JP2004173527A - 殺菌卵白及びその製法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粘度が10mPa・sであって、加熱殺菌されていることを特徴とする殺菌卵白。生卵白を均質化して粘度を10mPa・s以下とした後、これを加熱殺菌することを特徴とする殺菌卵白の製法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、起泡性のよい殺菌卵白及びその製法であって、特に製菓・製パンに適した殺菌卵白に関する。
【0002】
【従来の技術】
卵白は起泡性があるため、製菓・製パンの原料として利用されている。
卵白には、サルモネラ等の病原性細菌を死滅させるために、生卵白を加熱殺菌して得られる殺菌卵白が使用され、また長期保存するために冷凍するのが一般的である。
ところが、単に加熱処理しただけの殺菌卵白は、加熱殺菌時に蛋白質の一部が熱変性して起泡性がかなり低下する。その上、これを冷凍すると冷凍変性して起泡性がさらに低下することになる。
このような問題を解決するため、卵白に蛋白加水分解物や多糖類等の品質改良剤を添加すること(例えば、特許文献1)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−313100号公報
【0004】
しかしながら、品質改良剤を添加した殺菌卵白は、起泡性はある程度改善されるものの、早く泡立つという性質がなく泡立てに時間がかかるため、製造時間の短縮がテーマである製菓・製パン業界のニーズを満たしていない。また、品質改良剤という高価な原料を用いるためコスト高になるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、品質改良剤を用いることなく起泡性がよく、しかも早く泡立つ性質を兼ね備えた殺菌卵白及びその製法を提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、(1)粘度が10mPa・s以下であって、加熱殺菌されていることを特徴とする殺菌卵白、(2)冷凍してなる(1)記載の殺菌卵白、(3)生卵白を均質化して粘度を10mPa・s以下とした後、これを加熱殺菌することを特徴とする殺菌卵白の製法、によって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を意味する。
本発明で卵白の粘度とは、卵白の品温を20℃とし、低粘度計(RION社製、VISCOTESTER VT−03E)にてローターNo.4で測定した値をいう。また、本発明において卵白の起泡性とは、卵白を攪拌した場合の泡立ち性と泡立った泡の固さのことをいう。
【0008】
本発明の殺菌卵白は、粘度が10mPa・s以下であって、加熱殺菌されている。ここで加熱殺菌とは、卵白を56℃以上、3.5分間以上という食品衛生法に定められた加熱条件で処理することをいう。
粘度を10mPa・s以下とすることにより、起泡性が改善され、また早く泡立つ性質を有する殺菌卵白とすることができる。この性質は、本発明の殺菌卵白をチルド保存する場合のみならず、冷凍保存しても変化しない。
本発明の殺菌卵白は、これを冷凍保存しても、解凍して常温(20℃)に戻せば、ほぼ冷凍前の粘度に復帰する。
なお、卵白の粘度を2mPa・s未満とするのは、卵白の構成成分との関係から困難であるので、本発明の殺菌卵白の粘度は2〜10mPa・sとするのが経済的である。
【0009】
本発明の殺菌卵白には、特に品質改良剤を添加する必要はない。ただし、卵黄が混入している場合には、本発明の殺菌卵白といえども起泡性の低下は免れ得ないので、この場合には起泡助剤として環状オリゴ糖等の糖類を添加することが出来る。
【0010】
本発明の殺菌卵白を得るには、まず殻付生卵を割卵して卵黄を除去し、生卵白を得る。次にこの生卵白を攪拌機、ミキサー、ホモゲナイザー等で処理して卵白を均質化し、その粘度を10mPa・s以下にする。最後に、この卵白を食品衛生法で定められた56℃以上で3.5分間以上の条件で加熱処理すれば製品を得ることができる。
得られた殺菌卵白は容器詰めにし、チルド又は冷凍保存すればよい。
【0011】
以下、実施例と試験例によってさらに本発明を説明する。
実施例1
殻付鶏卵を機械割りして、卵液から卵黄を分離して生卵白を得た。この生卵白をホモゲナイザーで処理することにより均質化し、その粘度を2mPa・sとした後、卵白に対して0.7%の環状オリゴ糖を添加して混合し、これをプレート式熱交換機にて56℃で3.5分間加熱殺菌して殺菌卵白を得た。
この殺菌卵白を容器詰めにし、チルド(5℃)で3日間保存した後、常温に戻して粘度を測定したところ2mPa・sであった。
この卵白は起泡性がよく、また早く泡立つ性質を有しており、特に製菓・製パン用原料に適するものであった。
【0012】
実施例2
実施例1のチルド保存する前の容器詰め殺菌卵白を−30℃の冷蔵庫に1ヶ月間冷凍保存した。これを解凍して常温に戻し、粘度を測定したところ2mPa・sであった。
この卵白は冷凍保存の影響を受けることなく起泡性がよく、また早く泡立つ性質を有しており、特に製菓・製パン用の原料に適するものであった。
【0013】
試験例1
殻付鶏卵を手割りして卵黄を分離し、卵黄の混入のない生卵白を得た。この生卵白に対して0.05%の卵黄を加えて混合した後、ろ過して商業的な卵黄混入卵白を得た。
上記卵白を用いて、次の6種類のサンプルを作成した。
・サンプル1(特許文献1の殺菌冷凍卵白)
卵白に対して大豆蛋白分解物0.2%、環状オリゴ糖0.7%を添加混合した後(この時の粘度19mPa・s)、プレート式熱交換機にて56℃で3.5分間加熱殺菌し、しかる後容器詰めにして−30℃に冷凍した殺菌冷凍卵白
・サンプル2(卵白を均質化していない殺菌冷凍卵白)
卵白に対して環状オリゴ糖0.7%を添加混合した後(この時の粘度20mPa・s)、サンプル1と同じ方法で加熱殺菌、冷凍した殺菌冷凍卵白
・サンプル3(卵白を均質化して粘度15mPa・sとしたものを用いた殺菌冷凍卵白)
卵白に対して環状オリゴ糖0.7%を添加混合した後、卵白をプロペラ式攪拌機にて攪拌して卵白を均質化し、その粘度を15mPa・sとし、これをサンプル1と同じ方法で加熱殺菌、冷凍した殺菌冷凍卵白
・サンプル4(卵白を均質化して粘度10mPa・sとしたものを用いた殺菌冷凍卵白)
卵白に対して環状オリゴ糖0.7%を添加混合した後、卵白をプロペラ式攪拌機にて攪拌して卵白を均質化し、その粘度を10mPa・sとし、これをサンプル1と同じ方法で加熱殺菌、冷凍した殺菌冷凍卵白
・サンプル5(卵白を均質化して粘度5mPa・sとしたものを用いた殺菌冷凍卵白)
卵白に対して環状オリゴ糖0.7%を添加混合した後、卵白をミキサーにて攪拌して卵白を均質化し、その粘度を5mPa・sとし、これをサンプル1と同じ方法で加熱殺菌、冷凍した殺菌冷凍卵白
・サンプル6(卵白を均質化して粘度2mPa・sとしたものを用いた殺菌冷凍卵白)
卵白に対して環状オリゴ糖0.7%を添加混合した後、卵白をホモゲナイザーにかけて、その粘度を2mPa・sとし、これをサンプル1と同じ方法で加熱殺菌、冷凍した殺菌冷凍卵白
【0014】
上記各サンプルを−30℃で30日間保存した後、解凍して常温(20℃)に戻し、各サンプルの粘度を測定したが、いずれのサンプルも加熱殺菌後、冷凍前に測定した粘度とほぼ同じであった。
次に、上記各サンプルを600gずつ計量し、それぞれのサンプルについて品温を20℃に保持して、ミキサー(関東混合機工業(株)製カントーミキサーCS型20)にて、ホイッパーを用いて高速攪拌(380rpm)して、1分おきに泡の高さと固さを測定したところ表1の結果が得られた。
【0015】
【表1】
【0016】
表1の結果を泡立ちの早さ、泡の出方からみた場合、表2のようにまとめることができる。
【0017】
【表2】
【0018】
表1及び表2より、卵白の粘度を10mPa・s以下とした殺菌冷凍卵白は、起泡性がよいばかりでなく、早く泡立ち、その泡が早く固くなる性質があることが理解できる。なお、サンプル2乃至サンプル6に関しては、冷凍品ではなくチルド品としたもの(5℃で3日間保存)について試験例1と同じテストをしてみたが、上記とほぼ同じ傾向となる結果が得られた。
【0019】
試験例2
試験例1で作成した殺菌冷凍卵白を解凍して常温(20℃)に戻し、各サンプルを600gずつ計量し、これにそれぞれ上白糖600gを溶解し、品温20℃保持して試験例1と同じテストをしたところ表3の結果が得られた。
【0020】
【表3】
【0021】
表3の結果を泡立ちの早さ、泡の固さの出方からみた場合、表4のようにまとめることができる。
【0022】
【表4】
【0023】
表3及び表4より、卵白に加糖した場合においても、起泡性がよく、早く泡立ち、固くなる性質は、加糖しないときと同じ傾向にあり、したがって、粘度を10mPa・s以下とした殺菌冷凍卵白は、製菓・製パン用に適していることが理解できる。なお、サンプル2乃至サンプル6に関しては、冷凍品ではなくチルド品としたもの(5℃で3日間保存)について試験例2と同じテストをしてみたが、上記とほぼ同じ結果が得られた。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、起泡性がよく、しかも早く泡立ち、その泡が早く固くなるという性質を有する殺菌卵白を提供することができ、この殺菌卵白は加糖してもその性質が変わらないので、原料として好適である。
Claims (3)
- 粘度が10mPa・s以下であって、加熱殺菌されていることを特徴とする殺菌卵白。
- 冷凍してなる請求項1記載の殺菌卵白。
- 生卵白を均質化して粘度を10mPa・s以下とした後、これを加熱殺菌することを特徴とする殺菌卵白の製法。
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JP2008104416A (ja) * | 2006-10-26 | 2008-05-08 | Q P Corp | 殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品 |
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2002
- 2002-11-25 JP JP2002341129A patent/JP2004173527A/ja active Pending
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JP2008104416A (ja) * | 2006-10-26 | 2008-05-08 | Q P Corp | 殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品 |
JP4562717B2 (ja) * | 2006-10-26 | 2010-10-13 | キユーピー株式会社 | 殺菌加工液卵白及びこれを用いた卵製品 |
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