JP3670988B2 - 生理活性物質封入微粒子及びその製造方法 - Google Patents

生理活性物質封入微粒子及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理活性物質封入微粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
薬や食品において、物理的・化学的に不安定なもの、苦味や異臭を有するもの、経口的に投与又は摂取する場合に吸収性が低かったり、胃内で分解を生じ易いもの等が存在する。
これを解決するためにカプセル内へ封入したり、矯味・矯臭剤の配合、各種のコーティングを施す等の方策が講じられている。しかしこれらは服用に難を感じたり吸収性が低く、また加工食品用の素材として利用するには不適であった。
【0003】
本発明者等は、上記欠点を解決する方法としてカルシウム粒子等で油性生理活性物質を封入する方法を開発した(特開平7−328416号公報)。
しかしながら、この方法でも芯物質に制限があり、生体内で薬効が長時間持続することが要求されるような薬剤等への適用は困難であった。
【0004】
そこで、本発明者等は芯物質がどのようなものであっても適用できるように、多孔質カルシウム殻を形成し、内部に芯物質として任意の物質を導入することを開発した(特開平10−5577号公報)。しかし、この方法も芯物質として導入できる量が少ない、耐熱性が低い、耐圧性が低いあるいは耐混捏性が低い等の欠点があった。このためビタミンCのような水溶性の不安定な生理活性物質を、従来技術で粉末化し、それをエクストルーダーによってペレットに加工し飼料用ペレットとした場合は、耐熱性、耐圧性が十分でないために有効成分が失活し、本来の目的を達成できない場合が多い。
また、DHA(ドコサヘキサエン酸)含有精製魚油のような油溶性生理活性物質をパン生地に混合し、パンに加工した場合は、耐熱性、耐混捏性がないために、油の酸化が進み官能的にも良好なものは得られなかった。
そこで、耐熱性、耐圧性及び耐混捏性の高い多孔質殻の形成が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性、耐圧性及び耐混捏性の高い多孔質殻の形成を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意努力をした結果、生理活性物質に多孔質炭酸カルシウム、多孔質セルロース或いは澱粉を吸着させ、その表面あるいは間隙に乳清カルシウムあるいは卵殻カルシウム等の微粒なカルシウムを付着させることで解決できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は
(1) 生理活性物質粒子の周辺に多孔質物質を吸着させ、更にその上に前記多孔質物質よりも微粒な物質で塞いだ生理活性物質封入微粒子、
(2)多孔質物質が多孔質炭酸カルシウム、多孔質セルロース或いは多孔質デキストリンであり、微粒な物質が微粒なカルシウム、微粒なセルロース或いは微粒なデキストリンであることを特徴とする(1)記載の生理活性物質封入微粒子、
(3)多孔質物質が多孔質炭酸カルシウムであり、微粒な物質が乳清カルシウムであることを特徴とする(1)に記載の生理活性物質封入微粒子、
(4)多孔質炭酸カルシウムと乳清カルシウムとの比が、1:2であることを特徴とする(3)記載の生理活性物質封入微粒子、
(5)多孔質物質が多孔質セルロースであり、微粒な物質が卵殻カルシウムであることを特徴とする(1)または(2)記載の生理活性物質封入微粒子、
【0008】
(6)生理活性物質が油性であることを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)または(5)記載の生理活性物質封入微粒子、
(7)生理活性物質に多孔質物質を吸着させ、その表面あるいは間隙に前記多孔質物質よりも微粒な物質を付着させ、固着剤で固着させることを特徴とする生理活性物質封入微粒子の製造方法、
(8)多孔質物質が多孔質炭酸カルシウム、多孔質セルロース或いは多孔質デキストリンであり、微粒な物質がカルシウムであることを特徴とする(7)記載の生理活性物質封入微粒子の製造方法、
(9)多孔質物質が多孔質炭酸カルシウムであり、微粒な物質が乳清カルシウムであることを特徴とする(7)記載の生理活性物質封入微粒子の製造方法、
(10)多孔質炭酸カルシウムと乳清カルシウムとの比が、1:2であることを特徴とする(9)記載の生理活性物質封入微粒子の製造方法、
【0009】
(11)多孔質物質が多孔質セルロースであり、微粒な物質が卵殻カルシウムであることを特徴とする(7)記載の生理活性物質封入微粒子の製造方法、
(12)生理活性物質が油性であることを特徴とする(7)、(8)、(9)、(10)または(11)記載の生理活性物質封入微粒子の製造方法、
(13)水溶性生理活性物質を吸着した多孔質物質の表面あるいは間隙を前記多孔質物質及び/又は前記多孔質物質よりも微粒な物質で塞いだ生理活性物質封入微粒子、
(14)多孔質物質が多孔質炭酸カルシウム、多孔質セルロース或いは多孔質デキストリンであり、微粒な物質がカルシウムであることを特徴とする(13)記載の生理活性物質封入微粒子、
(15)多孔質物質が多孔質炭酸カルシウムであり、微粒な物質が乳清カルシウムであることを特徴とする(13)記載の生理活性物質封入微粒子、
【0010】
(16)多孔質炭酸カルシウムと乳清カルシウムとの比が、1:2であることを特徴とする(15)記載の生理活性物質封入微粒子、
(17)多孔質物質が多孔質セルロースであり、微粒な物質が卵殻カルシウムであることを特徴とする(13)記載の生理活性物質封入微粒子、
(18)生理活性物質が水溶性物質である場合、水溶性物質の一部を予め多孔質炭酸カルシウム、多孔質セルロース或いは多孔質デキストリンに吸着せしめ、粉末化した後、これに残りの多孔質炭酸カルシウム、多孔質セルロース或いは多孔質デキストリンを静電気的に吸着させ、更にその表面あるいは間隙に前記多孔質炭酸カルシウム、多孔質セルロース或いは多孔質デキストリンよりも微粒なカルシウムを付着させ、固着剤で固着させることを特徴とする生理活性物質封入微粒子の製造方法
に関する。
【0011】
本発明の基本的な構想は、本発明者が特開平7−328416号公報に開示したように、油性生理活性物質と水とを混合して乳化させ、この乳化物を高速攪拌すれば油滴が一種の固体として振る舞い、水との相対運動の結果として油滴の表面にゼータ電位が生じて静電帯電し、この状態にある間に、油滴より小さいものであって油滴表面の電荷と反対の電荷をもたらす固体微粒子を添加すれば、当該微粒子は油滴表面に吸着されるという原理を利用することにより、固体微粒子にて油性生理活性物質を封入し得ることを見出したことにある。
【0012】
芯形成物質としての油性生理活性物質として、先ずDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)含有精製魚油を用いて成功を収め、また水溶性の生理活性物質であっても、界面活性剤(使用安全性等を考慮する場合に、レシチン、ヨーグルト粉末等が好ましい)を添加したアルギン酸ナトリウム溶液により被覆した後に、たとえば硬化油に懸濁させ、次いで冷却により微粒子として固化させることにより、芯物質として使用し得ることができ、更に粉末状のものは硬化油等に分散させることにより芯物質として使用できることも判明した。なお、他の芯物質としては、β−カロチン等の油性生理活性物質、エリスロマイシン、マイトマイシン等の抗生物質、ヘム鉄、胚芽油、ビタミンA,E等を例示することができる。
【0013】
芯物質封入用の殻を構成する固体微粒子について検討を重ねた結果、殻形成後の安定性、人体に対する安全性等を配慮するとカルシウム粒子が好ましいことが判明した。
カルシウム粒子としては、牛や豚の骨粉、カキ、ホタテ貝等の貝殻微粉末、炭酸カルシウム等の無機カルシウム材を用いることができる。しかしながら、カルシウム粉末のみでは一旦殻を形成しても、工程中に電位が低下し静電結合が切れて壊れてしまう可能性のあることが判明した。
【0014】
そこで、更に検討を加えた結果、例えば乳蛋白を含有しているミルク・カルシウム粉末を固体粒子として用いれば、乳蛋白がカルシウム及び脂肪酸と配位結合能を有しているので、安定な殻を形成し得ることが判明した。
前述の骨粉、貝殻微粉末又は無機カルシウム材であってもカゼイン等の乳蛋白を併用するかアルギン酸ナトリウムを併用すれば安定なカルシウム殻を形成することができる。
【0015】
本発明は、上記基本構想の上に改良を重ねたもので、本発明の提供する微粒マイクロカプセルの基本構造は、芯物質となる生理活性物質を包摂する殻物質として、カルシウム、セルロース、デキストリン等を特殊加工した空洞率の高い無機及び有機の多孔質な微粒子、すなわち多孔質カルシウム、多孔質セルロース及び多孔質デキストリンと、更に殻を緻密な構造体とせしめるための上記空洞体よりも微粒なカルシウムとからなる。
【0016】
更には殻構造体を固定化する為の固着物質である乳清蛋白質、ゼラチン、カラギーナン、グアガム、アルギン酸ナトリウム、その他多糖類からなる物質も構成要素となる。また、その包摂する物質が油状の生理活性物質の場合、水中下における油滴形成のための乳化剤、増粘剤も構成要素となる。
空洞率の高い無機及び有機の多孔質な微粒子は、空洞体の間隙を気体が満たすため、熱伝導率が低くなり且つ力学的緩衝効果が高くなり、外的な圧力、熱から生理活性物質を保護し安定性を維持することができる。
【0017】
しかし、多孔質な構造であるためその形状は不定形、不均一な場合が多く、その粒子同士に間隙が形成されやすく、緻密性の点で不満足であった。
そこで本発明者等は、この多孔質よりも微粒なカルシウムや澱粉が、空洞構造を有する粒子の間隙を穴埋めし緻密化することによって、圧力や熱等の外的環境から保護されることを見出した。また、この緻密化によって、空気による酸化、失活や酸性溶液による分解からも保護されることも見出した。
【0018】
なお、ここで微粒な物質とは、微粒なカルシウム、微粒なセルロース、微粒なデキストリンを言い、更に微粒なカルシウムとは、例えば乳清カルシウム、卵殻カルシウム、貝殻カルシウム、牛骨粉カルシウム、ウニ殻カルシウム、魚骨粉カルシウムあるいは植物由来の天然ミネラル素材等の粒子であればよい。
微粒カルシウムの粒径は、殻物質の粒径の1/2以下であれば問題ないが、1/10程度がより好ましい。
【0019】
また、殻物質と微粒カルシウムの添加比率は、1:2程度が最も好ましいが、最終製品の特性として必要な場合は、適宜比率を変更することができる。
更に、殻構造体を固定化するために固着剤を用いるが、この構造体の用途に応じた崩壊条件を調節するために、固着物質で固化せしめることもできる。例えば、酸性下では耐性を示し、アルカリ性下では溶解させる必要の多い医薬品等では、固着物質に耐酸性のものを用いることで解決できる。
【0020】
固着剤としては、ゼラチン、カラギーナン、グアガム、アルギン酸ナトリウム等が用いられ、固着剤の添加は予め溶解せしめたものを、微粒カルシウム添加後に徐々に添加していくのが好ましいが、粉体のまま添加しても良いし、乳化時に添加しても差し支えない。
これらの性質を示す殻物質を使用して生理活性物質を包摂もしくは包埋、保護するためには、前記基本構想のように、生理活性物質の表面に摩擦による静電気を帯電せしめ、段階的に包摂殻基材を吸着させる必要がある。
【0021】
すなわち、前段階では多孔質な包摂殻基材を吸着せしめ殻形成し、後段階では緻密化のために微粒なカルシウムや澱粉を更に吸着せしめて、強固で緻密な殻構造体で生理活性物質を包摂せしめることが必要となる。
また、形成された殻構造体はこの段階では、静電気力によりその構造を維持しており、時間経過とともに放電し脆弱化しいずれは崩壊するため、殻構造体形成後は、速やかに固着剤により固化せしめることが必要である。
【0022】
更に、この形成工程を水中下で行う場合には、殻形成後に形成粒子を脱水、分離、乾燥する工程が必要となり、また、コーティング剤として、乳清蛋白質、シェラック、ツェイン等を用いることができ、包摂される物質が油状の生理活性物質である場合は、油滴形成の為の乳化剤、増粘剤も使用されることがある。
本発明品は、医薬、健康食品、食品、飼料の分野で有効で、耐熱性、耐圧性、耐酸性、耐混捏性,吸湿性、空気遮断性及び腸液易溶性等の特徴を利用することができる。また、栄養強化の点でも効果を奏する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の生理活性物質封入微粒子の製造方法は2通りある。
(1) 包摂される生理活性物質が液状脂質である場合
液状の生理活性物質と水及び乳化剤(レシチン、シュガーエステル)、増粘剤(キサンタンガム、グアガム)を容器内に投入した後、この溶液を高速攪拌機で3,000rpm〜12,000rpmで乳化せしめ、乳化物を得る。なお、攪拌回転数は容器の容量によって異なってくるが、容器容量が10Lの場合、
▲1▼攪拌回転数 8,000〜12,000rpm
▲2▼攪拌時間 10分以上
▲3▼液状生理活性物質:水=5〜20:70(重量比)
▲4▼温度 20〜50℃
▲5▼pH 6.5〜8.0
の条件下で行う。
【0024】
この条件で充分に静電気が帯電した安定的な液状生理活性物質のエマルジョンが得られたならば、静電気が経時的に放電若しくは油滴の合一が起こる前に、速やかに多孔質化処理を施したカルシウムを徐々に添加し、油滴表面に均一に吸着せしめる。
【0025】
続いて穴埋め、緻密化の目的で更に微粒なカルシウム(乳清カルシウム、卵殻カルシウム、カルシウムを含有した海藻由来の石灰化物(以下、植物由来の天然ミネラル素材という)の粉末を同様に添加し、油滴表面への吸着処理を行う。
上記方法により液状生理活性物質の殻化がなされたら、次に固着剤を添加する。固着剤の添加は予め溶解せしめた後、徐々に添加することが好ましいが、粉体のまま添加しても良いし、初期乳化時の添加でもよい。
固定化された微粒構造体を粉末化するには、噴霧乾燥法、真空凍結乾燥法、減圧乾燥法、棚式乾燥法、ドラムドライヤー乾燥法、遠心分離法等があるが、粉末製品の粒度分布や流動性を考慮すると、噴霧乾燥法が好ましい。
【0026】
(2) 生理活性物質が水溶性である場合
生理活性物質が水溶性である場合、2段階で殻化処理を行うことが好ましいことを見出した。
すなわち、第一段階として、水溶性生理活性物質を予め多孔質化処理を施した殻物質に吸着(例えば、減圧下で)せしめる。その後、乾燥、粉砕、粉末、整粒化を行う。
【0027】
第二段階は、上記の水溶性生理活性物質を吸着した殻物質に、追加の多孔質物質を静電気的に吸着させ、更に乳清カルシウム等の微細粒子を穴埋め、緻密化の目的で添加し、同時に固着剤を添加し固定化する。
生理活性物質が油性の場合は、静電吸着が容易であるが、水溶性生理活性物質の場合は上記のように、まず水溶性生理活性物質を例えば減圧下で吸着せしめた上で、本格的に静電吸着せしめる方法を採ったほうが効率的であることを見出した。
【0028】
〔実施例1〕(油溶性生理活性物質であるビタミンEへ応用した場合)
ビタミンEについて、本発明を適用した結果を示す。
ビタミンEの粉末化の要望が大きいところ、従来の粉末化技術であるデキストリンで粉末化を試みたが、ビタミンEの減衰が著しいことが分かった。
そこで、以下の3通りの手法により本発明の適用を実施した。(表2参照)
◎材料
ビタミンE、 (株)エーザイ製
茶抽出物、 太陽化学(株)製
ポリグリセリン脂肪酸エステル、 太陽化学(株)製
酵素分解大豆レシチン、 太陽化学(株)製
キサンタンガム、 大日本製薬(株)製
天然多糖類、 (株)林原商事製
カゼインナトリウム、 (株)日本エヌ・ゼット・エム・ピー
多孔質炭酸カルシウム、 白石カルシウム(株)製 ポアカルN
微細な乳清カルシウム、 森永乳業(株)製、 ミルクカルシウム 28EX
植物由来天然ミネラル素材、 Marigot Ltd.社製
【0029】
製法1
40℃に加温した精製水700.0gに酵素分解大豆レシチン4.0g、キサンタンガム0.5g、天然多糖類6.0g、カゼインナトリウム12.0g及びビタミンCナトリウム塩7.5gをよく混合し、6000rpmで5分間攪拌して、充分に分散、溶解させた。
【0030】
一方、ビタミンE63.0gに茶抽出物1.3g及びポリグリセリン脂肪酸エステル1.3gを充分に混合して懸濁液を用意した。
上記水溶液にビタミンE懸濁液を分散させ、9000rpmで10分間高速攪拌して乳化液を調製した。得られた乳化液に殻化基材として多孔な炭酸カルシウム136.3gと微細な乳清カルシウム68.2gを6000rpmで攪拌しながら順次添加し、充分に分散させてビタミンE油滴表面に静電吸着させた。
この溶液を下記条件に設定したアトマイザ式噴霧乾燥機で乾燥し、255gのビタミンEカルシウム粉末を得た。
【0031】
噴霧乾燥条件
【表1】
Figure 0003670988
【0032】
製法2
製法1における微細な乳清カルシウムの代わりに、天然ミネラル素材を用いた。すなわち、多孔な炭酸カルシウム136.3gと植物由来の天然ミネラル素材(多孔な炭酸カルシウムより微細)68.2gを用いて製法1と同手順で原液を調製し、同条件で噴霧乾燥した。
【0033】
製法3(従来法A)
殻化基材として微細な乳清カルシウムのみ204.5gを用いて、製法1と同手順で原液を調製し、同条件で噴霧乾燥した。
以上の製法1、2、3及び従来法(デキストリン法:従来法B)の各組成を表にしてみると、以下のようになる。
【0034】
【表2】
Figure 0003670988
【0035】
これらについてビタミンEの減衰率を高速液体クロマトグラフィー((株)島津製作所製)により測定した結果、製法1及び2は減衰率0%、製法3(従来法A)が減衰率15%で、従来法Bでは減衰率が50%となった。
すなわち、本発明品である製法1及び製法2は、ビタミンEの減衰率が0%で、従来法A,Bに比べて大差があることが判明した。
【0036】
なお、多孔質デキストリンである「パインフロー」(松谷化学工業(株)製)を使用した場合は、ビタミンEの減衰率は0%であった。この「パインフロー」はデキストリン溶液の乾燥工程において、フィルム状とし突沸させながら乾燥させ、多孔質としたものである。
また、多孔質炭酸カルシウムである「ポアカルN」(白石カルシウム(株)製)は、石灰石を焼成して生石灰とし、水を加えてできた消石灰乳を焼成時に発生した炭酸ガスを反応させ均一な粒度の炭酸カルシウムを生成させたものである。
【0037】
〔実施例2〕(水溶性生理活性物質であるグルタチオンへ応用した場合)
包摂される生理活性物質が水溶性物質の場合について、以下の実験を行った。養魚飼料としてのグルタチオンを対象に、本発明の方法による場合と従来法との、過酷条件下におけるグルタチオン残存率を測定し、熱及び圧の負荷に対する対比を行った。
◎材料
水溶性生理活性物質:酵母MG(グルタチオン3.163%含有)、(株)興人
セルファー(多孔質セルロース)、(株)日本食品化
卵殻カルシウム(7ミクロン)、バッカス商事
カゼインナトリウム、(株)日本エヌ・ゼット・エム・ピー
クエン酸(無水)、Jungbunzlauer Ges.m.b.H
◎方法
まず、セルファー50gに酵母MG146.2を吸着させるため、水550mlに溶解させて−76cmHgで3分間減圧した。その後、棚式乾燥機により50℃で18.5時間乾燥させた。これをミキサーで粉砕し420μmの篩で整粒した。
【0038】
上記サンプル174.3gを造粒混合機に入れ、10分間500rpmで攪拌し、サンプル粒子表面に静電気を帯電させた。帯電後、500rpmで攪拌しながらセルファー34.5gを徐々に加え、続いて卵殻カルシウム56.1gを加え、同様にサンプル粒子表面に付着させた。次に、サンプル粒子表面に付着させたセルファーと卵殻カルシウムを固着させるため、500rpmで攪拌しつつ、サイドカッターを2000rpmで攪拌しながら、カゼインナトリウム水溶液60.6gを徐々に滴下し造粒した。さらに、クエン酸水溶液6.9gを滴下し酸処理した。できたものを50℃に設定した棚式乾燥機に5時間入れ、710μmの篩で整粒した。(以下、EC−50MGと称す。)
なお、多孔質セルロースである「セルファー」は、トウモロコシの種皮を中性洗剤処理した後、加熱処理して得られる。
◎過酷試験(熱的、圧的負荷)
マッシュに対して、検体中の総グルタチオン濃度を一定化するために(0.063%)、上記EC−50MGと酵母MGをそれぞれ4%、2%となるようにグルタチオンを添加して充分に混合した。これに15%となるように蒸留水を添加混合し、5、10分間、オートクレーブ処理をした(130℃、1.2kgf/cm2)。
【0039】
各時間帯2検体調製した。懸濁液を8000rpm、4℃の条件下で10分間遠心分離し、上澄みを採取した。上澄みは淡茶色透明で粘性は無かった。各検体の上澄みを400μlずつ採取し、100mlにメスアップすることで250倍に希釈した。希釈により液の色は無色となった。酵素を用いた比色定量法により各検体中の総グルタチオン含量を定量した。
その結果は次の通りである。
【0040】
【表3】
Figure 0003670988
【0041】
表3から、EC−50MG(本発明品)は酵母MGに比べて、5分の場合も、10分の場合も、グルタチオンが有意に高く残存していることが確認された。このことは、熱的及び圧的負荷によるグルタチオンの減衰に関して、EC−50MG(本発明品)に有意性があることを強く示唆している。
飼料加工時におけるグルタチオンの失活は、その後の保存及び飼料摂取時の減衰を加速し易い傾向にあることから、飼料加工時で10%の差が認められたことは、極めて有意義なことである。
なお、同様の実験をアスコルビン酸ソーダで行ったところ、アスコルビン酸ソーダも熱的負荷や圧的負荷に対して有意であることが判明した。
【0042】
〔実施例3〕(保存性試験)
DHA含有精製魚油封入微粒子の包摂殻基材を下記のように変化させて、室温(25℃)、開放状態で保存し、過酸化物価の経時的変化を測定した。
【0043】
【表4】
Figure 0003670988
【0044】
表4の結果から、多孔質炭酸Ca+乳清Ca(1:2)の場合が最も過酸化物価が低くなっている。すなわち、時間が経過しても酸化が進まず、品質が安定し保存性が良いことを示している。なお、過酸化物価の測定方法は、通常の手法により行った。
また、多孔質炭酸Caと乳清Caを併用してもその比率が多孔質炭酸Caのほうが多いと、あまり良い結果が得られないことがわかる。
多孔質炭酸カルシウムと乳清カルシウムの比率については、別途試験を行ったところ、つぎのような結果となった。
なお、試験は多孔質殻を40℃、湿度75%の状態に放置して、3日後の過酸化物価を測定した。
【0045】
【表5】
Figure 0003670988
すなわち、上表より多孔質炭酸Caと乳清Caとの比は、1:2が最も好ましいが、1:1〜1:5であっても良いことが判明した。
【0046】
〔実施例4〕(加熱安定性試験)
加熱安定性を試験するために、次の試験方法により試験を行い、その後の経過を過酸化物価の変化で追跡してみた。
◎試験方法
▲1▼試料各40gを直径約15cmのシャーレ2枚にそれぞれ入れた。
▲2▼一方を乾燥機で190℃、10分間及び30分間加熱し、室温で放置した。▲3▼放冷後直ちに各々の過酸化物価を測定した。また、一部は室温でそのまま4日間放置した後、過酸化物価を測定した。
190℃、10分間加熱の結果は表6の通りである。
【0047】
【表6】
Figure 0003670988
次に190℃、30分間加熱の結果は、表7のとおりである。
【0048】
【表7】
Figure 0003670988
【0049】
表6及び表7の結果をみると、殻物質が多孔質炭酸Caのみの場合は、時間を経るに従って過酸化物価が大きくなるが、殻物質が多孔質炭酸Ca+乳清Ca(1:2)の場合は、開始直後から時間を経過しても過酸化物価が検出限界以下であり、加熱しても酸化されず安定していることがわかる。
【0050】
〔実施例5〕(パンへの応用)
実施例1,2の結果を基に包摂殻基材として、多孔質炭酸カルシウム:乳清カルシウム=1:2を使用したDHA含有精製魚油封入微粒子(以下、NSC−4という)を添加したパンについて、封入処理をしないDHA含有精製魚油を添加した場合と対比し官能検査を実施した。
◎食パンの調製
NSC−4を30倍量の小麦粉に混合し、食塩5g、上白糖17.5g、バター20g、スキムミルク5g、ドライイースト2.7g、水190mlを加えて混練し、40℃で60分発酵させた。得られたパン生地をガス抜きし、成形発酵後200℃25分過熱し食パンを焼成した。
その結果を以下に示す。パネラーは男6名、女9名の合計15名で行った。
A:NSC−4を小麦粉に対して3%添加した食パン
B:DHA含有精製魚油(DHA含有率27%)を小麦粉に対して0.44%添加した食パン
【0051】
【表8】
Figure 0003670988
【0052】
以上の結果から、皮質・きめ立ち・内色相については、嗜好差は認められなかったが、色艶・香気・風味・触感・食感については、有意水準5%で、型・総合的評価については、有意水準1%で有意な差が認められ、BよりもAの方、すなわち、NSC−4を添加したもののほうが好まれることが分かった。
【0053】
NSC処理しないものは、魚油独特の生臭さや後味の悪さや「えぐみ」があり、触感についてもべたつきがみられ、好ましくなかった。また、臭いに関しても異質な臭いがし、再加熱するとより臭いがきつくなった。一方、NSC−4を添加した方は、添加しないものに比べてふんわり感が出ていて好評であった。
なお、上記実施例に記載のものは、NSC−4を小麦粉に対して3%添加した食パンであるが、4%、5%、10%添加についても実施したところ、良好な結果が得られた。
【0054】
【発明の効果】
本発明により、耐熱性、耐圧性及び耐混捏性の高い多孔質殻が形成でき、生理活性物質の利用を容易ならしめ、医薬、健康食品、飼料の分野で利用価値を高めることができる。

Claims (1)

  1. 油性の生理活性物質の周辺に多孔質炭酸カルシウムを吸着させ、更にその上に乳清カルシウムを吸着させ、表面又は間隙を塞いだ油性生理活性物質封入微粒子において、多孔質炭酸カルシウムと乳清カルシウムとの比が、1:2であることを特徴とする油性生理活性物質封入微粒子。
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