JP2004267147A - 加工乳、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加工乳中に含まれる油脂成分を有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体により乳化してなる脂肪球を含有し、その脂肪球の平均粒径を0.6ミクロン以下にすること。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生乳、牛乳を原料として製造された脱脂粉乳、全脂粉乳、バター等の乳製品を水に還元して製造される加工乳に関する。詳しくは、脱脂粉乳等の乳製品を水に還元して製造される加工乳を長期間保管した際に発生するクリーミングの発生や油脂成分の分離等、乳飲料の保存中に起きる様々な問題を防止できる安定な加工乳、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
消費者の嗜好性の変化にともない、生乳から製造される牛乳などに較べて、加工乳、すなわち、乳由来の乾燥粉末製品である脱脂粉乳、全脂粉乳、バター等の乳製品を水に還元した加工乳の消費が伸びている。特に、これら加工乳に特定栄養成分を含ませたタイプの飲料は、昨今の健康志向から増加の一途をたどっている。しかし、製造後、長期間保管した場合、その流通、保存過程においてクリーミング(乳化している脂肪球の一部が安定性を喪失することにより、脂肪球が浮上してクリーム状・リング状になること)を生じたりして、均一な乳化状態を保つことできないのが現状である。特に、油脂成分中に着色性の高い脂溶性食品成分を含む場合、浮上したクリームがより濃く着色して見えるため、見栄えを著しく低下させる。
【0003】
近年、これらの問題を解決する方策として、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等の各種乳化剤や各種増粘剤を組み合わせた提案が数多くなされており、乳化安定性という面では一定の効果を上げているものの、乳化剤、増粘剤に起因する異味や増粘することにより清涼感が欠けてしまう等、風味上好ましいものは得られていない(特許文献1、特許文献2)。
【0004】
また、本出願人らによって有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体を用いた油脂乳化組成物を提案しているが(特許文献3)、当該特許は、油脂乳化組成物の豊かな乳風味、呈味、コク味を提供することを目的とするものであって、クリーミングや、脂肪球の粒径に関して何ら示唆を与えるものではない。また、該油脂乳化組成物における脂肪球のメジアン径は実施例、比較例において測定したところ何れも0.90ミクロン以上と大きく、本願のように0.6ミクロン以下ではない。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−142670号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平6−169692号公報
【0007】
【特許文献3】
特許第3103481号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、保存した際のクリーミングを生じず、3ヶ月以上の長期間安定な乳化状態を有し、且つ風味を損なわない加工乳を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記実情に鑑み、本発明者らは鋭意研究を行った結果、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体を用いて油脂成分を乳化することによって、脂肪球サイズの微小化と乳化の安定化を達成できる知見を得、クリーミングを生じない安定な加工乳が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、加工乳中に含まれる油脂成分を有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体により乳化してなる脂肪球を含有し、その脂肪球のメジアン径が0.6ミクロン以下であることを特徴とする加工乳に関する。好ましい実施態様としては、有機酸モノグリセリドの量が、乳蛋白質全体に対して2〜20重量%であることを特徴とする上記記載の加工乳である。更に好ましい実施態様としては、有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、及び酢酸モノグリセリドからなる群から選ばれる1種又は2種以上である上記記載の加工乳である。特に好ましい実施態様としては、加工乳中に含まれる油脂成分中に脂溶性食品成分を含んでなる上記記載の加工乳である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳述する。本発明において加工乳とは、生乳、牛乳を原料として製造された脱脂粉乳、全脂粉乳等の乳製品を還元して製造される加工乳のことを言い、油脂成分や脂溶性食品成分などの別添物(別途添加した物)を含んでも良い。
【0012】
本発明に使用する油脂成分としては、特に限定はなく通常に使用される食用油脂であれば問題ないが、大豆油、ナタネ油、コーン油、サフラワー油、パーム油、ヤシ油、乳脂肪、また、これらの分別油、硬化油、エステル交換油などが例示でき、油脂成分の融点が50℃を超えると、3か月以上の長期保管した時に、クリーミング現象が発生する場合がある。また、加工乳全体中に含まれる油脂成分量は、0.1〜20重量%の範囲が好適である。油脂成分が、0.1重量%未満では、油脂に由来する喉越しの濃厚感に乏しくなる場合があり、又油脂中に、脂溶性食品成分を必要量溶解することが困難になる場合がある。20重量%を超えると、脂肪球のメジアン径が0.6ミクロンを超える場合があり、又3ヶ月以上の長期間保管した場合に、脂肪球が浮上するクリーミング現象が発生しやすい場合がある。
【0013】
そして本発明では、加工乳中に含まれる油脂成分は、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体により乳化される。該複合体の添加量は、加工乳全体中0.2〜12.0重量%が好ましい。複合体の添加量が0.2重量%未満の場合、数日の間にクリーミングが発生する場合があり、12.0重量%を超える場合、複合体の乳蛋白質の供給源となる脱脂粉乳などを十分に溶解させて、有機酸モノグリセリドと複合体を作らせることができない場合がある。
【0014】
乳蛋白質は、カゼイン等のように分画された乳蛋白質でも可能であるが、得られる加工乳の風味面から、脱脂粉乳、全脂粉乳などの粉乳類により供給される事が好ましい。即ち、水に還元することにより脱脂乳、牛乳などの成分・風味に戻せるものが好適である。
【0015】
本発明に用いる有機酸モノグリセリドは、特に限定はないが、好ましくはコハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、及び酢酸モノグリセリド、からなる群から得られる1種又は2種以上で組み合わせて使用することが出来る。又、これらの有機酸モノグリセリドの疎水基は、飽和脂肪酸であることが立体構造的に有効に結合させることができるため好ましい。
【0016】
本発明に使用する有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体の調整方法としては、まず、溶解機付タンクなどの容器に所定量の水を用意し、所定量の乳粉類を溶解する。溶解には、特殊な機器は必要なく、通常のタービン型・カイ型等の付いた攪拌機で60〜65℃に加温しながら溶解する。その後、所定量の有機酸モノグセリドを少しずつ添加・溶解する。この条件において通常、水に溶解しない有機酸モノグリセリドが、静電気的結合や疎水結合的に乳蛋白質に結合することにより溶解する。イオン性乳化剤と蛋白質が複合体を形成することは周知の事実であるが、一度溶解した有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体を冷却しても、融点以下となった有機酸モノグリセリドが沈殿することはない。このことからも複合体を形成していることは明らかである。
【0017】
本発明に使用する粉乳類の総量は、無脂乳固形分として0.5〜30重量%が好ましい。0.5重量%未満では、有機酸モノグセリドと複合体を作らせる乳蛋白質の総量が不足するため、有効な乳化効果が得られない場合や、風味が不足する場合がある。また、30重量%を超えると、乳粉類の溶解が困難となる場合があり、又長期保存した際に、組成物中のラクトースなどが溶解度以下となり沈殿する場合があった。
【0018】
乳蛋白質と有機酸モノグリセリドの比率は、加工乳の安定性を高め、脂肪球のメジアン径を小さくする上で重要であり、乳蛋白質100重量%に対して2〜20重量%の有機酸モノグリセリドを添加、溶解して調整した複合体により乳化することが好ましい。乳蛋白質に対して2重量%未満の有機酸モノグリセリドにより調整した複合体では、脂肪球のクリーミングが起こる場合があり、不適であった。また、乳蛋白質に対して20重量%を超える量の有機酸モノグリセリドを使用した場合、過剰の有機酸モノグリセリドが乳蛋白質に静電気的結合や疎水的結合できずに、乳蛋白質を溶かした水溶液中に沈殿する場合がある。
【0019】
有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体の溶液に対して、所定量の油脂成分を添加して予備乳化を行う。この乳化液は、牛乳、クリーム類を生産する通常の生産方式、すなわちホモジナイザー等により均質化圧力をかけ、直接蒸気殺菌、直接蒸気滅菌、間接殺菌などによる加熱を行ったのち、更にホモジナイザー等により所望の均質化圧力をかけ、5℃程度にまで冷却、容器充填を行い本発明の加工乳を製造することが出来る。長期保存をする場合は、より高温で直接蒸気滅菌処理を行うUHT滅菌が好ましい。
【0020】
この際、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体により乳化された脂肪球のメジアン径が0.6ミクロン以下になるようにホモジナイザーによる均質化圧力を設定することが好ましい。脂肪球のメジアン径が0.6ミクロンを超えると、数日〜4週間程度で脂肪球が浮上してクリーミングしてしまう場合があり、本発明には不適である。脂肪球のメジアン径の下限は特に限定しないが、系によって安定性が異なり、製造上の限界がある。製造時の均質化は、殺菌・滅菌工程の前後に行う方が、より乳化した脂肪球の安定性が高まる傾向にあったが、特別に高圧力を必要とせず、10〜30MPaで充分な性能が得られる。なお、脂肪球のメジアン径は、通常使用されるレーザー回折式粒度分布測定装置などにより測定できる。
【0021】
本発明の加工乳には、通常クリーム類に使用される食品添加物成分を添加することができ、更に使用する油脂中には脂溶性食品成分を含有させる事ができる。ここでいう脂溶性食品成分とは、食用油脂に簡単に溶解できる食品栄養成分のことであり、特に限定はしないが、着色度の高いβ―カロチン類や脂溶性ビタミン類などが例示できる。本発明は、それらを含有させることで、加工乳に栄養的な特徴を持たせることが出来、かつ長期保存過程においてクリーミングを生じることが無く均一な乳化状態を保つ事が出きる。脂溶性食品成分の加工乳全体中への添加量は、好ましくは0.001〜2.0重量%である。0.001重量%未満では、栄養的に充分な効果が得られない場合があり、2.0重量%を超えたら、脂溶性食品成分の溶解度、融点等により影響され乳化破壊を起こす場合がある。
【0022】
【実施例】
次ぎに実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
[クリーミング評価法]
作製した水中油型乳化組成物を5℃にて保管して、経日的に乳化状態を観察し、クリーミング(乳化している脂肪球の一部が安定性を喪失することによりクリーム状・リング状になること)の発生を目視で確認し、その発生に要した日数を評価値とした。
【0024】
(実施例1)
40〜45℃の水87重量部を仕込んだ後、脱脂粉乳8.5重量部(乳蛋白質含量は、2.89重量部)を少しずつ添加し、脱脂粉乳のダマが無くなるまで攪拌・溶解する。その後、この溶液を60℃になるまで昇温したことを確認し、0.3重量部のコハク酸モノグリセリド(商品名 ポエムB−10 理研ビタミン社製)を少しずつ添加・溶解して、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体溶液を含む水相部を作製した。この複合体溶液において、乳蛋白質に対する有機酸モノグリセリドの重量比率は100:10.4である。一方、4重量部のナタネ油を60℃に加温した後、β―カロチン(ロッシュ社β−カロチン30%懸濁液)0.2重量部を添加・溶解した油相部を先の水相部に添加して乳化液を作製した。この乳化液を10分間攪拌した後、2段バルブ式ホモジナイザーにて10MPaの均質化圧力をかけた後、蒸気インジェクション方式により145℃にて滅菌操作を行った。更に、60℃まで冷却した後、2段バルブ式ホモジナイザーにて20MPaの均質化圧力をかけ、5℃まで冷却・容器充填を行い加工乳を得た。
【0025】
この加工乳の脂肪球のメジアン径を、堀場製作所製 LA−500で測定したところ、0.55ミクロンであった。この加工乳を5℃にて保管し、経日的に乳化状態を確認したところ、3ヶ月間クリーミング現象は無く、均一な乳化状態を維持した。これらの結果は、配合も含めて表1にまとめた。
【0026】
【表1】
【0027】
(比較例1)
実施例1の有機酸モノグリセリドを水に置き換えた他は、全て実施例1と同様に操作して加工乳を得た。従って、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質の複合体による油脂成分の乳化は行わなかった。
【0028】
この加工乳の脂肪球のメジアン径を測定したところ、1.26ミクロンであった。この加工乳を5℃にて保管し、経日的に乳化状態を確認したところ、4日後に充填した容器の上部に、ドロリとした赤黄色いクリームの帯が形成されており、明らかにクリーミング現象が認められた。
【0029】
(比較例2)
40〜45℃の水87重量部を仕込んだ後、脱脂粉乳8.5重量部(乳蛋白質含量は、2.89重量部)を少しずつ添加し、脱脂粉乳のダマが無くなるまで攪拌・溶解する。その後、この溶液を60℃になるまで昇温したことを確認し水相部を作成した。一方、4重量部のナタネ油を60℃に加温した後、コハク酸モノグリセリド0.3重量部、β―カロチン0.2重量部を添加・溶解した油相層部を先の水相部に添加して乳化液を作製した。この乳化液の配合組成は、実施例1と全く同じであるが、コハク酸モノグリセリドを油相部に添加溶解し、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質の複合体形成を行わなかった。次に、この乳化液を実施例1と同様に操作して加工乳を得た。
【0030】
この加工乳の脂肪球のメジアン径を測定したところ、0.98ミクロンであった。このサンプルを5℃にて保管し、経日的に乳化状態を確認したところ、4日後には、充填した容器の上部がかなり赤黄色に変色しており、明らかにクリーミング現象を起こしていた。
【0031】
(比較例3)
40〜45℃の水87.27重量部を仕込んだ後、脱脂粉乳8.5重量部(乳蛋白質含量は、2.89重量部)を少しずつ添加し、脱脂粉乳のダマが無くなるまで攪拌・溶解する。その後、この溶液を60℃になるまで昇温したことを確認し、0.03重量部のコハク酸モノグリセリドを少しずつ添加・溶解して、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体溶液を含む水相部を作製した。この複合体溶液の乳蛋白質に対する有機酸モノグリセリドの重量比率は、100:1.0である。一方、4重量部のナタネ油を60℃に加温した後、β―カロチン0.2重量部を添加・溶解した油相部を先の水相部に添加して乳化液を作製した。この乳化液を実施例1と同様に操作して加工乳を得た。
【0032】
このサンプルの脂肪球のメジアン径を測定したところ、1.15ミクロンであった。このサンプルを5℃にて保管し、経日的に乳化状態を確認したところ、10日後に充填した容器の上部にクリーミング現象が認められた。
【0033】
(比較例4)
40〜45℃の水86.65重量部を仕込んだ後、脱脂粉乳8.5重量部(乳蛋白質含量は、2.89重量部)を少しずつ添加し、脱脂粉乳のダマが無くなるまで攪拌・溶解する。その後、この溶液を60℃になるまで昇温したことを確認し、0.65重量部のコハク酸モノグリセリドを少しずつ添加・溶解して、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体溶液を含む水相部を作製しようとしたが、過剰の有機酸モノグリセリドが充分に溶解できなかったため、実験を中止した。この時の乳蛋白質に対する有機酸モノグリセリドの重量比率は、100:22.5であった。
【0034】
(比較例5)
実施例1と同様の配合組成にて、実施例1と同様の操作を行い乳化液を作製した。その後、滅菌操作後の均質化圧力を8MPaとした以外は、実施例1と同様に操作して加工乳を得た。この加工乳の脂肪球のメジアン径を測定したところ、0.65ミクロンであった。この加工乳を5℃にて保管し、経日的に乳化状態を確認したところ、20日後に充填した容器の上部に僅かにクリーミング現象が認められた。
【0035】
(実施例2)
40〜45℃の水82.8重量部を仕込んだ後、脱脂粉乳8.5重量部(乳蛋白質含量は、2.89重量部)を少しずつ添加し、脱脂粉乳のダマが無くなるまで攪拌・溶解する。その後、この溶液を60℃になるまで昇温したことを確認し、0.2重量部のコハク酸モノグリセリドを少しずつ添加・溶解して、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体溶液を含む水相部を作成した。この複合体溶液の乳蛋白質に対する有機酸モノグリセリドの比率は、100:6.9である。一方、8.0重量部のナタネ油を60℃に加温した後、ビタミンA製剤(商品名 ビタミンA油(500)理研ビタミン社製 ビタミンA含量15%)0.5重量部を添加・溶解した油相部を先の水相部に添加して乳化液を作成した。この乳化液を10分間攪拌した後、2段バルブ式ホモジナイザーにて20MPaの均質化圧力を行った後、蒸気インジェクション方式により145℃にて滅菌操作を行った。更に、60℃まで冷却した後、2段バルブ式ホモジナイザーにて25MPaの均質化圧力をかけ、5℃まで冷却・容器充填を行い加工乳を得た。
【0036】
この加工乳の脂肪球のメジアン径は、堀場製作所製 LA−500Pにて測定したところ、0.53ミクロンであった。この加工乳を5℃にて保管し、経日的に乳化状態を確認したところ、3ヶ月間クリーミング現象は無く、均一な乳化状態を維持した。
【0037】
(実施例3)
40〜45℃の水72.9重量部を仕込んだ後、脱脂粉乳8.5重量部(乳蛋白質含量は、2.89重量部)を少しずつ添加し、脱脂粉乳のダマが無くなるまで攪拌・溶解する。その後、この溶液を60℃になるまで昇温したことを確認し、0.4重量部のコハク酸モノグリセリドを少しずつ添加・溶解して、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体溶液を含む水相部を作成した。一方、18重量部のコーン油を60℃に加温した後、β―カロチン0.2重量部を添加・溶解した油相部を先の水相部に添加して乳化液を作製した。この複合体溶液の乳蛋白質に対する有機酸モノグリセリドの重量比率は、100:13.8である。この乳化液を実施例2と同様に操作して加工乳を得た。
【0038】
このサンプルの脂肪球のメジアン径を測定したところ、0.59ミクロンであった。このサンプルを5℃にて保管し、経日的に乳化状態を確認したところ、3ヶ月間クリーミング現象は無く、均一な乳化状態を維持した。
【0039】
(実施例4)
実施例1の有機酸モノグリセリドを0.5重量部、水86.8重量部とした以外は、全て実施例1と同様に操作して加工乳を得た。従って、本実施例では有機酸モノグリセリドと乳蛋白質の複合体の比率は、100:17.3となる。
【0040】
この加工乳の脂肪球のメジアン径を測定したところ、0.50ミクロンであった。この加工乳を5℃にて保管し、経日的に乳化状態を確認したところ、3ヶ月間クリーミング現象は無く、均一な乳化状態を示した。
【0041】
【発明の効果】
有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体を用いて油脂成分を乳化することにより、クリーミング、オイルリング等が発生せず、3ヶ月以上の長期間保存でき、且つ風味を損なわない加工乳を提供することができる。
Claims (5)
- 加工乳中に含まれる油脂成分を有機酸モノグリセリドと乳蛋白質からなる複合体により乳化してなる脂肪球を含有し、その脂肪球のメジアン径が0.6ミクロン以下であることを特徴とする加工乳。
- 有機酸モノグリセリドの量が、乳蛋白質全体に対して2〜20重量%であることを特徴とする請求項1記載の加工乳。
- 有機酸モノグリセリドがコハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、及び酢酸モノグリセリドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜2何れかに記載の加工乳。
- 加工乳中に含まれる油脂成分中に脂溶性食品成分を含んでなる請求項1〜3何れかに記載の加工乳。
- 請求項1〜4に記載の加工乳の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2003064907A JP2004267147A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | 加工乳、及びその製造方法 |
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2003
- 2003-03-11 JP JP2003064907A patent/JP2004267147A/ja active Pending
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