JP3103481B2 - 油脂乳化組成物及びその製造方法 - Google Patents

油脂乳化組成物及びその製造方法

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JP3103481B2 JP06166269A JP16626994A JP3103481B2 JP 3103481 B2 JP3103481 B2 JP 3103481B2 JP 06166269 A JP06166269 A JP 06166269A JP 16626994 A JP16626994 A JP 16626994A JP 3103481 B2 JP3103481 B2 JP 3103481B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、豊かな乳風味、呈味、
コク味を有する油脂乳化組成物及びその製造方法に関す
る。更に詳しくは、コーヒー用クリーム、ホイップ用ク
リーム、アイスクリーム等の水中油型油脂乳化組成物、
マーガリン、ショートニング等の油中水型油脂乳化組成
物、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】牛乳を遠心分離して得られる生クリーム
や、この生クリームをさらにチャーニングして得られる
バターは、天然の好ましい乳風味、呈味、コク味を有し
ており、ホイップ用、バタークリーム用、コーヒー用等
の他、製菓用、製パン用、調理用として幅広く用いられ
ている。しかしながら、生クリームやバターは高価であ
ること、また、その履歴加工条件(乳牛の品種、飼料、
分離温度、エージング条件、殺菌温度等)によりその物
性は不安定であり、使用上制約されるといった問題があ
る。
【0003】これらの品質上、物性上及び価格上の問題
を解決するために、動植物性食用油脂を用いた合成クリ
ームやマーガリンが開発されている。しかし、これらの
合成クリームやマーガリンは風味的には満足できるもの
ではなく、乳風味、呈味、コク味を発現させるために、
多量の生クリーム或いはバターを使用しているのが現状
である。
【0004】近年、これらの課題を解決するため、幾つ
かの方法が提案されている。乳脂肪を用いる場合、それ
がバターオイルの形であるとき、リン脂質は失われてお
り、乳脂肪と脱脂粉乳を用いて還元乳を作成する場合、
リン脂質を含有するバターミルクパウダーを添加するこ
とにより乳のコク味が付与されることから、リン脂質が
コクを与えることは従来周知の事実であり(乳技協資
料、Vol.28、No.3、1978)、このリン脂質と蛋白質が結
合した構造をもつリポタンパク質を配合する方法が見出
されている。
【0005】例えば、卵黄を配合することにより天然生
クリームに近似した風味物性を有する起泡性乳化物の製
造法(特開昭58−179454)、或いは水中油型乳
化組成物中に脂質と蛋白質との結合体である脂質蛋白質
複合体を配合することにより、乳味感、コク味感を向上
させるという試み(特開平5−236896)がなされ
ている。
【0006】しかしながら、バターミルクパウダーでは
粉中の複合脂質の含有濃度は、そのものの特性を利用す
る目的には不充分であり、満足しうる結果は得られな
い。
【0007】また、卵黄を添加した場合では、確かにコ
ク味は向上するものの、その風味はお菓子っぽく、天然
の生クリームの風味である乳らしさとは性質を異にする
ものであり、さらにコク味を向上させるためには比較的
多量の卵黄を添加する必要があるため、加熱により凝固
してしまう卵黄は65℃以上の処理ができないという問
題がある。
【0008】さらに脂質と蛋白質との複合体を配合する
場合、脂質としてモノグリセリド、ジグリセリド、トリ
グリセリド、糖脂質、リン脂質を挙げ、特に好ましく
は、レシチン等のリン脂質と蛋白質、特に乳蛋白質の複
合体を配合することが提案されている。しかしながら、
この複合体は単に脂質と乳蛋白質が結合して複合体を形
成していれば良いというものではなく、乳化組成物中の
油脂表面に蛋白質の凝集・吸着がより多い程、乳化組成
物の乳らしい風味と密接な関係があると考えられてい
る。そうした場合、レシチン等のリン脂質は親水性が高
く疎水性に乏しいため、油脂表面の蛋白質の凝集・吸着
量を増加させる効果は少なく、効果を高めるために添加
量を多くすると、レシチン特有の異味・異臭が付与さ
れ、風味の点で望ましいものではない。
【0009】また、レシチンの特性を変える目的で分
画、精製処理或いは酵素分解処理したものを使用しても
風味的に不充分であり、また価格の点でも難しいのが現
状である。さらに、効果の点で、複合体を脱水乾燥処理
することが好ましいとされているが、製造面で手間がか
かるという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の様な状
況に鑑み、少量の乳成分でも充分な乳風味、呈味、コク
味を発現するクリーム類、マーガリン類等の油脂乳化組
成物及びその製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】脂質と蛋白質が強い親和
力により脂質−蛋白質複合体を形成することは周知の事
実であり、この親和力は主に静電気的結合と疎水的結合
であると考えられている。本発明者らは、これらの事実
に基づき研究を進めるなかで、脂質と蛋白質の複合体を
有効に形成させ、油脂表面に凝集・吸着させるために
は、脂質と蛋白質の複合体を主として脂質の脂肪酸のよ
うな疎水基ではなく、親水基、特にイオン性の親水基を
もち、静電気的結合が可能な有機酸モノグリセリドを用
いることが有効であり、さらに有機酸モノグリセリドの
脂肪酸残基が主体構造的に直鎖である飽和脂肪酸残基を
もつものが望ましいことを見出した。
【0012】また、乳蛋白質もイオン結合し易いとされ
るカゼインを用いることが望ましく、さらに通常リン酸
カルシウムなどで結合しているカゼインのミセル構造を
破壊することで、より有機酸モノグリセリドと結合し易
くなり、有効に油脂表面に凝集・吸着し、乳らしい風味
を向上させることを見出した。本発明は、かかる知見に
基づいて完成されたものである。
【0013】即ち、本発明の第1は有機酸モノグリセリ
ドと乳蛋白質とを均質化処理して得られた複合体を含有
することを特徴とする油脂乳化組成物を、本発明の第2
は、油脂又は水相に、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質
とを均質化処理して得られた複合体を添加することを特
徴とする油脂乳化組成物の製造方法をそれぞれ内容とす
るものである。
【0014】以下、本発明について詳述する。本発明の
有機酸モノグリセリドと乳蛋白質の複合体に用いられる
有機酸モノグリセリドとしては、コハク酸モノグリセリ
ド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエン酸モノグ
リセリド及び酢酸モノグリセリド等が挙げられ、これら
は1種又は2種以上組み合わせて用いられる。また、こ
れら有機酸モノグリセリドの脂肪酸残基は、飽和脂肪酸
であることが立体構造的に有効に結合させることができ
るので望ましい。
【0015】本発明の有機酸モノグリセリドと乳蛋白質
の複合体に用いられる乳蛋白質は、カゼイン、特に非ミ
セル状態の分子構造をもつカゼインを含有する。これら
の非ミセル状態のカゼインとしては、例えばカゼインア
ルカリであるナトリウムカゼインやカリウムカゼイン、
酸カゼイン等の他、生乳・還元全脂粉乳液、脱脂乳、還
元脱粉液、バターミルク、還元バターミルクパウダー液
等にリン酸塩等のカルシウム封鎖剤を添加したり、pH
を4.4〜4.6に調整した沈殿物を回収して得られる
もの等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合
わせて用いられる。
【0016】カゼインがミセル状態の構造をとっている
か否かを知る手段としては、カゼインがミセル状態の構
造である場合、それは約0.1〜0.5μmの直径を有
するリン酸カルシウム−カゼインの複合体の蛋白質微粒
子として存在することが知られている。そこで本発明者
らは、カゼインのミセル状態の構造を簡易に定量化する
手法として平均粒度分布により調べることに着目した。
即ち、レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−500
P、堀場製作所製)により蛋白質の粒度分布を調べ、
0.1〜0.5μmの直径を有する分布区分をカゼイン
のミセル状態とみなし、これにより大きな粒度分布のも
のを非ミセル状態のカゼインと判断することにした。こ
の方法によると、本発明においては非ミセル状態のカゼ
イン含量が乳蛋白質のうち好ましくは15%以上、さら
に好ましくは30%以上である。
【0017】次に、本発明に用いられる有機酸モノグリ
セリド−乳蛋白質複合体の製造方法を説明する。まず、
乳蛋白質を1〜50重量%濃度、好ましくは5〜25重
量%濃度の水溶液を調製する。この際、蛋白質水溶液の
pHを通常6〜7の範囲に調整することが有機酸モノグ
リセリドと効果的に結合させる上で好ましい。次に、こ
のようにして調製した蛋白質水溶液を、通常50〜70
℃の有機酸モノグリセリドの融点よりもわずかに高い温
度になるように加温する。そして、この蛋白質水溶液に
蛋白質の1/100〜1/1(重量比)の有機酸モノグ
リセリドを添加し、混合・溶解をおこない、次いで超音
波均質機、ホモジナイザー、ホモミキサー、マイコロイ
ダー等の均質化手段により、有機酸モノグリセリド−乳
蛋白質複合体を調製する。
【0018】本発明の有機酸モノグリ−乳蛋白質複合体
は、こうして得られた水溶液そのままの形態で使用する
場合は、保存上の点からUHTなどの殺菌処理を施すこ
とが望ましい。また水溶液の形態でも充分に乳らしい風
味の向上効果を有するが、取扱い、保存上の点から噴霧
乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等の手段により乾燥処理を施
しても良い。
【0019】上記のようにして得られた有機酸モノグリ
セリド−乳蛋白質複合体は、本発明に係る油脂乳化組成
物中の油脂に対して、乾燥重量比で0.01〜20重量
%配合することが好ましい。配合量が0.01重量%未
満では、豊かな乳風味、呈味、コク味の発現効果は不充
分であり、また20重量%を越えて添加しても効果は頭
打ちとなる。
【0020】本発明の油脂乳化組成物は、公知の方法で
製造でき、食用油脂を主成分とする油相と、乳成分等を
含む水相を予備乳化した後、以下の通常の工程(均質
化、殺菌、冷却、エージング等)を経て調製される。本
発明において、有機酸モノグリセリド−乳蛋白質複合体
は油相、水相のいずれに添加してもよいが、水溶液の形
態のものを油相に添加することが望ましい。
【0021】本発明に用いられる油相としては、通常食
用として用いられるものであれば、植物油脂、動物油
脂、或いはこれらの硬化、分別、エステル交換したもの
のいずれでもよく、これらのうち1種又は2種以上の油
脂を調合して使用することもできる。
【0022】本発明で得られる油脂乳化組成物の油脂の
割合は、それが水中油型である場合は5〜60重量%、
油中水型である場合は30〜90重量%となる割合が好
ましい。
【0023】本発明の油脂乳化組成物の水相中には、特
に乳成分を水相中0.1〜40重量%配合することが好
ましい。乳成分の含量が0.1重量%未満では、乳らし
い風味向上の効果は不充分であり、また40重量%を越
えて添加しても効果は頭打ちとなる。この乳成分として
は、生乳、脱脂乳、全脱脂乳、バターミルク、乳清、生
クリーム、チーズ類、ヨーグルト類、バター又はこれを
濃縮、粉末加工したのや、ミルクフレーバー、バターフ
レーバー等の呈味剤、フレーバー等が挙げられる。ま
た、この他、糖類、乳化剤、増粘剤等の安定剤、調味
料、香味料及び着色料等の添加物を親水性のものは水相
に、親油性のものは油相に、それぞれ配合することもで
きる。
【0024】本発明の油脂乳化組成物の製造方法として
は、まず油脂に親油性の乳化剤及び油溶性の配合体を添
加して調製した油相部と、一方で親水性の乳原料、乳化
剤及び水溶性の配合体を添加して調製した水相部を混合
攪拌して予備乳化を行う。次いで、それが水中油型油脂
乳化組成物である場合は、この予備乳化物をバルブ式ホ
モジナイザー等の均質化装置を用いて均質化後、殺菌処
理し、必要に応じて再度均質化し、冷却して水中油型油
脂乳化組成物を得る。また、油中水型油脂乳化組成物の
場合は、予備乳化物を均一に攪拌しながら殺菌処理し、
パーフェクター、コンビネーター、ボテーター等の急冷
捏和機を通して安定化し、油中水型油脂乳化組成物を得
る。
【0025】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 複合体製造例1 ナトリウムカゼイン(商品名 ハプロ:新日本製薬株式
会社製)10重量部を100重量部の水に分散、溶解さ
せ65℃まで加熱後、コハク酸モノグリセリド(商品名
ポエムB−10:理研ビタミン株式会社製)4重量部
添加し、溶解後、超音波均質機(500W)にて均質化
(5分間)し、コハク酸モノグリセリド−乳蛋白質複合
体溶液(以下、試料1と記す)を得た。
【0026】複合体製造例2〜5 表1に示す配合にて、まず蛋白質或いは重曹、ヘキサメ
タリン酸ナトリウムを水に分散溶解させ60℃まで加熱
後、有機酸モノグリセリドを添加し溶解後、バルブ式ホ
モジナイザーにて60Kg/cm2 均質化後、140℃で4
秒間UHT殺菌した後、再度90Kg/cm2 で均質化し、
5℃まで冷却して有機酸モノグリセリド−乳蛋白質溶液
(以下、試料2〜5と記す)を得た。
【0027】複合体製造例6 上記製造例1において、ナトリウムカゼインの代わりに
ホエー蛋白質を、コハク酸モノグリセリドの代わりにレ
シチンを使用する以外は同様にして、脂質−蛋白質複合
体溶液を得た。このものを0.1Torrで減圧脱水し、固
形物中の水分を10重量%にしたものを粉砕し、20メ
ッシュの篩で篩過して脂質−蛋白質複合体(以下、試料
6と記す)を得た。
【0028】複合体製造例7〜9 表1に示す配合にて、上記複合体製造例2〜5と同様に
して脂質−蛋白質複合体(以下、試料7〜9と記す)を
得た。
【0029】上記複合体製造例に用いた乳蛋白質中の非
ミセル状態のカゼイン含有率(%)を調べた結果を表2
に示した。また、上記の各試料中の複合体形成の割合を
定量化するために、100ml容の密栓付三角フラスコに
試料30ml(試料6は固形分が10重量%となる様に純
水を添加し水溶液とした。)とn−ヘキサン30mlを入
れ、20℃で15分間振とう後、遠心分離により、上層
(ヘキサン層)を20ml分取り出し、ヘキサンを留去
後、固形物量を精秤し試料中の脂質重量に対する割合を
求め、これを複合体形成に関与しなかった遊離脂質率
(%)として表2に示した。
【0030】表2から明かなように、乳蛋白質のうち非
ミセル状態のカゼイン含有量が高い程、複合体の遊離脂
質率は小さく、複合体を形成し易いことがわかる。ま
た、本発明に用いられる有機酸モノグリセリド−乳蛋白
質複合体(複合体製造例1〜5)では、水溶液の状態で
も複合体が形成し易いこともわかる。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】実施例1 ナタネ硬化油(融点32℃)20重量部、ヤシ硬化油
(融点35℃)6重量部、バター脂肪(融点32℃)1
4重量部を配合、溶解した油相に、乳化剤としてレシチ
ン0.28重量部とさらに試料1を8重量部加えて油相
を調製した。一方、脱脂粉乳4重量部、ヘキサメタリン
酸ナトリウム0.1重量部、乳化剤として蔗糖脂肪酸エ
ステル(HLB11)0.2重量部を水47.42重量
部に溶解し水相を調製した。60℃にて油相を水相に添
加し、予備乳化後50Kg/cm2 で均質化後、140℃で
4秒間UHT殺菌した後、再度100Kg/cm2 均質化
し、5℃まで冷却して水中油型油脂乳化組成物を得た。
このものを5℃で一晩エージング後、水中油型油脂乳化
組成物100重量部に、グラニュー糖8重量部を混合
し、ミキサーにてホイップを行ないホイップクリームを
得た。
【0034】比較例1 実施例1において、試料1を添加しなかった以外は同様
の方法で水中油型油脂乳化組成物を作成し、同様にホイ
ップしてホイップクリームを得た。
【0035】比較例2 実施例1において、試料1の代わりにナトリウムカゼイ
ンの12重量%水溶液を添加した以外は同様の方法で水
中油型油脂乳化組成物を作成し、同様にホイップしてホ
イップクリームを得た。
【0036】比較例3 実施例1において、試料1の代わりに固形分が12重量
%となるように水に溶解した試料6を水相部に添加した
以外は同様の方法で水中油型油脂乳化組成物を作成し、
同様にホイップしてホイップクリームを得た。
【0037】これら実施例1及び比較例1〜3のホイッ
プクリーム風味の官能評価を行った結果を表3に示す。
試料1を添加した実施例1のホイップクリームは、乳ら
しい風味、呈味、コク味に優れていたのに対し、無添加
の比較例1、ナトリウムカゼインを添加した比較例2、
試料6を添加した比較例3のホイップクリームは、いず
れも乳らしい風味がほとんど感じられず、比較例2では
ナトリウムカゼイン自体のイヤ味が感じられた。また比
較例3ではレシチン独特の苦みが感じられた。
【0038】さらに、上記実施例1、比較例1〜3の水
中油型油脂乳化組成物の油脂表面の蛋白質の凝集・吸着
量を「乳タンパク質 第3版 実業図書株式会社 P.26
9 」を参考にし、以下の方法で測定した。即ち、水中油
型油脂乳化組成物100gに40℃の温水300gを加
え、5℃で9000rpm で20分間遠心分離を行ない、
水槽とクリーム層に分離する。得られたクリーム層に、
40℃の温水300gを添加し分散後、5℃、9000
rpm で20分間遠心分離を行ない、クリーム層を洗浄す
る。この操作を再度くり返し、得られたクリーム層に、
5℃のクリームの2倍量の水を加えチャーニングを行な
い、水相と油相に分離する。油相は55℃で融解し、遠
心分離により蛋白質凝固物層を油脂とに分離する。
【0039】こうして調製した蛋白質凝固物層と水相の
蛋白質の定量を行った結果を表3に示したが、表3から
明らかなように、乳の風味が強く感じられた実施例1
が、油脂表面の蛋白質の凝固・吸着量が飛び抜けて多か
った。
【0040】
【表3】
【0041】実施例2 大豆硬化油(融点32℃)25重量部を溶解後、グリセ
リン脂肪酸エステル0.02重量部と試料2を5重量部
加えて油相を調製した。一方、脱脂粉乳4重量部、蔗糖
脂肪酸エステル(HLB15)0.2重量部、第2リン
酸ナトリウム0.02重量部を水65.76重量部に溶
解し水相を調製した。60℃にて油相を水相に徐々に添
加し、予備乳化後90Kg/cm2 で均質化後、140℃で
4秒間UHT殺菌した後、再度150Kg/cm2 均質化
し、5℃まで冷却してコーヒーホワイト用クリームの水
中油型油脂乳化組成物を得た。
【0042】比較例4 実施例2において、試料2の代わりに試料7を添加した
以外は同様の方法にて、コーヒーホワイト用クリームの
水中油型油脂乳化組成物を得た。
【0043】上記実施例2と比較例4のクリームを用い
てコーヒーテストを行った。即ち、インスタントコーヒ
ー2gを80℃の温水100mlに溶解し、その中にクリ
ームを10ml添加して官能評価を行った。実施例2のク
リームを添加したものは、乳らしい風味とコクが強く感
じられ好ましかったが、比較例4のクリームを添加した
ものは、乳らしい風味は弱く、特にコク味はほとんど感
じられないものであった。また、それぞれのクリームの
油脂表面の蛋白質の凝集・吸着量を調べたところ、実施
例2のクリームは0.76mg/g、比較例4のクリーム
は0.48mg/gであった。
【0044】実施例3 大豆油9重量部を加熱後、グリセリン脂肪酸エステル
0.1重量部と試料3を3重量部加えて油相を調製し
た。一方、脱脂粉乳8重量部、ラクトース10重量部、
カラギーナン0.02重量部、蔗糖脂肪酸エステル0.
05重量部を水69.83重量部に溶解し水相を調製し
た。60℃にて油相を水相に徐々に添加し、予備乳化後
120Kg/cm2 で均質化後、140℃にて間接殺菌後、
再度150Kg/cm2 均質化し、10℃まで冷却して水中
油型油脂乳化組成物を得た。このものの油脂表面の蛋白
質の凝集・吸着量は0.84mg/gであった。
【0045】比較例5 実施例3において、試料3を添加しなかった以外は同様
の方法にて水中油型油脂乳化組成物を得た。このものの
油脂表面の蛋白質の凝集・吸着量は0.39mg/gであ
った。
【0046】上記実施例3と比較例5のクリームを用い
て、ホワイトクリームを作成し、食味評価を行った。シ
ョートニング8重量部に小麦粉8重量部を加え、加熱し
ながらよく攪拌し、ルーを調製した。このルーを40℃
に冷やしたところに、水で3倍に希釈した実施例3及び
比較例5の水中油型油脂乳化組成物を60℃に温めたも
の100重量部を加え、混合加熱後、食塩0.35重量
部、コショウ0.035重量部で味で整えてホワイトソ
ースを作成した。実施例3のクリームを用いて作成した
ものは、比較例5を用いたものに比べ乳らしい風味が強
く、コクのあるホワイトソースであった。
【0047】実施例4 大豆硬化油(融点36℃)40重量部、バター脂肪(融
点32℃)20重量部、ナタネ油10重量部を加熱融解
し、グリセリン脂肪酸エステル0.2重量部、レシチン
0.5重量部、β−カロチン0.001重量部と試料4
を15重量部を加えて油相を調製した。一方、脱脂粉乳
2重量部、蔗糖脂肪酸エステル0.5重量部、食塩2.
0重量部を水9.8重量部に溶解し水相を調製した。6
5℃にて水相を油相に徐々に添加し混合したものを、か
き取り式冷却器で急冷し、捏和機を通して安定化し、油
中水型油脂乳化組成物を得た。
【0048】比較例6 実施例4において、試料4の代わりに試料8を添加した
以外は同様の方法にて、油中水型油脂乳化組成物を得
た。
【0049】上記実施例4及び比較例6の油中水型油脂
乳化組成物を食パンのつけバターとしての風味評価を行
った。実施例4の油中水型油脂乳化組成物は、豊かな乳
の風味、呈味、コク味が感じられ好ましかったのに対
し、比較例6のものは、乳らしい風味が感じられなかっ
た。
【0050】また、これらの油中水型油脂乳化組成物の
油脂脂肪球表面の蛋白質の凝集・吸着量を測定した。即
ち、油中水型油脂乳化組成物100gに40℃の温水3
00gを加え、混合溶解し、5℃、9000rpm で20
分間遠心分離を行ない、水槽と油相に分離した。得られ
た油相に再度、油相の3倍量の40℃の温水を加え、5
℃、9000rpm で20分間遠心分離し洗浄した。洗浄
した油相を55℃で溶解し、遠心分離により蛋白質凝固
物層と油脂に分離し、こうして調製した蛋白質凝固物層
の蛋白質の定量を行ない、油相単位グラム当りの蛋白質
量で示した。その結果、実施例4は0.16mg/gであ
るのに対し、比較例6は0.07mg/gであった。
【0051】実施例5 硬化魚油(融点32℃)55重量部、ナタネ油10重量
部を加熱融解し、グリセリン脂肪酸エステル3.0重量
部を溶解した油相に、試料5を2重量部を加え混合し、
予備乳化したものを80℃で15秒間殺菌し、次いでコ
ンビネーターにて急冷可塑化して油中水型油脂乳化組成
物を得た。このものの油脂脂肪球表面の蛋白質の凝集・
吸着量は、0.18mg/gであった。
【0052】比較例7 実施例5において、試料5の代わりに試料9を添加した
以外は同様の方法にて、油中水型油脂乳化組成物を得
た。このものの油脂脂肪球表面の蛋白質の凝集・吸着量
は、0.03mg/gであった。
【0053】上記実施例5及び比較例7の油中水型油脂
乳化組成物を用いて食パンを作成し、風味評価を行っ
た。即ち、強力小麦粉70重量部にイースト2重量部、
イーストフード0.1重量部、水41重量部を加えて軽
く混ぜ合わせ、生地(中種)をつくり、27℃で4時間
半醗酵させた。その後、これに強力小麦粉30重量部、
食塩2重量部、砂糖5重量部、脱脂粉乳1重量部、水2
3重量部と、上記実施例5または比較例7の油中水型油
脂乳化組成物をそれぞれ7重量部加え、本ねりを充分に
行った。次に生地を分割し、まるめて中間ホイロに入
れ、30℃で20分間保持した。次に成型し、型詰めし
て38℃で50分間醗酵させ、最後に215℃で30分
オーブンで焼成し、食パンを作成した。実施例5の油中
水型油脂乳化組成物を添加したものは、比較例7の油中
水型油脂乳化組成物を添加したものに比べて乳のコクが
強く感じられ、また香ばしい香りが顕著に向上してい
た。
【0054】
【発明の効果】叙上のとおり、本発明の有機酸モノグリ
セリドと乳蛋白質の複合体を油脂乳化組成物の製造の際
に添加することにより、少量の乳成分でも乳風味、呈
味、コク味を著しく向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B01J 13/00 B01J 13/00 A C11D 7/26 C11D 7/26 7/46 7/46 (56)参考文献 特開 昭59−216545(JP,A) 特開 平5−30906(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23D 7/00 - 9/06 A23L 1/19 A23G 9/02 B01J 13/00 - 13/02 C11B 5/00 CA(STN) WPI(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機酸モノグリセリドと乳蛋白質とを均
    質化処理して得られた複合体を含有することを特徴とす
    る油脂乳化組成物。
  2. 【請求項2】 乳蛋白質が非ミセル状態の分子構造をも
    つカゼインを含有する乳蛋白質である請求項1記載の油
    脂乳化組成物。
  3. 【請求項3】 有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグ
    リセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエン酸
    モノグリセリド及び酢酸モノグリセリドからなる群から
    選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の油脂乳
    化組成物。
  4. 【請求項4】 油脂又は水相に、有機酸モノグリセリド
    と乳蛋白質とを均質化処理して得られた複合体を添加す
    ることを特徴とする油脂乳化組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複
    合体を水溶液状態で油相に添加する請求項4記載の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 水相中に乳成分を0.1〜40重量%配
    合する請求項4又は5記載の製造方法。
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