JPH08116925A

JPH08116925A - かき卵液の製造方法

Info

Publication number: JPH08116925A
Application number: JP6286177A
Authority: JP
Inventors: Yoshikazu Nakanishi; 義和中西
Original assignee: KUNOOLE SHOKUHIN KK; Knorr Foods Co Ltd
Current assignee: KUNOOLE SHOKUHIN KK; Knorr Foods Co Ltd
Priority date: 1994-10-27
Filing date: 1994-10-27
Publication date: 1996-05-14

Abstract

(57)【要約】【構成】増粘多糖類を添加し、５０〜１５０ｃｐｓの
粘度に調整した殺菌全卵液を使用することを特徴とする
かき卵液の製造方法。【効果】本発明によれば、殺菌全卵液を用いて薄片状
の良好なかき卵液を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、かき卵液の製造方法に
関し、詳しくは殺菌全卵液を使用するかき卵液の製造方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術および発明が解決しようとする課題】かき
卵は通常、家庭においても、工業的規模においても、割
卵した全卵液を軽く攪拌して均一にし、加熱した澱粉液
等に注入、攪拌して調製される。このとき用いられる全
卵液は、未殺菌で、かつ攪拌の際に剪断力を受けていな
いことが必要とされている。殺菌した全卵液を使用する
と、薄片状の良好なかき卵が形成されず、細かく凝固し
た状態を呈するという問題点があった。

【０００３】この理由は判然としないが、未殺菌全卵液
と殺菌全卵液の粘度的性質の相違に起因するものと推測
される。なお、未殺菌全卵液は微生物に対し非常に不安
定な原料であり、流通・保管等における微生物汚染が懸
念されている。このため、かき卵の製造にあたり、安全
性および衛生的な見地より、殺菌全卵液を用いることが
従来より望まれていた。そこで、本発明者らは殺菌全卵
液を用いたかき卵の製造方法を開発すべく検討を重ね、
本発明に到達した。

【０００４】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は増粘
多糖類を添加し、５０〜１５０ｃｐｓの粘度に調整した
殺菌全卵液を使用することを特徴とするかき卵液の製造
方法に関する。

【０００５】本発明において、全卵液とは全卵液の他、
全卵液と卵白液および／または卵黄液の混合物を包含す
るが、全卵液のみのものが好ましい。また、殺菌とは、
連続的に加熱殺菌する場合、６０℃、3.５分間、バ
ッチ式に殺菌する場合、５８℃、１０分間の条件あるい
はこれらと同等以上の効力を有する方法により加熱殺菌
することをいう。

【０００６】次に、本発明に用いる増粘多糖類として
は、キサンタンガム，ローカストビーンガム，グアガ
ム，ペクチン，トラガントガム，カラギーナン，プルラ
ン，アラビアガム，タマリンドガム，寒天，コンニャク
マンナン，ゼラチン等があり、これらを単独で、もしく
は２種以上を適宜組み合わせて用いる。増粘多糖類は、
殺菌全卵液の粘度を５０〜１５０ｃｐｓ、好ましくは５
５〜１４０ｃｐｓに調整するために使用され、通常は殺
菌全卵液に対して0.４〜２重量％、好ましくは0.５〜1.
５重量％程度添加する。増粘多糖類の添加量が２重量％
を超えると、殺菌全卵液の粘度が１５０ｃｐｓ未満であ
っても、殺菌全卵液への添加・分散が困難となる上に、
得られるかき卵液の状態も悪くなる。なお、特公昭５７
−８７１０号公報にはガム質を添加した卵液を用いるか
き卵液の製造方法が開示されているが、卵液は未殺菌の
ものであり、ガム質はかき卵液の保存性，食感の向上を
目的として添加されている。

【０００７】殺菌全卵液へ増粘多糖類を添加・分散させ
る方法は特に制限されないが、例えば次の方法で行うこ
とができる。増粘多糖類をエタノールなどの有機溶媒に
分散させ、殺菌全卵液を攪拌させながら少量ずつ加えて
均一にする。または、増粘多糖類を少量の油脂に分散さ
せ、殺菌全卵液を攪拌させながら少量ずつ加えて均一に
する。

【０００８】かき卵液を形成するベース液としては、澱
粉または澱粉分解液を0.１〜５重量％、好ましくは0.５
〜４重量％含有する水溶液を用い、これを８５〜９９
℃、好ましくは８８〜９７℃に加熱し、緩やかに攪拌さ
せながら、増粘多糖類を添加した殺菌全卵液を注入す
る。これにより、薄片状のかき卵液が形成される。こ
こで、澱粉としてはコーンスターチ，ポテトスターチ，
小麦粉澱粉，タピオカ澱粉等が用いられ、澱粉分解液と
してはＤＥ（Dextrose Equivalent)の比較的低いデキス
トリン類が好適に用いられる。これら澱粉または澱粉分
解液は単独で、もしくは２種以上を適宜組み合わせて用
いることができる。

【０００９】ベース液中の澱粉または澱粉分解液の添加
量が５重量％を超えると、粘度が増加しすぎて薄片状の
良好なかき卵液が形成されない。また、ベース液の温度
が８５℃未満では、殺菌全卵液の熱凝固性が弱く、薄片
状の良好なかき卵液が形成されない。なお、ベース液に
は必要に応じて食塩，砂糖，味醂，しょう油，グルタミ
ン酸ソーダ，香辛料，その他調味料を適宜加えることが
できる。

【００１０】また、ベース液と殺菌全卵液の比率、ベー
ス液／殺菌全卵液は1.５以上が好ましく、２〜２０が特
に好ましい。比率が1.５未満であると、殺菌全卵液の注
入当初は良好なかき卵液が形成されるが、殺菌全卵液の
比率が増加するに伴い、次第に良好なかき卵液が形成さ
れなくなる。本発明により調製されたかき卵液は、その
ままあるいは凍結乾燥して乾燥品として使用される他、
レトルト素材としても使用される。

【００１１】

【実施例】次に、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれにより制限されるものではない。実施例１２％ポテトスターチ液（ベース液）２４００ｇを９５℃
に加熱し、緩やかに攪拌しつつ、増粘多糖類を添加した
殺菌全卵液６００ｇを注入、攪拌してかき卵液を製造し
た。なお、殺菌全卵液は６０℃、３．５分間（連続式）
の条件で加熱殺菌したものを使用した。

【００１２】各種増粘多糖類を添加した殺菌全卵液の粘
度と形成されたかき卵液の性状について評価した結果を
第１表に示した。なお、粘度はＢ型粘度計を用い、Ｎ
ｏ．１ローター、５０ｒｐｍの条件で測定した。表から
明らかなように、増粘多糖類により５０〜１５０ｃｐｓ
の粘度に調整された殺菌全卵液を用いた場合、良好なか
き卵液が得られた。

【００１３】

【表１】第１表 ─────────────────────────────────── 添加量（％）増粘多糖類 0.4 0.6 0.8 1.5 1.8 2.0 ─────────────────────────────────── キサンタンガム 50cps △ 60 ○ 65 ○ 150 ○ 160 △ 190 × ペクチン 35 × 40 × 40 × 50 ○ 55 ○ 70 ○ グアガム 40 × 50 ○ 60 ○ 130 ○ 150 ○ 160 △ プルラン 35 × 40 × 40 × 45 △ 50 ○ 55 ○ カラギーナン 40 × 40 × 40 × 50 ○ 55 ○ 65 ○ タマリンドガム 35 × 40 × 45 △ 60 ○ 65 ○ 75 ○ ─────────────────────────────────── かき卵液の性状 ○：薄片状の良好なかき卵液を形成する △：薄片状のかき卵の形成にやや乏しい ×：薄片状のかき卵の形成に乏しい

【００１４】比較例１増粘多糖類を添加した殺菌全卵液６００ｇの代わりに増
粘多糖類無添加の殺菌全卵液６００ｇを使用したこと以
外は実施例１と同様にして行った。結果を第２表に示
す。なお、表中の粘度やかき卵液の性状は実施例１と同
様にして求めたものである。

【００１５】

【表２】第２表 ──────────────────────────── 増粘多糖類無添加の殺菌全卵液３４cps × ────────────────────────────

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、殺菌全卵液を用いて薄
片状の良好なかき卵液を製造することができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】増粘多糖類を添加し、５０〜１５０ｃｐ
ｓの粘度に調整した殺菌全卵液を使用することを特徴と
するかき卵液の製造方法。
【請求項２】増粘多糖類が、キサンタンガム，ローカ
ストビーンガム，グアガム，ペクチン，トラガントガ
ム，カラギーナン，プルラン，アラビアガム，タマリン
ドガム，寒天，コンニャクマンナンおよびゼラチンのう
ちから選ばれた少なくとも１種のものである請求項１記
載の方法。