JP4408870B2 - 錠剤状食品組成物及びその製造方法 - Google Patents

錠剤状食品組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、製錠性に優れた植物ステロール類を含有する錠剤状食品組成物、及びその製造方法に関する。
植物ステロールやそのエステル体である植物ステロールエステルは、日常的に摂取することにより、血中の総コレステロール及び低密度リポ蛋白質−コレステロール濃度を低下させる機能を有することが知られている。これら植物ステロールや植物ステロールエステルは、植物油脂、大豆、小麦等の食材に含まれているがその含有量は極僅かであるため、これら植物ステロールや植物ステロールエステルを強化して日常的に摂取できるようにした食品の開発が望まれている。
中でも、錠剤状食品組成物の形状に調製された食品、いわゆるサプリメントは、日々一定量の植物ステロール類を無理なく摂取する食品形態として有用であり、植物ステロール類の錠剤状食品組成物が望まれている。しかし、植物ステロール類は常温で固体であり、蝋状の性状を示すため流動性に欠け、賦形剤と混合しての製錠が困難であった。また流動性に欠ける粉末を打錠するに当たり、事前に顆粒を形成しておく方法が考えられるが、前記の性状特性により、植物ステロール類を造粒することは困難である。
そこで二酸化珪素を添加し、滑沢性を向上させる試みを行ったが目的は果たせず、また特開2001−224331号公報(特許文献1)には天然カルシウムや精製カルシウム素材を用い、これと植物ステロールにエタノール水溶液を加え練合し、造粒することにより製錠性を向上させる方法が開示されている。しかし該製造方法では手間が掛かり、また製錠性も充分満足のいくものではなかった。
特開2001−224331号公報 WO2005/041692
そこで、本発明の目的は、製錠性に優れた植物ステロール類を含有する錠剤状食品組成物、及びその製造方法を提供するものである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、植物ステロール含有錠剤状食品組成物を調製するに当たり、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を用いることにより、意外にも製錠性が向上できることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)植物ステロール類を乾物換算で一錠あたり27.6〜55.2%含有する錠剤状食品組成物であって、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を含むことを特徴とする錠剤状食品組成物。
(2)前記複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部である(1)記載の錠剤状食品組成物、
(3)植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を賦形剤とともに造粒し、打錠することを特徴とする、(1)又は(2)記載の錠剤状食品組成物の製錠方法。

なお、本出願人は、既に植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を出願している(WO2005/041692:特許文献2)。しかしながら、当該出願には、前記複合体を錠剤状食品組成物に添加することはいっさい検討されていない。
植物ステロール類は血清コレステロールを低下させる効果が期待できるという栄養機能に富んだ食品素材である。本発明の錠剤状食品組成物は、植物ステロール類を含有し、しかも手軽に一定量摂取できるように錠剤状食品組成物の形態に調製したものである。したがって、本発明により、植物ステロール類の新たな需要を拡大することができる。
以下、本発明の錠剤状食品組成物を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
本発明の錠剤状食品組成物は、有効成分を含む食品粉末を、打錠することにより製錠した、いわゆるタブレット型の食品組成物である。打錠する際、製錠性を向上させるため、有効成分の有効性を阻害しない粉末を賦形剤として配合することができる。賦形剤としては乳糖、デキストリン、澱粉等の比較的呈味性の低い食品粉末が用いられるがこれに限らない。また、粉末の流動性を向上させるために、二酸化珪素や水酸化アルミニウムマグネシウム等の滑沢剤を添加することができる。製錠された食品組成物が吸湿しないよう皮膜剤でコーティングすることができる。裸錠を摂取しやすいように、糖衣によりコーティングし、糖衣錠とすることができる。また、砂糖、果汁末、香料、メントール等の呈味成分を加え、咀嚼することによりその風味を楽しむことを目的とする錠菓を製することができる。
本発明の錠剤状食品組成物の大きさは特に限定しないが、水や飲料で咀嚼することなく嚥下する場合、直径10mm以下とするのが好ましい。別に、咀嚼することにより風味を楽しむ錠菓とする場合、直径は25mm以下とするのが好ましい。
本発明の錠剤状食品組成物は、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を含むことを特徴とする。植物ステロール含有錠剤状食品組成物を調製するに当たり、前記構成である植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を用いることにより、製錠性が向上し、品質の高い植物ステロール類含有錠剤状食品組成物を製造することができる。これに対して、後述の比較例に示すように、植物ステロール類をそのまま含む錠剤状食品組成物は、植物ステロール類特有の蝋状の性状により、流動性に欠け、他の粉体原料と均質に混合することができず、打錠適性に劣る。従って植物ステロール類を適量配合した錠剤状食品組成物を得ることが困難となる。
本発明の卵黄リポ蛋白質は、卵黄蛋白質と、親水部分及び疎水部分を有するリン脂質、及びトリアシルグリセロール、コレステロール等の中性脂質とからなる複合体である。当該複合体は、蛋白質やリン脂質の親水部分を外側にし、疎水部分を内側にして、中性脂質を包んだ構造をしている。卵黄リポ蛋白質は、卵黄の主成分であって、卵黄固形分中の約80%を占める。したがって、本発明の卵黄リポ蛋白質としては、当該成分を主成分とした卵黄を用いるとよく、食用として一般的に用いている卵黄であれば特に限定するものではない。例えば、鶏卵を割卵し卵白液と分離して得られた生卵黄をはじめ、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。また、本発明では、鶏卵を割卵して得られる全卵、あるいは卵黄と卵白とを任意の割合で混合したもの、あるいはこれらに上記処理を施したもの等を用いてもよい。
一方、本発明の植物ステロール類とは、コレステロール又は当該飽和型であるコレスタノールに類似した構造をもつ植物の脂溶性画分より得られる植物ステロール又は植物スタノール、あるいはこれらの構成成分のことであり、植物ステロール類は、植物の脂溶性画分に合計で数%存在する。また、市販の植物ステロール又は植物スタノールは、融点が約140℃前後で、常温で固体であり、これらの主な構成成分としては、例えば、β−シトステロール、β−シトスタノール、スチグマステロール、スチグマスタノール、カンペステロール、カンペスタノール、ブラシカステロール、ブラシカスタノール等が挙げられる。また、植物スタノールについては、天然物の他、植物ステロールを水素添加により飽和させたものも使用することができる。なお、本発明において植物ステロール類は、いわゆる遊離体を主成分とするが、若干量のエステル体を含有していてもよい。
本発明に用いる植物ステロール類は、市販されている粉体あるいはフレーク状のものを用いることができるが、平均粒子径が50μm以下、特に10μm以下の粉体を使用することが好ましい。平均粒子径が50μmを超える粉体あるいはフレーク状の植物ステロール類を用いる場合には、卵黄と攪拌混合して複合体を製造する際に、均質機(T.K.マイコロイダー:プライミクス(株)製等)を用いて植物ステロール類の粒子を小さくしつつ攪拌混合を行うことが好ましい。これにより、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体が形成され易くなり、また、当該複合体をシリアル食品に含有させたときにより食感に影響を与え難くすることができる。
本発明の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体は、上述した植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質を主成分とする卵黄とを、好ましくは10μm以下の粉体状の植物ステロール類と卵黄とを水系中で攪拌混合することにより得られる。具体的には、工業的規模での攪拌混合のし易さを考慮し、卵黄リポ蛋白質として、卵黄を水系媒体で適宜希釈した卵黄希釈液を使用し、当該卵黄希釈液と植物ステロール類とを攪拌混合して製造することが好ましい。前記水系媒体としては、水分が90%以上のものが好ましく、例えば、清水の他に卵白液、調味液等が挙げられる。また、前記卵黄希釈液の濃度としては、その後、添加する植物ステロール類の配合量にもよるが、卵黄固形分として0.01〜50%の濃度が好ましく、攪拌混合時の温度は、常温(20℃)でもよいが、45〜55℃に加温しておくと複合体と攪拌混合し易く好ましい。攪拌混合は、例えば、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモゲナイザー、T.K.マイコロイダー(プライミクス(株)製)等の均質機を用いて、全体が均一になるまで行うとよい。また、上述の方法で得られたものは、複合体が水系媒体に分散したものであるが、噴霧乾燥、凍結乾燥等の乾燥処理を施して乾燥複合体としてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、複合体に他の原料を配合してもよい。
本発明で用いる複合体は、当該原料である植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部であることが好ましい。当該構成比は、卵黄固形分中に卵黄リポ蛋白質は約8割存在するから、卵黄固形分1部に対して植物ステロール類4〜185部に相当する。後述に示すとおり水分散性を有する複合体は、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類が前記範囲で形成していることから、植物ステロールが前記範囲より少ないと複合体を形成できなかった卵黄リポ蛋白質が残存してシリアル食品の風味が卵黄風味により損なわれる場合があり、前記範囲より多いと植物ステロール類が複合体を形成し難くなって本発明の効果が得られ難くなる。
錠剤状食品組成物の複合体の含有量は、植物ステロールの1日の摂取量が1g以上であれば血中のコレステロール濃度が低下することや錠剤状食品組成物の1食分または1日分の摂取量等を考慮して決定すればよいが、あまり多すぎても血中のコレステロール濃度を低下させる効果がそれに比例して増大するわけではなく、摂取するものの負担が増大することから、製品に対して5〜30%とすることが好ましく、10〜25%とすることがより好ましい。
本発明の錠剤状食品組成物は、一般的な錠剤の製造方法で調製することができる。古典的な湿式成型法を用いることができるが、好ましくは打錠機を用いた圧縮錠剤の製錠法である、粉末をそのまま圧縮する直接粉末圧縮法、または粉末を造粒し、顆粒を形成し、これを圧縮する顆粒圧縮法により製錠することができる。顆粒造粒法としては流動層造粒法、押出し造粒法、圧縮造粒法、噴霧乾燥造粒法等一般の方法から選択することができる。前述した方法で植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質の複合体を調製し、これに賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、等を適宜配合し、必要に応じ造粒を行い、打錠機により製錠することにより本発明品である植物ステロール類配合の錠剤状食品組成物が得られる。これに必要に応じコーティング処理を行うことができる。さらには糖衣を行うことにより糖衣錠を製錠することができる。
以上の方法で植物ステロール類配合の錠剤状食品組成物を製造することにより、製錠が困難な植物ステロール類を、適正な含量配合された錠剤状食品組成物を容易に製造することができる。賦形剤や打錠圧力の選択、調整により錠剤の強度を調整することができる。また、他の機能性成分や呈味成分を配合することもできる。本発明により、用途に応じた植物ステロール類配合の錠剤状食品組成物を適宜製造することができる。
このように本発明の植物ステロール類配合の錠剤状食品組成物が容易に製錠できる理由は定かではないが、以下のように推察される。まず、植物ステロール類は常温で固形脂となり、蝋状の性質を呈しているため流動性に乏しく、デキストリンや乳糖等の賦形剤と混合した場合、容易に均質に分散されない。また流動性を向上させるため顆粒を形成する手段が知られているが、このような賦形剤は親水性が高く、一方植物ステロール類は疎水性が高く、加水により表面が局所的に溶解し、双方が結合するようなことがない。そのため、顆粒の形成が不十分であるため、一定品質の錠剤状食品組成物が得られにくく、適正量植物ステロール類を配合することが困難となる。一方、本発明品の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質の複合体は、両親媒性を有する卵黄リポ蛋白質が当該疎水部分を疎水物である植物ステロール類の表面側に、親水部分を外側に向けて植物ステロール類の表面に付着した状態であり親水性の性質を有すると推定される。従ってデキストリンや乳糖等の賦形剤との親和性が高く、流動性に富み、粉体混合された状態においても均質に分散することができる。また、水を介する造粒工程においても親水性表面が接触していることにより、お互いが結合し顆粒の形成が容易に行われるものと推察される。このような流動性に富み、親水性表面を有する粉体原料は打錠適性に優れるため、蝋状の植物ステロール類であっても卵黄リポ蛋白質の複合体を形成することにより製錠性が向上するものと推察される。
以下、本発明で用いる植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体と、これを含む本発明の錠剤状食品組成物及びその製造方法について、実施例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[調製例1]:複合体の構成成分の解析及び複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
まず、卵黄液5g(卵黄固形分2.5g、卵黄固形分中の卵黄リポ蛋白質約2g)に清水95gを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpmで1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した。次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(遊離体97.8%、エステル体2.2%、平均粒子径約3μm)2.5gを添加し、さらに10000rpmで5分間攪拌し、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質とから形成された複合体の分散液を得た(調製例1−1)。
得られた分散液1gを取り、0.9%食塩水4gを加え、真空乾燥機(東京理科器械社製、VOS−450D)で真空度を10mmHgにして1分間脱気し、遠心分離器(国産遠心分離器社製、モデルH−108ND)で3000rpmで15分間遠心分離を行い、沈澱と上澄みとを分離した。この上澄みを0.45μmのフィルターで濾過し、さらに0.2μmのフィルターで濾過し、複合体と、複合体を形成していない植物ステロールとを除去した。
この濾液の吸光度(O.D.)を、分光光度計(日立製作所製、U−2010)を用いて、0.9%食塩水を対照とし、280nm(蛋白質中の芳香環をもつアミノ酸の吸収)で測定し、濾液中の蛋白質の量を測定した。
植物ステロールの添加量を表1のように変え、同様に吸光度を測定した(調製例1−2〜調製例1−8)。この結果を表1に示す。
また、調製例1−1の濾液と、調製例1−6の濾液については、更に440nmの吸光度を測定した。ここで、440nmは、卵黄リポ蛋白質中に含まれる油溶性の色素(カロチン)の吸収波長である。この結果を表2に示す。
Figure 0004408870
Figure 0004408870
複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以下であると、表1より、植物ステロールの割合が増えるに伴い、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度が小さくなっており、蛋白質あるいはアミノ酸の含量が減少することが分かる。また、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−1の濾液は調製例1−6に比べ吸光度が優位に高く、油脂含量が明らかに多いことが分かる。一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であると、表1より、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度は略一定を示し、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−6の濾液は調製例1−1に比べ吸光度が優位に低く、油脂含量が明らかに少ないことが分かる。
以上の結果より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であるものの分散液には、複合体以外に、卵黄リポ蛋白質でない遊離の蛋白質あるいはアミノ酸が存在し、一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部より少ないものの分散液には、前記遊離の蛋白質あるいはアミノ酸に加え、複合体を形成しなかった卵黄リポ蛋白質が存在しているものと推定される。したがって、卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、植物ステロール類が5部以上必要であることが分かる。
[調製例2]:複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
鶏卵を工業的に割卵して得られた卵黄液(固形分45%)と清水の量と植物ステロールの量を表3の通りに変更して、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を調製し、この分散液の分散性から、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との好ましい構成比を検討した。
すなわち、鶏卵を割卵して取り出した卵黄液(固形分45%)に清水を加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、45℃に加温し、次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)を除々に添加し、添加し終えたところで、さらに10000rpmで攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。
また、分散液の分散性に関しては、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液0.5gを試験管(内径1.6cm、高さ17.5cm)にとり、0.9%食塩水10mLで希釈し、試験管ミキサー(IWAKI GLASS MODEL−TM−151)で10秒間撹拌することにより振盪し、その後1時間室温で静置し、さらに真空乾燥機(東京理化器械社製、VOS−450D)に入れ、真空度を10mmHg以下にして室温(20℃)で脱気を行い、脱気後に浮上物が見られない場合を○、浮上物が見られた場合を×と判定した。これらの結果を表3に示す。
なお、植物ステロールを加熱溶解し、冷却し、比重の異なるエタノール液に浸けて浮き沈みによりその比重を求めたところ、0.98であったことから、上述の分散性の試験での浮上物は植物ステロールであると考えられる。
Figure 0004408870
表3より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが232部以下であると、複合体に良好な水分散性を付与できることが分かる。
調製例1及び調製例2の結果より、複合体が良好な水分散性を有し、しかも卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部の範囲であることが分かる。
[調製例3]
清水17.5kgに殺菌卵黄(固形分45%、キユーピー(株)製)0.5kgを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、50℃に加温し、次に5000rpmで攪拌及び真空度350mmHgで脱気しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)2kgを除々に添加し、添加し終えたところで、さらに同回転数で30分間攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。得られた複合体の分散液を噴霧乾燥機を用いて、送風温度170℃、排風温度70〜75℃の条件で乾燥し、乾燥複合体(殺菌卵黄使用)を得た。なお、得られた分散液中の複合体の構成比は、卵黄固形分1部に対し植物ステロール8.9部であり、卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロール11.1部である。また、複合体の植物ステロール含有量は92%である。
[実施例1]
調製例3で得られた乾燥複合体300gに結晶セルロース(旭化成(株)製、「アビセル」)100g、デキストリン(松谷化学工業(株)製、「TK−16」、DE値16)450g、乳糖50gを粉体混合し、これにショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)扱い、「リョートーシュガーエステル(S−570)」、HLB値5)4gとコーンスターチ6gを加え、単発式の打錠機にて製錠を施した。これにより、重量300mg、直径9mm、層厚5mm、硬度6.5kp(以上10粒の平均値)の錠剤状食品組成物820gを得た。これは植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体30%を含有する。この錠剤を第14改正日本薬局方記載の崩壊試験を実施したところいずれも30分以内であった。(6粒の試験結果)これらの錠剤状食品組成物は摩損率が低く、食品として品位上良好な錠剤であることが確認できた。
[実施例2]
調製例3で得られた乾燥複合体500gに結晶セルロース(旭化成(株)製、「アビセル」)100g、デキストリン(松谷化学工業(株)製、「TK−16」、DE値16)390g、ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)扱い、「リョートーシュガーエステル(S−570)」、HLB値5)10gを加え、アラビアガム0.5%水溶液をバインダーとして流動層造粒を行った。こうして顆粒状粉末900gを得た。これを実施例1同様の方法で打錠を行い、重量300mg、直径8mm、層厚4mm、硬度7.0kp(以上10粒の平均値)の錠剤状食品組成物790gを得た。これは植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体50%を含有する。この錠剤を第14改正日本薬局方記載の崩壊試験を実施したところいずれも30分以内であった。(6粒の試験結果)これらの錠剤状食品組成物は摩損率が低く、食品として品位上良好な錠剤であることが確認できた。
[実施例3]
調製例3で得られた乾燥複合体600gに結晶セルロース(旭化成(株)製、「アビセル」)100g、デキストリン(松谷化学工業(株)製、「TK−16」、DE値16)290g、ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)扱い、「リョートーシュガーエステル(S−570)」、HLB値5)10gを加え、アラビアガム0.5%水溶液をバインダーとして流動層造粒を行った。こうして顆粒状粉末900gを得た。これを実施例1同様の方法で打錠を行い、重量250mg、直径8mm、層厚3.5mm、硬度6.5kp(以上10粒の平均値)の錠剤状食品組成物790gを得た。これは植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体60%を含有する。この錠剤をツェイン(小林香料(株)製、「小林ツェインDP」)をエタノール溶液に溶解したコーティング液を用い、フィルムコーティングを行う。次にグアガム、ゼラチン、カルナウバロウを適量配合したショ糖溶液を用い、糖衣パンにて糖衣を行う。(10rpm)さらに艶出パンにてポリッシュする。(30rpm)以上の工程により重量450mg、直径10mm、層厚5mm、硬度7.5kp(以上10粒の平均値)の錠剤状食品組成物1400gを得た。これについて14改正日本薬局方記載の崩壊試験を実施したところいずれも90分以内であった。(6粒の試験結果)これらの錠剤状食品組成物は摩損率が極めて低く、食品として品位上良好な糖衣錠剤であることが確認できた。
[比較例1]
実施例1で使用した調製例3の乾燥複合体を相当量の植物ステロールに置換え、残部を実施例1で用いたデキストリンで補い、実施例2と同様の方法で造粒を行い、錠剤状食品組成物を製錠した。具体的には、乾燥複合体(植物ステロール含有量92%)300gに含まれる植物ステロール276gにデキストリン24gを補い、これを実施例1と同様の配合及び方法で製錠した。本比較例の方法は打錠適性に欠け、スティッキング、キャッピング、ラミネーション等の不具合が多く発生した。得られた錠剤状食品組成物の硬度はいずれも3.3kp以下で実用上必要とされる硬度を得ることができなかった。
[比較例2]
次に、実施例2で使用した調製例3の乾燥複合体を相当量の植物ステロールに置換え、残部を実施例2で用いたデキストリンで補い、実施例2と同様の方法で錠剤状食品組成物を製錠した。具体的には、乾燥複合体(植物ステロール含有量92%)500gに含まれる植物ステロール460gにデキストリン40gを補い、これを実施例2と同様の配合及び方法で造粒し、製錠した。本比較例の方法は造粒適性に欠け、流動性のある顆粒粉末を得ることができなかった。これを打錠した結果、スティッキング、キャッピング、ラミネーション等の不具合が多く発生した。得られた錠剤状食品組成物の硬度はいずれも3.0kp以下で実用上必要とされる硬度を得ることができなかった。
以上より、本発明の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を含む実施例1乃至3の錠剤状食品組成物は製錠性に優れ、得られた錠剤状食品組成物は適切な硬度を有することにより、有用な生理機能を有する植物ステロール類を含有する錠剤状食品組成物を容易に実用化できることが理解できる。これに対し、植物ステロール類をそのままの形で含む比較例1及び2については製錠性に欠け、適切な錠剤状食品組成物が得られなかった。なお、ここでは示していないが、複合体の原料である植物ステロールを植物スタノールに変更した場合も同様な結果となった。

Claims (3)

  1. 植物ステロール類を乾物換算で一錠あたり27.6〜55.2%含有する錠剤状食品組成物であって、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を含むことを特徴とする錠剤状食品組成物。
  2. 前記複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部である請求項1記載の錠剤状食品組成物。
  3. 植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を賦形剤とともに造粒し、打錠することを特徴とする、請求項1又は2記載の錠剤状食品組成物の製錠方法。
JP2006092661A 2006-03-30 2006-03-30 錠剤状食品組成物及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4408870B2 (ja)

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