JP4562717B2 - 殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品 - Google Patents

殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品 Download PDF

Info

Publication number
JP4562717B2
JP4562717B2 JP2006290711A JP2006290711A JP4562717B2 JP 4562717 B2 JP4562717 B2 JP 4562717B2 JP 2006290711 A JP2006290711 A JP 2006290711A JP 2006290711 A JP2006290711 A JP 2006290711A JP 4562717 B2 JP4562717 B2 JP 4562717B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
egg
egg white
liquid egg
sterilized
complex
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006290711A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008104416A (ja
Inventor
範章 西島
雪夫 高嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
QP Corp
Original Assignee
QP Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by QP Corp filed Critical QP Corp
Priority to JP2006290711A priority Critical patent/JP4562717B2/ja
Publication of JP2008104416A publication Critical patent/JP2008104416A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4562717B2 publication Critical patent/JP4562717B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)

Description

本発明は、殺菌処理されているにも拘らず、調理時の作業性や得られる卵製品の形状等の点から未殺菌の液卵白と同様の調理適性を有する殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品に関する。
割卵して卵殻から分離された液卵白は、保存性を高めること等を目的に殺菌処理が施され、殺菌液卵白として流通される。しかしながら、液卵白を殺菌処理すると粘度が低下して未殺菌の液卵白と異なる物性となる。これは、卵の粘度が卵白中の「蛋白質のからまり」に由来するもので、殺菌処理工程中のろ過や攪拌等によりそのからまりが切られたり、加熱による蛋白質の熱変性でそのからまりの強度が弱まってしまうためであるといわれている。そのため、殺菌液卵白を用いて種々の卵製品を製造する場合には、未殺菌液卵白との物性の違いに起因して、調理時の作業性や得られる卵製品の形状等の点から様々な悪影響が出る問題があった。例えば、殺菌液卵白を用いて「丼」を製造した場合、加熱調味液に液卵を流し入れて凝固させる際に液卵が調味液中に散ってしまい、ふんわりとした卵のかたまりが得られ難いという問題があった。
また、近年、良質な蛋白質を含み、コレステロールの含有量が少ない食品素材として卵白が着目されており、殺菌液全卵のかわりに殺菌液卵白を黄色く着色して液全卵様とし、これを用いて種々の卵製品を製造することが行われている。このような場合においても同様に、例えば、黄色く着色して液全卵様とした殺菌液卵白を用いて「オムレツ」を製造する場合、液卵をフライパンに流し込んで、はしなどで撹拌しながら焼成して成形する際に卵液のまとまり感がなく成形し難いという問題があった。
そこで、従来、殺菌処理された液卵を用いて卵製品を製造する場合には、例えば、特開平8−116925号公報(特許文献1)に記載されているように、キサンタンガム等の増粘材を添加して粘度を高めることにより殺菌液卵の物性を改質することが行われている。しかしながら、殺菌液卵に増粘材を単に添加して増粘させても、上述した卵白中の「蛋白質のからまり」に由来する未殺菌液卵の粘性とは物性が異なるためか、調理時の作業性や得られる卵製品の形状等の点から未殺菌の液卵と同様の調理適性を得ることはできなかった。
一方、血中の総コレステロール濃度及び低密度リポ蛋白質−コレステロール濃度を低下させる機能を有する物質として植物ステロール類が知られている。この植物ステロール類は植物由来の食材には、極僅かしか含有していないことから、食品原料としての利用が期待されている。本発明者等は、前記植物ステロールを用いて殺菌液卵白の物性を改質し、未殺菌の液卵白と同様の調理適性を付与できるならば、生理機能を併せ持つこととなり商品価値として有用なものとなると考え、植物ステロールを殺菌液卵白に添加することを試みた。しかしながら、単に植物ステロールを添加しただけでは、充分な改質効果は得られなかった。
特開平8−116925号公報 WO2005/041692
そこで、本発明の目的は、殺菌処理されているにも拘らず、調理時の作業性や得られる卵製品の形状等の点から未殺菌の液卵白と同様の調理適性を有する殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品を提供するものである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体と、増粘材とを含む殺菌加工液卵白は、意外にも、調理時の作業性や得られる卵製品の形状等の点から未殺菌の液卵白と同様の調理適性を有することを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
つまり、本発明は、
(1) 植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体、及び増粘材を含む殺菌加工液卵白、
(2) 前記複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部である(1)記載の殺菌加工液卵白、
(3) 前記増粘材が、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ペクチン及び澱粉から選ばれる1種又は2種以上である(1)又は(2)に記載の殺菌加工液卵白、
(4) 前記複合体の含有量が製品に対して0.01〜5%であり、前記増粘材の含有量が製品に対して0.01〜5%である(1)乃至(3)のいずれかに記載の殺菌加工液卵白、
(5) 黄色に着色してなる(1)乃至(4)のいずれかに記載の全卵様の殺菌加工液卵白、
(6) (1)乃至(5)のいずれかに記載の殺菌加工液卵白を配合してなる卵製品、
である。
なお、本出願人は、植物ステロール類に関し、既に、植物ステロール類は卵黄の主成分である卵黄リポ蛋白質と複合体を形成し、得られた複合体は水系媒体に対して良好な分散性を示すことを見出し、前記複合体及びこれを含有する食品を出願している(WO2005/041692:特許文献2)。しかしながら、当該出願には、前記複合体を殺菌液卵白に添加することについてはいっさい検討されていない。
本発明によれば、殺菌処理されているにも拘らず、調理時の作業性や得られる卵製品の形状等の点から未殺菌の液卵白と同様の調理適性を有する殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品を提供できる。したがって、殺菌処理されて食品衛生の点から安全性の高い殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品の更なる利用拡大が期待される。
以下、本発明の殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
本発明の殺菌加工液卵白は、殺菌処理によりサルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性及び大腸菌群数が10個/g未満としてあり、液卵白に加えて、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体と、増粘材とを含むことを特徴とする。一般的な殺菌液卵白は、殺菌処理工程中のろ過、攪拌及び加熱による蛋白質の熱変性等により、未殺菌液卵白に比べて粘性が低い等の物性の違いがある。そのため、殺菌液卵白を用いて種々の卵製品を製造する場合に、調理時の作業性や得られる卵製品の形状等の点から様々な悪影響が出る問題があったが、本発明の殺菌加工液卵白は、植物ステロール類及び増粘材含むことから、調理時の作業性や得られる卵製品の形状等の点から未殺菌の液卵白と同様の調理適性を有するものとなる。
本発明の殺菌加工液卵白は、殺菌処理によりサルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性及び大腸菌群数が10個/g未満としてあるが、このような殺菌処理は、常法によればよく、例えば、バッチ式殺菌タンク、プレート式熱交換機、ジュール加熱装置などの殺菌処理設備を用い、連続式により加熱殺菌する場合は55〜56℃×3.5分相当の加熱を、バッチ式により加熱殺菌する場合は54℃×10分相当の加熱をする等して、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性及び大腸菌群数が10個/g未満とすればよい。本発明における殺菌処理はこれらに限定されるものではなく、これらと同様の殺菌効果を有すれば、別の方法であってもよい。
前記本発明で用いる液卵白とは、常法により鶏卵を割卵して卵黄と分離し得られた液卵白、冷凍卵とした後に解凍したもの、乾燥卵とした後に乾燥前の液卵の水分含量となるように水戻ししたもの、さらには、加熱凝固等の卵の一般的性質を備えている限り、例えば、リゾーチーム、グルコース等の成分の一部を除去したもの等であってもよい。。
また、本発明の殺菌加工液卵白は、加熱凝固等の卵の一般的性質を備えていることが好ましいことから、前記液卵白の含有量としては、製品に対して、生換算で好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
本発明の殺菌加工液卵白に用いる植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体のうち卵黄リポ蛋白質は、卵黄蛋白質と、親水部分及び疎水部分を有するリン脂質、並びにトリアシルグリセロール、コレステロール等の中性脂質とからなる複合体である。当該複合体は、蛋白質やリン脂質の親水部分を外側にし、疎水部分を内側にして、中性脂質を包んだ構造をしている。卵黄リポ蛋白質は、卵黄の主成分であって、卵黄固形分中の約80%を占める。したがって、本発明の卵黄リポ蛋白質としては、当該成分を主成分とした卵黄を用いるとよく、食用として一般的に用いている卵黄であれば特に限定するものではない。例えば、常法により鶏卵を割卵し卵白と分離して得られた生卵黄をはじめ、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA1、ホスフォリパーゼA2、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。また、本発明では、鶏卵を割卵して得られる全卵、あるいは卵黄と卵白とを任意の割合で混合したもの、あるいはこれらに上記処理を施したもの等を用いてもよい。
一方、植物ステロール類とは、コレステロール又は当該飽和型であるコレスタノールに類似した構造をもつ植物の脂溶性画分より得られる植物ステロール又は植物スタノール、あるいはこれらの構成成分のことであり、これら植物ステロール類は、植物の脂溶性画分に合計で数%存在する。また、市販の植物ステロール又は植物スタノールは、融点が約140℃前後で、常温で固体であり、これらの主な構成成分としては、例えば、β−シトステロール、β−シトスタノール、スチグマステロール、スチグマスタノール、カンペステロール、カンペスタノール、ブラシカステロール、ブラシカスタノール等が挙げられる。また、植物スタノールについては、天然物の他、植物ステロールを水素添加により飽和させたものも使用することができる。なお、本発明において植物ステロール類は、いわゆる遊離体を主成分とするが、若干量のエステル体を含有していてもよい。
本発明の複合体に用いる植物ステロール類は、市販されている粉体あるいはフレーク状のものを用いることができるが、平均粒子径が50μm以下、特に10μm以下の粉体を使用することが好ましい。平均粒子径が50μmを超える粉体あるいはフレーク状の植物ステロール類を用いる場合には、卵黄と攪拌混合して複合体を製造する際に、均質機(T.K.マイコロイダー:プライミクス(株)製)等を用いて植物ステロール類の粒子を小さくしつつ攪拌混合を行うことが好ましい。これにより、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体が形成され易くなる。
本発明の殺菌加工液卵白に用いる植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体は、上述した植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質を主成分とする卵黄とを、好ましくは10μm以下の粉体状の植物ステロール類と卵黄を水系中で攪拌混合することにより得られる。具体的には、工業的規模での攪拌混合し易さを考慮し、卵黄リポ蛋白質として、卵黄を水系媒体で適宜希釈した卵黄希釈液を使用し、当該卵黄希釈液と植物ステロール類とを攪拌混合して製造することが好ましい。前記水系媒体としては、水分が90%以上のものが好ましく、例えば、清水の他に液卵白、糖液等が挙げられる。また、前記卵黄希釈液の濃度としては、その後、添加する植物ステロール類の配合量にもよるが、卵黄固形分として0.01〜50%の濃度が好ましく、攪拌混合時の温度は、常温(20℃)でもよいが、45〜55℃に加温しておくと複合体と攪拌混合し易く好ましい。攪拌混合は、例えば、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモゲナイザー、T.K.マイコロイダー(プライミクス(株)製)等の均質機を用いて、全体が均一になるまで行うとよい。また、上述の方法で得られたものは、複合体が水系媒体に分散したものであるが、噴霧乾燥、凍結乾燥等の乾燥処理を施して乾燥複合体としてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、複合体に他の原料を配合してもよい。
本発明で用いる複合体は、当該原料である植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部であることが好ましく、当該構成比は、卵黄固形分中に卵黄リポ蛋白質は約8割存在するから、卵黄固形分1部に対して植物ステロール類4〜185部に相当する。後述で示すとおり水分散性を有する複合体は、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類が前記範囲で形成している。したがって、植物ステロールが前記範囲より少ないと複合体を形成できなかった卵黄リポ蛋白質が残存し、得られた殺菌加工液卵白に卵黄成分がより多く含まれることになり、卵黄風味が付与されることが望ましくない場合やコレステロールや脂質の含有量を低くした製品とする場合等を考慮すると本発明においては好ましくない。一方、前記範囲より多いと、水分散性を有した複合体が得られず、殺菌加工液卵白中に均一に分散し難いためか、未殺菌の液卵白と同様の調理適性が得られる本発明の効果が得られ難く好ましくない。
また、本発明の殺菌加工液卵白に対する複合体の含有量は、後述する増粘材の含有量や卵製品の種類等を考慮する必要があるが、製品に対して好ましくは乾物換算で0.01〜5%、より好ましくは0.1〜3%である。前記範囲とすることにより、未殺菌の液卵白と同様の調理適性が得られる本発明の効果が得られ易く好ましい。これに対して、植物ステロール類の含有量が前記範囲より少ないと、未殺菌の液卵白と同様の調理適性が得られる本発明の効果が充分に得られ難く、前記範囲より多いと、製造する卵製品の種類等によっては食感が損なわれる場合があり好ましくない。
本発明で用いる増粘材としては、粘性を付与でき、食用として一般的に用いているものであれば特に制限はなく、例えば、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム、サイリュームシードガム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、コンニャクマンナン、ヤマノイモ由来の増粘物質、ゼラチン、更には、コーンスターチ、タピオカ澱粉等の生澱粉やこれらにα化処理等を行った加工澱粉等の澱粉等が挙げられる。これらの増粘材の中でも、本発明においては、未殺菌の液卵白と同様の調理適性が得られる本発明の効果が得られ易いことから、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ペクチン及び澱粉から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
本発明の殺菌加工液卵白に対する増粘材の含有量は、上述した植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体の含有量や卵製品の種類等を考慮する必要があるが、製品に対して好ましくは0.01〜5%、より好ましくは0.05〜3%である。前記範囲とすることにより、未殺菌の液卵白と同様の調理適性が得られる本発明の効果が得られ易く好ましい。これに対して、増粘材の含有量が前記範囲より少ないと、未殺菌の液卵白と同様の調理適性が得られる本発明の効果が充分に得られ難く、前記範囲より多いと、製造する卵製品の種類等によっては食感が損なわれる場合があり好ましくない。
また、本発明の殺菌加工液卵白は、黄色の着色料を含有させることにより黄色に着色して全卵様の殺菌加工液卵白とすることができる。このような全卵様の殺菌加工液卵白は、コレステロールや脂質の摂取量を控えた食事に液全卵の替わりに用いる卵原料として好適である。全卵様の殺菌加工液卵白とする場合には、例えば、クチナシ色素、アナトー色素、カロチン色素等の着色料を、着色料の種類にもよるが、製品に対して好ましくは0.001〜1%含有させて液全卵に似た黄色の色調とすればよい。
また、本発明の殺菌加工液卵白には、上述した原料の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、グルコース、ソルビトール、シュクロース、トレハロース、デキストリン、還元デキストリン等の糖類、食塩、pH調整材、着色料、保存料等の原料を、適宜選択して用いることができる。
上述した本発明の殺菌加工液卵白は、調理時の作業性や得られる卵製品の形状等の点から未殺菌の液卵白と同様の調理適性を有することから、種々の卵製品に利用することにより、卵製品の形状や物性等の点から優れた品質の卵製品が得られる。このような本発明の殺菌加工液卵白を用いる卵製品としては、卵を主原料として用いる卵製品であれば特に制限はないが、卵の加熱凝固性を利用して加熱調理して製する加熱調理卵製品は、調理時の作業性や得られる卵製品の形状等の点から未殺菌卵と同様の調理適性を有することが特に必要とされることから、本発明はこのような加熱調理卵製品において特に好適に実施できる。前記加熱調理卵製品としては、具体的には、例えば、オムレツ、卵焼き、スクランブルエッグ、丼等が挙げられる。
本発明の殺菌加工液卵白は、液卵白に上述した植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体、増粘材及び必要に応じてその他の原料を含有させる他は、従来の一般的な殺菌液卵白の製造方法に準じて製造することができる。つまり、鶏卵を割卵して、卵殻を取り除き卵黄と分離して得られた液卵白に、上述した複合体の調製過程で発生する水系媒体に分散した複合体又は乾燥複合体と、増粘材と、更に、その他の原料とを添加して撹拌混合した後、殺菌処理する。殺菌処理は、バッチ式殺菌タンク、プレート式熱交換機、ジュール加熱装置などの殺菌処理設備を用い、連続式により加熱殺菌する場合は55〜56℃×3.5分相当の加熱を、バッチ式により加熱殺菌する場合は54℃×10分相当の加熱をして、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性及び大腸菌群数が10個/g未満とすればよい。以上のようにして得られた本発明の殺菌加工液卵は、必要に応じてパウチ等に容器詰めして0〜15℃で保存するチルド品として、あるいは、パウチ等に容器詰めした後凍結処理して冷凍品として流通させることができる。
本発明において、未殺菌の液卵白と同様の調理適性を有する殺菌加工液卵白が得られる理由は定かではないが、以下のように推定される。まず、植物ステロールは、水への分散処理を施しても、その後、水面に浮いてしまう性質を有する。これに対し本発明で用いる複合体は、後述で示すとおり水に分散する性質を有する。よって、複合体は、両親媒性を有する卵黄リポ蛋白質が、当該疎水部分を疎水物である植物ステロール類の表面側に、親水部分を外側に向けて植物ステロール類の表面に付着した状態となり良好な水分散性を有すると推定される。一方、植物ステロール類は融点が140℃前後であることから、殺菌処理や加熱調理時の加熱によっても溶解せず、前記複合体として殺菌加工液卵白中に微粒子状に均一に分散していると推定される。本発明においては、この殺菌加工液卵白中に微粒子状に均一に分散している前記複合体と増粘材とが何らかの形で相乗的に作用して、殺菌処理工程中のろ過、攪拌及び加熱による蛋白質の熱変性等により損なわれた卵が本来有していた特有の組織構造を補い、調理適性を高める働きをしているのではないかと推察される。
以下、本発明の殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品について、実施例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[調製例1]:複合体の構成成分の解析及び複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
まず、液卵黄5g(卵黄固形分2.5g、卵黄固形分中の卵黄リポ蛋白質約2g)に清水95gを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpmで1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した。次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(遊離体97.8%、エステル体2.2%、平均粒子径約3μm)2.5gを添加し、さらに10000rpmで5分間攪拌し、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質とから形成された複合体の分散液を得た(調製例1−1)。
得られた分散液1gを取り、0.9%食塩水4gを加え、真空乾燥機(東京理科器械社製、VOS−450D)で真空度を1.3kPaにして1分間脱気し、遠心分離器(国産遠心分離器社製、モデルH−108ND)で3000rpmで15分間遠心分離を行い、沈澱と上澄みとを分離した。この上澄みを0.45μmのフィルターで濾過し、さらに0.2μmのフィルターで濾過し、複合体と、複合体を形成していない植物ステロールとを除去した。
この濾液の吸光度(O.D.)を、分光光度計(日立製作所製、U−2010)を用いて、0.9%食塩水を対照とし、280nm(蛋白質中の芳香環をもつアミノ酸の吸収)で測定し、濾液中の蛋白質の量を測定した。
植物ステロールの添加量を表1のように変え、同様に吸光度を測定した(調製例1−2〜調製例1−8)。この結果を表1に示す。
また、調製例1−1の濾液と、調製例1−6の濾液については、更に440nmの吸光度を測定した。ここで、440nmは、卵黄リポ蛋白質中に含まれる油溶性の色素(カロチン)の吸収波長である。この結果を表2に示す。
Figure 0004562717
Figure 0004562717
複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以下であると、表1より、植物ステロールの割合が増えるに伴い、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度が小さくなっており、蛋白質あるいはアミノ酸の含量が減少することが分かる。また、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−1の濾液は調製例1−6に比べ吸光度が優位に高く、油脂含量が明らかに多いことが分かる。一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であると、表1より、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度は略一定を示し、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−6の濾液は調製例1−1に比べ吸光度が優位に低く、油脂含量が明らかに少ないことが分かる。
以上の結果より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であるものの分散液には、複合体以外に、卵黄リポ蛋白質でない遊離の蛋白質あるいはアミノ酸が存在し、一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部より少ないものの分散液には、前記遊離の蛋白質あるいはアミノ酸に加え、複合体を形成しなかった卵黄リポ蛋白質が存在しているものと推定される。したがって、卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、植物ステロール類が5部以上必要であることが分かる。
[調製例2]:複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
鶏卵を工業的に割卵して得られた液卵黄(固形分45%)と清水の量と植物ステロールの量を表3の通りに変更して、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を調製し、この分散液の分散性から、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との好ましい構成比を検討した。
すなわち、鶏卵を割卵して取り出した液卵黄(固形分45%)に清水を加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、45℃に加温し、次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)を除々に添加し、添加し終えたところで、さらに10000rpmで攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。
また、分散液の分散性に関しては、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液0.5gを試験管(内径1.6cm、高さ17.5cm)にとり、0.9%食塩水10mLで希釈し、試験管ミキサー(IWAKI GLASS MODEL−TM−151)で10秒間撹拌することにより振盪し、その後1時間室温で静置し、さらに真空乾燥機(東京理化器械社製、VOS−450D)に入れ、真空度を1.3kPa以下にして室温(20℃)で脱気を行い、脱気後に浮上物が見られない場合を○、浮上物が見られた場合を×と判定した。これらの結果を表3に示す。
なお、植物ステロールを加熱溶解し、冷却し、比重の異なるエタノール液に浸けて浮き沈みによりその比重を求めたところ、0.98であったことから、上述の分散性の試験での浮上物は植物ステロールであると考えられる。
Figure 0004562717
表3より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが232部以下であると、複合体に良好な水分散性を付与できることが分かる。
調製例1及び調製例2の結果より、複合体が良好な水分散性を有し、しかも卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部の範囲であることが分かる。
[調製例3]
清水17.5kgに殺菌液卵黄(固形分45%、キユーピー(株)製)0.5kgを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、50℃に加温し、次に5000rpmで攪拌及び真空度46.7kPaで脱気しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)2kgを除々に添加し、添加し終えたところで、さらに同回転数で30分間攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。なお、得られた分散液中の複合体の構成比は、卵黄固形分1部に対し植物ステロール8.9部であり、卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロール11.1部である。
[調製例4]
調製例3で得られた複合体の分散液を噴霧乾燥機を用いて、送風温度170℃、排風温度70〜75℃の条件で乾燥し、乾燥状の乾燥複合体を得た。なお、得られた乾燥状の複合体の構成比は、調製例3のものと同じである。
[調製例5]
液卵黄10kg(固形分45%)を50℃に加温し、豚膵臓由来のホスフォリパーゼA2(ノボザイムス社「レシターゼ10L」)5mLを添加し、2時間攪拌しリゾ化率61%のホスフォリパーゼA処理卵黄を得た。なお、卵黄をホスフォリパーゼAで処理すると、ホスフォリパーゼA1は、卵黄中の卵黄リポ蛋白質の構成成分であるリン脂質の1位のアシル基に、ホスフォリパーゼA2は、リン脂質の2位のアシル基に、それぞれ作用し、リゾリン脂質と脂肪酸に加水分解される。また、前記リゾ化率は、酵素処理後におけるリゾホスファチジルコリンとホスファチジルコリンの合計質量に対するリゾホスファチジルコリンの質量割合をイヤトロスキャン法(TLC−FID法)で分析し算出した値である。
調製例3の殺菌液卵黄に換えて上記ホスフォリパーゼA処理液卵黄を用いた以外は調製例3に準じて植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。更に、得られた複合体の分散液を噴霧乾燥機を用いて、送風温度170℃、排風温度70〜75℃の条件で乾燥し、乾燥状の乾燥複合体を得た。なお、得られた植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液の構成比は、調製例3のものと同じである。
[実施例1]
まず、鶏卵を割卵して卵黄と分離し、混合タンクで攪拌混合した後、30メッシュのストレーナーでろ過して液卵白を製した。次に、得られた液卵白100部に対して、調製例4で得られた乾燥状の複合体(卵黄固形分10%、植物ステロール90%)2.5部及びキサンタンガム0.1部を添加して混合タンクで攪拌混合した後、プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製「CHX型」)により56℃で3.5分間加熱殺菌して本発明の殺菌加工液卵白を製した。なお、複合体の含有量は製品に対して2.4%であり、キサンタンガムの含有量は製品に対して0.1%である。また、得られた殺菌加工液卵白の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性であり、大腸菌群数は10個/g未満であった。
[比較例1]
実施例1の殺菌加工液卵白において、複合体2.5部に換えて複合体の原料である植物ステロール2.5部を添加した以外は同様の方法で殺菌加工液卵を製した。
[比較例2]
実施例1の殺菌加工液卵白において、キサンタンガムを添加しなかった以外は同様の方法で殺菌加工液卵を製した。
[比較例3]
実施例1の殺菌加工液卵白において、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を添加しなかった以外は同様の方法で殺菌加工液卵を製した。
[試験例1]
実施例1、並びに比較例1乃至3で得られた殺菌加工液卵白を用いて以下のようにして丼を製し、未殺菌の液卵白(鶏卵を割卵して卵黄と分離し、混合タンクで攪拌混合したもの)を対照とした調理適性を卵製品の形状の点から評価した。結果を表4に示す。
<丼の製造方法>
親子丼用の鍋に、玉ねぎ30g、鶏肉50g、かつおだし100gを入れて加熱し、鶏肉が煮えたら、殺菌加工液卵白60gを流し入れて凝固させ、続いて殺菌液卵黄20gを流し入れて加熱凝固させて親子丼を製造した。
Figure 0004562717
<表4における調理適性の評価の記号>
◎:対照と同様に、ふんわりとした大きなかたまりに凝固する。
○:対照に比べて卵液が調味液中にやや散り易く、凝固したかたまりがやや小さいが問題のない程度である。
△:対照に比べて卵液が調味液中にやや散り易く、凝固したかたまりがやや小さい。
×:対照に比べて卵液が調味液中に散ってしまい、凝固したかたまりが小さい。
表4より、複合体に換えて複合体の原料である植物ステロールを配合した比較例1、複合体のみを配合した比較例2、増粘材のみを配合した比較例3の比較品は、いずれも卵製品の形状の点から対照に比べて調理適性が悪いのに対し、これらを併せて含む本発明品、すなわち、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及び増粘材を含む本発明の実施例1の殺菌加工液卵白は、卵製品の形状が対照と同様であり優れた調理適性を有していることが理解できる。なお、ここでは示していないが、複合体の原料である植物ステロールを植物スタノールに変更した場合も同様な結果となった。
[実施例2]
実施例1の殺菌加工液卵白において、アナトー色素0.005部を添加して黄色く着色した以外は同様の方法で本発明の全卵様の殺菌加工液卵白を製した。なお、複合体の含有量は製品に対して2.4%であり、キサンタンガムの含有量は製品に対して0.1%である。また、得られた殺菌加工液卵白の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性であり、大腸菌群数は10個/g未満であった。
[比較例4]
比較例1の殺菌加工液卵白において、アナトー色素0.005部を添加して黄色く着色した以外は同様の方法で全卵様の殺菌加工液卵白を製した。
[比較例5]
比較例2の殺菌加工液卵白において、アナトー色素0.005部を添加して黄色く着色した以外は同様の方法で全卵様の殺菌加工液卵白を製した。
[比較例6]
比較例3の殺菌加工液卵白において、アナトー色素0.005部を添加して黄色く着色した以外は同様の方法で全卵様の殺菌加工液卵白を製した。
[試験例2]
実施例2、並びに比較例4乃至6で得られた全卵様の殺菌加工液卵白を用いて以下のようにしてオムレツを製し、未殺菌の液卵白を黄色く着色したもの(鶏卵を割卵して卵黄と分離し、アナトー色素を加えて混合タンクで攪拌混合したもの)を対照とした調理適性を調理時の作業性の点から評価した。結果を表5に示す。
<オムレツの製造方法>
全卵様の殺菌加工液卵白100gに、食塩0.5g及びコショウ0.01gを加えて調味し、これを油をひいたフライパンに流し込んで、常法により、はしで撹拌しながら焼成して成形し、オムレツを製造した。
Figure 0004562717
<表5における調理適性の評価の記号>
◎:対照と同様に成形し易い。
○:対照に比べてやや成形し難いが問題のない程度である。
△:対照に比べてやや成形し難い。
×:対照に比べて成形し難い。
表5より、複合体に換えて複合体の原料である植物ステロールを配合した比較例1、複合体のみを配合した比較例2、増粘材のみを配合した比較例3の比較品は、いずれも調理時の作業性の点から対照に比べて調理適性が悪いのに対し、これらを併せて含む本発明品、すなわち、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及び増粘材を含む本発明の実施例1の殺菌加工液卵白は、調理時の作業性が対照と同様であり優れた調理適性を有していることが理解できる。なお、ここでは示していないが、複合体の原料である植物ステロールを植物スタノールに変更した場合も同様な結果となった。
[実施例3]
実施例2の全卵様の殺菌加工液卵白において、キサンタンガム0.1部に換えてグアーガム0.1部を添加した以外は同様の方法で本発明の全卵様の殺菌加工液卵白を製した。なお、複合体の含有量は製品に対して2.4%であり、グアーガムの含有量は製品に対して0.1%である。また、得られた殺菌加工液卵白の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性であり、大腸菌群数は10個/g未満であった。
[実施例4]
実施例2の全卵様の殺菌加工液卵白において、キサンタンガム0.1部に換えてカラギーナン0.1部を添加した以外は同様の方法で本発明の全卵様の殺菌加工液卵白を製した。なお、複合体の含有量は製品に対して2.4%であり、カラギーナンの含有量は製品に対して0.1%である。また、得られた殺菌加工液卵白の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性であり、大腸菌群数は10個/g未満であった。
[実施例5]
実施例2の全卵様の殺菌加工液卵白において、キサンタンガム0.1部に換えてタマリンドシードガム0.1部を添加した以外は同様の方法で本発明の全卵様の殺菌加工液卵白を製した。なお、複合体の含有量は製品に対して2.4%であり、タマリンドシードガムの含有量は製品に対して0.1%である。また、得られた殺菌加工液卵白の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性であり、大腸菌群数は10個/g未満であった。
[実施例6]
実施例2の全卵様の殺菌加工液卵白において、キサンタンガム0.1部に換えてローカストビーンガム0.1部を添加した以外は同様の方法で本発明の全卵様の殺菌加工液卵白を製した。なお、複合体の含有量は製品に対して2.4%であり、ローカストビーンガムの含有量は製品に対して0.1%である。また、得られた殺菌加工液卵白の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性であり、大腸菌群数は10個/g未満であった。
[実施例7]
実施例2の全卵様の殺菌加工液卵白において、キサンタンガム0.1部に換えてペクチン0.1部を添加した以外は同様の方法で本発明の全卵様の殺菌加工液卵白を製した。なお、複合体の含有量は製品に対して2.4%であり、ペクチンの含有量は製品に対して0.1%である。また、得られた殺菌加工液卵白の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性であり、大腸菌群数は10個/g未満であった。
[実施例8]
実施例2の全卵様の殺菌加工液卵白において、キサンタンガム0.1部に換えてα化澱粉(Tate & Lye Food & Industrial Ingredientes,America Inc.社製、ミラスパース626)1部を添加した以外は同様の方法で本発明の全卵様の殺菌加工液卵白を製した。なお、複合体の含有量は製品に対して2.4%であり、α化澱粉の含有量は製品に対して1%である。また、得られた殺菌加工液卵白の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性であり、大腸菌群数は10個/g未満であった。
[実施例9]
実施例2の全卵様の殺菌加工液卵白において、調製例4で得られた乾燥状の複合体2.5部に換えて調製例5で得られた乾燥状の複合体2.5部を添加した以外は同様の方法で本発明の全卵様の殺菌加工液卵白を製した。なお、複合体の含有量は製品に対して2.4%であり、キサンタンガムの含有量は製品に対して0.1%である。また、得られた殺菌加工液卵白の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性であり、大腸菌群数は10個/g未満であった。
[試験例3]
実施例3乃至9で製した全卵様の殺菌加工液卵白を用い、それぞれ試験例2と同様にオムレツを製して、未殺菌品(鶏卵を割卵して卵黄と分離し、アナトー色素を加えて混合タンクで攪拌混合したもの)を対照とした調理適性を調理時の作業性の点から評価したところ、いずれも対照と同様に成形し易く好ましいものであった。

Claims (6)

  1. 植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体、及び増粘材を含むことを特徴とする殺菌加工液卵白。
  2. 前記複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部である請求項1記載の殺菌加工液卵白。
  3. 前記増粘材が、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ペクチン及び澱粉から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の殺菌加工液卵白。
  4. 前記複合体の含有量が製品に対して0.01〜5%であり、前記増粘材の含有量が製品に対して0.01〜5%である請求項1乃至3のいずれかに記載の殺菌加工液卵白。
  5. 黄色に着色してなる請求項1乃至4のいずれかに記載の全卵様の殺菌加工液卵白。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の殺菌加工液卵白を配合してなることを特徴とする卵製品。
JP2006290711A 2006-10-26 2006-10-26 殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品 Expired - Fee Related JP4562717B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006290711A JP4562717B2 (ja) 2006-10-26 2006-10-26 殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006290711A JP4562717B2 (ja) 2006-10-26 2006-10-26 殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008104416A JP2008104416A (ja) 2008-05-08
JP4562717B2 true JP4562717B2 (ja) 2010-10-13

Family

ID=39438294

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006290711A Expired - Fee Related JP4562717B2 (ja) 2006-10-26 2006-10-26 殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4562717B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101965213A (zh) * 2008-02-14 2011-02-02 拉德罗食品有限责任公司 具有认知的用于降低人体内胆固醇水平和/或改善人健康的成分的蛋制品
JP4959740B2 (ja) * 2009-03-19 2012-06-27 キユーピー株式会社 丼物用加工卵液セット及び丼物の製造方法
JP4959741B2 (ja) * 2009-03-19 2012-06-27 キユーピー株式会社 丼物用加工卵白液セット及び丼物の製造方法
JP2012110233A (ja) * 2010-11-19 2012-06-14 Frontier Engineering Co Ltd 液卵の加熱処理方法および加熱処理装置
JP5878793B2 (ja) * 2012-03-01 2016-03-08 キユーピー株式会社 処理卵白およびその製造方法
EP3185698A4 (en) * 2014-08-29 2018-02-28 Johnson, Peter Stuart Novel food product and method of use
JP5879002B1 (ja) * 2015-03-02 2016-03-08 キユーピー株式会社 加熱液全卵の製造方法
CN112021448B (zh) * 2020-07-23 2022-11-04 浙江省农业科学院 一种改性重组蛋清液的制备方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02299548A (ja) * 1989-05-11 1990-12-11 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 血中脂質改善用焼き菓子およびその製造法
JPH08116925A (ja) * 1994-10-27 1996-05-14 Kunoole Shokuhin Kk かき卵液の製造方法
JPH09252749A (ja) * 1996-03-22 1997-09-30 House Foods Corp かき卵の製造方法
JPH10257868A (ja) * 1997-03-19 1998-09-29 Nippon Nousan Kogyo Kk 全卵様食品
JPH11221050A (ja) * 1998-02-06 1999-08-17 Fuji Oil Co Ltd 卵を使用した食品素材及び食品
JP2003000190A (ja) * 2001-04-20 2003-01-07 Q P Corp 卵黄を含有する低コレステロール水中油型乳化食品およびその製造方法
JP2004173527A (ja) * 2002-11-25 2004-06-24 Q P Corp 殺菌卵白及びその製法
WO2005041692A1 (ja) * 2003-10-31 2005-05-12 Q.P. Corporation 複合体

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02299548A (ja) * 1989-05-11 1990-12-11 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 血中脂質改善用焼き菓子およびその製造法
JPH08116925A (ja) * 1994-10-27 1996-05-14 Kunoole Shokuhin Kk かき卵液の製造方法
JPH09252749A (ja) * 1996-03-22 1997-09-30 House Foods Corp かき卵の製造方法
JPH10257868A (ja) * 1997-03-19 1998-09-29 Nippon Nousan Kogyo Kk 全卵様食品
JPH11221050A (ja) * 1998-02-06 1999-08-17 Fuji Oil Co Ltd 卵を使用した食品素材及び食品
JP2003000190A (ja) * 2001-04-20 2003-01-07 Q P Corp 卵黄を含有する低コレステロール水中油型乳化食品およびその製造方法
JP2004173527A (ja) * 2002-11-25 2004-06-24 Q P Corp 殺菌卵白及びその製法
WO2005041692A1 (ja) * 2003-10-31 2005-05-12 Q.P. Corporation 複合体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008104416A (ja) 2008-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4562717B2 (ja) 殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品
AU768268B2 (en) Process for producing powdery acid-treated egg
JP4789677B2 (ja) 冷凍ソース又は冷凍スープ
CN1105138C (zh) 含水悬浮液组合物、其制备方法和水分散性干组合物
US7595077B2 (en) Complex
JP3844011B2 (ja) 水中油型乳化食品
JP4789692B2 (ja) レトルトソース又はレトルトスープ
JP4632988B2 (ja) 油脂食品
JP2007267704A (ja) 冷凍卵加工食品
JP4859680B2 (ja) パスタソース
JP2008104413A (ja) 殺菌加工液全卵及びこれを用いた卵製品
JP2008220288A (ja) レトルトがゆ
JP4712619B2 (ja) アイスクリーム類
JP2007267711A (ja) 即席麺類
JP2008220285A (ja) レトルトがゆ
JP2008220271A (ja) ゼリー状食品
JP4408871B2 (ja) 顆粒状食品組成物の製造方法
JP2007259825A (ja) 粉末状又は顆粒状食品組成物
JP2008005718A (ja) 米飯用添加剤及び米飯食品
JP4408870B2 (ja) 錠剤状食品組成物及びその製造方法
JP2007259792A (ja) 味噌加工食品
JP2007274969A (ja) プロセスチーズ
JP2007259826A (ja) 粉末状或いは顆粒状のスープ又はソース
JPH08298963A (ja) タマゴ様食品及びその製造方法
JP2007244226A (ja) シリアル食品及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090415

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100714

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100727

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100727

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160806

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees