JP3349967B2 - 絞り加工性及び耐湿性に優れた塗装鋼板 - Google Patents
絞り加工性及び耐湿性に優れた塗装鋼板Info
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- JP3349967B2 JP3349967B2 JP33024298A JP33024298A JP3349967B2 JP 3349967 B2 JP3349967 B2 JP 3349967B2 JP 33024298 A JP33024298 A JP 33024298A JP 33024298 A JP33024298 A JP 33024298A JP 3349967 B2 JP3349967 B2 JP 3349967B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電機器、室外
機、器物などの絞り加工を必要とする製品に好適な塗装
鋼板に関する。
機、器物などの絞り加工を必要とする製品に好適な塗装
鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】家電機器、室外機、器物などの加工製品
部材として、従来からプレコート鋼板が適用されてい
る。プレコート鋼板は、冷延鋼板やめっき鋼板を加工し
た後に塗装するポストコートに比べて生産性に優れ、近
年の環境問題としてリサイクル性、耐火性、安全性等の
観点から、これまで主流であったプラスチック部材をプ
レコート鋼板に置き換えるなど見直されつつある。プラ
スチック部材は、射出成形で行われるため、丸みを帯び
た形状も自在に加工できるが、プレコート鋼板では成形
し難いものが多い。プレコート鋼板へ移行するには、絞
り加工により丸みの帯びた形状を付与することが必須で
あり、加工後も長期間品質低下してはならない。
部材として、従来からプレコート鋼板が適用されてい
る。プレコート鋼板は、冷延鋼板やめっき鋼板を加工し
た後に塗装するポストコートに比べて生産性に優れ、近
年の環境問題としてリサイクル性、耐火性、安全性等の
観点から、これまで主流であったプラスチック部材をプ
レコート鋼板に置き換えるなど見直されつつある。プラ
スチック部材は、射出成形で行われるため、丸みを帯び
た形状も自在に加工できるが、プレコート鋼板では成形
し難いものが多い。プレコート鋼板へ移行するには、絞
り加工により丸みの帯びた形状を付与することが必須で
あり、加工後も長期間品質低下してはならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のプレコート鋼板
は、折り曲げ加工が中心であり、耐久性を評価するの
に、折り曲げ加工部の評価は行ってきたが、絞り加工し
たものについて、耐湿性などの耐久性評価は、ほとんど
行われていなかった。絞り加工品を湿潤ボックスで、5
0℃の湿潤環境下に240時間挿入すると、コーナー部
にフクレが発生したり、コーナー部や側面部の絞り加工
時に受けた歪み部位の光沢低下が著しく、他の部位との
外観上の調和がとれない。本発明は、絞り加工を施して
も十分な耐湿性を有し、塗膜の光沢低下のない塗装鋼板
を提供することを目的とする。
は、折り曲げ加工が中心であり、耐久性を評価するの
に、折り曲げ加工部の評価は行ってきたが、絞り加工し
たものについて、耐湿性などの耐久性評価は、ほとんど
行われていなかった。絞り加工品を湿潤ボックスで、5
0℃の湿潤環境下に240時間挿入すると、コーナー部
にフクレが発生したり、コーナー部や側面部の絞り加工
時に受けた歪み部位の光沢低下が著しく、他の部位との
外観上の調和がとれない。本発明は、絞り加工を施して
も十分な耐湿性を有し、塗膜の光沢低下のない塗装鋼板
を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】その目的を達成するた
め、鋼板表面に、3次元架橋微粒子樹脂又は水溶性樹脂
を含む塗布型クロメート処理を施し、その上に、乾燥膜
厚で4〜15μmの熱硬化型樹脂下塗り層と、乾燥膜厚
で10〜25μmの熱硬化型樹脂上塗り層を、順次形成
する塗装鋼板において、クロメート皮膜中のC/Crの
モル比が0.5〜4.0で、Si/Crのモル比が2.
5未満であり、熱硬化型樹脂上塗り層の20℃での破断
エネルギーが10N・mm以上で、伸びが30%以上に
した。
め、鋼板表面に、3次元架橋微粒子樹脂又は水溶性樹脂
を含む塗布型クロメート処理を施し、その上に、乾燥膜
厚で4〜15μmの熱硬化型樹脂下塗り層と、乾燥膜厚
で10〜25μmの熱硬化型樹脂上塗り層を、順次形成
する塗装鋼板において、クロメート皮膜中のC/Crの
モル比が0.5〜4.0で、Si/Crのモル比が2.
5未満であり、熱硬化型樹脂上塗り層の20℃での破断
エネルギーが10N・mm以上で、伸びが30%以上に
した。
【0005】
【発明の実施の形態】プレコート鋼板は、下地の鋼板表
面に、塗膜密着性を得るため塗布型クロメート処理され
るのが一般的である。絞り加工後の湿潤環境下での塗膜
フクレと、クロメート皮膜の組成の関係を明らかにする
ため、各元素濃度と湿潤環境下での塗膜フクレの関係を
調査した結果、図1から図3に示すように、クロメート
皮膜の主成分であるCr・C・Siの比率が耐湿性に影
響することが判った。図1はCとCrの濃度と塗膜フク
レの関係を示すもので、CとCrの傾きC/Crが0.
5〜4.0の範囲であれば、湿潤環境下での塗膜フクレ
が発生し難いこと、その範囲を越えると耐湿性が低下す
ることが認められた。図2は、C/Crが0.5〜4.
0の範囲にあるクロメート皮膜におけるSiとCrの濃
度と塗膜フクレの関係を示すもので、SiとCrの傾き
Si/Crが2.5未満の範囲であれば、湿潤環境下で
の塗膜フクレが発生し難くなることが認められた。この
ように、3次元架橋微粒子樹脂又は水溶性樹脂を含む塗
布型クロメートで、平板や曲げ加工の場合と状況が異な
ることが判明した。すなわち、クロメート皮膜中のCr
に対するCのモル比と、Crに対するSiのモル比が湿
潤環境下でのフクレに影響を及ぼし、通常のクロム付着
量(10〜100mg/m2)で、その上に熱硬化型樹
脂下塗り層の膜厚が4〜15μmと、熱硬化型樹脂上塗
り層の膜厚が10〜25μm順次設けられた塗装鋼板に
おいて、図3に示すように、クロメート皮膜中のC/C
rのモル比が0.5〜4.0で、Si/Crのモル比が
2.5未満であれば、塗膜フクレを抑えることができる
ことを見出した。ただし、モル比はX線光電子分光分析
(XPS)により求めた値を示す。
面に、塗膜密着性を得るため塗布型クロメート処理され
るのが一般的である。絞り加工後の湿潤環境下での塗膜
フクレと、クロメート皮膜の組成の関係を明らかにする
ため、各元素濃度と湿潤環境下での塗膜フクレの関係を
調査した結果、図1から図3に示すように、クロメート
皮膜の主成分であるCr・C・Siの比率が耐湿性に影
響することが判った。図1はCとCrの濃度と塗膜フク
レの関係を示すもので、CとCrの傾きC/Crが0.
5〜4.0の範囲であれば、湿潤環境下での塗膜フクレ
が発生し難いこと、その範囲を越えると耐湿性が低下す
ることが認められた。図2は、C/Crが0.5〜4.
0の範囲にあるクロメート皮膜におけるSiとCrの濃
度と塗膜フクレの関係を示すもので、SiとCrの傾き
Si/Crが2.5未満の範囲であれば、湿潤環境下で
の塗膜フクレが発生し難くなることが認められた。この
ように、3次元架橋微粒子樹脂又は水溶性樹脂を含む塗
布型クロメートで、平板や曲げ加工の場合と状況が異な
ることが判明した。すなわち、クロメート皮膜中のCr
に対するCのモル比と、Crに対するSiのモル比が湿
潤環境下でのフクレに影響を及ぼし、通常のクロム付着
量(10〜100mg/m2)で、その上に熱硬化型樹
脂下塗り層の膜厚が4〜15μmと、熱硬化型樹脂上塗
り層の膜厚が10〜25μm順次設けられた塗装鋼板に
おいて、図3に示すように、クロメート皮膜中のC/C
rのモル比が0.5〜4.0で、Si/Crのモル比が
2.5未満であれば、塗膜フクレを抑えることができる
ことを見出した。ただし、モル比はX線光電子分光分析
(XPS)により求めた値を示す。
【0006】クロメート皮膜中のC/Crは、皮膜の樹
脂とクロムのモル比を表し、C/Crが0.5未満で
は、曲げ加工時に微粒子樹脂や他の皮膜成分との界面に
優先的にクラックを発生させることで、皮膜全体の破壊
を抑える応力緩和や均一塗布性が得られない。C/Cr
が4.0以上になると、絞り加工後の湿潤試験で塗膜フ
クレが発生し易くなる。加工歪みを受けない平板部は、
C/Crが4.0以上になっても耐湿性は低下しない。
また、曲げ加工部でも加工歪みを受ける面積が狭いの
で、十分な密着性を保ち、湿潤環境下での塗膜フクレ発
生はない。しかし、絞り加工すると、圧縮・伸び歪みが
曲げ加工に比べて広い面積に及ぶため、伸び歪みは10
0%を越えることもある。そのため、3次元架橋微粒子
樹脂と、クロム、シリカなど他の塗膜成分との界面に応
力が集中しクラックを発生するものと考えられる。湿潤
環境下で、水分がこのクラックを通して侵入し、絞り加
工歪みを受けた広い領域で微粒子樹脂量に応じた密着性
低下が生じる。絞り加工では広い領域で密着性低下が進
行し、コーナー部などの歪みが大きく、その近傍の密着
性低下の著しい部位で塗膜フクレが発生する。
脂とクロムのモル比を表し、C/Crが0.5未満で
は、曲げ加工時に微粒子樹脂や他の皮膜成分との界面に
優先的にクラックを発生させることで、皮膜全体の破壊
を抑える応力緩和や均一塗布性が得られない。C/Cr
が4.0以上になると、絞り加工後の湿潤試験で塗膜フ
クレが発生し易くなる。加工歪みを受けない平板部は、
C/Crが4.0以上になっても耐湿性は低下しない。
また、曲げ加工部でも加工歪みを受ける面積が狭いの
で、十分な密着性を保ち、湿潤環境下での塗膜フクレ発
生はない。しかし、絞り加工すると、圧縮・伸び歪みが
曲げ加工に比べて広い面積に及ぶため、伸び歪みは10
0%を越えることもある。そのため、3次元架橋微粒子
樹脂と、クロム、シリカなど他の塗膜成分との界面に応
力が集中しクラックを発生するものと考えられる。湿潤
環境下で、水分がこのクラックを通して侵入し、絞り加
工歪みを受けた広い領域で微粒子樹脂量に応じた密着性
低下が生じる。絞り加工では広い領域で密着性低下が進
行し、コーナー部などの歪みが大きく、その近傍の密着
性低下の著しい部位で塗膜フクレが発生する。
【0007】クロメート皮膜中のSi/Crは、皮膜の
クロムとシリカのモル比を表し、Si/Crが2.5以
上になると、C/Crが適正範囲にあっても湿潤環境下
で塗膜フクレが発生し易くなる。塗布型クロメート処理
に使用されるシリカは、粒径10〜50nmのヒューム
ドシリカやコロイダルシリカである。これらは、その表
面にシラノール基を多く有し、塗膜との水素結合による
密着性の向上やシリカの自己縮合による皮膜の剛性向上
に効果があるものの、親水性が高いため湿潤環境下では
密着性が低下する。
クロムとシリカのモル比を表し、Si/Crが2.5以
上になると、C/Crが適正範囲にあっても湿潤環境下
で塗膜フクレが発生し易くなる。塗布型クロメート処理
に使用されるシリカは、粒径10〜50nmのヒューム
ドシリカやコロイダルシリカである。これらは、その表
面にシラノール基を多く有し、塗膜との水素結合による
密着性の向上やシリカの自己縮合による皮膜の剛性向上
に効果があるものの、親水性が高いため湿潤環境下では
密着性が低下する。
【0008】C/Cr及びSi/Crのモル比は、X線
光電子分光分析(XPS)による組成比を用いている。
塗布型クロメート皮膜が薄膜であり、相応しい分析深度
を得るためである。測定は、Perkin Elmer
社製PHI5500を用い、1253.6eVのマグネ
シウムX線源による入射角45度で行い、元素濃度のモ
ル比の計算は、C1Sピーク、Si2Pピーク、Cr2
Pピークのピーク面積からそれぞれ算出した。感度補正
係数はC1S:0.296、Si2P:0.339、C
r2P:2.427を用いた。
光電子分光分析(XPS)による組成比を用いている。
塗布型クロメート皮膜が薄膜であり、相応しい分析深度
を得るためである。測定は、Perkin Elmer
社製PHI5500を用い、1253.6eVのマグネ
シウムX線源による入射角45度で行い、元素濃度のモ
ル比の計算は、C1Sピーク、Si2Pピーク、Cr2
Pピークのピーク面積からそれぞれ算出した。感度補正
係数はC1S:0.296、Si2P:0.339、C
r2P:2.427を用いた。
【0009】Cはクロメート皮膜の樹脂成分に起因する
もので、塗布型クロメート処理液の製造時に乳化重合さ
れた粒径0.3〜0.6μm程度の3次元架橋アクリル
樹脂マイクロゲルエマルジョンや、水溶性ポリアクリル
ヒドロキシアミドなどが添加されるためであり、塗膜の
均一塗布性、塗膜密着性などを向上させる。アクリル樹
脂マイクロゲルエマルジョンは、自身が有するカルボン
酸基や水酸基による水素結合で、塗膜と基板との密着性
を向上し、粒径も0.3〜0.6μmと塗布型クロメー
ト皮膜より大きいので、粗面化(アンカー効果)で塗膜
の引っ掻き抵抗性が向上する働きがある。また、体積効
果で均一塗布性や折り曲げ加工時の応力緩和による密着
性の向上などの利点がある。
もので、塗布型クロメート処理液の製造時に乳化重合さ
れた粒径0.3〜0.6μm程度の3次元架橋アクリル
樹脂マイクロゲルエマルジョンや、水溶性ポリアクリル
ヒドロキシアミドなどが添加されるためであり、塗膜の
均一塗布性、塗膜密着性などを向上させる。アクリル樹
脂マイクロゲルエマルジョンは、自身が有するカルボン
酸基や水酸基による水素結合で、塗膜と基板との密着性
を向上し、粒径も0.3〜0.6μmと塗布型クロメー
ト皮膜より大きいので、粗面化(アンカー効果)で塗膜
の引っ掻き抵抗性が向上する働きがある。また、体積効
果で均一塗布性や折り曲げ加工時の応力緩和による密着
性の向上などの利点がある。
【0010】ポリアクリルヒドロキシアミドは、アクリ
ル樹脂と同様の理由で、塗膜密着性を向上させるととも
に、リン酸やシリカを被覆し、各々の分散力成分や極性
力成分をバランスさせることで、塗膜密着性と耐湿性の
バランスを高める。クロムはクロメート処理の主成分
で、塗膜との錯体形成による架橋効果、自己縮合による
連続皮膜化など、共有結合や水素結合で塗膜密着性や耐
食性を向上させており、樹脂など他の添加剤に比べて強
い。
ル樹脂と同様の理由で、塗膜密着性を向上させるととも
に、リン酸やシリカを被覆し、各々の分散力成分や極性
力成分をバランスさせることで、塗膜密着性と耐湿性の
バランスを高める。クロムはクロメート処理の主成分
で、塗膜との錯体形成による架橋効果、自己縮合による
連続皮膜化など、共有結合や水素結合で塗膜密着性や耐
食性を向上させており、樹脂など他の添加剤に比べて強
い。
【0011】熱硬化型樹脂上塗り層の20℃での破断エ
ネルギーが10N・mm以上で、かつ、伸びが30%以
上であれば、塗膜割れや塗膜表面の微細なクラックの発
生を抑え、光沢低下を抑制できる。塗膜の光沢低下の一
つに、上塗り塗膜表面の粗面化がある。粗面化は、加工
歪みに伴う塗膜表面の微細なクラックによる。絞り加工
により歪みを受けた塗膜は、その歪み量と塗膜の伸び及
び破断エネルギーに応じて、表面から微細なクラックが
発生し、やがて塗膜の破断に至る。歪み応力に対して塗
膜伸びの高い塗膜であれば、塗膜は破断せずに加工でき
るが、破断エネルギーが低い塗膜では、塗膜表面の微細
なクラックを抑えることができない。なお、ここでいう
破断エネルギーは、幅5mm、チャック間長さ30m
m、膜厚20μmの遊離塗膜を20℃、引張り速度10
mm/分の条件で試験した結果から求めた値である。
ネルギーが10N・mm以上で、かつ、伸びが30%以
上であれば、塗膜割れや塗膜表面の微細なクラックの発
生を抑え、光沢低下を抑制できる。塗膜の光沢低下の一
つに、上塗り塗膜表面の粗面化がある。粗面化は、加工
歪みに伴う塗膜表面の微細なクラックによる。絞り加工
により歪みを受けた塗膜は、その歪み量と塗膜の伸び及
び破断エネルギーに応じて、表面から微細なクラックが
発生し、やがて塗膜の破断に至る。歪み応力に対して塗
膜伸びの高い塗膜であれば、塗膜は破断せずに加工でき
るが、破断エネルギーが低い塗膜では、塗膜表面の微細
なクラックを抑えることができない。なお、ここでいう
破断エネルギーは、幅5mm、チャック間長さ30m
m、膜厚20μmの遊離塗膜を20℃、引張り速度10
mm/分の条件で試験した結果から求めた値である。
【0012】熱硬化型樹脂上塗り層の伸びと破断エネル
ギーを前述のとおりにするには、塗料樹脂に比較的分子
量の大きな樹脂、例えば、数平均分子量が12000〜
30000前後のポリエステル系樹脂や高分子ポリエス
テル系樹脂を用い、配合する硬化剤の種類や配合量を調
整すればよい。また、熱硬化型樹脂下塗り層は、家電用
プレコート鋼板に使用されているような数平均分子量1
0000〜27000のポリエステル系樹脂、エポキシ
系樹脂を用いた塗膜を使用すればよい。熱硬化型樹脂下
塗り層には、必要に応じて着色顔料や体質顔料を添加し
てもよい。
ギーを前述のとおりにするには、塗料樹脂に比較的分子
量の大きな樹脂、例えば、数平均分子量が12000〜
30000前後のポリエステル系樹脂や高分子ポリエス
テル系樹脂を用い、配合する硬化剤の種類や配合量を調
整すればよい。また、熱硬化型樹脂下塗り層は、家電用
プレコート鋼板に使用されているような数平均分子量1
0000〜27000のポリエステル系樹脂、エポキシ
系樹脂を用いた塗膜を使用すればよい。熱硬化型樹脂下
塗り層には、必要に応じて着色顔料や体質顔料を添加し
てもよい。
【0013】本発明の塗装鋼板の基板は、亜鉛めっき鋼
板、亜鉛アルミニウムめっき鋼板、アルミニウムめっき
鋼板、ステンレス鋼板等何れでもよい。塗布型クロメー
ト処理方法はロールコート方式などの公知方法でよい。
クロメート液を塗布した後、50〜200℃で乾燥すれ
ばよく、熱硬化型樹脂下塗り層及び熱硬化型樹脂上塗り
層の形成も公知方法でよい。
板、亜鉛アルミニウムめっき鋼板、アルミニウムめっき
鋼板、ステンレス鋼板等何れでもよい。塗布型クロメー
ト処理方法はロールコート方式などの公知方法でよい。
クロメート液を塗布した後、50〜200℃で乾燥すれ
ばよく、熱硬化型樹脂下塗り層及び熱硬化型樹脂上塗り
層の形成も公知方法でよい。
【0014】
【実施例】板厚0.5mm、片面当りの付着量60g/
m2の各種めっき鋼板に、表1の皮膜組成を有する塗布
型クロメート処理を施し、熱硬化型樹脂下塗り層の形成
として、数平均分子量25000のポリエステル樹脂系
下塗り塗料を乾燥塗膜厚で3〜12μmになるように塗
装し、215℃で40秒間焼付け乾燥した。その後、熱
硬化型樹脂上塗り層に形成として、表2の特性をもつ種
々の高分子ポリエステル樹脂系上塗り塗料を乾燥塗膜厚
で7〜20μmになるように塗装し、230℃で50秒
間焼付け乾燥した。得られた塗装金属板について、特性
評価を行った。評価結果は表3のとおりである。
m2の各種めっき鋼板に、表1の皮膜組成を有する塗布
型クロメート処理を施し、熱硬化型樹脂下塗り層の形成
として、数平均分子量25000のポリエステル樹脂系
下塗り塗料を乾燥塗膜厚で3〜12μmになるように塗
装し、215℃で40秒間焼付け乾燥した。その後、熱
硬化型樹脂上塗り層に形成として、表2の特性をもつ種
々の高分子ポリエステル樹脂系上塗り塗料を乾燥塗膜厚
で7〜20μmになるように塗装し、230℃で50秒
間焼付け乾燥した。得られた塗装金属板について、特性
評価を行った。評価結果は表3のとおりである。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】各特性の評価方法は次のとおりである。 (1) 絞り加工性 万能型深絞り試験機(エリクセン社製142−20型)
を用いて角筒型(縦横各42mm、深さ20mm、コー
ナーR11mm)に絞り、コーナー部の塗膜亀裂状態を
ルーペ(倍率10)で観察し、塗膜に異常がないものを
記号◎、塗膜にごく僅かに亀裂が認められるものを記号
○、塗膜にかなり亀裂が認められるものを記号△、肉眼
で塗膜に亀裂が認められるものを記号×で評価した。 (2) 耐湿性 平板及び絞り加工後のサンプルを、JISK5400に
準拠して50℃で240時間湿潤試験を行い、湿潤環境
下での塗膜フクレ発生状態を観察した。塗膜フクレのな
いものを記号○、肉眼ではフクレは認められないが40
倍ルーペでごく小さな塗膜フクレが1〜2点あるものを
記号△、肉眼で塗膜フクレが認められるものを記号×で
評価した。
を用いて角筒型(縦横各42mm、深さ20mm、コー
ナーR11mm)に絞り、コーナー部の塗膜亀裂状態を
ルーペ(倍率10)で観察し、塗膜に異常がないものを
記号◎、塗膜にごく僅かに亀裂が認められるものを記号
○、塗膜にかなり亀裂が認められるものを記号△、肉眼
で塗膜に亀裂が認められるものを記号×で評価した。 (2) 耐湿性 平板及び絞り加工後のサンプルを、JISK5400に
準拠して50℃で240時間湿潤試験を行い、湿潤環境
下での塗膜フクレ発生状態を観察した。塗膜フクレのな
いものを記号○、肉眼ではフクレは認められないが40
倍ルーペでごく小さな塗膜フクレが1〜2点あるものを
記号△、肉眼で塗膜フクレが認められるものを記号×で
評価した。
【0019】(3) 光沢保持性 (A)絞り加工 絞り加工した角筒サンプルの光沢を測定し、未加工時の
光沢と比べて光沢保持率が80%以上あるものを記号
○、60〜79%以上あるものを記号△、59%以下の
ものを記号×で評価した。 (B)引張り試験 万能型引張り試験機(島津製作所製GT2000型)を
用いて、15%の伸びを与えたときの光沢を測定し、試
験前の光沢と比べて光沢保持率が80%以上あるものを
記号○、60〜79%以上あるものを記号△、59%以
下のものを記号×で評価した。評価結果に示すとおり、
本発明に従ったものは絞り加工性及び耐湿性に優れ、光
沢の低下もない。
光沢と比べて光沢保持率が80%以上あるものを記号
○、60〜79%以上あるものを記号△、59%以下の
ものを記号×で評価した。 (B)引張り試験 万能型引張り試験機(島津製作所製GT2000型)を
用いて、15%の伸びを与えたときの光沢を測定し、試
験前の光沢と比べて光沢保持率が80%以上あるものを
記号○、60〜79%以上あるものを記号△、59%以
下のものを記号×で評価した。評価結果に示すとおり、
本発明に従ったものは絞り加工性及び耐湿性に優れ、光
沢の低下もない。
【0020】以上のように、本発明の塗装鋼板は、絞り
加工を施しても耐湿性に優れ、塗膜の光沢低下がない。
したがって、加工後も長期間安定した品質が求められる
部材に好適である。
加工を施しても耐湿性に優れ、塗膜の光沢低下がない。
したがって、加工後も長期間安定した品質が求められる
部材に好適である。
【図1】クロメート皮膜のCrとC濃度と耐湿性の関係
を示す図である。
を示す図である。
【図2】クロメート皮膜のCrとSi濃度と耐湿性の関
係を示す図である。
係を示す図である。
【図3】クロメート皮膜の主成分のモル比と耐湿性の関
係を示す図である。
係を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−302872(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 28/00 B05D 7/24 301 B32B 15/08
Claims (2)
- 【請求項1】鋼板表面に、3次元架橋微粒子樹脂又は水
溶性樹脂を含む塗布型クロメート処理を施し、その上
に、乾燥膜厚で4〜15μmの熱硬化型樹脂下塗り層
と、乾燥膜厚で10〜25μmの熱硬化型樹脂上塗り層
を、順次形成する塗装鋼板において、クロメート皮膜中
のC/Crのモル比が0.5〜4.0で、かつ、Si/
Crのモル比が2.5未満であることを特徴とする絞り
加工性及び耐湿性に優れた塗装鋼板。 - 【請求項2】熱硬化型樹脂上塗り層の20℃での破断エ
ネルギーが10N・mm以上で、かつ、伸びが30%以
上であることを特徴とする請求項1記載の絞り加工性及
び耐湿性に優れた塗装鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33024298A JP3349967B2 (ja) | 1998-11-06 | 1998-11-06 | 絞り加工性及び耐湿性に優れた塗装鋼板 |
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