JP5841834B2 - 水硬性組成物用混和剤 - Google Patents

水硬性組成物用混和剤 Download PDF

Info

Publication number
JP5841834B2
JP5841834B2 JP2011283275A JP2011283275A JP5841834B2 JP 5841834 B2 JP5841834 B2 JP 5841834B2 JP 2011283275 A JP2011283275 A JP 2011283275A JP 2011283275 A JP2011283275 A JP 2011283275A JP 5841834 B2 JP5841834 B2 JP 5841834B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copolymer
monomer
weight
group
sand
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011283275A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013133241A (ja
Inventor
慶彰 指原
慶彰 指原
小柳 幸司
幸司 小柳
久登 寺井
久登 寺井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2011283275A priority Critical patent/JP5841834B2/ja
Publication of JP2013133241A publication Critical patent/JP2013133241A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5841834B2 publication Critical patent/JP5841834B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B24/00Use of organic materials as active ingredients for mortars, concrete or artificial stone, e.g. plasticisers
    • C04B24/24Macromolecular compounds
    • C04B24/243Phosphorus-containing polymers
    • C04B24/246Phosphorus-containing polymers containing polyether side chains
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B24/00Use of organic materials as active ingredients for mortars, concrete or artificial stone, e.g. plasticisers
    • C04B24/24Macromolecular compounds
    • C04B24/26Macromolecular compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • C04B24/2641Polyacrylates; Polymethacrylates
    • C04B24/2647Polyacrylates; Polymethacrylates containing polyether side chains

Description

本発明は、水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物に関する。
コンクリート等の水硬性組成物に対して、流動性を付与するためにナフタレン系、メラミン系、アミノスルホン酸系、ポリカルボン酸系等の混和剤(高性能減水剤等)が用いられている。減水剤等の混和剤については、水硬性組成物に対する流動性の付与、流動性の保持性(流動保持性)、硬化遅延の防止など、種々の性能が求められ、ポリカルボン酸系混和剤についてもこうした観点から改善が提案されている。
例えば、特許文献1には、流動保持性及び粘性保持性の両方に優れた水硬性組成物用の分散保持剤、更には水硬性粉末の種類によらず優れた流動保持性及び粘性保持性を発現する分散保持剤が開示されている。また、特許文献2には、特定のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体とモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを構造単位として有する共重合体からなり、高性能減水剤と併用し、作業性が良好で尚かつ、流動性及び強度発現性が高い効果を発現するセメント分散助剤が開示されている。また、特許文献3には、特定のアルキル(メタ)アクリレート系単量体、特定のポリアルキレングリコール系不飽和単量体及び不飽和カルボン酸(塩)系単量体を含む単量体成分を重合してなり、特定の重量平均分子量を有し、ポリアルキレングリコールを側鎖に持つポリカルボン酸系重合体を必須とする、コンクリートの粘性の低下、スランプ
保持性の向上、ブリーディング水が少ないといった効果を発現するポリカルボン酸系コンクリート混和剤が開示されている。
特開2009−1479号公報 特開2003−286057号公報 特開2006−525938号公報
分散保持剤による流動保持性や粘性保持性を確保できるが、更なる流動保持性の向上に加え、分散剤の性能、とりわけ初期流動性に影響を及ぼさないことが望まれる。また、一般に、コンクリート等の水硬性組成物には、骨材(砂)が配合されるが、骨材(砂等)の種類によらず、流動保持性が発現することが望まれる。特許文献1〜3は骨材(砂等)の種類の観点で優れた効果を示す混和剤について示唆をしていない。
本発明の課題は、骨材(砂)の種類によらず初期流動性の増大を抑制でき、優れた流動保持性が発現する水硬性組成物用混和剤を提供することである。
本発明は、
一般式(A1)で表される単量体A1と、カルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体とを重合して得られる共重合体A(共重合体Bを除く)と、
一般式(B1)で表される単量体B1と、2−ヒドロキシエチルアクリレートとを重合して得られる共重合体Bと、
を含有する水硬性組成物用混和剤であって、
共重合体Bの重量平均分子量が6000〜27000であり、共重合体Bの重合に用いた全単量体に対して、単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートの合計が95重量%以上である、
水硬性組成物用混和剤に関する。
Figure 0005841834
〔式中、R1aは、水素原子又はメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、mはAOの平均付加モル数であり、2〜300の数を表し、R2aは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
Figure 0005841834
〔式中、R1bは、水素原子又はメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nはAOの平均付加モル数であり、2〜30の数を表し、R2bは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
また、本発明は、
上記一般式(A1)で表される単量体A1と、カルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体とを重合して得られる共重合体A(共重合体Bを除く)と、上記一般式(B1)で表される単量体B1と、2−ヒドロキシエチルアクリレートとを重合して得られる共重合体Bと、水硬性粉体と、砂と、水とを含有する水硬性組成物であって、
共重合体Bの重量平均分子量が6000〜27000であり、共重合体Bの重合に用いた全単量体に対して、単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートの合計が95重量%以上であり、
砂が、メチレンブルー吸着量試験(セメント協会標準試験方法 JCAS I−61−2008)によるメチレンブルーの滴下量が1.5〜20mLの砂である、
水硬性組成物に関する。
本発明によれば、骨材(砂)の種類によらず初期流動性の増大を抑制でき、優れた流動保持性が発現する水硬性組成物用混和剤が提供される。
本発明での効果発現の理由の詳細は不明であるが、共重合体A及び共重合体Bが有するポリアルキレングリコール鎖が砂、とりわけ粘土分に吸着されやすく、共重合体Aが有するカルボン酸基及び/又はリン酸基が水硬性粉体に吸着されやすいことによるものと考えられる。すなわち、共重合体Bは、接水初期ではポリマー全体が非イオン性の状態であるため、共重合体Bは砂に吸着されやすく、共重合体Bの分子量が大きい場合、ポリマー1分子中に含有されるポリアルキレングリコール鎖の数が多くなるため、より砂に吸着される頻度が高くなると推定される。そのため、共重合体Aが水硬性粉体に吸着する頻度が高くなり、初期流動性が増大すると推定される。また、分子量の大きい共重合体Bは、添加初期に砂に吸着するため、流動保持性に寄与する量が減少し、流動保持性効果が低下すると推定される。本発明では、共重合体Bの分子量を小さくし、且つ適切な範囲を選定することで、共重合体Bの砂への吸着が抑制された結果、共重合体Aが本来の機構と同様に砂に吸着されるため、初期流動性の増大を抑制できるものと考えられる。また、共重合体Bが砂に吸着されにくくなるため、保持性も改善される。また、共重合体の吸着量に関わる骨材(砂)の種類によらず、初期流動性の増大が抑制され、優れた流動保持性を得ることが可能となる。
<水硬性組成物用混和剤>
本発明の水硬性組成物用混和剤は、一般式(A1)で表される単量体A1と、カルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体とを重合して得られる共重合体Aと、一般式(B1)で表される単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートとを重合して得られる共重合体Bとを含有する。共重合体Bの重量平均分子量が6000〜27000であり、共重合体Bの重合に用いた全単量体に対して、単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートの合計が95重量%以上である。一般に、共重合体Aは水硬性組成物用の混和剤(分散剤等)として知られている重合体である。本発明の水硬性組成物用混和剤は、共重合体Aと共重合体Bを含有する水溶液として用いることができる。
〔共重合体A〕
共重合体Aは、一般式(A1)で表される単量体A1と、カルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体とを重合して得られる共重合体である。カルボン酸基及びリン酸基は、中和され塩を形成していてもよい。塩として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属(1/2原子)塩、アミン塩等が挙げられる。
Figure 0005841834
〔式中、R1aは、水素原子又はメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、mはAOの平均付加モル数であり、2〜300の数を表し、R2aは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
共重合体Aのうち、カルボン酸基又はその塩を有するものとしては、例えば、特開平7−223852号公報に示される炭素数2〜3のオキシアルキレン基110〜300モルを導入したポリアルキレングリコールモノエステル系単量体を含むアクリル酸系重合体、特公昭59−18338号公報に示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基1〜100モルを導入したポリアルキレングリコールモノエステル系単量体を含むアクリル酸系重合体、特開2001−180998号公報に示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基2〜300モルを導入したポリアルキレングリコールモノエステル系単量体の2種を併用し、これらのモル比が反応途中において少なくとも1回変化されているアクリル酸系重合体等が挙げられる。
また、共重合体Aのうち、リン酸基又はその塩を有するものとしては、例えば、特開2006−052381号公報で示される、炭素数2〜3のオキシアルキレン基を平均3〜200モル導入したポリアルキレングリコールモノエステル系単量体と、リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステルと、リン酸モノ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステルとの共重合体等が挙げられる。
単量体A1は、ポリアルキレングリコールモノエステル系単量体であり、単量体A1において、一般式(A1)中のAOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられ、中でもオキシエチレン基が好ましい。mはAOの平均付加モル数であり、2〜300の数を表し、流動保持性の向上の観点から、好ましくは5〜130、より好ましくは8〜25である。また、本発明に係る共重合体Aは、mの異なる単量体A1を2種以上併用することができる。その際は上記単量体A1の比率は、mの異なる単量体A1の平均値(モル分率による)をmとする。mの異なる単量体A1を2種以上併用する場合は、初期流動性の増大を抑制する観点から、AOの平均付加モル数が、8〜25と100〜150の組み合わせが好ましく、8〜15と100〜130の組み合わせがより好ましい。R2aは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、流動保持性の向上の観点から好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
カルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体は前記した共重合体Aを構成できるものから選定できる。カルボン酸基を有する単量体として、不飽和基を有するモノカルボン酸及び不飽和基を有するジカルボン酸が挙げられ、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。リン酸基を有する単量体として、ヒドロキシアルキルメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルとリン酸とのエステルが挙げられ、例えば、リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステル及びリン酸モノ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステルが挙げられる。
共重合体Aにおいて、単量体A1とカルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体の合計は、初期流動性の増大を抑制する観点から、共重合体Aの構成単量体中、90重量%以上であることが好ましく、実質100重量%がより好ましい。共重合体Aは、単量体A1並びにカルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体以外の単量体を構成単量体とすることもできるが、その比率は、共重合体Aの構成単量体中、10重量%以下が好ましく、実質0重量%がより好ましい。この比率は、共重合体Aの製造における単量体の仕込み時の比率であってもよい。共重合体Aは、構成単量体が単量体A1とカルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体とであることが好ましい。
単量体A1の比率は、共重合体Aの構成単量体中、流動保持性の向上の観点から5〜60モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、25〜58モル%が更に好ましい。更に、構成単量体がカルボン酸基を有する場合は、単量体A1の比率は、25〜35モル%がより好ましく、構成単量体がリン酸基を有する場合は、45〜58モル%がより好ましい。
単量体A1の比率は、共重合体Aの構成単量体中、流動保持性の向上の観点から65〜95重量%が好ましく、75〜86重量%がより好ましく、80〜84重量%が更に好ましい。
また、カルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体の比率は、共重合体Aの構成単量体中、流動保持性の向上の観点から40〜95モル%が好ましく、40〜85モル%がより好ましく、42〜75モル%が更に好ましい。更に、カルボン酸基を有する単量体の場合は65〜75モル%がより好ましく、リン酸基を有する単量体の場合は42〜55モル%がより好ましい。
カルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体の比率は、共重合体Aの構成単量体中、流動保持性の向上の観点から5〜35重量%が好ましく、14〜25重量%がより好ましく、16〜20重量%が更に好ましい。
単量体A1とカルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体のモル比(単量体A1/[カルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体])は、流動保持性の向上の観点から、好ましくは5/95〜60/40、更に好ましくは15/85〜60/40、より好ましくは25/75〜58/42である。更に、構成単量体がカルボン酸基を有する場合は、より好ましく25/75〜35/65であり、構成単量体がリン酸基を有する場合は、より好ましくは45/55〜58/42である。
単量体A1とカルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体の重量比(単量体A1/[カルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体])は、流動保持性の向上の観点から、好ましくは65/35〜95/5、更に好ましくは75/25〜86/14、より好ましくは80/20〜84/16である。
本発明における共重合体Aの重量平均分子量は、流動保持性の向上の観点から、30000〜100000が好ましく、40000〜75000がより好ましく、40000〜55000が更に好ましい。なお、共重合体Aの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(ポリエチレングリコール換算)によるものであり、詳細には、後述の実施例の共重合体Bについての方法により測定されたものであってよい。
なお、共重合体Aは、後述する共重合体Bの製造方法と同様に製造することができる。
〔共重合体B〕
本発明に係る共重合体Bは、一般式(B1)で表される単量体B1と、2−ヒドロキシエチルアクリレートとを重合して得られる共重合体である。
Figure 0005841834
〔式中、R1bは、水素原子又はメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nはAOの平均付加モル数であり、2〜30の数を表し、R2bは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
単量体B1は、ポリアルキレングリコールモノエステル系単量体であり、単量体B1において、一般式(B1)中のAOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられ、中でもオキシエチレン基が好ましい。nはAOの平均付加モル数であり、2〜30の数を表し、流動保持性の向上の観点から、好ましくは5〜27、より好ましくは8〜23、更に8〜15である。R2bは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、流動保持性の向上の観点から好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
単量体B1としては、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化物や、アクリル酸又はメタクリル酸へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加物等を用いることができる。具体的には、ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート等を挙げることができる。流動保持性の向上の観点から、片末端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化物が好ましく、好ましくはω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールモノアクリレートが挙げられ、ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートがより好ましい。
本発明に係る共重合体Bは、単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートの合計が共重合体Bの構成単量体中、95重量%以上である。共重合体Bの構成単量体中の単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートの合計は、流動保持性の向上の観点から、97重量%以上が好ましく、98重量%以上がより好ましく、99重量%以上が更に好ましく、実質100重量%がより更に好ましい。単量体B1及び2−ヒドロキシエチルアクリレート以外の単量体(以下、その他の単量体という)として、カルボン酸基、リン酸基及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を有する単量体が挙げられ、これらの単量体は、共重合体Bの構成単量体中、5重量%以下で用いられる。この比率は、単量体の仕込み時の比率であってもよい。また、初期流動性を抑制する観点から、これらの単量体は共重合体Bの構成単量体中、3重量%以下が好ましく、2重量%以下がより好ましく、1重量%以下が更に好ましく、実質上含有しないことがより更に好ましい。これらの単量体の弱酸の酸基はセメント等の水硬性粉体への吸着基として機能する。その他の単量体としては、アクリル酸が挙げられる。
単量体B1の比率は、初期流動性の増大の抑制及び流動保持性の向上の観点から、共重合体Bの構成単量体中、5〜50モル%が好ましく、5〜35モル%がより好ましく、8〜25モル%が更に好ましく、8〜18モル%がより更に好ましい。初期流動性の増大の抑制の観点から、更に8〜13モル%が好ましい。また、流動保持性の向上の観点から、更に12〜18モル%が好ましい。
単量体B1の比率は、初期流動性の増大の抑制及び流動保持性の向上の観点から、共重合体Bの構成単量体中、25〜80重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましく、30〜63重量%が更に好ましく、30〜50重量%がより更に好ましい。初期流動性の増大の抑制の観点から、更に30〜40重量%がより好ましい。また、流動保持性の向上の観点から、更に35〜45重量%が好ましい。
本発明に係る共重合体Bは、nの異なる単量体B1を2種以上併用することができる。その際は上記単量体B1の比率は、nの異なる単量体B1の平均値(モル分率による)をnとする(以下同様)。
また、2−ヒドロキシエチルアクリレートの比率は、初期流動性の増大の抑制及び流動保持性の向上の観点から、共重合体Bの構成単量体中、50〜95モル%が好ましく、65〜95モル%がより好ましく、75〜92モル%が更に好ましく、82〜92モル%がより更に好ましい。更に初期流動性の増大の抑制の観点から、87〜92モル%がより好ましい。また、流動保持性の向上の観点から、更に82〜88モル%が好ましい。
また、2−ヒドロキシエチルアクリレートの比率は、初期流動性の増大の抑制及び流動保持性の向上の観点から、20〜75重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましく、37〜70重量%が更に好ましく、50〜70重量%がより更に好ましい。初期流動性の増大の抑制の観点から、更に60〜70重量%が好ましい。また、流動保持性の向上の観点から、更に55〜65重量%が好ましい。
単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートのモル比(単量体B1/2−ヒドロキシエチルアクリレート)は、初期流動性の増大の抑制及び流動保持性の向上の観点から、5/95〜50/50が好ましく、5/95〜35/75がより好ましく、8/92〜25/75が更に好ましく、8/92〜18/82がより更に好ましい。初期流動性の増大の抑制の観点から、更に8/92〜13/87が好ましい。また、流動保持性の向上の観点から、更に12/88〜18/82が好ましい。
単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートの重量比(単量体B1/2−ヒドロキシエチルアクリレート)は、初期流動性の増大の抑制及び流動保持性の向上の観点から、25/75〜80/20が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、30/70〜63/37が更に好ましく、30/70〜50/50がより更に好ましい。初期流動性の増大の抑制の観点から、更に30/70〜40/60が好ましい。また、流動保持性の向上の観点から、更に35/65〜45/55がより好ましい。
本発明における共重合体Bの重量平均分子量は、初期流動性の増大の抑制、その砂の種類による依存性の抑制及び流動保持性の向上の観点から、6000〜27000であり、6000〜26000が好ましく、6000〜25000がより好ましく、6000〜19000が更に好ましく、6000〜16000がより更に好ましく、6000〜13000がより更に好ましい。この範囲の重量平均分子量を有する共重合体は、水硬性組成物用混和剤のうち、流動保持剤として使用できる。なお、共重合体Bの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(ポリエチレングリコール換算)によるものであり、詳細には、後述の実施例の方法により測定されたものである。
本発明における共重合体Bは公知の方法で製造することができる。例えば、特開昭62−119147号公報、特開昭62−78137号公報等に記載された溶液重合法が挙げられる。即ち、適当な溶媒中で、上記単量体B1及び2−ヒドロキシエチルアクリレートを上記の割合で組み合わせて重合させることにより製造される。共重合体Bの重合の際に用いる全単量体中、単量体B1の比率を好ましくは25〜70重量%、単量体B1の比率と2−ヒドロキシエチルアクリレートの比率の合計を95重量%以上、且つその他の単量体の比率を5重量%以下として重合させる。尚、共重合体Bの重量平均分子量は、チオール系連鎖移動剤(3−メルカプトプロピオン酸)の添加量で調整することが出来る。単量体B1のAOの平均付加モル数nは、2〜30である。この上限値よりもnが大きいと、共重合体Bのポリアルキレングリコール鎖の含有量が多くなるため、砂の粘土分への吸着を十分に抑制できず、流動性の変化が大きく、保持性も低下してしまう。
溶液重合法において用いる溶剤としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。取り扱いと反応設備から考慮すると、水及びメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが好ましい。
水系の重合開始剤としては、過硫酸のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩あるいは過酸化水素、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート等の水溶性アゾ化合物が使用される。水系以外の溶剤を用いる溶液重合にはベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等の脂肪族アゾ化合物等が用いられる。
連鎖移動剤としては、チオール系連鎖移動剤、ハロゲン化炭化水素系連鎖移動剤等が挙げられ、チオール系連鎖移動剤が好ましい。
チオール系連鎖移動剤としては、−SH基を有するものが好ましく、一般式HSR−Eg(ただし、式中Rは炭素原子数1〜4の炭化水素由来の基を表し、Eは−OH、−COOM、−COOR’または−SO3M基を表し、Mは水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基または有機アミン基を表し、R’は炭素原子数1〜10のアルキル基を表わし、gは1〜2の整数を表す。)で表されるものが好ましく、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等が挙げられ、共重合反応での連鎖移動効果の観点から、メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノールが好ましく、メルカプトプロピオン酸が更に好ましい。これらの1種または2種以上を用いることができる。
ハロゲン化炭化水素系連鎖移動剤としては、四塩化炭素、四臭化炭素などが挙げられる。
その他の連鎖移動剤としては、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、2−アミノプロパン−1−オールなどを挙げることができる。連鎖移動剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
本発明に係る共重合体Bの製造方法の一例を示す。反応容器に所定量の水を仕込み、窒素等の不活性気体で雰囲気を置換し昇温する。予め単量体B1、2−ヒドロキシエチルアクレート、連鎖移動剤を水に混合溶解したものと、重合開始剤を水に溶解したものとを用意し、1.5〜5時間かけて反応容器に滴下する。その際、各単量体、連鎖移動剤及び重合開始剤を別々に滴下し、また、単量体の混合溶液を予め反応容器に仕込み、重合開始剤のみを滴下することも可能である。すなわち、連鎖移動剤、重合開始剤、その他の添加剤は、単量体溶液とは別に添加剤溶液として添加しても良いし、単量体溶液に配合して添加してもよいが、重合の安定性の観点からは、単量体溶液とは別に添加剤溶液として反応系に供給することが好ましい。また、好ましくは所定時間の熟成を行う。なお、重合開始剤は、全量を単量体と同時に滴下しても良いし、分割して添加しても良いが、分割して添加することが未反応単量体の低減の点では好ましい。例えば、最終的に使用する重合開始剤の全量中、1/2〜2/3の重合開始剤を単量体と同時に添加し、残部を単量体滴下終了後1〜2時間熟成した後、添加することが好ましい。必要に応じ、熟成終了後に更にアルカリ剤(水酸化ナトリウム等)で中和し、本発明に係る共重合体を得る。
また、本発明に係る共重合体Bは、単量体B1を含有する液(I)と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを含有する液(II)とを反応系に導入して共重合反応に用いることもでき、液(I)と液(II)はそれぞれ別々に反応系に導入することができる。また、反応系に導入される液(I)及び液(II)の全量のそれぞれ95重量%以上を並行して反応系に導入することが好ましい。液(I)及び液(II)の反応系への導入方法として、具体的には滴下及び噴霧が挙げられ、液(I)及び液(II)の粘度の観点から滴下が好ましい。液(I)は凝固点の観点から水を含む溶媒とすることが好ましく、液(II)は加水分解を抑制する観点から水を含まない溶媒とすることが好ましい。液(I)のノズル(導入口)と液(II)のノズル(導入口)の距離は任意に設定できる。また、滴下は気中及び液中いずれも可能であるが、液を全て導入する観点から気中滴下が好ましい。ノズル径は液滴の表面積を大きくする点及び溶解性の点から小さい方が好ましい。このように液(I)と液(II)とを別々に反応系に導入することで、2−ヒドロキシエチルアクリレートの水との接触機会を少なくし加水分解が抑制される。また、反応系に導入される液(I)及び液(II)の全量のそれぞれ95重量%以上を並行して反応系に導入することで、各単量体がランダムに導入された共重合体が得られる。液(I)と液(II)の合計量の95重量%以上とは、言い換えると、反応系に単独で導入される液(I)及び液(II)の量が、反応系に導入される液(I)及び液(II)の全量のそれぞれ5重量%以下であることである。
また、本発明に係る共重合体Bの製造にあたっては、材料、温度及び配合に対する汎用性の観点から、重合中に単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートの共重合モル比を一回以上変化させて、重合させることもできる。
〔水硬性組成物用混和剤の組成等〕
本発明の共重合体Aと共重合体Bを含有する水硬性組成物用混和剤では、共重合体Aの含有量(固形分換算)は、水硬性組成物の初期流動性の向上の観点から、60〜99重量%、更に65〜95重量%、より更に70〜90重量%が好ましい。また、共重合体Bの含有量(固形分換算)は1〜40重量%、更に5〜35重量%、より更に10〜30重量%が好ましい。また、共重合体A、共重合体Bは、それぞれ二種以上用いることもできるが、それぞれの合計含有量が上記範囲であることが好ましい。水硬性組成物用混和剤中の共重合体Bと共重合体Aの重量比率(共重合体B/共重合体A(固形分換算))は、初期流動性の増大の抑制と流動保持性の向上の観点から1/99〜40/60が好ましく、5/95〜35/65が更に好ましく、10/90〜30/70がより好ましく、初期流動性の増大の抑制の観点から、15/85〜25/75がより更に好ましい。
また、本発明の水硬性組成物用混和剤は、共重合体A及び共重合体B以外に、例えばAE剤、遅延剤、早強剤、促進剤、起泡剤、発泡剤、消泡剤、増粘剤、防水剤、防泡剤や珪砂、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等の公知の添加剤(材)と併用することができる。
<水硬性組成物>
本発明の水硬性組成物は、上記共重合体Aと、上記共重合体Bと、水硬性粉体と、砂と、水とを含有する。本発明の水硬性組成物を得る際には、共重合体Aと共重合体Bは、予め混合して用いても良いし、別々に用いても良い。水硬性組成物として、モルタル及びコンクリートが挙げられる。なお、水硬性組成物用混和剤で述べた共重合体A、共重合体Bの好ましい態様は、水硬性組成物においても適用できる。
本発明の水硬性組成物に使用される水硬性粉体とは、水和反応により硬化する物性を有する粉体のことであり、セメント、石膏等が挙げられる。好ましくは普通ポルトランドセメント、ビーライトセメント、中庸熱セメント、早強セメント、超早強セメント、耐硫酸セメント等のセメントであり、またこれらに高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、石粉(炭酸カルシウム粉末)等が添加されたものでもよい。なお、これらの粉体に骨材として、砂、砂及び砂利が添加されて最終的に得られる水硬性組成物が、一般にそれぞれモルタル、コンクリートなどと呼ばれている。本発明の水硬性組成物は、生コンクリート、コンクリート振動製品分野の外、セルフレベリング用、耐火物用、プラスター用、石膏スラリー用、軽量又は重量コンクリート用、AE用、補修用、プレパックド用、トレーミー用、グラウト用、地盤改良用、寒中用等の種々のコンクリートの何れの分野においても有用である。中でも、本発明の水硬性組成物は生コンクリート用として、好適に用いることができる。
通常、生コンクリートの製造現場においては、普通ポルトランドセメント・中庸熱ポルトランドセメント・高炉スラグセメントを用いたコンクリートを併産しており、更には水/粉体比の異なる種々の配合のコンクリートを製造することが日常となっている。
本発明の水硬性組成物は、水/水硬性粉体比〔スラリー中の水と水硬性粉体の重量百分率(重量%)、通常W/Pと略記されるが、粉体がセメントの場合、W/Cと略記されることがある。〕が60重量%以下、更に58〜15重量%、更に57〜18重量%、更に56〜20重量%、より更に55〜23重量%であることができる。
本発明の水硬性組成物に使用される砂としては、例えば、川砂、海砂、砕砂等が挙げられる。本発明の水硬性組成物において、砂の配合量は、水硬性粉体と砂の重量比(水硬性粉体/砂)で0.25〜1.0が好ましく、0.33〜0.67がより好ましく、0.5〜0.6が更に好ましい。
モルタルやコンクリート等の水硬性組成物を製造する場合、砂等の骨材は種々選定して用いられる。このような状況において、本発明の共重合体Aと共重合体Bを含有する水硬性組成物用混和剤を用いることにより、砂の品質によって初期流動性が変動したり流動保持性が低下したりするのを抑制できる。このことは意義あることである。更に、普通ポルトランドセメント等のセメントや砂等の骨材では、同じ製品名であっても製造ロットによっては流動保持性の変動が確認されることもあり、本発明の水硬性組成物混和剤により、汎用的な流動保持性が提供されることは意義あることである。
本発明の水硬性組成物用混和剤は、水硬性組成物に含まれる砂による初期流動性や流動保持性への影響を受けにくい。砂の種類による初期流動性や流動保持性への因子として、砂中の粘土分の影響が挙げられる。砂中の粘土の含有量の指標として、メチレンブルー吸着量試験(セメント協会標準試験方法 JCAS I−61−2008)が挙げられる。メチレンブルー吸着量試験は、砂中の活性粘土分を測定する方法として一般的に知られている。測定原理は、メチレンブルーが砂に吸着する量を滴定するもので、ろ紙へのスポットのにじみ(ハロー)具合で判定するものである。
本発明の水硬性組成物で用いる砂は、初期流動性の増大を抑制及び流動保持性の向上の観点から、メチレンブルー吸着量試験において、流動保持性の向上の観点からメチレンブルー滴下量が1.5〜20mLのものが好ましく、2〜18mLがより好ましく、5〜18mLが更に好ましく、5〜15mLがより更に好ましい。
本発明の水硬性組成物において、本発明の水硬性組成物用混和剤は、水硬性粉体100重量部に対して0.02〜10重量部、更に0.02〜5.0重量部、より更に0.05〜2.0重量部の比率(固形分換算)で添加されることが好ましい。また、共重合体Aは、水硬性粉体100重量部に対して0.01〜8.0重量部、更に0.02〜4.0重量部、より更に0.05〜1.0重量部、より更に0.05〜0.5重量部の比率(固形分換算)で添加されることが好ましい。また、共重合体Bは、水硬性粉体100重量部に対して0.002〜2.0重量部、更に0.01〜1.0重量部、より更に0.02〜0.4重量部、より更に0.02〜0.2重量部の比率(固形分換算)で添加されることが好ましい。
〔共重合体A〕
共重合体Aとして、表1に示した構成単量体及び重量平均分子量のものを用いた。共重合体Aは、後述の共重合体Bについての製造例1等に準じて製造した。
Figure 0005841834
表中の記号は以下の意味である。なお、表中、Mwは重量平均分子量である(以下同様)。
・ME−PEG:ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、カッコ内の数値は、エチレンオキサイドの平均付加モル数である。
・MAA:メタクリル酸
・PADMER:リン酸モノ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステルとリン酸ジ−(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸エステルの混合物
〔共重合体B及び比較共重合体b〕
製造例1〜13及び比較製造例1〜6
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水463.19gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で70℃まで昇温した。ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数9、水分10%、純度93.6%)188.26gと2−ヒドロキシエチルアクリレート(表中HEAと表記する)210.19gの単量体混合液と、3−メルカプトプロピオン酸(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製、試薬)5.65gを水30gに溶解した水溶液と、過硫酸アンモニウム水溶液(I)〔過硫酸アンモニウム(和光純薬工業株式会社製、試薬)8.74gを水40gに溶解したもの〕の3者を、同時に滴下を開始し、それぞれ5時間かけて滴下した後、過硫酸アンモニウム水溶液(II)〔過硫酸アンモニウム1.46gを水20gに溶解したもの〕を0.5時間かけて滴下した。その後、70℃で1時間熟成した。熟成終了後に20%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、共重合体B−6(重量平均分子量24000)を含有する水溶液(固形分40重量%)を得た。
なお、ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートは、特許第3874917号記載の方法に準じて、エステル化反応により合成し、未反応物として残留するメタクリル酸を留去により、1重量%未満にしたものを用いた。
表2の単量体及び比率で共重合体B−6の製造と同様に他の共重合体B及び比較共重合体b(共重合体B−1〜5、B−7〜13及びb−1〜6)を製造した。尚、重量平均分子量は、連鎖移動剤の添加量を変えることで調整した。得られた共重合体B及び比較共重合体bを以下の実施例及び比較例に用いた。表2に共重合体B及び比較共重合体bの重量平均分子量を示す。
Figure 0005841834
表中の記号は以下の意味である。
・ME−PEG:ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、カッコ内の数値は、エチレンオキサイドの平均付加モル数である。
・HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(株式会社日本触媒製、BHEA)
〔重量平均分子量の測定方法〕
共重合体A、共重合体B、及び比較共重合体bの重量平均分子量は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した。
使用カラム:東ソー(株)製
TSKguardcolumn PWxl
TSKgel G4000PWxl+G2500PWxl
溶離液:0.2mol/Lリン酸バッファー(伸陽化学工業(株)製)/高速液体クロマトグラフ用アセトニトリル(和光純薬工業(株)製)=9/1(vol%)
流速:1.0mL/min.
カラム温度:40℃
検出:RI
注入量:10μL(0.5重量%水溶液)
標準物質:ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)875000、540000、235000、145000、107000、24000
検量線次数:三次式
装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
ソフトウエア:EcoSEC-WS(東ソー(株)製)
実施例1
1)モルタル配合
表3又は表4のモルタル配合でモルタル試験を行った。
Figure 0005841834
Figure 0005841834
表中の記号は以下の意味である。
W:上水道水
C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
S:城陽産山砂(ただし実施例2では表11のものに変更する)
2)モルタルの調製
容器(1Lステンレスビーカー:内径120mm)に、表3又は表4に示す配合の約1/2量のSを投入し、次いでCを投入、さらに残りのSを投入し、撹拌機としてEYELA製Z−2310(東京理化器械(株)、撹拌棒:高さ50mm、内径5mm×6本/長さ110mm)を用い、60rpmで空練り10秒後、予め混合しておいた混和剤と水の混合溶液を5秒かけて投入し、その後、1分間60rpmで混練後、さらに120rpmで2分間混練し、モルタルを調製した。なお、混練開始から30秒間は壁面や撹拌棒の間の材料を掻き落す作業を行った。
なお、混和剤は、共重合体A(初期分散剤)によって混練直後の流動性の発現の程度が異なるため、共重合体Aのみの使用で初期フロー200±25mmとなる量を基準にして、これと同じ量の共重合体Aとなるように混和剤の添加量を決定した。また、混和剤の比率は、実施例1−29以外は、共重合体A 100重量部に対して、共重合体B 30重量部、共重合体Bと共重合体Aの重量比(共重合体B/共重合体A)が23/77とした。実施例1−29は、共重合体A 70重量部に対して、共重合体B 30重量部、共重合体Bと共重合体Aの重量比(共重合体B/共重合体A)が30/70とした。表5に、共重合体Aの種類及び添加量、共重合体Bの添加量、並びに共重合体A及び共重合体Bの合計添加量を示した。これらの添加量になるように共重合体Aの水溶液と共重合体Bの水溶液とを混合して混和剤と水の混合溶液を調製した。
Figure 0005841834
3)評価
モルタルフローは、上部開口径が70mm、下部開口径が100mm、高さ60mmのコーンを使用して測定した。モルタル調製後(初期フロー)とモルタル調製2時間後(2時間後フロー)を測定した。モルタルフロー値の最大値と、該最大値を与える線分の1/2の長さで直交する方向で測定したモルタルフロー値との平均値とした。増大率は、共重合体Aに共重合体Bを併用した場合の初期フローを共重合体Aを単独で使用した場合の初期フロー(基準)で割った数値に100を掛けたもの(%)である。増大率は100%に近いものほど優れるものである。また、2時間後保持率は、2時間後フローを初期フローで割った数値に100を掛けたもの(%)である。2時間後保持率の値は100%に近いほど優れるものである。
表3のモルタル配合を用いて、共重合体B(分散保持剤)の分子量を変えたものについて、組み合わせる重合体A(初期分散剤)の種類を変えて性能評価を行った。結果を表6〜10に示した。なお、表6〜10では、共重合体Bに該当しない共重合体bも便宜的に共重合体Bの欄に示した。
Figure 0005841834
Figure 0005841834
Figure 0005841834
Figure 0005841834
Figure 0005841834
表6〜10の結果から、初期フローの保持剤を添加しない場合からの増大率、及び2時間後の保持率(流動保持性能)は、重量平均分子量が6000〜27000の範囲内にある共重合体Bで優れることがわかる。
実施例2
砂に対する汎用性を確認するために、表4のモルタル配合を用いて、初期流動性増大抑制効果と流動保持性の評価を行った。流動保持性は実施例1の流動保持性の評価と同様に行った。混和剤の共重合体Aとして、共重合体A−4を用いた。共重合体B又は比較共重合体bは各表に示すものを用いた。また、砂(S)の種類、並びに各砂ごとの共重合体Aの添加量、共重合体Bの添加量、共重合体A及び共重合体Bの合計添加量は、表11の通りとした。城陽砂、家島砕砂、揖斐川砂及び石灰砕砂では、共重合体Aのみを使用して初期フロー200mm±10mmとなる量を共重合体Aの添加量とした。城陽砂に粘土塊(笠岡粘土)を添加する場合は、城陽砂単独と同じ量を共重合体Aの添加量とした。それら共重合体Aの添加量に基づき、混和剤の比率は、共重合体A 100重量部に対して、共重合体B 30重量部、共重合体Bと共重合体Aの重量比(共重合体B/共重合体A)が23/77とした。なお、砂における初期流動性や流動保持性への影響の因子として、砂中の粘土分の含有量が挙げられ、粘土分の多い砂を評価する場合には、城陽砂に粘土塊(笠岡粘土)を添加して実験を行った。砂中の粘土の含有量は、メチレンブルー吸着量試験(セメント協会標準試験方法 JCAS I−61−2008)で行い、メチレンブルー滴下量が多いほど粘土の含有量が多いことを示す。
結果を表12〜19に示した。また、表12〜19では、共重合体Bに該当しない共重合体も便宜的に共重合体Bの欄に示した。表12(実施例2a〜2b及び比較例2a)に、初期フローをほぼ一定にした際の各砂における初期フロー増大率を示した。表13〜19にこれらの結果の詳細を示した。表16〜19には、表12で示した以外の混和剤の結果も示した。
Figure 0005841834
Figure 0005841834
表12の結果から、実施例2a及び2bは、比較例2aに比べて、砂に含まれる粘土の量(メチレンブルー滴下量)が変動しても、初期フロー増大率の変動が少ないことがわかる。
Figure 0005841834
Figure 0005841834
Figure 0005841834
Figure 0005841834
Figure 0005841834
Figure 0005841834
Figure 0005841834
表13〜19の結果から、粘土の含有量が異なる砂や、粘土量(メチレンブルー値が増大)が多い砂を用いた場合でも、重量平均分子量が6000〜27000の範囲内にある共重合体Bは、初期流動性の増大を抑制し、流動保持性も改善できることがわかる。

Claims (4)

  1. 一般式(A1)で表される単量体A1と、カルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体とを重合して得られる共重合体A(共重合体Bを除く)と、
    一般式(B1)で表される単量体B1と、2−ヒドロキシエチルアクリレートとを重合して得られる共重合体Bと、
    を含有する水硬性組成物用混和剤であって、
    共重合体Bの重量平均分子量が6000〜13000であり、共重合体Bの重合に用いた全単量体に対して、単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートの合計が95重量%以上である、
    水硬性組成物用混和剤。
    Figure 0005841834
    〔式中、R1aは、水素原子又はメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、mはAOの平均付加モル数であり、2〜300の数を表し、R2aは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
    Figure 0005841834
    〔式中、R1bは、水素原子又はメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nはAOの平均付加モル数であり、2〜30の数を表し、R2bは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
  2. 共重合体Bの単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートの重量比(単量体B1/2−ヒドロキシエチルアクリレート)が、25/75〜70/30である、請求項1記載の水硬性組成物用混和剤。
  3. 水硬性組成物用混和剤中の共重合体Bと共重合体Aの重量比率(共重合体B/共重合体A(固形分換算))が1/99〜40/60である、請求項1又は2に記載の水硬性組成物用混和剤。
  4. 一般式(A1)で表される単量体A1と、カルボン酸基及び/又はリン酸基を有する単量体とを重合して得られる共重合体A(共重合体Bを除く)と、一般式(B1)で表される単量体B1と、2−ヒドロキシエチルアクリレートとを重合して得られる共重合体Bと、水硬性粉体と、砂と、水とを含有する水硬性組成物であって、
    共重合体Bの重量平均分子量が6000〜13000であり、共重合体Bの重合に用いた全単量体に対して、単量体B1と2−ヒドロキシエチルアクリレートの合計が95重量%以上であり、
    砂が、メチレンブルー吸着量試験(セメント協会標準試験方法 JCAS I−61−2008)によるメチレンブルーの滴下量が1.5〜20mLの砂である、
    水硬性組成物。
    Figure 0005841834
    〔式中、R1aは、水素原子又はメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、mはAOの平均付加モル数であり、2〜300の数を表し、R2aは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
    Figure 0005841834
    〔式中、R1bは、水素原子又はメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nはAOの平均付加モル数であり、2〜30の数を表し、R2bは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
JP2011283275A 2011-12-26 2011-12-26 水硬性組成物用混和剤 Active JP5841834B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011283275A JP5841834B2 (ja) 2011-12-26 2011-12-26 水硬性組成物用混和剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011283275A JP5841834B2 (ja) 2011-12-26 2011-12-26 水硬性組成物用混和剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013133241A JP2013133241A (ja) 2013-07-08
JP5841834B2 true JP5841834B2 (ja) 2016-01-13

Family

ID=48910192

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011283275A Active JP5841834B2 (ja) 2011-12-26 2011-12-26 水硬性組成物用混和剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5841834B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6320878B2 (ja) * 2014-03-25 2018-05-09 太平洋セメント株式会社 低温環境用セメント組成物
JP6334067B2 (ja) 2015-08-25 2018-05-30 株式会社日本触媒 セメント用添加剤、セメント組成物、およびセメント用添加剤用原料
JP6854475B2 (ja) * 2016-10-12 2021-04-07 株式会社大林組 泥水固化体の強度管理方法
JP6963540B2 (ja) * 2018-10-25 2021-11-10 花王株式会社 遠心成形又は振動成形用水硬性組成物用分散剤組成物

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5918338B2 (ja) * 1981-10-30 1984-04-26 株式会社日本触媒 セメント分散剤
JP2774445B2 (ja) * 1993-12-14 1998-07-09 花王株式会社 コンクリート混和剤
JPH07247149A (ja) * 1994-03-09 1995-09-26 Kao Corp コンクリート流動性低下防止剤
JP4151941B2 (ja) * 2002-03-27 2008-09-17 日本製紙株式会社 セメント分散助剤およびセメント分散剤、それらを含んだセメント組成物
JP3776443B2 (ja) * 2004-07-15 2006-05-17 花王株式会社 リン酸エステル系重合体
JP5122370B2 (ja) * 2007-05-22 2013-01-16 花王株式会社 水硬性組成物用分散保持剤
JP5101982B2 (ja) * 2007-10-17 2012-12-19 花王株式会社 水硬性組成物用分散剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013133241A (ja) 2013-07-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5513577B2 (ja) 水硬性組成物用分散保持剤
KR101324266B1 (ko) 수경성 조성물용 분산제
JP5841834B2 (ja) 水硬性組成物用混和剤
JP5101982B2 (ja) 水硬性組成物用分散剤
JP5037144B2 (ja) 水硬性組成物用分散剤
JP5027063B2 (ja) 水硬性組成物用分散保持剤
JP5295732B2 (ja) 水硬性組成物
JP4832872B2 (ja) 石膏スラリー
JP6415960B2 (ja) 水硬性組成物用分散剤
JP4757597B2 (ja) セルフレベリング材用分散剤
JP2007153638A (ja) コンクリート組成物
JP4717713B2 (ja) 水硬性組成物用分散剤
JP2011116587A (ja) 水硬性組成物用早強剤
JP5328208B2 (ja) 水硬性組成物用混和剤
JP5683896B2 (ja) 水硬性組成物用混和剤
JP4937166B2 (ja) 水硬性組成物用分散保持剤
JP5311891B2 (ja) 水硬性組成物用添加剤組成物
JP6180923B2 (ja) 水硬性組成物用混和剤
JP5317645B2 (ja) 水硬性組成物用分散保持剤
JP5859347B2 (ja) 水硬性組成物用混和剤
JP4943007B2 (ja) リン酸エステル系重合体の製造方法
JP2013040100A (ja) 水硬性組成物用分散保持剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140916

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150424

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150512

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150710

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151116

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5841834

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250