JP4712619B2 - アイスクリーム類 - Google Patents

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本発明は、溶け難いアイスクリーム類に関する。
アイスクリーム類は、製造されてから、消費されるまでの間冷凍状態で保管する必要がある。しかし、配送時及び保管時の冷凍庫のドアの開閉等避けることのできない温度変化により、アイスクリーム類が溶けて形が崩れたり、また、アイスクリーム類が溶けて再凍結することにより、品質が低下してしまうことがあった。これらを防止することはアイスクリーム類における課題のひとつである。したがって、溶け難いアイスクリーム類の開発が求められてきた。
従来、溶け難いアイスクリーム類に関する技術として、例えば、アイスクリームミックスに調整乳清タンパク質加工品と塩類とを混合するアイスクリームの製造方法(特許文献1:特開平9−135664号公報)、また、糖質成分として特定のデキストリン還元物を含有する、カロリーが低減され、かつ溶け難い冷菓(特許文献2:特開2001−299227号公報)等が提案されている。
アイスクリーム類を溶け難くする方法は、上記のような様々な方法があるが、これらはいずれも生理活性物質を使用するものではない。生理活性物質で同様の効果を奏することができるならば、得られたアイスクリーム類は当該生理活性物質の生理機能を併せ持つことが期待され一石二鳥である。
そこで、本発明者らは、血中の総コレステロール濃度及び低密度リポ蛋白質−コレステロール濃度を低下させる機能を有することが知られている植物ステロール及び植物スタノール等の植物ステロール類に着目し、検討を行った。まず、本発明者らは、植物ステロールのみを添加してアイスクリーム類を溶け難くすることを試みた。しかしながら、単に植物ステロールを添加しただけでは、アイスクリーム類を溶け難くする効果は得られなかった。
特開平9−135664号公報 特開2001−299227号公報 WO2005/041692
そこで、本発明は、溶け難いアイスクリーム類を提供することを課題とする。
本発明者等は、この課題を達成するため、更に鋭意研究を行った結果、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体、及び増粘多糖類をアイスクリーム類に配合するならば、意外にも溶け難いアイスクリーム類が得られることを見出し、遂に、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体をアイスクリーム類全体に対して0.05〜10質量%、並びに、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン及びペクチンから選ばれる一種又は二種以上をアイスクリーム類全体に対して0.05〜3質量%配合してなるアイスクリーム類。
(2)前記複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部である(1)記載のアイスクリーム類、である。
なお、本出願人は、既に前記植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を出願している(特許文献3:WO2005/041692)。当該出願には、前記複合体をアイスクリームに配合することが記載されている。しかしながら、溶け難いアイスクリーム類が得られるという効果に関する記載は一切なく、また、前記複合体と増粘多糖類と併用することについては一切検討されていない。
本発明によれば、溶け難いアイスクリーム類が得られることから、配送時及び保管時の冷凍庫のドアの開閉等の温度変化がある場合であっても、アイスクリーム類の形崩れが防止や、融解、再凍結による品質の低下を防止することができる。したがって、アイスクリーム市場の更なる拡大が期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
本発明のアイスクリーム類は、食品衛生法の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令で定められているアイスクリーム類である。つまり、乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結したものであって、乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く)である。具体的には、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスが挙げられる。
本発明のアイスクリーム類は、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及び増粘多糖類が配合されていることを特徴とする。本発明においては、このように、前記複合体と増粘多糖類を併用することにより、はじめて、溶け難いアイスクリーム類が得られるという効果を奏する。
本発明に配合する卵黄リポ蛋白質と植物ステロール類との複合体における、卵黄リポ蛋白質は、卵黄蛋白質と、親水部分及び疎水部分を有するリン脂質、及びトリアシルグリセロール、コレステロール等の中性脂質とからなる複合体である。当該複合体は、蛋白質やリン脂質の親水部分を外側にし、疎水部分を内側にして、中性脂質を包んだ構造をしている。卵黄リポ蛋白質は、卵黄の主成分であって、卵黄固形分中の約80%を占める。したがって、本発明の卵黄リポ蛋白質としては、当該成分を主成分とした卵黄を用いるとよく、食用として一般的に用いている卵黄であれば特に限定するものではない。例えば、鶏卵を割卵し卵白液と分離して得られた生卵黄をはじめ、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。また、本発明では、鶏卵を割卵して得られる全卵、あるいは卵黄と卵白とを任意の割合で混合したもの、あるいはこれらに上記処理を施したもの等を用いてもよい。
一方、本発明の植物ステロール類とは、コレステロール又は当該飽和型であるコレスタノールに類似した構造をもつ植物の脂溶性画分より得られる植物ステロール又は植物スタノール、あるいはこれらの構成成分のことであり、植物ステロール類は、植物の脂溶性画分に合計で数%存在する。また、市販の植物ステロール又は植物スタノールは、融点が約140℃前後で、常温で固体であり、これらの主な構成成分としては、例えば、β−シトステロール、β−シトスタノール、スチグマステロール、スチグマスタノール、カンペステロール、カンペスタノール、ブラシカステロール、ブラシカスタノール等が挙げられる。また、植物スタノールについては、天然物の他、植物ステロールを水素添加により飽和させたものも使用することができる。なお、本発明において植物ステロール類は、いわゆる遊離体を主成分とするが、若干量のエステル体を含有していてもよい。
本発明に用いる植物ステロール類は、市販されている粉体あるいはフレーク状のものを用いることができるが、平均粒子径が50μm以下、特に10μm以下の粉体を使用することが好ましい。平均粒子径が50μmを超える粉体あるいはフレーク状の植物ステロール類を用いる場合には、卵黄と攪拌混合して複合体を製造する際に、均質機(T.K.マイコロイダー:プライミクス社製等)を用いて植物ステロール類の粒子を小さくしつつ攪拌混合を行うことが好ましい。これにより、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体が形成され易くなり、また、当該複合体をアイスクリーム類に配合したときに舌にザラツキを与え難くすることができる。
本発明のアイスクリーム類に配合する植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体は、上述した植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質を主成分とする卵黄とを、好ましくは10μm以下の粉体状の植物ステロール類と卵黄を水系中で攪拌混合することにより得られる。具体的には、工業的規模での攪拌混合し易さを考慮し、卵黄リポ蛋白質として、卵黄を水系媒体で適宜希釈した卵黄希釈液を使用し、当該卵黄希釈液と植物ステロール類とを攪拌混合して製造することが好ましい。前記水系媒体としては、水分が90%以上のものが好ましく、例えば、清水の他に卵白液等が挙げられる。また、前記卵黄希釈液の濃度としては、その後、添加する植物ステロール類の配合量にもよるが、卵黄固形分として0.01〜50%の濃度が好ましく、攪拌混合時の温度は、常温(20℃)でもよいが、45〜55℃に加温しておくと複合体と攪拌混合し易く好ましい。攪拌混合は、例えば、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモゲナイザー、T.K.マイコロイダー(プライミクス社製)等の均質機を用いて、全体が均一になるまで行うとよい。また、上述の方法で得られたものは、複合体が水系媒体に分散したものであるが、噴霧乾燥、凍結乾燥等の乾燥処理を施して乾燥複合体としてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、複合体に他の原料を配合してもよい。
本発明で用いる植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体は、当該原料である植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部であることが好ましく、当該構成比は、卵黄固形分中に卵黄リポ蛋白質は約8割存在するから、卵黄固形分1部に対して植物ステロール類4〜185部に相当する。後述で示すとおり水分散性を有する複合体は、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類が前記範囲で形成しているところ、植物ステロール類が前記範囲より少ないと複合体を形成できなかった卵黄リポ蛋白質が残存し、得られたアイスクリーム類の風味が卵黄風味により損なわれてしまう場合があり、一方、前記範囲より多いと植物ステロール類が水分散性を有する複合体を形成し難くなり、複合体の親水性が低下するためか、本発明の効果である溶け難いアイスクリーム類が得られ難くなり好ましくない。
前記複合体の配合量は、アイスクリーム類全体に対して0.05〜10%が好ましく、0.2〜5%がより好ましい。複合体の配合量が前記範囲より少ないと、溶け難いアイスクリーム類を得られ難くなり好ましくなく、一方、前記範囲より多いと、アイスクリーム類全体が粉っぽくなる傾向があり好ましくない。
本発明は、複合体がアイスクリーム類全体に均一に配合されていれば、特に限定するものではない。複合体をアイスクリーム類に配合する方法としては、例えば、複合体の調製過程で発生する水系媒体をそのまま、あるいは乾燥複合体を予め水系媒体や食用油脂と混合しておいたものを、アイスクリーム類に添加混合する方法等があげられる。
前記複合体と併せてアイスクリーム類に配合する増粘多糖類は、食用として一般的に用いられている増粘多糖類であれば特に限定するものではない。より具体的には、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、寒天及びジェランガム等が挙げられる。中でも、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン及びペクチンを用いると、アイスクリーム類が溶け難くなる効果が得られやすいのでより好ましい。
前記増粘多糖類の配合量は、アイスクリーム類全体に対して0.05〜3%が好ましく、0.1〜2%がより好ましい。複合体の配合量が前記範囲より少ないと、溶け難いアイスクリーム類を得られ難くなり好ましくなく、一方、前記範囲より多いと、アイスクリーム類全体が糊状の食感となる傾向があり好ましくない。
なお、本発明のアイスクリーム類には、乳原料、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体及び増粘多糖類の他に、本発明の効果を損なわない範囲でアイスクリーム類に一般的に使用されている原料を配合してもよい。このような原料としては、例えば、ショ糖、ブドウ糖、麦芽糖、デキストリン、糖アルコール等の糖類、菜種油、マーガリン等の植物性油脂類、クルミ、アーモンド、ゴマ等のナッツ類、レーズン、アンズ、ブルーベリー、クランベリー等の果実類、人参、トマト、ホウレンソウ等の野菜類、カカオマス、カカオバター等のカカオ類、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、卵黄等の乳化材、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、ヘム鉄、亜鉛、銅、等のミネラル類等が挙げられる。
本発明のアイスクリーム類は、上述の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体、及び増粘多糖類を配合する他は、従来の一般的な製造方法に準じて製造することができる。例えば、まず、牛乳、脱脂粉乳、生クリーム等の乳製品、糖類、前記複合体、増粘多糖類、乳化材等の原料を30〜70℃程度に加温し、溶解させながら混合する。この際、増粘多糖類は予め原料の清水の一部を用いて溶解しておくとより望ましい。次いで、溶解させながら混合したアイスクリームの原料を高圧ホモゲナイザーにより均質化し、60℃〜90℃で5〜60分間殺菌を行い、アイスクリームミックスを得る。得られたアイスクリームミックスを0〜5℃に冷却し、−2〜−10℃程度で空気を混入させながらフリージングさせ、容器に詰め、−16℃以下で硬化させてアイスクリーム類を製造すればよい。
以上のようにして本発明の溶け難いアイスクリーム類を得ることができる。このようなアイスクリーム類が得られる理由は定かではないが、以下のように推察される。植物ステロール類は、水への分散処理を施しても、その後、水面に浮いてしまう性質を有するが、本発明で用いる複合体は後述に示すとおり水に分散する性質を有するため、複合体は両親媒性を有する卵黄リポ蛋白質が当該疎水部分を疎水物である植物ステロール類の表面側に、親水部分を外側に向けて植物ステロール類の表面に付着した状態であると推定される。このような状態の複合体は、アイスクリームミックス中に均一に分散するとともに、増粘多糖類の網目状のネットワーク入り込んでその網目の構造を強化し、その結果、溶け難いアイスクリーム類が得られるのではないかと推察される。
以下、本発明で用いる植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体、及び増粘多糖類配合してなるアイスクリーム類について、実施例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[調製例1]:複合体の構成成分の解析及び複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
まず、卵黄液5g(卵黄固形分2.5g、卵黄固形分中の卵黄リポ蛋白質約2g)に清水95gを加え、均質機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpmで1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した。次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(遊離体97.8%、エステル体2.2%、平均粒子径約3μm)2.5gを添加し、さらに10000rpmで5分間攪拌し、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質とから形成された複合体の分散液を得た(調製例1−1)。
得られた分散液1gを取り、0.9%食塩水4gを加え、真空乾燥機(東京理科器械社製、VOS−450D)で真空度を10mmHgにして1分間脱気し、遠心分離器(コクサン社製、モデルH−108ND)で3000rpmで15分間遠心分離を行い、沈澱と上澄みとを分離した。この上澄みを0.45μmのフィルターで濾過し、さらに0.2μmのフィルターで濾過し、複合体と、複合体を形成していない植物ステロールとを除去した。
この濾液の吸光度(O.D.)を、分光光度計(日立製作所製、U−2010)を用いて、0.9%食塩水を対照とし、280nm(蛋白質中の芳香環をもつアミノ酸の吸収)で測定し、濾液中の蛋白質の量を測定した。
植物ステロールの添加量を表1のように変え、同様に吸光度を測定した(調製例1−2〜調製例1−8)。この結果を表1に示す。
また、調製例1−1の濾液と、調製例1−6の濾液については、更に440nmの吸光度を測定した。ここで、440nmは、卵黄リポ蛋白質中に含まれる油溶性の色素(カロチン)の吸収波長である。この結果を表2に示す。
Figure 0004712619
Figure 0004712619
複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以下であると、表1より、植物ステロールの割合が増えるに伴い、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度が小さくなっており、蛋白質あるいはアミノ酸の含量が減少することが分かる。また、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−1の濾液は調製例1−6に比べ吸光度が優位に高く、油脂含量が明らかに多いことが分かる。一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であると、表1より、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度は略一定を示し、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−6の濾液は調製例1−1に比べ吸光度が優位に低く、油脂含量が明らかに少ないことが分かる。
以上の結果より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であるものの分散液には、複合体以外に、卵黄リポ蛋白質でない遊離の蛋白質あるいはアミノ酸が存在し、一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部より少ないものの分散液には、前記遊離の蛋白質あるいはアミノ酸に加え、複合体を形成しなかった卵黄リポ蛋白質が存在しているものと推定される。したがって、卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、植物ステロール類が5部以上必要であることが分かる。
[調製例2]:複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
鶏卵を工業的に割卵して得られた卵黄液(固形分45%)と清水の量と植物ステロールの量を表3の通りに変更して、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を調製し、この分散液の分散性から、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との好ましい構成比を検討した。
すなわち、鶏卵を割卵して取り出した卵黄液(固形分45%)に清水を加え、均質機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、45℃に加温し、次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)を除々に添加し、添加し終えたところで、さらに10000rpmで攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。
また、分散液の分散性に関しては、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液0.5gを試験管(内径1.6cm、高さ17.5cm)にとり、0.9%食塩水10mLで希釈し、試験管ミキサー(IWAKI GLASS MODEL−TM−151)で10秒間撹拌することにより振盪し、その後1時間室温で静置し、さらに真空乾燥機(東京理化器械社製、VOS−450D)に入れ、真空度を10mmHg以下にして室温(20℃)で脱気を行い、脱気後に浮上物が見られない場合を○、浮上物が見られた場合を×と判定した。これらの結果を表3に示す。
なお、植物ステロールを加熱溶解し、冷却し、比重の異なるエタノール液に浸けて浮き沈みによりその比重を求めたところ、0.98であったことから、上述の分散性の試験での浮上物は植物ステロールであると考えられる。
Figure 0004712619
表3より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが232部以下であると、複合体に良好な水分散性を付与できることが分かる。
調製例1及び調製例2の結果より、複合体が良好な水分散性を有し、しかも卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部の範囲であることが分かる。
[調製例3]
清水7.5kgに殺菌卵黄(固形分45%、キユーピー(株)製)0.5kgを加え、均質機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、50℃に加温し、次に5000rpmで攪拌及び真空度350mmHgで脱気しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)2kgを除々に添加し、添加し終えたところで、さらに同回転数で30分間攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体(殺菌卵黄使用)の分散液を得た。なお、得られた分散液中の複合体の構成比は、卵黄固形分1部に対し植物ステロール8.9部であり、卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロール11.1である。
[調製例4]
清水17.5kgに殺菌卵黄(固形分45%、キユーピー(株)製)0.5kgを加え、均質機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、50℃に加温し、次に5000rpmで攪拌及び真空度350mmHgで脱気しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)2kgを除々に添加し、添加し終えたところで、さらに同回転数で30分間攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。得られた複合体の分散液を噴霧乾燥機を用いて、送風温度170℃、排風温度70〜75℃の条件で乾燥し、乾燥複合体(殺菌卵黄使用)を得た。なお、複合体の構成比は、卵黄固形分1部に対し植物ステロール8.9部であり、卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロール11.1部であった。
[実施例1]
下記の配合のラクトアイスを調製した。つまり、均質機(プライミクス社製、TKホモミクサー)に、脱脂粉乳、グラニュー糖、精製ヤシ油、コーンシロップ、乳化材、乾燥複合体(調製例4で得られたもの)、清水、及び予め清水の一部を用いて溶いておいたグアーガムを投入し10000rpmで6分間攪拌を行った。次いで、高圧ホモゲナイザーにかけ、150kgf/cmで均質化し、68℃で30分間殺菌を行い香料を添加してアイスクリームミックスを得た。得られたアイスクリームミックスを冷却し、5℃で一晩エージングした後、アイスクリーマー((株)エフ・エム・アイ社製、FRIGOMAT)に投入し、−5℃で5分間フリージングを行い、直径7.0cm、高さ3.0cmの円柱型のプリンカップに、90mLずつ充填し、−18℃に冷却して硬化させて、ラクトアイスを得た。なお、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体の配合量はラクトアイスに対し1%であり、増粘多糖類の配合量はラクトアイスに対して、0.5%であった。
<ラクトアイスの配合>
脱脂粉乳 300g
グラニュー糖 450g
精製ヤシ油 240g
コーンシロップ 150g
乳化材 30g
グアーガム 15g
乾燥複合体(調製例4) 30g
清水 1770g
香料 15g
[実施例2]
実施例1において、グアーガムをローカストビーンガムに代えた他は、実施例1と同じ配合と製法でラクトアイスを得た。なお、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体の配合量はラクトアイスに対し1%であり、増粘多糖類の配合量はラクトアイスに対して、0.5%であった。
[実施例3]
実施例1において、グアーガム15gを、ローカストビーンガム7gとカラギーナン8gに代えた他は、実施例1と同じ配合と製法でラクトアイスを得た。なお、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体の配合量はラクトアイスに対し1%であり、増粘多糖類の配合量はラクトアイスに対して、0.5%であった。
[比較例1]
実施例1において、乾燥複合体にかえて複合体の原料である植物ステロール(調製例1とおなじもの)を配合した他は、実施例1と同じ配合と製法でラクトアイスを得た。なお、植物ステロールの配合量を実施例1とあわせるため、植物ステロールを27g配合した。
[比較例2]
実施例1においてグアーガムを配合しない他は、実施例1と同じ配合と製法でラクトアイスを得た。
[比較例3]
実施例1において、乾燥複合体を配合しない他は、実施例1と同じ配合と製法でラクトアイスを得た。
[比較試験]
実施例1〜3及び比較例1〜3において得られたラクトアイスについて溶け難さを評価した。評価試験は、ラクトアイスをプリンカップから取り出し、11メッシュ相当のふるいに置き24℃の室温にて保管し、40分後、70分後の各ラクトアイスの形状を観察することにより行った。結果を表4に示す。
なお、表中の記号は、+:ラクトアイスの角がなくなって丸みを帯びてきているが、プリンカップの形状がほぼ維持されている、++:ラクトアイスが半球状になっておりプリンカップの形状をとどめていない、+++:完全に溶けている、である。
Figure 0004712619
表4より、複合体にかえて複合体の原料である植物ステロールを配合したラクトアイス(比較例1)、複合体あるいは増粘多糖類のいずれか一方を配合したラクトアイス(比較例2、3)に比べて、複合体及び増粘多糖類を配合したラクトアイス(実施例1〜3)は、溶け難いことが理解できる。なお、ここでは示していないが、複合体の原料である植物ステロールを植物スタノールに変更した場合も同様な結果となった。
[実施例5]
下記配合のアイスクリームを調製した。つまり、均質機(プライミクス社製、TKホモミクサー)に、生クリーム、脱脂粉乳、グラニュー糖、無塩バター、コーンシロップ、乳化材、乾燥複合体(調製例4で得られたもの)、清水、及び予め清水の一部を用いて溶いておいたカラギーナンを投入し10000rpmで6分間攪拌を行った。次いで、高圧ホモゲナイザーにかけ、150kgf/cmで均質化し、68℃で30分間殺菌を行い香料を添加してアイスクリームミックスを得た。得られたアイスクリームミックスを冷却し、5℃で一晩エージングした後、アイスクリーマー((株)エフ・エム・アイ社製、FRIGOMAT)に投入し、−5℃で5分間フリージングを行い、直径7.0cm、高さ3.0cmの円柱型のプリンカップに、90mLずつ充填し、−18℃に冷却して硬化させて、アイスクリームを得た。なお、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体の配合量は、アイスクリームに対し1%であり、増粘多糖類の配合量は、アイスクリームに対して、0.5%であった。
<アイスクリームの配合>
生クリーム 400g
脱脂粉乳 270g
グラニュー糖 390g
無塩バター 240g
コーンシロップ 150g
乳化材 30g
カラギーナン 15g
乾燥複合体(調製例4) 30g
清水 1460g
香料 15g
以上のようにして得られた複合体及び増粘多糖類を配合したアイスクリームは、上記方法で複合体にかえて複合体の原料である植物ステロールを配合したアイスクリーム、複合体あるいはカラギーナンのいずれか一方のみを配合したアイスクリームと比べて溶け難くなっていた。
[実施例6]
下記配合のアイスミルクを調製した。つまり、均質機(プライミクス社製、TKホモミクサー)に、生クリーム、脱脂粉乳、グラニュー糖、無塩バター、コーンシロップ、乳化材、複合体分散液(調製例3で得られたもの)、清水、及び予め清水の一部を用いて溶いておいたペクチンを投入し10000rpmで6分間攪拌を行った。次いで、高圧ホモゲナイザーにかけ、150kgf/cmで均質化し、68℃で30分間殺菌を行い香料を添加してアイスクリームミックスを得た。得られたアイスクリームミックスを冷却し、5℃で一晩エージングした後、アイスクリーマー((株)エフ・エム・アイ社製、FRIGOMAT)に投入し、−5℃で5分間フリージングを行い、直径7.0cm、高さ3.0cmの円柱型のプリンカップに、90mLずつ充填し、−18℃に冷却して硬化させて、アイスミルクを得た。なお、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体の配合量は、アイスミルクに対し1%であり、増粘多糖類の配合量は、アイスミルクに対して、0.5%であった。
<アイスミルクの配合>
生クリーム 100g
脱脂粉乳 270g
グラニュー糖 390g
無塩バター 180g
コーンシロップ 150g
乳化材 30g
ペクチン 15g
複合体分散液(調製例3) 120g
清水 1730g
香料 15g
以上のようにして得られた複合体及び増粘多糖類を配合したアイスミルクは、上記方法で複合体にかえて複合体の原料である植物ステロールを配合したアイスクミルク、複合体あるいはペクチンのいずれか一方のみを配合したアイスミルクと比べて溶け難くなっていた。

Claims (2)

  1. 植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体をアイスクリーム類全体に対して0.05〜10質量%、並びに、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン及びペクチンから選ばれる一種又は二種以上をアイスクリーム類全体に対して0.05〜3質量%配合してなることを特徴とするアイスクリーム類。
  2. 前記複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部である請求項記載のアイスクリーム類。
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