JP2854262B2 - 潤滑性が優れたアルミニウム合金板 - Google Patents

潤滑性が優れたアルミニウム合金板

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JP2854262B2 JP13549395A JP13549395A JP2854262B2 JP 2854262 B2 JP2854262 B2 JP 2854262B2 JP 13549395 A JP13549395 A JP 13549395A JP 13549395 A JP13549395 A JP 13549395A JP 2854262 B2 JP2854262 B2 JP 2854262B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、その表面に潤滑性を有
する皮膜が形成されたアルミニウム合金板に関し、特に
プレス成形等の成形加工が施される家電製品又はシャー
シ等の自動車部品等の製造に好適の潤滑性が優れたアル
ミニウム合金板に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金板(以下、アルミニウ
ム板も含む)は、耐食性及び美的外観(意匠性)が優れ
ていると共に軽量であるため、家庭用電化製品、シャー
シ等の自動車部品又は各種容器類等に広く使用されてい
る。
【0003】しかし、アルミニウム合金板は、冷延鋼板
又は表面処理鋼板に比べて成形性が劣り、プレス成形等
によって素材の表層が剥離し易い。このため、成形加工
時に剥離片が金型に付着して金型の寸法が変わる所謂ビ
ルドアップ現象が発生してしまうという欠点がある。ま
た、アルミニウム合金板は、鋼等に比べて硬度が低いた
め、鋼と同一の条件で成形加工すると、その表面に疵が
付いてしまう。
【0004】このため、従来、アルミニウム合金板を成
形加工する場合には、その表面に潤滑油を塗布して、ア
ルミニウム合金板を保護することにより、その成形性を
向上させている。そして、成形加工後に有機溶剤を使用
してアルミニウム合金板を脱脂洗浄し、表面に残留した
潤滑油を除去している。
【0005】ところで、近年、環境保護の観点から、有
機溶剤の使用が規制されるようになったため、アルミニ
ウム合金板を成形加工する場合には、従来使用している
潤滑油に替えて低粘度の揮発性潤滑油を使用し、有機溶
剤による脱脂洗浄の工程を省略する傾向にある。また、
潤滑油を使用せずにアルミニウム合金板を成形加工する
方法も提案されている。
【0006】しかし、潤滑油を使用しない場合は勿論の
こと、揮発性潤滑油を使用する場合であっても、アルミ
ニウム合金板の成形性を十分に向上させることは困難で
ある。このため、アルミニウム合金板の成形加工時にお
いて割れ、しわ又は焼付きが発生したり、表面に疵が付
きやすくなってしまう。
【0007】そこで、アルミニウム合金板の表面に予め
潤滑性を有する皮膜として、例えばポリオレフィンワッ
クス、パーフロロカーボン樹脂ワックス、フッ素系樹脂
粉末、グラファイト又は窒化ホウ素等の潤滑剤を混合し
たウレタン系又はエポキシ系等の樹脂膜を形成して、成
形性を向上させたアルミニウム合金板が提案されている
(特開平1−122432号、特開平4−268038
号、特開平5−309311号、特開平5−31145
4及び特開平5−320934号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た皮膜をアルミニウム合金板の表面に形成する場合であ
っても、前記皮膜の強度が十分ではないため、成形加工
時においてその皮膜の焼付きが発生してしまう。それ
に、アルミニウム合金板の表面は疵が付きやすく、耐疵
付き性も十分ではない。
【0009】また、皮膜における潤滑剤の添加量が少な
いと、十分な潤滑性を得ることができず、逆に潤滑剤の
添加量を多くすると、潤滑剤が皮膜の表面に滲み出して
しまう。このため、アルミニウム合金板の成形加工後に
塗装を施す場合には、皮膜と塗料との密着性が低下する
ため、アルミニウム合金板の表面に良好な塗装による皮
膜(以下、「塗装皮膜」という)を形成することができ
ない。
【0010】更に、上述の潤滑剤及び樹脂を使用して皮
膜を形成する場合には、この他に架橋剤等を添加する必
要があるため、皮膜形成用の塗料を作製する場合に、そ
の作業性が低下してしまう。更にまた、上述の潤滑剤及
び樹脂は高価であるため、前記塗料の製作コストが高く
なってしまう。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、皮膜の焼付きを防止することができ、高い
耐疵付き性を有し、成形加工後の塗装性が良好である潤
滑性が優れたアルミニウム合金板を提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る潤滑性が優
れたアルミニウム合金板は、その表面に平均分子量が5
万乃至500万であるポリエチレンオキシドの皮膜を有
することを特徴とする。また、前記表面はクロメート処
理が施されていることが好ましい。
【0013】なお、ポリエチレンオキシドの化学組成は
下記化1に示すものであり、R1及びR2はアルキル基、
またnは1000乃至100000である。
【0014】
【化1】
【0015】
【作用】本願発明者等は皮膜の焼付きを防止することが
でき、高い耐疵付き性を有し、成形加工後の塗装性が良
好である潤滑性が優れたアルミニウム合金板を開発すべ
く、種々の実験研究を行った。その結果、アルミニウム
合金板の表面に所定のポリマーを皮膜として形成するこ
とにより、本発明の目的を達成し得ることを見い出し
た。
【0016】このポリマーには、以下のような特性を有
するポリエチレンオキシドを使用する。即ち、ポリエチ
レンオキシドは柔軟性を有すると共に、高密度ポリエチ
レンと略同程度の高強度を有する。このため、ポリエチ
レンオキシドの皮膜は、優れた強度を有すると共に延伸
性が優れたものとなる。
【0017】また、ポリエチレンオキシドは直鎖状の規
則正しい螺旋構造をしており、また優れた摩擦抵抗減少
効果も有する。このため、ポリエチレンオキシドの皮膜
は、優れた潤滑性を有するものとなる。
【0018】更に、ポリエチレンオキシドは吸湿性が低
く、また化学的活性基を有しない。このため、ポリエチ
レンオキシドの皮膜は化学反応性が小さく、高温等の過
酷な環境下においても安定性を有する。
【0019】これらの特性を有するポリエチレンオキシ
ドの皮膜をアルミニウム合金板の表面に形成することに
より、優れた潤滑性を有するアルミニウム合金板を得る
ことができ、成形加工時におけるアルミニウム合金板の
金型への滑り込みが良好となるため、成形性を大幅に向
上させることができる。
【0020】また、前記皮膜は高強度であるため、成形
加工時における皮膜の焼付きを防止することができ、ア
ルミニウム合金板の耐疵付き性を向上させることができ
る。更に、前記皮膜を形成したアルミニウム合金板を成
形加工した後に塗装する場合において、前記皮膜には塗
装皮膜との密着性を阻害する潤滑剤が添加されていない
ため、前記皮膜と塗装皮膜との密着性を向上させること
ができ、良好な塗装皮膜を形成することができる。更に
また、前記皮膜は吸湿性が低く、化学反応性も低いた
め、アルミニウム合金板が酸又はアルカリ等の過酷な条
件下で使用されても、優れた耐食性の効果を発揮するこ
とができる。
【0021】次に、ポリエチレンオキシドの皮膜をアル
ミニウム合金板の表面に形成する方法について説明す
る。先ず、ポリエチレンオキシドを所定の濃度となるよ
うに水に溶解した処理浴を、ロールコーティング法等に
よりアルミニウム合金板の表面上に塗布して、所定の厚
さの水膜を形成する。その後、100〜200℃の温度
で数秒間焼き付けることにより、水分を蒸発させてポリ
エチレンオキシドの皮膜を形成する。
【0022】次に、アルミニウム合金板の表面にクロメ
ート処理を施す場合について説明する。クロメート処理
には、リン酸クロメート処理と塗布型クロメート処理と
がある。リン酸クロメート処理では、リン酸、クロム酸
又はフッ酸等の化合物を所定の濃度となるように水に溶
解したリン酸クロメート処理浴を、所定の温度に調整
し、その処理浴にアルミニウム合金板を所定時間浸漬し
て行う。また、前記処理浴にアルミニウム合金板を浸漬
させずに、前記処理浴をスプレー等によりアルミニウム
合金板の表面に吹き付け、そのアルミニウム合金板を水
洗した後乾燥させることによってクロメート処理を行っ
てもよい。
【0023】一方、塗布型クロメート処理では、先ずリ
ン酸、クロム酸、フッ酸又はポリアクリル酸等を所定の
濃度となるように水に溶解した塗布型クロメート処理浴
を、ロールコーティング法等によりアルミニウム合金板
の表面上に塗布して、所定の厚さの水膜を形成する。そ
の後、100〜200℃の温度で数秒間焼き付けること
により、水分を蒸発させて皮膜を形成してクロメート処
理を行う。
【0024】このように、ポリエチレンオキシドの皮膜
を形成する前の下地処理として、アルミニウム合金板に
クロメート処理を施すことにより、アルミニウム合金板
と皮膜との界面の密着性をより一層向上させることがで
きるため、アルミニウム合金板の成形加工時における焼
付きの防止及び耐食性をより一層向上させることができ
る。
【0025】次に、ポリエチレンオキシドの分子量の限
定理由について説明する。
【0026】分子量:5万乃至500万 一般に、エチレンオキシドの重合体は、分子量が2万程
度までであるポリエチレングリコールと、数万以上であ
るポリエチレンオキシドとに分類される。分子量が5万
未満であるエチレンオキシド、即ちポリエチレングリコ
ール又は分子量の小さいポリエチレンオキシドを皮膜と
して使用する場合には、分子量が小さいため、十分な皮
膜を形成することができず、またその皮膜は強度が低く
脆いものとなってしまう。このため、このような皮膜が
形成されたアルミニウム合金板では、成形加工時に焼付
きが発生し易くなり、耐疵付き性も十分とはいえない。
また、吸湿性が高くなるため、皮膜の安定性は低下し、
耐食性も低下してしまう。
【0027】一方、分子量が500万を超えると、皮膜
を形成するための処理浴が低濃度であっても、溶液粘度
が高くなってしまう。このため、アルミニウム合金板の
表面に均一に皮膜を形成することが困難となり、また作
業性が低下してしまう。従って、ポリエチレンオキシド
の分子量は5万乃至500万とする。
【0028】なお、皮膜の厚さは、0.1乃至10μm
であることが好ましい。これは、厚さが0.1μm未満
であると、潤滑性、耐疵付き性及び耐食性の効果を十分
に得ることができず、また厚さが10μmを超えてもこ
れらの効果を更に向上させることはできず、製造コスト
を上昇させてしまうだけだからである。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例について、本発明の特
許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先
ず、材質が5000系のO材で厚さが1mmのアルミニ
ウム合金板を酸洗、脱脂及び水洗し十分に乾燥させた
後、下記表1に示す組成を有する皮膜を前記アルミニウ
ム合金板の表面に形成した。また、皮膜形成前にクロメ
ート処理を施した場合は下記表1の下地処理の欄に「有
り」と、クロメート処理を施さなかった場合は「なし」
と記載する。なお、比較例No2〜7の皮膜組成の欄で
記載したワックス及び樹脂の値の単位は重量%である。
【0030】
【表1】
【0031】上記表1に示す表面処理が施された各アル
ミニウム合金板について、平板摺動試験、深絞り試験、
塗装性試験、耐食性試験並びに耐酸性及び耐アルカリ性
試験を、以下のような条件で行った。
【0032】平板摺動試験 図1は、平板摺動試験に使用する試験機の一部を示す模
式的断面図である。この図1に示すように、試験片の押
さえ部のダイス2a及び2bを接近させて、その間にア
ルミニウム合金板1を挟んだ。このとき、アルミニウム
合金板1にダイス2a及び2bで加圧力Pを印加しつ
つ、アルミニウム合金板1を白抜矢印の方向へ引き抜い
た。この場合の条件を下記表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】そして、上記表2の条件でアルミニウム合
金板1を引き抜くときの引き抜き荷重Fを測定し、下記
数1により動摩擦係数μを算出して、この値により各ア
ルミニウム合金板の潤滑性を評価した。
【0035】
【数1】 動摩擦係数μ=F(引き抜き荷重)/2P(加圧力)
【0036】また、引き抜き後のアルミニウム合金板の
外観を目視観察して、焼付き状況及び耐疵付き性を調査
した。この場合、焼付きが発生しなかった場合、若干焼
付きが発生した場合及び著しい焼付きが発生した場合を
夫々「○」、「△」及び「×」とし、また疵が発生しな
かった場合、小さな疵が発生した場合及び大きな疵が発
生した場合を夫々「○」、「△」及び「×」として、下
記表4の焼付き状況及び耐疵付き性の欄に夫々示す。
【0037】深絞り試験 深絞り試験では、下記表3に示す条件で円筒深絞り試験
を行い、アルミニウム合金板の成形性を評価し、その結
果を下記表4に示す。なお、下記表4の円筒絞り高さに
示す値は、絞り試験で割れ又はしわ等の不具合が発生せ
ずに成形することができた最大の高さである。
【0038】
【表3】
【0039】塗装性試験 塗装性試験では、アルミニウム合金板に上塗り用塗料
(熱硬化型アミノアルキッド樹脂系塗料アミラック10
00(白):関西ペイント(株)製)を、塗装皮膜の厚
さが30μmとなるように塗装した。そして、碁盤目テ
ープ剥離試験にて上塗りした塗装性を評価した。この場
合、剥離がない場合を「○」、剥離部が1/100〜1
0/100の場合を「△」、剥離部が10/100より
多い場合には「×」として、その結果を下記表4に示
す。
【0040】耐食性試験 耐食性試験では、塩水噴霧試験方法(JIS Z237
1)を使用して、アルミニウム合金板に対して、100
0時間の連続噴霧を行った。このときの腐食状況により
耐食性を評価し、その結果を下記表4にレイティングN
oで示す。
【0041】耐酸性及び耐アルカリ性試験 耐酸性試験では、アルミニウム合金板を5%濃度のH2
SO4水溶液(室温)に24時間浸漬し、一方耐アルカ
リ性試験では、0.51%濃度のNaOH水溶液(室
温)に24時間浸漬して、耐酸性及び耐アルカリ性を評
価した。この場合、アルミニウム合金板に変化がない場
合を「◎」、表面が若干白化し、素材に腐食がない場合
を「○」、表面が白化し、素材が若干腐食した場合を
「△」、素材の全面が腐食した場合を「×」として、下
記表4の耐酸化性及び耐アルカリ性の欄にその結果を示
す。
【0042】
【表4】
【0043】上記表4に示すように、本発明の特許請求
の範囲内である実施例No1〜7については、動摩擦係
数はいずれも0.1以下と低く、潤滑性が優れており、
また円筒絞り高さはいずれも24mm以上となり、成形
性が優れていることがわかる。また、高強度の皮膜が形
成されているため、焼付き及び疵は発生せず、形成され
た皮膜には塗装皮膜との密着性を阻害する潤滑剤が添加
されていないため、いずれの実施例も上塗り塗装性は良
好なものとなった。更に、耐食性の評価を示すレイティ
ングNoはいずれも9.8以上と、高い耐食性を有し、
耐酸性及び耐アルカリ性についても良好以上の結果とな
った。特に、皮膜を形成する前に下地処理としてクロメ
ート処理を施した実施例No2、3、5、6及び7の耐
酸性及び耐アルカリ性については、いずれも優れた結果
となった。
【0044】次に、比較例について説明する。比較例N
o1については、形成された皮膜がポリエチレングリコ
ールからなる皮膜であるため、十分な皮膜を形成するこ
とができず、また形成された皮膜は強度が低く脆いもの
であった。このため、潤滑性を向上させることができ
ず、成形性を十分に向上させることはできなかった。ま
た、皮膜の強度が低いため、焼付き及び疵が発生し、特
にアルミニウム合金板の表面に大きな疵が発生した。更
に、実施例と比べて耐食性、耐酸性及び耐アルカリ性に
ついていずれも劣ったものとなった。
【0045】比較例No2及び4については、形成され
た皮膜の潤滑剤の添加量が少ないため、潤滑性を向上さ
せることができず、成形性を十分に向上させることがで
きなかった。また、形成された皮膜は強度が不十分であ
ったため、焼付き及び疵が発生した。更に、皮膜の大部
分の成分であるウレタン樹脂は、酸に対する安定性が低
いため、特に耐酸性について実施例と比べて劣ったもの
となった。
【0046】比較例No3及び5については、形成され
た皮膜に潤滑剤が多く添加されていたため、潤滑性を向
上させることができ、成形性を向上させることはできた
が、皮膜の強度が不十分であったため、焼付き及び疵が
発生した。また、潤滑剤の添加量が多いため、上塗りし
た塗装皮膜との密着性が低下してしまった。更に、上述
した比較例No2又は4と同様に、耐酸性について実施
例と比べて劣ったものとなった。
【0047】比較例No6及び7については、形成され
た皮膜に潤滑剤が多く添加されていたため、潤滑性を向
上させることができ、成形性を向上させることはできた
が、皮膜の強度が不十分であったため、焼付き及び疵が
発生した。また、潤滑剤の添加量が多いため、上塗りし
た塗装皮膜との密着性が低下してしまった。更に、皮膜
の大部分の成分であるエポキシ樹脂は、酸及びアルカリ
に対する安定性が低いため、耐酸性及び耐アルカリ性に
ついて実施例と比べて劣ったものとなった。
【0048】比較例No8については、皮膜を形成せず
に低粘度油を塗油したため、潤滑性を向上させることが
できず、成形性を十分に向上させることができなかっ
た。また、焼付き及び疵が発生し、特にアルミニウム合
金板の表面に大きな疵が発生した。更に、油層の上から
塗装したため、その塗装性は極めて劣化し、また耐食
性、耐酸性及び耐アルカリ性についても実施例と比べて
極めて劣化したものとなった。
【0049】比較例No9については、皮膜形成等の表
面処理を施していないため、潤滑性が極めて劣化し、成
形性も極めて劣化したものとなった。また、焼付き及び
疵が極めて大量に発生し、更に塗装性、耐食性、耐酸性
及び耐アルカリ性はいずれも実施例と比べて極めて劣っ
たものとなった。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アルミニウム合金板の表面に所定量の平均分子量を有す
るポリエチレンオキシドの皮膜を形成することにより、
成形性が良好な潤滑性が優れたアルミニウム合金板を製
造することができる。また、前記皮膜は高強度であるた
め、焼付き及び疵が発生することを防止することがで
き、耐食性、耐酸性及び耐アルカリ性を向上させること
ができる。更に、前記皮膜には塗装皮膜との密着性を阻
害する潤滑剤が添加されていないため、上塗り塗装性を
向上させることができる。
【0051】また、前記皮膜を形成する前に下地処理と
して、アルミニウム合金板の表面にクロメート処理を施
すことにより、成形加工時における焼付きの発生をより
一層防止することができ、また耐食性もより一層向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平板摺動試験に使用する試験機の一部を示す模
式的断面図である。
【符号の説明】
1;アルミニウム合金板 2a,2b;ダイス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B05D 7/14 101 B05D 3/10 B05D 5/00 B05D 7/24 302 B32B 15/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その表面に平均分子量が5万乃至500
    万であるポリエチレンオキシドの皮膜を有することを特
    徴とする潤滑性が優れたアルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 前記表面はクロメート処理が施されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の潤滑性が優れたア
    ルミニウム合金板。
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