化皮膜が形成される。無孔質陽
極酸化皮膜の膜厚は、70〜2000Å、好ましくは3
00〜700Å程度である。膜厚が70Å未満である
と、厚さが薄すぎて十分な耐食性が得られ難いからであ
る。一方、膜厚の上限としては、7000Åまで可能で
あるが、2000Åを超えて厚くしても、もはや効果の
増大は期待できず、電解時間の増加や電解設備等にコス
トがかかり経済的にも不利となり、また、成形性が低下
し、皮膜の割れなどが発生するため、2000Å以下で
十分である。
【0021】このようにして得られた陽極酸化皮膜は無
孔質であり、その空孔率は最大でも5%程度以下であ
り、通常は2%程度以下となっている。また、後述する
ベーキング処理が施される前の陽極酸化皮膜の含水量は
1〜5重量%程度、通常は1〜3重量%程度と極めて低
い値を示す。さらに酸化皮膜のアニオン含有量は0.1
〜7重量%程度、通常は1〜5重量%程度と低い値とな
っている。一方、通常の硫酸浴、シュウ酸浴で得られた
多孔質の陽極酸化皮膜は、空孔率が5〜60%と非常に
高く、含水量は封孔処理後で15重量%程度、アニオン
含有量は12〜15重量%程度である。
【0022】このため本発明での陽極酸化皮膜は、皮膜
から揮散する水分、アニオンが格段に微かなものとな
り、焼付塗装時において、水分、アニオンの放出による
塗膜の剥離が小さくなる。また、後述するベーキング処
理により、水分やアニオンはさらに少なくなる。また、
このようにして得られた皮膜は、無孔質であるので、塗
装後耐食性も良好なものとなる。
【0023】また、本発明での無孔質陽極酸化皮膜の形
成においては、電解浴の浴温が20℃〜90℃と温度範
囲が広いから、浴管理が容易となる。さらに、印加電圧
が142V以下、通常は50V以下でよいので、電源装
置などの設備の点でも有利となる。また、酸化皮膜溶解
性の低い電解質を用いているので、電解中の皮膜の溶解
が少なく、電流効率もよくなる。以上の陽極酸化処理
は、コイル状などの未加工の状態のアルミニウムまたは
アルミニウム合金に対して行うこともでき、またプレス
加工などの加工を施した後のものに対しても行うことが
できる。
【0024】ここでアルミニウムまたはアルミニウム合
金素材として成形加工などが施されていない未加工材を
用いた場合には、後述するベーキング処理を施す前に成
形加工を行ってもよく、あるいはベーキング処理後に成
形加工を行ってもよい。
【0025】ついで、複合皮膜が形成されたアルミニウ
ム材を塗装する前に、前記複合皮膜の表面に250℃以
上のベーキング処理を施すことにより、複合皮膜を加
熱、乾燥して、複合皮膜の含水量を5重量%以下、好ま
しくは3〜1重量%にする。ベーキング処理後のベーマ
イト膜の含水量は5〜2重量%、無孔質陽極酸化皮膜の
含水量は2〜0.5重量%程度となっている。
【0026】ベーキング処理温度が250℃未満である
と、複合皮膜中の結晶水を除去することができないた
め、複合皮膜中の含水量を5重量%以下にすることがで
きず、特に、ベーマイト皮膜中の結晶水を十分除去する
ことができず、後述する塗装の乾燥や焼き付け時に、ベ
ーマイト皮膜から水分の揮散に起因して塗膜の密着性が
著しく低下するうえ耐食性も劣ってしまうという問題が
生じる。また、ベーキング処理温度は高いほど好ましい
が、350℃までで水分を含有量5%以下に放出するこ
とができるので、それ以上ベーキング処理温度を高くし
ても、コストの上昇やアルミニウム合金の強度変化など
の恐れがあるため、ベーキング処理温度の上限としては
350℃程度が好ましい。本発明でのベーキング処理
は、数分で十分である。複合皮膜中の水分の除去には、
時間よりも温度条件が支配的であるからである。また、
ベーマイト皮膜が700〜3000Åと薄いことが水分
除去を安易とするからである。
【0027】ついで、前述のような複合皮膜が形成され
たアルミニウム材の表面に塗装を施す。ここでの塗装に
用いられる塗料としては、特に制限はないが、本発明で
は特に焼き付けタイプのものを用いる場合に最も有効に
効果が得られる。このような塗料としては、熱可塑性ア
クリル樹脂系塗料、熱硬化性アクリル樹脂系塗料、エポ
キシ樹脂系塗料、ポリウレタン樹脂系塗料、ポリエステ
ル樹脂系塗料、ポリアミド樹脂系塗料なども用いられ
る。
【0028】塗装方法としては、特に制限はないが、カ
チオン電着塗装法や吹き付け塗装、ロールコータ法、静
電塗装法等が用いられる。また、必要に応じて下塗り、
中塗り、上塗りなどの多層塗装を施すこともできる。こ
のようにすると、目的とする塗装アルミニウム材が得ら
れる。
【0029】本発明のアルミニウム材にあっては、アル
ミニウムまたはアルミニウム合金の表面に、羽毛状の凹
凸を有するベーマイト皮膜を形成したことにより、アン
カー効果が得られるので、ベーマイト皮膜とこれの上に
形成される塗膜との密着性を向上させることができる。
また、このベーマイト皮膜は膜厚が700〜3000Å
と薄いために、厚さが10000Å以上のベーマイト皮
膜が形成された従来のアルミニウム材と比べて、ベーキ
ングによる水分の除去性を厚みが薄くなった分効率よく
できる。また、ベーマイト皮膜の厚みを700〜300
0Åと薄くしても、該ベーマイト皮膜の下地層として7
0〜2000Åの無孔質陽極酸化皮膜を形成したことこ
とにより、耐食性が優れ、また、該無孔質陽極酸化皮膜
中の水分量ならびにアニオン量が少ないため、焼付塗装
時のベーマイト下地の無孔質陽極酸化皮膜からの水分な
らびにアニオンの揮散量も低減できるので塗膜密着性が
優れる。
【0030】また、無孔質陽極酸化皮膜の上層にベーマ
イト皮膜を形成したことにより、塗膜とのアンカー効果
が得られるため、用いる塗料によって塗膜密着性が不十
分となることが殆どないので、無孔質陽極酸化皮膜のみ
が形成された従来のアルミニウム材に比べて、塗料の選
択の自由度が大きくなる。また、無孔質陽極酸化皮膜の
形成にあっては、封孔処理を必要とせず、多孔質陽極酸
化皮膜を形成する場合と比べて電解時間も短くて済むの
で、下地処理時間を短縮でき、生産性が向上するととも
にコストダウンが可能である。また、アルミニウムまた
はアルミニウム合金の成形加工は、複合皮膜の形成前で
も後でもよいが、成形性は良好である。また、複合皮膜
に250℃以上のベーキング処理を施して、ベーマイト
皮膜と無孔質陽極酸化皮膜とからなる複合皮膜の含水量
を5%以下としたことにより、焼付塗装時に複合皮膜か
らの水分ならびにアニオンの揮散量を低減する効果、特
にベーマイト皮膜からの水分ならびにアニオンの揮散量
を低減する効果が優れるので、塗膜密着性が格段に優れ
たものとなる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を、実施例および比較例によ
り、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみ
に限定されるものではない。アルミニウム合金としてJ
IS A1050合金を用い、10%水酸化ナトリウム
水溶液で50℃、60秒のエッチングを行い、市水で水
洗したのち、30%硝酸水溶液でデスマットを60秒間
行い、市水および純水で洗浄して前処理した。この前処
理後の合金を沸騰水(イオン交換水)中でベーマイト処
理を施した。ここでは、処理時間を変更することによ
り、ベーマイト皮膜の膜厚を調整した。ついで、下記表
1に示す電解質水溶液中で浴温60℃、電流密度1A/
dm2(直流)、5分間電解し、水洗および乾燥して陽
極酸化皮膜を化成した。この後、下記表1に示す条件で
複合皮膜にベーキング処理を施した。ついで、このもの
の表面にアクリル−エポキシ系の塗装を乾燥膜厚が20
μmとなるように施したのち、上塗りを30μm施し
た。各塗装後に230℃の焼付け処理を各々60分間行
って、厚さ50μmの塗膜を形成した。
【0032】得られた複合皮膜の含水量を熱重量分析に
よって測定し、アニオン含有量をXPSによって測定し
た。また、塗装後の試料に2mmの碁盤目を100個切
り、セロハンテープで剥離し、残った塗膜の個数を計数
する“ゴバン目テスト”によって塗膜密着性を測定し
た。さらに、塗装試料表面に素地まで達するクロスカッ
トを入れ、下記条件の複合サイクル腐食試験を35サイ
クル行ったのち、クロスカットからの最大腐食長さを測
定し、耐食性を評価した。最大腐食長さが1.0mmを
越えるものを不良(×)、0.5〜1.0mのものを良
(○)、0〜0.5mmのものを秀(◎)とした。 塩水噴霧 35℃で2時間 乾燥 60℃で4時間 湿潤 40℃,95%RHで2時間 結果を下記表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1中の特記事項が記載されていない試料
は、上層皮膜としてベーマイト皮膜、下地皮膜として無
孔質陽極酸化皮膜が形成されているものである。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明のアルミニウ
ム材は、前述の構成としたものであるので、用いる塗料
の選択の自由度が大きく、成形性ならびに生産性がよ
く、しかも低コストであり、塗膜密着性ならびに塗装後
耐食性が優れるという利点がある。また、本発明の塗装
アルミニウム材は、前述の本発明のアルミニウム材に塗
装が施されてなるものであるので、塗膜密着性ならびに
耐食性が優れるという利点がある。また、本発明のアル
ミニウム材の製造方法は、前述の構成としたことによ
り、本発明のアルミニウム材を生産性よく、低コストで
提供することができる。また、本発明の塗装アルミニウ
ム材の製造方法は、前述の構成としたことにより、本発
明の塗装アルミニウム材を提供することができる。従っ
て、本発明によれば、塗膜密着性ならびに耐食性が優れ
た塗装下地処理が施されたアルミニウム材を低コストで
提供できるので、電気製品、器物、装飾品、建材、自動
車部品、プレコートフィン材等のアルミニウム製品また
はアルミニウム合金製品に好適に利用することができ
る。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 11/04 302 C25D 11/16 302 C25D 11/18 313

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムまたはアルミニウム合金の
    表面に、厚さが700〜3000Åのベーマイト皮膜と
    厚さが70〜2000Åの無孔質陽極酸化皮膜とからな
    る含水量が5重量%以下の複合皮膜が形成され、前記無
    孔質陽極酸化皮膜はベーマイト皮膜の下地層として設け
    られていることを特徴とするアルミニウム材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のアルミニウム材の表面に
    塗装を施してなる塗装アルミニウム材。
  3. 【請求項3】 アルミニウムまたはアルミニウム合金の
    表面にベーマイト処理を施してベーマイト皮膜を形成し
    た後、硼酸、硼酸塩、リン酸塩、アジピン酸塩、フタル
    酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩の群から選ば
    れる1種または2種以上からなる電解質水溶液により陽
    極酸化処理を施して前記ベーマイト皮膜の下地層として
    無孔質陽極酸化皮膜を形成する複合皮膜形成工程と、該
    複合皮膜の表面に250℃以上のベーキング処理を施し
    て複合皮膜の含水量を5重量%以下にする工程を備える
    ことを特徴とするアルミニウム材の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルミニウムまたはアルミニウム合金の
    表面に複合皮膜形成工程を施すことを成形前あるいは成
    形後に行う工程を備えることを特徴とする請求項3記載
    のアルミニウム材の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載のアルミニウム材の
    製造方法によりアルミニウム材を製造した後、該アルミ
    ニウム材の表面に塗装を施す工程を備えることを特徴と
    する塗装アルミニウム材の製造方法。
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