JP2008220271A - ゼリー状食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物ステロール類を配合した口解けが良くてゲル安定性が高いゼリー状食品を提供する。
【解決手段】植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体と、ゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤とを配合してあるゼリー状食品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、植物ステロール類を配合した口解けが良くてゲル安定性が高いゼリー状食品に関する。
果汁等にゼラチンを加えてゼリー状とした果汁ゼリー等は、食した際の口の中で解けるようなソフトな食感が好まれ、子供から高齢者まで幅広く食されている。このように口解けの良い食感が得られるのは、ゼラチンゲルの融点が20〜35℃と低く、ゼリーが口腔内で体温により溶けるためである。しかしながら、このようなゼラチンを用いたゼリーは融点が低いため、工業的に製造して容器詰めした状態で流通させたりする場合、流通時の温度変化等によりゼリーが融解して物性が変化し易いという問題がある。
そのため、容器詰めした状態で流通させるゼリー状食品等においては、流通時の温度変化等による物性の変化を防止するため、ゲル化剤として、ジェランガムやカラギーナン等の比較的ゲルの融点が高いゲル化剤を用いることが行われている。例えば、特開2000−41596号公報(特許文献1)には、低分子ジェランガムをゲル化剤として使用することで、熱安定性の高いゼリー状食品を得ることが提案されている。しかしながら、これらゲルの融点が高いゲル化剤を用いたゼリー状食品は、ゲル安定性は高いものの食した際に口腔内で体温により溶け難いため、上述したゼラチンゼリーに比べて口解けが悪く感じる傾向があった。したがって、このようなゲルの融点が高いゲル化剤を用いたゼリー状食品の食感を改良することが望まれている。
一方、植物ステロール類は、日常的に摂取することにより、血中の総コレステロール及び低密度リポ蛋白質−コレステロール濃度を低下させる機能を有することが知られている。これら植物ステロール類は、植物油脂、大豆、小麦等の食材に含まれているがその含有量は極僅かであるため、これら植物ステロール類を強化して日常的に摂取できるようにした食品の開発が望まれている。
このような状況下、本発明者は、植物ステロール類を用いて、上述したゲルの融点が高いゲル化剤を用いたゼリー状食品の食感を改善できるならば、得られるゼリー状食品は生理機能を併せ持つこととなり商品価値としてさらに有用なものになると考えこれを試みた。しかしながら、ゲルの融点が高いゲル化剤を用いたゼリー状食品に単に植物ステロール類を配合しても食感は改良されなかった。
特開2000−41596号公報 WO2005/041692
そこで本発明の目的は、植物ステロール類を配合した口解けが良くてゲル安定性が高いゼリー状食品を提供するものである。
本発明者は、上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体と、ゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤とを配合したゼリー状食品は、ゲル安定性が高い上に口解けが良いことを見出し遂に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体と、ゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤とを配合してなるゼリー状食品、
(2) 前記ゲル化剤が、キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物、ローメトキシルペクチン、カラギーナンから選ばれる1種又は2種以上である(1)記載のゼリー状食品、
(3) 前記複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部である(1)又は(2)記載のゼリー状食品、
(4) 前記複合体の配合量が、製品に対して乾物換算で0.01〜10%である(1)乃至(3)のいずれかに記載のゼリー状食品、
(5) 容器詰めしてなる(1)乃至(4)のいずれかに記載のゼリー状食品、である。
なお、本出願人は、既に植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体を出願している(特許文献2)。しかしながら、当該出願では、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体をゼリー状食品に配合することについて全く検討されていない。
本発明によれば、植物ステロール類を配合した口解けが良くてゲル安定性が高いゼリー状食品を提供できる。したがって、特に容器詰めして冷蔵、あるいは常温で流通されるゼリー状食品の需要の拡大が期待される。
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
本発明においてゼリー状食品とは、清水、果汁、野菜汁、牛乳、スープ等の水系原料に、必要に応じて、砂糖、ぶどう糖等の糖類や食塩等の調味料、果物、野菜、肉等の截断物等を加えた混合液を、ゲル化剤によりゼリー状にしたものである。具体的には、例えば、フルーツ風味、コーヒー風味、ミルク風味、緑茶風味、杏仁豆腐風味等のゼリー状食品が挙げられる。このような本発明のゼリー状食品としては、その状態に特に制限は無く、例えば、ゲル化剤の種類や添加量等の違いにより比較的硬い物性としたものや比較的柔らかい物性としたもの、更には、ストロー等で飲めるように飲料状としたもの等を含む。
本発明のゼリー状食品は、まず、前記ゲル化剤として、ゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤を用いることに特徴を有する。このように、ゲルの融点が高いゲル化剤を用いることにより、温度変化等によってもゼリーが融解して物性が変化したりし難いゲル安定性の高いゼリー状食品が得られる。
ここで、ゲル化剤のゲルの融点は次の方法で求めたものである。まず、外径16mm、内径13mm、長さ160mmの試験管に、ゲル化剤溶液5mLを注入して栓をし、ゲルを形成させる。次に、当該試験管を品温20℃の水を満たした攪拌機付恒温水槽中に浸漬して試験管口部を垂直下方に向けた状態で倒立固定する。続いて、前記恒温水槽の温度を徐々に上げていき、ゲルが融解落下して試験管上部に気泡ができたときの温度をゲルの融点とする。
本発明で用いるゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤としては、具体的には、例えば、カラギーナン、寒天、あるいは、キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物等の水系原料に加熱融解後冷却することによってゲルを形成するゲル化剤や、ローメトキシルペクチン、ジェランガム等の金属イオンの存在下においてゲルを形成するゲル化剤等が挙げられ、本発明においては、これらゲル化剤の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、前記金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられる。また、本発明においては、上述したゲル化剤の中でも、ゲル安定性の高く好ましい食感のゼリー状食品が得られ易いことから、キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物、ローメトキシルペクチン、カラギーナンから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
前記ゲル化剤の配合量は、用いるゲル化剤の種類や、製するゼリー状食品の硬さ等を考慮して適宜調整すればよいが、具体的には、製品に対して好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.01〜5%である。
次に、本発明のゼリー状食品は、上述したゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤を配合することに加えて、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を配合することに特徴を有する。上述のようにゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤を配合することで、ゲル安定性の高いゼリー状食品が得られるが、このようなゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤を配合しただけの従来のゼリー状食品は口解けが悪い傾向がある。しかしながら、本発明においては、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を配合することにより、ゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤を配合したゼリー状食品の食感が改良され、ゲル安定性が高い上に口解けが良いゼリー状食品を得ることができる。一方、後述の試験例に示すように、単に植物ステロールを配合してもこのような改良効果が得られず、口解けが良いゼリー状食品は得られない。
本発明で配合する植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体のうち、卵黄リポ蛋白質は、卵黄蛋白質と、親水部分及び疎水部分を有するリン脂質、及びトリアシルグリセロール、コレステロール等の中性脂質とからなる複合体である。当該複合体は、蛋白質やリン脂質の親水部分を外側にし、疎水部分を内側にして、中性脂質を包んだ構造をしている。卵黄リポ蛋白質は、卵黄の主成分であって、卵黄固形分中の約80%を占める。したがって、本発明の卵黄リポ蛋白質としては、当該成分を主成分とした卵黄を用いるとよく、食用として一般的に用いている卵黄であれば特に限定するものではない。例えば、鶏卵を割卵し卵白液と分離して得られた生卵黄をはじめ、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩若又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。また、本発明では、鶏卵を割卵して得られる全卵、あるいは卵黄と卵白とを任意の割合で混合したもの、あるいはこれらに上記処理を施したもの等を用いてもよい。
一方、本発明の植物ステロール類とは、コレステロール又は当該飽和型であるコレスタノールに類似した構造をもつ植物の脂溶性画分より得られる植物ステロール又は植物スタノール、あるいはこれらの構成成分のことであり、植物ステロール類は、植物の脂溶性画分に合計で数%存在する。また、市販の植物ステロール又は植物スタノールは、融点が約140℃前後で、常温で固体であり、これらの主な構成成分としては、例えば、β−シトステロール、β−シトスタノール、スチグマステロール、スチグマスタノール、カンペステロール、カンペスタノール、ブラシカステロール、ブラシカスタノール等が挙げられる。また、植物スタノールについては、天然物の他、植物ステロールを水素添加により飽和させたものも使用することができる。なお、本発明において植物ステロール類は、いわゆる遊離体を主成分とするが、若干量のエステル体を含有していてもよい。
本発明に用いる植物ステロール類は、市販されている粉体あるいはフレーク状のものを用いることができるが、平均粒子径が50μm以下、特に10μm以下の粉体を使用することが好ましい。平均粒子径が50μmを超える粉体あるいはフレーク状の植物ステロール類を用いる場合には、卵黄と攪拌混合して複合体を製造する際に、均質機(T.K.マイコロイダー:プライミクス株式会社製等)を用いて植物ステロール類の粒子を小さくしつつ攪拌混合を行うことが好ましい。これにより、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体が形成され易くなる。
本発明のゼリー状食品に配合する植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体は、上述した植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質を主成分とする卵黄とを、好ましくは10μm以下の粉体状の植物ステロール類と卵黄を水系中で攪拌混合することにより得られる。具体的には、工業的規模での攪拌混合し易さを考慮し、卵黄リポ蛋白質として、卵黄を水系媒体で適宜希釈した卵黄希釈液を使用し、当該卵黄希釈液と植物ステロール類とを攪拌混合して製造することが好ましい。前記水系媒体としては、水分が90%以上のものが好ましく、例えば、清水の他に糖液等が挙げられる。また、前記卵黄希釈液の濃度としては、その後、添加する植物ステロール類の配合量にもよるが、卵黄固形分として0.01〜50%の濃度が好ましく、攪拌混合時の温度は、常温(20℃)でもよいが、45〜55℃に加温しておくと複合体と攪拌混合し易く好ましい。攪拌混合は、例えば、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモゲナイザー、T.K.マイコロイダー(プライミクス株式会社製)等の均質機を用いて、全体が均一になるまで行うとよい。また、上述の方法で得られたものは、複合体が水系媒体に分散したものであるが、噴霧乾燥、凍結乾燥等の乾燥処理を施して乾燥複合体としてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、複合体に他の原料を配合してもよい。
植物ステロールは、水への分散処理を施しても、その後、水面に浮いてしまう性質を有する。これに対し本発明で用いる複合体は、後述で示すとおり水に分散する性質を有する。よって、複合体は、両親媒性を有する卵黄リポ蛋白質が、当該疎水部分を疎水物である植物ステロール類の表面側に、親水部分を外側に向けて植物ステロール類の表面に付着した状態と推定される。また、このように本発明で用いる複合体は、表面が親水化されていることにより、ゼリー状食品中に略均一に分散し、上述したゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤が形成するゲル組織になんらかの影響を及ぼし、食感改良効果が得られるのではないかと推定する。
本発明で用いる複合体は、当該原料である植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部であることが好ましく、当該構成比は、卵黄固形分中に卵黄リポ蛋白質は約8割存在するから、卵黄固形分1部に対して植物ステロール類4〜185部に相当する。後述で示すとおり水分散性を有する複合体は、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類が前記範囲で形成しているところ、植物ステロールが前記範囲より少ないと複合体を形成できなかった卵黄リポ蛋白質が残存し、一方、前記範囲より多いと水分散性を有した複合体が得られない。したがって、後述に示すとおり水分散性を有する複合体は、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類が前記範囲で形成していることから、植物ステロールが前記範囲より少ないと複合体を形成できなかった卵黄リポ蛋白質が残存してゼリー状食品の風味が卵黄風味により損なわれる場合がある。また前記範囲より多いと植物ステロール類が水分散性を有した複合体を形成し難くなって本発明の効果が得られ難くなる。
本発明のゼリー状食品における前記複合体の配合量は、好ましくは製品に対して0.01〜10%、より好ましくは0.1〜5%である。前記範囲とすることにより、ゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤を配合したゼリー状食品の食感を改良して、口解けのよいゼリー状食品を得る本発明の効果が得られ易い。これに対して、複合体の配合量が前記範囲より少ない場合は、上述した食感を改良して、口解けのよいゼリー状食品を得る本発明の効果が得られ難く、配合量が前記範囲より多い場合は、ゼリー状食品の風味が損なわれる場合があり好ましくない。
尚、本発明のゼリー状食品には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した原料の他に、チェリーフレーバー、リンゴフレーバー、オレンジフレーバー、パイナップルフレーバー、ミルクフレーバー等の香料、カロチン等の着色料、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤、クエン酸、リンゴ酸等の酸味料、その他の添加剤等を配合してもよい。
続いて、本発明のゼリー状食品の代表的な製造方法について説明するが、本発明のゼリー状食品は、ゲル化剤として、上述したゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤を用い、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体をゼリー状食品全体に均一に分散するように配合する他は特に限定は無く、従来の一般的なゼリー状食品の製造方法に準じて製造することができる。例えば、まず、水、果汁、野菜汁、牛乳、スープ等の水系原料に、前記ゲル化剤と複合体、更に、必要に応じて、砂糖、ぶどう糖等の糖類や食塩等の調味料、果物、野菜、肉等の截断物等とを加えて混合液を製する。
次に、例えば、用いるゲル化剤が、水系原料に加熱融解後冷却することによってゲルを形成するゲル化剤であれば、前記混合液を加熱してゲル化剤を充分に溶解し、これを容器に充填密封後、冷却してゼリー状とすればよい。また、用いるゲル化剤が、金属イオンの存在下においてゲルを形成するゲル化剤であれば、前記混合液に、カルシウムイオン等を加えた後、容器に充填密封してゼリー状とすればよい。また、本発明で用いる前記容器としては、特に制限はなく、ゼリー状食品の状態等に合せて適宜選択すればよい。具体的には、例えば、耐熱性合成樹脂製の成型容器や可撓性容器が挙げられる。
このようにして得られた本発明のゼリー状食品は、ゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤を配合していることから、容器詰めした状態で流通させたりしても流通時の温度変化等によりゼリーが融解して物性が変化し難くゲル安定性が高いものとなる。更に、ゲルの融点が高いゲル化剤を用いた従来のゼリー上食品は口解けが悪い傾向があるが、本発明のゼリー状食品は、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体が配合されていることにより、食感が改良され、ゲル安定性が高い上に口解けが良いものとなる。したがって、本発明は、流通時の温度変化等によりゼリーが融解して物性が変化し易い、容器詰めしたゼリー状食品において、好適に実施できる。
以下、本発明の実施例、比較例及び試験例を述べ、本発明を更に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定するものではない。
[調製例1]複合体の構成成分の解析及び複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
まず、卵黄液5g(卵黄固形分2.5g、卵黄固形分中の卵黄リポ蛋白質約2g)に清水95gを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpmで1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した。次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(遊離体97.8%、エステル体2.2%、平均粒子径約3μm)2.5gを添加し、さらに10000rpmで5分間攪拌し、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質とから形成された複合体の分散液を得た(調製例1−1)。
得られた分散液1gを取り、0.9%食塩水4gを加え、真空乾燥機(東京理科器械社製、VOS−450D)で真空度を10mmHgにして1分間脱気し、遠心分離器(国産遠心分離器社製、モデルH−108ND)で3000rpmで15分間遠心分離を行い、沈澱と上澄みとを分離した。この上澄みを0.45μmのフィルターで濾過し、さらに0.2μmのフィルターで濾過し、複合体と、複合体を形成していない植物ステロールとを除去した。
この濾液の吸光度(O.D.)を、分光光度計(日立製作所製、U−2010)を用いて、0.9%食塩水を対照とし、280nm(蛋白質中の芳香環をもつアミノ酸の吸収)で測定し、濾液中の蛋白質の量を測定した。
植物ステロールの添加量を表1のように変え、同様に吸光度を測定した(調製例1−2〜調製例1−8)。この結果を表1に示す。
また、調製例1−1の濾液と、調製例1−6の濾液については、更に440nmの吸光度を測定した。ここで、440nmは、卵黄リポ蛋白質中に含まれる油溶性の色素(カロチン)の吸収波長である。この結果を表2に示す。
Figure 2008220271
Figure 2008220271
複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以下であると、表1より、植物ステロールの割合が増えるに伴い、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度が小さくなっており、蛋白質あるいはアミノ酸の含量が減少することが分かる。また、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−1の濾液は調製例1−6に比べ吸光度が優位に高く、油脂含量が明らかに多いことが分かる。一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であると、表1より、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度は略一定を示し、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−6の濾液は調製例1−1に比べ吸光度が優位に低く、油脂含量が明らかに少ないことが分かる。
以上の結果より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であるものの分散液には、複合体以外に、卵黄リポ蛋白質でない遊離の蛋白質あるいはアミノ酸が存在し、一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部より少ないものの分散液には、前記遊離の蛋白質あるいはアミノ酸に加え、複合体を形成しなかった卵黄リポ蛋白質が存在しているものと推定される。したがって、卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、植物ステロール類が5部以上必要であることが分かる。
[調製例2]複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
鶏卵を工業的に割卵して得られた卵黄液(固形分45%)と清水の量と植物ステロールの量を表3の通りに変更して、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を調製し、この分散液の分散性から、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との好ましい構成比を検討した。
すなわち、鶏卵を割卵して取り出した卵黄液(固形分45%)に清水を加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、45℃に加温し、次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)を除々に添加し、添加し終えたところで、さらに10000rpmで攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。
また、分散液の分散性に関しては、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液0.5gを試験管(内径1.6cm、高さ17.5cm)にとり、0.9%食塩水10mLで希釈し、試験管ミキサー(IWAKI GLASS MODEL−TM−151)で10秒間撹拌することにより振盪し、その後1時間室温で静置し、さらに真空乾燥機(東京理化器械社製、VOS−450D)に入れ、真空度を10mmHg以下にして室温(20℃)で脱気を行い、脱気後に浮上物が見られない場合を○、浮上物が見られた場合を×と判定した。これらの結果を表3に示す。
なお、植物ステロールを加熱溶解し、冷却し、比重の異なるエタノール液に浸けて浮き沈みによりその比重を求めたところ、0.98であったことから、上述の分散性の試験での浮上物は植物ステロールであると考えられる。
Figure 2008220271
表3より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが232部以下であると、複合体に良好な水分散性を付与できることが分かる。
調製例1及び調製例2の結果より、複合体が良好な水分散性を有し、しかも卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部の範囲であることが分かる。
[調製例3]
清水17.5kgに殺菌卵黄(固形分45%、キユーピー(株)製)0.5kgを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、50℃に加温し、次に5000rpmで攪拌及び真空度350mmHgで脱気しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)2kgを除々に添加し、添加し終えたところで、さらに同回転数で30分間攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。なお、複合体の構成比は、卵黄固形分1部に対し植物ステロール8.9部であり、卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロール11.1部である。また、複合体の植物ステロール含有量は92%である。
[調製例4]
調製例3で得られた複合体の分散液を噴霧乾燥機を用いて、送風温度170℃、排風温度70〜75℃の条件で乾燥し、乾燥状の乾燥複合体を得た。なお、得られた乾燥状の複合体の構成比は、調製例3のものと同じである。
[実施例1]
下記配合の原料を準備した。次に、清水に、ブドウ糖、乾燥複合体、5倍濃縮オレンジ果汁、オレンジフレーバー、クエン酸、及びキサンタンガムとローカストビーンガムの混合物からなるゲル化剤を加えて混合した。続いて、この混合液を90℃まで加温した後、カップ型の耐熱性合成樹脂製容器に充填し、イージーピール可能な耐熱性合成樹脂製の蓋材で密封後、品温20℃になるまで冷却することで本発明のオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品を得た。なお、キサンタンガムとローカストビーンガムとを1:1で混合したゲル化剤のゲルの融点は、65℃であった。
<配合>
清水 79.8部
ブドウ糖 10.0部
乾燥複合体(調製例4) 2.0部
5倍濃縮オレンジ果汁 5.0部
オレンジフレーバー 2.0部
クエン酸 0.2部
キサンタンガム 0.5部
ローカストビーンガム 0.5部
――――――――――――――――――
合計 100.0部
[実施例2]
配合原料として、清水80.3部、ブドウ糖10部、乾燥複合体(調整例4で得たもの)2.0部、5倍濃縮オレンジ果汁5.0部、オレンジフレーバー2.0部、クエン酸0.2部、及びゲル化剤としてカラギーナン0.5部を用いた他は、実施例1と同様に本発明のオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品を得た。なお、カラギーナンのゲルの融点は、60℃であった。
[実施例3]
清水78.8部、ブドウ糖10部、乾燥複合体(調整例4で得たもの)2.0部、5倍濃縮オレンジ果汁5.0部、オレンジフレーバー2.0部、クエン酸0.2部、乳酸カルシウム0.3部、及びゲル化剤としてローメトキシルペクチン1.7部を加えて混合した。次に、この混合液をカップ型の耐熱性合成樹脂製容器に充填し、イージーピール可能な耐熱性合成樹脂製の蓋材で密封後、10分間静置することで本発明のオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品を得た。なお、ローメトキシルペクチンのゲルの融点は、70℃であった。
[比較例1]
実施例1において、乾燥複合体を配合しない他は、同様にしてオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品を得た。
[比較例2]
実施例1において、乾燥複合体の変わりに植物ステロール(調整例1と同じもの)を用いた他は、同様にしてオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品を得た。
[試験例1]
実施例1乃至3、比較例1及び2で得られたオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品について、製した直後の容器詰めゼリー状食品を開封し、それぞれ試食して食感を官能的に評価した。また、得られた容器詰めゼリー状食品を35℃で1時間保管したものについても同様に開封、試食して食感を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2008220271
表中の評価記号
<食感>
A:口解けが良い。
B:やや口解けが良い。
C:口解けの良さに乏しい。
D:口解けが悪い。
表4より、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との乾燥複合体と、ゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤とを配合した実施例1乃至3のオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品は、前記複合体を配合しない比較例1のオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品と比較して、口解けの良いオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品であることが理解できる。また、実施例1乃至3のオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品と、植物ステロールを配合した比較例2のオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品との比較より、前記複合体を配合しなければ、口解けが良い容器詰めゼリー状食品は得られないことが理解できる。なお、実施例1乃至3のいずれの容器詰めゼリー状食品も、融解による物性の変化は防止されており、安定した状態だった。また、ここでは示していないが、複合体の原料である植物ステロールを植物スタノールに変更した場合も同様な結果となった。
[実施例4]
清水85.0部にブドウ糖10.0部、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液(調整例3で得たもの)2.0部、インスタントコーヒー2.0部、及びキサンタンガム0.5部とローカストビーンガム0.5部の混合物からなるゲル化剤を加えて混合した。次に、この混合液を90℃まで加温した後、カップ型の耐熱性合成樹脂製容器に充填し、イージーピール可能な耐熱性合成樹脂製の蓋材で密封後、品温20℃になるまで冷却することで本発明のコーヒー風味の容器詰めゼリー状食品を得た。得られたコーヒー風味の容器詰めゼリー状食品を開封し、食したところ口解けが良く好ましいものであった。なお、キサンタンガムとローカストビーンガムとを1:1で混合したゲル化剤のゲルの融点は、65℃であった。
[実施例5]
清水80.2部、ブドウ糖10部、乾燥複合体(調整例4で得たもの)2.0部、5倍濃縮オレンジ果汁5.0部、オレンジフレーバー2.0部、クエン酸0.2部、及びキサンタンガム0.4部とローカストビーンガム0.2部の混合物からなるゲル化剤を加えて混合した。次に、この混合液を50℃まで加温した後、アルミニウムとポリエチレンとの複合フィルムからなる可撓性容器に充填し、密封後、品温20℃になるまで冷却することで本発明のオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品を得た。得られたオレンジ風味の容器詰めゼリー状食品は、ストローで飲める飲料状の状態であり、これをストローで飲んだところ口解けが良く好ましいものであった。なお、キサンタンガムとローカストビーンガムとを2:1で混合したゲル化剤のゲルの融点は、65℃であった。

Claims (5)

  1. 植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体と、ゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤とを配合してなることを特徴とするゼリー状食品。
  2. 前記ゲル化剤が、キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物、ローメトキシルペクチン、カラギーナンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載のゼリー状食品。
  3. 前記複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部である請求項1又は2記載のゼリー状食品。
  4. 前記複合体の配合量が、製品に対して乾物換算で0.01〜10%である請求項1乃至3のいずれかに記載のゼリー状食品。
  5. 容器詰めしてなる請求項1乃至4のいずれかに記載のゼリー状食品。
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