JP4562955B2 - セルフレベリング材用分散剤及び不定形耐火物用分散剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント、石膏等の水硬性化合物を用いたセルフレベリング材用分散剤及び不定形耐火物用分散剤及びこれを含有するセルフレベリング材及び不定形耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルフレベリング材用分散剤及び不定形耐火物用分散剤として、従来からナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ポリカルボン酸共重合体等が用いられている。特にポリカルボン酸共重合体は他の分散剤に比べて、流動性が高いあるいは可使時間が長いという利点を有する。ポリカルボン酸系共重合体は、当該用途において、通常液状品として使用されているが、更に利便性を高めるために、粉末状の分散剤とし、水硬性化合物や骨材等の粉体材料と予め混合(プレミックス)された製品も開発されている。例えば、特許2669761号には、液状のポリカルボン酸系共重合体と無機粉末を噴霧乾燥する方法が、特開平9−309756号公報には、ポリアルキレングリコールアルケニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体を多価金属塩にする方法が、特開2000−26145号公報には、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が20〜109の特定構造の(メタ)アクリレート系セメント分散剤を乾燥粉末化する方法が開示されている。
【0003】
しかしながら、ポリカルボン酸系共重合体は、使用温度によって流動性、可使時間及び硬化時間が大きく振れ、年間を通じての使用が困難である場合も見られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、セメント、石膏等を用いたセルフレベリング材又は不定形耐火物用の水硬性組成物について、使用温度によって大きく振れる流動性及び可使時間を安定化し、安定な品質の水硬性組成物を製造することができる分散剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の一般式(a1)で表される単量体の少なくとも1種(A1)と下記の一般式(a2)で表される単量体の少なくとも1種(A2)とを共重合させて得られ、且つ前記単量体(A1)と(A2)のモル比(A1)/(A2)が反応途中において少なくとも1回変化されている共重合体混合物(イ)を含有する、セルフレベリング材用分散剤又は不定形耐火物用分散剤に関する。
【0006】
【化5】
【0007】
(式中、
R1、R2:水素原子又はメチル基
R3:水素原子又は-COO(AO)m1X
m:0〜2の数
p:0又は1の数
n:2〜300の数
AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基
X:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基
を表す。)
【0008】
【化6】
【0009】
(式中、
R4〜R6:水素原子、メチル基又は(CH2)m1COOM2であり、(CH2)m1COOM2はCOOM1又は他の(CH2)m1COOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1、M2は存在しない。
M1、M2:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
m1:0〜2の数
を表す。)。
【0010】
また、本発明は、上記本発明の分散剤のうち、粉末状の分散剤と水硬性組成物とを含有する、セルフレベリング材又は不定形耐火物に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
アルキレンオキサイドを付加したポリカルボン酸系共重合体が、使用温度に対して安定した流動性及び可使時間を発現するには、単量体(A2)の重量比の異なる多数の共重合体が混在していることが必要である。
【0012】
しかし、単量体(A2)の重量比の異なる共重合体をそれぞれ製造した上で混合した場合、大量生産するには製造効率が低く、製造コストが増大するため、混合できる種類が限られる。
【0013】
しかし、本発明で使用する共重合体混合物(イ)は、単量体(A1)と(A2)のモル比(A1)/(A2)が反応途中において少なくとも1回変化されていることにより、単量体(A2)の重量比が連続分布する共重合体混合物であると考えられ、使用温度に対して安定した流動性及び可使時間が発現する。しかも、大量にかつ安価に得ることができる。本発明の共重合体混合物(イ)についてより好ましい実施形態を説明する。
【0014】
〔単量体(a1)〕
共重合体混合物(イ)の製造に用いられる一般式(a1)で表される単量体(A1)としては、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、メトキシポリブチレングリコール、メトキシポリスチレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸、マレイン酸との(ハーフ)エステル化物や、(メタ)アリルアルコールとのエーテル化物、及び(メタ)アクリル酸、マレイン酸、(メタ)アリルアルコールヘのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物が好ましく用いられ、R3は水素原子が好ましく、pは1が、mは0が好ましい。より好ましくはアルコキシ、特にはメトキシポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物である。
【0015】
共重合体混合物(イ)を使用した場合に、硬化時間が遅れないようにするために、単量体(a1)において、アルキレンオキサイドの付加モル数nが30≦nであることが好ましく、50≦nがより好ましく、70≦nであることが更に好ましく、90≦nであることが特に好ましく、110≦nであることが最も好ましい。
【0016】
ポリカルボン酸系共重合体を使用した場合に、使用温度によって水硬性組成物の流動性が極端に低下することがある。このような使用温度変化に対しても分散性が振れないようにするには、単量体(a1)において、nが2≦n≦50であることが好ましく、5≦n≦40がより好ましく、5≦n≦30が更に好ましく、5≦n≦20が最も好ましい。
【0017】
また、nがあまり大きいと、共重合体混合物(イ)の溶液の粘性が増大し、粉末化工程においてポンプ輸送性が著しく低下するので、n≦300であることが必要で、n≦200が好ましく、n≦150が最も好ましい。
【0018】
更に、使用温度による水硬性組成物の流動性の振れ抑制、低遅延性、粉末化工程でのポンプ輸送性を達成するには、単量体(a1)において、異なるnの単量体を含有することが好ましい。この場合、少なくとも2≦n1≦50≦n2≦300を満たすn1、n2の単量体を含有することが好ましい。
【0019】
〔単量体(a2)〕
共重合体混合物(イ)の製造に用いられる一般式(a2)で表される単量体(A2)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸系単量体、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等のジカルボン酸系単量体、又はこれらの無水物もしくは塩、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、水酸基が置換されていてもよいモノ、ジ、トリアルキル(炭素数2〜8)アンモニウム塩が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、更に好ましくは(メタ)アクリル酸又はこれらのアルカリ金属塩である。
【0020】
〔共重合体混合物(イ)〕
共重合体混合物(イ)は、単量体(A1)、(A2)とを、好ましくは(A1)/(A2)=0.02〜4の範囲のモル比で反応させて得られた共重合体混合物(イ)を含有するが、これらのモル比(A1)/(A2)は反応途中において少なくとも1回変化されている。そして、本発明では、共重合体混合物(イ)を製造するための全単量体に対する単量体(A2)の平均重量比(XI)と異なる平均重量比(XII)により得られた共重合体混合物(イ')を併用することが好ましい。すなわち、共重合体混合物(イ')は、上記単量体(A1)、(A2)とを、好ましくは(A1)/(A2)=0.02〜4の範囲のモル比で反応させて得られた共重合体混合物であって、これらのモル比(A1)/(A2)は反応途中において少なくとも1回変化されており、該共重合体混合物(イ')を製造するための全単量体に対する単量体(A2)の平均重量比(XII)が、共重合体混合物(A)の平均重量比(XI)とは異なるものである。平均重量比は、〔単量体(A2)の合計量/全単量体量〕×100(重量%)で表され、それぞれ1〜30(重量%)の範囲にあることが好ましい。なお、以下この平均重量比を「(A2)平均重量比」という場合もある。また、この平均重量比(XI)、(XII)は、少なくとも1.0(重量%)、更に少なくとも2.0(重量%)、特に少なくとも3.0(重量%)相違することが好ましい。なお、共重合体混合物(イ)と(イ')とで、製造に用いる単量体(A1)、(A2)の種類が異なっていても、本発明では平均重量比(XI)、(XII)が異なっていればよいが、単量体(A1)、(A2)として同一の種類のものを用いるのが好ましい。
【0021】
本発明では、共重合体混合物(A)の平均重量比(XI)が、1〜30重量%、更に7〜20重量%、特に8〜16重量%であることが好ましい。そして、この共重合体混合物(イ)を主剤として使用すると、温度に対して安定な流動性及び可使時間を有するセルフレベリング材等用の水硬性組成物を得られる。
【0022】
本発明においては、共重合体混合物(イ')として、(A2)平均重量比の異なる複数の単量体混合物からそれぞれ得られた複数の共重合体を用いることができる。実用的な面から、(A2)平均重量比の異なる1〜3つの単量体混合物からそれぞれ得られた1〜3つの共重合体混合物を用いるのが好ましい。共重合体(イ')として1つの共重合体混合物を用いる場合、すなわち全部で2つの共重合体混合物を使用する場合、便宜的にそれらを共重合体混合物(Ai)、(Aii)とし、これらの(A2)平均重量比をそれぞれ(Xi)、(Xii)とすると、
5≦(Xi)<8(重量%)
8≦(Xii)≦16
であることが好ましい。また、共重合体混合物(イ')として2つの共重合体混合物を用いる場合、すなわち全部で3つの共重合体混合物を使用する場合、便宜的にそれらを共重合体混合物(Ai)、(Aii)、(Aiii)とし、これらの(A2)平均重量比をそれぞれ(Xi)、(Xii)、(Xiii)とすると、
5≦(Xi)<8(重量%)
8≦(Xii)≦16(重量%)
16<(Xiii)≦30(重量%)
であることが好ましい。
【0023】
(A2)平均重量比が異なる共重合体混合物が多数存在することで、上記水硬性化合物について、使用温度によって大きく振れる流動性及び可使時間を安定化し、安定な品質のセルフレベリング材等用の水硬性組成物を製造することができる分散剤を提供することができる。
【0024】
本発明の分散剤は、液状で使用することも可能であるが、液体分散剤は作業現場までの輸送やタンク容器の設置等が必要であったり、計量作業や材料への添加作業が煩雑である。そのため、セルフレベリング材又は不定形耐火物に予め混合しておくことができる粉末分散剤がより好ましい。
【0025】
上記の通り、本発明の分散剤は、本発明のセメント分散剤は、上記単量体(A1)、(A2)とを、好ましくは(A1)/(A2)=0.02〜4の範囲のモル比で反応させて得られた共重合体混合物(イ)、好ましくは更に(イ')を含有するが、何れにおいても、これらのモル比(A1)/(A2)は反応途中において少なくとも1回変化されている。該モル比の変化は、増加、減少、それらの組み合わせの何れでもよい良い。該モル比を段階的ないし断続的に変化させる場合は、変化の回数は1〜10回、特に1〜5回が好ましい。また、該モル比を連続的に変化させる場合は直線的な変化、指数関数的な変化、その他の変化の何れでもよいが、変化の度合いは1分あたり0.0001から0.2、更に0.0005から0.1、特に0.001から0.05が好ましい。また、該モル比は、変化前後のモル比(A1)/(A2)の少なくとも何れかが0.02〜4の範囲にあることが好ましく、特に変化前後のモル比(A1)/(A2)が共に0.02〜4の範囲にあることが好ましい。また、前記したようにモル比の変化は種々の態様があるが、何れの場合も、全共重合反応における該モル比(A1)/(A2)の最大値と最小値の差が、少なくとも0.05、特に0.05〜2.5の範囲にあることが好ましい。
【0026】
かかる共重合体混合物は、(A1)/(A2)モル比を少なくとも1回変化させて重合する工程を有する製造方法により得られるが、具体的には、単量体(A1)の水溶液の滴下開始と同時に、単量体(A2)の滴下を開始し、それぞれのモル比が、所定範囲となるように滴下流量(重量部/分)を変化させて所定時間滴下する方法が挙げられる。この方法では、単量体(A1)/(A2)モル比の変化量(最大値と最小値の差)は、0.05〜2.5が好ましく、より好ましくは0.1〜2である。この方法のように反応途中で一回でもモル比を変化させることで得られた共重合体混合物は、一定の(A1)/(A2)モル比で反応させて得られる共重合体より(A1)/(A2)モル比の分布が広い多数の共重合体の混合物であると推測される。
【0027】
なお、単量体の総重量の30%以上、特には50〜100%を上記のように滴下流量を変化させて製造することが好ましい。
【0028】
重合反応は溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等を挙げることができる。これらの中でも、取り扱いが容易で、単量体、重合体の溶解性の点から、水、低級アルコールが好ましい。
【0029】
共重合反応においては、重合開始剤を添加することができる。重合開始剤としては、有機過酸化物、無機過酸化物、ニトリル系化合物、アゾ系化合物、ジアゾ系化合物、スルフィン酸系化合物等を挙げることができる。重合開始剤の添加量は、単量体(A1)、単量体(A2)及び他の単量体の合計に対して0.05〜50モル%が好ましい。
【0030】
共重合反応においては、連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移動剤としては、低級アルキルメルカプタン、低級メルカプト脂肪酸、チオグリセリン、チオリンゴ酸、2-メルカプトエタノール等を挙げることができる。共重合反応の反応温度は、0〜120℃が好ましい。
【0031】
得られたポリカルボン酸系重合体は、必要に応じて、脱臭処理をすることができる。特に連鎖移動剤としてメルカプトエタノール等のチオールを用いた場合には、不快臭が重合体中に残存しやすいため、脱臭処理をすることが望ましい。
【0032】
上記の製造方法により得られるポリカルボン酸系重合体は、酸型のままでもセメント用分散剤として適用することができるが、酸性によるエステルの加水分解を抑制する観点から、アルカリによる中和によって塩の形にすることが好ましい。このアルカリとしては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、モノ、ジ、トリアルキル(炭素数2〜8)アミン、モノ、ジ、トリアルカノール(炭素数2〜8)アミン等を挙げることができる。(メタ)アクリル酸系重合体をセメント用分散剤として使用する場合は、一部又は完全中和することが好ましい。
【0033】
なお、上記の製造方法により得られるポリカルボン酸系重合体の重量平均分子量〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法、ポリエチレングリコール換算、カラム:G4000PWXL + G2500PWXL(東ソー(株)製)、溶離液:0.2Mリン酸緩衝液/アセトニトリル=7/3(体積比)〕は、セメント用分散剤として充分な分散性を得るため、10,000〜200,000が好ましく、20,000〜100,000が特に好ましい。
【0034】
なお、更に、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン、(メタ)アクリル酸アルキル(水酸基を有していてもよい炭素数1〜12のもの)エステル、スチレンスルホン酸等の共重合可能な単量体を併用してもよい。これらは全単量体中50重量%以下、更に30重量%以下の比率で使用できるが、0重量%が好ましい。
【0035】
以上の方法で製造された共重合体混合物(イ)は、公知の方法で粉末化して粉末状分散剤とすることができる。具体的には、噴霧乾燥法、薄膜乾燥法等が挙げられる。また製造時に必要に応じて有機化合物及び/又は無機化合物を担体として粉末化することも可能であるが、これらの担体を使用しない方が好ましい。有機化合物としては高分子化合物が好ましく、無機化合物としては高炉スラグ、珪砂、珪石粉末、フライアッシュ、石灰石微粉末、炭酸カルシウムが好ましい。担体を用いる場合は、最終的に得られる粉末状分散剤中の量が、1〜80重量%、特に5〜30重量%となるように用いるのが好ましい。また、共重合体混合物(イ)の1価金属塩では粉末性が十分でないときは、2価金属塩とすることで粉末性を向上することも可能である。
【0036】
粉末状分散剤は、実用における水溶解性の観点から、粒子径が500μm以下のものを50〜100重量%含有することが望ましく、より好ましくは70〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%である。
【0037】
また、粉末状分散剤には、消泡性の観点から、消泡剤を添加することが望ましく、消泡剤としては、メタノール、エタノール等の低級アルコール系、ジメチルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル等のシリコーン系、鉱物油と界面活性剤の配合品等の鉱物油系、リン酸トリブチル等のリン酸エステル、オレイン酸、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレン/ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル等の脂肪酸又はそのエステル系、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/ポリプロピレングリコールアルキルエーテル等のノニオン系が挙げられる。好ましくは、脂肪酸又はそのエステル系であり、更に好ましくはポリエチレン/ポリプロピレングリコール脂肪酸エステルである。消泡剤の添加量は粉末状分散剤中に0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%が更に好ましく、0.1〜3重量%が特に好ましい。
【0038】
本発明の分散剤の添加量は、各用途により異なるが、通常、セメント、石膏等の水硬性化合物に対して固形分で0.01〜5重量%が好ましく、0.02〜3重量%が更に好ましい。
【0039】
更に本発明の分散剤は、他の公知の添加剤(材)、例えば、AE剤、AE減水剤、高性能減水剤、遅延剤、早強剤、促進剤、起泡剤、発泡剤、消泡剤、増粘剤、防水剤、防泡剤等の各種添加剤(材)を含有しても良い。しかし、本発明の分散剤中には共重合体混合物(イ)が50重量%以上、更には70〜100重量%、特に80〜99.95重量%含まれていることが好ましい。
【0040】
本発明の分散剤が粉末状の場合、該粉末状分散剤は、セメント、石膏等の水硬性組成物、必要に応じさらに骨材とプレミックスして使用することができる。該プレミックスは、セルフレベリング材、吹き付けモルタル、不定形耐火物等に使用できる。水硬性化合物としては、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、天然石膏、副成石膏等が挙げられる。好ましくは、ポルトランドセメント、アルミナセメント、天然石膏であり、更に好ましくはポルトランドセメント、アルミナセメントである。
【0041】
なお、本発明において、セルフレベリング材とは、セメント等の水硬性粉体と水を含む水硬性組成物のうち、建築物の床下地や基礎の天端部分を水平に調整するために用いられる材をいう。
【0042】
また、本発明において、不定形耐火物とは、セメント等の水硬性粉体と水を含む水硬性組成物のうち、溶融金属容器等の内張りに使用されるキャスタブルと呼ばれる流し込み材や吹き付け材をいう。
【0043】
【実施例】
<共重合体混合物(イ)>
表1に示す単量体を用いて、表2に示す共重合体混合物を製造した。その際、No.1〜7では、単量体(A1)と(A2)のモル比(A1)/(A2)を反応途中において変化させた。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
(Na)はナトリウム塩、(Ca)はカルシウム塩であることを示す(何れも中和度70%)。
【0047】
なお、以下の実施例及び比較例において、粉末分散剤を用いた場合には、表2に示される液体分散剤(共重合体混合物(イ))を、薄膜乾燥機で粉末化を行い、粉末分散剤を得た。すなわち、ドラムドライヤー(玉川マシーナリー社製)に共重合体混合物(イ)の水溶液を10kg/hrで供給し、ドラム表面(温度130℃)に薄膜を形成させ、これをスクレーパーで掻き取った後、冷却し、粉末を作製した。ただし、これらの粉末分散剤は、消泡剤(フォームレックス797、日華化学社製)を0.3重量%含有している。
【0048】
実施例1(セルフレベリング材試験)
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)420重量部、石膏(試薬特級)20重量部、高炉スラグ(エスメントスーパー60P、新日鉄高炉スラグセメント社製)80重量部、消泡剤(デフォーマー14HP、サンノプコ社製)0.1重量部、増粘剤(メトローズ、信越化学工業(株)製)0.2重量部、更に珪砂を全体で1000重量部となるまで加えたプレミックスタイプのセルフレベリング材を作製した。なお、分散剤が液状の場合は、有効分で5重量部を予め添加水中に希釈して使用した。分散剤が粉末の場合は、粉末化した分散剤5重量部を予めセルフレベリング材にプレミックスしておいた。セルフレベリング材に水300重量部を加え、ハンドミキサーで2分間撹拌してセルフレベリング材スラリーを調製した。得られたセルフレベリング材について以下の評価を行った。結果を表3に示す。
【0049】
(1-1)流動性(フロー値)
セルフレベリング材スラリーをガラス板の上にのせた内径50mm、高さ51mmの塩化ビニール製パイプへ満たした後、パイプを引き上げ、円盤状に広がったセルフレベリング材スラリーの長径と短径を測定して、これらの平均値をフロー値(mm)とした。
【0050】
(1-2)表面硬度
セルフレベリング材スラリーを280mm×168mm×50mmのステンレス製容器へ厚さ15mmとなるように入れ、24時間後のショア硬度を10℃及び20℃(試験室温度)について測定して表面硬度とした。
【0051】
比較例1
共重合体混合物(イ)のNo.8(Ca)、9(Na)、10(Na)及びポリスチレンスルホン酸(Ca)を用いて実施例1と同様にセルフレベリング材スラリーを調製し、評価した。結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
実施例2(不定形耐火物試験)
ハイアルミナセメント(電気化学工業社製)100重量部、燒結アルミナ(内外セラミック社製)900重量部、消泡剤(デフォーマー14HP、サンノプコ社製)0.1重量部、硬化促進剤0.01重量部及び粉末化した分散剤0.5重量部を混合し、不定形耐火物スラリーを製造した。これに5重量部の水を加え、モルタルミキサー(JIS R 5201 8.1準拠)で混練し、不定形耐火物スラリーを得た。これを用い、以下の評価を行った。結果を表4に示す。
【0054】
(3-1)流動性
JIS R 5201 8.10.7に規定される方法で、不定形耐火物スラリーを詰め、直ちにフローコーンを正しく上方へ取り去る。15回タッピングを行い、不定形耐火物スラリーが広がった後の径を最大と認める方向と、これに直角な方向とで測定し、その平均値をフロー値(mm)とした。測定は、10℃及び20℃(試験室温度)について行った。
【0055】
(3-2)発熱時間
上記のように調製された不定形耐火物スラリーを、容器に詰め、熱電対を使用して発熱ピークを求め、接水から発熱ピークが現われるまでの時間を発熱時間とした。測定は、10℃及び20℃(試験室温度)について行った。
【0056】
比較例2
共重合体混合物(イ)のNo.9(Na)、10(Na)を用いて実施例2と同様に不定形耐火物スラリーを調製し、評価した。結果を表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
【発明の効果】
本発明の分散剤は、使用温度によって大きく振れる流動性及び可使時間を安定化し、安定な品質のセルフレベリング材及び不定形耐火物を製造することができる。
Claims (5)
- 下記の一般式(a1)で表される単量体の少なくとも1種(A1)と下記の一般式(a2)で表される単量体の少なくとも1種(A2)とを共重合させて得られ、且つ反応系に添加される前記単量体(A1)と単量体(A2)のモル比(A1)/(A2)が反応途中において少なくとも1回変化されており、モル比(A1)/(A2)の最大値と最小値の差が少なくとも0.05である共重合体混合物(イ)を含有するセルフレベリング材用分散剤。
R1、R2:水素原子又はメチル基
R3:水素原子又は-COO(AO)m1X
m:0〜2の数
p:0又は1の数
n:2〜300の数
AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基
X:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基
を表す。)
R4〜R6:水素原子、メチル基又は(CH2)m1COOM2であり、(CH2)m1COOM2はCOOM1又は他の(CH2)m1COOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1、M2は存在しない。
M1、M2:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
m1:0〜2の数
を表す。) - 下記の一般式(a1)で表される単量体の少なくとも1種(A1)と下記の一般式(a2)で表される単量体の少なくとも1種(A2)とを共重合させて得られ、且つ反応系に添加される前記単量体(A1)と単量体(A2)のモル比(A1)/(A2)が反応途中において少なくとも1回変化されており、モル比(A1)/(A2)の最大値と最小値の差が少なくとも0.05である共重合体混合物(イ)を含有する不定形耐火物用分散剤。
R1、R2:水素原子又はメチル基
R3:水素原子又は-COO(AO)m1X
m:0〜2の数
p:0又は1の数
n:2〜300の数
AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基
X:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基
を表す。)
R4〜R6:水素原子、メチル基又は(CH2)m1COOM2であり、(CH2)m1COOM2はCOOM1又は他の(CH2)m1COOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1、M2は存在しない。
M1、M2:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
m1:0〜2の数
を表す。) - 形態が粉末である請求項1又は2記載の分散剤。
- 請求項1又は3記載の分散剤と水硬性化合物とを含有するセルフレベリング材。
- 請求項2又は3記載の分散剤と水硬性化合物とを含有する不定形耐火物。
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